(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003908
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】アダプター、および、カートリッジ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
B41J2/175 151
B41J2/175 161
B41J2/175 119
B41J2/175 133
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103263
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大屋 瞬
(72)【発明者】
【氏名】小泉 義弘
(72)【発明者】
【氏名】水谷 忠弘
(72)【発明者】
【氏名】長島 巧
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056FA10
2C056KC02
2C056KC05
2C056KD08
(57)【要約】
【課題】カートリッジ装着部に着脱可能に装着できるアダプターにおいて生じる種々の不具合の発生を低減する。
【解決手段】アダプターは、液体収容体を着脱可能に係合させるアダプター係合部と、カートリッジ装着部の装置端子と接触可能なアダプター端子と、カートリッジ装着部の液体導入部が挿入される挿入開口部と、を備え、液体導入部の内部流路を開閉する装置流路弁機構の閉状態を維持した状態で、アダプター端子は装置端子に接続され、挿入開口部には液体導入部が挿入されることで、アダプターがカートリッジ装着部に装着される。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるアダプターであって、
液体収容体を着脱可能に係合させるアダプター係合部と、
前記カートリッジ装着部の装置端子と接触可能なアダプター端子と、
前記カートリッジ装着部の液体導入部が挿入される挿入開口部と、を備え、
前記液体導入部の内部流路を開閉する装置流路弁機構の閉状態を維持した状態で、前記アダプター端子は前記装置端子に接続され、前記挿入開口部には前記液体導入部が挿入されることで、前記アダプターが前記カートリッジ装着部に装着される、アダプター。
【請求項2】
請求項1に記載のアダプターであって、さらに、
前記挿入開口部が形成されたアダプター底面と、
前記アダプター底面と交差するアダプター周囲面と、
前記アダプター底面と前記アダプター周囲面とが交差するコーナー部であって、前記アダプター端子が配置されたコーナー部と、
前記アダプター底面に形成された、前記カートリッジ装着部の部材を受け入れる凹部と、
前記アダプター底面に形成された突起部であって、前記挿入開口部に前記液体導入部を挿入するための前記アダプターの移動を規制する前記カートリッジ装着部の規制機構による規制を解除する突起部と、
前記アダプター周囲面に形成された案内部であって、前記アダプターの前記カートリッジ装着部への水平方向への挿入を案内する案内部と、
前記アダプター周囲面に形成された、前記アダプターを前記カートリッジ装着部に着脱可能に固定するアダプター固定部と、を有する、アダプター。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のアダプターであって、
前記アダプター係合部は、弾性変形することで前記液体収容体との係合と前記係合の解除を行う、アダプター。
【請求項4】
請求項3に記載のアダプターであって、
前記アダプター係合部は、スナップフィット構造を有する、アダプター。
【請求項5】
請求項3に記載のアダプターであって、
前記アダプター係合部は、バネと、前記バネに取り付けられ前記液体収容体と係合する係合部分と、を有する、アダプター。
【請求項6】
請求項5に記載のアダプターであって、
前記バネは、コイルバネと板バネとのいずれか一方である、アダプター。
【請求項7】
請求項5に記載のアダプターであって、
前記係合部分は、前記係合と前記係合の解除の際に回転する回転部と、前記回転部の回転中心である回転中心部と、を有する、アダプター。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載のアダプターであって、
前記アダプター係合部は、弾性変形することで前記アダプター係合部との係合と前記係合の解除を行う前記液体収容体の収容体係合部と係合する、アダプター。
【請求項9】
カートリッジであって、
請求項1または請求項2に記載のアダプターと、
前記アダプターに着脱可能に係合された液体収容体と、を備え、
前記液体収容体は、前記アダプターをカートリッジ装着部に挿入する挿入方向における奥側と、前記アダプターが位置する側とは反対側との収容体角部に形成された液体注入口を有する、カートリッジ。
【請求項10】
請求項9に記載のカートリッジであって、
前記液体収容体は、挿入方向手前側に位置する収容体後面を有し、
前記液体注入口は、前記カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着された状態において、前記収容体後面よりも上方に位置する、カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アダプターおよびカートリッジの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インク槽と、カートリッジのメモリチップを含むシャシを有するカートリッジが知られている(特許文献1)。従来の技術では、シャシに対してインク槽は挿入および取り外しができる。インク槽のインク出口は、プリンターのニードルに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術において、プリンターのニードルは中空であるため、常時、ニードルの流路は連通状態にある。このため、以下に記載する種々の不具合が生じ得る。例えば、プリンターにシャシが装着された状態においてニードルからインクが外部に漏れ出す恐れが生じ得る。また例えば、プリンターのニードルの中空の流路と連通する箇所において、予め定めた圧力を維持することが目標である場合、ニードルの流路が常時連通している場合、予め定めた圧力を維持することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるアダプターが提供される。このアダプターは、液体収容体を着脱可能に係合させるアダプター係合部と、前記カートリッジ装着部の装置端子と接触可能なアダプター端子と、前記カートリッジ装着部の液体導入部が挿入される挿入開口部と、を備え、前記液体導入部の内部流路を開閉する装置流路弁機構の閉状態を維持した状態で、前記アダプター端子は前記装置端子に接続され、前記挿入開口部には前記液体導入部が挿入されることで、前記アダプターが前記カートリッジ装着部に装着される。
【0006】
本開示の第2の形態によれば、カートリッジが提供される。このカートリッジは、上記形態のアダプターと、前記アダプターに着脱可能に係合された液体収容体と、を備え、前記液体収容体は、前記アダプターをカートリッジ装着部に挿入する挿入方向における奥側と、前記アダプターが位置する側とは反対側との収容体角部に形成された液体注入口を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施形態としての印刷システムの構成を示す斜視図。
【
図9】収容体係合部とアダプター係合部との詳細を説明するための図。
【
図13】カートリッジ装着部の規制機構を説明するための図。
【
図15】アダプター係合部の他の実施形態1を説明するための図。
【
図16】アダプター係合部の他の実施形態2を説明するための図。
【
図17】他の実施形態2のアダプター係合部を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.実施形態:
A-1.印刷システムの構成:
図1は、本開示の実施形態としての印刷システム1の構成を示す斜視図である。
図1には、互いに直交する3つの空間軸であるXYZ軸が描かれている。X軸,Y軸,Z軸の矢印が向いている方向は、それぞれX軸,Y軸,Z軸に沿った正の方向を示している。X軸,Y軸,Z軸に沿った正の方向を、それぞれ+X方向,+Y方向,+Z方向とする。X軸,Y軸,Z軸の矢印が向いている方向と逆の方向が、それぞれX軸,Y軸,Z軸に沿った負の方向である。X軸,Y軸,Z軸に沿った負の方向を、それぞれ-X方向,-Y方向,-Z方向とする。X軸,Y軸,Z軸に沿った方向で正負を問わないものを、それぞれX方向,Y方向,Z方向とよぶ。これ以降に示す図及び説明についても同様である。
