(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039118
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】避難指示装置、避難指示方法、及び、避難指示プログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 27/00 20060101AFI20240314BHJP
G08B 5/00 20060101ALI20240314BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240314BHJP
B61L 25/02 20060101ALN20240314BHJP
【FI】
G08B27/00 A
G08B5/00 C
H04N7/18 D
B61L25/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143427
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】石川 剛史
【テーマコード(参考)】
5C054
5C083
5C087
5H161
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054DA09
5C054FC12
5C054FE14
5C054FE16
5C054FE25
5C054FE26
5C054FE28
5C054FF03
5C054FF06
5C054HA18
5C054HA19
5C054HA27
5C083AA02
5C083CC25
5C083DD12
5C083HH35
5C083JJ24
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA19
5C087AA37
5C087AA44
5C087DD03
5C087DD15
5C087DD16
5C087DD31
5C087DD49
5C087EE14
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG82
5C087GG83
5H161AA01
5H161BB20
5H161DD20
5H161FF01
5H161FF07
5H161GG04
5H161GG11
5H161GG23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】不審者による危険が迫っている対象者が、不審者の存在を直接認識できない場合であっても、対象者が不審者から適切に避難することを実現できる車両および緊急通報システムを提供する。
【解決手段】避難指示システムにおいて、避難指示装置40は、撮像装置51による撮像画像411と、撮像装置51の位置を表す撮像装置位置情報412とを取得する撮像位置取得部41と、撮像画像411を解析することによって、撮像画像411に含まれる不審者を検知する検知部42と、情報を提示する提示装置52の位置を表す提示装置位置情報431を取得する提示装置位置取得部43と、提示装置位置情報431によって示される位置において、撮像装置位置情報412によって示される位置の撮像装置51により撮像された不審者から避難する方向を表す避難指示情報441を生成する生成部44と、避難指示情報441を提示装置52に出力する出力部45と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置による撮像画像と、前記撮像装置の位置を表す撮像装置位置情報とを取得する撮像位置取得手段と、
前記撮像画像を解析することによって、前記撮像画像に含まれる不審者を検知する検知手段と、
情報を提示する提示装置の位置を表す提示装置位置情報を取得する提示装置位置取得手段と、
前記提示装置位置情報によって示される位置において、前記撮像装置位置情報によって示される位置にある前記撮像装置によって撮像された前記不審者から避難する方向を表す避難指示情報を生成する生成手段と、
前記避難指示情報を前記提示装置に出力する出力手段と、
を備える避難指示装置。
【請求項2】
前記検知手段は、前記不審者が移動する方向を検知し、
前記生成手段は、前記不審者が移動する方向から遠ざかる方向を表す前記避難指示情報を生成する、
請求項1に記載の避難指示装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記提示装置と前記不審者を撮像した前記撮像装置との距離が近いほど避難の優先度を高く設定し、前記優先度に応じて異なる前記避難指示情報を生成する、
請求項1または請求項2に記載の避難指示装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記優先度が閾値以上である位置にある前記提示装置に対して、すぐに避難することを表示させるとともに、前記優先度が閾値未満である位置にある提示装置に対して、現在の場所に待機すること、あるいは、前記不審者に近づかないことを表示させる前記避難指示情報を生成する、
