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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039077
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】背景除去装置及び背景除去方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/194 20170101AFI20240314BHJP
   G06V 10/74 20220101ALI20240314BHJP
【FI】
G06T7/194
G06V10/74
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143353
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 拓也
(72)【発明者】
【氏名】中島 寛
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA09
5L096EA13
5L096FA02
5L096JA09
(57)【要約】
【課題】背景画像を用いずに画像から背景を除去可能とする。
【解決手段】撮影装置1により得られた点群データを示す画像を取得する点群データ取得部201と、物体モデルの3次元形状の点群データを示す画像であるテンプレートを取得するテンプレート取得部203と、点群データ取得部201により取得された点群データを示す画像、及び、テンプレート取得部203により取得されたテンプレートに基づいて、形状認識により、当該点群データを示す画像のうちの背景部分に相当する点群データを特定する背景判定処理部204と、点群データ取得部201により取得された点群データを示す画像、及び、背景判定処理部204による判定結果に基づいて、当該点群データを示す画像から背景部分に相当する点群データを除去する背景除去処理部205とを備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影装置により得られた点群データを示す画像を取得する点群データ取得部と、
物体モデルの3次元形状の点群データを示す画像であるテンプレートを取得するテンプレート取得部と、
前記点群データ取得部により取得された点群データを示す画像、及び、前記テンプレート取得部により取得されたテンプレートに基づいて、形状認識により、当該点群データを示す画像のうちの背景部分に相当する点群データを特定する背景判定処理部と、
前記点群データ取得部により取得された点群データを示す画像、及び、前記背景判定処理部による判定結果に基づいて、当該点群データを示す画像から背景部分に相当する点群データを除去する背景除去処理部と
を備えた背景除去装置。
【請求項2】
前記背景判定処理部は、前記点群データ取得部により取得された点群データを示す画像の倍率を変更し、当該倍率の変更後の点群データを示す画像に対し、前記テンプレート取得部により取得されたテンプレートを用いて形状認識を行う
ことを特徴とする請求項1記載の背景除去装置。
【請求項3】
前記点群データ取得部により取得された点群データを示す画像から、所定の範囲の点群データを示す画像を抽出する範囲指定処理部を備え、
前記背景判定処理部は、前記範囲指定処理部により抽出された点群データを示す画像を用い、当該点群データを示す画像のうちの背景部分に相当する点群データを特定し、
前記背景除去処理部は、前記範囲指定処理部により抽出された点群データを示す画像を用い、当該点群データを示す画像から背景部分に相当する点群データを除去する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の背景除去装置。
【請求項4】
点群データ取得部が、撮影装置により得られた点群データを示す画像を取得するステップと、
テンプレート取得部が、物体モデルの3次元形状の点群データを示す画像であるテンプレートを取得するステップと、
背景判定処理部が、前記点群データ取得部により取得された点群データを示す画像、及び、前記テンプレート取得部により取得されたテンプレートに基づいて、形状認識により、当該点群データを示す画像のうちの背景部分に相当する点群データを特定するステップと、
背景除去処理部が、前記点群データ取得部により取得された点群データを示す画像、及び、前記背景判定処理部による判定結果に基づいて、当該点群データを示す画像から背景部分に相当する点群データを除去するステップと
