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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039101
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】車両用後側方画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
H04N7/18 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143403
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】本田 圭助
【テーマコード(参考)】
5C054
【Fターム(参考)】
5C054EJ00
5C054FC12
5C054HA30
(57)【要約】
【課題】カメラで撮像した車両後側方の画像を表示する際の奥行き感喪失を防止し、違和感のない画像を表示することができる車両用後側方画像表示装置を提供すること。
【解決手段】車両用後側方画像表示装置1は、自車両の後側方を撮像する左カメラ10L、右カメラ10Rと、撮像された画像の一部であって、撮像位置に近い撮像範囲に対応する部分画像を抽出する左部分画像抽出手段30L、右部分画像抽出部30Rと、抽出した部分画像についてぼかし処理を行う左ぼかし処理部32L、右ぼかし処理部32Rと、ぼかし処理後の画像とそれ以外の画像とが含まれる全体後方画像を合成して表示する左画像合成部40L、右画像合成部40R、左表示処理部50L、右表示処理部50R、左表示部60L、右表示部60Rとを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の後側方を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像の一部であって、前記撮像手段に近い撮像範囲に対応する部分画像を抽出する部分抽出手段と、
前記部分画像についてぼかし処理を行うぼかし処理手段と、
前記ぼかし処理手段によるぼかし処理後の画像と、前記撮像手段によって撮像された画像の一部であって前記部分画像以外の画像とが含まれる全体後方画像を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする車両用後側方画像表示装置。
【請求項2】
前記ぼかし処理は、画像の解像度を低下させる処理であることを特徴とする請求項1に記載の車両用後側方画像表示装置。
【請求項3】
前記部分画像は、前記撮像手段が取り付けられた自車両の車体側面に対応する画像であることを特徴とする請求項1に記載の車両用後側方画像表示装置。
【請求項4】
前記ぼかし処理手段によるぼかし処理の対象となる前記部分画像は、前記車体側面の端部を除く領域に対応する画像であることを特徴とする請求項3に記載の車両用後側方画像表示装置。
【請求項5】
前記部分画像にタイヤが含まれる場合に、前記ぼかし処理手段は、前記タイヤを除く前記部分画像を対象にぼかし処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両用後側方画像表示装置。
【請求項6】
前記ぼかし処理手段は、前記撮像手段に近づくほど、前記部分画像のぼかしの程度を大きくすることを特徴とする請求項1に記載の車両用後側方画像表示装置。
【請求項7】
前記ぼかし処理手段は、自車両の速度が速いほど、前記部分画像のぼかしの程度を大きくすることを特徴とする請求項1に記載の車両用後側方画像表示装置。
【請求項8】
前記ぼかし処理手段は、自車両の後退時に、前進時に比べて、前記部分画像のぼかしの程度を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の車両用後側方画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて後側方を撮像して表示する車両用後側方画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ドアミラーの反射像に対応する後側方映像を車室内のディスプレイに表示するようにした電子ミラーとしての周辺監視システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この周辺監視システムでは、運転者が実景と自車両の車体側面に映り込んだ反射像とを判別できるようにするために、車体側に境界を明瞭にする画像処理を施すことが行われている。