請求項3に記載の避難指示装置。
【請求項5】
前記生成手段は、前記撮像装置位置情報によって示される前記不審者を撮像した前記撮像装置の位置を表す地図を含む前記避難指示情報を生成する、
請求項1または請求項2に記載の避難指示装置。
【請求項6】
前記出力手段は、前記不審者の行動を抑止するための部材、前記不審者によって発生した火災を消火するための部材、及び、前記不審者によって負傷した人の救護に必要な部材の少なくともいずれかの設置場所を表す情報を取得し、前記設置場所を含む地図の情報を生成し、生成した地図の情報を前記提示装置に出力する、
請求項1または請求項2に記載の避難指示装置。
【請求項7】
前記生成手段は、前記提示装置と前記不審者を撮像した前記撮像装置との距離が閾値以下である場合、前記不審者の行動を抑止するための部材を使用することを指示する前記避難指示情報を生成する、
請求項6に記載の避難指示装置。
【請求項8】
前記出力手段は、前記検知手段による前記不審者の検知結果を、前記撮像装置がある場所及び前記提示装置がある場所の安全を管理する事業者の端末装置に出力する、
請求項1または請求項2に記載の避難指示装置。
【請求項9】
情報処理装置によって、
撮像装置による撮像画像と、前記撮像装置の位置を表す撮像装置位置情報とを取得し、
前記撮像画像を解析することによって、前記撮像画像に含まれる不審者を検知し、
情報を提示する提示装置の位置を表す提示装置位置情報を取得し、
前記提示装置位置情報によって示される位置において、前記撮像装置位置情報によって示される位置にある前記撮像装置によって撮像された前記不審者から避難する方向を表す避難指示情報を生成し、
前記避難指示情報を前記提示装置に出力する、
避難指示方法。
【請求項10】
撮像装置による撮像画像と、前記撮像装置の位置を表す撮像装置位置情報とを取得する撮像位置取得処理と、
前記撮像画像を解析することによって、前記撮像画像に含まれる不審者を検知する検知処理と、
情報を提示する提示装置の位置を表す提示装置位置情報を取得する提示装置位置取得処理と、
前記提示装置位置情報によって示される位置において、前記撮像装置位置情報によって示される位置にある前記撮像装置によって撮像された前記不審者から避難する方向を表す避難指示情報を生成する生成処理と、
前記避難指示情報を前記提示装置に出力する出力処理と、
をコンピュータに実行させるための避難指示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、避難指示装置、避難指示方法、及び、避難指示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例年、列車内あるいは商業施設等の様々な場所において、不審者による傷害等の犯罪が発生しており、このような不審者を迅速かつ適切に検知する技術が期待されている。
【0003】
上述の技術に関連して、特許文献1には、AI(Artificial Intelligence)モデルを用いて映像解析を行う機能を有する複数のカメラを備え、カメラ間の連携を向上させるようにした監視システムが開示されている。このシステムは、複数のAIカメラと、AIカメラが使用するAIモデルを生成する解析装置とを備える。各AIカメラは、不審挙動を検知するためのAIモデルを用いた映像解析により不審挙動の検知を行う。解析装置は、いずれかのAIカメラが不審挙動を検知した場合に、不審挙動を行った特定人物(不審者)を検知するためのAIモデルを生成して、生成したAIモデルをAIカメラに送信する。
【0004】
また、特許文献2には、列車内の監視カメラ映像から不審者が乗車しているかをリアルタイムに検出するシステムが開示されている。このシステムでは、車両に設けたカメラが車両の乗客を撮影し、列車が駅に停車する都度、停車時間内に、停車駅の前の駅からのカメラ映像を停車駅に設けた映像受信解析装置に送信する。そして映像受信解析装置は、警察センターから届けられている不審者リストをもとに不審者を発見し、発見した不審者を警察センターに連絡する。
【0005】
また、特許文献3には、列車等の交通機関に搭載したカメラにより撮影された画像に基づいて、少なくとも当該交通機関の運行の状態に関する所定の事象が発生したと判定した場合、その撮影した画像に基づいて所定の制御を行うシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2022/059123号
【特許文献2】特開2021-141389号公報
