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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039106
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23L 17/14 20060101AFI20240314BHJP
   F24H 1/14 20220101ALI20240314BHJP
   F24H 9/02 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
F23L17/14 R
F24H1/14 B
F24H9/02 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143411
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】弓削 良祐
(72)【発明者】
【氏名】中越 貴章
(72)【発明者】
【氏名】宮田 剛
【テーマコード(参考)】
3L034
3L037
【Fターム(参考)】
3L034BA26
3L034BB03
3L037AA02
3L037AC01
3L037AC03
(57)【要約】
【課題】排気口部材の前端開口部から外部へのドレンの飛散を防止する。
【解決手段】排気口部材5の上壁部55の上内壁面55aは、前端開口部71から後方の所定位置まで延びる第1上内壁面部55bと、排気通路Paの左右方向全体に亘り、第1上内壁面部55bの後端から内方に向かって突出する上突出壁面部55cと、上突出壁面部55cの内方端Eから後端開口部72に向かって延びる第2上内壁面部55dとを有し、第2上内壁面部55dは、前端開口部71に向かって上方に傾斜しており、第2上内壁面部55dの水平に対する傾斜角度は上突出壁面部55cの内方端Eと第1上内壁面部55bにおける前端開口部71とを結ぶ仮想線のそれよりも小さく形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装ケースと、前記外装ケース内に収容された燃焼装置本体と、を備える燃焼装置であって、
前記外装ケースは、前方に開放する前方開放部を有するケース本体と、前記ケース本体の前記前方開放部を閉塞し、排気口部材挿通口を有する前カバーと、を有し
前記燃焼装置本体は、混合気を下向きに噴出させて燃焼させ、燃焼排ガスを生成するバーナと、前記燃焼排ガスで加熱される熱交換器を内蔵し、前記バーナの下方に配設される燃焼筐と、前記燃焼筐の流出口に接続され、前記燃焼排ガスが流れる排気ダクトと、前記排気ダクトの下流端に接続され、前記燃焼排ガスを外部に排出する排気口部材と、を有し、
前記排気ダクトは、前記燃焼筐の前記流出口から前記燃焼装置本体の後方を通って前記バーナよりも上方まで延びる起立ダクト部と、前記起立ダクト部の上端から屈曲して前記前カバーに向かって延び、前記排気口部材に繋がる水平ダクト部と、を有し、
前記排気口部材は、前記排気口部材の内部に排気通路が形成されるように、上下に離間した上壁部及び下壁部と、左側壁部と、右側壁部と、を有し、
前記排気口部材は、左右方向に長手の扁平な前端開口部と、左右方向に長手の扁平な後端開口部と、を有し、
前記排気口部材の前記上壁部及び前記下壁部は、前記外装ケース内から前記前カバーの前記排気口部材挿通口を通って前方に突出しており、
前記排気口部材の前記下壁部は、前記前端開口部に向かって上方に傾斜しており、
前記排気口部材の前記上壁部の上内壁面は、前記前端開口部から後方の所定位置まで延びる第1上内壁面部と、前記排気通路の左右方向全体に亘り、前記第1上内壁面部の後端から内方に向かって突出する上突出壁面部と、前記上突出壁面部の内方端から前記後端開口部に向かって延びる第2上内壁面部と、を有し、
前記上突出壁面部より前方の前記排気通路は、前記上突出壁面部より後方の前記排気通路よりも上下方向に広がっており、
前記第2上内壁面部は、前記前端開口部に向かって上方に傾斜しており、
前後方向断面において、前記第2上内壁面部の水平に対する傾斜角度が、前記上突出壁面部の前記内方端と前記第1上内壁面部における前記前端開口部とを結ぶ仮想線のそれよりも小さい、燃焼装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼装置において、
