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特開2024-39010熱インピーダンスを監視するための方法およびデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039010
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】熱インピーダンスを監視するための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/34 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
H01L23/34 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023145017
(22)【出願日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】10 2022 122 829.0
(32)【優先日】2022-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】599158797
【氏名又は名称】インフィニオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Infineon Technologies AG
【住所又は居所原語表記】Am Campeon 1-15, 85579 Neubiberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ドメス
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136AA10
5F136DA27
5F136FA03
5F136GA02
5F136GA31
5F136HA01
(57)【要約】
【課題】熱インピーダンスを監視するための方法およびデバイス。
【解決手段】少なくとも2つの出力端子(12A、12B、A、B、C)を有する半導体デバイス(11)とヒートシンク(14)との間の熱経路(13)の少なくとも一部の熱インピーダンスを監視する方法が提供される。方法は、少なくとも2つの出力端子(12A、12B)が同一電圧レベルにあるように、半導体デバイス(11)の寄生容量(18)をリロードすることによって、半導体デバイス(11)内の電力消散を生じさせるステップと、熱経路(13)の一部の第1の端で、電力消散に応答して、第1の温度(T1)を測定するステップと、熱経路(13)の一部の第2の端で、電力消散に応答して、第2の温度(T2)を測定するステップと、第1の温度(T1)および第2の温度(T2)に基づいて、熱インピーダンスの測定値を決定するステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの出力端子(12A、12B、A、B、C)を有する半導体デバイス(11)とヒートシンク(14)との間の熱経路(13)の少なくとも一部の熱インピーダンスを監視する方法であって、前記方法は、
前記少なくとも2つの出力端子(12A、12B、A、B、C)が同一電圧レベルにあるように、前記半導体デバイス(11)の寄生容量(18、CCG、CGE、CCE、CKA)をリロードすることによって、前記半導体デバイス(11)内の電力消散を生じさせるステップと、
前記熱経路(13)の前記一部の第1の端で、前記電力消散に応答して、第1の温度(T1)を測定するステップと、
前記熱経路(13)の前記一部の第2の端で、前記電力消散に応答して、第2の温度(T2)を測定するステップと、
前記第1の温度(T1)および前記第2の温度(T2)に基づいて、前記熱インピーダンスの測定値を決定するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記測定値を決定するステップは、前記電力消散と、前記第1の温度(T1)と前記第2の温度(T2)との間の差分と、の間の比率を決定するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
寄生容量をリロードするステップは、前記半導体デバイス(11)の1つまたは複数のトランジスタ(40、SHS_A、SHS_B、SHS_C、SLS_A、SLS_B、SLS_C)を繰り返しスイッチングオン/オフするステップを含む、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数のトランジスタ(40、SHS_A、SHS_B、SHS_C、SLS_A、SLS_B、SLS_C)は、前記少なくとも2つの出力端子(12A、12B、A、B、C)の各々のために、ハイサイドトランジスタ(SHS_A、SHS_B、SHS_C)およびローサイドトランジスタ(SLS_A、SLS_B、SLS_C)を含むそれぞれのハーフブリッジを備え、各出力端子(12A、12B、A、B、C)は、それぞれのハイサイドトランジスタ(SHS_A、SHS_B、SHS_C)とそれぞれのローサイドトランジスタ(SLS_A、SLS_B、SLS_C)との間のノードに結合され、
前記半導体デバイスの少なくとも1つのトランジスタを繰り返しスイッチングオン/オフするステップは、
-すべてのハーフブリッジの前記ローサイドトランジスタ(SLS_A、SLS_B、SLS_C)をスイッチングオフするとともにすべてのハーフブリッジの前記ハイサイドトランジスタ(SHS_A、SHS_B、SHS_C)をスイッチングオンするステップと、
-すべてのハーフブリッジの前記ハイサイドトランジスタ(SHS_A、SHS_B、SHS_C)をスイッチングオフするとともにすべてのハーフブリッジの前記ローサイドトランジスタ(SLS_A、SLS_B、SLS_C)をスイッチングオンするステップと、
を繰り返すことを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記電力消散を生じさせるステップ、前記第1の温度(T1)を測定するステップ、前記第2の温度(T2)を測定するステップおよび前記測定値を決定するステップは、時間とともに繰り返し実行され、