を有する背景除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点群データを示す画像から背景を除去する背景除去装置、及び、背景除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、背景画像を用いて、画像から背景を除去(分離)する方法が知られている(例えば特許文献1~4参照)。
特許文献1に開示された方法では、背景画像を用意し、背景差分器を用いて画像から背景を除去している。
また、特許文献2に開示された方法では、画像視差を抽出するために、前景画像及び背景画像を用いている。
また、特許文献3では、装置の大型化及び複雑化等の負荷の増大を抑えつつ、物体の検出精度を向上するための方法が示されている。
また、特許文献4では、フィードバック処理を行う方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-170118号公報
【特許文献2】特開2003-9181号公報
【特許文献3】特開2015-028753号公報
【特許文献4】特開2001-175860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献に開示された方法では、背景画像が必要である。例えば、特許文献1及び特許文献2に開示された方法では、指定された同一の空間であれば背景画像の撮影回数が少ないが、同一の空間を維持できない場合には、本番前に背景画像を撮影する手間が増える。
また例えば、特許文献3及び特許文献4に開示された方法では、背景画像との閾値を用いて、最新画像と背景画像との閾値により、背景分離処理を行っている。この場合も基準となる背景画像を用意する手間がある。
【0005】
一方、例えば、金属加工ラインの溶接ビードの除去作業において、除去対象であるビードの大きさは必ずしも一定でない。そして、この除去対象であるビードを画像処理により検出する場合、従来方法では、除去対象であるビードが同一形状であっても大きさによって背景画像の更新が必要である。
この場合、背景画像の更新に時間を要し、結果として除去対象であるビードの範囲の特定に時間を要する。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、背景画像を用いずに画像から背景を除去可能な背景除去装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る背景除去装置は、撮影装置により得られた点群データを示す画像を取得する点群データ取得部と、物体モデルの3次元形状の点群データを示す画像であるテンプレートを取得するテンプレート取得部と、点群データ取得部により取得された点群データを示す画像、及び、テンプレート取得部により取得されたテンプレートに基づいて、形状認識により、当該点群データを示す画像のうちの背景部分に相当する点群データを特定する背景判定処理部と、点群データ取得部により取得された点群データを示す画像、及び、背景判定処理部による判定結果に基づいて、当該点群データを示す画像から背景部分に相当する点群データを除去する背景除去処理部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、上記のように構成したので、背景画像を用いずに画像から背景を除去可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る背景除去システムの構成例を示す図である。
図2】実施の形態1に係る背景除去装置の構成例を示す図である。
図3】実施の形態1に係る背景除去装置の動作例を示すフローチャートである。
図4図4A図4Bは、実施の形態1における点群データ取得部及びテンプレート取得部の動作例を示す図であって、図4Aは点群データ取得部により取得された点群データを示す画像の一例を示す図であり、図4Bはテンプレート取得部により取得されたテンプレートの一例を示す図である。
図5図5A図5Bは、実施の形態1における範囲指定処理部の動作例を示す図であって、図5Aは点群データ取得部により取得された点群データを示す画像(範囲指定処理部による抽出前の画像)の一例を示す図であり、図5Bは範囲指定処理部により抽出された点群データを示す画像の一例を示す図である。
図6図6A図6Dは、実施の形態1における背景判定処理部の動作例を示す図であって、図6Aは倍率変更前の点群データを示す画像の一例を示す図であり、図6Bは倍率を30%に変更した点群データを示す画像の一例を示す図であり、図6Cは倍率を50%に変更した点群データを示す画像の一例を示す図であり、図6Dは倍率を75%に変更した点群データを示す画像の一例を示す図である。
