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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039104
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】環境形成装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 17/00 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
G01N17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143409
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000108797
【氏名又は名称】エスペック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松隈 修
(72)【発明者】
【氏名】門脇 亜希子
【テーマコード(参考)】
2G050
【Fターム(参考)】
2G050AA07
2G050EA01
(57)【要約】
【課題】排気スペースを確保しつつも、必要な設置スペースを削減する。
【解決手段】環境形成装置100は、対象物品Tを収容するための物品室15と、物品室15の下方に位置し、物品室15の対象物品Tを冷却するための冷凍機4の少なくとも一部を収容する機械室16とが形成された第1筐体1と、電装品5を収容する電装室25が形成され、且つ、第1筐体1の第1側板14に接して設けられた第2筐体2と、機械室16の空気を排気する排気部6とを備える。第2筐体2の第2背板23は、第1筐体1の第1背板13よりも前方に位置しており、排気部6は、第2背板23の表面が面する第1空間S1に排気する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物品を収容するための物品室と、前記物品室の下方に位置し、前記物品室の対象物品を冷却するための冷凍機の少なくとも一部を収容する機械室とが形成された第1筐体と、
電装品を収容する電装室が形成され、且つ、前記第1筐体の第1側板に接して設けられた第2筐体と、
前記機械室の空気を排気する排気部とを備え、
前記第2筐体の第2背板は、前記第1筐体の第1背板よりも前方に位置しており、
前記排気部は、前記第2背板の表面が面する第1空間に排気する環境形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の環境形成装置において、
前記第2筐体の第2底板は、前記第1筐体の第1底板よりも上方に位置している環境形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の環境形成装置において、
前記排気部は、
前記第1側板に形成され、前記機械室と前記電装室とを連通させる連通口と、
前記第2背板に形成され、前記機械室の空気を前記連通口および前記電装室を介して前記第1空間に排気するための排気口とを有している環境形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の環境形成装置において、
前記第2筐体の第2底板は、前記第1筐体の第1底板よりも上方に位置しており、
前記排気部は、前記第2底板に形成され、前記第2底板の表面が面する第2空間から空気を吸気する吸気口をさらに有している環境形成装置。
【請求項5】
請求項3に記載の環境形成装置において、
前記連通口は、前記第2筐体の前後方向における中央よりも後方に位置している環境形成装置。
【請求項6】
対象物品を収容するための物品室と、前記物品室の下方に位置し、前記物品室の対象物品を冷却するための冷凍機の少なくとも一部を収容する機械室とが形成された第1筐体と、
電装品を収容する電装室が形成され、且つ、前記第1筐体の第1側板に接して設けられた第2筐体と、
前記機械室の空気を排気する排気部とを備え、
前記第2筐体の第2底板は、前記第1筐体の第1底板よりも上方に位置しており、
前記排気部は、前記第2底板の表面が面する第2空間に排気する環境形成装置。
【請求項7】
対象物品を収容するための物品室と、前記物品室の下方に位置し、前記物品室の対象物品を冷却するための冷凍機の少なくとも一部を収容する機械室とが形成された第1筐体と、
電装品を収容する電装室が形成され、且つ、前記第1筐体の第1側板に接して設けられた第2筐体と、
前記機械室の空気を排気する排気部とを備え、
前記第2筐体の第2天板は、前記第1筐体の第1天板よりも下方に位置しており、
