(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038993
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】レーダー信号処理方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/02 20060101AFI20240313BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20240313BHJP
【FI】
G01S7/02 218
G01S13/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130619
(22)【出願日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】10-2022-0114243
(32)【優先日】2022-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】崔 成▲ど▼
(72)【発明者】
【氏名】姜 承兌
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB17
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC12
5J070AC13
5J070AD06
5J070AD10
5J070AF03
5J070AF10
5J070AH12
5J070AH31
5J070AH35
5J070AK22
5J070BA01
5J070BF03
5J070BF11
5J070BF18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】レーダー信号処理方法等の提供
【解決手段】レーダーセンサの配列アンテナを介して受信されたレーダー信号から第1キャリア周波数の第1チャープシーケンス信号及び第2キャリア周波数の第2チャープシーケンス信号を抽出し、配列アンテナのアンテナ素子間の間隔による、第1チャープシーケンス信号の第1位相差と、第2チャープシーケンス信号の第2位相差と、を決定し、第1位相差に基づいて第1キャリア周波数による第1DOA周波数を決定し、第2位相差に基づいて第2キャリア周波数による第2DOA周波数を決定し、第1DOA周波数と第2DOA周波数との間の周波数の差に基づいて標的の予備的DOAを推定し、第1チャープシーケンス信号から測定された標的の非確定DOAから導き出された非確定数による一定周期の間隔を有する非確定DOA候補を決定し、予備的DOAに基づいて非確定DOA候補から標的の最終DOAを選択する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダーセンサの配列アンテナを介して受信されたレーダー信号から第1キャリア周波数の第1チャープシーケンス信号及び第2キャリア周波数の第2チャープシーケンス信号を抽出するステップと、
前記配列アンテナのアンテナ素子間の間隔による前記第1チャープシーケンス信号の第1位相差を決定するステップと、
前記配列アンテナの前記アンテナ素子間の間隔による前記第2チャープシーケンス信号の第2位相差を決定するステップと、
前記第1位相差に基づいて前記第1チャープシーケンス信号の前記第1キャリア周波数による第1DOA(direction of arrival)周波数を決定するステップと、
前記第2位相差に基づいて前記第2チャープシーケンス信号の前記第2キャリア周波数による第2DOA周波数を決定するステップと、
前記第1DOA周波数と前記第2DOA周波数との間の周波数の差に基づいて標的の予備的DOAを推定するステップと、
前記第1チャープシーケンス信号から測定された前記標的の非確定DOA(ambiguous DOA)から導き出された非確定数(ambiguity number)による一定周期の間隔を有する非確定DOA候補を決定するステップと、
前記予備的DOAに基づいて前記非確定DOA候補から前記標的の最終DOAを選択するステップと、
を含む、レーダー信号処理方法。
【請求項2】
前記最終DOAを選択するステップは、前記非確定DOA候補のうち前記予備的DOAに最も近いものを前記標的の最終DOAとして選択するステップを含む、請求項1に記載のレーダー信号処理方法。
【請求項3】
前記配列アンテナは、前記第1チャープシーケンス信号の第1半波長及び前記第2チャープシーケンス信号の第2半波長の少なくとも1つよりも広い間隔に配置された隣接アンテナ素子の対を含む、請求項1に記載のレーダー信号処理方法。
【請求項4】
前記隣接アンテナ素子の対は、高度角又は方位角の測定のための配置をとる、請求項3に記載のレーダー信号処理方法。
【請求項5】
前記間隔によって少なくとも一部のDOAスペクトルに発生したグレーティングローブが前記最終DOAの選択によって処理される、請求項3に記載のレーダー信号処理方法。
【請求項6】
前記予備的DOAと前記最終DOAとの間に存在する離散化誤差が前記最終DOAの選択によって処理される、請求項1に記載のレーダー信号処理方法。
【請求項7】
前記第1DOA周波数は、前記第1キャリア周波数の第1波長に依存的である、請求項1に記載のレーダー信号処理方法。
【請求項8】
前記予備的DOAを推定するステップは、前記第1DOA周波数と前記第2DOA周波数との間の前記周波数の差、光の速度、前記配列アンテナの前記アンテナ素子間の間隔、及び前記第1キャリア周波数と前記第2キャリア周波数との間の周波数の差に基づいて前記予備的DOAを推定するステップを含む、請求項1に記載のレーダー信号処理方法。
【請求項9】
前記非確定DOA候補は、前記非確定DOAに基づいて予め決定された数式又は予め決定された数値テーブルから導き出される、請求項1に記載のレーダー信号処理方法。
【請求項10】
前記レーダー信号は、前記第1キャリア周波数の第1チャープ成分及び前記第2キャリア周波数の第2チャープ成分を交互に含む、請求項1に記載のレーダー信号処理方法。
【請求項11】
ハードウェアと結合して、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の方法を実行させるためにコンピュータで読み出し可能な記録媒体に格納されたコンピュータプログラム。
【請求項12】
配列アンテナを介してレーダー信号を受信するレーダーセンサと、
前記レーダー信号から第1キャリア周波数の第1チャープシーケンス信号及び第2キャリア周波数の第2チャープシーケンス信号を抽出し、
前記配列アンテナのアンテナ素子間の間隔による前記第1チャープシーケンス信号の第1位相差を決定し、
前記配列アンテナの前記アンテナ素子間の間隔による前記第2チャープシーケンス信号の第2位相差を決定し、
前記第1位相差に基づいて前記第1チャープシーケンス信号の前記第1キャリア周波数による第1DOA周波数を決定し、
前記第2位相差に基づいて前記第2チャープシーケンス信号の前記第2キャリア周波数による第2DOA周波数を決定し、
前記第1DOA周波数と前記第2DOA周波数との間の周波数の差に基づいて標的の予備的DOAを推定し、
前記第1チャープシーケンス信号から測定された前記標的の非確定DOAから導き出された非確定数による一定周期の間隔を有する非確定DOA候補を決定し、
前記予備的DOAに基づいて前記非確定DOA候補から前記標的の最終DOAを選択する、プロセッサを含む、レーダー信号処理装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記非確定DOA候補のうち前記予備的DOAに最も近いものを前記標的の最終DOAとして選択する、請求項12に記載のレーダー信号処理装置。
【請求項14】
前記配列アンテナは、前記第1チャープシーケンス信号の第1半波長及び前記第2チャープシーケンス信号の第2半波長の少なくとも1つよりも広い間隔に配置された隣接アンテナ素子の対を含む、請求項12に記載のレーダー信号処理装置。
【請求項15】
前記隣接アンテナ素子の対は、高度角又は方位角の測定のための配置をとる、請求項14に記載のレーダー信号処理装置。
【請求項16】
前記間隔によって少なくとも一部のDOAスペクトルに発生したグレーティングローブが前記最終DOAの選択によって処理される、請求項12に記載のレーダー信号処理装置。
【請求項17】