【0009】
印刷システム1は、印刷装置10と、印刷装置10に液体であるインクを供給するカートリッジ4とを備える。
【0010】
本実施形態の印刷装置10は、液体としてのインクを吐出ヘッド22から吐出するインクジェットプリンターである。この印刷装置10は、ポスター等の大判の用紙に印刷を行う大型のプリンターである。印刷装置10は、カートリッジ装着部6と、制御部31と、キャリッジ20と、吐出ヘッド22と、駆動機構30とを備える。また、印刷装置10は、印刷装置10の動作をユーザーが操作するための操作ボタン15を備える。
【0011】
カートリッジ装着部6は、+Y方向側に位置する第1装置壁67を有する。第1装置壁67は、カートリッジ4の収容室61への出入口である挿抜開口部674を有する。この挿抜開口部674を介してカートリッジ4がカートリッジ装着部6の収容室61に収容されたり、収容室61からカートリッジ4が取り外されたりする。カートリッジ装着部6には、複数のカートリッジ4またはカートリッジ4の後述するアダプターがそれぞれ着脱可能に装着される。本実施形態では、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のインクに対応して4種類のカートリッジ4が1つずつ、すなわち合計4つのカートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着される。ブラックのインクを収容するカートリッジ4をカートリッジ4Kとも呼び、イエローのインクを収容するカートリッジ4をカートリッジ4Yとも呼び、マゼンタのインクを収容するカートリッジ4をカートリッジ4Mとも呼び、シアンのインクを収容するカートリッジ4をカートリッジ4Cとも呼ぶ。本実施形態において、カートリッジ4Kは、カートリッジ4C,4M,4Yよりも多くの液体を収容可能に構成されている。よって、カートリッジ4Kを第1種カートリッジ4Aとも呼び、カートリッジ4C,4M,4Yを第2種カートリッジ4Bとも呼ぶ。
【0012】
印刷装置10は、+Y方向側の前面に交換用カバー13を有する。交換用カバー13は開閉可能に構成されている。交換用カバー13を開くことで、カートリッジ装着部6の開口が現れて、カートリッジ4の着脱が可能となる。カートリッジ装着部6にカートリッジ4が装着されると、液体流通管としてのチューブ24を介してキャリッジ20に設けられた吐出ヘッド22にインクが供給可能となる。本実施形態では、水頭差を利用してカートリッジ4から吐出ヘッド22にインクが供給される。具体的には、カートリッジ装着部6内のインクの液面と吐出ヘッド22との水頭差によってインクが吐出ヘッド22に供給される。なお、他の実施形態では、印刷装置10の図示しないポンプ機構によって、カートリッジ4内のインクを吸引することで、インクが吐出ヘッド22に供給されてもよい。なお、チューブ24は、インクの種類毎に設けられている。
【0013】
吐出ヘッド22には、インクの種類毎にノズルが設けられている。吐出ヘッド22は、ノズルから印刷用紙2に向かってインクを吐出して文字や画像等のデータを印刷する。なお、本帆実施形態では、印刷装置10は、カートリッジ装着部6がキャリッジ20の動きとは連動しない、いわゆる「オフキャリッジタイプ」と呼ばれるプリンターである。キャリッジ20にカートリッジ装着部6が設けられ、キャリッジ20と共にカートリッジ装着部6が移動する、いわゆる「オンキャリッジタイプ」と呼ばれるプリンターにも本開示の技術は適用できる。
【0014】
制御部31は、印刷装置10の各部の制御や、カートリッジ4との信号の授受を行う。キャリッジ20は、吐出ヘッド22を印刷用紙2に対して相対的に移動させる。
【0015】
駆動機構30は、制御部31からの制御信号に基づいてキャリッジ20を往復動させる。駆動機構30は、タイミングベルト32と、駆動モーター34とを備える。タイミングベルト32を介して駆動モーター34の動力をキャリッジ20に伝達することによって、キャリッジ20がX方向に沿った方向である主走査方向に往復移動する。また、印刷装置10は、印刷用紙2を+Y方向である副走査方向に移動させるための搬送機構を備える。印刷が行なわれる際には、搬送機構によって印刷用紙2が副走査方向に移動し、前面カバー11上に印刷完了後の印刷用紙2が出力される。
【0016】
また、キャリッジ20を主走査方向に移動させた印刷領域外の位置には、ホームポジションと呼ばれる領域が設けられており、ホームポジションには、正常に印刷を実行させるためのメンテナンスを行うメンテナンス機構が搭載されている。メンテナンス機構は、吐出ヘッド22の底面側でノズルが形成されている面に押し付けられて、ノズルを取り囲むように閉空間を形成するキャップ部材8や、吐出ヘッド22のノズル面に押し付けるためにキャップ部材8を昇降させる図示しない昇降機構や、キャップ部材8が吐出ヘッド22のノズル面に押し付けられることで形成される閉空間に負圧を導入する図示しない吸引ポンプなどから構成されている。
【0017】
本実施形態では、印刷システム1の使用状態において、印刷用紙2を搬送する副走査方向に沿った軸をY軸とし、重力方向に沿った軸をZ軸とし、キャリッジ20の移動方向に沿った軸をX軸とする。ここで、「印刷システム1の使用状態」とは、水平な面に印刷システム1が設置された状態をいう。また、本実施形態では、副走査方向を+Y方向、その逆方向を-Y方向とし、重力方向を-Z方向、反重力方向を+Z方向とする。X方向とY方向は水平方向に沿った方向である。また、印刷システム1を前面側から見たときに、右側から左側に向かう方向を+X方向とし、その逆方向を-X方向とする。また本実施形態では、装着のためにカートリッジ装着部6にカートリッジ4またはカートリッジ4の構成部材が挿入される挿入方向D1が-Y方向であり、カートリッジ4または構成部材がカートリッジ装着部6から取り外される取り外し方向D4が+Y方向である。よって、カートリッジ装着部6のうち、-Y方向側を奥側とも呼び、+Y方向側を手前側とも呼ぶ。また、本実施形態では、複数のカートリッジ4の配列方向がX方向となる。カートリッジ4の構成部材は、後述する液体収容体やアダプターである。
【0018】
A-2.カートリッジ装着部の詳細構成:
図2は、カートリッジ装着部6の第1斜視図である。
図3は、カートリッジ装着部6の第2斜視図である。
図2では、複数のカートリッジ4が挿入または装着されているカートリッジ装着部6を示している。
図3は、
図2の状態からカートリッジ4を省略した図である。
図2において、カートリッジ4K,4C,4Yはカートリッジ装着部6に対して装着された装着状態であり、カートリッジ4Cはカートリッジ装着部6に対して挿入が完了した挿入完了状態である。装着状態とは、カートリッジ4の後述するアダプター端子がカートリッジ装着部6の後述する装置端子に接触し、カートリッジ4のアダプターが有する挿入開口部にカートリッジ装着部6の後述する液体導入部が挿入した状態である。挿入完了状態とは、カートリッジ4の後述するアダプター端子がカートリッジ装着部6の後述する装置端子に接触しているが、カートリッジ4のアダプターが有する挿入開口部に液体導入部が挿入していない状態である。挿入完了状態から、カートリッジ4や後述するカートリッジ4のアダプターのうち挿入方向D1の手前側部分を、重力方向成分を有する回転装着方向D2に回転移動させることで装着状態となる。
【0019】
カートリッジ装着部6について、X方向を幅方向、Y方向を奥行方向、Z方向を高さ方向とも呼ぶ。以下において、特に状態についての記載がない場合には、挿入完了状態のときのカートリッジ装着部6を前提に各要素について説明する。カートリッジ装着部6において、挿入完了状態は、カートリッジ4や、カートリッジ4のアダプターが装着されていない初期状態と同じ状態である。
【0020】
図3に示すように、カートリッジ装着部6は、カートリッジ4が収容される収容室61を形成する。収容室61は、略直方体形状である。収容室61は、各カートリッジ4C,4M,4Y,4Kを収容するスロットを有する。各スロットは、概ね各カートリッジ4C,4M,4Y,4Kの外観形状に対応している。
【0021】
図3に示すように、カートリッジ装着部6は、収容室61を形成する6つの装置壁62,63,64,65,66,67を有する。本開示において「壁」とは、単一の壁に加え、複数の壁によって構成された壁を含む概念である。第1装置壁67は、カートリッジ4を収容室61に挿入したり取り外したりする際に通過させる挿抜開口部674を形成する。第2装置壁62は、収容室61の-Y方向側の壁を形成する。第2装置壁62は、Y方向において第1装置壁67と対向する。第2装置壁62は、印刷装置10の使用状態において、概ね垂直な壁である。
【0022】
