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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039079
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】血流認証リング
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1171 20160101AFI20240314BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240314BHJP
   G06V 40/10 20220101ALI20240314BHJP
【FI】
A61B5/1171 100
G06T7/00 510Z
G06V40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143356
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】501078085
【氏名又は名称】バイオニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230118164
【弁護士】
【氏名又は名称】関 裕治朗
(72)【発明者】
【氏名】須下 幸三
【テーマコード(参考)】
4C038
5B043
【Fターム(参考)】
4C038VA07
4C038VB13
4C038VC02
5B043BA03
5B043DA05
(57)【要約】
【課題】従来のリングでは、指の大きさの差異により撮像面から被写体(血流)までの距離がまちまちで、焦点が合わないという欠点があった。また指に近赤外光を照射し、その透過光を撮像する方式の場合、近赤外照射光がリング内周側に反射することや、外光による迷光がリング内周側に反射して画像背景が明るくなって血流画像のコントラストが落ちるという課題があった。
【解決手段】この発明は、リングの内周側の少なくとも指の背側(近赤外光照射側)と指の側面側2面にサイズ補正部材を配置することで、指の大きさが異なっても、リング内周と指間の隙間を無くし、撮像素子から指表面までの距離を一定にできる。また、クッション表面の反射率を10%未満に抑えることで、近赤外照射光によるリング内周側の反射、並びに外光による迷光の反射も抑えられる血流認証リングを得ることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指に接触する少なくとも2部材から成るリング状のカバー部材と、
近赤外光を照射する近赤外光照射手段と、該指を透過した近赤外光を撮像する撮像手段と、
リング状のカバー内周側の少なくとも指の背側と指の両側面にサイズ補正部材を
配置したことを特徴とする血流認証リング。
【請求項2】
指に接触する少なくとも2部材から成るリング状のカバー部材と、
近赤外光を照射する近赤外光照射手段と、該指を透過した近赤外光を撮像する撮像手段と、
リング状のカバー内周側の少なくとも指の背側と指の両側面に反射率10%未満の低反射部材を配置したことを特徴とする血流認証リング。
【請求項3】
請求項1記載のサイズ補正部材は表面の動摩擦係数が0.2未満であることを特徴とする請求項1に記載の血流認証リング。
【請求項4】
請求項2記載の低反射部材は表面の動摩擦係数が0.2未満であることを特徴とする請求項2に記載の血流認証リング。
【請求項5】
リング内部にソーラーパネルを配置したことを特徴とする請求項1に記載の血流認証リング。
【請求項6】
リング内部にソーラーパネルを配置したことを特徴とする請求項2に記載の血流認証リング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、指輪状のリング部材に血流撮像機能を内蔵し、指に装着した状態で血流撮影、本人認証を行う血流認証リングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生体情報により本人認証などを行うために、血流を読み取るリング状血流認証リングが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-093368号公報
【0004】
【特許文献2】特許第4432539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような2つの従来のリングでは、指の大きさの差異により撮像面から被写体(血流が投影された指表面)までの距離がまちまちで、焦点が合わない画像が得られるという欠点があった。また特許文献2のように指に近赤外光を照射し、その透過光を撮像する方式の場合、近赤外照射光がリング内周側に反射することや、外光による迷光がリング内周側に反射して画像背景が明るくなって血流のコントラストが落ちるという欠点があった。