前記予備的DOAと前記最終DOAとの間に存在する離散化誤差が前記最終DOAの選択によって処理される、請求項12に記載のレーダー信号処理装置。
【請求項18】
前記レーダー信号処理装置は車両である、請求項12に記載のレーダー信号処理装置。
【請求項19】
配列アンテナを介してレーダー信号を受信するレーダーセンサと、
前記レーダー信号から第1キャリア周波数の第1チャープシーケンス信号及び第2キャリア周波数の第2チャープシーケンス信号を抽出し、
前記配列アンテナのアンテナ素子間の間隔による前記第1チャープシーケンス信号の第1位相差を決定し、
前記配列アンテナの前記アンテナ素子間の間隔による前記第2チャープシーケンス信号の第2位相差を決定し、
前記第1位相差に基づいて前記第1チャープシーケンス信号の前記第1キャリア周波数による第1DOA周波数を決定し、
前記第2位相差に基づいて前記第2チャープシーケンス信号の前記第2キャリア周波数による第2DOA周波数を決定し、
前記第1DOA周波数と前記第2DOA周波数との間の周波数の差に基づいて標的の予備的DOAを推定し、
前記第1チャープシーケンス信号から測定された前記標的の非確定DOAから導き出された非確定数による一定周期の間隔を有する非確定DOA候補を決定し、
前記予備的DOAに基づいて前記非確定DOA候補から前記標的の最終DOAを選択する、プロセッサと、
前記最終DOAに基づいて車両を制御する制御システムを含む、車両。
【請求項20】
前記間隔によって少なくとも一部のDOAスペクトルに発生したグレーティングローブが前記最終DOAの選択によって処理され、
前記予備的DOAと前記最終DOAとの間に存在する離散化誤差が前記最終DOAの選択によって処理される、請求項19に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の以下の下実施形態は、レーダー信号処理方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先進運転支援システム(advanced driver assistance system、ADAS)は、車両の内部又は外部に搭載されているセンサを用いて運転者の安全と便宜を増進し、危険な状況を回避しようとする目的で運転を支援するシステムである。
【0003】
ADASで使用されるセンサは、カメラ、赤外線センサ、超音波センサ、LiDAR、及びレーダー(Radar)を含んでもよい。そのうち、レーダーは、光学基盤センサに比べて天気のような周囲の境の影響を受けることなく、車両周辺のオブジェクト(対象物)を安定的に測定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、レーダー信号処理方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、レーダー信号処理方法は、レーダーセンサの配列アンテナを介して受信されたレーダー信号から第1キャリア周波数の第1チャープシーケンス信号及び第2キャリア周波数の第2チャープシーケンス信号を抽出するステップと、前記配列アンテナのアンテナ素子間の間隔による前記第1チャープシーケンス信号の第1位相差を決定するステップと、前記配列アンテナの前記アンテナ素子間の間隔による前記第2チャープシーケンス信号の第2位相差を決定するステップと、前記第1位相差に基づいて前記第1チャープシーケンス信号の前記第1キャリア周波数による第1DOA(direction of arrival)周波数を決定するステップと、前記第2位相差に基づいて前記第2チャープシーケンス信号の前記第2キャリア周波数による第2DOA周波数を決定するステップと、前記第1DOA周波数と前記第2DOA周波数との間の周波数の差に基づいて標的の予備的DOAを推定するステップと、前記第1チャープシーケンス信号から測定された前記標的の非確定DOA(ambiguous DOA)から導き出された非確定数(ambiguity number)による一定周期の間隔を有する非確定DOA候補を決定するステップと、前記予備的DOAに基づいて前記非確定DOA候補から前記標的の最終DOAを選択するステップとを含む。
【0006】
一実施形態に係るレーダー信号処理装置は、配列アンテナを介してレーダー信号を受信するレーダーセンサと、前記レーダー信号から第1キャリア周波数の第1チャープシーケンス信号及び第2キャリア周波数の第2チャープシーケンス信号を抽出し、前記配列アンテナのアンテナ素子間の間隔による前記第1チャープシーケンス信号の第1位相差を決定し、前記配列アンテナの前記アンテナ素子間の間隔による前記第2チャープシーケンス信号の第2位相差を決定し、前記第1位相差に基づいて前記第1チャープシーケンス信号の前記第1キャリア周波数による第1DOA周波数を決定し、前記第2位相差に基づいて前記第2チャープシーケンス信号の前記第2キャリア周波数による第2DOA周波数を決定し、前記第1DOA周波数と前記第2DOA周波数との間の周波数の差に基づいて標的の予備的DOAを推定し、前記第1チャープシーケンス信号から測定された前記標的の非確定DOAから導き出された非確定数による一定周期の間隔を有する非確定DOA候補を決定し、前記予備的DOAに基づいて前記非確定DOA候補から前記標的の最終DOAを選択する、プロセッサを含む。
【0007】
一実施形態に係る車両は、配列アンテナを介してレーダー信号を受信するレーダーセンサと、前記レーダー信号から第1キャリア周波数の第1チャープシーケンス信号及び第2キャリア周波数の第2チャープシーケンス信号を抽出し、前記配列アンテナのアンテナ素子間の間隔による前記第1チャープシーケンス信号の第1位相差を決定し、前記配列アンテナの前記アンテナ素子間の間隔による前記第2チャープシーケンス信号の第2位相差を決定し、前記第1位相差に基づいて前記第1チャープシーケンス信号の前記第1キャリア周波数による第1DOA周波数を決定し、前記第2位相差に基づいて前記第2チャープシーケンス信号の前記第2キャリア周波数による第2DOA周波数を決定し、前記第1DOA周波数と前記第2DOA周波数との間の周波数の差に基づいて標的の予備的DOAを推定し、前記第1チャープシーケンス信号から測定された前記標的の非確定DOAから導き出された非確定数による一定周期の間隔を有する非確定DOA候補を決定し、前記予備的DOAに基づいて前記非確定DOA候補から前記標的の最終DOAを選択する、プロセッサと、前記最終DOAに基づいて車両を制御する制御システムを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、レーダー信号処理方法及び装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係るレーダー信号処理方法によって周囲の環境を認識する過程を示す。
【
図2】一実施形態に係るレーダー信号処理装置の構成を示す。
【
図3】一実施形態に係るレーダーセンサの構成を示す。
【
図4】一実施形態に係るTDMによるチャープの繰り返し周期の変化を示す。
【
図5】一実施形態に係る配列アンテナ内のアンテナ素子の例示的な配置を示す。
【
図6】グレーティングローブのないDOAスペクトルの例示を示し、
【
図7】グレーティングローブを有するDOAスペクトルの例示を示す。
【
図8】一実施形態に係るレーダーセンサの受信アンテナ配列を示す。
【
図9】一実施形態に係る複数のチャープシーケンスを利用したレーダー信号処理動作を示す。
【
図10】一実施形態に係る非確定DOA候補から最終DOAを導き出す過程を示す。
【
図11】一実施形態に係る実際のDOA、最終DOA、及び予備的DOAの分布を示す。
【
図12】一実施形態に係るレーダー信号処理動作を示すフローチャートである。
【
図13】一実施形態に係る電子装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態に対する特定な構造的又は機能的な説明は、単なる例示のための目的として開示されたものであって、様々な形態に変更されることができる。したがって、実施形態は、特定な開示形態に限定されるものではなく、本明細書の範囲は技術的な思想に含まれる変更、均等物ないし代替物を含む。
【0011】