前記方法は、前記測定値を時間とともに評価することによって、前記熱経路(13)の前記一部の劣化を検出するステップをさらに含む、
請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記繰り返し実行することは、前記半導体デバイス(11)の耐用期間を通じて繰り返し実行することを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の端は、前記半導体デバイス(11)にあり、
前記第2の端は、前記ヒートシンク(14)にある、
請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記熱経路(13)の前記少なくとも一部は、全熱経路(13)を含む、
請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、リロードが基づく電圧に基づいて、前記測定値を調節するステップをさらに含む、
請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、前記少なくとも2つの出力端子(12A、12B、A、B、C)が負荷(L1、L2、L3)に結合される間、実行される、
請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記測定値は、前記負荷の存在により生ずるグラウンド(E)に対する容量(CAE、CBE、CCE)に基づいて、さらに決定される、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記半導体デバイス(11)は、3相インバータを備え、前記少なくとも2つの出力端子(12A、12B、A、B、C)は、前記3相インバータの3つの出力端子(A、B、C)を備える、
請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記電力消散を生じさせるステップは、所定の平衡基準が満たされる場合にのみ、実行される、
請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記所定の平衡基準は、以下からなる群、すなわち、
-前記半導体デバイス(11)が、少なくとも所定の第1の持続期間の間不活性であったことと、
-前記半導体デバイス(11)が、前記熱経路の熱時定数の少なくとも3倍の持続期間の間不活性であったことと、
-時間に対する前記第1の温度(T1)の勾配が、第1の所定の値より小さいことと、
-時間に対する前記第2の温度(T2)の勾配が、第2の所定の値より小さいことと、
-前記第1の温度(T1)と周囲温度との間の温度差が、第3の所定の値より小さいことと、
-前記第2の温度(T2)と前記周囲温度との間の温度差が、第4の所定の値より小さいことと、
のうちの少なくとも1つを備える、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記電力消散を生じさせるステップは、所定の第2の持続期間の間、実行される、
請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記所定の第2の持続期間は、前記熱経路の熱時定数の少なくとも3倍である、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記熱経路(13)は、前記半導体デバイス(11)が実装されるチップダイ、チップはんだ、焼結物層、直接接合銅、DBC、銅層、DBCセラミック層、システムはんだ、ベースプレートおよび接着剤からなる群から選択される1つまたは複数の要素を備える、
請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
少なくとも2つの出力端子(12A、12B、A、B、C)を有する半導体デバイス(11)と、
ヒートシンク(14)と、
前記半導体デバイス(11)を前記ヒートシンク(14)に熱的に結合させる熱経路(13)と、
テストコントローラ(17)と、
を備えるデバイス(10)であって、
前記テストコントローラ(17)は、
前記半導体デバイスの前記少なくとも2つの出力端子が同一電圧レベルにあるように、前記半導体デバイスの寄生容量(18、CCG、CGE、CCE、CKA)をリロードすることによって、前記半導体デバイス内の電力消散を生じさせ、
前記熱経路(13)の一部の第1の端で、前記電力消散に応答して、測定された第1の温度(T1)を受信し、
前記熱経路(13)の前記一部の第2の端で、前記電力消散に応答して、測定された第2の温度(T2)を受信し、
前記第1の温度(T1)および前記第2の温度(T2)に基づいて、熱インピーダンスの測定値を決定する、
ように構成される、
デバイス(10)。
【請求項19】
前記デバイス(10)は、請求項1から17のいずれかに記載の方法を実施するように構成される、
請求項18に記載のデバイス(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、半導体デバイスからヒートシンクまたはその一部までの熱経路の熱インピーダンスを監視する方法および対応するデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
動作中、半導体デバイスは、電力を消散し、半導体デバイスの加熱につながる。半導体デバイスおよびアプリケーションのタイプに応じて、過熱を防ぐために冷却が必要である。一般的なアプローチは、半導体デバイスを、ヒートシンク、例えば、金属ブロックに熱的に結合させることであり、半導体デバイスからの熱は、ヒートシンクに転送される。
【0003】
半導体デバイスからヒートシンクまでの熱経路は、はんだ、プレート、チップケーシング、金属またはセラミック部材などのようなさまざまな構成要素を含んでもよい。この種の構成要素の劣化または構成要素間の熱結合の劣化は、半導体デバイスとヒートシンクとの間の全体的な熱結合の劣化につながり、それゆえ、半導体デバイスの望ましくない加熱につながりうる。
【0004】
