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特開2024-38984樹脂マトリックス組成物、プリプレグ、炭素繊維複合材及び樹脂マトリックスの製造方法
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  • 特開-樹脂マトリックス組成物、プリプレグ、炭素繊維複合材及び樹脂マトリックスの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038984
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】樹脂マトリックス組成物、プリプレグ、炭素繊維複合材及び樹脂マトリックスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20240313BHJP
   C08G 59/50 20060101ALI20240313BHJP
   C08L 79/08 20060101ALI20240313BHJP
   C08L 81/06 20060101ALI20240313BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
C08L63/00 A
C08G59/50
C08L79/08 B
C08L81/06
C08J5/24 CFC
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101881
(22)【出願日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】111134203
(32)【優先日】2022-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】518305565
【氏名又は名称】臺灣塑膠工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100209060
【弁理士】
【氏名又は名称】冨所 剛
(72)【発明者】
【氏名】許育晟
(72)【発明者】
【氏名】高堂▲しゅん▼
(72)【発明者】
【氏名】陳宣吟
(72)【発明者】
【氏名】▲おう▼龍田
【テーマコード(参考)】
4F072
4J002
4J036
【Fターム(参考)】
4F072AB10
4F072AB28
4F072AD31
4F072AD45
4F072AE01
4F072AG03
4F072AH04
4F072AH11
4F072AL02
4F072AL04
4F072AL11
4J002CD13W
4J002CM04Y
4J002CN03X
4J002GK02
4J036AH18
4J036DD05
4J036FB14
4J036FB15
4J036JA11
(57)【要約】
【課題】本発明は、樹脂マトリックス組成物を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂と、ポリスルホン類エンジニアリングプラスチックと、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、カルボキシル基及び/又はアミノ基を含む求核性官能基を有する求核性化合物及びポリエーテルイミドで製造される変性ポリエーテルイミドと、アミン類硬化剤と、を含む樹脂マトリックス組成物。それにより、島相と共連続相の2つの形態に分離する樹脂マトリックスを製造することができ、前記樹脂マトリックスは、良好な曲げ強度と靱性を兼ね備え、且つ含浸粘度が適度であるため、炭素繊維に好適に含浸させて、プリプレグ及び炭素繊維複合材を製造する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂と、
ポリスルホン類エンジニアリングプラスチックと、
ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、カルボキシル基及び/又はアミノ基を含む求核性官能基を有する求核性化合物及びポリエーテルイミドで製造される変性ポリエーテルイミドと、
アミン類硬化剤と、
を含む樹脂マトリックス組成物。
【請求項2】
前記エポキシ樹脂100wt%に基づき、前記樹脂マトリックス組成物は、0.5wt%~30wt%の前記ポリスルホン類エンジニアリングプラスチックを含む請求項1に記載の樹脂マトリックス組成物。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂100wt%に基づき、前記樹脂マトリックス組成物は、0.5wt%~20wt%の前記変性ポリエーテルイミドを含む請求項1に記載の樹脂マトリックス組成物。
【請求項4】
前記アミン類硬化剤が有するアミノ基と前記エポキシ樹脂が有するエポキシ基との比は、0.6~1.3である請求項1に記載の樹脂マトリックス組成物。
【請求項5】