装置上壁63は、収容室61の+Z方向側の壁を形成する。装置底壁64は、Z方向において装置上壁63と対向し、収容室61の-Z方向側の壁を形成する。装置底壁64は、支持部材610によって形成されている。装置底壁64は複数の第1装置開口部614を有する。本実施形態では、第1装置開口部614は、装着されるアダプター402の数に応じて4つ形成されている。装置上壁63および装置底壁64は、第2装置壁62と第1装置壁67と交差する。本開示において、「交わる」や「交差する」とは、(i)2つの要素が相互に交差し実際に交わる状態、(ii)一方の要素を延ばした場合に他方の要素に交わる状態、及び、(iii)相互の要素をそれぞれ延ばした場合に互いの要素が交わる状態、のいずれかの状態であることを意味する。
【0023】
第1装置側壁65は、収容室61の+X方向側の壁を形成する。第2装置側壁66は、X方向において第1装置側壁65と対向し、収容室61の-X方向側の壁を形成する。第1装置側壁65および第2装置側壁66は、第2装置壁62と第1装置壁67と装置上壁63と装置底壁64と交差する。
【0024】
図3に示すように、カートリッジ装着部6は、さらに、装置側端子部70と、装置案内部602と、支持部材610と、液体導入部642と、装置側位置決め部644と、固定形成体677と、突出部材628とを有する。
【0025】
支持部材610は、装着されるカートリッジ4の数に応じて複数設けられている。本実施形態では、支持部材610は4つ設けられている。収容室61の重力方向側の装置底壁64を形成する。支持部材610は、カートリッジ4を重力方向側である-Z方向側から支持する。支持部材610は、Y方向に沿って延びる部材である。支持部材610は、凹形状である。支持部材610は、装置底壁64を形成する主壁613と、第1支持側壁611と、第2支持側壁612とを有する。支持部材610は、カートリッジ装着部6のうちで挿入方向D1の奥側かつ重力方向側に位置する回転支点698を支点として、重力方向の成分を有する回転装着方向D2と、反重力方向の成分を有する解除方向D3に回転移動できる。解除方向D3は、回転装着方向D2とは反対の方向である。
【0026】
主壁613は、重力方向側に位置する凹形状の底部を形成する。主壁613には、第1装置開口部614と第2装置開口部626とが形成されている。第1装置開口部614と第2装置開口部626とはそれぞれ、主壁613の厚み方向に主壁613を貫通する。
【0027】
図3に示すように、第1支持側壁611は、主壁613の+X方向側端部から反重力方向である+Z方向に立ち上がる。第2支持側壁612は、主壁613の-X軸方向側端部から+Z方向に立ち上がる。第1支持側壁611と第2支持側壁612とは、X方向に対向する。
【0028】
装置案内部602は、カートリッジ4またはカートリッジ4のアダプターを挿入方向D1および取り外し方向D4に案内する。装置案内部602は、支持部材610ごとに設けられている。装置案内部602は、第1支持側壁611と第2支持側壁612とのそれぞれに設けられている。装置案内部602は、第1支持側壁611と第2支持側壁612に設けられた突起である。この突起は、挿入方向D1に沿って間隔を開けて複数配置されている。
【0029】
図3に示すように、液体導入部642は、カートリッジ4の液体を受け入れる。液体導入部642は中心軸CA1を有する。本実施形態では、中心軸CA1は、Z方向に対して+Y方向に4°傾いている。挿入完了状態では、液体導入部642は、収容室61内に位置することなく、収容室61よりも-Z方向側に位置する。つまり、液体導入部642は、支持部材610に対して収容室61を挟んで反対側に位置する。液体導入部642の先端側は、回転支点698を中心に支持部材610を回転装着方向D2に回転させることで、第1装置開口部614が押し下がることで収容室61内に配置される。
【0030】
装置側位置決め部644は、カートリッジ4の後述するアダプター位置決め部に受け入れられることで、液体導入部642に対するカートリッジ4の後述するアダプターの動きを規制する。挿入完了状態では、装置側位置決め部644は、収容室61内に位置することなく、収容室61よりも-Z方向側に位置する。つまり、装置側位置決め部644は、支持部材610に対して収容室61を挟んで反対側に位置する。装置側位置決め部644の先端側は、回転支点698を中心に支持部材610を回転装着方向D2に回転させることで、第1装置開口部614が押し下がることで、収容室61内に配置される。
【0031】
装置側端子部70は、カートリッジ4のアダプター端子と接触する複数の装置端子721を有する。装置側端子部70は、支持部材610のうち挿入方向D1における奥側である-Y方向側に設けられている。
【0032】
固定形成体677は、支持部材610よりも+Y方向側に形成されている。また、固定形成体677は、挿抜開口部674よりも-Z方向側に位置する。固定形成体677には、収容室61の各スロットに対応して後述する装置固定部が4つ配置されている。装着固定部は、突起であり、カートリッジ4のアダプターと係合することでアダプターの動きを固定して装着状態を維持する。
図3に示すように、固定形成体677は、各装着固定部に応じて、装着固定部を変位させてカートリッジ4のアダプターとの係合を解除する解除部666を有する。解除部666は、板状部材であり装置固定部と連結されている。解除部666が重力方向側に押し下げられることで、装置固定部が解除方向に変位する。
【0033】
突出部材628は、挿入方向D1に沿った方向について、液体導入部642と装置側端子部70との間に位置する。突出部材628は、装着状態における支持部材610に対して反重力方向側に外力を加える外力機構の構成部材である。挿入完了状態では、突出部材628は、収容室61内に位置することなく、収容室61よりも-Z方向側に位置する。つまり、突出部材628は、支持部材610に対して収容室61を挟んで反対側に位置する。突出部材628の+Z方向側部分は、回転支点698を中心に支持部材610を回転装着方向D2に回転させることで、第2装置開口部626が押し下がることで収容室61内に配置される。
【0034】
A-3.カートリッジの詳細構成:
図4は、第1種カートリッジ4Aの側面図である。
図5は、第1種カートリッジ4Aの斜視図である。
図6は、第1種カートリッジ4Aの第1分解図である。
図7は、第1種カートリッジ4Aの第2分解図である。
図8は、第1種カートリッジ4Aの第3分解図である。
図9は、収容体係合部90とアダプター係合部410との詳細を説明するための図である。
図4~
図9に示すXYZ軸は、カートリッジ4のカートリッジ装着部6への挿入完了状態を基準としている。第1種カートリッジ4Aと第2種カートリッジ4Bとの異なる点は、液体収容体401の幅である。第1種カートリッジ4Aの液体収容体401は、第2種カートリッジ4Bの液体収容体401よりも幅が大きい。これにより、第1種カートリッジ4Aの液体収容部450の容積は、第2種カートリッジ4Bの液体収容部450の容積よりも大きい。その他の構成については、第1種カートリッジ4Aと第2種カートリッジ4Bとで同様の構成であるため、以下では、第1種カートリッジ4Aを図示してカートリッジ4の構成を説明する。
【0035】
図4および
図5に示すように、カートリッジ4の外形は略直方体形状である。カートリッジ4において、カートリッジ装着部6への挿入方向D1である-Y方向に沿った方向が長手方向であり、X方向が幅方向としての短手方向であり、Z方向が重力方向に沿った方向、すなわち高さ方向である。カートリッジ4において、長手方向の寸法が最も大きく、短手方向の寸法が最も小さい。幅方向は、挿入姿勢において、挿入方向D1と重力方向である-Z方向に直交する方向である。
【0036】
図6に示すように、カートリッジ4は、液体収容体401と、液体収容体401と着脱可能なアダプター402とを備える。液体収容体401は、液体であるインクを収容可能な液体収容部450と、液体収容部450と連通し液体収容部450の液体を外部に供給する液体供給部442とを有する。液体供給部442は、筒状であり、中心軸CA2を有する。
【0037】
液体収容体401は、収容体前面42と、収容体後面47と、収容体上面43と、収容体底面44と、収容体第1側面45と、収容体第2側面46とを有する。各面42~47によって液体収容体401の外殻が構成されて、液体収容部450が区画される。
【0038】
収容体前面42は、挿入方向D1側に位置する。つまり、収容体前面42は、挿入方向D1側である-Y方向側の挿入先端面を形成する。収容体後面47は、取り外し方向D4側に位置する。収容体前面42と収容体後面47は、挿入方向D1に沿った方向において対向する。
【0039】
収容体上面43は、反重力方向側に位置する。収容体上面43は、主面432と、傾斜面433と、収容体後面47に接続された端部面435とを有する。主面432と傾斜面433と端部面435は、平面形状である。