例えば、いくつかの場合において、温度センサを用いて、半導体デバイスの温度を監視し、過熱する場合にはデバイスをスイッチングオフするための手段を講じ、同時に、初期段階において、熱経路の劣化を検出することは望ましく、なんらかの半導体デバイスのシャットダウンが必要になる前に、例えば、熱経路を修復しまたはデバイスを交換してもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の方法および請求項18に記載のデバイスが提供される。従属請求項は、さらなる実施形態を定義する。
【0006】
一実施形態によれば、少なくとも2つの出力端子を有する半導体デバイスとヒートシンクとの間の熱経路の少なくとも一部の熱インピーダンスを監視する方法が提供され、方法は、
少なくとも2つの出力端子が同一電圧レベルにあるように、半導体デバイスの寄生容量をリロードすることによって、半導体デバイス内の電力消散を生じさせるステップと、
熱経路の一部の第1の端で、電力消散に応答して、第1の温度を測定するステップと、
熱経路の一部の第2の端で、電力消散に応答して、第2の温度を測定するステップと、
第1の温度および第2の温度に基づいて、熱インピーダンスの測定値を決定するステップと、
を含む。
【0007】
他の実施形態では、デバイスが提供され、デバイスは、
少なくとも2つの出力端子を有する半導体デバイスと、
ヒートシンクと、
半導体デバイスをヒートシンクに熱的に結合させる熱経路と、
テストコントローラと、を備え、
テストコントローラは、
半導体デバイスの少なくとも2つの出力端子が同一電圧レベルにあるように、半導体デバイスの寄生容量をリロードすることによって、半導体デバイス内の電力消散を生じさせ、
熱経路の一部の第1の端で、電力消散に応答して、測定された第1の温度を受信し、
熱経路の一部の第2の端で、電力消散に応答して、測定された第2の温度を受信し、
第1の温度および第2の温度に基づいて、熱インピーダンスの測定値を決定する、
ように構成される。
【0008】
上述した概要は、単にいくつかの実施形態の簡潔な概要のみであり、いかなる形であれ制限するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に従うデバイスのブロック図である。
図2】一実施形態に従う方法を示すフローチャートである。
図3】いくつかの実施形態を示すためのタイミング図である。
図4】いくつかの実施形態において使用可能なトランジスタの寄生容量を示すための図である。
図5】一実施形態を示す回路図である。
図6】一実施形態を示す回路図である。
図7】一実施形態を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、さまざまな実施形態は、添付の図面を参照して詳述される。これらの実施形態は、単なる例として与えられ、制限するものとして解釈されるべきではない。
【0011】
実施形態は、複数の特徴(要素、構成要素、行為、イベント、ステップなど)を含んで記載されてもよいが、他の実施形態において、これらの特徴のいくつかは、省略されてもよいし、または、代替機能もしくは要素により置換されてもよい。明確に図示および記載される特徴に加えて、さらなる特徴、例えば、半導体に関連した従来のデバイスの特徴が提供されてもよい。例えば、本願明細書において述べられる実施形態は、半導体デバイスとヒートシンクとの間の熱経路の分析に集中し、この分析以外の、半導体デバイス、半導体デバイス間の接続、パッケージングなどは、任意の従来方式で実行または実施されてもよい。
【0012】
異なる実施形態からの特徴を互いに組み合わせて、さらなる実施形態を形成してもよい。実施形態の1つに関して記載されている変形および変更は、他の実施形態に適用されてもよく、それゆえ、繰り返し記載されない。
【0013】
本願明細書において述べられる接続または結合は、熱接続もしくは結合でもよいし、または、電気接続もしくは結合でもよい。熱接続、結合または熱経路と明確に称されなければ、接続または結合という用語は、電気接続または結合に関する。この種の電気接続または結合は、接続または結合の一般的な目的が維持される限り、例えば、追加の要素を追加することによって修正されてもよい。
【0014】
以下、図面を参照すると、図1は、一実施形態に従うデバイス10を示すブロック図である。
【0015】
図1のデバイス10は、半導体デバイス11を含む。半導体デバイス11は、任意の種類の1つまたは複数の半導体デバイスでもよいし、または、これらを含んでもよく、すなわち、1つまたは複数のトランジスタ、ダイオードなどを含んでもよく、抵抗のような他の構成要素に統合されるこの種の半導体デバイスを含む。特定の実施態様において、半導体デバイス11は、ハーフブリッジとして結合される2対以上のトランジスタを含み、出力を正の入力電圧または負の入力電圧に選択的に結合させる。この種の構成のための例は、図5から図7を参照して後述される。半導体デバイス11は、1つまたは複数のチップダイ、例えば、シリコンチップダイ上に設けられてもよい。いくつかのチップダイの場合、これらは、共通のパッケージ内に実装されてもよい。いくつかの実施形態において、1つの回路内にいくつかのパッケージが設けられていてもよく、各パッケージは、1つまたは複数のチップダイを有する。この場合、本願明細書において記載されている熱経路の監視は、複数のパッケージのうちの1つ、いくつかまたはすべてのために実行されてもよい。例えば、異なるハーフブリッジまたはハーフブリッジの異なるトランジスタは、別々のパッケージ内に設けられ、別々の熱経路監視を有してもよい。
【0016】
半導体デバイス11は、複数の出力端子を有し、図1の例では、2つの出力端子12A、12Bを有する。出力端子12A、12Bを介して、半導体デバイス11は、電圧、電流、信号などを1つまたは複数のさらなるデバイスに送信してもよい。例えば、1つの実施態様では、半導体デバイス11は、ハーフブリッジ構成のトランジスタを含み、出力端子12A、12Bを介して、電気モータまたは他の電化製品を駆動してもよい。本願明細書で用いられる出力端子という用語は、半導体デバイス11が電圧、電流、信号などを出力することができる任意の端子またはノードを含み、入力端子および出力端子の両方として用いられる端子を含む。