アミン系硬化促進剤、グアナミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤及び/又はホスホニウム系硬化促進剤が含まれる硬化促進剤を更に含む請求項1に記載の樹脂マトリックス組成物。
【請求項6】
前記エポキシ樹脂の種類としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラックエポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アミノフェノール、メチレンジフェニルアミン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン又はそれらの組み合わせが含まれる請求項1に記載の樹脂マトリックス組成物。
【請求項7】
前記アミン類硬化剤の種類としては、脂肪族アミン硬化剤、脂環式アミン類硬化剤、芳香族アミン類硬化剤、ジシアンジアミド硬化剤、ポリエーテルアミン硬化剤、ポリアミノアミド硬化剤、ポリアミン硬化剤、ポリアミド硬化剤又はそれらの組み合わせが含まれる請求項1に記載の樹脂マトリックス組成物。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の樹脂マトリックス組成物及び炭素繊維を含むプリプレグ。
【請求項9】
請求項8に記載のプリプレグにホットプレス成形プロセスを行うことで製造される炭素繊維複合材。
【請求項10】
90℃~130℃の温度で、エポキシ樹脂と変性ポリエーテルイミドを混合して、第1の溶液を得る工程と、
100℃~150℃の温度で、前記第1の溶液とポリスルホン類エンジニアリングプラスチックを混合して、第2の溶液を得る工程と、
アミン類硬化剤を前記第2の溶液に添加して、樹脂マトリックスを得る工程と、
が含まれる樹脂マトリックスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂マトリックス組成物、プリプレグ、炭素繊維複合材及び樹脂マトリックスの製造方法に関し、特に、エポキシ樹脂マトリックス組成物、エポキシ樹脂ベースプリプレグ、エポキシ樹脂ベース炭素繊維複合材及びエポキシ樹脂マトリックスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は、三次元網目状架橋構造を有する熱硬化性樹脂である。エポキシ樹脂は、既に塗料、電子産業、航空宇宙産業、自動車及びスポーツ用品等の様々な部品に広く適用されている。しかしながら、エポキシ樹脂は、網目状架橋構造であるため、脆く、割れやすく、耐衝撃性に劣る等の欠点を有し、特に高架橋密度を有するエポキシ樹脂(例えば、四官能基性エポキシ樹脂)は、前述した欠点がより顕著である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
エポキシ樹脂の上記欠点の原因で、エポキシ樹脂の特性を改善し、更にその適用性を高めるように、エポキシ樹脂を強靭化(toughened)しなければならない。従来のエポキシ樹脂の強靭化としては、熱可塑性樹脂をブレンドした後で、エポキシ樹脂に対して熱誘起相分離(thermally induced phase separation;TIPS)を行う。ただし、熱誘起相分離は、加熱硬化の過程中で、エポキシ樹脂と硬化剤との架橋反応により、ブレンドされた熱可塑性樹脂に対する溶解度が低下して、二相分離の現象が発生することがある。つまり、温度等の熱力学的条件の変化には、相分離現象の発生が伴われる場合が多いため、二成分系に対して、エポキシ樹脂の特性の改善効果を達成させるために、複雑で変化しやすい相分離現象を効果的に制御しなければならない。
【0004】
これに鑑みて、エポキシ樹脂の特性及びその適用性を改善するために、樹脂マトリックス組成物及び樹脂マトリックスの製造方法を提供することは急務となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様は、エポキシ樹脂と、熱可塑性エンジニアリングプラスチックと、変性熱可塑性樹脂と、を含むことにより相分離系を制御する樹脂マトリックス組成物を提供する。
【0006】
本発明の別の態様は、上記態様の樹脂マトリックス組成物を含むプリプレグを提供する。
【0007】
本発明の更なる態様は、上記態様のプリプレグにより製造される炭素繊維複合材を提供する。
【0008】
本発明の更なる態様は、所定の条件でエポキシ樹脂、変性ポリエーテルイミド、及びポリスルホン類エンジニアリングプラスチックを混合する樹脂マトリックスの製造方法を提供する。
【0009】
本発明の一つの態様によれば、エポキシ樹脂と、ポリスルホン類エンジニアリングプラスチックと、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、カルボキシル基及び/又はアミノ基を含む求核性官能基を有する求核性化合物及びポリエーテルイミドで製造される変性ポリエーテルイミドと、アミン類硬化剤と、を含む樹脂マトリックス組成物を提供する。