【0040】
主面432は、3つの面432,433,435のうちで最も大きい面である。主面432は、収容体前面42から挿入方向D1とは反対方向の取り外し方向D4に沿って延びる。主面432は、挿入方向D1に平行である。傾斜面433は、主面432から取り外し方向D4側に延びる。傾斜面433の+Y方向側の端部は、端部面435に接続されている。傾斜面433は、取り外し方向D4側に向かうに従い、すなわち収容体後面47に向かうに従い、底面44側に位置するように挿入方向D1に対して傾斜する。端部面435は、傾斜面433と収容体後面47とを繋ぐ。
【0041】
収容体底面44は、重力方向側に位置する。収容体底面44には、液体供給部442が設けられている。液体供給部442は収容体底面44から突出する。収容体底面44は、重力方向について、収容体上面43と対向する。
【0042】
収容体第1側面45は、液体収容体401の幅方向の一方側に位置する。収容体第2側面46は、液体収容体401の幅方向の他方側に位置する。
図7に示す収容体第1側面45と収容体第2側面46は、液体収容体401の各面42~47のうちで最も大きい面である。なお、液体収容体401の幅方向は、カートリッジ4の幅方向と同じである。
【0043】
液体収容体401は、さらに、アダプター402に着脱可能に係合する収容体係合部90を有する。収容体係合部90は、本実施形態では、4つ設けられている。4つの収容体係合部90を区別して用いる場合には、第1収容体係合部911、第2収容体係合部912、第3収容体係合部913と、第4収容体係合部914とを用いる。
【0044】
収容体係合部90は、液体収容体401の収容体前面42、収容体後面47、収容体第1側面45および収容体第2側面46のいずれかに形成されている。
図6に示すように、第1収容体係合部911および第2収容体係合部912は、収容体第2側面46のうち収容体底面44に近い位置に形成されている。第1収容体係合部911は、第2収容体係合部912よりも収容体前面42に近い位置に形成されている。
図7に示すように、第3収容体係合部913および第4収容体係合部914は、収容体第1側面45のうち収容体底面44に近い位置に形成されている。第3収容体係合部913は、第4収容体係合部914よりも収容体前面42に近い位置に形成されている。本実施形態では、収容体係合部90は、収容体第1側面45や収容体第2側面46に形成された凹部である。なお、収容体係合部90の形成位置は上記に限定されるものではなく、例えば、収容体係合部90は、収容体前面42や収容体後面47に形成されていてもよい。
【0045】
図7に示すように、アダプター402は、液体収容体401が装着される側である反重力側か開口した凹形状である。アダプター402は、液体収容体401に着脱可能に係合できる。アダプター402は、アダプター前面472と、アダプター後面477と、アダプター底面474と、アダプター第1側面475と、アダプター第2側面476と、コーナー部89とを有する。アダプター前面472とアダプター後面477とアダプター第1側面475とアダプター第2側面476とは、凹形状の側壁となる面であり、アダプター底面474と交差するアダプター周囲面を構成する。
【0046】
図8に示すように、アダプター底面474は、凹形状の底を形成し、重力方向側に位置する。カートリッジ4として組み立てらえた場合において、アダプター底面474は、カートリッジ4の底面を構成する。
【0047】
図6に示すように、アダプター前面472は、挿入方向D1側に位置する。つまり、アダプター前面472は、挿入方向D1側である-Y方向側の挿入先端面を形成する。アダプター後面477は、取り外し方向D4側に位置する。アダプター前面472とアダプター後面477は、挿入方向D1に沿った方向において対向する。アダプター前面472とアダプター後面477とはそれぞれ、アダプター底面474と交差する。
【0048】
図7に示すように、アダプター第1側面475は、アダプター402の幅方向の一方側に位置する。アダプター第2側面476は、アダプター402の幅方向の他方側に位置する。なお、アダプター402の幅方向は、カートリッジ4の幅方向と同じである。アダプター第1側面475とアダプター第2側面476とはそれぞれ、アダプター底面474と交差する。
【0049】
図8に示すように、コーナー部89は、アダプター底面474とアダプター周囲面の一つであるアダプター前面472とが交差する位置に形成されている。コーナー部89は、アダプター402の内方に凹むように形成された凹形状である。
【0050】
アダプター402は、さらに、収容体係合部90を着脱可能に係合させるアダプター係合部410を有する。アダプター係合部410は、弾性変形することで収容体係合部90との係合と係合の解除を行うことができる。本実施形態では、アダプター係合部410は、スナップフィット構造を有することで弾性変形する。アダプター係合部410は、本実施形態では、収容体係合部90の数に対応して4つ設けられている。4つのアダプター係合部410を区別して用いる場合には、第1アダプター係合部411、第2アダプター係合部412、第3アダプター係合部413、第4アダプター係合部414を用いる。
【0051】
アダプター係合部410は、アダプター周囲面であるアダプター前面472、アダプター後面477、アダプター第1側面475およびアダプター第2側面476のいずれかに形成されている。
図7に示すように、第1アダプター係合部411および第2アダプター係合部412は、アダプター第2側面476のうちアダプター底面474と対向するアダプター402の開口opを規定する端面476fの近くに形成されている。第1アダプター係合部411は、第2アダプター係合部412よりもアダプター前面472に近い位置に形成されている。第3アダプター係合部413および第4アダプター係合部414は、アダプター第1側面475のうちアダプター底面474と対向するアダプター402の開口opを規定する端面475fの近くに形成されている。第3アダプター係合部413は、第4アダプター係合部414よりもアダプター前面472に近い位置に形成されている。本実施形態では、アダプター係合部410は、凹部である収容体係合部90と係合する突起である。アダプター係合部410は、アダプター第1側面475やアダプター第2側面476からアダプター402の内方に突出する。
【0052】
第1アダプター係合部411は、第1収容体係合部911と係合する。第2アダプター係合部412は、第2収容体係合部912と係合する。第3アダプター係合部413は、第3収容体係合部913と係合する。第4アダプター係合部414は、第4収容体係合部914と係合する。アダプター第1側面475やアダプター第2側面476などのアダプター周囲面は、アダプター底面474側を基点としてアダプター底面474と対向する開口op側が変位できるように、弾性変形可能に構成されている。例えば、アダプター第1側面475やアダプター第2側面476は、アダプター底面474側を基点として開口op側がアダプター402の幅方向であるX方向に弾性変形する。これにより、アダプター第1側面475やアダプター第2側面476に形成されたアダプター係合部410も弾性変形して変位可能となることで、収容体係合部90との係合と係合の解除が容易にできる。
【0053】
以上のように、各アダプター係合部411~414が対応する各収容体係合部911~914と係合解除可能に係合することで、アダプター係合部414~414は液体収容体401を着脱可能にアダプター402に係合させる。
【0054】
図9に示すように、アダプター係合部410は半球面状の突起である。また、収容体係合部90は、半球面状に凹んだ凹部である。第1収容体係合部911と第1アダプター係合部411との係合を解除する場合には、液体収容体401を収容体上面43側に移動させることで、アダプター第2側面476の端面476f側が外側、すなわち+X方向側に変位するように、第1アダプター係合部411を含むアダプター第2側面476が弾性変形する。これにより、第1収容体係合部911と第1アダプター係合部411との係合が解除される。また、アダプター係合部410が半球面状の突起であり、収容体係合部90が半球面の凹部であることから、係合を解除する際に、両部410,90が互いに引っ掛かることを抑制できる。これにより、より容易にアダプター係合部410と収容体係合部90との係合を解除できる。
【0055】
図8に示すように、アダプター402はさらに、回路基板50と、挿入開口部446と、突起部418と、案内部462と、開口部位置決め部448と、凹部582と、
図5に示すアダプター固定部497と、を備える。
【0056】