【0017】
動作中、半導体デバイス11は、電力を消散し、半導体デバイス11の加熱につながる。冷却のために、半導体デバイス11は、熱経路13を介してヒートシンク14に結合される。ヒートシンク14は、任意の従来使用されているヒートシンク、例えば、金属ブロックでもよい。熱経路13は、半導体デバイス11をヒートシンク14に熱的に結合するための、当業者に知られている任意の従来の材料、層などを含んでもよい。例えば、熱経路は、半導体デバイスが実装されるチップダイ、チップはんだ、焼結物層、直接接合銅(DBC)、銅層、DBCセラミック層、システムはんだ、ベースプレート、接着剤などを含んでもよい。
【0018】
熱経路13は、時間とともに劣化しうる。例えば、上述した熱経路13の構成要素間の熱結合が劣化しうる、熱経路において用いられるはんだまたは接着剤が劣化しうる、などである。この種の劣化によって、熱経路13の熱インピーダンスは増加するので、半導体デバイスおよびヒートシンクの同じ温度のために、同じ温度差のために、半導体デバイス11からヒートシンク14までの間に消散する可能性がある熱量は減少する。実際には、これは、半導体デバイス11の過熱につながり、それによって、ひいては望ましくないことに、半導体デバイス11に損傷を与えうるか、または、例えば、半導体デバイス11の緊急シャットダウンが生じうる。以下では、熱インピーダンスを経時的に監視し、熱経路13の劣化を早期に検出するために、さまざまな実施形態による技術が述べられる。次に、例えば、過熱によるすべての他の問題が生ずる前に、デバイス10は交換されてもよい。
【0019】
特に、以下に記載されている技術は、熱経路13の少なくとも一部の熱インピーダンスの測定および監視を可能にする。「少なくとも一部」とは、全熱経路13の熱インピーダンスが監視されてもよいことを意味するか、または、他の実施態様では、熱経路13の一部のみ、例えば、類似のデバイスでの以前の経験から特に劣化の傾向があると知られている部分のみの熱インピーダンスが監視されてもよいことを意味する。
【0020】
説明の容易さのために、以下の例では、全熱経路13の熱インピーダンスが測定されると仮定する。しかしながら、説明はまた、熱経路13の一部の熱インピーダンスのみを測定するためにもあてはまる。
【0021】
概して、熱インピーダンスを決定するために、定義済みの熱源に対応する定義済みの電力消散は、熱経路の一端で適用され、熱経路の2つの端の間の温度差が測定される。
【0022】
温度差を測定するために、デバイス10は、熱経路13の第1の端(半導体デバイス11の端)で第1の温度T1を測定する第1の温度センサ15と、ヒートシンク14に隣接した熱経路13の第2の端で温度T2を測定するための第2の温度センサ16と、を含む。温度T1、T2は、熱経路13の熱インピーダンスの測定および監視を制御するテストコントローラ17に提供される。熱経路13の一部のインピーダンスのみが監視される場合、温度センサ15、16は、対応してこの一部の端に配置される。また、3つ以上の温度センサが提供され、熱経路13の複数の部分の熱インピーダンスを同時に監視してもよい。テストコントローラは、任意の適切な制御装置でもよく、例えば、マイクロコントローラまたは特定用途向け集積回路を含んでもよい。テストコントローラ17は、専用のテストコントローラでもよいし、または、他の目的のために、例えば、通常動作の間、デバイス10を制御するために用いられるコントローラでもよい。
【0023】
温度センサ15、16として任意の従来の温度センサを用いてもよい。例えば、半導体デバイス11で温度を測定するために、温度センサ15は、接合部温度測定を提供するための直列接続したダイオードを含んでもよい。同様に、他の従来の温度センサを用いてもよい。第2の温度センサ16として、例えば、熱経路の端のベースプレートに、例えば、NTC(負の温度係数)サーミスタを用いてもよい。
【0024】
このようにして、熱経路にわたる温度差Tは、T=T1-T2として決定されてもよい。
【0025】
制御された電力消散を提供するために、半導体デバイス11の1つまたは複数の寄生容量が用いられる。
【0026】
概して、寄生容量は、専用コンデンサとしては実施されないが、半導体デバイスの設計に固有に存在する容量である。この種の寄生容量は、例えば、デバイスの端子間の容量として、デバイスと基板との間の容量としてなど、すべてではないが、大部分の半導体デバイス設計に存在する。寄生容量およびその容量値は、半導体デバイスの設計によって一定であり、それゆえ、実質的に一定量である。図1において、半導体デバイス11のこの種の1つまたは複数の寄生容量は、寄生容量18によって表現される。
【0027】
熱経路13の熱インピーダンスを決定するための定義済みの電力消散を生成するために、実施形態では、寄生容量18は、テストコントローラ17によって制御されてリロードされ、特に、繰り返しリロードされる。例えば、寄生容量18がトランジスタスイッチの寄生容量である場合、DC電圧(この種のDC電圧は、容量の荷電に必要である)が、寄生容量18をリロードするために、トランジスタスイッチに印加される間、トランジスタスイッチは、繰り返しスイッチングオン/オフされてもよい。出力端子12A、12Bの間、および、半導体デバイス11に結合された負荷を通って電流が流れないという結果を伴って、同じ電圧が出力端子12A、12Bに存在するように、リロードが実行される。例えば、これを達成するために、電圧が端子12A、12Bで同じに維持されるように、出力端子12A、12Bに結合されたトランジスタは、容量18をリロードするために対称形の方法でスイッチングされてもよい。
【0028】
スイッチングオン/オフの繰り返しの数は、測定ごとに一定でもよいし、または、予め決定されてもよい。例えば、熱インピーダンスを測定するための測定サイクルごとに、スイッチングオン/オフは、おそらくn回実行され、nは、1より大きい任意の数でもよい。繰り返しの数および周波数を一定に保つことによって、消散電力が測定ごとに同一であることを確実にすることができる。スイッチングの繰り返しがより多く実行されるほど、半導体デバイス11内の消散電力はより大きい。これは、結果として、測定値の信号対雑音比の増加につながりうる。他方、スイッチングのあまりに多くの繰り返しは、熱緩和プロセスに起因して測定の品質に影響を及ぼす冗長な測定手順につながりうる。