【0006】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、リングの内周側の少なくとも指の背側(近赤外光照射側)と指の側面側2面にサイズ補正部材を配置することで、指の大きさが異なっても、リング内周と指間の隙間を無くし、撮像素子から指表面までの距離を一定にできる。また、クッション表面の反射率を10%未満に抑えることで、近赤外照射光によるリング内周側の反射、並びに外光による迷光の反射も抑えられる血流認証リングを得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、この血流認証リングは、リング内周側に低反射のサイズ補正部材を備えている。
【0008】
ここで、サイズ補正部材は少なくとも指の背側(近赤外光照射側)と指の側面側2面に配置されて、指をリングに通した状態で指は撮像面側に付勢される。
【0009】
また、大きな指の人でも締め付け力が小さくするために、サイズ補正部材はたわみ量と反発力が比例しない特性を持つクッション材料であっても更に良い。
【0010】
また、サイズ補正部材表面の反射率を抑えるために表面に低反射のシートが一体的に形成されていても良い。
【0011】
また、サイズ補正部材表面の反射率を抑えるために表面に低反射の塗料が塗布されていても更に良い。
【0012】
また、サイズ補正部材表面の動摩擦係数を0.2未満として、指挿入時のひっかかりを少なくすれば更に良い。
【0013】
また、リング外周に目印を付けて、登録画像と撮像画像の撮影位置が正しくなるように指の位置合わせができるようにしても良い。
【発明の効果】
【0014】
この出願に係る発明は以上説明したとおり、リング内周側にサイズ補正部材を配置することで、指の大きさが異なっても撮像素子から指表面までの距離を一定にできるという効果がある。
【0015】
また、この出願に係る発明は、サイズ補正部材の表面を低反射率にすることで、近赤外光照射や外光による迷光によるリング内周側の反射も抑えることによりコントラストの高い血流画像が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この出願に係る発明の第一の実施の形態を示す斜視図である。
図2】この出願に係る発明の第一の実施の形態を示す分解斜視図である。
図3】この出願に係る発明の第一の実施の形態を示す縦断面図である。
図4】この出願に係る発明の第一の実施の形態を示す別の切口の縦断面図である。
図5】この出願に係る発明のサイズ補正部材の構造を示す図である。
図6】この出願に係る発明のサイズ補正部材の撓みによる力のかかり方向を示す図である。
図7】この出願に係る発明の、比較的指が太い人が本出願の血流認証リングを装着した時における指と血流認証リングとの相対位置を縦断面で示した図である。
図8】この出願に係る発明の認証判定を説明する図である。
図9】この出願に係る発明のドアの解錠・施錠を示す斜視図である。
図10】この出願に係る発明のドアの解錠・施錠を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例0017】
図1はこの出願に係る発明の第一の実施の形態を示す斜視図である。本図は本血流認証リングを所有されている人が自分の指に血流認証リングを装着している図である。図2はこの出願に係る発明の第一の実施の形態を示す分解斜視図である。図3はこの出願に係る発明の第一の実施の形態を示す縦断面図である。図4はこの出願に係る発明の第一の実施の形態を示す縦断面図である。
【0018】
以下、図1図4に記載する構成について説明する。本血流認証リングは前後2つのケースから外観を形成しており、2つのケースは3のケースAと4のケースBとで構成される。この2つのケースは接着やレーザー溶着やねじ止め等で固定されている。5は850nm~950nmの近赤外光を照射する近赤外LEDである。6はカバーガラスでカバーに設けられた開口部を封止し、前記近赤外LED光を透過させる。7は該近赤外光の照射光束を示しており、指の背面側から指の幅をカバーする範囲を照射していることを示している。8は本血流認証リングの回路部品が実装されたFPCである。9はマイコンを示し、得られる画像から各種演算処理を行う。10は可撓性のあるソーラーパネルで、不図示のキャパシタに電力を貯えながら回路に電力を供給することで、電池を必要としない血流認証リングを提供している。もちろん、外部より電力を供給、充電することでソーラーパネルを無くす構成もできることは言うまでも無い。11はBLEモジュールで、低消費電力で外部機器とペアリングさせ情報通信する機能を持っている。12はカメラモジュールでイメージセンサーが搭載された基板とレンズユニットから成り、指の腹側からの画像を撮像することができる。13は本カメラモジュールの撮像範囲(画角)の光束を示している。14は可視光カットフィルタ―で850nm~950nm未満の波長の光を90%以上通さない機能を持つ。可視光をカットすることで、指の表面の皺や傷等、血流認証に必要のない画像が写らないことで、血流認証の精度を高めている。15はサイズ補正部材で、指とリングに介在する部材である。
