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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039003
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】接触器
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/38 20060101AFI20240313BHJP
   H01H 50/54 20060101ALI20240313BHJP
   H01H 1/54 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
H01H50/38 A
H01H50/54 D
H01H1/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023143342
(22)【出願日】2023-09-05
(31)【優先権主張番号】202222385971.5
(32)【優先日】2022-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】516193944
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス テクノロジー (エスアイピー) リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】508079120
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス (シャンハイ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ホォンヂィアン サマー ドォン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ヂィア
(72)【発明者】
【氏名】チィアォシィー パァン
【テーマコード(参考)】
5G051
【Fターム(参考)】
5G051NB08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、短絡電流に耐える能力を向上させ、接触器の正常な接続および接続解除の動作に影響しない接触器を提供する。
【解決手段】絶縁外部ハウジング20に設けられた一対の静止端子2と、静止端子2と接触する閉位置と静止端子2から分離する開位置との間で移動可能である可動端子1と、可動端子1と同期して移動するように可動端子1に固定されている第1の磁気導体3と、絶縁外部ハウジング20に対して固定された静止ブラケット5と、静止ブラケット5に移動可能に設けられている第2の磁気導体4と、静止ブラケット5と第2の磁気導体4との間に設けられている弾性部材6とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁外部ハウジング(20)と、
前記絶縁外部ハウジング(20)に設けられ、前記絶縁外部ハウジング(20)に対して固定的である一対の静止端子(2)と、
前記絶縁外部ハウジング(20)に設けられ、前記静止端子(2)と接触する閉位置と前記静止端子(2)から分離する開位置との間で移動可能である可動端子(1)と、
前記可動端子(1)と同期して移動するように前記可動端子(1)に固定されている第1の磁気導体(3)と、
前記絶縁外部ハウジング(20)に設けられ、前記絶縁外部ハウジング(20)に対して固定的である静止ブラケット(5)と、
前記静止ブラケット(5)において移動可能に設けられている第2の磁気導体(4)と、
前記静止ブラケット(5)と前記第2の磁気導体(4)との間に設けられている弾性部材(6)と、
を備え、
前記第2の磁気導体(4)および前記静止端子(2)は、前記可動端子(1)の同じ側に配置され、前記第2の磁気導体(4)は、前記弾性部材(6)により前記静止ブラケット(5)において浮動可能に支持されている、
接触器。
【請求項2】
前記静止ブラケット(5)は、底部プレート(5b)、側部プレート(5a)、ならびに前記底部プレート(5b)および前記側部プレート(5a)により画定されている内部空洞を含み、前記第2の磁気導体(4)は、前記静止ブラケット(5)の前記内部空洞に収容され、前記弾性部材(6)は、前記第2の磁気導体(4)と前記静止ブラケット(5)の前記底部プレート(5b)との間で圧縮されている、
請求項1に記載の接触器。