前記排気部は、前記第2天板の表面が面する第3空間に排気する環境形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、環境形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されている環境形成装置は、冷却コイル等が収容された試験室と、試験室の下方に配置され、圧縮機や熱源コイル等が収容された機械室とが区画形成された筐体を備えている。環境形成装置では、機械室に取り込まれた外気が熱源コイルによって加熱されると共に、試験室の空気が冷却コイルによって冷却される。こうして、試験室内が所望の温度に維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62-25844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した特許文献1のような環境形成装置では、設置スペースを削減したいという要望がある。即ち、前述のような環境形成装置では熱源コイルによって加熱された空気を機械室から排気する必要があるところ、例えば環境形成装置を壁際に設置する場合には、排気スペースの確保のために筐体を壁から離して設置する必要がある。そのため、環境形成装置の必要な設置スペースは、実質、筐体の大きさよりも大きくなってしまう。
【0005】
本開示の技術は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、排気スペースを確保しつつも、必要な設置スペースを削減することができる環境形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の環境形成装置は、第1筐体と、第2筐体と、排気部とを備えている。前記第1筐体は、対象物品を収容するための物品室と、前記物品室の下方に位置し、前記物品室の対象物品を冷却するための冷凍機の少なくとも一部を収容する機械室とが形成されているものである。前記第2筐体は、電装品を収容する電装室が形成され、且つ、前記第1筐体の第1側板に接して設けられているものである。前記排気部は、前記機械室の空気を排気する。前記第2筐体の第2背板は、前記第1筐体の第1背板よりも前方に位置している。前記排気部は、前記第2背板の表面が面する第1空間に排気する。
【0007】
前記の構成では、第1筐体の物品室が冷凍機によって所望の環境状態に形成される。具体的に、第1筐体の機械室において空気が冷凍機の例えば放熱器によって加熱されると共に、第1筐体の物品室において空気が冷凍機の例えば蒸発器によって冷却される。冷凍機は、第2筐体の電装室に収容された電装品等によって制御される。これにより、物品室の対象物品が所望の温度に調整される。
【0008】
一方、放熱器によって加熱された機械室の空気は、排気部によって排気される。ここで、第2筐体の第2背板は、第1筐体の第1背板よりも前方に位置している。そのため、例えば第1筐体の第1背板を設置場所の壁面に近づけて第1筐体を設置した場合でも、第2筐体と壁面との間に第1空間が形成される。機械室の空気は、排気部によって第1空間に排気される。排気された空気は、第1空間を上方へ向かって流れる。このように、第1筐体を壁面から離して設置しなくても、排気スペースとして第1空間が確保される。したがって、排気スペースを確保しつつも、必要な設置スペースを削減することができる。
【0009】
前記第2筐体の第2底板は、前記第1筐体の第1底板よりも上方に位置していてもよい。
【0010】
前記の構成では、第2筐体の第2底板が第1筐体の第1底板よりも上方に位置しているので、第2筐体の下方に空間が形成される。つまり、第2筐体と例えば床面との間に所定の空間が形成される。そのため、第1筐体および第2筐体の前方側の空間と第1空間とが、この所定の空間を介して連通する。この結果、第1空間に排気された空気が上方へ向かって流れる際、第1筐体等の前方側の空気が所定の空間を通じて第1空間に取り込まれる。これにより、第1空間に排気された空気の上昇気流が促進されるので、排気効率が向上する。
【0011】
前記排気部は、前記第1側板に形成され、前記機械室と前記電装室とを連通させる連通口と、前記第2背板に形成され、前記機械室の空気を前記連通口および前記電装室を介して前記第1空間に排気するための排気口とを有していてもよい。
【0012】
前記の構成では、機械室の空気が、連通口を介して電装室に流入し、その後、第2背板の排気口から第1空間に排気される。そのため、電装室の空気も、機械室の空気と共に排気口から排気し得る。この結果、電装室の空気を排気するための排気スペースを別途確保しなくてもよくなり、必要な設置スペースがより削減される。
【0013】
前記第2筐体の第2底板は、前記第1筐体の第1底板よりも上方に位置している。前記排気部は、前記第2底板に形成され、前記第2底板の表面が面する第2空間から空気を吸気する吸気口をさらに有している。