【0010】
本発明の一つの実施例によれば、エポキシ樹脂100wt%に基づき、前記樹脂マトリックス組成物は、0.5wt%~30wt%のポリスルホン類エンジニアリングプラスチックを含む。
【0011】
本発明の一つの実施例によれば、エポキシ樹脂100wt%に基づき、前記樹脂マトリックス組成物は、0.5wt%~20wt%の変性ポリエーテルイミドを含む。
【0012】
本発明の一つの実施例によれば、前記アミン類硬化剤が有するアミノ基とエポキシ樹脂が有するエポキシ基との比は、0.6~1.3である。
【0013】
本発明の一つの実施例によれば、前記樹脂マトリックス組成物は、アミン系硬化促進剤、グアナミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤及び/又はホスホニウム系硬化促進剤が含まれる硬化促進剤を更に含む。
【0014】
本発明の一つの実施例によれば、前記エポキシ樹脂の種類としは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラックエポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アミノフェノール、メチレンジフェニルアミン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0015】
本発明の一つの実施例によれば、前記アミン類硬化剤の種類としては、脂肪族アミン硬化剤、脂環式アミン類硬化剤、芳香族アミン類硬化剤、ジシアンジアミド硬化剤、ポリエーテルアミン硬化剤、ポリアミノアミド硬化剤、ポリアミン硬化剤、ポリアミド硬化剤又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0016】
本発明の別の態様によれば、前記樹脂マトリックス組成物及び炭素繊維を含むプリプレグを提供する。
【0017】
本発明の更なる態様は、前記プリプレグにホットプレス成形プロセスを行うことで製造される炭素繊維複合材を提供する。
【0018】
本発明の更なる態様は、90℃~130℃の温度で、エポキシ樹脂と変性ポリエーテルイミドを混合して、第1の溶液を得る工程と、100℃~150℃の温度で、第1の溶液とポリスルホン類エンジニアリングプラスチックを混合して、第2の溶液を得る工程と、アミン類硬化剤を第2の溶液に添加して、樹脂マトリックスを得る工程と、が含まれる樹脂マトリックスの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の樹脂マトリックス組成物、プリプレグ、炭素繊維複合材及び樹脂マトリックスの製造方法を適用すれば、2種類の熱可塑性樹脂によってエポキシ樹脂のブレンドを行うことで、2種類の相形態に分離する樹脂マトリックスが製造されるため、曲げ性と靱性を兼ね備え、更にそのプリプレグ及び炭素繊維複合材に良好な加工性及び物性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下の詳細な説明に基づき、添付図面に合わせて読むと、本開示の態様が好ましく理解される。当業界の標準的な慣行によれば、多くの特徴は縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。実際には、明らかに検討するために、多くの特徴のサイズは、任意に増減可能である。
図1】本発明の幾つかの実施例による樹脂マトリックスの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明で使用される「およそ(around)」、「約(about)」、「ほぼ(approximately)」又は「実質的に(substantially)」は、一般的に記載された数値又は範囲の20%以内、又は10%以内、又は5%以内にあることを表す。
【0022】
従来のエポキシ樹脂の強靭化には、ポリエーテルスルホン(polyether sulfone;PES)等のポリスルホン類エンジニアリングプラスチックを利用し、4,4-ジアミノジフェニルスルホン(4,4-diaminodiphenyl sulfone;4,4-DDS)を硬化剤として硬化させてよい。この従来の方法において、0wt%~10wt%のポリエーテルスルホンを添加した場合、均一相又は島形態を有する樹脂マトリックスを得ることができ、ポリエーテルスルホンの添加量が12wt%~16wt%に増えると、樹脂マトリックスの粘度が変わるため、硬化の中で共連続相に徐々に転移するが、ポリエーテルスルホンの添加量が更に20wt%以上に増えると、樹脂マトリックスは更に逆島相に転移する。逆島相の樹脂マトリックスは、熱可塑性を主体とする形態であるため、前述した3種類のうち最も靱性を有する形態であるが、その曲げ弾性率及びガラス転移温度(glass transition temperature;T)が余りにも大きく低下し、更に、樹脂マトリックスの適用性が制限される。島相(球状相分離)形態を有する樹脂マトリックスは、好ましい曲げ強度を有するが、共連続相形態を有する樹脂マトリックスは、好ましい耐衝撃性と靱性を有することを理解されたい。