【特許文献3】特開2022-055594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、列車あるいは商業施設等にいる不審者による危険が、ある対象者(顧客)に迫っているときに、対象者と不審者とがある程度離れている場合、あるいは、対象者と不審者との間に視界を遮る障害物がある場合などでは、対象者は不審者の存在を直接認識(視認)することができない。この場合、対象者は、不審者の状況がわからないことから不審者から適切に避難することができず、例えば誤って不審者に近づいてしまうことによって不審者による犯罪に巻き込まれるおそれがある。即ち、不審者による危険が迫っている対象者が、不審者の存在を直接認識できない場合であっても、対象者が不審者から適切に避難できるようにすることが課題である。特許文献1乃至3は、このような課題には特に言及していない。
【0008】
本発明の主たる目的は、不審者による危険が迫っている対象者が、不審者の存在を直接認識できない場合であっても、対象者が不審者から適切に避難することを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る避難指示装置は、撮像装置による撮像画像と、前記撮像装置の位置を表す撮像装置位置情報とを取得する撮像位置取得手段と、前記撮像画像を解析することによって、前記撮像画像に含まれる不審者を検知する検知手段と、情報を提示する提示装置の位置を表す提示装置位置情報を取得する提示装置位置取得手段と、前記提示装置位置情報によって示される位置において、前記撮像装置位置情報によって示される位置にある前記撮像装置によって撮像された前記不審者から避難する方向を表す避難指示情報を生成する生成手段と、前記避難指示情報を前記提示装置に出力する出力手段と、を備える。
【0010】
上記目的を達成する他の見地において、本発明の一態様に係る避難指示方法は、情報処理装置によって、撮像装置による撮像画像と、前記撮像装置の位置を表す撮像装置位置情報とを取得し、前記撮像画像を解析することによって、前記撮像画像に含まれる不審者を検知し、情報を提示する提示装置の位置を表す提示装置位置情報を取得し、前記提示装置位置情報によって示される位置において、前記撮像装置位置情報によって示される位置にある前記撮像装置によって撮像された前記不審者から避難する方向を表す避難指示情報を生成し、前記避難指示情報を前記提示装置に出力する。
【0011】
また、上記目的を達成する更なる見地において、本発明の一態様に係る避難指示プログラムは、撮像装置による撮像画像と、前記撮像装置の位置を表す撮像装置位置情報とを取得する撮像位置取得処理と、前記撮像画像を解析することによって、前記撮像画像に含まれる不審者を検知する検知処理と、情報を提示する提示装置の位置を表す提示装置位置情報を取得する提示装置位置取得処理と、前記提示装置位置情報によって示される位置において、前記撮像装置位置情報によって示される位置にある前記撮像装置によって撮像された前記不審者から避難する方向を表す避難指示情報を生成する生成処理と、前記避難指示情報を前記提示装置に出力する出力処理と、をコンピュータに実行させる。
【0012】
更に、本発明は、係る避難指示プログラム(コンピュータプログラム)が格納された、コンピュータ読み取り可能な、不揮発性の記録媒体によっても実現可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、不審者による危険が迫っている対象者が、不審者の存在を直接認識できない場合であっても、対象者が不審者から適切に避難することを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る避難指示システム1の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る避難指示装置10が、列車内のモニタ22に避難指示情報165を表示する態様を例示する図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る避難指示装置10が、商業施設内のモニタ22に避難指示情報165として表示する避難指示の方向を例示する図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る避難指示装置10の動作を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る避難指示装置40の構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る避難指示装置40の動作を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の各実施形態に係る避難指示装置を実現可能な情報処理装置900の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る避難指示システム1の構成を示すブロック図である。避難指示システム1は、例えば、列車、船舶、商業施設などの場所において、対象者(顧客)に危害を加えるおそれがある不審者を検出し、不審者による危険が迫った対象者に対して不審者との位置関係に応じた避難指示を行うシステムである。
【0017】