【請求項3】
垂直方向に延びる案内リブが、前記静止ブラケット(5)の前記側部プレート(5a)および前記第2の磁気導体(4)の側面のうちの一方に形成され、案内溝が、前記静止ブラケット(5)の前記側部プレート(5a)および前記第2の磁気導体(4)の側面のうちの他方に形成され、
前記案内リブは、前記案内溝と嵌合して、前記第2の磁気導体(4)を前記静止ブラケット(5)に対して垂直方向に移動するように案内する、
請求項2に記載の接触器。
【請求項4】
前記絶縁外部ハウジング(20)に配置され、消弧室(7a)として機能する内部空間を有する絶縁内部ハウジング(7)
をさらに備え、
前記静止端子(2)は、前記絶縁内部ハウジング(7)に固定され、前記消弧室(7a)へと延び、前記静止ブラケット(5)は、前記消弧室(7a)に配置され、前記絶縁内部ハウジング(7)に固定されている、
請求項2に記載の接触器。
【請求項5】
前記静止ブラケット(5)は、
前記側部プレート(5a)の上面に接続され、上方に延びる接続部(5c)
をさらに備え、
孔が、前記絶縁内部ハウジング(7)に形成され、前記接続部(5c)は、前記静止ブラケット(5)を前記絶縁内部ハウジング(7)に固定するために、前記絶縁内部ハウジング(7)の前記孔に挿入されている、
請求項4に記載の接触器。
【請求項6】
かかり付き突出部が、前記接続部(5c)に形成され、前記接続部(5c)における前記かかり付き突出部は、前記絶縁内部ハウジング(7)の前記孔の孔壁と締まり嵌めする、
請求項5に記載の接触器。
【請求項7】
前記弾性部材(6)および前記第2の磁気導体(4)は、前記消弧室(7a)に配置され、取り外し可能に互いに組み付けられている、
請求項4に記載の接触器。
【請求項8】
前記消弧室(7a)に配置され、前記静止端子(2)に対して固定的である一対の磁気吹き消し磁石(9)
をさらに備え、
前記静止端子(2)は、前記可動端子(1)に接触するための接触端部(2a)を有し、前記一対の磁気吹き消し磁石(9)は、それぞれ前記一対の静止端子(2)の前記接触端部(2a)に隣接し、
磁気吹き消しにより前記可動端子(1)と前記静止端子(2)との間の電弧を消弧するために、前記磁気吹き消し磁石(9)に隣接する前記静止端子(2)の前記接触端部(2a)において前記磁気吹き消し磁石(9)自体により生成される磁界強度は、所定の磁界強度よりも高い、
請求項4に記載の接触器。
【請求項9】
前記磁気吹き消し磁石(9)自体により生成される磁界により前記静止端子(2)と前記可動端子(1)との間の電弧に印加される電磁力の方向は、水平である、
請求項8に記載の接触器。
【請求項10】
一方の磁気吹き消し磁石(9)は、一方の静止端子(2)の前記接触端部(2a)に隣接し、他方の磁気吹き消し磁石(9)は、他方の静止端子(2)の前記接触端部(2a)に隣接し、
前記一方の磁気吹き消し磁石(9)自体により生成される磁界により前記一方の静止端子(2)と前記可動端子(1)との間の電弧に印加される電磁力の方向は、第1の水平方向であり、
前記他方の磁気吹き消し磁石(9)自体により生成される磁界により前記他方の静止端子(2)と前記可動端子(1)との間の電弧に印加される電磁力の方向は、前記第1の水平方向、または前記第1の水平方向とは反対の第2の水平方向である、
請求項9に記載の接触器。
【請求項11】
前記絶縁内部ハウジング(7)の底部開口部に設置されているカバープレート(8a)と、
前記カバープレート(8a)に接続され、前記消弧室(7a)に配置されている一対の支持部(8b)と
を備える絶縁エンドキャップ(8)
をさらに備え、
前記一対の磁気吹き消し磁石(9)は、それぞれ前記絶縁エンドキャップ(8)の前記一対の支持部(8b)に固定されている、
請求項8に記載の接触器。
【請求項12】
凹部が、前記支持部(8b)に形成され、前記磁気吹き消し磁石(9)は、前記支持部(8b)における前記凹部に埋め込まれている、
請求項11に記載の接触器。
【請求項13】
前記消弧室(7a)に配置され、前記絶縁エンドキャップ(8)の前記カバープレート(8a)に支持されている絶縁基部(11)と、
前記絶縁基部(11)に固定されている支持基板(12)と、
前記可動端子(1)と前記静止端子(2)との間の接触力を提供するために、前記第2の磁気導体(4)と前記支持基板(12)との間で圧縮されているコンタクトばね(13)と、
前記支持基板(12)に対する前記可動端子(1)の移動の方向および距離を制限するために、前記支持基板(12)に固定されている制限ブラケット(14)と
をさらに備える、請求項11に記載の接触器。