【0014】
前記の構成では、第2筐体と例えば床面との間に第2空間が形成される。そのため、第1筐体および第2筐体の前方側の空間と第1空間とが、第2空間を介して連通する。そのため、第1空間に排気された空気が上方へ向かって流れる際、第1筐体等の前方側の空気が第2空間に取り込まれる。第2空間に取り込まれた空気の一部は、第1空間に流れ得る。そのため、第1空間に排気された空気の上昇気流が促進されるので、排気効率が向上する。また、第2空間に取り込まれた空気の残りは、吸気口を介して電装室に流入し、その後、排気口から第1空間に排気され得る。そのため、電装室の電装品が冷却される。即ち、第2空間に取り込まれた空気の温度は電装品の発熱温度よりも低い常温であるところ、その空気が電装室を流通して排気されることで電装品が冷却される。
【0015】
前記連通口は、前記第2筐体の前後方向における中央よりも後方に位置していてもよい。
【0016】
前記の構成では、例えば、連通口が第2筐体の前後方向における中央よりも前方に位置している場合に比べて、電装室における連通口と排気口との距離が短くなる。そのため、電装室において機械室の空気が流通する領域が低減される。これにより、機械室の空気が電装室を流通することに起因する電装品の温度上昇が抑制される。
【0017】
本開示の別の環境形成装置は、第1筐体と、第2筐体と、排気部とを備えている。前記第1筐体は、対象物品を収容するための物品室と、前記物品室の下方に位置し、前記物品室の対象物品を冷却するための冷凍機の少なくとも一部を収容する機械室とが形成されているものである。前記第2筐体は、電装品を収容する電装室が形成され、且つ、前記第1筐体の第1側板に接して設けられているものである。前記排気部は、前記機械室の空気を排気する。前記第2筐体の第2底板は、前記第1筐体の第1底板よりも上方に位置している。前記排気部は、前記第2底板の表面が面する第2空間に排気する。
【0018】
前記の構成では、前述の環境形成装置と同様、第1筐体の物品室が冷凍機によって所望の環境状態に形成され、冷凍機の例えば放熱器によって加熱された機械室の空気が排気部によって排気される。ここで、第2筐体の第2底板は、第1筐体の第1底板よりも上方に位置している。そのため、例えば第1筐体の第1背板や第2筐体の第2側板を設置場所の壁面に近づけて第1筐体を設置した場合でも、第2筐体と例えば床面との間に第2空間が形成される。機械室の空気は、排気部によって第2空間に排気される。排気された空気は、第2空間を例えば前方へ向かって流れる。このように、第1筐体を壁面から離して設置しなくても、排気スペースとして第2空間が確保される。したがって、排気スペースを確保しつつも、必要な設置スペースを削減することができる。
【0019】
本開示のさらに別の環境形成装置は、第1筐体と、第2筐体と、排気部とを備えている。前記第1筐体は、対象物品を収容するための物品室と、前記物品室の下方に位置し、前記物品室の対象物品を冷却するための冷凍機の少なくとも一部を収容する機械室とが形成されているものである。前記第2筐体は、電装品を収容する電装室が形成され、且つ、前記第1筐体の第1側板に接して設けられているものである。前記排気部は、前記機械室の空気を排気する。前記第2筐体の第2天板は、前記第1筐体の第1天板よりも下方に位置している。前記排気部は、前記第2天板の表面が面する第3空間に排気する。
【0020】
前記の構成では、前述の環境形成装置と同様、第1筐体の物品室が冷凍機によって所望の環境状態に形成され、冷凍機の例えば放熱器によって加熱された機械室の空気が排気部によって排気される。ここで、第2筐体の第2底板は、第1筐体の第1底板よりも上方に位置している。そのため、例えば第1筐体の第1天板と天井とが近い設置場所に第1筐体を設置した場合でも、第2筐体と天井との間に第3空間が形成される。機械室の空気は、排気部によって第3空間に排気される。排気された空気は、第3空間を例えば前方へ向かって流れる。このように、第1筐体を天井から離して設置しなくても、排気スペースとして第3空間が確保される。したがって、排気スペースを確保しつつも、必要な設置スペースを削減することができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示の環境形成装置によれば、排気スペースを確保しつつも、必要な設置スペースを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】環境形成装置を示す正面図である。
図2】環境形成装置を示す平面図である。
図3】環境形成装置を右側から視て示す側面図である。
図4】環境形成装置を示す背面図である。
図5図2におけるA-A線の断面図である。
図6】冷凍機を示す配管系統図である。
図7図2におけるB-B線の断面図である。