図7】実施の形態1における背景除去処理部の動作例を示す図であって、図7A図6Bに示す画像を用いて背景除去を行った場合を示す図であり、図7B図6Cに示す画像を用いて背景除去を行った場合を示す図であり、図7C図6Dに示す画像を用いて背景除去を行った場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る背景除去システムの構成例を示す図である。
背景除去システムは、図1に示すように、撮影装置1、及び、背景除去装置2を備えている。
【0011】
撮影装置1は、所定の3次元空間を撮影することで、当該3次元空間における点群データを示す画像を得る。なお、上記3次元空間には、目的である物体が存在している。目的である物体としては、例えば溶接ビードが挙げられる。この撮影装置1により得られた点群データを示す画像は、背景除去装置2に出力される。
この撮影装置1としては、例えば3次元カメラが挙げられる。
【0012】
背景除去装置2は、撮影装置1により得られた点群データを示す画像から背景部分に相当する点群データを除去することで、目的である物体の点群データを示す画像を得る。この背景除去装置2により得られた目的である物体の点群データを示す画像は、外部に出力される。
【0013】
この背景除去装置2は、図2に示すように、点群データ取得部201、範囲指定処理部202、テンプレート取得部203、背景判定処理部204、及び、背景除去処理部205を備えている。
【0014】
なお、背景除去装置2は、システムLSI(Large Scale Integration)等の処理回路、又はメモリ等に記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等により実現される。
【0015】
点群データ取得部201は、撮影装置1により得られた点群データを示す画像を取得する。
この点群データ取得部201により取得される点群データを示す画像には、目的である物体に相当する点群データの他に、当該目的である物体以外の背景に相当する点群データが含まれている。
【0016】
範囲指定処理部202は、点群データ取得部201により取得された点群データを示す画像から、所定の範囲の点群データを示す画像を抽出する。この際、範囲指定処理部202は、例えば、ユーザにより指定された範囲の点群データを示す画像を抽出する。
【0017】
テンプレート取得部203は、テンプレートを取得する。テンプレートは、目的である物体モデルの3次元形状の点群データを示す画像である。目的である物体モデルは、目的である物体と形状が同一(略同一の意味を含む)のモデルである。
なお、テンプレート取得部203は、テンプレートとして、事前に設定された目的である物体モデルの3次元形状の点群データを示す画像を取得してもよい。又は、テンプレート取得部203は、背景除去処理部205により得られた目的である物体の点群データを示す画像を、目的である物体モデルの3次元形状の点群データを示す画像として取得してもよい。
【0018】
背景判定処理部204は、範囲指定処理部202により抽出された点群データを示す画像、及び、テンプレート取得部203により取得されたテンプレートに基づいて、形状認識により、当該点群データを示す画像のうちの背景部分を特定する。
【0019】
この際、まず、背景判定処理部204は、テンプレート取得部203により取得されたテンプレートの倍率を変更しながら、範囲指定処理部202により抽出された点群データを示す画像との比較を行い、当該画像が示す点群データのうち、形状が一致(略一致の意味を含む)する点群データを検出する。
そして、背景判定処理部204は、範囲指定処理部202により抽出された画像が示す点群データのうち、上記検出した点群データ以外の点群データを、背景部分に相当する点群データであると判定する。
【0020】
また、この際、背景判定処理部204は、範囲指定処理部202により抽出された点群データを示す画像の倍率を変更してもよい。なお、背景判定処理部204は、上記点群データを示す画像の倍率の変更を異なる値で複数行ってもよい。
この場合、背景判定処理部204は、上記倍率の変更後の点群データを示す画像に対し、テンプレートを用いて形状認識を行うことで、上記背景部分を特定する。なお、背景判定処理部204は、上記倍率の変更後の点群データを示す画像が複数ある場合には、当該画像それぞれについて、テンプレートを用いて形状認識を行う。
【0021】
背景除去処理部205は、範囲指定処理部202により抽出された点群データを示す画像、及び、背景判定処理部204による判定結果に基づいて、当該点群データを示す画像から、背景部分を除去する。すなわち、背景除去処理部205は、範囲指定処理部202により抽出された点群データを示す画像から、背景判定処理部204により背景部分であると判定された点群データを除去する。