【請求項14】
上端部が前記消弧室(7a)へと延び、前記絶縁基部(11)に固定されている駆動シャフト(15)
をさらに備え、
前記絶縁基部(11)は、前記駆動シャフト(15)を前記支持基板(12)から電気的に隔離する、
請求項13に記載の接触器。
【請求項15】
前記絶縁基部(11)、前記支持基板(12)および前記駆動シャフト(15)が一体品として形成されるように、前記絶縁基部(11)は、前記支持基板(12)および前記駆動シャフト(15)に形成されている射出成形部品である、
請求項14に記載の接触器。
【請求項16】
中央貫通孔が形成されている磁心(16)
をさらに備え、
前記駆動シャフト(15)は、前記磁心(16)の前記中央貫通孔を通過し、前記磁心(16)に接続されている、
請求項14に記載の接触器。
【請求項17】
前記絶縁外部ハウジング(20)に設置されているコイル骨格(17)と、
前記コイル骨格(17)に巻回されているコイル(18)と、
前記コイル骨格(17)の頂部に支持されている磁気プレート(10)と
をさらに備え、
前記磁心(16)は、前記コイル骨格(17)において移動可能に配置され、前記絶縁エンドキャップ(8)の前記カバープレート(8a)は、前記磁気プレート(10)の頂面に支持され、
前記コイル(18)が通電されると、前記駆動シャフト(15)は、電磁力の作用下で、前記可動端子(1)を前記開位置から前記閉位置へと駆動する、
請求項16に記載の接触器。
【請求項18】
前記磁心(16)と前記磁気プレート(10)との間で圧縮されている復帰ばね
をさらに備え、
前記コイル(18)が通電解除されると、前記駆動シャフト(15)は、前記復帰ばねの弾性復帰力下で、前記可動端子(1)を前記閉位置から前記開位置へと駆動する、
請求項17に記載の接触器。
【請求項19】
前記絶縁外部ハウジング(20)に配置されている金属内部シェル(19)
をさらに備え、
前記絶縁内部ハウジング(7)、前記絶縁エンドキャップ(8)、前記磁気プレート(10)、前記コイル骨格(17)、および前記コイル(18)は、前記金属内部シェル(19)に収容されている、
請求項18に記載の接触器。
【請求項20】
前記絶縁外部ハウジング(20)の頂部開口部に設置されている絶縁頂部カバー(21)
をさらに備え、
前記一対の静止端子(2)は、接続端子と電気的に接続するために、前記絶縁頂部カバー(21)の外側まで延びる、
請求項19に記載の接触器。
【請求項21】
前記弾性部材(6)は、ばねまたは弾性ブロックである、
請求項1に記載の接触器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、中国国家知識産権局において2022年9月8日に出願された中国特許出願第CN202222385971.5号の利益を主張し、その全開示が本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、接触器に関する。
【背景技術】
【0003】
先行技術において、接触器のコイルが通電されると、接触器の主コンタクトが閉状態となり、それにより電流を効果的に接続および搬送することができる。接触器のコイルが通電解除されると、接触器の主コンタクトが開状態となり、それにより電流を遮断する効果を実現することができる。接触器に接続された高電圧回路が正常に動作している場合、接触器の主コンタクトにより搬送される電流は、比較的安定かつ正常である。しかし、高電圧回路に短絡などの異常状態が生じると、異常電流が接触器の主コンタクトの耐力および安定性に一定の影響を及ぼす。高電圧DC接触器は、多くの電気機器(新エネルギー車両の電気システムなど)において重要なデバイスである。
可動コンタクトと静止コンタクトとの間にサージ電流が生じると、接触器が故障し、予測不能な深刻な結果が生じる。同時に、新エネルギー車両の将来の発展動向は、高電流および高電圧である。高電圧システムが動作不良を起こすと、サージ電流が5kAまたはさらには15kA超に達する。そのような大電流が可動コンタクトおよび静止コンタクトを通して流れると、強い電気的斥力(ローレンツ力およびホルム力(Holm force)を含む)が主コンタクト回路に生成される。電気的斥力の方向は、可動コンタクトおよび静止コンタクトの接触方向の反対であり、それにより、可動コンタクトおよび静止コンタクトが離れる方向にはね返り、これが誤動作につながる場合がある。
【0004】
