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  • 特開-電子黒板システム及びその構築方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039030
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】電子黒板システム及びその構築方法
(51)【国際特許分類】
   B43L 1/04 20060101AFI20240313BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
B43L1/04 F
G03B21/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023209360
(22)【出願日】2023-12-12
(62)【分割の表示】P 2022110497の分割
【原出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】523330721
【氏名又は名称】一般社団法人日本未来黒板研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】坂和 勝紀
(57)【要約】
【課題】比較的低コストにて設置でき、多くの人が手馴れているスマホ操作にて手軽に使用できるために、教師にも抵抗なく受け入れられ、また、従来の板書授業形態を維持し得る電子黒板システム及びその構築方法を提供することを課題とする。
【解決手段】スクリーン機能を有する筆記用ボード2と、筆記用ボード2の上部に設置されるプロジェクター4と、プロジェクター4に接続されてプロジェクター4にキャスト機能とミラーリング機能とを付与する小型デバイスと、前記小型デバイスを介してプロジェクター4を操作する携帯端末5とを含んで構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン機能を有する筆記用ボードと、前記筆記用ボードの上部に設置されるプロジェクターと、前記プロジェクターに接続されて前記プロジェクターにキャスト機能とミラーリング機能とを付与する小型デバイスと、前記小型デバイスを介して前記プロジェクターを操作する携帯端末とを含んで構成される電子黒板システム。
【請求項2】
前記筆記用ボードは、既設の黒板の表面材を貼り替えて又は塗り替えてスクリーン機能を持たせたものである、請求項1に記載の電子黒板システム。
【請求項3】
前記プロジェクターは、超短焦点壁掛け型のプロジェクターである、請求項1に記載の電子黒板システム。
【請求項4】
前記携帯端末は、スマートフォン又はタブレットである、請求項1に記載の電子黒板システム。
【請求項5】
前記小型デバイスはストリーミングデバイスであって、前記プロジェクターにHDMI(登録商標)接続され、前記携帯端末にWi-Fi接続される、請求項1に記載の電子黒板システム。
【請求項6】
スクリーン機能を有する筆記用ボードを電子黒板化する方法であって、
前記筆記用ボードの上部にプロジェクターを設置し、前記プロジェクターにキャスト機能とミラーリング機能とを付与する小型デバイスを前記プロジェクターに接続し、前記小型デバイスを介して前記プロジェクターを操作する携帯端末を前記小型デバイスに接続することを特徴とする電子黒板システムの構築方法。
【請求項7】
前記筆記用ボードは、既設の黒板の表面材を貼り替えて又は塗り替えてスクリーン機能を持たせたものである、請求項6に記載の電子黒板システムの構築方法。
【請求項8】
前記プロジェクターは、超短焦点壁掛け型のプロジェクターである、請求項6に記載の電子黒板システムの構築方法。
【請求項9】
前記携帯端末は、スマートフォン又はタブレットである、請求項6に記載の電子黒板システムの構築方法。
【請求項10】
前記小型デバイスはストリーミングデバイスであって、前記プロジェクターにHDMI(登録商標)接続し、前記携帯端末にWi-Fi接続する、請求項6に記載の電子黒板システムの構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子黒板システム及びその構築方法に関するものであり、より詳細には、令和元年に発表されたGIGAスクール構想の実現に寄与し得る電子黒板システム及びその構築方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
令和元年にGIGAスクール構想の実現パッケージが発表されたことを受けて、各学校において校内LANが整備され、学校ICT導入・利活用が急速に進んでいる。このGIGAスクール構想の骨子は、児童・生徒1人1人に個別化され、創造性を育む教育ICT環境の構築である。具体的には、児童・生徒1人1人に学習者用端末(タブレット)が与えられ、各教室に配備される電子黒板を用いての授業ということになる。
【0003】