避難指示システム1は、大別して、避難指示装置10、1以上の監視カメラ21、1以上のモニタ22、1以上の対象者端末装置23、安全管理事業者の端末装置24を有する。避難指示装置10、1以上の監視カメラ21、1以上のモニタ22、1以上の対象者端末装置23、安全管理事業者の端末装置24は、通信ネットワーク30を介して通信可能に接続されている。通信ネットワーク30は、例えばインターネットである。
【0018】
監視カメラ21は、列車内、船内、商業施設内等における所定の場所に設置され、列車内、船内、商業施設内等の状況を撮像する。監視カメラ21は、撮像装置の一例である。
【0019】
モニタ22は、列車内、船内、商業施設内等における所定の場所に設置され、避難指示装置10によって不審者が検出された場合に、列車内、船内、商業施設内の対象者に対して、後述する避難指示情報165を表示する。モニタ22は、提示装置の一例である。モニタ22は、スピーカを備え、音声による避難指示情報165を出力してもよい。モニタ22は、例えば、不審者が存在しない通常時には広告等を表示し、避難指示装置10によって不審者が検知された場合は、広告等の表示を停止して、避難指示装置10から出力された避難指示情報165を表示する。
【0020】
対象者端末装置23は、対象者が所持する、例えばスマートフォンあるいはタブレット端末等の情報処理装置である。対象者端末装置23は、提示装置の一例である。対象者端末装置23は、避難指示装置10によって不審者が検出された場合に、列車内、船内、商業施設内の対象者に対して、画像及び音声の少なくともいずれかによって、後述する避難指示情報165を提示する。この場合、対象者端末装置23は、例えば、避難指示装置10から避難指示情報165を受信するためのアプリケーションを実行することなどによって、避難指示情報165が受信可能な状態にあることとする。
【0021】
安全管理事業者の端末装置24は、例えば、列車の運行管理センター、商業施設のビル管理センター、警備会社等の安全管理事業者、あるいは警察等のシステムに含まれ、避難指示装置10から不審者が検知されたことを示す通報を受け付ける。安全管理事業者は、監視カメラ21がある場所、及び、モニタ22がある場所の安全を管理する。
【0022】
避難指示装置10は、撮像位置取得部11、検知部12、提示装置位置取得部13、生成部14、出力部15、記憶部16を備える。撮像位置取得部11、検知部12、提示装置位置取得部13、生成部14、出力部15は、順に、撮像位置取得手段、検知手段、提示装置位置取得手段、生成手段、出力手段の一例である。
【0023】
記憶部16は、例えば、
図7を参照して後述するRAM(Random Access Memory)903あるいはハードディスク904のような記憶デバイスである。記憶部16は、撮像画像161、監視カメラ位置情報162、検知結果163、提示装置位置情報164、避難指示情報165、地
図166を記憶している。記憶部16に記憶されたこれらの情報に関しては後述する。
【0024】
撮像位置取得部11は、個々の監視カメラ21によって撮像された撮像画像161、及び、個々の監視カメラ21に関する監視カメラ位置情報162を随時取得し、取得した撮像画像161と監視カメラ位置情報162とを関連付けて、記憶部16に格納する。監視カメラ位置情報162は、例えば、避難指示システム1が列車内の不審者を検出するシステムである場合、監視カメラ21が設置されている車両及び当該車両内における位置(例えば、3号車における進行方向から4番目の監視カメラ)を表す。監視カメラ位置情報162は、例えば、避難指示システム1が商業施設内の不審者を検出するシステムである場合、監視カメラ21が設置されている商業施設内におけるエリアの識別子(例えばエリア番号)を表す。
【0025】
検知部12は、撮像位置取得部11によって取得された撮像画像161を既存の画像解析技術を用いて解析することによって、撮像画像161に含まれる不審者を検知し、その検知結果163を記憶部16に格納する。検知部12は、この際、例えば撮像画像161に含まれる人物の行動(挙動)、服装、持ち物等に関する特徴を抽出し、人物の特徴から不審者を検知するための基準を用いて不審者であるか否かを推定する。当該基準は、不審者に関する特徴に関して機械学習を行うことによって生成された推定モデルであってもよい。検知部は、検知した不審者の顔及び服装などの特徴を抽出し、抽出した不審者の特徴を検知結果163に含めるようにしてもよい。
【0026】
検知部12は、検知結果163によって示される不審者の特徴を用いて、個々の監視カメラ21によって新たに撮像された撮像画像161を解析し、新たに撮像された撮像画像161において、当該不審者の特徴を有する人物を、その不審者として特定してもよい。即ちこの場合、検知部12は、1以上の監視カメラ21によって撮像された撮像画像161に含まれる不審者を、最初に抽出した不審者の特徴を用いて追跡する。
【0027】