具体的には、(1)車体側の画素全ての輝度を低下させる、(2)車体色に対応するRGB値を書き込む、(3)車体のエッジ領域のみ画像処理を施す、などが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-116756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、鏡面を有するドアミラー越しに後方を確認する場合には、車両後方の遠方を見ている場合(遠方にピントが合っている場合)には、ドアミラー近くの車体側面にはピントが合わずにぼやけて見えることになる。
【0005】
一方、電子ミラーの場合には、車両後方を撮像するカメラの被写体深度(被写界深度)は約1m~∞と深いものが通常は用いられるため、撮像範囲に含まれる車両後方から車体側面までの広い範囲についてピントが合うことになり、撮像範囲の全体について鮮明な映像が得られることになる。したがって、撮像範囲に含まれる車体側面に映り込んだ後方車両等についてもそれ以外の後方車両等と同様にピントが合ってしまい、奥行き感を喪失するという問題があった。このため、鏡面を有するドアミラーが備わった車両に乗りなれている利用者(運転者)が電子ミラー式のドアミラーが備わった車両に乗り換える場合には、慣れるまで違和感を感じることになる。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、カメラで撮像した車両後側方の画像を表示する際の奥行き感喪失を防止し、違和感のない画像を表示することができる車両用後側方画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の車両用後側方画像表示装置は、自車両の後側方を撮像する撮像手段と、撮像手段によって撮像された画像の一部であって、撮像手段に近い撮像範囲に対応する部分画像を抽出する部分抽出手段と、部分画像についてぼかし処理を行うぼかし処理手段と、ぼかし処理手段によるぼかし処理後の画像と、撮像手段によって撮像された画像の一部であって部分画像以外の画像とが含まれる全体後方画像を表示する表示手段とを備えている。
【0008】
撮像手段で撮像した後側方画像を表示する際に、撮像範囲の全体についてピントが合った画像を表示するのではなく、利用者(運転者)が見ようとしている遠景に対応する領域を鮮明に、それより近い領域(部分画像)をぼかして表示することにより、鏡面を有するドアミラーを利用者が見た場合と同じような遠近に応じたぼかし方の表示画像とすることができ、奥行き感喪失を防止して違和感のない画像を表示することが可能となる。
【0009】
また、上述したぼかし処理は、画像の解像度を低下させる処理であることが望ましい。解像度を低下させるという簡単な処理によって部分画像をぼかすことが可能となる。
【0010】
また、上述した部分画像は、撮像手段が取り付けられた自車両の車体側面に対応する画像であることが望ましい。これにより、車体側面に鮮明な後方車両等が反射して利用者の注意を引くことを回避することができる。
【0011】
また、上述したぼかし処理手段によるぼかし処理の対象となる部分画像は、車体側面の端部を除く領域に対応する画像であることが望ましい。車体側面の端部を鮮明な画像とすることにより、車体側面とそれ以外との間の境界がわかりやすくなり、自車両とその後方を走行する後方車両との間の相対距離の把握が容易となる。
【0012】
また、上述した部分画像にタイヤが含まれる場合に、ぼかし処理手段は、タイヤを除く部分画像を対象にぼかし処理を行うことが望ましい。タイヤの鮮明な画像が見えることにより、自車両の幅寄せ時や後退時の運転操作がしやすくなる。
【0013】
また、上述したぼかし処理手段は、撮像手段に近づくほど、部分画像のぼかしの程度を大きくすることが望ましい。人間の目の特性に合わせたぼかし方とすることにより、画像を見た際の違和感をさらに低減することが可能となる。
【0014】