【0023】
上記を踏まえて、本発明は、樹脂マトリックス組成物を提供し、前記樹脂マトリックス組成物には、ポリスルホン類エンジニアリングプラスチックを添加する他、更に変性修飾されたポリエーテルイミド(polyetherimide;PEI)を添加する。これにより、少量のポリスルホン類エンジニアリングプラスチックを添加するだけで、同時に共連続相及び島相を有する樹脂マトリックスを製造し、曲げ強度と耐衝撃性を兼ね備え、炭素繊維の含浸に相対的に適する粘度を有することができるため、プリプレグは好ましい加工性を有し、炭素繊維複合材は良好な物性を有する。
【0024】
本発明により提供される樹脂マトリックス組成物は、エポキシ樹脂、ポリスルホン類エンジニアリングプラスチック、変性ポリエーテルイミド及びアミン類硬化剤が含まれる。幾つかの実施例において、エポキシ樹脂の種類としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラックエポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0025】
幾つかの具体例において、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、南亜プラスチック社製の品名がNPEL 127、128、134、901、902又は904等である市販の製品、Hexion社製の品名がEPON TM 828、830、834又は1001F等である市販の製品、長春人造樹脂社製の品名がBE 114、186又は188等である市販の製品、ADEKA株式会社製の品名がEP 4100、4300又は4700等である市販の製品、Dow社製の品名がD.E.R. 331、317、324又は214等である市販の製品であってよい。幾つかの具体例において、ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、南亜プラスチック社製の品名がNPEF 170等である市販の製品、Hexion社製の品名がEPON TM 869等である市販の製品、三菱化学社製の品名がjER 806又は807等である市販の製品、長春人造樹脂社製の品名がBE 170、235又は283等である市販の製品であってよい。
【0026】
幾つかの具体例において、ノボラックエポキシ樹脂は、南亜プラスチック社製の品名がNPPN 630、638又は640等である市販の製品、明和化成社製のHシリーズの製品又はHFシリーズの製品、長春人造樹脂社製の品名がPNE 171、172、174、175、176又は177等である市販の製品であってよい。幾つかの具体例において、クレゾールノボラック樹脂は、ハンツマン(HUNTSMAN)社製の品名がECN 1273、1280、1299又は9511等である市販の製品、南亜プラスチック社製の品名がNPCN-703、704である製品、長春人造樹脂社製の品名がCNE-202、220及び200シリーズである製品、日本化薬社製の品名がCER-1020、EOCN-1020-62、EOCN-1020、EOCN-102S、EOCN-103S及びEOCN-104S等である市販の製品であってよい。
【0027】
幾つかの具体例において、ナフタレン型エポキシ樹脂は、▲金▼広盛材料社製の品名がVastPoxy-465等である市販の製品、ハンツマン社製の品名がAraldite(R) MY 0816等である市販の製品、DIC株式会社製の品名がEPICLON(R) HP-5000、HP-4700又はHP-4710等である市販の製品であってよい。幾つかの具体例において、脂肪族エポキシ樹脂は、DOW社製の品名がD.E.R 732、D.E.R 736等である市販の製品、▲金▼広盛材料社製の品名がVastPoxy-4821、428、484、486、430等である市販の製品であってよい。
【0028】
幾つかの具体例において、ジシクロペンタジエンノボラックエポキシ樹脂は、大日本印刷社製の品名がHP-7200H等である市販の製品、日本化薬社製の品名がXD-1000等である市販の製品、浙江栄徳化工社製の品名が655-B-75等である市販の製品、聯穎化工社製の品名がKES-7660等である市販の製品、長春人造樹脂社製の品名がDNE260等である市販の製品、Shin-A T&C社製の品名がSEV-3460、SEV-3475、SEV-3408又はSEV-3410等である市販の製品、ハンツマン社製の品名がTactix(R) 556又はTactix(R) 756等である市販の製品であってよい。幾つかの具体例において、ビフェニル型エポキシ樹脂は、中固化学社製のSinepoxy(R) YX 4000等の市販の製品、▲金▼広盛材料社製の品名がVastPoxy YF-4800等である市販の製品、嘉盛徳社製の品名がBPNE3501等である市販の製品、三菱化学(株)社製の品名がjER YX4000である製品であってよい。