提示装置位置取得部13は、個々のモニタ22の設置場所を表す提示装置位置情報164を取得し、取得した提示装置位置情報164を記憶部16に格納する。提示装置位置情報164は、例えば、避難指示システム1が列車内の不審者を検出するシステムである場合、モニタ22が設置されている車両及び当該車両内における位置(例えば、3号車における進行方向から4番目のモニタ)を表す。提示装置位置情報164は、例えば、避難指示システム1が商業施設内の不審者を検出するシステムである場合、モニタ22が設置されている商業施設内におけるエリアの識別子(例えばエリア番号)を表す。個々のモニタ22の設置場所は変化しないので、提示装置位置取得部13は、モニタ22に関する提示装置位置情報164を1度取得すればよい。提示装置位置情報164は、避難指示システム1の管理者によって事前に入力された情報でもよいし、あるいは避難指示装置10が列車の構造に関する情報を管理する外部のサーバから取得した情報であってもよい。
【0028】
提示装置位置取得部13は、また、個々の対象者端末装置23の位置を表す提示装置位置情報164を取得し、取得した提示装置位置情報164を記憶部16に格納する。この場合、対象者端末装置23に関する提示装置位置情報164は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)を用いることにより取得される対象者端末装置23の位置情報を表す。尚、対象者端末装置23の位置は対象者が動くことによって変化するので、提示装置位置取得部13は、対象者端末装置23に関する提示装置位置情報164を随時取得する。
【0029】
生成部14は、提示装置位置情報164によって示される位置にあるモニタ22あるいは対象者端末装置23から情報を提示される対象者が、監視カメラ位置情報162によって示される位置にある監視カメラ21によって撮像された不審者から避難する方向を表す避難指示情報165を生成する。
【0030】
出力部15は、生成部14によって生成された避難指示情報165を、モニタ22及び対象者端末装置23に出力する。モニタ22及び対象者端末装置23は、出力部15から出力された避難指示情報165を、画像及び音声の少なくともいずれかによって、近辺にいる対象者に提示する。出力部15は、避難指示情報165を音声により対象者に提示する場合、異なる内容の音声が混在することによって聞き取りにくくならないように、例えば列車内では、同一車両の対象者に提示する避難指示情報165の内容を同一とすることが望ましい。
【0031】
図2は、本実施形態に係る避難指示装置10が、列車内のモニタ22に避難指示情報165を表示する態様を例示する図である。
図2において、列車が動く方向(即ち、対象者(列車の乗客)及び不審者が列車内を移動可能な方向)をX軸として表す。
【0032】
図2に示す例において、検知部12は、監視カメラ21Aによる撮像画像161に含まれる、監視カメラ21Aの近辺にいる刃物を持った不審者を検知する。列車内の場合、対象者が避難可能な方向は1次元(X軸方向)に限定されるので、それぞれのモニタ22付近の対象者の避難方向は、不審者の移動方向にかかわらず、それぞれのモニタ22と不審者との位置関係のみに依存する。
【0033】
生成部14は、不審者がいる車両に対してX軸の負方向に位置する車両に設置されたモニタ22Aから付近の対象者に提示する避難指示情報165に、不審者から遠ざかる方向であるX軸の負方向に避難することを指示する矢印を含める。生成部14は、同様に、不審者がいる車両に対してX軸の正方向に位置する車両に設置されたモニタ22Bから付近の対象者に提示する避難指示情報165に、不審者から遠ざかる方向であるX軸の正方向に避難することを指示する矢印を含める。
【0034】
生成部14は、
図2に例示するように、避難指示情報165に、監視カメラ21Aによる不審者の現在の撮像画像161、及び、車両に関する地
図166を用いた不審者の現在位置を表す情報(例えば
図2に例示する「★」)を含めてもよい。尚、
図2に例示する不審者の現在位置を表す情報が示す網掛けされた車両は、モニタ22Aあるいはモニタ22Bが設置されている車両を表す。
【0035】
生成部14は、対象者端末装置23に対しては、例えば、列車の進行方向あるいは進行方向とは逆方向に避難することを文章で指示する避難指示情報165を生成してもよい。生成部14は、あるいは、対象者端末装置23が備える磁気センサによる自装置の方向検知機能と連携し、対象者が持つ対象者端末装置23の画面の向きに応じた避難方向を表す避難指示情報165を生成してもよい。
【0036】
図3は、本実施形態に係る避難指示装置10が、商業施設内のモニタ22に避難指示情報165として表示する避難指示の方向を例示する図である。
図3において、商業施設のフロアを表す平面をX軸及びY軸により表す。尚、
図3において、それぞれのモニタ22と不審者との距離がある程度あり、モニタ22の位置と不審者との間に視界を遮る障害物があることによって、モニタ22の近辺にいる対象者は、不審者を直接確認(視認)できないこととする。
【0037】
図3に示す例において、検知部12は、監視カメラ21による撮像画像161に含まれる、監視カメラ21の近辺にいる刃物を持った不審者を検知する。商業施設内の場合は、