前記排気口部材の前記下壁部の下内壁面は、前記前端開口部に向かって上方に傾斜しており、
前記排気口部材の前記後端開口部と接続される前記排気ダクトの前記水平ダクト部のダクト流出口を形成するダクト下壁部のダクト下内壁面は、前記ダクト流出口に向かって上方に傾斜しており、
前記排気口部材の前記後端開口部を形成する前記下壁部の前記下内壁面の傾斜角度は、前記ダクト流出口を形成する前記ダクト下壁部の前記ダクト下内壁面のそれよりも大きい燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装ケースと、外装ケース内に収容される燃焼装置本体とを有する燃焼装置に関する。特に、本発明は、外部へのドレンの飛散を防止するための排気口部材の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス燃焼装置では、バーナの燃焼により燃焼排ガスが生成され、この燃焼排ガスによって燃焼筐内の顕熱熱交換器及び潜熱熱交換器が加熱される。そして、顕熱熱交換器によって燃焼排ガスの顕熱が吸収され、潜熱熱交換器によって顕熱が吸収された後の燃焼排ガスから潜熱が吸収される。このとき、燃焼排ガス中の水蒸気が露点以下に冷却されて含有水蒸気が凝縮されることにより、酸性のドレンが生成される。そのため、燃焼筐内のドレンが燃焼排ガスの流れに乗って、排気口である排気口部材の前端開口部から外部に飛散する。
【0003】
排気口部材の前端開口部から外部へのドレンの飛散を防止するため、排気口部材の下面部に対して上方に立ち上がる立ち上がり壁を設けることが提案されている(特許文献1)。この排気口部材によれば、燃焼排ガスの流れが立ち上がり壁によって遮られるため、立ち上がり壁近傍にドレンを滞留させることができる。
【0004】
ところで、特許文献1の上向き燃焼式の燃焼装置と異なり、混合気を下向きに噴出させて燃焼させ、燃焼排ガスを生成するバーナと、燃焼排ガスで加熱される熱交換器を内蔵し、バーナの下方に配設される燃焼筐と、燃焼筐の流出口に接続されて上方に延びる排気ダクトとを有する下向き燃焼式の燃焼装置がある。このような燃焼装置では、燃焼筐内だけでなく、長い排気ダクト内でも燃焼排ガスが露点以下に冷却されて、多量のドレンが生成し、ドレンが排気口部材に流入する。そのため、排気口部材の内部下方にドレンの滞留箇所を設けるだけでは、外部へのドレンの飛散を防止することができないという問題がある。また、通常、排気口部材から外部に排気される燃焼排ガスの温度は排気口部材の温度よりも高い。そのため、燃焼排ガスが排気口部材の前端開口部の周縁に接触することによってもドレンが発生し、外部にドレンが飛散する。特に、貯湯タンクと接続される燃焼装置では、貯湯タンクから潜熱熱交換器に供給される湯水の温度が高い場合、潜熱が十分に回収されていない燃焼排ガスが燃焼筐から排気ダクトに流入する。このような燃焼排ガスが排気口部材の内壁面に接触すると、排気口部材の内部で発生するドレンが多くなり、外部にドレンが飛散しやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-12812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、排気口部材の前端開口部から外部へのドレンの飛散を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
外装ケースと、前記外装ケース内に収容された燃焼装置本体と、を備える燃焼装置であって、
前記外装ケースは、前方に開放する前方開放部を有するケース本体と、前記ケース本体の前記前方開放部を閉塞し、排気口部材挿通口を有する前カバーと、を有し
前記燃焼装置本体は、混合気を下向きに噴出させて燃焼させ、燃焼排ガスを生成するバーナと、前記燃焼排ガスで加熱される熱交換器を内蔵し、前記バーナの下方に配設される燃焼筐と、前記燃焼筐の流出口に接続され、前記燃焼排ガスが流れる排気ダクトと、前記排気ダクトの下流端に接続され、前記燃焼排ガスを外部に排出する排気口部材と、を有し、
前記排気ダクトは、前記燃焼筐の前記流出口から前記燃焼装置本体の後方を通って前記バーナよりも上方まで延びる起立ダクト部と、前記起立ダクト部の上端から屈曲して前記前カバーに向かって延び、前記排気口部材に繋がる水平ダクト部と、を有し、