図8に示すように、回路基板50は、表面に複数のアダプター端子521を有する。複数のアダプター端子521は、装置側端子部70の対応する装置端子721と接触可能である。詳細には、アダプター402がカートリッジ装着部6に装着された装着状態や、アダプター402のカートリッジ装着部6への挿入が完了した挿入完了状態において、アダプター端子521は装置端子721と接触する。複数のアダプター端子521を有する回路基板50は、コーナー部89に配置されている。
【0057】
図8に示すように、挿入開口部446は、アダプター底面474に形成され、アダプター底面474を貫通する貫通孔である。挿入開口部446は、アダプター底面474側からカートリッジ4を見た場合に、液体供給部442と重なる。挿入開口部446は、アダプター402の装着状態において、液体導入部642が挿入される。
【0058】
図5および
図8に示すように、突起部418は、アダプター底面474に形成されている。具体的には、突起部418は、アダプター底面474のうちでアダプター後面477側の端部に形成されている。突起部418は、挿入開口部446に液体導入部642を挿入するためのアダプター402の回転装着方向D2への移動を規制するカートリッジ装着部6の規制機構による規制を解除する。規制機構の構成と突起部418による規制の解除態様についての詳細は後述する。
【0059】
図8に示すように、案内部462は、アダプター周囲面の一つであるアダプター第2側面476に形成された段差である。案内部462は、挿入方向D1である-Y方向に沿って延びる。また、図示はしていないが、同様の案内部462が、アダプター周囲面の他の一つであるアダプター第1側面475にも形成されている。案内部462が、
図3に示す装置案内部602のうちで+Z方向側の面と接触しつつ、アダプター402がカートリッジ装着部6内を移動することで、アダプター402の水平方向である挿入方向D1や取り外し方向D4への移動を案内する。
【0060】
図8に示す開口部位置決め部448は、アダプター底面474から窪んだ凹部である。なお、開口部位置決め部448は、アダプター底面474を貫通する貫通孔であってもよい。開口部位置決め部448は、挿入方向D1に沿った方向について、挿入開口部446と突起部418の間に形成されている。アダプター402を挿入完了状態から回転装着方向D2に移動させてカートリッジ装着部6に対して装着状態にする過程において、開口部位置決め部448は
図3に示す装置側位置決め部644を受け入れて、回転装着方向D2と交差する方向の開口部位置決め部448の動きが規制される。これにより、開口部位置決め部448は、挿入開口部466の液体導入部642に対する位置決めを行う。
【0061】
図8に示す凹部582は、アダプター底面474のうちで、挿入開口部446よりも挿入方向D1側に形成されている。凹部582は、アダプター402のカートリッジ装着部6への装着状態において、カートリッジ装着部6の部材である
図3に示す突出部材628を受け入れる。
【0062】
図5に示すアダプター固定部497は、アダプター周囲面の一つであるアダプター後面477に形成された凹部である。アダプター固定部497は、アダプター402をカートリッジ装着部に着脱可能に固定して、装着状態を維持する。具体的には、アダプター402の装着状態では、アダプター固定部497に装置固定部が入り込んで係合することで、アダプター402がカートリッジ装着部6に固定される。
【0063】
上記のように、突起部418や案内部462やアダプター固定部497や開口部位置決め部448や凹部582などのカートリッジ装着部6への装着に必要な要素を、アダプター402に集約させることで、液体収容体401の構成をより簡素にできる。
【0064】
A-4.装着過程および更なる詳細説明:
図10は、アダプター402の挿入完了状態を示す図である。
図11は、アダプター402の装着状態を示す図である。
図12は、液体導入部642をさらに説明するための図である。
図12は、
図11の領域R12の拡大図である。
図13は、カートリッジ装着部6の規制機構900を説明するための図である。
図14は、カートリッジ4の装着状態を示す図である。
【0065】
カートリッジ装着部6へ装着される対象は、カートリッジ4またはアダプター402である。例えば、カートリッジ装着部6へカートリッジ4が装着されている場合に、液体収容体401の液体が消費されて無くなった場合には、アダプター402をカートリッジ装着部6に装着した状態で、液体収容体401を取り外して新たな液体収容体401をアダプター402に取り付けることができる。このとき、液体収容体401を交換する期間は、カートリッジ装着部6にアダプター402のみが装着されている。また、ユーザーは、アダプター402のみをカートリッジ装着部6に対して着脱することもできるし、カートリッジ4をカートリッジ装着部6に対して着脱することもできる。
【0066】
カートリッジ装着部6にアダプター402が装着される過程を説明する前に、カートリッジ装着部6の更なる説明を行う。
図12に示すように、液体導入部642は、液体であるインクが流通する内部流路682と、内部流路682を区画する導入部本体687と、内部流路682を開閉する装置流路弁機構681とを有する。カートリッジ4の液体供給部442から内部流路682に供給された液体は、カートリッジ装着部6の
図10に示す液体貯留部699に貯留される。液体貯留部699は、予め定めた圧力に維持されている。本実施形態では、予め定めた圧力は、負圧である。また本実施形態では、水頭差を利用してカートリッジ4から吐出ヘッド22にインクが供給される。具体的には、液体貯留部699内のインクの液面と吐出ヘッド22との水頭差によってインクが吐出ヘッド22に供給される。液体貯留部699の液面が低下するに伴って液体収容体401の液体が液体導入部642を介して補充される。これにより、液体貯留部699の液面は一定に維持される。
【0067】
図12に示すように、導入部本体687は、液体導入部642の外殻を形成する。内部流路682は、液体貯留部699と連通する。装置流路弁機構681は、内部流路682内に配置され、内部流路682を開閉する。装置流路弁機構681は、導入部本体687の一部である装置側弁座687aと、装置側弁体685と、シール部材688と、装置側付勢部材683とを有する。
【0068】
装置側弁座687aは、シール部材688を介して装置側弁体685が当接したり、離間したりする部分である。装置側弁体685は、中心軸CA1に沿って延びる円柱状部材である。装置側弁体685は、径方向外側に広がる円環状の開閉部分685aを有する。開閉部分685aは、中心軸CA1に沿った方向に装置側弁座687aと対向する。開閉部分685aのうち装置側弁座687aと対向する側にはシール部材688が配置されている。シール部材688は、円環状である。装置側付勢部材683は、開閉部分685aを装置側弁座687a側に向けて付勢する。装置側付勢部材683は、開閉部分685aのうち装置側弁座687aが配置された側とは反対側に配置された圧縮コイルバネである。装置流路弁機構681の閉状態では、装置側付勢部材683の付勢力によって開閉部分685aがシール部材688を介して装置側弁座687aに当接する。これにより、内部流路682が非連通状態となる。
【0069】
図10に示すように、カートリッジ装着部6は、さらに規制機構900を備える。規制機構900は、4つの支持部材610に応じて1つずつ設けられている。規制機構900は、装置側位置決め部644よりも挿抜開口部674に近い側であって、装置底壁64側に配置されている。
図13に示すように、規制機構900は、規制部材651と、規制部材651とは別体の装置当接部658とを有する。
【0070】
規制部材651は、X方向を厚み方向とする平板部材である。規制部材651は、支持部材610側である+Z方向側の端部である第1端部652と、-Z方向側の端部である第2端部653と、第1端部652と第2端部653との間に位置する回転軸Rpとを有する。回転軸Rpは、規制部材651の厚み方向に挿通された回転ピン654によって形成される。規制部材651は、回転軸Rpを中心として回動可能である。回動することにより、規制部材651は、実線で示す規制位置と、二点破線で示す解除位置とに移動可能である。規制部材651は、図示しない付勢部材により付勢されることにより、アダプター402の突起部418に押されていない状態では、規制位置に保たれる。
【0071】
装置当接部658は、規制部材651が規制位置にある場合に、第2端部653の真下の位置する部分を有する。アダプター402のカートリッジ装着部6への挿入が完了していない挿入未完了状態では、規制部材651の位置は規制位置である。挿入未完了状態において、回転支点698を中心にしてアダプター402を回転装着方向D2に回転させた場合、アダプター底面474が第1端部652を押し下げようとするが、第2端部653が装置当接部658と干渉する。このため、アダプター402の回転装着方向D2への移動が規制される。