これにより、背景除去装置2は、目的である物体の点群データを示す画像を得ることができる。
【0022】
なお、図2では、背景除去装置2に範囲指定処理部202が設けられた場合を示した。しかしながら、背景除去装置2に範囲指定処理部202は必須の構成ではなく、背景除去装置2に範囲指定処理部202が設けられていなくてもよい。
すなわち、この場合には、背景判定処理部204は、点群データ取得部201により取得された点群データを示す画像、及び、テンプレート取得部203により取得されたテンプレートに基づいて、形状認識により、当該点群データを示す画像のうちの背景部分を特定する。
また、背景除去処理部205は、点群データ取得部201により取得された点群データを示す画像、及び、背景判定処理部204による判定結果に基づいて、当該点群データを示す画像から、背景部分を除去する。
【0023】
次に、図1及び図2に示す実施の形態1に係る背景除去装置2の動作例について、図3を参照しながら説明する。
なお、撮影装置1は、所定の3次元空間を撮影することで、当該3次元空間における点群データを示す画像を得ている。なお、上記3次元空間には、目的である物体が存在している。目的である物体としては、例えば溶接ビードが挙げられる。そして、この撮影装置1により得られた点群データを示す画像は、背景除去装置2に出力されている。
【0024】
図1及び図2に示す実施の形態1に係る背景除去装置2の動作例では、図3に示すように、まず、点群データ取得部201は、撮影装置1により得られた点群データを示す画像を取得する(ステップST301)。
【0025】
図4Aは、点群データ取得部201により取得された点群データを示す画像の一例を示す図である。
この図4Aに示すように、この点群データ取得部201により取得される点群データを示す画像には、目的である物体に相当する点群データの他に、当該目的である物体以外の背景に相当する点群データが含まれている。
なお、図4Aでは、説明を簡略化するため、点群データを示す画像を、2次元画像で示している。この図4Aにおいて、符号41は目的である物体に相当する点群データを示し、符号42に背景に相当する点群データを示している。
【0026】
次いで、範囲指定処理部202は、点群データ取得部201により取得された点群データを示す画像から、所定の範囲の点群データを示す画像を抽出する(ステップST302)。この際、範囲指定処理部202は、例えば、ユーザにより指定された範囲の点群データを示す画像を抽出する。
【0027】
例えば、ユーザは、点群データ取得部201により取得された点群データを示す画像から、目的である物体を含む範囲を手動操作で大雑把に囲み、当該画像のうちの背景除去対象とする領域を指定する。そして、範囲指定処理部202は、点群データ取得部201により取得された点群データを示す画像から、上記指定された範囲の画像を抽出する。
【0028】
図5は、範囲指定処理部202の動作例を示す図である。図5Aは点群データ取得部201により取得された点群データを示す画像(範囲指定処理部202による抽出前の画像)の一例を示し、図5Bは範囲指定処理部202により抽出された点群データを示す画像の一例を示している。
なお、図5では、説明を簡略化するため、点群データを示す画像を、2次元画像で示している。この図5において、符号51は例えばユーザにより指定された範囲除去対象とする領域(所定の範囲)を示している。
【0029】
また、テンプレート取得部203は、テンプレートを取得する(ステップST303)。テンプレートは、目的である物体モデルの3次元形状の点群データを示す画像である。なお、上記目的である物体モデルの3次元形状は、撮影装置1により撮影される目的である物体の3次元形状と形状が同一(略同一の意味を含む)であればよく、大きさは不問である。例えば、溶接ビードでは溶接方法又は作業員の熟練度により特有の形状があるため形状は同一であるものの大きさは異なることが通常である。そのため、テンプレートでは、目的である物体と大きさが一致していなくてもよい。
【0030】
なお、テンプレート取得部203は、テンプレートとして、事前に設定された目的である物体モデルの3次元形状の点群データを示す画像を取得してもよい。又は、テンプレート取得部203は、背景除去処理部205により得られた目的である物体の点群データを示す画像を、目的である物体モデルの3次元形状の点群データを示す画像として取得してもよい。
また、テンプレート取得部203によるテンプレートの取得は、背景判定処理部204による処理の前に、任意のタイミングで実施されていればよい。
【0031】