前記排気口部材は、前記排気口部材の内部に排気通路が形成されるように、上下に離間した上壁部及び下壁部と、左側壁部と、右側壁部と、を有し、
前記排気口部材は、左右方向に長手の扁平な前端開口部と、左右方向に長手の扁平な後端開口部と、を有し、
前記排気口部材の前記上壁部及び前記下壁部は、前記外装ケース内から前記前カバーの前記排気口部材挿通口を通って前方に突出しており、
前記排気口部材の前記下壁部は、前記前端開口部に向かって上方に傾斜しており、
前記排気口部材の前記上壁部の上内壁面は、前記前端開口部から後方の所定位置まで延びる第1上内壁面部と、前記排気通路の左右方向全体に亘り、前記第1上内壁面部の後端から内方に向かって突出する上突出壁面部と、前記上突出壁面部の内方端から前記後端開口部に向かって延びる第2上内壁面部と、を有し、
前記上突出壁面部より前方の前記排気通路は、前記上突出壁面部より後方の前記排気通路よりも上下方向に広がっており、
前記第2上内壁面部は、前記前端開口部に向かって上方に傾斜しており、
前後方向断面において、前記第2上内壁面部の水平に対する傾斜角度が、前記上突出壁面部の前記内方端と前記第1上内壁面部における前記前端開口部とを結ぶ仮想線のそれよりも小さい、燃焼装置が提供される。
【0008】
上記燃焼装置によれば、排気口部材の排気通路内を第2上内壁面部に沿って流れる燃焼排ガスが排気口部材の前端開口部の周縁に接触し難い。また、上記燃焼装置によれば、排気ダクトから排気口部材に流入するドレンや、排気口部材の内部で発生するドレンを排気ダクトに戻すことができる。これにより、排気口部材の前端開口部から外部へのドレンの飛散を防止することができる。
【0009】
好ましくは、上記燃焼装置において、
前記排気口部材の前記下壁部の下内壁面は、前記前端開口部に向かって上方に傾斜しており、
前記排気口部材の前記後端開口部と接続される前記排気ダクトの前記水平ダクト部のダクト流出口を形成するダクト下壁部のダクト下内壁面は、前記ダクト流出口に向かって上方に傾斜しており、
前記排気口部材の前記後端開口部を形成する前記下壁部の前記下内壁面の傾斜角度は、前記ダクト流出口を形成する前記ダクト下壁部の前記ダクト下内壁面のそれよりも大きい。
【0010】
上記燃焼装置によれば、排気ダクト内で発生するドレンが排気口部材に流入するのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る燃焼装置の一例を示す概略斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る燃焼装置の一例を示す要部概略縦断面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る燃焼装置本体の一例を示す概略斜視図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る燃焼装置の一例を示す要部概略拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る燃焼装置を説明する。
図1及び図2に示すように、本実施の形態の燃焼装置は、外装ケース100と、外装ケース100内に収容された燃焼装置本体1とを有する。
【0013】
外装ケース100は、前方に開放する前方開放部103を有する矩形箱状のケース本体101と、前方開放部103を閉塞する前カバー102とを備える。なお、本明細書では、前カバー102が設けられている側を正面側とし、正面側から見たときに、外装ケース100の奥行方向を前後方向、外装ケース100の幅方向を左右方向、外装ケース100の高さ方向を上下方向という。前カバー102の左右中央上部には、左右方向に扁平な排気口部材挿通口104が開設されている。この排気口部材挿通口104には、後述する排気口部材5が挿通される。前カバー102の裏面には、下端から所定高さまで防雨板105が取り付けられている。ケース本体101及び前カバー102はそれぞれ、板金を成形して形成される。
【0014】
図2及び図3に示すように、燃焼装置本体1は、混合気を下向きに噴出して燃焼させ、燃焼排ガスを生成するバーナ2と、バーナ2の燃焼空間を囲うバーナ2の下側の燃焼筐3と、燃焼筐3から排出される燃焼排ガスが流れる排気ダクト4と、排気ダクト4の下流端に接続され、燃焼排ガスを外部に排出する排気口部材5とを有する。
【0015】