先行技術において、高電圧DC接触器の電流容量は平均的であり、短期間にわたって大電流に耐えるその能力は限定されている。短絡電流に耐える能力は、一般に2500~5000A以下であり、これは将来の市場の技術的要求を満たすことができない。一部の製造者は、製品の短絡電流に耐える能力を増大させるべく、接触器のコンタクト構造を改良してきた。しかしながら、これらのタイプの改良された構造は、特定の技術的欠陥を有することが多い。すなわち、短絡電流に耐える能力は向上するが、電流の遮断および電流の通電を行う接触器の能力は、いずれも一定程度低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の難点のうちの少なくとも1つの側面を克服または軽減するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、接触器が提供される。接触器は、絶縁外部ハウジングと、絶縁外部ハウジングに設けられ、絶縁外部ハウジングに対して固定的である(静止している、stationary)一対の静止端子と、絶縁外部ハウジングに設けられ、静止端子と接触する閉位置と静止端子から分離する開位置との間で移動可能である可動端子と、可動端子と同期して移動するように可動端子に固定されている第1の磁気導体と、絶縁外部ハウジングに設けられ、絶縁外部ハウジングに対して固定的である静止ブラケットと、静止ブラケットにおいて移動可能に設けられている第2の磁気導体と、静止ブラケットと第2の磁気導体との間に設けられている弾性部材とを備える。第2の磁気導体および静止端子は、可動端子の同じ側に配置され、第2の磁気導体は、弾性部材により静止ブラケットにおいて浮動可能に支持される。
【0007】
本発明の例示的実施形態によれば、静止ブラケットは、底部プレート、側部プレート、ならびに底部プレートおよび側部プレートにより画定されている内部空洞を含み、第2の磁気導体は、静止ブラケットの内部空洞に収容され、弾性部材は、第2の磁気導体と静止ブラケットの底部プレートとの間で圧縮される。
【0008】
本発明の別の例示的実施形態によれば、垂直方向に延びる案内リブが、静止ブラケットの側部プレートおよび第2の磁気導体の側面のうちの一方に形成され、案内溝が、静止ブラケットの側部プレートおよび第2の磁気導体の側面のうちの他方に形成され、案内リブは、案内溝と嵌合して、第2の磁気導体を静止ブラケットに対して垂直方向に移動するように案内する。
【0009】
本発明の別の例示的実施形態によれば、接触器は、絶縁外部ハウジングに配置され、消弧室として機能する内部空間を有する絶縁内部ハウジングをさらに備え、静止端子は、絶縁内部ハウジングに固定され、消弧室へと延び、静止ブラケットは、消弧室に配置され、絶縁内部ハウジングに固定される。
【0010】
本発明の別の例示的実施形態によれば、静止ブラケットは、側部プレートの上面に接続され、上方に延びる接続部をさらに備え、孔が、絶縁内部ハウジングに形成され、接続部は、静止ブラケットを絶縁内部ハウジングに固定するために、絶縁内部ハウジングの孔に挿入される。
【0011】
本発明の別の例示的実施形態によれば、かかり付き突出部が、接続部に形成され、接続部におけるかかり付き突出部は、絶縁内部ハウジングの孔の孔壁と締まり嵌めする。
【0012】
本発明の別の例示的実施形態によれば、弾性部材および第2の磁気導体は、消弧室に配置され、取り外し可能に互いに組み付けられる。
【0013】
本発明の別の例示的実施形態によれば、接触器は、消弧室に配置され、静止端子に対して固定的である一対の磁気吹き消し磁石をさらに備え、静止端子は、可動端子に接触するための接触端部を有し、一対の磁気吹き消し磁石は、それぞれ一対の静止端子の接触端部に隣接し、磁気吹き消しにより可動端子と静止端子との間の電弧を消弧するために、磁気吹き消し磁石に隣接する静止端子の接触端部において磁気吹き消し磁石自体により生成される磁界強度は、所定の磁界強度よりも高い。
【0014】
本発明の別の例示的実施形態によれば、磁気吹き消し磁石自体により生成される磁界により静止端子と可動端子との間の電弧に印加される電磁力の方向は、水平である。
【0015】
本発明の別の例示的実施形態によれば、一方の磁気吹き消し磁石は、一方の静止端子の接触端部に隣接し、他方の磁気吹き消し磁石は、他方の静止端子の接触端部に隣接し、一方の磁気吹き消し磁石自体により生成される磁界により一方の静止端子と可動端子との間の電弧に印加される電磁力の方向は、第1の水平方向であり、他方の磁気吹き消し磁石自体により生成される磁界により他方の静止端子と可動端子との間の電弧に印加される電磁力の方向は、第1の水平方向、または第1の水平方向とは反対の第2の水平方向である。
