(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003910
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】連結具
(51)【国際特許分類】
H02G 7/00 20060101AFI20240109BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20240109BHJP
A01M 29/32 20110101ALI20240109BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20240109BHJP
F16B 2/10 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H02G7/00
H02G1/02
A01M29/32
F16B7/04 301C
F16B7/04 301F
F16B2/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103266
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000207311
【氏名又は名称】大東電材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】三上 悟
【テーマコード(参考)】
2B121
3J022
3J039
5G352
5G367
【Fターム(参考)】
2B121AA07
2B121BB26
2B121BB32
2B121EA21
2B121FA13
3J022DA12
3J022EA34
3J022EB12
3J022EC17
3J022EC23
3J022ED06
3J022ED26
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA16
3J022GB23
3J022HA05
3J022HB10
3J039AA01
3J039BB02
3J039CA01
5G352AC02
5G367BB11
(57)【要約】
【課題】予め地上で一対の鳥害防止具の連結を行っておき、連結済みの一対の鳥害防止具を架空ケーブルに取り付けることのできる連結具を提供する。
【解決手段】本体部116と、本体部116よりも太径に形成された太径部114と、本体部116および太径部114の間に形成された段部110と、太径部114および段部110の少なくとも一方に形成された第1係合部112とをそれぞれ有している一対の鳥害防止具100を互いに連結させる連結具10である。この連結具10を、段部110に対向する一対の側壁12と、一対の側壁12同士の間に架け渡された連結本体部14と、側壁12および連結本体部14で囲まれており、太径部114が嵌まり込む嵌込凹所26と、側壁12および連結本体部14の少なくとも一方に形成されており、第1係合部112と係合する第2係合部16とで構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、前記本体部よりも太径に形成された太径部と、前記本体部および前記太径部の間に形成された段部と、前記太径部および前記段部の少なくとも一方に形成された第1係合部とをそれぞれ有している一対の鳥害防止具を互いに連結させる連結具であって、
前記段部に対向する一対の側壁と、
一対の前記側壁同士の間に架け渡された連結本体部と、
前記側壁および前記連結本体部で囲まれており、前記太径部が嵌まり込む嵌込凹所と、
前記側壁および前記連結本体部の少なくとも一方に形成されており、前記第1係合部と係合する第2係合部とを有している
連結具。
【請求項2】
一方の前記鳥害防止具に形成された前記太径部は、他方の前記鳥害防止具の端部と重なりあって重合部分を形成し、
前記嵌込凹所に前記重合部分が嵌まり込む
請求項1に記載の連結具。
【請求項3】
前記第1係合部は、前記段部に形成されている
請求項1または2に記載の連結具。
【請求項4】
前記第2係合部は、前記側壁に形成されている
請求項3に記載の連結具。
【請求項5】
前記連結本体部から突設された把持部をさらに備えている
請求項1に記載の連結具。
【請求項6】
前記把持部は、前記本体部の長手方向に平行に形成された把持面を有している
請求項5に記載の連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線等の架空ケーブルに取り付けられる一対の鳥害防止具を互いに連結するための連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