第1又は第2などの用語を複数の構成要素を説明するために用いることがあるが、このような用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ解釈されなければならない。例えば、第1構成要素は第2構成要素と命名することができ、同様に、第2構成要素は第1構成要素にも命名することができる。
【0012】
いずれかの構成要素が他の構成要素に「連結」されているか「接続」されていると言及されたときには、その他の構成要素に直接的に連結されているか又は接続されているが、中間に他の構成要素が存在し得るものと理解されなければならない。
【0013】
単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は、明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0014】
また、実施形態の構成要素を説明することにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。これらの用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語によって当該の構成要素の本質や順番、又は順序などが限定されない。
【0015】
異なるように定義されない限り、技術的又は科学的な用語を含んで、本明細書で用いる全ての用語は、本実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈されなければならず、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0016】
以下、添付する図面を参照しながら実施形態を詳細に説明する。図面を参照して説明する際に、図面符号に拘わらず同じ構成要素は同じ参照符号を付与し、これに対する重複する説明は省略する。
【0017】
図1は、一実施形態に係るレーダー信号処理方法によって周囲環境を認識する過程を示す。
図1を参照すると、レーダー信号処理装置110は、レーダーセンサ111で受信されたレーダー信号を分析して前方の標的(target)180に関する情報(例えば、距離(range)、速度(velocity)、方向(direction)など)を検出することができる。レーダーセンサ111は、レーダー信号処理装置110の内部又は外部に位置し、レーダー信号処理装置110は、レーダーセンサ111から受信されたレーダー信号だけでなく、他のセンサ(例えば、イメージセンサなど)で収集されたデータを共に考慮して前方の標的180に関する情報を検出してもよい。レーダーデータ処理の分解能は、ハードウェアの側面における分解能性能(resolving power performance)及びソフトウェアの側面における分解能性能とに区分されるが、以下では、主にソフトウェアの側面における分解能性能の改善について説明する。
【0018】
参考として、本明細書で分解能は、極めて小さい差を分別できる機器の能力、例えば、最小の単位分別力として、「分解能=(分別可能な最小の目盛り単位)/(全体動作範囲)」に示すことができる。機器の分解能数値が小さいほど該当機器によって精密な(精度の高い)結果が出力され得る。分解能数値は、分解能単位に示してもよい。例えば、機器の分解能数値が小さければ、機器はより小さい単位を分別できるため、より増加した解像度を有する精密度の向上した結果を出力することができる。反対に、機器の分解能数値が大きければ、機器は小さい単位を分別できなくなるため、より減少した解像度を有する精密度が低下した結果を出力する。
【0019】
一実施形態によれば、レーダー信号処理装置110は、
図1に示すように車両に搭載されてもよい。車両は、レーダー信号処理装置110によって検出された標的180までの距離に基づいて、アダプティブ・クルーズ・コントロール(Adaptive Cruise Control、ACC)、自動緊急ブレーキ(Autonomous Emergency Braking、AEB)、死角検出警報(Blind Spot Detection、BSD)、車線変更アシスト(Lane Change Assistance、LCA)などを行ってもよい。さらに、レーダー信号処理装置110は、距離検出の他にも周辺マップ130を生成してもよい。周辺マップ130は、標的180のようにレーダー信号処理装置110の周辺に存在する様々な標的の位置を示すマップとして、周辺の標的は車両及び人のような動的オブジェクトであってもよく、ガードレール及び信号機のように背景に存在する静的オブジェクトであってもよい。
【0020】
周辺マップ130を生成するための方法として、単一スキャンイメージ方法が使用されてもよい。レーダー信号処理装置110がセンサから単一スキャンイメージ120を取得し、取得された単一スキャンイメージ120から周辺マップ130を生成することが単一スキャンイメージの方法である。単一スキャンイメージ120は、単一レーダーセンサ111によって検出されたレーダー信号から生成されたイメージとして、任意の高度角(elevation angle:仰角)から受信されたレーダー信号が指示する距離を比較的に高い分解能で示すことができる。例えば、
図1に示された単一スキャンイメージ120において、横軸はレーダーセンサ111のステアリング角度を示し、縦軸はレーダーセンサ111から標的180までの距離を示す。但し、単一スキャンイメージの形態を
図1に示すものに限定されず、設計に応じて他のフォーマットに表現されてもよい。
【0021】
ステアリング角度は、レーダー信号処理装置110から標的180に向かうターゲット方向に対応する角度を示す。例えば、ステアリング角度は、レーダー信号処理装置110(又は、レーダー処理装置110を含む車両)の進行方向とターゲット方向との間の角度であってもよい。参考として、本明細書でステアリング角度は、主に水平角を基準にして説明したが、これに限定されることはない。例えば、ステアリング角度は、高度角について適用されてもよい。
【0022】
一実施形態によれば、レーダー信号処理装置110は、多重レーダーマップを介して標的180の形状に関する情報を取得してもよい。多重レーダーマップは、複数のレーダースキャンイメージの結合から生成してもよい。例えば、レーダー信号処理装置110は、レーダーセンサ111の移動により取得されるレーダースキャンイメージを時空間的に結合することで周辺マップ130を生成し得る。周辺マップ130はレーダーイメージマップの一種であってもよく、パイロット駐車(pilot parking)などに使用されてもよい。
【0023】
一実施形態によれば、レーダー信号処理装置110は、周辺マップ130を生成するために到来角(direction of arrival、DOA)情報を活用することができる。DOA情報は、標的から反射したレーダー信号が受信された方向を指示する情報を意味する。レーダー信号処理装置110は、上述したDOA情報を用いてレーダーセンサ111を基準にして標的が存在する方向を識別することができる。したがって、このようなDOA情報は、レーダースキャンデータ及び周辺マップを生成するために使用され得る。
【0024】
一実施形態によれば、レーダー信号処理装置110によって生成された標的180に関する距離、速度、DOA、マップ情報などのレーダー情報は、レーダー信号処理装置110が装着された車両を制御するために使用されてもよい。例えば、車両の制御は、ACC、AEB、BSD、LCAのような車両の速度、操向制御を含んでもよい。車両の制御システムは、レーダー情報を直接/間接的に用いて車両を制御することができる。例えば、いずれかの標的のドップラー速度が測定された場合、制御システムは該当標的に従うように車両を加速したり、あるいは該当標的との衝突を防止するために車両をブレーキしてもよい。
【0025】
図2は、一実施形態に係るレーダー信号処理装置の構成を示す。
図2を参照すると、レーダー信号処理装置200は、レーダーセンサ210及びプロセッサ220を含む。レーダーセンサ210は、レーダー信号をレーダーセンサ210の外部に放射し、放射されたレーダー信号が標的によって反射された信号を受信してもよい。放射されたレーダー信号はレーダー送信信号として称されてもよく、受信された信号はレーダー受信信号として称されてもよい。レーダー送信信号は、周波数変調モデルに基づいてキャリア周波数が変調したチャープ(chirp)信号を含んでもよい。レーダー送信信号の周波数は、予め決定された帯域内で変わり得る。例えば、レーダー送信信号の周波数は、予め決定された帯域内で線型的に変わり得る。