バーナ2は、下向きに開口する箱形のバーナボディ21と、バーナボディ21の下向きの開口面を覆う燃焼板22とを備えている。バーナボディ21の上部には、側方に開口する流入口23が設けられており、図外のファンから流入口23を介して混合気がバーナボディ21内に供給され、この混合気が燃焼板22に設けた混合気噴出部24から下向きに噴出して全一次燃焼する。なお、燃焼板22は、中央部に大きな開口部を有しており、この開口部に耐熱繊維の織布24aを装着するとともに、その上に多数の分布孔を形成した分布板24bを重ね合わせて、織布24aと分布板24bとにより混合気噴出部24を構成している。
【0016】
燃焼筐3は、上端部がバーナボディ21の下面周縁部に締結される上下両面が開放された上部筐31と、上部筐31の下端部に締結される扁平な皿状の中間筐32と、中間筐32の底板部32aに締結される上板部33aを有する上下両面が閉塞された下部筐33とで構成されている。中間筐32の底板部32a及び下部筐33の上板部33aの前部には、中間筐32の内部空間と下部筐33の内部空間とを連通させる通気口34が設けられている。さらに、燃焼筐3の下部筐33の後面には、燃焼排ガスの流出口35が開設されている。従って、燃焼排ガスは、上部筐31から中間筐32と通気口34と下部筐33と流出口35とを介して排気ダクト4に流れる。
【0017】
熱交換器30は、上部筐31内に配置した、複数の吸熱フィン301aとこれら吸熱フィン301aを貫通する複数本の吸熱パイプ301bとからなるフィンアンドチューブ型の主熱交換器(顕熱熱交換器)301と、下部筐33内に配置した、左右方向に蛇行して延びる上下複数本の吸熱パイプ302bからなる副熱交換器(潜熱熱交換器)302とを備えている。上部筐31の左右方向一方側と他方側の側板部31aの外面には、隣り合う2本の吸熱パイプ301b,301bの接続路を画成する接続ヘッダ301cが複数取付けられており、全ての吸熱パイプ301bが直列に接続される。さらに、上流端の吸熱パイプ301bに接続される接続路を画成する接続ヘッダ301cには、接続口301dが設けられている。
【0018】
また、下部筐33の左右方向一方側の側板部33bの外面には、副熱交換器302の上下複数本の吸熱パイプ302bの側端部同士を接続する接続路を画成する流入側ヘッダ303bと、上下複数本の吸熱パイプ302bの側端部同士を接続する接続路を画成する流出側ヘッダ303cとが設けられている。流入側ヘッダ303bには、図外の貯湯タンクから湯水が供給される給水路を接続する入水口303dが設けられ、流出側ヘッダ303cには、上記接続口301dに図外の配管を介して接続される接続口303eが設けられている。そして、湯水が入水口303dから副熱交換器302を経由して主熱交換器301に流れるようにしている。さらに、上部筐31の主熱交換器301よりも上方部分には、当該部分の過熱を防止するために、主熱交換器301を通過した湯水が流れる上下複数本の水管で構成されるウォータジャケット310が設けられ、ウォータジャケット310の下流端に貯湯タンクに湯水を戻す給湯路が接続されている。
【0019】
排気ダクト4は、樹脂製であり、流出口35に接続される下部前面のダクト流入口41を有する上下方向に長手の起立ダクト部42と、起立ダクト部42の上端部から屈曲して前方に延びる左右方向に扁平な水平ダクト部43とを備えている。起立ダクト部42は、燃焼装置本体1とケース本体101の後面との間の隙間を通ってバーナ2よりも上方まで延びている。
【0020】
図2図4に示すように、水平ダクト部43の前端部、すなわち、排気ダクト4の下流端は、排気口部材5と接続されている。従って、燃焼筐3の流出口35から排気ダクト4に流入する燃焼排ガスは、起立ダクト部42と水平ダクト部43とを介して排気口部材5から外部に排出される。水平ダクト部43の前端部近傍には、水平ダクト部43の周面から外方に立設するフランジ部461と、上下のフランジ部461から後方に延びる上下のリブ462とが形成されている。水平ダクト部43のフランジ部461の前面は、後述する排気口部材5の後端部のフランジ部52の後面に環状のパッキン200を介して当接する。また、これらの上下のリブ462にはそれぞれ、排気口部材5の上下後端部から後方に延びる上爪部501及び下爪部502が係合する。水平ダクト部43は、フランジ部461から前方に突出するダクト先端筒部430を有する。
【0021】