【0029】
幾つかの実施例において、エポキシ樹脂は、三官能基性エポキシ樹脂及び四官能基性エポキシ樹脂を含む多官能基性エポキシ樹脂が含まれる。幾つかの具体例において、三官能基性エポキシ樹脂は、アミノフェノールが含まれ、アミノフェノールは、ハンツマンアドバンストマテリアルズ社製の品名がAraldite(R) MY 0510、MY 0500、MY 0600、MY 0610等である市販の製品であってよい。幾つかの具体例において、四官能基性エポキシ樹脂は、メチレンジフェニルアミン及びテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンが含まれ、メチレンジフェニルアミンは、例えばハンツマンアドバンストマテリアルズ(Huntsman Advanced Materials)社製の品名がAraldite(R) MY 9655等である市販の製品であってよく、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンは、例えばハンツマンアドバンストマテリアルズ社製の品名がAraldite(R) MY 721、MY 720、MY 725、MY 9663、MY 9634、MY 965等である市販の製品であってよい。
【0030】
幾つかの実施例において、エポキシ樹脂100wt%に基づき、樹脂マトリックス組成物は、約0.5wt%~約30wt%のポリスルホン類エンジニアリングプラスチックを含み、好ましくは約5wt%~約25wt%であり、より好ましくは約10wt%~約20wt%である。ポリスルホン類エンジニアリングプラスチックの添加量が余りにも少なく、例えば約0.5wt%よりも少なくなると、二相分離を明らかに示す樹脂マトリックスを製造することができないため、機械的性能が顕著に向上することはなく、ポリスルホン類エンジニアリングプラスチックの添加量が約30wt%よりも大きくなると、製造された樹脂マトリックスの粘度が過度に高くなり、後の適用と加工に不利であり、機械的性能も好ましくない。幾つかの実施例において、ポリスルホン類エンジニアリングプラスチックは、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone;PES)が含まれる。
【0031】
幾つかの具体例において、ポリスルホン類エンジニアリングプラスチックは、BASF社製の品名がULTRASON(R)S、E、Pシリーズ等である市販の製品、Solvay Specialty Polymers Japan社製の品名がVW10700RP、VW30500R等である市販の製品、Solvay社製の品名がUdel(R)、Veradel(R)、Eviva(R)、Radel(R)、Veriva(R)及びAcudel(R)等である市販の製品、住友化学社製の品名が3600G、4100G、4800G及び5003P等である市販の製品であってよい。前述したポリスルホン類エンジニアリングプラスチックは、スルホン化ポリスルホン類エンジニアリングプラスチック等の様々な官能基変性のポリスルホン類エンジニアリングプラスチックを更に含むことを理解されたい。幾つかの具体例において、スルホン化ポリスルホン類エンジニアリングプラスチックは、例えば小西化学社製の品名がS-PES等である市販の製品であってよい。
【0032】
幾つかの実施例において、エポキシ樹脂100wt%に基づき、樹脂マトリックス組成物は、約0.5wt%~約20wt%の変性ポリエーテルイミドを含み、好ましくは約2wt%~約15wt%であり、より好ましくは約4wt%~約10wt%である。従って、本発明の樹脂マトリックス組成物は、約0.5wt%~約20wt%の変性ポリエーテルイミドを含み、且つ約0.5wt%~約30wt%のポリスルホン類エンジニアリングプラスチック(エポキシ樹脂100wt%に基づき)と組み合わせることにより、得られた樹脂マトリックスが島型球状形態及び共連続形態を兼ね備え、二相分離を維持することができる。
【0033】
幾つかの実施例において、変性ポリエーテルイミドは、求核基変性修飾のポリエーテルイミド(Polyetherimide-Nucleophile modification;PEI-Nu)である。つまり、変性ポリエーテルイミドは、求核性化合物(nucleophile)とポリエーテルイミドとが反応することにより製造される。幾つかの実施例において、求核性化合物は、例えばヒドロキシ基(-OH)、スルフヒドリル基(-SH)、カルボキシル基(-COOH)及び/又はアミノ基(-NH)等の求核性官能基を有する化合物である。求核性官能基は、一般的に孤立電子を含有する官能基を指すことを理解されたい。幾つかの具体例において、ポリエーテルイミドは、RTP社製の品名がRTP 2100 LF等である市販の製品、Sigma-Aldrich社製の品名が700193、700207等である市販の製品、Ensinger社製の品名がTECAPEI等である市販の製品、Technoform社製の品名がPEI等である市販の製品であってよい。