【0016】
本発明の別の例示的実施形態によれば、接触器は、絶縁エンドキャップをさらに備える。絶縁エンドキャップは、絶縁内部ハウジングの底部開口部に設置されているカバープレートと、カバープレートに接続され、消弧室に配置されている一対の支持部とを備える。一対の磁気吹き消し磁石は、それぞれ絶縁エンドキャップの一対の支持部に固定される。
【0017】
本発明の別の例示的実施形態によれば、凹部が、支持部に形成され、磁気吹き消し磁石は、支持部における凹部に埋め込まれる。
【0018】
本発明の別の例示的実施形態によれば、接触器は、消弧室に配置され、絶縁エンドキャップのカバープレートに支持されている絶縁基部と、絶縁基部に固定されている支持基板と、可動端子と静止端子との間の接触力を提供するために、第2の磁気導体と支持基板との間で圧縮されているコンタクトばねと、支持基板に対して可動端子の移動の方向および距離を制限するために、支持基板に固定されている制限ブラケットとをさらに備える。
【0019】
本発明の別の例示的実施形態によれば、接触器は、駆動シャフトをさらに備える。駆動シャフトの上端部は、消弧室へと延び、絶縁基部に固定され、絶縁基部は、駆動シャフトを支持基板から電気的に隔離する。
【0020】
本発明の別の例示的実施形態によれば、絶縁基部、支持基板および駆動シャフトが一体品として形成されるように、絶縁基部は、支持基板および駆動シャフトに形成されている射出成形部品である。
【0021】
本発明の別の例示的実施形態によれば、接触器は、中央貫通孔が形成されている磁心をさらに備え、駆動シャフトは、磁心の中央貫通孔を通過し、磁心に接続される。
【0022】
本発明の別の例示的実施形態によれば、接触器は、絶縁外部ハウジングに設置されているコイル骨格と、コイル骨格に巻回されているコイルと、コイル骨格の頂部に支持されている磁気プレートとをさらに備える。磁心は、コイル骨格において移動可能に配置され、絶縁エンドキャップのカバープレートは、磁気プレートの頂面に支持され、コイルが通電されると、駆動シャフトは、電磁力の作用下で、可動端子を開位置から閉位置へと駆動する。
【0023】
本発明の別の例示的実施形態によれば、接触器は、磁心と磁気プレートとの間で圧縮されている復帰ばねをさらに備える。コイルが通電解除されると、駆動シャフトは、復帰ばねの弾性復帰力下で、可動端子を閉位置から開位置へと駆動する。
【0024】
本発明の別の例示的実施形態によれば、接触器は、絶縁外部ハウジングに配置されている金属内部シェルをさらに備える。絶縁内部ハウジング、絶縁エンドキャップ、磁気プレート、コイル骨格、およびコイルは、金属内部シェルに収容される。
【0025】
本発明の別の例示的実施形態によれば、接触器は、絶縁外部ハウジングの頂部開口部に設置されている絶縁頂部カバーをさらに備え、一対の静止端子は、接続端子と電気的に接続するために、絶縁頂部カバーの外側まで延びる。
【0026】
本発明の別の例示的実施形態によれば、弾性部材は、ばねまたは弾性ブロックである。
【0027】
本発明の上述の例示的実施形態において、可動端子および静止端子を通して流れる電流が所定の値を超えない場合、第1の磁気導体と第2の磁気導体との間の距離は比較的大きく、結果として、可動端子と静止端子との間に印加される電磁的引力がより小さくなり、それにより、接触器の正常な接続および接続解除の動作に影響しない。一方、可動端子および静止端子を通して流れる電流が所定の値を大幅に超える場合、第1の磁気導体と第2の磁気導体との間の距離が非常に小さくなり、結果として、可動端子と静止端子との間に印加される電磁的引力が非常に大きくなり、それにより、短絡電流に耐える接触器の能力が向上する。
【0028】
本発明の上記および他の特徴が、添付の図面を参照してその例示的実施形態を詳細に説明することによって、より明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の例示的実施形態に係る接触器の説明斜視図である。
図2】本発明の例示的実施形態に係る接触器の軸方向断面図である。
図3】本発明の例示的実施形態に係る接触器の静止端子、可動端子アセンブリ、および磁気吹き消し磁石の説明斜視図である。
図4】本発明の例示的実施形態に係る接触器の静止端子、可動端子アセンブリ、および磁気吹き消し磁石の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