ダクト先端筒部430は、前端部に、左右方向に扁平なダクト流出口431を形成する内方筒状突部432と、内方筒状突部432よりも若干、前方に突出する外方筒状突部433と、内方筒状突部432と外方筒状突部433との間に形成された後方に凹入する環状のダクト係合溝434とを有する。外方筒状突部433は、ダクト先端筒部430が後述する排気口部材5の後端部に内嵌されると、排気口部材5内の係合溝553に係合される。また、内方筒状突部432と外方筒状突部433との間のダクト係合溝434には、後述する排気口部材5内で後方に突出する筒状突部60の後端が係合される。また、ダクト流出口431を形成するダクト先端筒部430の前端部のダクト下壁部435のダクト下内壁面435aは、水平に対して傾斜角度Ad(例えば、約3~約4度)でダクト流出口431に向かって上方に傾斜している。なお、図4中、各傾斜角度における実線は、水平線を示す。
【0022】
排気口部材5は、樹脂製であり、前端部に位置する左右方向に扁平な先端筒部51と、先端筒部51の後端の周面から外方に立設するフランジ部52と、フランジ部52の外方端から後方に延びる雨受け部53と、雨受け部53の後縁から立設する堤部54と、堤部54の後面から後方に延びる上爪部501及び下爪部502とを有する。
【0023】
先端筒部51は、上下方向で離間して対向する平板な上壁部55及び下壁部56と、左右方向断面が半円弧状の左側壁部57及び右側壁部58とを有する。先端筒部51は、前後に開放している。これらの先端筒部51の周壁55~58の前端部は、外装ケース100内から前カバー102の排気口部材挿通口104を通って外部に突出している。従って、先端筒部51の前端の開口によって、排気口である左右方向に扁平な前端開口部71が形成されている。また、先端筒部51の後端の開口によって、既述した水平ダクト部43のダクト先端筒部430が挿入される挿入口75が形成されている。また、先端筒部51の前端部によって、前カバー102の排気口部材挿通口104から前方に突出する突出部51aが形成されている。
【0024】
上壁部55は、先端筒部51の前端からフランジ部52まで後方に略水平に延びる第1上壁部551と、第1上壁部551の先端筒部51の前端よりも後方で、先端筒部51の前後方向中央部より前方の上内壁面55aから下方に突出し、下端(内方端)Eで後方に屈曲して先端筒部51の前後方向中央部まで下方に傾斜して延びる第2上壁部552とを有する。
【0025】
下壁部56は、先端筒部51の前端から第2上壁部552の後端部と上下方向で対向する位置まで後方に向かって下方に傾斜して延びる第1下壁部561と、先端筒部51の前端よりも後方で、第1下壁部561の後端よりも前方の第1下外壁面561bから下方に突出し、突出端から後方に屈曲して、フランジ部52まで略水平に延びる第2下壁部562とを有する。図示しないが、第2上壁部552及び第1下壁部561の後端部は、左右側壁部57,58よりも内方に設けられた左右方向断面が半円弧状の左内側壁部及び右内側壁部で接続されている。このため、先端筒部51内の前後方向中央部には、左右方向に扁平な開口を有する筒状突部60が形成されている。この先端筒部51内の筒状突部60の後端の開口は、排気口部材5と排気ダクト4とを接続させると、排気ダクト4のダクト流出口431と連通する。従って、先端筒部51内の筒状突部60の後端の開口によって、排気口部材5の後端開口部72が形成される。また、突出部51aの領域における、第1下壁部561の第1下外壁面561bと第2下壁部562の第2下外壁面562bとによって、前カバー102の排気口部材挿通口104から前方に突出する突出部51aの下面が形成される。
【0026】
第1下壁部561には、前端開口部71を形成する第1下壁部561の前端から第2下壁部562の前端までの間の第1下外壁面561bから下方に延びる複数(ここでは、5個)の薄板状の垂下部80が形成されている。複数の垂下部80は、前後方向に所定の間隔で設けられている。このため、前後方向に隣接する垂下部80の間及び後端に位置する垂下部80と第2下壁部561との間には、上方に凹入する複数の凹溝部82が形成されている。各垂下部80は、第1下壁部561の左右方向全体に亘って形成されている。また、各垂下部80の下端は、既述した第2下壁部562の第2下外壁面562bと略同一の位置まで延びている。このため、凹溝部82が排気口部材5の下面に形成されているが、排気口部材5の突出部51aは統一感のある外観を呈している。また、第1下壁部561は後方に向かって下方に傾斜しているため、複数の凹溝部82の下方開放端からの深さは前方にいくほど深くなっている。