また、上述したぼかし処理手段は、自車両の速度が速いほど、部分画像のぼかしの程度を大きくすることが望ましい。速度が速いほど、特に高速走行時などでは、遠方の後方車両の接近に注意をはらう必要があるため、自車両近傍の画像のぼかしの程度を大きくすることにより、遠方の後続車両等への注視を促すことができる。
【0015】
また、上述したぼかし処理手段は、自車両の後退時に、前進時に比べて、部分画像のぼかしの程度を小さくすることが望ましい。自車両の後退時には自車両の近傍に対する注視も必要になるため、この領域についてのぼかしの程度を小さくすることで、後退時の運転操作がしやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態の車両用後側方画像表示装置の構成を示す図である。
図2】全体左後側方画像の一例を示す図である。
図3】変形例の全体左後側方画像の一例を示す図である。
図4】他の変形例の全体左後側方画像の一例を示す図である。
図5】他の変形例の全体左後側方画像の一例を示す図である。
図6】他の変形例の車両用後側方画像表示装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を適用した一実施形態の車両用後側方画像表示装置について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、一実施形態の車両用後側方画像表示装置の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態の車両用後側方画像表示装置1は、左カメラ10L、右カメラ10R、左画像格納部20L、右画像格納部20R、左部分画像抽出部30L、左ぼかし処理部32L、右部分画像抽出部30R、右ぼかし処理部32R、左画像合成部40L、右画像合成部40R、左表示処理部50L、右表示処理部50R、左表示部60L、右表示部60Rを備えている。
【0019】
左カメラ10Lは、物理的な左側のドアミラーが備わっていると仮定したときに、車両の運転者から見てこのドアミラーに映る領域が撮像範囲に含まれるように車両左側の後側方を撮像する。右カメラ10Rは、物理的な右側のドアミラーが備わっていると仮定したときに、車両の運転者から見てこのドアミラーに映る領域が撮像範囲に含まれるように車両右側の後側方を撮像する。これらの左カメラ10L、右カメラ10Rは、被写体深度がともに深いものが用いられており、自車両の車体側面を含む近景から後続車両や建物、樹木などを含む遠景までの広い範囲の被写体について、ピントが合った状態で撮像することができる。なお、本実施形態の車両には左右のドアミラーは備わっておらず、代わりに、左カメラ10Lと右カメラ10Rの撮像によって得られた画像が表示される。
【0020】
左カメラ10Lによる撮像によって得られた画像(左後側方画像)は左画像格納部20Lに格納される。また、右カメラ10Rによる撮像によって得られた画像(右後側方画像)は右画像格納部20Rに格納される。
【0021】
左部分画像抽出部30Lは、左カメラ10Lで撮像されて左画像格納部20Lに格納された左後側方画像の中から、左カメラ10Lに近い撮像範囲に対応する左部分画像を抽出する。例えば、この左部分画像は、左カメラ10Lが取り付けられた自車両の車体左側面に対応する画像(左カメラ10Lを用いて車体左側面を撮像して得られた画像)である。
【0022】
また、部分画像の抽出方法としてはいくつかのケースが考えられる。本実施形態では、車両用後側方画像表示装置1を左右のドアミラーの代わりの電子ミラーとして使用することを想定している。このため、左カメラ10Lと右カメラ10Rは、車種ごとに取付位置が決まっており、これらの撮像範囲に含まれる車体側面の範囲も車両ごとに変動しない。したがって、この範囲をあらかじめ調べておくことにより、この範囲に対応する部分画像を抽出することができる。あるいは、車両側面の範囲を色などの特徴量に基づいて、納車時やエンジン始動時などのその都度決定するようにしてもよい。
【0023】
左ぼかし処理部32Lは、左部分画像抽出部30Lによって抽出した左部分画像に対してぼかし処理を行う。例えば、このぼかし処理は、部分画像の解像度を低下させる処理である。例えば、ガウス関数を用いて画像をぼかすガウシアンぼかしを用いる場合が考えられる。但し、それ以外のぼかし処理である、モザイク加工により画像をぼかすモザイク処理などを用いるようにしてもよい。なお、ぼかしの程度は、ガウシアンぼかしの場合には、使用するガウス関数の幅を設定値(3σ、10σなど)を可変することで変更(調整)することができる。また、モザイク加工の場合には、モザイク1個分の面積を可変することで変更(調整)することができる。