【0026】
レーダーセンサ210は配列(アレイ)アンテナを含み、配列アンテナを介してレーダー送信信号を送信し、レーダー受信信号を受信することができる。配列アンテナは。複数のアンテナ素子を含んでもよい。一実施形態によれば、複数のアンテナ素子を介して多重入出力(multiple input multiple output、MIMO)が具現化される。ここで、複数のアンテナ素子によって複数のMIMOチャネルが形成され得る。例えば、M個の送信アンテナ素子及びN個の受信アンテナ素子を介してM×N個の仮想アンテナに対応する複数のチャネルを形成してもよい。ここで、各チャネルを介して受信されたレーダー受信信号は、受信方向によって異なる位相を有してもよい。
【0027】
レーダー送信信号及びレーダー受信信号に基づいてレーダーデータが生成されることができる。例えば、レーダーセンサ210は、周波数変調モデルに基づいて配列アンテナを介してレーダー送信信号を送信し、レーダー送信信号が標的によって反射されれば、配列アンテナを介してレーダー受信信号を受信し、レーダー送信信号及びレーダー受信信号に基づいて中間周波数(intermediate frequency、IF)信号を生成することができる。中間周波数信号は、レーダー送信信号の周波数とレーダー受信信号の周波数との間の差に対応する周波数を有してもよい。プロセッサ220は、中間周波数信号に関するサンプリング動作を行い、サンプリング結果を介してレーダーデータを生成することができる。レーダーデータは、中間周波数の生データ(raw data)に該当する。
【0028】
プロセッサ220は、レーダーデータに基づいて標的に関する情報を生成し、これを使用することができる。例えば、プロセッサ220は、レーダーデータに基づいて距離FFT(range FFT(fast Fourier transform))、ドップラーFFT(Doppler FFT)、CFAR(constant false alarm rate detection)、DOA推定などを行い、距離、速度、方向などの標的に関する情報を取得し得る。このような標的に関する情報は、ACC、AEB、BSD、LCAのような様々な応用のために提供されることができる。
【0029】
図3は、一実施形態に係るレーダーセンサの構成を示す。
図3を参照すると、レーダーセンサ310は、チャープ送信器(chirp transmitter)311、デュプレクサ312、アンテナ313、周波数ミキサ314、増幅器315、及びレーダー信号プロセッサ316を含む。レーダー信号プロセッサ316は、
図2のプロセッサ220に対応する。この場合、レーダー信号プロセッサ316は、プロセッサ220のようにレーダーセンサ310の外部に配置されてもよい。レーダーセンサ310は、アンテナ313を介して信号を放射し、アンテナ313を介して信号を受信してもよい。
図3にアンテナ313は1つであるように図示したが、アンテナ313は、少なくとも1つの送信アンテナ素子及び少なくとも1つの受信アンテナを含んでもよい。例えば、アンテナ313は配列アンテナに該当する。一例として、アンテナ313は、3つ以上の受信アンテナ素子を含んでもよい。ここで、受信アンテナ素子は同じ間隔で離隔されてもよい。
【0030】
レーダーセンサ310は、例えば、mmWaveレーダーであってもよく、放射された電気波が標的に反射して戻ってくる時間であるToF(time of flight)とレーダー信号の波形の変化を分析して標的までの距離を測定することができる。参考として、mmWaveレーダーは、カメラをはじめとする光学基盤センサに比べて、霧、雨などの外部環境の変化に関係なく、前方を検出することができる。また、mmWaveレーダーは、LiDARに比べてコスト対比その性能が優れるため、上述したカメラの短所を補完できるセンサのうちの1つである。例えば、レーダーセンサ310は、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)レーダーに実現されることができる。FMCWレーダーは、外部ノイズに強靭な特性を有する。
【0031】
チャープ送信器311は、時間により周波数が変わる、周波数変調信号(FM signal)302を生成する。例えば、チャープ送信器311は、周波数変調モデル301の周波数変調特性に応じて周波数変調することで、周波数変調信号302を生成することができる。周波数変調信号302はチャープ信号に示してもよい。本明細書で周波数変調モデル301は、任意のレーダー送信信号において、与えられた送信時間の間のキャリア周波数の変化を指示するモデルを示す。周波数変調モデル301の縦軸はキャリア周波数、横軸は時間を示す。例えば、周波数変調モデル301は、キャリア周波数を線型的に変化(例えば、線型的な増加、又は、線型的な減少)させる周波数変調特性を有してもよい。異なる例として、周波数変調モデル301は、キャリア周波数を非線形に変化させる周波数変調特性を有してもよい。
【0032】
図3の周波数変調モデル301は、時間に応じて周波数を線型的に増加させる周波数変調特性を有するものと図示されている。チャープ送信器311は、周波数変調モデル301によるキャリア周波数を有する周波数変調信号302を生成する。例えば、
図3に示すように、周波数変調信号302は、一部の区間では徐々にキャリア周波数が増加する波形を示し、残りの区間では徐々にキャリア周波数が減少する波形を示す。
【0033】
一実施形態によれば、チャープ送信器311は、複数の周波数変調モデル301,303を用いて周波数変調信号302を生成することができる。例えば、チャープ送信器311は、周波数変調モデル301と周波数変調モデル303を交互に用いて周波数変調信号302を生成してもよい。この場合、周波数変調信号302は、周波数変調モデル301によるチャープシーケンス信号区間と周波数変調モデル303によるチャープシーケンス信号区間を交互に含んでもよい。周波数変調モデル301のチャープと周波数変調モデル303のチャープとの間には差値fshiftだけの周波数の差がある。
【0034】
チャープ送信器311は、周波数変調信号302をデュプレクサ312に伝達する。デュプレクサ312は、アンテナ313を通した信号の送信経路及び受信経路を決定することができる。例えば、レーダーセンサ310が周波数変調信号302を放射する間、デュプレクサ312は、チャープ送信器311からアンテナ313までの信号経路を形成し、形成された信号経路を介して周波数変調信号302をアンテナ313に伝達した後に外部に放射することができる。レーダーセンサ310が標的から反射された信号を受信する間に、デュプレクサ312は、アンテナ313からレーダー信号プロセッサ316までの信号経路を形成してもよい。アンテナ313は、放射された信号が障害物に到達した後に反射して戻ってくる受信信号を受信し、レーダーセンサ310は、アンテナ313からレーダー信号プロセッサ316までの信号経路を介して受信信号をレーダー信号プロセッサ316に伝達することができる。アンテナ313を介して放射される信号をレーダー送信信号、アンテナ313を介して受信される信号をレーダー受信信号に示す。
【0035】
周波数ミキサ314は、標的から反射して受信されたレーダー受信信号の周波数308とレーダー送信信号の周波数307とを比較する。参考として、レーダー送信信号の周波数307は、周波数変調モデル301によって指示されるキャリア周波数変化に応じて変化してもよい。周波数ミキサ314は、レーダー受信信号の周波数308とレーダー送信信号の周波数307との間の周波数の差に該当するビット周波数を検出することができる。レーダー送信信とレーダー受信信号との間の周波数の差は、
図3に示されたグラフ309において、周波数変調モデル301でキャリア周波数が時間軸に沿って線型的に増加する区間の間の一定の差を示し、レーダーセンサ310及び標的間の距離に比例する。したがって、レーダーセンサ310及び標的間の距離は、レーダー送信信号とレーダー受信信号との間の周波数の差から導き出される。周波数ミキサ314を介して検出されたビット周波数信号は、増幅器315を経てレーダー信号プロセッサ316に伝達される。
【0036】
ビット周波数信号は、下記の数式(1)のように示す。
【0037】
【0038】