図2に例示する列車内の場合とは異なり、対象者は2次元あるいは3次元(複数階の建物等の場合)の方向に避難することができる。したがって、それぞれのモニタ22付近の対象者の避難方向は、不審者とモニタ22との位置関係に加えて、不審者の移動方向にも依存する。尚、不審者の移動方向は、検知部12が撮像画像161を解析することによって検知される。即ちこの場合、検知部12は、映像として表される撮像画像161に含まれる不審者の位置を特定し、特定した不審者の位置の推移を求めることによって不審者の移動方向を検知する。
【0038】
生成部14は、商業施設のフロアにおいて、不審者の位置に対してX軸の負方向に位置に設置されたモニタ22Cから付近の対象者に提示する避難指示情報165に、不審者とモニタ22Cとの位置関係から、不審者から遠ざかる方向であるX軸の負方向に避難することを指示する矢印を含める。生成部14は、また、モニタ22Cから付近の対象者に提示する避難指示情報165に、Y軸の負方向に移動する不審者から遠ざかる方向であるY軸の正方向に避難することを指示する矢印を含める。
【0039】
生成部14は、商業施設のフロアにおいて、不審者の位置に対してX軸の正方向に位置に設置されたモニタ22Dから付近の対象者に提示する避難指示情報165に、不審者とモニタ22Dとの位置関係から、不審者から遠ざかる方向であるX軸の正方向に避難することを指示する矢印を含める。生成部14は、また、モニタ22Dから付近の対象者に提示する避難指示情報165に、Y軸の負方向に移動する不審者から遠ざかる方向であるY軸の正方向に避難することを指示する矢印を含める。
【0040】
生成部14は、複数階のフロアを有する商業施設に関して、例えば、不審者が3階にいる場合、3階以下の階にいる対象者に対しては下の階に下るように、4階以上の階にいる対象者に対しては上の階に上るように指示する避難指示情報165を生成してもよい。
【0041】
生成部14は、
図3に示す例においても、
図2に示す例と同様に、避難指示情報165に、監視カメラ21による不審者の現在の撮像画像161、及び、商業施設に関する地
図166を用いた不審者の現在位置を表す情報を含めてもよい。尚、生成部14は、この場合、不審者の現在位置を表す地
図166を用いた情報に、モニタ22Cあるいはモニタ22Dが設置されたエリアの場所を表す情報を含めてもよい。
【0042】
生成部14は、また、モニタ22あるいは対象者端末装置23と不審者を撮像した監視カメラ21との距離が近いほど避難の優先度を高く設定し、その優先度に応じて異なる避難指示情報165を生成してもよい。生成部14は、例えば、当該優先度が閾値以上である位置にいる対象者に対する避難指示情報165に、すぐに避難することを指示する情報を含めてもよい。生成部14は、例えば、当該優先度が閾値未満である位置にいる対象者に対する避難指示情報165に、現在の場所に待機すること、あるいは、不審者に近づかないことを指示する情報を含めてもよい。生成部14は、例えば商業施設に関して、不審者との距離がそれほど近くない商業施設内の対象者に対して不審者の位置に近づかないように指示し、商業施設の近辺にいる商業施設外の対象者に対して商業施設内に入らないことを指示する避難指示情報165を生成してもよい。
【0043】
出力部15は、また、不審者の行動を抑止するための部材(例えば刺股)、不審者によって発生した火災を消火するための部材(例えば消火器)、及び、不審者によって負傷した人の救護に必要な部材(例えば担架)の少なくともいずれかの設置場所を地
図166に表示するための情報を生成し、生成したその情報を、避難指示情報165とともに、モニタ22及び対象者端末装置23に出力するようにしてもよい。上述した部材の設置場所を表す情報は、事前に避難指示装置10に与えられてもよいし、出力部15によって、外部の装置から取得されてもよい。
【0044】
そしてこの際、生成部14は、不審者を撮像した監視カメラ21との距離が閾値以下であるモニタ22及び対象者端末装置23に対する避難指示情報165において、護身のために不審者の行動を抑止するための刺股等の部材を使用することを指示する情報を含めてもよい。
【0045】
出力部15は、また、避難指示システム1が、
図2に例示するような、列車における不審者からの避難指示を行う場合に、不審者が検知された列車が次の駅に到着するまでの時間を、避難指示情報165とともにモニタ22及び対象者端末装置23に出力してもよい。但しこの場合、当該列車に関する時刻表は、事前に避難指示装置10に与えられもよいし、出力部15によって、外部の装置から取得されてもよい。
【0046】
出力部15は、また、検知部12による不審者の検知結果163を、安全管理事業者の端末装置24に出力する。
【0047】
次に
図4のフローチャートを参照して、本実施形態に係る避難指示装置10の動作(処理)について詳細に説明する。
【0048】