【0024】
左画像合成部40Lは、左ぼかし処理部32Lによるぼかし処理後の画像(左部分画像に対応する画像)と、それ以外の左後側方画像とを合成した全体左後側方画像を生成する。左表示処理部50Lは、合成された全体左後側方画像を左表示部60Lに表示する処理を行う。例えば、左表示部60Lは、液晶表示装置によって構成されており、ダッシュボードの左側端部近傍に配置されている。
【0025】
このようにして左カメラ10Lによって撮像された画像に基づいて全体左後側方画像が表示されるが、全体右後側方画像についても同様にして表示が行われる。
【0026】
右部分画像抽出部30Rは、右カメラ10Rで撮像されて右画像格納部20Rに格納された右後側方画像の中から、右カメラ10Rに近い撮像範囲に対応する右部分画像を抽出する。例えば、この右部分画像は、右カメラ10Rが取り付けられた自車両の車体右側面に対応する画像(右カメラ10Rを用いて車体右側面を撮像して得られた画像)である。
【0027】
右ぼかし処理部32Rは、右部分画像抽出部30Rによって抽出した右部分画像に対してぼかし処理を行う。例えば、このぼかし処理は、部分画像の解像度を低下させる処理(ガウシアンぼかしやモザイク処理など)である。
【0028】
右画像合成部40Rは、右ぼかし処理部32Rによるぼかし処理後の画像(右部分画像に対応する画像)と、それ以外の右後側方画像とを合成した全体右後側方画像を生成する。右表示処理部50Rは、合成された全体右後側方画像を右表示部60Rに表示する処理を行う。例えば、右表示部60Rは、液晶表示装置によって構成されており、ダッシュボードの右側端部近傍に配置されている。
【0029】
図2は、全体左後側方画像の一例を示す図である。図2(A)にはぼかし処理前の画像が、図2(B)にはぼかし処理後の画像がそれぞれ示されている。これらの図において、Sは全体左側方画像に含まれる左部分画像を示している。また、図2(B)では、ハッチングを付けることにより、左部分画像Sにぼかし処理が行われたことが示されている。
【0030】
左カメラ10Lの被写体深度が深いため、ぼかし処理前の左部分画像S(図2(A))には、ドアノブや車体側面で反射した後続車両や建物などが鮮明に映っている。このような左部分画像Sに対して左ぼかし処理部32Lによるぼかし処理(ガウシアンぼかし等)を行うことにより、左部分画像Sの解像度を低下させて、ドアノブや反射した後続車両や建物などの鮮明な境界線が含まれないぼやけた画像(図2(B))とすることができる。
【0031】
このように、本実施形態の車両用後側方画像表示装置1では、左カメラ10L、右カメラ10Rで撮像した後側方画像を表示する際に、全体左後側方画像や全体右後側方画像の全体についてピントが合った画像を表示するのではなく、利用者(運転者)が見ようとしている後続車両等が含まれる遠景に対応する領域を鮮明に、それより近い領域(左部分画像、右部分画像)をぼかして表示することにより、鏡面を有するドアミラーを利用者が見た場合と同じような遠近に応じたぼかし方の表示画像とすることができ、奥行き感喪失を防止して違和感のない画像を表示することが可能となる。
【0032】
特に、画像の解像度を低下させるぼかし処理を用いており、解像度を低下させるという簡単な処理によって部分画像をぼかすことが可能となる。
【0033】
また、ぼかし処理の対象となる部分画像を、左カメラ10L、右カメラ10Rが取り付けられた自車両の車体側面に対応する画像とすることにより、車体側面に鮮明な後方車両等が反射して利用者の注意を引くことを回避することができる。
【0034】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、ぼかし処理の対象を車体側面に対応する部分画像(左部分画像、右部分画像)全体としたが、この部分画像を、車体側面の端部を除く領域に限定するようにしてもよい。
【0035】