図8】変形例に係る環境形成装置を示す図7相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1は、環境形成装置100を示す正面図である。図2は、環境形成装置100を示す平面図である。図3は、環境形成装置100を右側から視て示す側面図である。図4は、環境形成装置100を示す背面図である。図5は、図2におけるA-A線の断面図である。
【0025】
環境形成装置100は、対象物品Tを収容するための物品室15を所望の環境状態に形成するものである。この例の環境形成装置100は、対象物品Tを所望の温度に冷却する冷凍装置である。環境形成装置100は、第1筐体1と、第2筐体2と、冷凍機4と、電装品5と、排気部6とを備えている。対象物品Tは、例えば、食料品である。この例では、例えば図2に示すように、環境形成装置100は、右側が部屋の第1壁面W1に沿って、後側が部屋の第2壁面W2に沿って配置されている。
【0026】
第1筐体1は、物品室15と、物品室15の下方に位置する機械室16とが形成されているものである。物品室15は、対象物品Tを収容する。機械室16は、物品室15の対象物品Tを冷却する冷凍機4の一部を収容する。
【0027】
具体的に、第1筐体1は、略直方体状の箱型、より詳しくは、縦長の略直方体状の箱型に形成されている。つまり、第1筐体1は、第1天板10と、第1底板11と、第1前板12と、第1背板13と、2つの第1側板14とを有している。2つの第1側板14を区別して説明する場合には、第1左側板14aおよび第1右側板14bと称する。
【0028】
図5に示すように、第1筐体1は、内部空間を上下に仕切る仕切板17を有している。第1筐体1内の仕切板17よりも上側の空間が物品室15として形成され、第1筐体1内の仕切板17よりも下側の空間が機械室16として形成されている。第1前板12は、物品室15の前側を開閉する扉12aと、機械室16の前側を閉塞する固定板12bとで形成されている。図1に示すように、固定板12bには、外気である空気を機械室16に取り込むための吸気口18が形成されている。
【0029】
なお、第1背板13および第1側板14における物品室15を区画形成する部分や、第1天板10、扉12a、仕切板17は、断熱壁として形成されている。また、第1背板13および第1側板14における機械室16を区画形成する部分や、第1底板11は、断熱壁として形成されてもよいし、断熱壁ではない壁として形成されてもよい。この例では、第1筐体1は、水平に延びるベース3の上に設けられている。つまり、第1筐体1は、ベース3を介して部屋の床面Fに載置される。
【0030】
図6は、冷凍機4を示す配管系統図である。冷凍機4は、前述したように、物品室15の対象物品Tを冷却する。冷凍機4は、冷媒が循環して冷凍サイクル(詳しくは、蒸気圧縮式冷凍サイクル)を行う冷媒回路41を有している。冷媒回路41は、圧縮機42と、放熱器43と、膨張機構44と、蒸発器45とが順に配管接続されてなる閉回路である。また、冷凍機4は、放熱器43用のファン46と、蒸発器45用のファン47とを有している。
【0031】
圧縮機42、放熱器43、膨張機構44およびファン46は、機械室16に収容され、蒸発器45およびファン47は、物品室15に収容されている。図示しないが、物品室15には、蒸発器45およびファン47が配置される空調室が区画形成されている。ファン46は、吸気口18を介して取り込んだ空気を放熱器43に供給する。放熱器43では、冷媒がファン46によって供給された空気と熱交換して放熱し、空気が加熱される。ファン47は、物品室15と蒸発器45との間で空気を循環させる。蒸発器45では、冷媒が空気と熱交換して吸熱し、空気が冷却される。冷却された空気が物品室15に供給されることで、対象物品Tが所望の温度に冷却される。
【0032】
第2筐体2は、電装室25が形成され、且つ、第1筐体1の第1側板14に接して設けられている。電装室25は、電装品5を収容する。この例では、第2筐体2は、第1筐体1の第1右側板14bに接して設けられている。電装品5は、冷凍機4を制御するための電子/電気部品等である。
【0033】
具体的に、第2筐体2は、略直方体状の箱型、より詳しくは、縦長の略直方体状の箱型に形成されている。つまり、第2筐体2は、第2天板20と、第2底板21と、第2前板22と、第2背板23と、2つの第2側板24とを有している。2つの第2側板24を区別して説明する場合には、第2左側板24aおよび第2右側板24bと称する。第2筐体2は、第1筐体1の第1右側板14bに取り付けられている。つまり、第2筐体2の第2左側板24aと第1筐体1の第1右側板14bとが面接触している。なお、第2天板20、第2底板21、第2前板22、第2背板23、2つの第2側板24は、断熱壁として形成されてもよいし、断熱壁ではない壁として形成されてもよい。