しかるに、各教室には黒板が設置されていて、古くから学校における授業は黒板への板書を基本に進められてきており、児童・生徒、教師共に馴染のある授業法であり、たとえICT教育が進んだとしても捨てがたいものである。一方、教室ごとに従来の黒板等の他に電子黒板を用意することは、予算の面及び設置スペースの面で限度がある。特に、黒板に代わるような大型の電子黒板を導入することは、極めて困難なことである。
【0004】
そこで、既存の黒板やホワイトボードを利用し、ボード上部にプロジェクターを配設し、ボードに映写することでボードを電子黒板化(インタラクティブ化)することが考えられている。そしてその場合、映写範囲が狭いために、プロジェクターを左右に移動可能にし、映写位置が変えられるようにすることが考えられている(特開2021-128299号公報、特開2018-189925号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-128299号公報
【特許文献2】特開2018-189925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来提案されている上記システムのうち、プロジェクターによって、既存の黒板等を電子黒板化する方法の場合は、画像が不鮮明であるという問題があり、また、左右に移動させるタイプの場合は移動端においてプロジェクターに多少なりとも衝撃が加わるために故障の原因となり、更に、近時急速に性能が向上している電子黒板の利点を生かせないという不利な点がある。また、電子黒板を黒板の前側に設置して左右にスライド可能にするタイプの場合も、重量のある電子黒板をスライド可能に支持する機構の設置にコストがかかり、更にこの場合も、移動端において衝撃が加わることにより、電子黒板が故障しやすいという問題もある。
【0007】
本発明は、上記従来のシステムにおける問題に鑑みてなされたもので、比較的低コストにて設置でき、多くの人が手馴れているスマホ操作にて手軽に使用できるために、教師にも抵抗なく受け入れられ、また、従来の板書授業形態を維持し得る電子黒板システム及びその構築方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、スクリーン機能を有する筆記用ボードと、前記筆記用ボードの上部に設置されるプロジェクターと、前記プロジェクターに接続されて前記プロジェクターにキャスト機能とミラーリング機能とを付与する小型デバイスと、前記小型デバイスを介して前記プロジェクターを操作する携帯端末とを含んで構成される電子黒板システムである。
【0009】
一実施形態においては、前記筆記用ボードは、既設の黒板の表面材を貼り替えて又は塗り替えてスクリーン機能を持たせたものである。
【0010】
一実施形態においては、前記プロジェクターは、超短焦点壁掛け型のプロジェクターである。また、前記携帯端末は、スマートフォン又はタブレットである。
【0011】
一実施形態においては、前記小型デバイスはストリーミングデバイスであって、前記プロジェクターにHDMI(登録商標)接続され、前記携帯端末にWi-Fi接続される。
【0012】
上記課題を解決するための請求項6に係る発明は、スクリーン機能を有する筆記用ボードを電子黒板化する方法であって、
前記筆記用ボードの上部にプロジェクターを設置し、前記プロジェクターにキャスト機能とミラーリング機能とを付与する小型デバイスを前記プロジェクターに接続し、前記小型デバイスを介して前記プロジェクターを操作する携帯端末を前記小型デバイスに接続することを特徴とする電子黒板システムの構築方法である。
【0013】
一実施形態においては、前記筆記用ボードは、既設の黒板の表面材を貼り替えて又は塗り替えてスクリーン機能を持たせたものである。
【0014】
一実施形態においては、前記プロジェクターは、超短焦点壁掛け型のプロジェクターである。また、前記携帯端末は、スマートフォン又はタブレットである。
【0015】
一実施形態においては、前記小型デバイスはストリーミングデバイスであって、前記プロジェクターにHDMI(登録商標)接続し、前記携帯端末にWi-Fi接続する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上記のとおりであって、本発明に係る電子黒板システムは各教室に比較的低コストにて設置することができ、多くの人が手馴れているスマホ操作にて手軽に使用できるので、教師にも抵抗なく受け入れられ、また、筆記用ボードの書き消し機能はそのまま維持されるので、従来の板書授業形態を維持し得る効果があり、また、本発明に係る電子黒板システムの構築方法によれば、上記電子黒板システムを既設の黒板を利用する等により比較的低コストにて容易に構築することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る電子黒板システムの構成を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態につき、添付図面を参照して説明する。本発明に係る電子黒板システムは、主に学校の教室の正面壁1に設置されるものであって、スクリーン機能を有する筆記用ボード2と、筆記用ボード2の上部に設置されるプロジェクター4と、プロジェクター4に接続されてプロジェクター4にキャスト機能とミラーリング機能とを付与する小型デバイスと、小型デバイスを介してプロジェクター4を操作する携帯端末5とを含んで構成される。