鳩等の鳥は、電線等の架空ケーブルに留まる習性を持っている。架空ケーブルに常習的に多数の鳥が留まると、架空ケーブルの被覆が損傷したり、あるいは、鳥の糞が当該架空ケーブルの下に落下して溜まったりする等といった鳥害が発生する。
【0003】
このような鳥害を防止するため、予め架空ケーブルに取り付けておくことによって鳥が当該架空ケーブルに留まることをできなくする鳥害防止具が開発されている。
【0004】
さらに、このような鳥害防止具を互いに連結させて架空ケーブルに取り付けたいという要望に応じて、一対の鳥害防止具の間において架空ケーブルに取り付けることにより、両外側の鳥害防止具を連結させて当該架空ケーブルに固定する連結器具も開発されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般的な鳥害防止具は、一対の半筒体を互いに組み合わせることによって略円筒形状体となり、この略円筒形状体の表面から多数の突出針が突出されている。一対の半筒体で架空ケーブルを挟み込むようにして鳥害防止具を取り付けることにより、多数の突出針が邪魔をして鳥が架空ケーブルに留まることができなくなる。
【0007】
特許文献1に係る連結器具の場合、一対の鳥害防止具を架空ケーブルに対してそれぞれ個別に取り付けた後で当該連結器具を取り付ける必要があることから作業の手間がかかるという問題があった。
【0008】
さらに言えば、作業を行いにくい高所の架空ケーブルにおいて一対の鳥害防止具を連結するのではなく、予め地上で一対の鳥害防止具の連結を行っておき、連結済みの一対の鳥害防止具を架空ケーブルに取り付けることのできる連結具が求められていた。
【0009】
本発明は、このような問題および要望に鑑みてなされたものであり、その目的は、予め地上で一対の鳥害防止具の連結を行っておき、連結済みの一対の鳥害防止具を架空ケーブルに取り付けることのできる連結具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面によれば、
本体部と、前記本体部よりも太径に形成された太径部と、前記本体部および前記太径部の間に形成された段部と、前記太径部および前記段部の少なくとも一方に形成された第1係合部とをそれぞれ有している一対の鳥害防止具を互いに連結させる連結具であって、
前記段部に対向する一対の側壁と、
一対の前記側壁同士の間に架け渡された連結本体部と、
前記側壁および前記連結本体部で囲まれており、前記太径部が嵌まり込む嵌込凹所と、
前記側壁および前記連結本体部の少なくとも一方に形成されており、前記第1係合部と係合する第2係合部とを有している
連結具が提供される。
【0011】
好適には、
一方の前記鳥害防止具に形成された前記太径部は、他方の前記鳥害防止具の端部と重なりあって重合部分を形成し、
前記嵌込凹所に前記重合部分が嵌まり込む。
【0012】
好適には、
前記第1係合部は、前記段部に形成されている。
【0013】
好適には、
前記第2係合部は、前記側壁に形成されている。
【0014】
好適には、
前記連結本体部から突設された把持部をさらに備えている。
【0015】
好適には、
前記把持部は、前記本体部の長手方向に平行に形成された把持面を有している。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、連結具に形成されている嵌込凹所に鳥害防止具に形成されている太径部を嵌め込んだ状態で、当該鳥害防止具に形成された第1係合部と、連結具に形成された第2係合部とが互いに係合する。このように、本発明に係る連結具には、鳥害防止具に形成された第1係合部に係合する第2係合部が形成されているので、予め地上で一対の鳥害防止具の連結を行っておき、連結済みの一対の鳥害防止具を架空ケーブルに取り付けることのできる連結具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明が適用された連結具10を示す斜視図である。
【
図2】本発明が適用された連結具10を示す斜視図である。
【
図3】連結具10によって連絡された一対の鳥害防止具100(閉じた状態)を示す斜視図である。
【
図4】鳥害防止具100の重合部分を示す拡大斜視図である。
【
図5】鳥害防止具100の重合部分に連結具10を被せた状態を示す模式断面図である。
【
図6】連結具10によって連結された一対の鳥害防止具100(開いた状態)を示す斜視図である。
【
図7】変形例3に係る連結具10を一対の鳥害防止具100の各太径部114に被せた状態を示す模式断面図である。
【
図8】変形例3に係る連結具10を一対の鳥害防止具100の各太径部114に被せた状態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(連結具10の構成)
本実施形態に係る連結具10は、