【0034】
図2等に示すように、第2筐体2の第2背板23は、第1筐体1の第1背板13よりも前方に位置している。より詳しくは、第2筐体2の第2前板22は、第1筐体1の第1前板12よりも後方に位置している。つまり、第2筐体2の奥行(即ち、前後方向の長さ)は、第1筐体1の奥行よりも短い。
【0035】
さらに、図1等に示すように、第2筐体2の第2底板21は、第1筐体1の第1底板11よりも上方に位置している。さらに、第2筐体2の第2天板20は、第1筐体1の第1天板10よりも下方に位置している。つまり、第2筐体2の高さ(即ち、上下方向の長さ)は、第1筐体1の高さよりも低い。なお、第2筐体2の幅(即ち、左右方向の長さ)は、第1筐体1の幅よりも短い。
【0036】
排気部6は、機械室16の空気を排気する。具体的に、排気部6は、第2背板23の表面が面する第1空間S1に排気する。つまり、第2背板23が第1背板13よりも前方に位置することで第2背板23と第2壁面W2との間に第1空間S1が形成され、排気部6はその第1空間S1に排気する。第1空間S1は、第1側板14(詳しくは、第1右側板14b)の表面および第2背板23の表面が共に面する空間と言える。図3に示すように、第1空間S1は、上下方向に延びており、後述する第2空間S2と第3空間S3とを連通させる。
【0037】
排気部6は、排気口61と、連通口62とを有している。
【0038】
図5に示すように、連通口62は、第1筐体1の第1側板14に形成され、機械室16と電装室25とを連通させる。具体的には、連通口62は、互いに接している第1筐体1の第1右側板14bと第2筐体2の第2左側板24aとを貫通する孔である。
【0039】
図4に示すように、排気口61は、第2筐体2の第2背板23に形成されている。排気口61は、機械室16の空気を連通口62および電装室25を介して第1空間S1に排気するための開口である。具体的には、機械室16の空気は、ファン46によって、連通口62から電装室25に送り出されて、排気口61から第1空間S1に排気される。つまり、冷凍機4のファン46は、排気部6としても兼用されている。この例では、排気口61は、第2背板23の上部に形成されている。
【0040】
図7は、図2におけるB-B線の断面図である。連通口62は、第2筐体2の前後方向における中央よりも後方に位置している。つまり、連通口62は、電装室25の前後方向において第2背板23寄りに位置している。
【0041】
また、第2底板21が第1底板11よりも上方に位置することで、第2底板21の表面が面する第2空間S2が形成される。つまり、第2底板21と床面Fとの間に第2空間S2が形成される。第2空間S2は、第1側板14(詳しくは、第1右側板14b)の表面および第2底板21の表面が共に面する空間と言える。図3に示すように、第2空間S2は、前後方向に延びており、第1筐体1および第2筐体2の前方側の空間と第1空間S1とを連通させる。
【0042】
また、第2天板20が第1天板10よりも下方に位置することで、第2天板20の表面が面する第3空間S3が形成される。つまり、第3空間S3は、第1側板14(詳しくは、第1右側板14b)の表面および第2天板20の表面が共に面する空間と言える。第3空間S3は、前後方向に延びており、第1筐体1および第2筐体2の前方側の空間と第1空間S1とを連通させる。
【0043】
また、環境形成装置100には、排水管71および電源線72が接続されている。排水管71は、機械室16で発生したドレンを排水する。具体的に、排水管71は、図2図3に示すように、第1筐体1の第1右側板14bの下部に設けられている。より詳しくは、排水管71は、第1右側板14bにおける第1空間S1に面する部分に設けられている。排水管71は、機械室16の底部と連通している。このように、排水管71は、第1空間S1に配置される。電源線72は、電装品5に電力供給する。具体的に、電源線72は、第2筐体2の第2背板23、より詳しくは、第2背板23の上部に接続されている。このように、電源線72も、第1空間S1に配置される。
【0044】
このように構成された環境形成装置100では、次のように排気が行われる。
【0045】
図5に矢印で示すように、機械室16において放熱器43で加熱された空気(以下、加熱空気とも称する。)は、ファン46によって、連通口62から電装室25に送り出される。電装室25に送り出された加熱空気は、図7に実線の矢印で示すように、排気口61から第1空間S1に排気される。ここで、連通口62が電装室25の前後方向において第2背板23寄りに位置しているので、電装室25における加熱空気の流通領域が少なく抑えられる。そのため、加熱空気の流通に起因する電装品5の温度上昇が抑制される。また、電装室25において電装品5によって加熱された空気も、機械室16からの加熱空気と共に排気口61から排気される。