【0027】
複数の垂下部80の前面及び後面は、前端開口部71を形成する第1下壁部561の前端から下方に延びる垂下部80の後面を除いて、略垂直な起立面部からなる。また、前端に位置する垂下部80の後面は、水平に対して所定の傾斜角度で、下端から上方に向かって後方に傾斜する後傾斜面部と、後傾斜面部の上端から第1下外壁面561bに向かって上方に略垂直に延びる後起立面部とを有する。このため、この前端に位置する垂下部80の下端は、前後方向断面で鋭角なV字形状を有する。
【0028】
筒状突部60と、第1上壁部551、第2下壁部562、及び左右側壁部57,58との間には、後方に開放する環状の係合溝553が形成されている。排気口部材5と排気ダクト4とを接続させるために、排気ダクト4の水平ダクト部43のダクト先端筒部430を排気口部材5の後端部の挿入口75から排気口部材5内に挿入させると、既述した水平ダクト部43のダクト先端筒部430の外方筒状突部433が係合溝553に係合される。また、後方に突出する筒状突部60の後端は、外方筒状突部433と内方筒状突部432との間のダクト係合溝434に係合される。そして、排気口部材5と排気ダクト4とを接続させると、排気口部材5の内部に、排気ダクト4の排気通路Puと連通する燃焼排ガスの排気通路Paが形成される。
【0029】
排気口部材5の上壁部55の上内壁面55aは、第1上壁部551によって形成される、前端開口部71から第2上壁部552の前端まで延びる第1上内壁面部55bと、前後方向断面がL字状の第2上壁部552によって形成される、第1上内壁面部55bの後端から下方に向かって延びる上突出壁面部55cと、上突出壁面部55cの下端から後端開口部72に向かって延びる第2上内壁面部55dとを有する。第1上内壁面部55bは、略水平に後方に向かって延びている。また、上突出壁面部55cは、排気通路Paの左右方向全体に亘って、第1上内壁面部55bから下方に垂下している。このため、排気口部材5の前端開口部71よりも後方の上内壁面55aには、下方に凸の段差部が形成されている。また、排気口部材5内の上突出壁面部55cよりも前方の排気通路Paは、上突出壁面部55cよりも後方の排気通路Paよりも上方に広がっている。
【0030】
上突出壁面部55cと繋がる第2上内壁面部55dは、水平に対して傾斜角度Ai(例えば、約3~約4度)で、前端開口部71に向かって上方に傾斜している。また、第1上内壁面部55bと上突出壁面部55cと第2上内壁面部55dとは、前後方向断面で、上記した第2上内壁面部55dの傾斜角度Aiが、上突出壁面部55cの下端(内方端)Eと第1上内壁面部55bにおける前端開口部71とを結ぶ仮想線Ljの水平に対する傾斜角度Ajよりも所定角度(例えば、約11~約12度)、小さくなるように形成されている。なお、第1上内壁面部55b、上突出壁面部55c、及び第2上内壁面部55dの傾斜角度や前後方向の長さは、第2上内壁面部55dの傾斜角度Aiが上記仮想線Ljの傾斜角度Ajよりも小さければ、適宜、設定することができる。
【0031】
排気口部材5の前端開口部71を形成する第1下壁部561は、後端開口部72から前端開口部71に向かって上方に傾斜しており、第1下壁部561の下内壁面56aは、水平に対して傾斜角度As(例えば、約9~約11度)で、後端開口部72から前端開口部71に向かって上方に傾斜している。
【0032】
上壁部55の第2上内壁面部55dと下壁部56の下内壁面56aとは、好ましくは、上下方向で第2上内壁面部55dに対向する下内壁面56aの傾斜角度Asが第2上内壁面部55dの傾斜角度Aiよりも大きくなるように形成される。また、後端開口部72を形成する下壁部56の下内壁面56aと、排気口部材5の後端開口部72と連通する排気ダクト4のダクト流出口431を形成するダクト下壁部435のダクト下内壁面435aとは、好ましくは、下内壁面56aの傾斜角度Asがダクト下内壁面435aの傾斜角度Adよりも大きくなるように形成される。
【0033】