添付の図面を参照して、本開示の例示的実施形態を以下で詳細に説明する。図面において、同様の参照符号は同様の要素を指す。しかしながら、本開示は、多数の異なる形態で実施されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものとなるように提供されており、本開示の概念を当業者に十分に伝達するであろう。
【0031】
以下の詳細な説明においては、説明の目的で、多数の具体的な詳細事項が、開示の実施形態の完全な理解をもたらすために記載されている。しかしながら、1つまたは複数の実施形態がこれらの具体的な詳細事項なしで実施されてもよいことは明らかであろう。他の例において、図面を簡略化するために、周知の構造および装置は模式的に示されている。
【0032】
本発明の一般概念によれば、接触器が提供される。接触器は、絶縁外部ハウジングと、絶縁外部ハウジングに設けられ、絶縁外部ハウジングに対して固定的である一対の静止端子と、絶縁外部ハウジングに設けられ、静止端子と接触する閉位置と静止端子から分離する開位置との間で移動可能である可動端子と、可動端子と同期して移動するように可動端子に固定されている第1の磁気導体と、絶縁外部ハウジングに設けられ、絶縁外部ハウジングに対して固定的である静止ブラケットと、静止ブラケットにおいて移動可能に設けられている第2の磁気導体と、静止ブラケットと第2の磁気導体との間に設けられている弾性部材とを備える。第2の磁気導体および静止端子は、可動端子の同じ側に配置され、第2の磁気導体は、弾性部材により静止ブラケットにおいて浮動可能に支持される。
【0033】
図1は、本発明の例示的実施形態に係る接触器の説明斜視図を示す。図2は、本発明の例示的実施形態に係る接触器の軸方向断面図を示す。図3は、本発明の例示的実施形態に係る接触器の静止端子2、可動端子アセンブリ、および磁気吹き消し磁石9の説明斜視図を示す。図4は、本発明の例示的実施形態に係る接触器の静止端子2、可動端子アセンブリ、および磁気吹き消し磁石9の断面図を示す。
【0034】
図1図4に示すように、本発明の例示的実施形態においては、接触器が開示される。接触器は、絶縁外部ハウジング20、一対の静止端子2、可動端子1、第1の磁気導体3、静止ブラケット5、第2の磁気導体4、および弾性部材6を含む。一対の静止端子2は、絶縁外部ハウジング20に配置され、絶縁外部ハウジング20に対して固定的である。可動端子1は、絶縁外部ハウジング20に配置され、静止端子2と接触する閉位置と静止端子2から分離する開位置との間で移動可能である。第1の磁気導体3は、可動端子1と同期して移動するように、可動端子1に固定される。静止ブラケット5は、絶縁外部ハウジング20に配置され、絶縁外部ハウジング20に対して固定的である。第2の磁気導体4は、静止ブラケット5において移動可能に配置される。弾性部材6は、静止ブラケット5と第2の磁気導体4との間に配置される。
【0035】
図1図4に示すように、例示の実施形態において、電流が可動端子1および静止端子2を通して流れると、第1の磁気導体3および第2の磁気導体4が磁化され、それらの間に電磁的引力を生成し、可動端子1および静止端子2を通して流れる電流が増大することに伴い、生成された電磁的引力が増大する。したがって、弾性部材6の弾性力に打ち勝つことにより、生成された電磁的引力の作用下において、第2の磁気導体4を第1の磁気導体3に向かって移動させることができる。これにより、可動端子1および静止端子2を通して流れる電流が増大することに伴い、第1の磁気導体3と第2の磁気導体4との間の距離を減少させることができる。
【0036】
図1図4に示すように、例示の実施形態において、第2の磁気導体4および静止端子2は、可動端子1の同じ側に配置され、第2の磁気導体4は、弾性部材6により静止ブラケット5において浮動可能に支持され、それにより、第1の磁気導体3と第2の磁気導体4との間の距離が、可動端子1および静止端子2を通して流れる電流に反比例する。すなわち、可動端子1および静止端子2を通して流れる電流が増大することに伴い、第1の磁気導体3と第2の磁気導体4との間の距離が減少することになる。可動端子1および静止端子2を通して流れる電流が減少すると、第1の磁気導体3と第2の磁気導体4との間の距離が増大することになる。
したがって、可動端子1および静止端子2を通して流れる電流が所定の値(1kAなど)を超えない場合、第1の磁気導体3と第2の磁気導体4との間の距離は比較的大きく、結果として、第1の磁気導体3および第2の磁気導体4により可動端子1と静止端子2との間に印加される電磁的引力がより小さくなり、これは接触器の正常な接続および接続解除の動作に影響しない。一方、可動端子および静止端子を通して流れる電流が所定の値を大幅に超える、例えば10kAに達する場合、第1の磁気導体3と第2の磁気導体4との間の距離が非常に小さくなり、結果として、第1の磁気導体3および第2の磁気導体4により可動端子1と静止端子2との間に印加される電磁的引力が非常に大きくなり、それにより、短絡電流に耐える接触器の能力が向上する。