図1および
図2に示すように、大略、一対の側壁12と、連結本体部14と、連結具係合部(第2係合部)16と、把持部19とを備えている。
【0019】
一対の側壁12は、鳥害防止具100に対して連結具10を取り付けたときに、それぞれ、当該鳥害防止具100における段部110に対向する位置にある略板状の部材である(
図3を参照)。本実施形態に係る側壁12には、それぞれ、一対の連結具係合部(第2係合部)16と、側壁凹所20とが形成されている。なお、側壁12の幅方向寸法(つまり、後述する嵌込凹所26の深さ寸法。以下、同じ。)は、基本的に、鳥害防止具100の段部110の高さに略一致するように設定されている。
【0020】
一対の連結具係合部(第2係合部)16は、鳥害防止具100の段部110に形成された鳥害防止具係合部(第1係合部)112(
図4を参照)と係合する部分であり、本実施形態では、凸鉤状に形成された鳥害防止具係合部(第1係合部)112と係合する断面矩形状の孔部として形成されている。また、一対の連結具係合部(第2係合部)16は、側壁12における側壁凹所20を挟んだ両側にそれぞれ形成されている。
【0021】
さらに、各連結具係合部(第2係合部)16における外側(連結本体部14に向かう方向とは反対側)の端縁には、凸鉤状に形成された鳥害防止具係合部(第1係合部)112が係合し易いように薄肉部22が形成されている。
【0022】
側壁凹所20は、側壁12において当該側壁12の幅方向寸法が小さくなるように形成されている部分である。この側壁凹所20を形成することにより、鳥害防止具100の一部と連結具10の側壁12とが互いに干渉するのを回避できる(
図3を参照)。
【0023】
連結本体部14は、一対の側壁12同士の間に架け渡された略矩形状の部材であり、その上下方向が鳥害防止具100における太径部114の周面に沿わせるために滑らかに湾曲されている。また、連結本体部14の幅方向寸法は、鳥害防止具100における太径部114および結合部115の重なり合った重合部分の幅方向寸法とほぼ同じかそれ以上に設定されている。
【0024】
ここまでに説明した一対の側壁12と連結本体部14とで囲まれる空間が、鳥害防止具100の太径部114が嵌まり込む嵌込凹所26となる。
【0025】
把持部19は、連結具10を鳥害防止具100に取り付ける際や、連結具10によって連結された一対の鳥害防止具100を架空ケーブルLに取り付ける際に、作業者が挟み工具等を用いて把持する部分であり、連結本体部14から突設されている。具体的には、把持部19の一端が連結本体部14の上下方向略中央部に接続されており、他端が略下向きとなるように湾曲した形状となっている。
【0026】
また、把持部19には、工具等を用いて把持される把持面21が形成されており、本実施形態において、この把持面21は本体部116の長手方向に平行に形成されている。なお、把持面21は、工具等を用いて把持し易いように波状に形成されている。また、「本体部116の長手方向に平行」とは、厳密な意味ではなく、角度的なずれが多少あっても「平行」に含まれる趣旨である。
【0027】
(連結具10の特徴)
本実施形態に係る連結具10を用いて一対の鳥害防止具100を連結する手順について説明する。先に、鳥害防止具100について簡単に説明すると、
図3および
図4に示すように、この鳥害防止具100は、本体部116と、本体部116よりも太径に形成された太径部114と、本体部116および太径部114の間に形成された段部110と、段部110に形成された鳥害防止具係合部(第1係合部)112と、突出針118とを有している。
【0028】
鳥害防止具100の本体部116および太径部114は半筒状に一体に形成されており、このような半筒状体を2つ組み合わせることによって略円筒状体となる。また、本体部116の表面から多数の突出針118が外向きに突出形成されている。
【0029】
さらに、鳥害防止具100の段部110において、凸鉤状に形成された鳥害防止具係合部(第1係合部)112が2つ、互いに上下方向に間隔をあけて形成されている。
【0030】
また、本体部116の一方の端部に太径部114が形成されており、他方の端部に本体部116とほぼ同径の結合部115が形成されており、結合部115(
図3における左端)は、太径部114(
図3における右端)の内側に嵌まるように形成されている。これにより、
図5に示すように、一方の鳥害防止具100における結合部115の外側に他方の鳥害防止具100における太径部114を被せることができるようになっている(
図4におけるX部)。なお、結合部115の外側に太径部114を被せた部分を重合部分とも言う。
【0031】