【0029】
半導体デバイスの寄生容量は、温度および経年劣化から実質的に独立している。したがって、この方法によって生ずる電力消散は、半導体デバイス11自体の構造およびそれにより生ずる寄生容量18ならびにコントローラ17によって制御されるリロードの周波数および印加される電圧のみに従属する。それゆえ、このようにして、定義済みの電力消散を取得することができる。有利には、いくつかの実施形態において、寄生容量は、まったく経年劣化する傾向がないか、または、無視できる量しか経年劣化しないので、定義済みの電力消散は、長期間にわたり、例えば、数年または数十年一定のままとなりうる。特に、実行される測定ごとに、確実に同じ電力消散となりうる。電力消散および温度差Tに基づいて、熱インピーダンスのための測定値が計算されてもよい。「熱インピーダンスの測定値」とは、結果として生ずる量、すなわち、測定値が、熱インピーダンスおよび特にその変化を示すことを意味する。
【0030】
いくつかの実施形態において、寄生容量18が、例えば、設計に基づいて量的に決定されうるとき、次に、電力消散の絶対値も既知となる。このようにして、電力消散および熱インピーダンスは、量的に決定されてもよい。
【0031】
他の実施形態では、常に同じ周波数および電圧が、寄生容量18をリロードするために印加されるか、または、電圧が変化する場合、電圧と電力消散との間の対応する相関が前もって較正によって決定され、次に、それに応じて結果が補償されることを確実にすれば十分である。この場合には、常に同じ電力消散が発生する(かまたは補償される)ので、例えば、温度差のみを測定値として取得してもよい。温度差が時間とともに変化する場合、測定が繰り返し(例えば、毎日、毎週、毎月など)実行されるとき、これは、熱経路の劣化を示しうる。換言すれば、測定値は、熱インピーダンスの定量的尺度である必要はなく、多くのアプリケーションにおいて、熱経路の熱インピーダンスの変化が測定値によって反映されれば十分である。
【0032】
図2は、実施形態に従う方法を示すフローチャートである。図2の方法は、図1のデバイスまたは後述されるデバイスのいずれかにおいて実施されてもよいが、これに制限されるものではない。繰り返しを避けるために、図2を説明するとき、図1の上述した説明を参照する。
【0033】
20において、図2の方法は、寄生容量18について上述したように、1つまたは複数の寄生容量をリロードすることによって、半導体デバイス内の電力消散を生じさせるステップを含む。これは、半導体デバイスの少なくとも2つの出力端子、例えば、図1の出力端子12A、12Bの電圧が同じレベルであるように行われる。
【0034】
21において、方法は、評価される熱経路の一部の第1の端で、第1の温度を測定するステップを含み、22において、方法は、その一部の第2の端で、第2の温度を測定するステップを含み、例えば、図1の温度T1およびT2を測定する。
【0035】
23において、方法は、上述した図1に関しても説明されるように、熱インピーダンスの測定値を、例えば、実質的に静止した状態において、例えば、電力消散に応答して確立される第1の温度と第2の温度との間の温度差として、または、電力消散が量的に既知の場合、第1の温度と第2の温度との間の差と、消散電力と、の間の比率として決定するステップを含む。
【0036】
実施形態において、熱経路またはその一部のインピーダンス測定は、半導体デバイス11が能動的に用いられない期間に実行される。さらに、実施形態において、寄生容量をリロードすることによる電力消散の生成は十分に長いので、実質的に静止した状態に到達する。図3は、対応するタイミング図を示す。曲線30は、半導体デバイスの接合部温度Tvjを経時的に示し、図3の例では、半導体デバイスは、3相モータのようなモータを制御するために用いられる電力インバータでもよい。
【0037】
時間aまでの期間31において、半導体デバイスは、半導体デバイスの目的に従って通常動作し、これは、特定の温度挙動につながる。これに続いて、時間aとbとの間、冷却期間が続き、冷却期間の間、熱経路のインピーダンスを測定する前に、半導体デバイスは、例えば、周囲温度またはその近くまで冷却される。例えば、時間aと時間bとの間の持続期間は、熱経路の熱定数τの少なくとも3倍、例えば、3倍から5倍、またはそれ以上、例えば、5秒以上または10秒以上でもよい。さらに一般的にいえば、半導体デバイス11が少なくともある程度熱平衡であるかが決定されてもよい。例えば、半導体デバイス11が所定の平衡基準を満たすかが決定されてもよい。所定の平衡基準は、以下の1つまたは複数、すなわち、時間に対するT1の勾配が、第1の所定の値より小さいこと、時間に対するT2の勾配が、第2の所定の値より小さいこと、T1と周囲温度との間の温度差が、第3の所定の値より小さいこと、T2と周囲温度との間の温度差が、第4の所定の値より小さいこと、または、時間aと時間bとの間の持続期間が、所定の持続期間を超えることを備えてもよい。上述した第1から第4の所定の値および所定の持続期間は、例えば、較正測定値に基づいて決定されてもよく、平衡基準が満たされるまでの時間が、熱定数τを超えること、例えば、持続期間に関して上述したように、3倍から5倍であることを確実にしてもよい。
【0038】
これに続いて、時間bと時間cとの間の加熱段階32において、上述したように寄生容量をリロードすることに基づく加熱が続く。持続期間は十分長いので、静止挙動、例えば、再び3τ、5τまたはそれ以上、例えば、少なくとも5秒または少なくとも10秒を実質的に確実にする。次に、段階32後の時間cにおいて、温度の測定は実行され、段階33の冷却が時間dまで続く。時間d以降、次に、図3の例では、段階34の時間eにおいて起こるように通常動作が再開されてもよい。時間cにおける温度の測定値を用いて、熱インピーダンスの測定値を計算する。いくつかの実施形態において、段階33またはその一部にわたる温度の時間挙動も加えて監視されてもよく、熱インピーダンスは、時間挙動に基づいて計算されてもよい。