数式(1)において、αは経路損失減衰(path loss attenuation)、φ0は位相オフセット、fcはキャリア周波数、tdは往復遅延(round-trip delay)、Bは送信されたチャープのスイープ帯域幅(sweep bandwidth)、Tcはチャープデュレーションを示す。φ0はDC定数(direct current constant)値であってもよい。Tcはグラフ309のTchirpと同じ値を示す。
【0039】
一実施形態によれば、複数のレーダーセンサが車両の様々な部位に設けられてもよく、複数のレーダーセンサによって検出された情報に基づいてレーダー信号処理装置が車両の全方向に対する標的までの距離、方向、及び相対速度を算出することができる。レーダー信号処理装置は、車両に搭載され、算出された情報を用いて走行に役立つ様々な機能(例えば、ACC、AEB、BSD、LCAなど)を提供することができる。
【0040】
複数のレーダーセンサのそれぞれは、周波数変調モデルに基づいて周波数変調したチャープ信号を含むレーダー送信信号を外部に放射し、標的から反射した信号を受信してもよい。レーダー信号処理装置のプロセッサは、放射されたレーダー送信信号と受信されたレーダー受信信号との間の周波数の差から、複数のレーダーセンサそれぞれから標的までの距離を決定し得る。また、レーダーセンサ310が複数のチャネルから構成される場合、レーダー信号処理装置のプロセッサは、レーダーデータの位相情報を用いて標的から反射したレーダー受信信号のDOAを導き出すことができる。
【0041】
レーダーセンサ310は、様々な応用の広い視野角(Field of View、FoV)及び高解像度(High Resolution、HR)の要求に合わせて広い帯域幅を用いてMIMO方式を採択することができる。広い帯域幅を介して距離解像度が増加し、MIMO方式を介して角度解像度が増加する。距離解像度は、標的に関する距離情報をどれほど小さい単位で分別できるかを示し、角度解像度は、標的に関するDOA情報をどれほど小さい単位で分別できるかを示す。例えば、レーダーセンサ210は、200MHz、500MHz、1GHzのような狭帯域の代わりに、4GHz、5GHz、7GHzのような広帯域を使用することができる。
【0042】
MIMO方式が使用される場合、各チャネルの信号が互いに区分される必要があり、信号区分にTDM(time division multiplexing)、FDM(frequency division multiplexing)、CDM(code division multiplexing)などを用いてもよい。一実施形態によれば、レーダーセンサ310は、TDMを介してMIMOによる各送信アンテナの送信信号を区分してもよい。TDMによれば、送信アンテナが交互に送信信号を送信しなければならないため、各送信信号でキャリア周波数の上昇区間の時間の長さ、言い換えれば、チャープの繰り返し周期(repetition period)が長くなる。これは、確定的に測定可能なドップラーの速度及び/又はドップラー周波数の範囲の減少を招く。
【0043】
図4は、一実施形態に係るTDMによるチャープの繰り返し周期の変化を示す。
図4を参照すると、チャープシーケンス410は、第1サブチャープシーケンス411及び第2サブチャープシーケンス412を含む。例えば、第1サブチャープシーケンス411は、MIMO配列アンテナの第1送信アンテナ素子の送信信号に適用され、第2サブチャープシーケンス412は、第2送信アンテナ素子の送信信号に適用されてもよい。
図4において、T
Cは第1サブチャープシーケンス411のチャープデュレーション(chirp duration)を示し、T
rは第1サブチャープシーケンス411の繰り返し周期を示す。
【0044】
チャープシーケンス波形を利用した方式で測定可能なドップラー速度の範囲は、チャープの繰り返し周期によって制限される。測定可能なドップラー周波数の最大値は、下記の数式(2)のように示す。
【0045】
【0046】
数式(2)において、fD、maxは確定的に測定可能なドップラー周波数の最大値を示す。確定的に測定可能なドップラー周波数の最大範囲は-fD、max~fD、maxに示す。数式(2)に示すようにfD、maxはTrに依存的である。ドップラー速度とドップラー周波数との間の関係を示す下記の数式(3)によれば、下記の数式(4)が導き出される。
【0047】
【0048】
【0049】
数式(3)において、fDはドップラー周波数、λは波長、vはドップラー速度を示す。数式(4)において、vD、maxは確定的に測定可能なドップラー速度の最大値を示す。確定的に測定可能なドップラー速度の最大範囲は-vD、max~vD、maxに示す。最大値が有する意味に応じて、数式(2)及び数式(3)を介して数式(4)を導き出す過程で符号は省略されてもよい。また、ドップラー速度とドップラー周波数は、数式(3)を介して変換され得るため、ドップラーの速度及びドップラー周波数のいずれか1つに関する説明は、許容される範囲で残りの1つにも適用されてもよい。
【0050】
もし、レーダー送信信号が第1サブチャープシーケンス411のみを利用すれば、レーダー送信信号のチャープの繰り返し周期はTCである。これとは異なり、レーダー送信信号がTDMの実現のために第1サブチャープシーケンス411及び第2サブチャープシーケンス412を全て利用すれば、レーダー送信信号のチャープの繰り返し周期はTrである。この場合、チャープの繰り返し周期の増加によって確定的に測定可能なドップラー速度の範囲は減少し得る。例えば、TrがTCの2倍である場合、ドップラー速度の測定可能な範囲は1/2に減少する。
【0051】
図5は、一実施形態に係る配列アンテナ内のアンテナ素子の例示的な配置を示す。ドップラー非確定性(Doppler ambiguity)は、エイリアシング効果(aliasing effect)に基づく。これと類似して、アンテナ素子の配置によりエイリアシング効果が発生し得る。エイリアシング効果は、DOA非確定性及びグレーティングローブ(grating lobe)を誘発し得る。
【0052】
図5を参照すると、配列アンテナ500は、アンテナ素子A_TX1、A_TX2、E_TX1、E_TX2を含んでもよい。例えば、アンテナ素子A_TX1、A_TX2は、方位角を測定するための送信アンテナ素子に該当し、アンテナ素子E_TX1、E_TX2は、高度角又は方位角を測定するための受信アンテナ素子に該当する。
図5には図示していないが、配列アンテナ500は、方位角を測定するための受信アンテナ素子、高度角を測定するための受信アンテナ素子のような、追加的なアンテナ素子をさらに含んでもよい。
【0053】
アンテナ素子A_TX1、A_TX2は、間隔A_gだけ離隔して配置され、アンテナ素子E_TX1、E_TX2は、間隔E_gだけ離隔して配置されてもよい。間隔A_g、E_gの少なくとも一部は、キャリア周波数の半波長(half-wavelength)よりも広くてもよい。例えば、配列アンテナ500は、一定の条件が満たされる非均一配列(non-uniform array)に該当し、アンテナ素子A_TX1、A_TX2は、方位角方向のアンテナ素子のうち最も近く配置された隣接アンテナ素子の対に該当し、アンテナ素子E_TX1、E_TX2は、高度角方向のアンテナ素子のうち最も近く配置された隣接アンテナ素子の対に該当する。ここで、間隔A_g、E_gの少なくとも一部がキャリア周波数の半波長よりも広くてもよく、このような配列アンテナ500の配置により、DOAスペクトルにエイリアシング現像によるグレーティングローブが発生し得る。
【0054】
最近、先進運転支援システム(advanced driver assistance system、ADAS)や自律走行(autonomous driving、AD)のような応用分野で高度角の方向のDOA測定に対する要求がある。但し、高度角方向に比べて方位角方向により多くの情報があり、アンテナ素子が方位角方向にさらに細かく配置されてもよい。そのため、高度角方向のアンテナ素子間の間隔が広がり、高度角方向のDOAスペクトルにグレーティングローブが発生し得る。グレーティングローブは、DOA推定の正確度を低下させ、標的のDOA推定結果に深刻なエラーを招く。例えば、自律走行時に上段の信号機が正面にあるものと誤認し、車両を緊急にブレーキするという結果を招く。
【0055】
図6は、グレーティングローブのないDOAスペクトルの例示を示し、
図7は、グレーティングローブを有するDOAスペクトルの例示を示す。例えば、