【0034】
幾つかの実施例において、変性ポリエーテルイミドの合成方法は、まずポリエーテルイミドを約60℃のアセトンに分散させてから、求核性化合物を徐々に加えて約0.5~約18時間反応させることを含む。反応後に濾紙で濾過し、アセトンで繰り返して洗浄し、乾燥後に変性ポリエーテルイミドを得ることができる。
【0035】
幾つかの実施例において、アミン類硬化剤が有するアミノ基とエポキシ樹脂が有するエポキシ基との比は、約0.6~約1.3である。つまり、エポキシ樹脂のエポキシ基100%に基づき、樹脂マトリックス組成物に含まれるアミン類硬化剤は、約60%~約130%のアミノ基を有する。添加されるアミン類硬化剤が少な過ぎると、即ち、上記アミノ基とエポキシ基との比が約0.6よりも小さくなると、樹脂マトリックスが完全に硬化できず、逆に、添加されるアミン類硬化剤が多過ぎると、即ち、上記アミノ基とエポキシ基との比が約1.3よりも大きくなると、得られた樹脂マトリックスに欠陥があり、後の適用に不利である。幾つかの実施例において、アミン類硬化剤の種類としては、脂肪族アミン硬化剤、脂環式アミン類硬化剤、芳香族アミン類硬化剤、ジシアンジアミド(Dicyandiamide;DICY)硬化剤、ポリエーテルアミン硬化剤、ポリアミノアミド硬化剤、ポリアミン硬化剤、ポリアミド硬化剤又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0036】
幾つかの具体例において、脂肪族アミン硬化剤は、エチレンジアミン、オクチルアミン、1,3-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(ネオペンタンジアミン)、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ジ(3-アミノプロピル)アミン、N,N-ジ(3-アミノプロピル)メチルアミン、ジエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンポリアミン、2,2,4-トリメチルヘキサン-1,6-ジアミン、キシレンジアミン(xylenediamine)及びジ(アミノシクロヘキシル)メタンが含まれる。幾つかの具体例において、脂環式アミン類硬化剤は、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ジ(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ジ(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、2,2-ジ(4-アミノシクロヘキシル)プロパン及び3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン(イソホロンジアミン(isophoronediamine))が含まれる。
【0037】
幾つかの具体例において、芳香族アミン類硬化剤は、4-アミノジフェニルメタン、ジ(4-アミノフェニル)メタン、ベンジルアミン、m-キシリレンジアミン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4-ジアミノジフェニルスルホンを含む。幾つかの具体例において、ジシアンジアミド硬化剤は、DICY7(ジシアンジアミド、ジャパンエポキシレジン株式会社製)を含む。幾つかの具体例において、ポリエーテルアミンは、品名がJeffamine EDR-148、Jeffamine D-230、Jeffamine D-400又はJeffamine T-403等である市販の製品等のハンツマンケミカル社製のJeffamineシリーズを含む。幾つかの具体例において、ポリアミノアミド硬化剤は、脂肪族ポリアミン及び二量化又は三量化脂肪酸により製造されたポリアミノアミドを含む。
【0038】
幾つかの実施例において、樹脂マトリックス組成物は、適用の必要に応じて硬化促進剤を選択的に含んでよい。幾つかの実施例において、硬化促進剤は、アミン系硬化促進剤、グアナミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、ホスホニウム系硬化促進剤及びそれらの組み合わせが含まれる。幾つかの具体例において、アミン系硬化促進剤は、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene;DBU)等のアミン化合物、有機ジヒドラジド(品名AMICURE VDH-J、AMICURE UDH、AMICURE LDH、味の素ファインテクノ社製)、3級アミノ基を含む変性ポリアミン、尿素結合を含む変性ポリアミン及びイミダゾールを含む変性ポリアミンを含む。例として、3級アミノ基を含む変性ポリアミンは、例えばADEKA社製の品名がEH4380S、EH3616S、EH5001P、EH4375S等である市販の製品であってよく、イミダゾールを含む変性ポリアミンは、例えば味の素ファインテクノ社製の品名がPN-23、PN-H、PN-40である製品、ADEKA社製の品名がEH4346Sである製品、T&K TOKA社製の品名がFXR-1121、AIR PRODUCTSである製品、JAPAN(株)製の品名がSUNMIDE LH210等である市販の製品であってよく、尿素結合を含む変性ポリアミンは、例えばT&K TOKA社製の品名がFXR-1020、FXR-1081等である市販の製品であってよい。