【0039】
測定は、上述したように、デバイス10の耐用期間の間、複数回、例えば、毎日、毎月、毎年、または、デバイスの使用に応じた時間間隔、例えば、所定の動作時間の後、実行されてもよい。参照測定は、デバイス10の耐用期間の初めに行われてもよく、その後の測定は、この参照測定と比較されてもよく、所定の量または所定の比率より多い偏差は、デバイス10が修理または交換されるのを必要とする熱経路の劣化を示してもよい。好ましくは、通常動作がいずれにしろ発生しない場合、例えば、半導体デバイスが昼間にのみ用いられるときは夜に、サービスダウンタイムに、または、車両の停止の間などに測定が実行される。
【0040】
次に、上述した技術が適用されてもよい半導体デバイスの具体例が述べられる。後述される半導体デバイスは、トランジスタスイッチおよびその寄生容量を用いる。図4は、いくつかの実施形態において使用可能な絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)40の一例の回路図を示す。他の実施形態において、MOSFETまたはJFETのような電界効果トランジスタ(FET)のような他のタイプのトランジスタ、高電子移動度トランジスタ(HEMT)は、類似の寄生容量を有するスイッチとして用いられてもよい。この種のトランジスタは、IV族材料、例えば、シリコン(Si)もしくは炭化ケイ素(SiC)、または、窒化ガリウム(GaN)のようなIII-V族化合物のような異なる半導体材料に基づいてもよい。それゆえ、トランジスタスイッチのための例としてIGBT40を用いる以下の詳細な説明は、他のタイプのトランジスタに類似して適用され、または、(例えば、トランジスタセルとして)高電圧アプリケーションのためのスタックトランジスタセルまたは高電流アプリケーションのためのパラレルトランジスタセルのようないくつかのトランジスタを含む半導体スイッチにも適用される。
【0041】
図4のIGBT40は、ゲート端子G、コレクタ端子Cおよびエミッタ端子Eを有する理想的なIGBT41を含む。「理想的な」とは、寄生成分、特に寄生容量が図4において別々に示されるので、理想的なIGBT41は、「IGBT機能」そのもののみを表現することを意味する。加えて、IGBTベースのスイッチではしばしば見られるように、図示のダイオード42が設けられる。寄生容量は、コレクタゲート容量CCG、ゲートエミッタ容量CGE、コレクタエミッタ容量CCEおよびダイオード42により提供される容量CKAを含む。IGBT40が、印加されるDC電圧により繰り返しスイッチングオン/オフされるとき、寄生容量はリロードされ、すなわち、充電および放電が行われ、電力消散につながり、これは、実施形態において用いられる。
【0042】
図5は、図1の半導体デバイス11として機能してもよい半導体デバイスを接続負荷とともに示す。図5の半導体デバイスは、3相インバータとして機能してもよい3つのハーフブリッジに配置される6つのスイッチを含む。他の実施形態では、例えば、2相インバータが用いられてもよい。第1のハーフブリッジは、出力ノードAを有するハイサイドスイッチSHS_AおよびローサイドスイッチSLS_Aを含み、第2のハーフブリッジは、出力ノードBを有するハイサイドスイッチSHS_BおよびローサイドスイッチSLS_Bを含み、第3のハーフブリッジは、出力ノードCを有するハイサイドスイッチSHS_CおよびローサイドスイッチSLS_Cを含む。これらのスイッチは、図4に示すIGBT、MOSFETスイッチまたは他の種類のトランジスタスイッチでもよい。動作中、それらは、正の供給電圧Vsupply+と負の供給電圧Vsupply-との間に結合されるので、全体的な供給電圧(Vsupply+-Vsupply-)が用いられる。出力ノードA、BおよびCは、半導体デバイスの図1の出力端子12A、12Bのような出力端子のための例である。負荷として、図5の例では、3相モータの巻線でもよい、インダクタL1、L2、L3を含む誘導負荷が示される。図5において、電力供給のためのレールとグラウンドとの間の容量は、CDCとラベル付けされる。
【0043】
出力ノードA、BおよびCを同一電圧レベルに保ちながら、寄生容量をリロードするために、ローサイドスイッチSLS_A、SLS_B、SLS_Cが開放している間、すべてのハイサイドスイッチSHS_A、SHS_BおよびSHS_Cを交互に閉成し、ハイサイドスイッチが開放し、ローサイドスイッチが閉成する逆の場合が続く。通常、この間に、すべてのスイッチが開放されている待ち時間が挿入され、待ち時間において、すべてのスイッチが開放されることにより、Vsupply+とVsupply-との間の偶発的な短絡を防止する。
【0044】
このように、ノードA、BおよびCの電圧が常に同一であるとき、電流は、インダクタL1、L2、L3を介して流れない。3相ベクトル制御に関して、これは、ゼロベクトルに対応する。
【0045】
測定が常に同じ供給電圧によって実行される場合、測定値は直ちに比較できる。ただし、リロードの持続期間およびその周波数は同一である。周波数は、例えば、デバイスが通常動作で用いられるスイッチング周波数の2から8倍の範囲でもよい。上述したように、供給電圧Vsupply+、Vsupply-が変化する場合、対応する較正が実行されてもよく、インピーダンス測定の結果は、それに応じて適合されてもよい。
【0046】
負荷の結合は、追加の容量につながってもよい。これらは、図6および図7に示される。以下に記載されている追加の容量以外、図6および図7は、図5に対応し、対応する部分は、再度説明されることはない。
【0047】
図6は、導体(インダクタ)の間の容量CAB、CBCおよびCCAを示し、ノードA、B、Cの間の寄生容量を結果として生ずる。本願明細書において述べられるアプローチと同様に、A、BおよびCでの電圧は、同じレベルに維持され、これらの容量にわたる電圧差はゼロであるので、本願明細書において述べられるアプローチでリロードされず、無視することができる。
【0048】
