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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003911
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】ブラシモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/02 20060101AFI20240109BHJP
   H02K 5/20 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H02K9/02 Z
H02K5/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103267
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(72)【発明者】
【氏名】宮田 涼
【テーマコード(参考)】
5H605
5H609
【Fターム(参考)】
5H605AA01
5H605BB05
5H605BB09
5H605BB14
5H605CC01
5H605DD11
5H609BB06
5H609BB18
5H609BB20
5H609PP02
5H609PP05
5H609QQ02
5H609QQ08
5H609RR27
(57)【要約】
【課題】 ブラシモータの内部を効果的に冷却すること。
【解決手段】 円筒部分を有するケーシング1と、ケーシング1の内周面の周方向sに互いに離間した複数の横断面弧状の永久磁石2と、各永久磁石2の内周面2aに対向し、外周面3aが隙間gを介して配置されたロータ3と、を具備するブラシモータにおいて、ケーシング1の側面1aに、ケーシング1内の空気が出入する複数のスリット5が形成され、スリット5は、ケーシング1の周方向に延びていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒部分を有するケーシング(1)と、
ケーシング(1)の内周面の周方向(s)に互いに離間した複数の横断面弧状の永久磁石(2)と、
各永久磁石(2)の内周面(2a)に対向し、外周面(3a)が隙間(g)を介して配置されたロータ(3)と、を具備するブラシモータにおいて、
ケーシング(1)の側面(1a)に、ケーシング(1)内の空気が出入する複数のスリット(5)が形成され、
スリット(5)は、ケーシング(1)の周方向に延びていることを特徴とするブラシモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のブラシモータにおいて、
各スリット(5)は、ケーシング(1)に切り起されたルーバ(5a)によって形成されたブラシモータ。
【請求項3】
請求項1に記載のブラシモータにおいて、
複数のスリット(5)の間の面のうち、少なくとも1つの面は、ケーシング(1)の円筒部分の内径側または外径側に突出しているブラシモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石界磁直流モータの冷却に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブラシモータの温度上昇を抑制するため、円筒形状の側面を有するケーシングの底部に空気孔を形成し、内部に空気を流入する構造としていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、モータの内部はケーシングの側面で覆われているので、熱がこもりやすく、モータ内部の温度が上昇し、モータの耐久性が低下していた。
ただし、側面に開口を設けると、磁気回路の一部が分断されるので、モータの性能が低下し、また、開口から水や塵等の異物がモータ内部に侵入するおそれがある。
【0004】
そこで本発明は、モータ性能への影響、およびモータ内部への異物侵入のおそれを抑えた上で、ケーシングの側面に開口を設け、モータ内部に通風することにより、ブラシモータの温度上昇の抑制を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、円筒部分を有するケーシング1と、
ケーシング1の内周面の周方向sに互いに離間した複数の横断面弧状の永久磁石2と、
各永久磁石2の内周面2aに対向し、外周面3aが隙間gを介して配置されたロータ3と、を具備するブラシモータにおいて、
ケーシング1の側面1aに、ケーシング1内の空気が出入する複数のスリット5が形成され、
スリット5は、ケーシング1の周方向に延びていることを特徴とするブラシモータである。
【0006】
本発明のブラシモータにおいて、各スリット5を、ケーシング1に切り起されたルーバ5aによって形成されたものとすることができる。
【0007】
本発明のブラシモータにおいて、複数のスリット5の間の面のうち、少なくとも1つの面は、ケーシング1の円筒部分の内径側または外径側に突出しているものとすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、ケーシング1の側面1aに、ケーシング1内の空気が出入する複数のスリット5が形成され、そのスリット5は、ケーシング1の周方向に延びていることを特徴とするものである。
この構成により、磁気回路の分断は、スリットの幅部分のみとなり、モータの性能への影響は抑制される。
また、スリットの幅より大きな異物は、スリットを通過することができず、モータ内部への異物の侵入が抑制される。
【0009】
本発明は、さらに、各スリット5を、ケーシング1に切り起されたルーバ5aによって形成されたものとすることができる。