図3は、変形例の全体左後側方画像の一例を示す図である。図3に示す変形例(変形例1)では、車体左側面の遠景側(左カメラ10Lから遠い側)の端部S1を除く左部分画像S2がぼかし処理の対象になっている。これらの端部S1と左部分画像S2とを合わせた全体が、図2に示した左部分画像Sに対応している。この端部S1について、自車両より後方の遠景と同様にピントが合った鮮明な画像とすることにより、車体左側面とそれ以外との間の境界がわかりやすくなり、自車両とその後方を走行する後方車両との間の相対距離の把握が容易となる。
【0036】
図4は、他の変形例の全体左後側方画像の一例を示す図である。図4に示す変形例(変形例2)では、車体左側面のタイヤS3を除く左部分画像S4がぼかし処理の対象になっている。これらのタイヤS3と左部分画像S4とを合わせた全体が、図2に示した左部分画像Sに対応している。全体左後側方画像を表示したときに、運転者の視界に入ったタイヤの鮮明な画像が見えることにより、自車両の幅寄せ時や後退時の運転操作がしやすくなる。
【0037】
図5は、他の変形例の全体左後側方画像の一例を示す図である。図5に示す変形例(変形例3)では、車体左側面に対応する左部分画像が3つの左部分画像S51、S52、S53からなり、左カメラ10Lに近づくほどぼかしの程度を大きくしている。すなわち、左カメラ10Lに最も近い左部分画像S51のぼかしの程度が最も大きく、次に近い左部分画像S52のぼかしの程度が次に大きく、最も遠い左部分画像S53のぼかしの程度が最も小さくなっている。運転者が遠くの車両等を見ているときには、運転者に近い物体ほど焦点が合わなくなるため、このような人間の目の特性に合わせたぼかし方とすることにより、全体左後側方画像を見た際の違和感をさらに低減することが可能となる。なお、この例では、ぼかしの程度を3段階変化させたが、2段階や4段階以上あるいは連続的に変化させるようにしてもよい。
【0038】
図6は、他の変形例の車両用後側方画像表示装置の構成を示す図である。図6に示す変形例(変形例4)の車両用後側方画像表示装置1Aでは、図1に示した車両用後側方画像表示装置1に対して、左ぼかし処理部32Lと右ぼかし処理部32Rのそれぞれに、車両の走行速度やシフトレバー位置などを含む車両情報が入力されている点が異なっている。この車両情報は、例えば、車両を総合的に制御する車両制御装置によって作成されて入力される場合が考えられるが、走行速度やシフトレバー位置などを個別に検出した結果を直接入力するようにしてもよい。
【0039】
このような車両情報が入力される左ぼかし処理部32L、右ぼかし処理部32Rは、自車両の速度が速いほど、左右の部分画像のぼかしの程度を大きく設定してぼかし処理を行う。速度が速いほど、特に高速走行時などでは、遠方の後方車両の接近に注意をはらう必要があるため、自車両近傍の画像のぼかしの程度を大きくすることにより、遠方の後続車両等への注視を促すことができる。
【0040】
あるいは、このような車両情報が入力される左ぼかし処理部32L、右ぼかし処理部32Rは、自車両の後退時に、前進時に比べて、左右の部分画像のぼかしの程度を小さく設定してぼかし処理を行う。自車両の後退時には自車両の近傍に対する注視も必要になるため、この領域についてのぼかしの程度を小さくすることで、後退時の運転操作がしやすくなる。
【0041】
なお、上述した4つの変形例1~4は、適宜組み合わせて用いるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
上述したように、本発明によれば、撮像手段で撮像した後側方画像を表示する際に、撮像範囲の全体についてピントが合った画像を表示するのではなく、利用者(運転者)が見ようとしている遠景に対応する領域を鮮明に、それより近い領域をぼかして表示することにより、鏡面を有するドアミラーを利用者が見た場合と同じような遠近に応じたぼかし方の表示画像とすることができ、奥行き感喪失を防止して違和感のない画像を表示することが可能となる。
【符号の説明】
【0043】
1 車両用後側方画像表示装置
10L 左カメラ
10R 右カメラ
20L 左画像格納部
20R 右画像格納部
30L 左部分画像抽出部
30R 右部分画像抽出部
32L 左ぼかし処理部
32R 右ぼかし処理部
40L 左画像合成部
40R 右画像合成部
50L 左表示処理部
50R 右表示処理部
60L 左表示部
60R 右表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6