図7は、グラウンドEに対する追加の容量、すなわち、CAE、CBEおよびCCEを示す。グラウンドEは、通常、供給電圧の半分である。これらの容量はまた、上述した方法を実行するとき、リロードされる。しかしながら、グラウンドEが、供給電圧Vsupply+、Vsupply-の中間、すなわち、Vsupply+(Vsupply+-Vsupply-)/2であるとき、これらの容量は、半導体デバイスのハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチに関して対称の挙動を有する。さらに、容量CAE、CBEおよびCCEは、負荷の形状によって与えられるとき、通常すべての3相の間等しく、温度に関して一定である。それゆえ、これらの容量は、対称かつ温度から独立した電力消散をせいぜい引き起こすだけであり、これは、方法の各アプリケーションのために同一であり、それゆえ、測定値の間の結果の比較可能性に影響しない。しかしながら、非対称の場合は、ハーフブリッジの非対称の損失分布につながる一方(例えば、ハイサイドスイッチよりローサイドスイッチを加熱する(heasting))、測定値の間の比較可能性は、依然として確実にされるので、質的(定性的)な監視は、依然として実行されうる点に留意されたい。これらの容量が既知の場合、これらの容量を考慮する熱インピーダンスの絶対測定が可能であり、電圧依存を含み(半導体デバイスの寄生容量は、電圧に依存しうる)、熱インピーダンスの絶対測定が可能である。しかしながら、少なくとも監視目的のために、結果が比較可能であれば、すなわち、熱経路の劣化が検出可能であれば、通常十分である。
【0049】
いくつかの実施形態は、以下の例によって定義される。
【0050】
例1.少なくとも2つの出力端子を有する半導体デバイスとヒートシンクとの間の熱経路の少なくとも一部の熱インピーダンスを監視する方法であって、方法は、
少なくとも2つの出力端子が同一電圧レベルにあるように、半導体デバイスの寄生容量をリロードすることによって、半導体デバイス内の電力消散を生じさせるステップと、
熱経路の一部の第1の端で、電力消散に応答して、第1の温度を測定するステップと、
熱経路の一部の第2の端で、電力消散に応答して、第2の温度を測定するステップと、
第1の温度および第2の温度に基づいて、熱インピーダンスの測定値を決定するステップと、
を含む方法。
【0051】
例2.測定値を決定するステップは、消散電力と、第1の温度と第2の温度との間の差分と、の間の比率を決定するステップを含む、例1の方法。
【0052】
例3.寄生容量をリロードするステップは、半導体デバイスの1つまたは複数のトランジスタを繰り返しスイッチングオン/オフするステップを含む、例1または2の方法。
【0053】
例4.1つまたは複数のトランジスタは、少なくとも2つの出力端子の各々のために、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを含むそれぞれのハーフブリッジを備え、各出力端子は、それぞれのハイサイドトランジスタとそれぞれのローサイドトランジスタとの間のノードに結合され、半導体デバイスの少なくとも1つのトランジスタを繰り返しスイッチングオン/オフするステップは、
-すべてのハーフブリッジのローサイドトランジスタをスイッチングオフするとともにすべてのハーフブリッジのハイサイドトランジスタをスイッチングオンするステップと、
-すべてのハーフブリッジのハイサイドトランジスタをスイッチングオフするとともにすべてのハーフブリッジのローサイドトランジスタをスイッチングオンするステップと、
を繰り返すことを含む、例3の方法。
【0054】
例5.電力消散を生じさせるステップ、第1の温度を測定するステップ、第2の温度を測定するステップおよび測定値を決定するステップは、時間とともに繰り返し実行され、方法は、測定値を時間とともに評価することによって、熱経路の一部の劣化を検出するステップをさらに含む、例1から4のいずれかの方法。
【0055】
例6.繰り返し実行することは、半導体デバイスの耐用期間を通じて繰り返し実行することを含む、例5の方法。
【0056】
例7.第1の端は、半導体デバイスにあり、第2の端は、ヒートシンクにある、例1から6のいずれかの方法。
【0057】
例8.熱経路の少なくとも一部は、全熱経路を含む、例1から7のいずれかの方法。
【0058】
例9.方法は、リロードが基づく電圧に基づいて、測定値を調節するステップをさらに含む、例1から8のいずれかの方法。
【0059】
例10.方法は、少なくとも2つの出力端子が負荷に結合される間、実行される、例1から9のいずれかの方法。
【0060】
例11.測定値は、負荷の存在により生ずるグラウンドに対する容量に基づいて、さらに決定される、例10の方法。
【0061】
例12.半導体デバイスは、3相インバータを備え、少なくとも2つの出力端子は、3相インバータの3つの出力端子を備える、例1から11のいずれかの方法。
【0062】
例13.電力消散を生じさせるステップは、所定の平衡基準が満たされる場合にのみ、実行される。例1から12のいずれかの方法。
【0063】
例14.所定の平衡基準は、以下からなる群、すなわち、
-半導体デバイスが、少なくとも所定の第1の持続期間の間不活性であったことと、
-半導体デバイスが、熱経路の熱時定数の少なくとも3倍の持続期間の間不活性であったことと、
-時間に対する第1の温度の勾配が、第1の所定の値より小さいことと、
-時間に対する第2の温度の勾配が、第2の所定の値より小さいことと、
-第1の温度と周囲温度との間の温度差が、第3の所定の値より小さいことと、
-第2の温度と周囲温度との間の温度差が、第4の所定の値より小さいことと、
のうちの少なくとも1つを備える、例13の方法。
【0064】
例15.電力消散を生じさせるステップは、所定の第2の持続期間の間、実行される、例1から14のいずれかの方法。
【0065】
例16.所定の第2の持続期間は、熱経路の熱時定数の少なくとも3倍である、例15の方法。
【0066】
例17.熱経路は、半導体デバイスが実装されるチップダイ、チップはんだ、焼結物層、直接接合銅、DBC、銅層、DBCセラミック層、システムはんだ、ベースプレートおよび接着剤からなる群から選択される1つまたは複数の要素を備える、例1から16のいずれかの方法。
【0067】
例18.