図4Bは、テンプレート取得部203により取得されたテンプレートの一例を示す図である。なお、図4Bでは、説明を簡略化するため、テンプレートを、2次元画像で示している。
【0032】
次いで、背景判定処理部204は、範囲指定処理部202により抽出された点群データを示す画像、及び、テンプレート取得部203により取得されたテンプレートに基づいて、形状認識により、当該点群データを示す画像のうちの背景部分を特定する(ステップST304)。
【0033】
この際、まず、背景判定処理部204は、テンプレート取得部203により取得されたテンプレートの倍率を変更しながら、範囲指定処理部202により抽出された点群データを示す画像との比較を行い、当該画像が示す点群データのうち、形状が一致(略一致の意味を含む)する点群データを検出する。
そして、背景判定処理部204は、範囲指定処理部202により抽出された画像が示す点群データのうち、上記検出した点群データ以外の点群データを、背景部分に相当する点群データであると判定する。
【0034】
また、この際、背景判定処理部204は、範囲指定処理部202により抽出された点群データを示す画像の倍率を変更してもよい。なお、背景判定処理部204は、上記点群データを示す画像の倍率の変更を異なる値で複数行ってもよい。
この場合、背景判定処理部204は、上記倍率の変更後の点群データを示す画像に対し、テンプレートを用いて形状認識を行うことで、上記背景部分を特定する。なお、背景判定処理部204は、上記倍率の変更後の点群データを示す画像が複数ある場合には、当該画像それぞれについて、テンプレートを用いて形状認識を行う。
【0035】
図6は、背景判定処理部204による倍率変更の動作例を示す図である。図6Aは範囲指定処理部202により抽出された点群データを示す画像(背景判定処理部204による倍率変更前の画像)の一例を示し、図6B図6Dは背景判定処理部204による倍率変更後(図6Bは倍率を30%とした場合、図6Cは倍率を50%とした場合、図6Dは倍率を75%とした場合)の点群データを示す画像の一例を示している。
なお、図6A図6Dでは、説明を簡略化するため、点群データを示す画像を、2次元画像で示している。
【0036】
この図6では、背景判定処理部204が、範囲指定処理部202により抽出された点群データを示す画像の横方向の幅及び縦方向の幅の倍率をそれぞれ100%とし、当該画像を30%、50%及び75%の倍率に変更した場合を示している。
その後、背景判定処理部204は、上記30%、50%及び75%の倍率に変更後の画像に対し、テンプレートを用いてそれぞれ形状認識を行う。
【0037】
次いで、背景除去処理部205は、範囲指定処理部202により抽出された点群データを示す画像、及び、背景判定処理部204による判定結果に基づいて、当該点群データを示す画像から、背景部分を除去する(ステップST305)。すなわち、背景除去処理部205は、範囲指定処理部202により抽出された点群データを示す画像から、背景判定処理部204により背景部分であると判定された点群データを除去する。
これにより、背景除去装置2は、目的である物体の点群データを示す画像を得ることができる。
【0038】
図7は、背景除去処理部205による動作例を示す図である。図7では、図6B図6Dに示す背景判定処理部204による倍率変更後の点群データを示す画像から、それぞれ背景部分であると判定された点群データを除去し、目的である物体の点群データを示す画像を得た場合を示している。
なお、図7では、説明を簡略化するため、点群データを示す画像を、2次元画像で示している。
【0039】
また、図7に示すように、背景除去処理部205は、異なる倍率の複数の画像から目的である物体の点群データを示す画像をそれぞれ得た場合、それらの目的である物体の点群データを示す画像を同じ倍率に調整した上で重ね合わせを行うことで、最終的な目的である物体の点群データを示す画像を得てもよい。
【0040】
ここで、例えば溶接ビードでは、大きさは異なるものの形状は同一である。そのため、このような溶接ビードは、画像に対してテンプレートを用いた形状認識を行うことで判別可能である。
そこで、実施の形態1に係る背景除去装置2では、撮影装置1により得られた点群データを示す画像に対し、テンプレートを用いた形状認識を行うことで目的である物体以外の背景部分を特定し、当該画像から当該背景部分に相当する点群データを除去する。
これにより、実施の形態1に係る背景除去装置2は、目的である物体の大小に関わらず撮影装置1により得られた点群データを示す画像から目的である物体を示す画像を得ることができる。その結果、実施の形態1に係る背景除去装置2では、例えば目的である物体が加工対象である溶接ビードである場合等に、当該溶接ビードの抽出時間を短縮でき、作業効率が向上する。