この構成により、スリットの正面がルーバによって遮蔽されるので、正面からのモータ内部への異物の侵入を抑制しつつ、通風に十分な開口を得ることができる。
【0010】
本発明は、さらに、複数のスリット5の間の面のうち、少なくとも1つの面は、ケーシング1の円筒部分の内径側または外径側に突出しているものとすることができる。
この構成により、磁気回路の分断を抑えつつ、通風に十分な開口を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施例のブラシモータの斜視図。
図2】同正面図。
図3】同要部断面説明図であって、図1のIII-III矢視断面図。
図4図3のIV拡大図。
図5】同要部横断面図。
図6】同ブラシモータの磁気回路とスリットとの関係の説明図。
図7】本発明の第1の実施例の他の例を示す断面図。
図8】本発明の第2の実施例のブラシモータの斜視図。
図9】同要部断面説明図であって、図8のIX-IX矢視断面図。
図10】本発明の第2の実施例の他の例を示す斜視図。
図11】同要部断面説明図であって、図10のXI-XI矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面に基づいて各実施例に共通する構成を説明する。
なお、本ブラシモータの発明構成以外のモータ内の各部品の説明は、省略する。
このブラシモータは、ケーシング1、永久磁石2、ロータ3を具備する。
ケーシング1は、図3に示す如く、鉄等の磁性を有する金属からなる円筒状の側面1aを有し、その一端が底部1bで閉塞されている。ケーシング1の他端は端蓋10で閉塞されている。ケーシング1の底部1bは、端蓋10のように、別部材であってもよい。
ケーシング1の内周面には、その周方向sに複数の横断面弧状の永久磁石2が互いに離間して配置されている(隣り合う永久磁石2の間には、離間部分4がある。)。前述の側面1aは、永久磁石2が配置された側面1aaと、離間部分4に位置する側面1abとを有する。図1では、4つの永久磁石2が配置されているが、永久磁石2を配置する個数は、この例に限られるものではない。
ケーシング1の内部には、各永久磁石2の内周面2aに対向するロータ3が、回転軸9を介して、自在に回転できるように配置されている。ロータ3の外周面3aと各永久磁石2の内周面2aとの間には、隙間gがある。
【0013】
本発明の特徴は、ケーシング1の側面1aに、ケーシング1内の空気が出入する複数のスリット5が形成されており、各スリット5がケーシング1の周方向に延びていることである。各スリット5は回転軸9の軸線方向に離間して形成されている。
【実施例0014】
図1図5は本発明の第1の実施例を示し、図1はブラシモータの要部斜視図、図2は同正面図、図3は同要部縦断面図であって図1のIII-III矢視断面図、図4図3のIV拡大図、図5は同モータの要部横断面図である。
第1の実施例では、離間部分4に位置する側面1abに、ルーバ5aが切り起こされることにより、スリット5が形成されている。スリット5は、図6に示す如く、ケーシング1の周方向に延びており、モータ内の磁気回路の流れに対して平行となるように形成されている。
ルーバ5aの傾斜の向きは、図3図4の向きに限定されるものでなく、逆向きであってもよい。
図1図3に示すように、ケーシング1の底部1bに、空気孔11を設けることができる。
モータの側面1a側から空気流12を流通させる場合、図7に記載のように、側面1aに形成したスリット5のみとして、空気孔11を形成しないこともできる。
【0015】
第1の実施例では、図3に示す如く、ケーシング1の空気孔11から空気流12が流入する。
モータの内部に流入した空気流12はモータ内の各部品を冷却するとともに、離間部分4に位置する側面1abの側に導かれ、図4に示す如く、空気流12がスリット5から外部に流出する。
【0016】
スリット5は、その幅方向の向きが、図6に示す如く、モータ内の磁気回路の流れに対して平行となるように切り起こされているため、磁気回路の分断は、スリット5の幅部分のみとなり、モータの性能への影響は抑制される。
また、本実施例では、スリット5の正面がルーバ5aによって遮蔽されるので、正面からのモータ内部への異物の侵入を抑制しつつ、通風に十分なスリット5を得ることができる。
【実施例0017】
図8は、本発明の第2の実施例のブラシモータの斜視図であり、図9は、同要部断面説明図であって、図8のIX-IX矢視断面図である。
第2の実施例においては、図8図9に示す如く、2つのスリット5の間の面がケーシング1の側面1abの内側に突出されており、突出面5bが形成されている。
このように構成すると、磁気回路の分断を抑えつつ、通風に十分な開口を得ることができる。
図8図9に示す突出面5bは、側面1abの内側に突出されているが、円筒の外側に突出させることもできる。
【0018】
図10図11のように、ケーシング1の側面1abに突出面5bを形成せずに、細長い複数のスリット5のみで形成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、永久磁石界磁直流モータに利用でき、特に、ラジエータ用のファンを駆動する当該モータに好適である。
【符号の説明】
【0020】
1 ケーシング
1a 側面
1b 底部
1aa 永久磁石2が配置された側面
1ab 離間部分4に位置する側面
2 永久磁石
2a 内周面
3 ロータ
3a 外周面
4 離間部分
5 スリット
5a ルーバ
5b 突出面
【0021】
9 回転軸
10 端蓋
11 空気孔
12 空気流
g 隙間
s 周方向
h 軸線方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11