本実施の形態によれば、排気口部材5の下流端を形成する先端筒部51には、前端開口部71よりも後方の第1上内壁面部55bから内方に突出する上突出壁面部55cと、上突出壁面部55cの下端から後方に延びる第2上内壁面部55dとが形成されているから、排気口部材5内の排気通路Paは上突出壁面部55cより前方で上方に広がっている。このため、後端開口部72から排気口部材5内に流入して第2上内壁面部55dに沿って流れる燃焼排ガスが、第1上内壁面部55bにおける前端開口部71に向かって流れ難く、燃焼排ガスが前端開口部71の周縁の第1上内壁面部55bに接触するのを抑制することができる。これにより、前端開口部71の周縁でのドレンの発生を抑えることができる。
【0034】
また、本実施の形態によれば、前後方向断面で、第2上内壁面部55dの水平に対する傾斜角度Aiは、上突出壁面部55cの下端Eと第1上内壁面部55bにおける前端開口部71とを結ぶ仮想線の傾斜角度Ajよりも小さいから、第2上内壁面部55dの前端部から前方に流れる燃焼排ガスは上方に広がり難い。このため、燃焼排ガスが前端開口部71の周縁の第1上内壁面部55bに接触するのを確実に防止することができる。これにより、前端開口部71の周縁でのドレンの発生を抑えることができる。なお、本実施の形態では、第2上内壁面部55dは同一の傾斜角度で形成されているが、第2上内壁面部55dは複数の傾斜角度を有してもよい。この場合、上突出壁面部55cの下端Eと繋がる第2上内壁面部55dの前端部の水平に対する傾斜角度が仮想線のそれよりも小さくなるように、第1上内壁面部55bと上突出壁面部55cと第2上内壁面部55dとが形成される。
【0035】
また、本実施の形態によれば、下壁部56の下内壁面56aは、前端開口部71に向かって上方に傾斜しているから、排気ダクト4内で発生したドレンが排気口部材5内に流入したり、排気口部材5内でドレンが発生したりしても、ドレンを排気ダクト4に戻すことができる。
【0036】
以上のように、本実施の形態によれば、燃焼排ガスが排気口部材5の前端開口部71の周縁に接触し難く、前端開口部71の周縁でのドレンの発生を抑えることができる。また、排気ダクト4から排気口部材5内に流入するドレンや、排気口部材5内で発生するドレンを排気ダクト4に戻すことができる。このため、長い排気ダクト4を有する下向き燃焼式の燃焼装置と貯湯タンクとが接続され、貯湯タンクから高温の湯水が副熱交換器302に供給されて、副熱交換器302で潜熱が十分に回収されていない燃焼排ガスが排気ダクト4に流入しても、排気口部材5の前端開口部71から外部にドレンが飛散するのを確実に防止することができる。
【0037】
なお、上記実施の形態では、上壁部55の上内壁面55aに、第1上内壁面部55b、上突出壁面部55c、及び第2上内壁面部55dが形成されている。しかしながら、これらに対応する壁面部を下壁部56の下内壁面56aに設けてもよいし、上壁部55及び下壁部56の両内壁面55a,56aに設けてもよい。下壁部56の下内壁面56aに対応する第1下内壁面部、下突出壁面部、及び第2下内壁面部が設けられる場合、第2下内壁面部に沿って流れる燃焼排ガスが第1下内壁面部における前端開口部71に向かうのを抑制でき、燃焼排ガスが前端開口部71の周縁の第1下内壁面部に接触するのを抑制できるように第1下内壁面部、下突出壁面部、及び第2下内壁面部の傾斜角度や前後方向の長さが適宜設計される。
【0038】
また、上記実施の形態では、燃焼装置には貯湯タンクからの湯水が供給されている。しかしながら、燃焼装置には循環加熱する湯水が供給されてもよいし、冷水が供給されてもよい。
【0039】
以上詳細に本発明を説明したが、本発明を概要すれば以下の通りである。
本発明によれば、
外装ケースと、前記外装ケース内に収容された燃焼装置本体と、を備える燃焼装置であって、
前記外装ケースは、前方に開放する前方開放部を有するケース本体と、前記ケース本体の前記前方開放部を閉塞し、排気口部材挿通口を有する前カバーと、を有し
前記燃焼装置本体は、混合気を下向きに噴出させて燃焼させ、燃焼排ガスを生成するバーナと、前記燃焼排ガスで加熱される熱交換器を内蔵し、前記バーナの下方に配設される燃焼筐と、前記燃焼筐の流出口に接続され、前記燃焼排ガスが流れる排気ダクトと、前記排気ダクトの下流端に接続され、前記燃焼排ガスを外部に排出する排気口部材と、を有し、
前記排気ダクトは、前記燃焼筐の前記流出口から前記燃焼装置本体の後方を通って前記バーナよりも上方まで延びる起立ダクト部と、前記起立ダクト部の上端から屈曲して前記前カバーに向かって延び、前記排気口部材に繋がる水平ダクト部と、を有し、