【0019】
本発明に係る電子黒板システムの構築方法は、上記電子黒板システムを構築するための方法であり、スクリーン機能を有する筆記用ボードを電子黒板化する方法であって、スクリーン機能を有する筆記用ボード2の上部にプロジェクター4を設置し、プロジェクター4にキャスト機能とミラーリング機能とを付与する小型デバイスをプロジェクター4に接続し、小型デバイスを介してプロジェクター4を操作する携帯端末5を小型デバイスに接続することを特徴とするものである。
【0020】
筆記用ボード2は、既設の黒板、あるいは、ホワイトボードをそのまま利用することができるが、筆記用ボード2は筆記用途の他にプロジェクター4による投写スクリーンとなるものであるので、必要に応じて、表面材の張替えや塗り替えを行う。筆記用ボード2は、通例、壁固定式であるが、上下動可能に構成されることもある。上下動可能にするための構成は、既存の周知の構成を採用することができる。
【0021】
プロジェクター4は電子黒板機能を搭載した、好ましくは、超短焦点壁掛け型のプロジェクターであり、筆記用ボード2の上辺中央部に、あるいは、筆記用ボード2の中央部に向くようにして正面壁1に、取り付けアームを介して取り付けられる。プロジェクター4は、携帯端末5の画面ミラーリングが可能なものとされる。プロジェクター4としてこのミラーリング機能を搭載したものを用いる場合は、そのプロジェクターメーカーが提供する専用アプリを携帯端末5にインストールする。また、そのような機能を搭載していないプロジェクター4を用いる場合は、プロジェクター4に、キャスト機能とミラーリング機能とを有する小型デバイスであるストリーミングデバイスをHDMI(登録商標)接続し、これに携帯端末5をWi-Fi接続する。
【0022】
ストリーミングデバイスとしては、広く出回っていて、5千円以下で入手できるグーグル社のクロームキャストを用いることが推奨される。なお、ここにいうキャスト機能とは、携帯端末5からストリーミングデバイスに転送される視聴中の動画を、プロジェクター4を介して筆記用ボード2に、より大きく投写させる機能である。また、ミラーリング機能は、携帯端末5に保存されているコンテンツ画面を、プロジェクター4を介してそのまま筆記用ボード2に投写して画面共有可能にする機能である。
【0023】
本発明に係る電子黒板システムを教育現場において実施する場合は、携帯端末5において教材等のコンテンツを作成、編集して保存しておく。教材は、市販されている電子教材や、無償で提供されている教材をインストールしてそのまま利用することができ、また、それを教師が独自にカスタマイズしたものを用いることもできる。更に、テレビやYouTube(登録商標)等の画面を利用することもできる。使用教材の作成、編集は、別途PCを用いて行い、携帯端末5に保存しておくこともできる。
【0024】
教師は、筆記用ボード2から離れた位置において携帯端末5を手元操作(片手での操作が可能)して、その表示部に選択表示させたコンテンツ画面を、そのままプロジェクター4を介して筆記用ボード2にミラーリング投写させることができる。最近では、老若男女を問わず、多くの人がスマートフォン3の操作に慣れているので、そのための操作は決して難しいものではない。プロジェクター4からは、筆記用ボード2のサイズに対応して大きく投影することができるので、大画面で後ろの席の生徒もしっかり見ることができる。
【0025】
例えば、筆記用ボード2に五線紙等のテンプレート映像を投写し、その映像の上からチョークで書き込みすることができる。また、授業内容に応じて投射位置を左・中央・右にスライドさせたり、左右に2画面投射させたりすることもできるので、授業展開が非常にスムーズになる。例えば、左側に電子教科書の画面、右側に生徒たちの回答をサムネイル投影することも可能で、その比較表示により、様々な考えを確認でき、新たな気付きを促したり、新しいアイディアの創出に繋がることが期待できる。更に、携帯端末5でリアルタイムに撮影した動画や写真を、その場で直ちに投影することができ、しかも、その画面に電子ペンで書き込んでの保存も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は上記のとおりであって、本発明に係る電子黒板システムは各教室に比較的低コストにて設置することができ、多くの人が手馴れているスマホ操作にて手軽に使用できるので、教師にも抵抗なく受け入れられ、また、筆記用ボードの書き消し機能はそのまま維持されるので、従来の板書授業形態を維持し得る効果があり、また、本発明に係る電子黒板システムの構築方法によれば、上記電子黒板システムを、既設の黒板を利用する等により比較的低コストにて容易に構築することができる効果があり、その産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0027】
1 正面壁
2 筆記用ボード
4 プロジェクター
5 携帯端末
図1