【0072】
一方で、アダプター402のカートリッジ装着部6への挿入完了状態では、アダプター402の突起部418によって第1端部652が挿入方向D1側に押されることで、回転軸Rpを中心に規制部材651が回動することで、真下に装置当接部658が存在しない位置まで第2端部653が変位する。これにより、規制部材651の位置は、解除位置となるため、アダプター402は回転装着方向D2に回転移動できる。
【0073】
次に、アダプター402のカートリッジ装着部6への装着過程について説明する。
図10に示すように、まず、回路基板50のアダプター端子521が装置端子721に接触するまで、アダプター402を挿入方向D1に移動させることで、アダプター402を挿入完了状態にする。そして、
図11に示すように、例えばアダプター402のうち挿入方向D1の手前側部分を重力方向に押すことで、アダプター402を回転装着方向D2に移動させてアダプター402をカートリッジ装着部6に装着する。具体的には、装置流路弁機構681の閉状態を維持した状態で、アダプター端子521は装置端子721に接続され、挿入開口部446には液体導入部642が挿入されることで、アダプター402がカートリッジ装着部6に装着される。
【0074】
また、アダプター402の装着状態では、支持部材610を回転装着方向D2とは反対方向である反重力方向成分を有する解除方向D3に回転させるために、支持部材610の下側から支持部材610に外力を加える図示しない付勢部材を有する。付勢部材は、上述の外力機構の構成部材である、例えば圧縮コイルバネである。アダプター402の装着状態において、この付勢力によってアダプター402が支持部材610と共に解除方向D3に移動することを規制するために、
図11に示すように、装置固定部697がアダプター固定部497に入り込んで係合する。これにより、アダプター402および支持部材610の取り外し方向D4が規制される。
【0075】
図14に示すように、アダプター402の装着状態において、アダプター402に液体収容体401を取り付けた場合、液体供給部442内の部材、詳細には液体供給部442内の流路を開閉する供給部弁機構481によって
図12に示す装置流路弁機構681の装置側弁体685が装置側付勢部材683の付勢力に抗して押し下げられる。これにより、シール部材688および開閉部分685aが、装置側弁座687aから離れることで、装置流路弁機構681が開弁状態となる。なお、液体供給部442内の供給部弁機構481も、液体導入部642によって開弁方向に力が加えられることで開弁状態となる。装置流路弁機構681が開弁状態となることで、内部流路682が連通状態となり、
図12の矢印に液体の流れを示すように、液体供給部442から液体導入部642を介して液体貯留部699に液体が供給される。
【0076】
アダプター402をカートリッジ装着部6から取り外す場合には、ユーザーが解除部666を押し下げることで装置固定部697が変位してアダプター固定部497との係合が解除される。これにより、ユーザーは、アダプター402を解除方向D3に移動させた後に、取り外し方向D4に移動させることで、アダプター402をカートリッジ装着部6から取り外す。
【0077】
上記実施形態によれば、
図11および
図12に示すように、アダプター402をカートリッジ装着部6に装着した装着状態では、装置流路弁機構681は閉じた状態を維持するため、液体導入部642から外部に液体が漏れ出たり、内部流路682や内部流路682に連通する印刷装置10の流路、例えば液体貯留部699が予め定めた圧力から変動したりする不具合を低減できる。
【0078】
また上記実施形態によれば、アダプター係合部410は、弾性変形することで収容体係合部90との係合と係合の解除を行うことができる。これにより、アダプター402と液体収容体401との係合と係合の解除を容易に行うことができる。本実施形態では、アダプター係合部410はスナップフィット構造を有することで、アダプター402と液体収容体401との係合と係合の解除を容易に行うことができる。
【0079】
B.アダプター係合部の他の実施形態:
B-1.アダプター係合部の他の実施形態1:
図15は、アダプター係合部の他の実施形態1を説明するための図である。
図15の各図は、
図9に相当する図である。上記実施形態では、アダプター係合部410は、スナップフィット構造を有し、また半球面状の突起であったが、液体収容体401を着脱可能に係合できれば上記実施形態に限定されるものではない。
図15を用いて、アダプター係合部の他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態や、アダプター係合部の他の実施形態の一部と同一の構成については同一の符号を付すと共に適宜説明を省略する。
【0080】
左側上段に示すアダプター係合部410aは、上記実施形態のアダプター係合部410と突起形状が異なる。アダプター係合部410aは、アダプター第2側面476などのアダプター周囲面を底面とする四角錐である。また、収容体係合部90aは、アダプター係合部410aの形状に対応して四角錐状に窪んだ凹部である。なお、アダプター係合部410aの形状や、収容体係合部90aの凹部の形状は上記に限定されるものではなく、アダプター係合部410aと収容体係合部90aとが着脱可能に係合できればよく、例えば、他の角錐体や、円錐体や、錐台や、直方体や、円柱状などの突起形状や凹形状であればよい。
【0081】
図15の左側中段に示すアダプター係合部410bは、バネ444と、バネに取り付けられ,液体収容体401の収容体係合部90と係合する係合部分443とを有する。バネ444の一端は、アダプター第2側面476などのアダプター周囲面に取り付けられている。バネ444の他端は、係合部分443に取り付けられている。本実施形態では、バネ444は圧縮コイルバネである。バネ444は、係合部分443と収容体係合部90とが係合した状態では、圧縮状態となり、係合部分443を収容体係合部90側に付勢する。係合部分443は、半球面状である。
【0082】
係合部分443と収容体係合部90との係合が行われる場合には、液体収容体401の収容体底面44側が、アダプター係合部410の開口opを通ってアダプター402の凹形状内に入り込むように、液体収容体401をアダプター402に対して相対的に移動する。この結果、収容体係合部90を規定する液体収容体401の面によって、バネ444が圧縮する方向に係合部分443が押されることで、矢印Dr1の方向に示すように、係合部分443が、バネ444が取り付けられたアダプター係合部410の周囲面側に移動する。液体収容体401をさらにアダプター402内に移動させることで、係合部分443が凹部である収容体係合部90に到達する。これにより、係合部分443がバネ444の付勢力によって矢印Dr2に示す方向である収容体係合部90に近づく方向に移動する。これにより、係合部分443と収容体係合部90とが係合する。
【0083】
係合部分443と収容体係合部90との係合の解除が行われる場合には、液体収容体401の収容体底面44側が、アダプター係合部410の開口opを通ってアダプター402から離れるように、液体収容体401がアダプター402に対して相対的に移動する。この結果、収容体係合部90を規定する液体収容体401の面によって、バネ444が圧縮する方向に係合部分443が押されることで、矢印Dr1の方向に示すように移動する。さらに、液体収容体401を相対的に移動させることで、係合部分443が収容体係合部90を乗り越えることで係合が解除される。
【0084】
上記のように、アダプター係合部410bがバネ444と係合部分443とを有することで、アダプター402と液体収容体401との係合と係合の解除を容易に行うことができる。
【0085】
図15の左側下段に示すアダプター係合部410cは、上述のアダプター係合部410bと係合部分443cの形状が異なる。係合部分443cは、バネ444に接続された側を底面とする四角錐である。なお、係合部分443cの形状や、収容体係合部90aの凹部の形状は上記に限定されるものではなく、例えば、他の角錐体や、円錐体や、錐台や、直方体や、円柱状などの突起形状や凹形状であればよい。このようにしても、アダプター係合部410bと同様に、アダプター402と液体収容体401との係合と係合の解除を容易に行うことができる。
【0086】
図15に示す右側上段に示すアダプター係合部410dでは、バネ444dが板バネである点で、左側中段のアダプター係合部410bと異なる。バネ444dは屈曲した屈曲部425を有する。屈曲部425を支点としてバネ444dが弾性変形することで、係合部分443が収容体係合部90から近づく方向Dr2や、遠ざかる方向Dr1に変位する。