【0039】
図1を参照されたく、図1は、本発明の幾つかの実施例による樹脂マトリックスの製造方法100を示すフローチャートである。上記樹脂マトリックス組成物は、樹脂マトリックスの製造方法100により樹脂マトリックスを製造し、プリプレグ及び炭素繊維複合材に適用してよい。まず、操作110を行い、約90℃~約130℃の温度で、エポキシ樹脂と変性ポリエーテルイミドとを混合して、第1の溶液を得る。混合温度が90℃より低い場合、エポキシ樹脂と変性ポリエーテルイミドの溶解度が良くないが、混合温度が130℃より高い場合、エポキシ樹脂におけるエポキシ基が開環反応するか又はエポキシ樹脂が酸化して劣化する問題を引き起こす可能性がある。幾つかの実施例において、まずエポキシ樹脂を溶解して予熱してよい。幾つかの実施例において、エポキシ樹脂100wt%に基づき、約0.5wt%~約20wt%の変性ポリエーテルイミドを添加する。幾つかの実施例において、変性ポリエーテルイミドは、エチレンジアミンとポリエーテルイミドが約60℃で約0.5時間~約18時間反応することにより製造される。
【0040】
続いて、操作120を行い、ポリスルホン類エンジニアリングプラスチックと第1の溶液を混合して、約100℃~約150℃の温度で混合して溶解し、第2の溶液を得る。混合温度が100℃より低い場合、ポリスルホン類エンジニアリングプラスチックと第1の溶液の混合効果が良くないが、混合温度が150℃より高い場合、エポキシ樹脂におけるエポキシ基が開環反応するか又はエポキシ樹脂が酸化して劣化する問題を引き起こす可能性がある。混合過程で透明で均一な第2の溶液を得るまで持続的に高速撹拌する必要があることに留意されたい。幾つかの実施例において、上記エポキシ樹脂100wt%に基づき、約0.5wt%~約30wt%のポリスルホン類エンジニアリングプラスチックを添加する。
【0041】
その後、操作130を行い、アミン類硬化剤を第2の溶液に添加して、樹脂マトリックスを得る。幾つかの実施例において、操作130を行う前に、選択的に第2の溶液を約90℃に降温させてよい。得られた樹脂マトリックスが均一に混合されるように、同じく高速撹拌する必要があることに留意されたい。続いて、樹脂マトリックスを型に注入し、約130℃~約230℃、好ましくは約130℃~約180℃の温度で硬化させてよい。
【0042】
上記のように、前述した樹脂マトリックスは、島相及び共連続相を同時に含み、幾つかの実施例において、島相の球状形態の平均粒径は約300nm~約2μmであり、共連続相のワーム状又は不規則形態の平均粒径は約500nm~約2μmである。島相の平均粒径のサイズが前述した範囲にあれば、樹脂マトリックスの曲げ強度に寄与し、且つ強靭化の効果に寄与し、共連続相の平均粒径のサイズが前述した範囲にあれば、後の炭素繊維含浸の適用性に寄与する。
【0043】
なお、上記方法により製造された樹脂マトリックスは、良好なレオメータ動粘度(rheometer dynamic viscosity)を有するため、後の強化繊維(例えば炭素繊維)プリプレグの加工含浸プロセスにとって有利である。炭素繊維に含浸加工を行った後に製造された炭素繊維複合材(例えば炭素繊維強化プラスチック(carbon fiber reinforced plastic;CFRP))は、物性が樹脂プリプレグの含浸効果と明らかに関連している。従って、樹脂マトリックスは繊維に十分に含浸させるために適切な粘度を有すると、複合材が好ましい物性を有することができる。
【0044】
本発明は、更に上記樹脂マトリックス組成物及び炭素繊維を含むプリプレグを提供する。幾つかの実施例において、炭素繊維は、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile;PAN)炭素繊維を含む。上記の樹脂マトリックス組成物で製造された樹脂マトリックスを炭素繊維材料に含浸させれば、プリプレグを得ることができる。また、炭素繊維複合材を製造するように、プリプレグにホットプレス成形プロセスを行ってよい。
【0045】
以下、複数の実施例を利用して本発明の適用を説明するが、それらは、本発明を限定するものではなく、当業者は、本発明の精神と範囲から逸脱しない限り、様々な変更や修飾を加えることができる。
合成例1
【0046】