少なくとも2つの出力端子を有する半導体デバイスと、
ヒートシンクと、
半導体デバイスをヒートシンクに熱的に結合させる熱経路と、
テストコントローラと、
を備えるデバイスであって、
テストコントローラは、
半導体デバイスの少なくとも2つの出力端子が同一電圧レベルにあるように、半導体デバイスの寄生容量をリロードすることによって、半導体デバイス内の電力消散を生じさせ、
熱経路の一部の第1の端で、電力消散に応答して、測定された第1の温度を受信し、
熱経路の一部の第2の端で、電力消散に応答して、測定された第2の温度を受信し、
第1の温度および第2の温度に基づいて、熱インピーダンスの測定値を決定するように構成される、
デバイス。
【0068】
例19.デバイスは、例1から17のいずれかの方法を実施するように構成される、例18のデバイス。
【0069】
例20.測定値を決定するために、テストコントローラは、消散電力と、第1の温度と第2の温度との間の差分と、の間の比率を決定するように構成される、例18または19のデバイス。
【0070】
例21.寄生容量をリロードするために、テストコントローラは、半導体デバイスの1つまたは複数のトランジスタを繰り返しスイッチングオン/オフさせるように構成される、例18から20のいずれかのデバイス。
【0071】
例22.1つまたは複数のトランジスタは、少なくとも2つの出力端子の各々のために、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを含むそれぞれのハーフブリッジを備え、各出力端子は、それぞれのハイサイドトランジスタとそれぞれのローサイドトランジスタとの間のノードに結合され、半導体デバイスの少なくとも1つのトランジスタを繰り返しスイッチングオン/オフするために、テストコントローラは、
-すべてのハーフブリッジのローサイドトランジスタをスイッチングオフするとともにすべてのハーフブリッジのハイサイドトランジスタをスイッチングオンするステップと、
-すべてのハーフブリッジのハイサイドトランジスタをスイッチングオフするとともにすべてのハーフブリッジのローサイドトランジスタをスイッチングオンするステップと、
を繰り返させるように構成される、例21のデバイス。
【0072】
例23.テストコントローラは、電力消散を生じさせること、測定された第1の温度を受信すること、測定された第2の温度を受信することおよび測定値を決定することを、時間とともに繰り返し実行するように構成され、テストコントローラは、測定値を時間とともに評価することによって、熱経路の一部の劣化を検出するようにさらに構成される、例18から22のいずれかのデバイス。
【0073】
例24.繰り返し実行することは、半導体デバイスの耐用期間を通じて繰り返し実行することを含む、例23のデバイス。
【0074】
例25.第1の端は、半導体デバイスにあり、第2の端は、ヒートシンクにある、例18から24のいずれかのデバイス。
【0075】
例26.熱経路の少なくとも一部は、全熱経路を含む、例18から25のいずれかのデバイス。
【0076】
例27.テストコントローラは、リロードが基づく電圧に基づいて、測定値を調節するように構成される、例18から26のいずれかのデバイス。
【0077】
例28.少なくとも2つの出力端子は、負荷に結合される、例18から27のいずれかのデバイス。
【0078】
例29.テストコントローラは、負荷の存在により生ずるグラウンドに対する容量に基づいて、測定値をさらに決定するように構成される、例28のデバイス。
【0079】
例30.半導体デバイスは、3相インバータを備え、少なくとも2つの出力端子は、3相インバータの3つの出力端子を備える、例18から29のいずれかのデバイス。
【0080】
例31.テストコントローラは、半導体デバイスが少なくとも所定の第1の持続期間の間不活性であった後、電力消散を生じさせるように構成される、例18から30のいずれかのデバイス。
【0081】
例32.所定の第1の持続期間は、熱経路の熱時定数の少なくとも3倍である、例31のデバイス。
【0082】
例33.テストコントローラは、所定の第2の持続期間に電力消散を生じさせるように構成される、例18から32のいずれかのデバイス。
【0083】
例34.所定の第2の持続期間は、熱経路の熱時定数の少なくとも3倍である、例33のデバイス。
【0084】
例35.熱経路は、半導体デバイスが実装されるチップダイ、チップはんだ、焼結物層、直接接合銅、DBC、銅層、DBCセラミック層、システムはんだ、ベースプレートおよび接着剤からなる群から選択される1つまたは複数の要素を備える、例18から34のいずれかのデバイス。
【0085】
本願明細書において、特定の実施形態が示され、記載されてきたが、当業者によって、さまざまな代替および/または均等な実施態様が、本発明の範囲を逸脱しない範囲で、図示され、記載される特定の実施形態と置換されてもよいことを認識されたい。この出願は、本願明細書において議論される特定の実施形態のあらゆる適合または変更をカバーすることを意図する。それゆえ、本発明は、請求項およびその均等物のみによって限定されることを意図する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】