図6のDOAスペクトル600は、方位角方向のアンテナ素子によって測定されたアンテナ信号から導き出され、
図7のDOAスペクトル700は、高度角方向のアンテナ素子によって測定されたアンテナ信号から導き出されてもよい。ここで、方位角方向のアンテナ素子は、キャリア周波数の半波長よりも狭い間隔に配置されてもよい。高度角方向のアンテナ素子は、キャリア周波数の半波長よりも広い間隔に配置された少なくとも1つの隣接アンテナ素子の対を含んでもよい。
【0056】
図8は、一実施形態に係るレーダーセンサの受信アンテナ配列を示す。上の数式(1)のビット周波数信号の往復遅延成分をさらに細部的に分析すれば、下記の数式(5)が導き出される。
【0057】
【0058】
数式(5)において、Rはアンテナ素子と標的との間の距離、R0はレーダーセンサと標的との間の距離、Rθはレーダーセンサのアンテナ素子間の間隔による追加距離、cは光の速度、dはアンテナ素子間の間隔を示す。数式(5)によれば、往復遅延成分は距離成分td、0とDOA成分td、θに分解される。数式(1)は、往復遅延成分の距離成分td、0とDOA成分td、θに基づいて下記の数式(6)のように示す。
【0059】
【0060】
各アンテナ素子ごとにビット周波数信号の周波数分析(例えば、フーリエ変換)を介してΦt(td、0)成分を検出して標的までの距離が導き出すことができる。アンテナ素子間の位相変化からΦ0成分の3番目ターム(第3項)(2πfctd、θ)を検出してDOAを推定できる。
【0061】
レーダーデータの位相情報は、レーダーセンサが複数の受信チャネルを含んでいる場合、各受信チャネルを介して受信された信号が有する位相と基準位相との間の位相差を示す。基準位相は任意の位相であってもよく、複数の受信チャネルのいずれか1つの受信チャネルの位相として設定されてもよい。例えば、レーダー信号処理装置は、いずれか1つの受信アンテナ素子に対して、該当受信アンテナ素子に隣接した受信アンテナ素子の位相を基準位相に設定してもよい。
【0062】
また、レーダー信号処理装置は、レーダーデータからレーダーセンサの受信チャネル個数に対応する次元のレーダーベクトルを生成することができる。例えば、4個の受信チャネルが含まれたレーダーセンサの場合、レーダー信号処理装置は、各受信チャネルに対応する位相値を含む4次元のレーダーベクトルを生成してもよい。各受信チャネルに対応する位相値は、上述した位相差を示す数値である。
【0063】
図8は、レーダーセンサの受信アンテナ配列810が第1受信アンテナ素子811、第2受信アンテナ素子812、第3受信アンテナ素子813、及び第4受信アンテナ素子814を含む例示を示す。いずれかの送信アンテナ素子を介して放射されたレーダー信号は標的によって反射した後、4個の受信アンテナ素子811~814を介して受信される。第1受信アンテナ素子811で受信される信号の位相が基準位相として設定されてもよい。同じ標的によって反射したレーダー反射信号808が受信アンテナ配列810で受信されるとき、標的から第1受信アンテナ素子811までの距離と、標的から第2受信アンテナ素子812までの距離との間の追加距離△は下記の数式(7)のように示す。
【0064】
【0065】
数式(7)において、θは標的からレーダー反射信号808が受信されるDOA、dは受信アンテナ素子811~814間の間隔を示す。ここで、位相差は下記の数式(8)のように示す。
【0066】
【0067】
数式(8)において、Φd、θ(n)はn番目のアンテナ素子の中間周波数のうちDOAによる位相差、cは光の速度を示す。数式(8)は、均一線型配列(uniform linear array)に適用されてもよい。非均一配列の場合、アンテナ素子の位置に応じてn値が調整され得る。数式(8)は下記の数式(9)のように示す。
【0068】
【0069】
数式(9)において、λはキャリア周波数の波長を示す。半波長は2/λに示す。数式(9)によれば、d>(2/λ)である場合、アンテナ素子間の位相差を示すΦd、θ(n)とDOAを示すθの間に1対1の関係でない1対多の関係が形成され、DOAスペクトルにエイリアシング効果によるグレーティングローブが発生する。
【0070】
図9は、一実施形態に係る複数のチャープシーケンスを利用したレーダー信号処理動作を示す。レーダー信号処理装置は、様々なキャリア周波数のレーダー信号を用いて前述したエイリアシング効果及びグレーティングローブを回避することができる。
図9を参照すると、チャープシーケンス910は、第1サブチャープシーケンス911及び第2サブチャープシーケンス912を含んでいる。第1サブチャープシーケンス911は第1キャリア周波数f
c1に基づき、第2サブチャープシーケンス912は第2キャリア周波数f
c2に基づいてもよい。チャープシーケンス910は、第1キャリア周波数f
c1に基づいた第1チャープ成分及び第2キャリア周波数f
c2に基づいた第2チャープ成分を交互に含むことができる。
【0071】
レーダーセンサの配列アンテナを介してレーダー信号が受信され、レーダー信号は、チャープシーケンス910による周波数特性を有することができる。例えば、チャープシーケンス910によるレーダー信号は、配列アンテナのいずれか1つの送信アンテナ素子を介して送信された送信信号が標的によって反射され、配列アンテナのいずれか1つの受信アンテナ素子を介して受信されたものである。レーダー信号は、第1キャリア周波数fc1の第1チャープシーケンス信号及び第2キャリア周波数fc2の第2チャープシーケンス信号を含んでもよい。第1チャープシーケンス信号は第1サブチャープシーケンス911に対応し、第2チャープシーケンス信号は第2サブチャープシーケンス912に対応する。レーダー信号は、第1キャリア周波数fc1の第1チャープ成分及び第2キャリア周波数fc2の第2チャープ成分を交互に含むことができる。
【0072】
レーダー信号処理装置は、第1チャープシーケンス信号に対する第1周波数変換921を行って第1距離ドップラーマップ(range-Doppler map)930を生成することができる。例えば、第1周波数変換921は、距離基準の第1フーリエ変換及びドップラー周波数基準の第2フーリエ変換を含む2次元フーリエ変換である。ここで、第1フーリエ変換は距離FFTであってもよく、第2フーリエ変換はドップラーFFTであってもよく、2次元フーリエ変換は2次元FFTであってもよい。レーダー信号処理装置は、第1チャープシーケンス信号に基づいて距離FFTを行い、距離FFTの結果に基づいてドップラーFFTを行うことができる。
【0073】
レーダー信号処理装置は、第1距離ドップラーマップ930で標的セル931~933を検出することができる。例えば、レーダー信号処理装置は、第1距離ドップラーマップ930に関するCFARを介して標的セル931~933を検出してもよい。CFARは、閾値設定(thresholding)基盤の検出方式である。以下、標的セル931~933のうち、第1標的セル931に対応する第1標的のドップラー速度を決定する動作について説明するが、このような動作は、他の標的セル932及び933の標的にも適用されてもよい。
【0074】
レーダー信号処理装置は、第1標的セル931に対応するレーダー信号のレーダーデータを用いてDOA推定動作を行うことができる。レーダー信号処理装置は、第1チャープシーケンス信号に基づいたDOA推定動作によって第1標的の第1非確定DOA(ambiguous DOA)を推定し得る。例えば、DOA推定動作は、知られたレーダー信号処理方式により実行されてもよい。第1非確定DOAは、エイリアシング効果による非確定性を有してもよい。レーダー信号処理装置は、配列アンテナのアンテナ素子間の間隔による第1チャープシーケンス信号の第1位相差を決定し、配列アンテナのアンテナ素子間の間隔による第2チャープシーケンス信号の第2位相差を決定する。各位相差は数式(8)及び/又は数式(9)に基づいて決定されてもよい。n、d、fc、c、λは既知の値(known value)であり、θで第1非確定DOAを用いてもよい。ここで、アンテナ素子間の間隔はd又はn*dを意味する。
【0075】
レーダー信号処理装置は、第1位相差を用いて第1チャープシーケンス信号の第1キャリア周波数fc1による第1DOA周波数を決定し、第2位相差を用いて第2チャープシーケンス信号の第2キャリア周波数fc2による第2DOA周波数を決定してもよい。レーダー信号処理装置は、第1DOA周波数と第2DOA周波数との間の周波数の差を決定する。周波数の差は下記の数式(10)を介して決定されてもよい。