【0087】
図15の右側中段に示すアダプター係合部410eでは、係合部分443eの形状が
図15の右側上段に示すアダプター係合部410dと異なる。係合部分443cの形状は、
図15の左側下段に示す係合部分443cと同じである。
【0088】
上記のように、アダプター係合部410d,410eがバネ444dと係合部分443,443cとを有することで、アダプター402と液体収容体401との係合と係合の解除を容易に行うことができる。
【0089】
図15の右側下段に示すアダプター係合部410fは、バネ444と、バネ444に接続された係合部分443fとを備える。係合部分443fは、バネ444に接続された一対の支持部材429と、回転中心部428と、回転部427とを有する。回転部427は、円板形状であり、収容体係合部90と係合する部分である。回転部427は、収容体係合部90と係合する過程や、係合の解除過程において、収容体係合部90に接触して、回転中心部428を中心に回転する。回転中心部428は、回転部427の回転中心である。回転中心部428は、回転部427を厚み方向に貫通するロッドにより形成される。このロッドは、回転部427の厚み方向両側に位置する一対の支持部材429に回転自在に取り付けられている。このアダプター係合部410fによれば、係合部分443fが回転部427を有することで、アダプター402と液体収容体401との係合や係合の解除の際の摩擦抵抗を低減できる。これにより、アダプター402と液体収容体401との係合と係合の解除をより容易に行うことができる。
【0090】
上記実施形態や上記の他の実施形態において、アダプター係合部410~410fの構成と、収容体係合部90,90aの構成とを互いに入れ替えてもよい。すなわち、収容体係合部90,90aが弾性変形することで、アダプター係合部410~410fとの係合と係合の解除を行ってもよい。この場合、例えば、収容体係合部90,90aが突起で、アダプター係合部410~410fが突起を受け入れる凹部である。このようにしても、上記実施形態や他の実施形態と同様に、アダプター402と液体収容体401との係合と係合の解除を容易に行うことができる。
【0091】
B-2.アダプター係合部の他の実施形態2:
図16は、アダプター係合部の他の実施形態2を説明するための図である。
図17は、他の実施形態2のアダプター係合部を示す図である。
図16において、アダプター係合部410gの係合部分443gの動きは、点線の矢印によって模式的に示している。アダプター係合部410gは、液体収容体401のアダプター係合部410gと着脱可能に係合する。
図17に示すように、アダプター係合部410gは、コイルバネ441gと、本体部445gと、係合部分443gとを備える。コイルバネ441gの一端は、例えば、アダプター第2側面476などのアダプター周囲面に取り付けられる。コイルバネ441gの他端は、本体部445gに取り付けられる。本体部442は板状部材である。係合部分443gは、本体部442の先端に取り付けられている。本体部442は弾性変形することで、係合部分443gが取り付けられた先端側が液体収容体401と対向する方向Dr3に弾性変形する。
【0092】
図16に示すように、収容体係合部90gは、液体収容体401の収容体前面42、収容体後面47、収容体第1側面45および収容体第2側面46のいずれかに形成されている凹形状の溝である。収容体係合部90gは、係合部分443gが通過する溝経路を形成する。収容体係合部90gは、出入口部分921gと、第1傾斜部分915gと、係合地点928と、第2傾斜部916gとを有する。出入口部分921gは、係合部分443gが出入りする部分であり、収容体係合部90gのうちで最も大きい深さを有する。第1傾斜部分915gは、出入口部分921gに接続され、出入口部分921g側よりも出入口部分921gとは反対側の部分の方が深さは浅い。係合地点928は、壁によって形成されており、係合部分443gと係合する。第2傾斜部916gは、出入口部分921gに近づく側が、出入口部分921gから離れた側よりも深さが大きい。第2傾斜部916gと出入口部分921gとの接続部分には段差923gが形成されている。係合部分443gは、コイルバネ441gによって出入口部分921gの一方側側面929側に向けて付勢されている。係合部分443gが、さらに収容体係合部90g内を移動すると、第1傾斜部分915gに至る。第1傾斜部分915gの側面によって、コイルバネ441gの付勢力に抗して係合部分443gが、一方側側面929とは離れる側、
図16の右側に移動する。係合部分443gが第1傾斜部分915gよりもさらに移動すると、コイルバネ441gの付勢力によって一方側側面929に近づく側、
図16の左側に移動し、係合地点928において係合する。
【0093】
係合部分443と収容体係合部90gとの係合を解除するためには、まず液体収容体401をアダプター402に対して相対的に重力方向に移動させる。これにより、係合部分443が係合地点928から離間してコイルバネ441gの付勢力によって一方側側面929側の地点P6に移動する。そして、液体収容体401をアダプター402に対して相対的に反重力方向に移動させることで、係合部分443が第2傾斜部916g、出入口部分921gの順に通過して、係合部分443と収容体係合部90gとの係合が解除される。
【0094】
上記の他の実施形態2によれば、液体収容体401をアダプター402に対して相対的に重力方向や反重力方向に沿って移動させることで、アダプター係合部410gと収容体係合部90との係合と係合の解除を容易に行うことができる。
【0095】
C.液体収容体の他の実施形態:
C-1.液体収容体の他の実施形態1:
図18は、液体収容体の他の実施形態1を示す図である。上記実施形態では、液体収容体401は液体が消費されてゼロまたはゼロに近い状態になった場合、アダプター402から液体収容体401を取り外して新たな液体収容体401をアダプター402に装着していた。他の実施形態1では、液体収容体401hは、液体を液体収容部450に注入するための液体注入口802を有している。液体注入口802からの液体の注入は、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着された状態において行われてもよいし、カートリッジ装着部6からカートリッジ4が取り外された状態において行われてもよい。
【0096】
液体注入口802は、収容体角部483に形成されている。収容体角部483は、液体収容体401のうちでアダプター402をカートリッジ装着部6に挿入する挿入方向D1における奥側である収容体前面42と、アダプター402が位置する側である収容体底面44側とは反対側の収容体上面43とが交差する部分である。収容体角部483は、カートリッジ4のカートリッジ装着部6への装着状態において、最も高い位置に配置される。液体注入口802には、例えば、切れ目が形成されたゴム部材が取り付けられている。このゴム部材によって液体注入口802は塞がれている。液体注入口802から液体を液体収容部450に注入する場合には、例えば筒状の部材を液体注入口802に挿入する。筒状の部材によって、ゴム部材の切れ目を押し開ける。これにより、筒状の部材を介して液体を液体収容部450に注入できる。
【0097】
液体注入口802は、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着された装着状態において、収容体後面47よりも上方に位置する。これにより、収容体後面47の上端部程度の高さ位置の液面となるように液体注入口802から液体を注入した場合でも、液体が液体注入口802から溢れ出す可能性を低減できる。
【0098】
上記の他の実施形態によれば、アダプター402が液体収容体401hよりも下側になる状態で液体注入口802から液体を注入した場合に、液体の注入完了前に液体が液体注入口802から溢れ出す可能性を低減できる。特に、カートリッジ4をカートリッジ装着部6に装着した装着状態において、挿入方向D1における手前側が挿入方向D1の奥側よりも下側に押し下げられた状態では、液体収容体401hのうちで収容体角部483は他の部分よりも上方に位置する。これにより、収容体角部483に設けられた液体注入口802から液体を注入することで、液体の注入完了前に液体が液体注入口802から溢れ出す可能性をより低減できる。
【0099】
C-2.液体収容体の他の実施形態2:
上記実施形態では、液体収容体401はインクを収容していたが、他の液体を収容していてもよい。例えば、液体としては、液晶ディスプレイ等の画像表示装置用のカラーフィルタの製造に用いられる色材や、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや、面発光ディスプレイ (Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材などが挙げられる。
【0100】
D.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態(aspect)によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0101】
(1)本開示の第1の形態によれば、印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるアダプターが提供される。このアダプターは、液体収容体を着脱可能に係合させるアダプター係合部と、前記カートリッジ装着部の装置端子と接触可能なアダプター端子と、前記カートリッジ装着部の液体導入部が挿入される挿入開口部と、を備え、前記液体導入部の内部流路を開閉する装置流路弁機構の閉状態を維持した状態で、前記アダプター端子は前記装置端子に接続され、前記挿入開口部には前記液体導入部が挿入されることで、前記アダプターが前記カートリッジ装着部に装着される。この形態によれば、アダプターをカートリッジ装着部に装着した状態では、装置流路弁機構は閉じた状態を維持するため、液体導入部から外部に液体が漏れ出たり、内部流路や内部流路に連通する印刷装置の流路が予め定めた圧力から変動したりする不具合を低減できる。
【0102】
(2)上記形態において、さらに、前記挿入開口部が形成されたアダプター底面と、前記アダプター底面と交差するアダプター周囲面と、前記アダプター底面と前記アダプター周囲面とが交差するコーナー部であって、前記アダプター端子が配置されたコーナー部と、前記アダプター底面に形成された、前記カートリッジ装着部の部材を受け入れる凹部と、前記アダプター底面に形成された突起部であって、前記挿入開口部に前記液体導入部を挿入するための前記アダプターの移動を規制する前記カートリッジ装着部の規制機構による規制を解除する突起部と、前記アダプター周囲面に形成された案内部であって、前記アダプターの前記カートリッジ装着部への水平方向への挿入を案内する案内部と、前記アダプター周囲面に形成された、前記アダプターを前記カートリッジ装着部に着脱可能に固定するアダプター固定部と、を有していてもよい。この形態によれば、アダプターにカートリッジ装着部への装着に必要な要素を集約させることができる。これにより、液体収容体の構成をより簡素にできる。
【0103】
(3)上記形態において、前記アダプター係合部は、弾性変形することで前記液体収容体との係合と前記係合の解除を行ってもよい。この形態によれば、アダプターと液体収容体との係合と係合の解除を容易に行うことができる。
【0104】
(4)上記形態において、前記アダプター係合部は、スナップフィット構造を有していてもよい。この形態によれば、スナップフィット構造によってアダプターと液体収容体との係合と係合の解除を容易に行うことができる。
【0105】
(5)上記形態において、前記アダプター係合部は、バネと、前記バネに取り付けられ前記液体収容体と係合する係合部分と、を有していてもよい。この形態によれば、アダプター係合部がバネと係合部分とを有することで、アダプターと液体収容体との係合と係合の解除を容易に行うことができる。
【0106】
(6)上記形態において、前記バネは、コイルバネと板バネとのいずれか一方であってもよい。この形態によれば、バネをコイルバネと板バネとのいずれかによって構成できる。
【0107】
(7)上記形態において、前記係合部分は、前記係合と前記係合の解除の際に回転する回転部と、前記回転部の回転中心である回転中心部と、を有していてもよい。
【0108】
(8)上記形態において、前記アダプター係合部は、弾性変形することで前記アダプター係合部との係合と前記係合の解除を行う前記液体収容体の収容体係合部と係合してもよい。この形態によれば、アダプターと液体収容体との係合と係合の解除を容易に行うことができる。
【0109】
(9)本開示の第2の形態によれば、カートリッジが提供される。このカートリッジは、上記形態のアダプターと、前記アダプターに着脱可能に係合された液体収容体と、を備え、前記液体収容体は、前記アダプターをカートリッジ装着部に挿入する挿入方向における奥側と、前記アダプターが位置する側とは反対側との収容体角部に形成された液体注入口を有する。この形態によれば、アダプターが液体収容体よりも下側になる状態で液体注入口から液体を注入した場合に、液体の注入完了前に液体が液体注入口から溢れ出す可能性を低減できる。特に、カートリッジをカートリッジ装着部に装着した装着状態において、挿入方向における手前側が挿入方向の奥側よりも下側に押し下げられた状態では、液体収容体のうちで収容体角部は他の部分よりも上方に位置する。これにより、収容体角部に設けられた液体注入口から液体を注入することで、液体の注入完了前に液体が液体注入口から溢れ出す可能性をより低減できる。
【0110】
(10)上記形態において、前記液体収容体は、挿入方向手前側に位置する収容体後面を有し、前記液体注入口は、前記カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着された状態において、前記収容体後面よりも上方に位置していてもよい。この形態によれば、収容体後面の上端部程度の高さ位置の液面となるように液体注入口から液体を注入した場合でも、液体が液体注入口から溢れ出す可能性を低減できる。
【0111】
本開示は、上記以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、本開示は、アダプターやカートリッジの製造方法などの形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0112】
1…印刷システム、2…印刷用紙、4,4C,4M,4Y,4K…カートリッジ、4A…第1種カートリッジ、4B…第2種カートリッジ、6…カートリッジ装着部、8…キャップ部材、10…印刷装置、13…交換用カバー、15…操作ボタン、20…キャリッジ、22…吐出ヘッド、24…チューブ、30…駆動機構、31…制御部、32…タイミングベルト、34…駆動モーター、42…収容体前面、43…収容体上面、44…収容体底面、45…収容体第1側面、46…収容体第2側面、47…収容体後面、50…回路基板、61…収容室、62…第2装置壁、63…装置上壁、64…装置底壁、65…第1装置側壁、66…第2装置側壁、67…第1装置壁、70…装置側端子部、89…コーナー部、90,90a,90g…収容体係合部、401,401h…液体収容体、402…アダプター、410,410a~410b…アダプター係合部、411…第1アダプター係合部、412…第2アダプター係合部、413…第3アダプター係合部、414…第4アダプター係合部、418…突起部、425…屈曲部、427…回転部、428…回転中心部、429…支持部材、432…主面、433…傾斜面、435…端部面、441g…コイルバネ、442…液体供給部、442g…本体部、443,443c,443e,443f,443g…係合部分、444,444d…バネ、445g…本体部、446…挿入開口部、448…開口部位置決め部、450…液体収容部、462…案内部、466…挿入開口部、472…アダプター前面、474…アダプター底面、475…アダプター第1側面、475f…端面、476…アダプター第2側面、476f…端面、477…アダプター後面、481…供給部弁機構、483…収容体角部、497…アダプター固定部、521…アダプター端子、582…凹部、602…装置案内部、610…支持部材、611…第1支持側壁、612…第2支持側壁、613…主壁、614…第1装置開口部、626…第2装置開口部、628…突出部材、642…液体導入部、644…装置側位置決め部、651…規制部材、652…第1端部、653…第2端部、654…回転ピン、658…装置当接部、666…解除部、674…挿抜開口部、677…固定形成体、681…装置流路弁機構、682…内部流路、683…装置側付勢部材、685…装置側弁体、685a…開閉部分、687…導入部本体、687a…装置側弁座、688…シール部材、697…装置固定部、698…回転支点、699…液体貯留部、721…装置端子、802…液体注入口、900…規制機構、911…第1収容体係合部、912…第2収容体係合部、913…第3収容体係合部、914…第4収容体係合部、915g…第1傾斜部分、916g…第2傾斜部、921g…出入口部分、923g…段差、928…係合地点、929…一方側側面、CA1,CA2…中心軸、D1…挿入方向、D2…回転装着方向、D3…解除方向、D4…取り外し方向、Rp…回転軸、op…開口