【0046】
排気口61から第1空間S1に排気された加熱空気は、第1空間S1を上方へ向かって流れる(図7に示す実線の矢印を参照)。つまり、加熱空気は温度が高いことから、第1空間S1において加熱空気の上昇気流が形成される。また、加熱空気が第1空間S1を上方へ向かって流れる際、図7に破線の矢印で示すように、第1筐体1等の前方側の空気が第2空間S2を通じて第1空間S1に取り込まれる。そのため、第1空間S1における加熱空気の上昇気流が促進される。
【0047】
第1空間S1に排気された加熱空気は、第2空間S2から取り込まれた空気と共に上方へ向かって流れて、最終的に部屋の天井側の空間へ排出される。また、天井側の空間が殆どない場合、即ち、部屋の天井と第1天板10との距離が殆どない場合でも、第1空間S1に排気された加熱空気は、第3空間S3を介して、第1筐体1等の前方側に流れる。こうして、環境形成装置100の排気が行われる。
【0048】
以上のように構成された環境形成装置100によれば、排気スペースを確保しつつも、必要な設置スペースを削減することができる。
【0049】
具体的に、環境形成装置100は、物品室15と機械室16とが上下に形成された第1筐体1と、電装室25が形成され、第1筐体1の第1側板14に接して設けられた第2筐体2と、機械室16の加熱空気を排気する排気部6とを備える。そして、第2筐体2の第2背板23は、第1筐体1の第1背板13よりも前方に位置している。排気部6は、第2背板23の表面が面する第1空間S1に排気する。そのため、第1筐体1の第1背板13を設置場所の第2壁面W2に近づけて第1筐体1を設置しても、第2筐体2と第2壁面W2との間に第1空間S1が形成される。第1空間S1に排気された加熱空気は、第1空間S1を上方へ向かって流れる。このように、第1筐体1を第2壁面W2から離して設置しなくても、排気スペースとして第1空間S1が確保される。したがって、排気スペースを確保しつつも、必要な設置スペースを削減することができる。
【0050】
また、第2筐体2の第2底板21は、第1筐体1の第1底板11よりも上方に位置している。そのため、第2筐体2と床面Fとの間に第2空間S2が形成される。そうすると、第1筐体1および第2筐体2の前方側の空間と第1空間S1とが第2空間S2を介して連通する。そのため、第1空間S1に排気された加熱空気が上方へ向かって流れる際、第1筐体1等の前方側の空気が第2空間S2を通じて第1空間S1に取り込まれる。これにより、第1空間S1に排気された加熱空気の上昇気流が促進されるので、排気効率を向上させることができる。
【0051】
また、第2筐体2の第2天板20は、第1筐体1の第1天板10よりも下方に位置している。そのため、例えば、第1筐体1の第1天板10と設置場所の天井との距離が殆どない場合でも、第2筐体2と天井との間に第3空間S3が形成される。そうすると、第1筐体1および第2筐体2の前方側の空間と第1空間S1とが第3空間S3を介して連通する。そのため、第1空間S1を上方へ向かって流れた加熱空気を第1筐体1等の前方側の空間に流すことができる。これにより、第1空間S1に排気された加熱空気の上昇気流が促進されるので、排気効率を向上させることができる。
【0052】
また、排気部6は、第1側板14に形成され、機械室16と電装室25とを連通させる連通口62と、第2背板23に形成され、機械室16の加熱空気を連通口62および電装室25を介して第1空間S1に排気する排気口61とを有している。この構成によれば、機械室16の加熱空気が、連通口62を介して電装室25に流入し、その後、第2背板23の排気口61から第1空間S1に排気される。そのため、電装室25の空気も、機械室の加熱空気と共に排気口61から排気し得る。これにより、電装室25の空気を排気するための排気スペースを別途確保しなくてもよいので、必要な設置スペースをより削減することができる。
【0053】
また、連通口62は、第2筐体2の前後方向における中央よりも後方に位置している。この構成によれば、例えば、連通口が第2筐体2の前後方向における中央よりも前方に位置している場合に比べて、電装室25における連通口62と排気口61との距離が短くなる。そのため、電装室25において機械室16の加熱空気が流通する領域を低減することができる。これにより、機械室16の加熱空気が電装室25を流通することに起因する電装品5の温度上昇を抑制することができる。
【0054】
《変形例》
この変形例は、前記実施形態の環境形成装置100において、排気部6の構成を変更したものである。図8は、変形例に係る環境形成装置100を示す図7相当図である。この変形例では、前記実施形態の環境形成装置100と異なる点について説明する。
【0055】