【0037】
図1図4に示すように、例示の実施形態において、静止ブラケット5は、底部プレート5b、側部プレート5a、ならびに底部プレート5bおよび側部プレート5aにより画定される内部空洞を含む。第2の磁気導体4は、静止ブラケット5の内部空洞に収容され、弾性部材6は、第2の磁気導体4と静止ブラケット5の底部プレート5bとの間で圧縮される。
【0038】
図1図4に示すように、例示の実施形態において、垂直方向に延びる案内リブ(不図示)が、静止ブラケット5の側部プレート5aおよび第2の磁気導体4の側面のうちの一方に形成され、案内溝(不図示)が、静止ブラケット5の側部プレート5aおよび第2の磁気導体4の側面のうちの他方に形成される。案内リブは、案内溝と嵌合して、第2の磁気導体4を静止ブラケット5に対して垂直方向に移動するように案内する。
【0039】
図1図4に示すように、例示の実施形態において、接触器は、絶縁外部ハウジング20内に配置され、消弧室7aとして機能する内部チャンバを有する絶縁内部ハウジング7をさらに含む。静止端子2は、絶縁内部ハウジング7に固定され、消弧室7aへと延び、静止ブラケット5は、消弧室7aに配置され、絶縁内部ハウジング7に固定される。
【0040】
図1図4に示すように、例示の実施形態において、静止ブラケット5は、側部プレート5aの上面に接続され上方に延びる接続部5cをさらに含む。孔(不図示)が絶縁内部ハウジング7に形成され、接続部5cは、静止ブラケット5を絶縁内部ハウジング7に固定するために、絶縁内部ハウジング7の孔に挿入される。例示の実施形態において、かかり付き突出部が接続部5cに形成され、接続部5cにおけるかかり付き突出部は、絶縁内部ハウジング7の孔の孔壁と締まり嵌めする。これにより、接続部5cが引き抜かれることを防止することができる。
【0041】
図1図4に示すように、例示の実施形態において、弾性部材6および第2の磁気導体4は、消弧室7aに配置され、取り外し可能に互いに組み付けられる。例えば、設置スロットが第2の磁気導体4に形成され、弾性部材6は、第2の磁気導体4の設置スロットに埋め込まれる。
【0042】
図1図4に示すように、例示の実施形態において、接触器は、消弧室7aに配置され、静止端子2に対して固定的である一対の磁気吹き消し磁石9をさらに含む。静止端子2は、可動端子1との接触のための接触端部2aを有する。一対の磁気吹き消し磁石9は、それぞれ一対の静止端子2の接触端部2aに隣接して配置される。磁気吹き消しにより可動端子1と静止端子2との間の電弧を消弧するために、磁気吹き消し磁石9に隣接する静止端子2の接触端部2aにおいて磁気吹き消し磁石9自体により生成される磁界強度は、所定の磁界強度よりも高い。
【0043】
図1図4に示すように、例示の実施形態において、磁気吹き消し磁石9により生成される磁界により静止端子2と可動端子1との間の電弧に及ぼされる電磁力の方向は、水平である。
【0044】
図1図4に示すように、例示の実施形態において、一方の磁気吹き消し磁石9は一方の静止端子2の接触端部2aに隣接し、他方の磁気吹き消し磁石9は他方の静止端子2の接触端部2aに隣接する。一方の磁気吹き消し磁石9により生成される磁界により一方の静止端子2と可動端子1との間の電弧に及ぼされる電磁力の方向は、第1の水平方向である。他方の磁気吹き消し磁石9により生成される磁界により他方の静止端子2と可動端子1との間の電弧に及ぼされる電磁力の方向は、第1の水平方向、または第1の水平方向とは反対の第2の水平方向である。
【0045】
図1図4に示すように、例示の実施形態において、接触器は、絶縁エンドキャップ8をさらに含む。絶縁エンドキャップ8は、カバープレート8aおよび一対の支持部8bを含む。カバープレート8aは、絶縁内部ハウジング7の底部開口部に設置される。一対の支持部8bは、カバープレート8aに接続され、消弧室7aに配置される。一対の磁気吹き消し磁石9は、それぞれ絶縁エンドキャップ8の一対の支持部8bに固定される。例示の実施形態において、凹部が支持部8bに形成され、磁気吹き消し磁石9は、支持部8bにおける凹部に埋め込まれる。
【0046】