【0019】
図5はこの出願に係る発明のサイズ補正部材の構造を示す図である。本サイズ補正部材は15aの弾性部材と15bの表面部材とから成っている。15aは弾性を有する部材で、15bは850nm~950nmまでの反射率が10%未満に押えられたシート状の材料となり、前記弾性部とは一体的に形成されている。また15bは表面の動摩擦係数が0.2未満の材料、表面処理が成され、指挿入時のひっかかりを少なくし、スムーズな装脱を可能にしている。さらに、15b表面の摺動性を上げることによって、繰り返しの装脱での耐久性を高めている。
【0020】
図6はこの出願に係る発明のサイズ補正部材の撓みによる力のかかり方向を示す図である。サイズ補正部材15は少なくとも指の上方向(背側)と指の両側面側をサポートし、装着時には図6の矢印16a、16b、16cに示す方向に弾性力が働き、指を左右方向はリング中心部に、上下方向は下方向(カメラモジュール側)に付勢する。
【0021】
図7(a)はこの出願に係る発明の、比較的指が太い人が本出願の血流認証リングを装着した時における指と血流認証リングとの相対位置を縦断面で示した図である。図7(b)はこの出願に係る発明の、比較的指が細い人が本出願の血流認証リングを装着した時における指と血流認証リングとの相対位置を縦断面で示した図である。図7(a)、図7(b)に示すように、サイズ補正部材15の弾性により指の太さの差を吸収しながら隙間無く装着できるようにするとともに、下方向(カメラモジュール側)に付勢する。その結果、指のサイズに関わらず、カメラモジュール12の撮像位置(ピント面)~指の表面までの距離Xが一定に保たれる。指の血管は指の内側に存在するが、近赤外光により照射された像は一旦指の表面近くに投影され、その投影画像を撮像することになるので、撮像位置(ピント面)~指の表面までの距離Xが一定であることは、人の指の太さに関わらず、安定した合焦画像が得られるというメリットを持つ。
【0022】
図8はこの出願に係る発明の認証判定を説明する図である。本血流認証リングの所有者は血流認証を行う前に、予め本人認証登録しておく(登録画像:18)。19a、19b、19c、19d、19eはそれぞれ異なる人の指の血流撮像画像である。本出願の血流認証リングは、予め取得された登録画像18と血流認証画像を照らし合わせ、19a~19dは所有者の血流とは異なり、19eのみが登録画像と同一であることで装着した人が所有者であるか否かを判定する。
【0023】
図9はこの出願に係る発明のこの出願に係る発明の血流認証リングによるドアの解錠・施錠を示す斜視図である。20はBLE信号を受診できる受診機器、21はドアのロックを解錠・施錠させる機器である22はドアを開閉させるドアノブである。23はBLE通信を示している。図10はこの出願に係る発明の血流認証リングによるドアの解錠・施錠を示すフローチャートである。先に説明した登録画像と撮像画像が合致し認証された状態である場合(フローチャート24)、本出願の血流認証リング2とドアに設置された受信機器20の間でペアリングと情報通信が行われる(フローチャート25)。ドアの受診機器20にて認証信号が受診されると、室内機21にドアのロックの解錠信号を送ることでドアの解錠が行われる(フローチャート26)。その後、室内に入るドアが閉まった後所定時間経過後に、自動で施錠される。
【産業上の利用可能性】
【0024】
リング内周側にサイズ補正部材を配置することで、指の大きさが異なっても撮像素子から指表面までの距離を一定にできるものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0025】
1 指
2 血流認証リング
3 ケースA
4 ケースB
5 近赤外LED
6 カバーガラス
7 近赤外光の照射光束
8 FPC
9 マイコン
10 ソーラーパネル
11 BLEモジュール
12 カメラモジュール
13 カメラ光束
14 可視光カットフィルタ―
15 サイズ補正部材
15a 弾性部材
15b 表面部材
16a、16b、16c 弾性力
17a、17b たわみ量
18 登録画像
19a~19e 取得画像
20 受信機器
21 解錠・施錠機器
22 ドアノブ
23 BLE通信
24 認証フロー
25 BLEフロー
26 解錠・施錠フロー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10