前記排気口部材は、前記排気口部材の内部に排気通路が形成されるように、上下に離間した上壁部及び下壁部と、左側壁部と、右側壁部と、を有し、
前記排気口部材は、左右方向に長手の扁平な前端開口部と、左右方向に長手の扁平な後端開口部と、を有し、
前記排気口部材の前記上壁部及び前記下壁部は、前記外装ケース内から前記前カバーの前記排気口部材挿通口を通って前方に突出しており、
前記排気口部材の前記下壁部は、前記前端開口部に向かって上方に傾斜しており、
前記排気口部材の前記上壁部の上内壁面は、前記前端開口部から後方の所定位置まで延びる第1上内壁面部と、前記排気通路の左右方向全体に亘り、前記第1上内壁面部の後端から内方に向かって突出する上突出壁面部と、前記上突出壁面部の内方端から前記後端開口部に向かって延びる第2上内壁面部と、を有し、
前記上突出壁面部より前方の前記排気通路は、前記上突出壁面部より後方の前記排気通路よりも上下方向に広がっており、
前記第2上内壁面部は、前記前端開口部に向かって上方に傾斜しており、
前後方向断面において、前記第2上内壁面部の水平に対する傾斜角度が、前記上突出壁面部の前記内方端と前記第1上内壁面部における前記前端開口部とを結ぶ仮想線のそれよりも小さい、燃焼装置が提供される。
【0040】
上記燃焼装置によれば、排気口部材の排気通路内を第2上内壁面部に沿って流れる燃焼排ガスが排気口部材の前端開口部の周縁に接触し難い。また、上記燃焼装置によれば、排気ダクトから排気口部材に流入するドレンや、排気口部材の内部で発生するドレンを排気ダクトに戻すことができる。これにより、排気口部材の前端開口部から外部へのドレンの飛散を防止することができる。
【0041】
好ましくは、上記燃焼装置において、
前記排気口部材の前記下壁部の下内壁面は、前記前端開口部に向かって上方に傾斜しており、
前記排気口部材の前記後端開口部と接続される前記排気ダクトの前記水平ダクト部のダクト流出口を形成するダクト下壁部のダクト下内壁面は、前記ダクト流出口に向かって上方に傾斜しており、
前記排気口部材の前記後端開口部を形成する前記下壁部の前記下内壁面の傾斜角度は、前記ダクト流出口を形成する前記ダクト下壁部の前記ダクト下内壁面のそれよりも大きい。
【0042】
上記燃焼装置によれば、排気ダクト内で発生するドレンが排気口部材に流入するのを抑えることができる。
【0043】
好ましくは、上記燃焼装置において、
前記下内壁面の前記第2上内壁面部に対向する領域の水平に対する傾斜角度は、前記第2上内壁面部のそれよりも大きい。
【0044】
上記燃焼装置によれば、燃焼排ガスが排気口部材の内部を通過するとき、燃焼排ガスが第2上内壁面部よりも下内壁面に接触しやすくなるから、排気口部材の内部でドレンが発生しても、円滑にドレンを排気ダクトに戻すことができる。
【0045】
好ましくは、上記燃焼装置において、
前記前カバーの前記排気口部材挿通口から前方に突出する前記排気口部材の突出部は、前記突出部の下面から下方に延びる垂下部と、前記垂下部と前記前カバーとの間に上方に凹入する凹溝部とを有する。
【0046】
上記燃焼装置によれば、前カバーの排気口部材挿通口から前方に突出する突出部は、突出部の下面から下方に延びる垂下部を有するから、排気口部材の前端開口部から流れてくるドレンを下方に流下させることができる。そして、上記燃焼装置によれば、垂下部と前カバーとの間には上方に凹入する凹溝部が形成されているから、垂下部から滴下させることができる。これにより、排気口部材の前端開口部からドレンが飛散しても、ドレンが排気口部材の下面を伝って前カバーに向かって流れるのを防止することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 燃焼装置本体
2 バーナ
3 燃焼筐
4 排気ダクト
5 排気口部材
30 熱交換器
42 起立ダクト部
43 水平ダクト部
431 ダクト流出口
435 ダクト下壁部
435a ダクト下内壁面
55 上壁部
55a 上内壁面
55b 第1上内壁面部
55c 上突出壁面部
55d 第2上内壁面部
56 下壁部
56a 下内壁面
57 左側壁部
58 右側壁部
71 前端開口部
72 後端開口部
100 外装ケース
101 ケース本体
102 前カバー
104 排気口部材挿通口
Pa 排気通路
図1
図2
図3
図4