図1図4に示すように、例示の実施形態において、接触器は、絶縁基部11、支持基板12、コンタクトばね13、および制限ブラケット14をさらに含む。絶縁基部11は、消弧室7aに配置され、絶縁エンドキャップ8のカバープレート8aに支持される。支持基板12は、絶縁基部11に固定される。コンタクトばね13は、可動端子1と静止端子2との間に接触力を提供するために、第2の磁気導体4と支持基板12との間で圧縮される。制限ブラケット14は、支持基板12に対する可動端子1の移動の方向および距離を制限するために、支持基板12に固定される。
【0047】
図1図4に示すように、例示の実施形態において、接触器は、駆動シャフト15をさらに含み、駆動シャフト15の上端部は、消弧室7aへと延び、絶縁基部11に固定される。絶縁基部11は、駆動シャフト15を支持基板12から電気的に隔離する。
【0048】
図1図4に示すように、例示の実施形態において、絶縁基部11、支持基板12および駆動シャフト15が一体品として形成されるように、絶縁基部11は、支持基板12および駆動シャフト15に形成される射出成形部品である。
【0049】
図1図4に示すように、例示の実施形態において、接触器は、中央貫通孔が形成された磁心16をさらに備える。駆動シャフト15は、磁心16の中央貫通孔を通過し、磁心16に接続される。
【0050】
図1図4に示すように、例示の実施形態において、接触器は、コイル骨格17、コイル18、および磁気プレート10をさらに備える。コイル骨格17は、絶縁外部ハウジング20に設置される。コイル18は、コイル骨格17に巻回される。磁気プレート10は、コイル骨格17の頂部に支持される。磁心16は、コイル骨格17において移動可能に配置され、絶縁エンドキャップ8のカバープレート8aは、磁気プレート10の頂面に支持される。コイル18が通電されると、駆動シャフト15が、電磁力の作用下で、可動端子1を開位置から閉位置へと駆動する。
【0051】
図1図4に示すように、例示の実施形態において、接触器は、復帰ばね(不図示)をさらに含む。復帰ばねは、磁心16と磁気プレート10との間で圧縮される。コイル18が通電解除されると、駆動シャフト15が、復帰ばねの弾性復帰力下で、可動端子1を閉位置から開位置へと駆動する。
【0052】
図1図4に示すように、例示の実施形態において、接触器は、絶縁外部ハウジング20に配置される金属内部シェル19をさらに含む。絶縁内部ハウジング7、絶縁エンドキャップ8、磁気プレート10、コイル骨格17およびコイル18は、金属内部シェル19に収容される。
【0053】
図1図4に示すように、例示の実施形態において、接触器は、絶縁頂部カバー21をさらに含む。絶縁頂部カバー21は、絶縁外部ハウジング20の頂部開口部に設置される。一対の静止端子2は、接続端子(不図示)に電気的に接続するために、絶縁頂部カバー21の外側まで延びる。
【0054】
本発明の例示的実施形態において、弾性部材6は、ばねまたは弾性ブロックであってよい。例えば、弾性要素6は、渦巻ばね、または弾性材料で作製された弾性体であってよい。弾性体の弾性を増大させるために、例えば、空洞構造が弾性体の内側に形成されてよい。
【0055】
上記の実施形態は、限定ではなく例示を意図したものであることが、当業者には理解されるべきである。例えば、多数の修正が当業者により上記の実施形態に対してなされてよく、種々の実施形態において説明されている様々な特徴は、構成または原理において矛盾しない限り互いに自由に組み合わされてよい。
【0056】
いくつかの例示的実施形態を示して説明したが、本開示の原理および趣旨から逸脱しない限り、これらの実施形態において様々な変更または修正がなされてよいことが、当業者には理解されるであろう。本開示の範囲は、特許請求の範囲およびその均等物において定められる。
【0057】
本明細書において用いられる場合、単数形で記載され「a」または「an」の語に続く要素は、複数の当該要素またはステップを除外することが明示されていない限り、そのような除外をしないものとして理解されるべきである。さらに、本発明の「一実施形態」という記載は、記載されている特徴を同様に組み込むさらなる実施形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図するものではない。加えて、そうでないことが明示されていない限り、特定の性質を有する要素または複数の要素を「備える」または「有する」実施形態は、その性質を有しないさらなるそのような要素を含み得る。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】