具体的に、この例の排気部6は、吸気口63をさらに有している。吸気口63は、第2筐体2の第2底板21に形成されている。吸気口63は、第2底板21の表面が面する第2空間S2から空気を吸気する。つまり、機械室16の加熱空気が電装室25を流通するのに伴い、第2空間S2の空気が吸気口63を介して電装室25に吸い込まれ得る。
【0056】
この変形例では、図8に破線の矢印で示すように、第2空間S2に取り込まれた空気の一部は、第1空間S1に流れる。そのため、前記実施形態と同様、第1空間S1に排気された加熱空気の上昇気流が促進される。また、第2空間S2に取り込まれた空気の残りは、吸気口63を介して電装室25に吸い込まれる。吸気口63から電装室25に吸い込まれた空気は、図8に実線の矢印で示すように、機械室16からの加熱空気と共に排気口61から第1空間S1に排気される。ここで、第2空間S2に取り込まれた空気の温度は、電装品5の発熱温度や機械室16からの加熱空気の温度よりも低い常温である。そのため、第2空間S2の空気が電装室25を流通して排気されることで、電装品5を冷却することができる。
【0057】
なお、この変形例において、吸気口63は、第2底板21に代えて、または第2底板21に加えて、第2天板20、第2前板22および第2右側板24bの何れかに形成されてもよい。その他の構成、作用および効果は、前記実施形態と同様である。
【0058】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0059】
例えば、第2筐体2の第2底板21は、上下方向において第1筐体1の第1底板11と一致していてもよい。つまり、第2筐体2と床面Fとの間に第2空間S2が形成されていなくてもよい。その場合、第2筐体2は、第1筐体1と共通のベース3の上に載置されてもよい。
【0060】
また、第2筐体2の第2天板20は、上下方向において第1筐体1の第1天板10と一致していてもよい。つまり、第2天板20の表面が面する第3空間S3は形成されていなくてもよい。このような構成であっても、第1筐体1の第1天板10と設置場所の天井との間に十分な空間がある場合には、排気スペースを確保することができる。
【0061】
排気口61は、第2筐体2の第2背板23に代えて、第1筐体1の第1右側板14bにおける第1空間S1に面する部分に形成してもよい。当然ながら、排気口61は、第1右側板14bにおいて、機械室16と第1空間S1とを連通させる位置に設けられる。つまり、排気部6は、機械室16の加熱空気を、電装室25を介することなく、直接第1空間S1に排気するようにしてもよい。その場合、連通口62は省略される。
【0062】
連通口62は、前述した位置に限らず、機械室16と電装室25とを連通させ得るのであれば、如何なる位置に設けられてもよい。
【0063】
排気部6は、第1空間S1に代えて、第2底板21の表面が面する第2空間S2に排気するようにしてもよい。つまり、排気口61は、第2背板23に代えて、第2底板21に形成するようにしてもよい。ここで、機械室16の加熱空気を電装室25を介することなく直接第2空間S2に排気させる場合は、排気口61は、第1筐体1の第1右側板14bにおける第2空間S2に面する部分に形成される。この場合も、排気口61は、第1右側板14bにおいて、機械室16と第2空間S2とを連通させる位置に設けられる。このように第2空間S2に排気する場合、第1空間S1および第3空間S3が形成されていなくても、第2空間S2から第1筐体1等の前方側に排気される。したがって、この場合も、排気スペースを確保しつつ、必要な設置スペースを削減することができる。
【0064】
排気部6は、第1空間S1に代えて、第2天板20の表面が面する第3空間S3に排気するようにしてもよい。つまり、排気口61は、第2背板23に代えて、第2天板20に形成するようにしてもよい。この場合、第1空間S1および第2空間S2が形成されていなくても、第3空間S3から第1筐体1等の前方側に排気される。したがって、この場合も、排気スペースを確保しつつ、必要な設置スペースを削減することができる。
【0065】
環境形成装置100は、前述した冷凍装置に限らず、例えば、物品室15の対象物品Tを所定の試験温度に調整する環境試験装置であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
100 環境形成装置
1 第1筐体
2 第2筐体
4 冷凍機
5 電装品
6 排気部
10 第1天板
11 第1底板
13 第1背板
14 第1側板
15 物品室
16 機械室
20 第2天板
21 第2底板
23 第2背板
25 電装室
61 排気口
62 連通口
63 吸気口
T 対象物品
S1 第1空間
S2 第2空間
S3 第3空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8