このように、結合部115に対して太径部114を被せた状態で、さらに外側に連結具10を取り付ける。具体的には、太径部114が嵌込凹所26に嵌まり込むようにして連結具10を被せていく。当該太径部114に連結具10を被せていくと、鳥害防止具100の段部110に形成されている鳥害防止具係合部(第1係合部)が連結具10の側壁12に形成されている連結具係合部(第2係合部)16に係合する。
【0032】
ここまでで、連結具10によって一対の半筒状の鳥害防止具100が互いに連結された状態になる。もう一方の一対の半筒状の鳥害防止具100も互いに連結された状態にして、組み合わせることにより、略円筒状の一対の鳥害防止具100が互いに連結された状態となる(
図6を参照)。
【0033】
本実施形態にかかる連結具10によれば、当該連結具10に形成されている嵌込凹所26に鳥害防止具100に形成されている太径部114を嵌め込んだ状態で、当該鳥害防止具100に形成された鳥害防止具係合部(第1係合部)112と、連結具10に形成された連結具係合部(第2係合部)16とが互いに係合する。このように、本実施形態にかかる連結具10には、鳥害防止具100に形成された鳥害防止具係合部(第1係合部)112に係合する連結具係合部(第2係合部)16が形成されているので、予め地上で一対の鳥害防止具100の連結を行っておき、連結済みの一対の鳥害防止具100を架空ケーブルLに取り付けることのできる連結具10を提供することができる。なお、本実施形態では、2本の鳥害防止具100を連結する場合について説明したが、3本あるいはそれ以上の本数の鳥害防止具100を連結することも可能である。
【0034】
(変形例1)
上述した実施形態では、連結具10の連結具係合部(第2係合部)16が係合される側(孔部)として形成され、鳥害防止具100の鳥害防止具係合部(第1係合部)112が係合する側(凸鉤状)として形成されていたが、これを逆にして、連結具係合部(第2係合部)16を係合する側、鳥害防止具係合部(第1係合部)112を係合される側として形成してもよい。また、連結具係合部(第2係合部)16の一方を係合する側、他方を係合される側、そして、鳥害防止具係合部(第1係合部)112の一方を係合される側、他方を係合する側、といったように、係合する側と係合される側とが混ざっていてもよい。
【0035】
(変形例2)
上述した実施形態では、連結具10の側壁12に連結具係合部(第2係合部)16が形成され、鳥害防止具100の段部110に鳥害防止具係合部(第1係合部)112が形成されているが、これに代えて、連結具10の連結本体部14に連結具係合部(第2係合部)16を形成し、鳥害防止具100の太径部114の周面に鳥害防止具係合部(第1係合部)112を形成してもよい。
【0036】
もちろん、連結具10の側壁12および連結本体部14に連結具係合部(第2係合部)16をそれぞれ形成し、鳥害防止具100の段部110および太径部114の周面に鳥害防止具係合部(第1係合部)112をそれぞれ形成してもよい。
【0037】
(変形例3)
また、上述した実施形態では、結合部115に対して太径部114を被せた状態で、さらに外側に連結具10を取り付けるようになっていたが、
図7に示すように、両端に太径部114が形成された一対の鳥害防止具100を互いの太径部114が隣接するように並べた状態で連結具10を用いて連結してもよい。ただし、上述した実施形態のように、一方の鳥害防止具100における結合部115に対して他方の鳥害防止具100における太径部114を被せた状態で連結する方が、一方の鳥害防止具100に対して他方の鳥害防止具100が折れ曲がった状態になり難いので、好適である。
【0038】
この場合、連結具10における連結本体部14の幅方向寸法を太径部114二つ分の幅寸法とすることにより対応することができる。また、
図8に示すように、一対の太径部114の間に挟まれる中間部材30を連結本体部14の内面から凸設してもよい。
【0039】
なお、この場合も、連結具係合部(第2係合部)16および鳥害防止具係合部(第1係合部)112を、係合する側、係合される側のいずれに設定してもよい。また、連結具係合部(第2係合部)16を側壁12および連結本体部14の少なくとも一方に形成し、鳥害防止具係合部(第1係合部)112を太径部114および段部110の少なくとも一方に形成すればよい。
【0040】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0041】
10…連結具、12…側壁、14…連結本体部、16…連結具係合部(第2係合部)、19…把持部、21…(把持部19の)把持面
20…側壁凹所、22…薄肉部、26…嵌込凹所
30…中間部材
100…鳥害防止具
110…段部、112…鳥害防止具係合部(第1係合部)、114…太径部、115…結合部、116…本体部、118…突出針
L…架空ケーブル(電線)