【0041】
また、点群データを示す画像では、ノイズが入っている場合がある。この場合、ノイズによっては、背景判定処理部204における形状認識において誤認識が発生する可能性がある。
これに対し、実施の形態1における背景判定処理部204では、点群データ取得部201により取得された点群データを示す画像又は範囲指定処理部202により抽出された点群データを示す画像の倍率を変更することを可能としている。
これにより、元の点群データを示す画像にノイズが入っている場合でも、当該ノイズを除去しやすい大きさに倍率を変えることで、その影響を抑制することが可能となる。その結果、背景判定処理部204では、形状認識をより正確に実施することが可能となる。
なお、上記倍率の値及び上記倍率を変更する数は、例えば、点群データを示す画像に含まれていると想定されるノイズ等に基づいて、適宜設定可能である。
【0042】
また、実施の形態1におけるテンプレート取得部203は、背景除去処理部205により得られた目的である物体の点群データを示す画像を、目的である物体モデルの3次元形状の点群データを示す画像として取得してもよい。
これにより、実施の形態1に係る背景除去装置2では、目的である物体の実体に即した点群データをテンプレートとして扱うことが可能となり、更に高精度な背景除去処理が実行可能となる。
【0043】
また、上記では、背景判定処理部204が、一例として、点群データを示す画像の倍率を小さくする場合(100%未満とする場合)を示した。
しかしながら、これに限らず、背景判定処理部204は、点群データを示す画像の倍率を大きくしてもよい(100%より大きくしてもよい)。例えば、目的である物体が微小な物体である場合には、点群データを示す画像の倍率を大きくすることが有効であると考えられる。
【0044】
また、上記では、背景判定処理部204が、一例として、倍率変更後の点群データを示す画像のみを用いて形状認識を行う場合を示した。
しかしながら、これに限らず、背景判定処理部204は、倍率変更前の点群データを示す画像、及び、倍率変更後の点群データを示す画像の両方を用いて形状認識を行ってもよい。
【0045】
また、上記では、目的である物体が溶接ビードである場合を示した。
しかしながら、目的である物体としてはこれに限らず、目的である物体モデルに対して形状が同一(略同一の意味を含む)の物体であればよい。目的である物体としては、溶接ビード以外に、例えば、バリ又は半田等が挙げられる。
【0046】
以上のように、この実施の形態1によれば、背景除去装置2は、撮影装置1により得られた点群データを示す画像を取得する点群データ取得部201と、物体モデルの3次元形状の点群データを示す画像であるテンプレートを取得するテンプレート取得部203と、点群データ取得部201により取得された点群データを示す画像、及び、テンプレート取得部203により取得されたテンプレートに基づいて、形状認識により、当該点群データを示す画像のうちの背景部分に相当する点群データを特定する背景判定処理部204と、点群データ取得部201により取得された点群データを示す画像、及び、背景判定処理部204による判定結果に基づいて、当該点群データを示す画像から背景部分に相当する点群データを除去する背景除去処理部205とを備えた。これにより、実施の形態1に係る背景除去装置2は、背景画像を用いずに画像から背景を除去可能となる。
【0047】
また、実施の形態1における背景判定処理部204は、点群データ取得部201により取得された点群データを示す画像の倍率を変更し、当該倍率の変更後の点群データを示す画像に対し、テンプレート取得部203により取得されたテンプレートを用いて形状認識を行ってもよい。これにより、実施の形態1に係る背景除去装置2は、点群データ取得部201により取得された点群データを示す画像にノイズが含まれている場合でも、精度よく目的である物体の点群データを示す画像を得ることが可能となる。
【0048】
また、実施の形態1における背景除去装置2は、点群データ取得部201により取得された点群データを示す画像から、所定の範囲の点群データを示す画像を抽出する範囲指定処理部202を備えていてもよい。これにより、実施の形態1に係る背景除去装置2は、処理負荷の低減及び処理時間の短縮が可能となる。
【0049】
なお、実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 撮影装置
2 背景除去装置
201 点群データ取得部
202 範囲指定処理部
203 テンプレート取得部
204 背景判定処理部
205 背景除去処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7