60℃の温度で、50グラムのポリエーテルイミドをアセトンに加え、続いて定量注入ポンプを利用して0.25モル(14.95グラム)のエチレンジアミンを徐々に加え、0.5~18時間反応させた。反応済みの混合物を濾紙で濾過してから、アセトンで複数回洗浄した後に乾燥し、変性ポリエーテルイミドを製造した。エチレンジアミンが完全に反応しておらず残留することを避けるために、ブロモクレゾールグリーン(bromocresol green;BCG)により検証してよい。
樹脂マトリックス
実施例1
【0047】
三官能基性エポキシ樹脂であるトリグリシジルp-アミノフェノール(triglycidyl-p-aminophenol;TGPAP)をビーカーに溶解して予熱した。以下、添加される薬剤は、全てTGPAPの重量100wt%に基づくものである。まず、4.5wt%の上記合成例1の変性ポリエーテルイミド(PEI-Nu)を加え、90℃~130℃の温度でブレンドして溶解した。続いて、12wt%のポリエーテルスルホン(PES)を加え、100℃~150℃の温度で溶液が透明状態を呈するまで撹拌して溶解した。撹拌後の溶液を90℃に降温し、100wt%の4,4-ジアミノジフェニルスルホンを加えてアミン類硬化剤とし、180℃で4時間混合して撹拌し、エポキシ樹脂マトリックスを得た。実施例1の反応条件、曲げ試験、動的機械分析(Dynamic Mechanical Analysis;DMA)及び破壊靱性(KIC)の試験結果は、表1に示される。樹脂マトリックスの曲げ試験は、ASTM D790規格に基づき、DMA試験は、ASTM D5026規格に基づき、KIC試験は、ASTM D5045規格に基づく。
比較例1~3
【0048】
比較例1~3は、全て実施例1と類似するプロセスを利用した。相違点は、比較例1において熱可塑性のブレンドを行わず、即ち、4,4-ジアミノジフェニルスルホンでTGPAP硬化を直接行いこと、比較例2において14.94wt%のポリエーテルスルホンを添加したが、変性ポリエーテルイミドを添加しないこと、比較例3において14.94wt%の変性ポリエーテルイミドを添加したが、ポリエーテルスルホンを添加しないことにある。比較例1~3の反応条件、曲げ試験、DMA及び破壊靱性の試験結果は、表1に示される。
【0049】
【表1】
【0050】
表1に基づき、熱可塑性エンジニアリングプラスチックを完全に添加しない比較例1に比べ、実施例1、比較例2及び比較例3は、曲げ試験とDMA弾性率が何れも低下したが、KICが何れも上昇した。なお、弾性率が顕著且つ大幅に低下した比較例2に比べて、実施例1は弾性率の低下幅が大きくなく、KICが0.9に過ぎない比較例3に比べて、実施例1は比較例2とのKICの差が大きくない。つまり、実施例1において、ポリエーテルスルホン及び変性ポリエーテルイミドを添加することにより製造された樹脂マトリックスは、好ましい曲げ強度と靱性を同時に維持することができる。
炭素繊維複合材
【0051】
上記実施例1、比較例1及び比較例2の樹脂マトリックスを炭素繊維3K織物に含浸させた後、それぞれ0°引張強度、0°圧縮強度、層間せん断強度、面内せん断強度及び加工性等の試験を行った。複合材の引張強度試験は、ASTM D3039規格に基づき、複合材の圧縮強度試験は、ASTM D6641規格に基づき、複合材の層間せん断強度試験は、ASTM D2344規格に基づき、複合材の面内せん断強度試験は、ASTM D3518規格に基づく。強度試験結果は、下記表2に示される。
【0052】
【表2】
【0053】
以上の表2から分かるように、実施例1で含浸された炭素繊維プリプレグは、強度が高く、良好な複合材物性を有する。なお、その加工性試験によれば、実施例1の樹脂マトリックスは含浸温度で粘度が適度であるため、炭素繊維プリプレグの含浸が好適であり、これに対して、比較例1の樹脂マトリックスは含浸温度で粘度が非常に低く、オーバーフローが深刻であり、炭素繊維プリプレグの樹脂が不足し、且つ分布が不均一であり、比較例2の樹脂マトリックスは含浸温度で粘度が高いため、炭素繊維プリプレグの含浸が悪い。つまり、実施例1の樹脂マトリックスによって炭素繊維プリプレグに十分に含浸させたため、好ましい複合材物性を有することができる。
【0054】
上記実施例に基づき、本発明は、樹脂マトリックス組成物、プリプレグ、炭素繊維複合材及び樹脂マトリックスの製造方法を提供し、ポリスルホン類エンジニアリングプラスチック及び変性ポリエーテルイミドをエポキシ樹脂に添加することにより、同時に島相と共連続相の二相形態に分離する樹脂マトリックスを製造する。二相分離を示す樹脂マトリックスは、良好な曲げ強度と靱性を兼ね備え、且つ含浸粘度が適度であるため、炭素繊維に好適に含浸させて、プリプレグ及び炭素繊維複合材を製造する。
【0055】
本発明は、複数の実施例により前記のように開示されたが、実施例が本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本開示の精神と範囲から逸脱しない限り、様々な変更や修飾を加えることができる。従って、本発明の保護範囲は、下記特許請求の範囲で指定した内容を基準とするものである。
【符号の説明】
【0056】
100 方法
110、120、130 操作
図1