【0076】
【0077】
数式(10)において、Δfθは周波数の差を示し、fθ1、ambは第1DOA周波数を示し、fθ2、ambは第2DOA周波数を示す。DOA周波数は、DOAを周波数で換算した値である。上記の数式(9)は、下記の数式(11)のように示し、右辺がDOA周波数に該当する。数式(10)及び数式(11)において、θは実際のDOA、言い換えれば、θGTに仮定することができる。これによって、fθ1、amb及びfθ2、ambは非確定性を有する。数式(10)において、λ1は第1キャリア周波数fc1による波長、λ2は第2キャリア周波数fc2による波長を示す。
【0078】
【0079】
第1DOA周波数及び第2DOA周波数は、数式(11)の左辺にアンテナ素子識別子n及び位相差Φd、θ(n)を代入して導き出すことができる。各DOA周波数は、各キャリア周波数の波長に依存的であってもよい。キャリア周波数により波長が変わる特性に基づいて周波数の差Δfθが決定され、下記の数式(12)のように周波数の差Δfθを用いて予備的DOAを推定できる。
【0080】
【0081】
数式(12)において、θestは予備的DOAを示す。レーダー信号処理装置は、周波数の差Δfθを用いて第1標的の予備的DOA θestを推定することができる。
【0082】
レーダー信号処理装置は、第1DOA周波数と第2DOA周波数との間の周波数の差Δfθ、光の速度c、配列アンテナのアンテナ素子間の間隔d、及び第1キャリア周波数と第2キャリア周波数との間の周波数の差fshiftに基づいて予備的DOA θestを推定することができる。周波数の差Δfθを使用することで、エイリアシング効果の解消による確定性を有することができる。
【0083】
図10は、一実施形態に係る非確定DOA候補から最終DOAを導き出す過程を示す。予備的DOAは、DOAアルゴリズムの方向性ベクトル(directional vector)のディメンションの大きさに反比例する離散化誤差を有する。このような離散化誤差は、レーダー信号からDOAを算出するDOAアルゴリズムの適用時に周波数分析のためのFFT演算及び/又はマトリックス演算過程で発生し得る。レーダー信号処理装置は非確定性を有するが、離散化誤差を有しない非確定DOA候補を決定し、確定性を有する予備的DOAに基づいて非確定DOA候補から最終DOAを選択することができる。
【0084】
レーダー信号処理装置は、第1チャープシーケンス信号から測定された標的の非確定DOAから非確定数(ambiguity number)による一定周期の間隔を有する非確定DOA候補を決定することができる。周期及び/又は非確定DOA候補は、予め決定された数式又は予め決定された数値テーブルから導き出されてもよい。レーダー信号は、第1キャリア周波数による第1チャープシーケンス信号及び第2キャリア周波数による第2チャープシーケンス信号を含んでもよい。レーダー信号処理装置は、第1チャープシーケンス信号に基づいたDOA推定動作によって第1標的の第1非確定DOA(ambiguous DOA)を推定し得る。第1非確定DOAの代わりに、第2チャープシーケンス信号による第2非確定DOAが使用されることも可能である。最終DOAは、下記の数式(13)のように示す。
【0085】
【0086】
数式(13)において、θ
unambは最終DOAを示し、θ
q、ambは非確定DOA候補を示し、θ
estは予備的DOAを示し、qは非確定数を示す。θ
q、ambは、非確定DOA(第1非確定DOA又は第2非確定DOA)から一定の周期で繰り返される。例えば、
図10に示すDOAスペクトル1010は、オリジナルスペクトル1011の繰り返しを介して導き出されてもよい。オリジナルスペクトル1011のピークは非確定DOA値1022に対応し、オリジナルスペクトル1011の繰り返しによるDOAスペクトル1010のピークは、非確定DOA候補値1020に対応する。実際のDOAは、非確定DOA候補値1021に該当する。非確定DOA値1022の非確定性により非確定DOA値1022と実際のDOAとが一致しないことがある。DOAスペクトル1020は、予備的DOAを示す。
【0087】
実際のDOAは、予備的DOAを利用した選択動作によって求めることができる。レーダー信号処理装置は、非確定DOA候補値1020のうち予備的DOAに最も近いものを標的の最終DOAとして選択する。ここで、DOA候補値1020のうち、予備的DOAとの差が最も小さい実際のDOAが標的の最終DOAとして選択される。最終DOAは確定的特性を有し、離散化誤差を含まない。予備的DOAと最終DOAとの間には離散化誤差に対応する差が存在する。
図11は、一実施形態に係る実際のDOA、最終DOA、及び予備的DOAの分布を示す。
図11を参照すると、グラフ1100で予備的DOAθ
estは離散化誤差を有するが、最終DOAθ
unambは離散化誤差を有しないことが確認される。
【0088】
図12は、一実施形態に係るレーダー信号処理動作を示すフローチャートである。
図12を参照すると、レーダー信号処理装置は、ステップS1210において、レーダーセンサの配列アンテナを介して受信されたレーダー信号から第1キャリア周波数の第1チャープシーケンス信号及び第2キャリア周波数の第2チャープシーケンス信号を抽出し、ステップS1220において、配列アンテナのアンテナ素子間の間隔による第1チャープシーケンス信号の第1位相差を決定し、ステップS1230において、配列アンテナのアンテナ素子間の間隔による第2チャープシーケンス信号の第2位相差を決定し、ステップS1240において、第1位相差を用いて第1チャープシーケンス信号の第1キャリア周波数による第1DOA周波数を決定し、ステップS1250において、第2位相差を用いて第2チャープシーケンス信号の第2キャリア周波数による第2DOA周波数を決定し、ステップS1260において、第1DOA周波数と第2DOA周波数との間の周波数の差を用いて標的の予備的DOAを推定し、ステップS1270において、第1チャープシーケンス信号から測定された標的の非確定DOAから非確定数による一定周期の間隔を有する非確定DOA候補を決定し、ステップS1280において、予備的DOAに基づいて非確定DOA候補から標的の最終DOAを選択する。
【0089】
ステップS1280は、非確定DOA候補のうち予備的DOAに最も近いものを標的の最終DOAとして選択するステップを含む。
【0090】
配列アンテナは、第1チャープシーケンス信号の第1半波長及び第2チャープシーケンス信号の第2半波長の少なくとも1つよりも広い間隔に配置されている隣接アンテナ素子の対を含み、隣接アンテナ素子の対により第1チャープシーケンス信号及び第2チャープシーケンス信号の少なくとも一部のDOAスペクトルにグレーティングローブが発生し得る。隣接アンテナ素子の対は、高度角又は方位角の測定のための配置を有する。
【0091】
間隔によって少なくとも一部のDOAスペクトルに発生したグレーティングローブが最終DOAの選択によって処理されてもよい。予備的DOAと最終DOAとの間に存在する離散化誤差が最終DOAの選択によって処理され得る。
【0092】
予備的DOAは、第1チャープシーケンス信号及び第2チャープシーケンス信号の少なくとも一部の周波数分析による離散化誤差を含み、予備的DOAと最終DOAとの間には離散化誤差に対応する差が存在する。
【0093】
予備的DOAは、エイリアシング効果の解消による確定性を有し、非確定DOA候補は、エイリアシング効果による非確定性を有してもよい。
【0094】
第1DOA周波数は、第1キャリア周波数の第1波長に依存的である。
【0095】
ステップS1260は、第1DOA周波数と第2DOA周波数との間の周波数の差、光の速度、配列アンテナのアンテナ素子間の間隔、及び第1キャリア周波数と第2キャリア周波数との間の周波数の差に基づいて予備的DOAを推定するステップを含む。
【0096】
非確定DOA候補は、非確定DOAを用いて予め決定された数式又は予め決定された数値テーブルから導き出される。
【0097】
レーダー信号は、第1キャリア周波数の第1チャープ成分及び第2キャリア周波数の第2チャープ成分を交互に含むことができる。
【0098】
【0099】
図13は、一実施形態に係る電子装置の構成を示すブロック図である。
図13を参照すると、電子装置1300は、上記で説明したレーダー信号処理方法を行ってもよい。例えば、電子装置1300は、
図2に示すレーダー処理装置200を機能的及び/又は構造的に含むことができる。電子装置1300は、例えば、イメージ処理装置、スマートフォン、ウェアラブル機器(wearable device)、タブレットコンピュータ、ネットブック、ラップトップ、デスクトップ、PDA(personal digital assistant)、HMD(head mounted display)、車両(例えば、自律走行車両)、及び車両に装着されている走行補助装置であってもよい。
【0100】
図13を参照すると、電子装置1300は、プロセッサ1310、格納装置1320、カメラ1330、入力装置1340、出力装置1350、及びネットワークインターフェース1360を含む。プロセッサ1310、格納装置1320、カメラ1330、入力装置1340、出力装置1350及びネットワークインターフェース1360は、通信バス1370を介して通信することができる。
【0101】
プロセッサ1310は、電子装置1300内で実行するための機能及び命令を実行する。例えば、プロセッサ1310は、格納装置1320に格納された命令を処理する。プロセッサ1310は、
図1~
図12を参照して説明した動作を行ってもよい。
【0102】
格納装置1320は、プロセッサ1310の実行に必要な情報ないしデータを格納する。格納装置1320は、コンピュータ読み出し可能な格納媒体又はコンピュータで読み出し可能な格納装置を含んでもよい。格納装置1320は、プロセッサ1310によって実行するための命令を格納し、電子装置1300によってソフトウェア又はアプリケーションが実行される間に関連情報を格納してもよい。
【0103】
カメラ1330は、複数のイメージフレームから構成されるイメージをキャプチャーすることができる。例えば、カメラ1330は、フレームイメージを生成してもよい。
【0104】
入力装置1340は、触覚、ビデオ、オーディオ又はタッチ入力によってユーザから入力を受信する。入力装置1340は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクロホン、又は、ユーザから入力を検出し、検出された入力を伝達できる任意の他の装置を含んでもよい。
【0105】
出力装置1350は、視覚的、聴覚的又は触覚的なチャネルを介してユーザに電子装置1300の出力を提供する。出力装置1350は、例えば、ディスプレイ、タッチスクリーン、スピーカ、振動発生装置、又はユーザに出力を提供できる任意の他の装置を含んでもよい。ネットワークインターフェース1360は、有線又は無線ネットワークを介して外部装置と通信することができる。一実施形態によれば、出力装置1350は、レーダーデータを処理した結果などを視覚情報(visual information)、聴覚情報(auditory information)、及び触覚情報(haptic information)のうち少なくとも1つを用いてユーザに提供し得る。
【0106】
例えば、電子装置1300が車両に装着された場合、電子装置1300はレーダーイメージマップをディスプレイを介して視覚化することができる。異なる例として、電子装置1300は、DOA情報、距離情報、及び/又はレーダーイメージマップに基づいて装置1300が装着された車両の速度、加速度、及び操向のうち少なくとも1つを変更してもよい。但し、これに限定されず、電子装置1300は、ACC、AEB、BSD、LCA及び自体測位(ego-localization)などの機能を行うことができる。電子装置1300は、このような車両の制御のための制御システムを構造的及び/又は機能的に含むことができる。
【0107】
以上で説明された実施形態は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、又はハードウェア構成要素及びソフトウェア構成要素の組み合せで具現化される。例えば、本実施形態で説明した装置及び構成要素は、例えば、プロセッサ、コントローラ、ALU(arithmetic logic unit)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor)、マイクロコンピュータ、FPA(field programmable array)、PLU(programmable logic unit)、マイクロプロセッサー、又は命令(instruction)を実行して応答する異なる装置のように、1つ以上の汎用コンピュータ又は特殊目的コンピュータを用いて具現化される。処理装置は、オペレーティングシステム(OS)及びオペレーティングシステム上で実行される1つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行する。また、処理装置は、ソフトウェアの実行に応答してデータをアクセス、格納、操作、処理、及び生成する。理解の便宜のために、処理装置は1つが使用されるものとして説明する場合もあるが、当技術分野で通常の知識を有する者は、処理装置が複数の処理要素(processing element)及び/又は複数類型の処理要素を含むことが把握する。例えば、処理装置は、複数のプロセッサ又は1つのプロセッサ及び1つのコントローラを含む。また、並列プロセッサ(parallel processor)のような、他の処理構成も可能である。
【0108】
ソフトウェアは、コンピュータプログラム、コード、命令、又はそのうちの一つ以上の組合せを含み、希望の通りに動作するよう処理装置を構成したり、独立的又は結合的に処理装置を命令することができる。ソフトウェア及び/又はデータは、処理装置によって解釈されたり処理装置に命令又はデータを提供するために、いずれかの類型の機械、構成要素、物理的装置、仮想装置、コンピュータ格納媒体又は装置、又は送信される信号波に永久的又は一時的に具体化することができる。ソフトウェアはネットワークに連結されたコンピュータシステム上に分散され、分散した方法で格納されたり実行され得る。ソフトウェア及びデータは一つ以上のコンピュータで読出し可能な記録媒体に格納され得る。
【0109】
本実施形態による方法は、様々なコンピュータ手段を介して実施されるプログラム命令の形態で具現化され、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独又は組み合せて含む。記録媒体及びプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計して構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知のものであり使用可能なものであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例として、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD-ROM、DVDのような光記録媒体、フロプティカルディスクのような磁気-光媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置を含む。プログラム命令の例としては、コンパイラによって生成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを用いてコンピュータによって実行される高級言語コードを含む。
【0110】
上記で説明したハードウェア装置は、本発明に示す動作を実行するために1つ以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成してもよく、その逆も同様である。
【0111】
上述したように実施形態をたとえ限定された図面によって説明したが、当技術分野で通常の知識を有する者であれば、上記の説明に基づいて様々な技術的な修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順に実行され、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法とは異なる形態に結合又は組み合わせられてもよく、他の構成要素又は均等物によって置き換え又は置換されたとしても適切な結果を達成することができる。
【0112】
したがって、他の具現化、他の実施形態および特許請求の範囲と均等なものも後述する特許請求範囲の範囲に属する。