提示装置位置取得部13は、個々のモニタ22の位置を表す提示装置位置情報164を取得し、取得した提示装置位置情報164を記憶部16に格納する。(ステップS101)。撮像位置取得部11は、個々の監視カメラ21から撮像画像161及び監視カメラ位置情報162を取得し、取得した撮像画像161と監視カメラ位置情報162とを関連付けて記憶部16に格納する(ステップS102)。
【0049】
検知部12は、撮像位置取得部11によって取得された撮像画像161を解析し、撮像画像161において不審者が存在するか否かを判定する(ステップS103)。撮像画像161において不審者が存在しない(不審者が検知されない)場合(ステップS104でNo)、処理はステップS102へ戻る。撮像画像161において不審者が存在する(不審者が検知された)場合(ステップS104でYes)、検知部12は、撮像画像161から不審者の特徴を抽出し、抽出した不審者の特徴を含む検知結果163を記憶部16に格納する(ステップS105)。
【0050】
撮像位置取得部11は、個々の監視カメラ21から撮像画像161及び監視カメラ位置情報162を取得し、取得した撮像画像161と監視カメラ位置情報162とを関連付けて記憶部16に格納する(ステップS106)。検知部12は、検知結果163によって示される不審者の特徴から撮像画像161に含まれる不審者を特定し、不審者の移動方向を検知する(ステップS107)。
【0051】
生成部14は、不審者を含む撮像画像161を出力した監視カメラ21と個々のモニタ22との位置関係、及び、必要に応じて不審者の移動方向に基づいて、個々のモニタ22に出力する避難指示情報165を生成する(ステップS108)。出力部15は、避難指示情報165を、個々のモニタ22に出力し(ステップS109)、処理はステップS106へ戻る。
【0052】
本実施形態に係る避難指示装置10は、不審者による危険が迫っている対象者が、不審者の存在を直接認識できない場合であっても、対象者が不審者から適切に避難することを実現できる。その理由は、避難指示装置10は、監視カメラ21による撮像画像161から不審者を検知し、対象者が不審者から避難する方向を表す避難指示情報165を対象者と不審者との位置関係に応じて生成し、生成した避難指示情報165を対象者に提示するからである。
【0053】
以下に、本実施形態に係る避難指示装置10によって実現される効果について、詳細に説明する。
【0054】
例えば、列車あるいは商業施設等にいる不審者による危険が、ある対象者(顧客)に迫っているときに、対象者と不審者とがある程度離れている場合、あるいは、対象者と不審者との間に視界を遮る障害物がある場合などでは、対象者は不審者の存在を直接認識(視認)することができない。この場合、対象者は、不審者の状況がわからないことから不審者から適切に避難することができず、例えば誤って不審者に近づいてしまうことによって不審者による犯罪に巻き込まれるおそれがある。即ち、不審者による危険が迫っている対象者が、不審者の存在を直接認識できない場合であっても、対象者が不審者から適切に避難できるようにすることが課題である。
【0055】
このような問題に対して、本実施形態に係る避難指示装置10は、監視カメラ21による撮像画像161と、監視カメラ21の位置を表す監視カメラ位置情報162とを取得する。避難指示装置10は、撮像画像161を解析することによって、撮像画像161に含まれる不審者を検知する。避難指示装置10は、情報を提示するモニタ22及び対象者端末装置23の位置を表す提示装置位置情報164を取得する。避難指示装置10は、提示装置位置情報164によって示される位置において、監視カメラ位置情報162によって示される位置にある監視カメラ21によって撮像された不審者から避難する方向を表す避難指示情報165を生成する。そして、避難指示装置10は、避難指示情報165をモニタ22及び対象者端末装置23に出力する。これにより、避難指示装置10は、不審者による危険が迫っている対象者が、不審者の存在を直接認識できない場合であっても、対象者が避難指示情報165に従って適切に避難することを実現できる。
【0056】
また、本実施形態に係る避難指示装置10は、不審者が移動する方向を検知し、不審者が移動する方向から遠ざかる方向を表す避難指示情報165を生成する。これにより、避難指示装置10は、列車内のように避難可能な方向が1次元の方向に限定されない例えば商業施設のような場所において、対象者がより適切に避難することを実現できる。
【0057】
また、本実施形態に係る避難指示装置10は、モニタ22あるいは対象者端末装置23と不審者を撮像した監視カメラ21との距離が近いほど避難の優先度を高く設定し、その優先度に応じて異なる避難指示情報165を生成する。避難指示装置10は、より具体的には、例えば、優先度が閾値以上である位置にあるモニタ22及び対象者端末装置23に対して、すぐに避難することを表示させる避難指示情報165を生成する。避難指示装置10は、優先度が閾値未満である位置にあるモニタ22及び対象者端末装置23に対して、現在の場所に待機すること、あるいは、不審者に近づかないことを表示させる避難指示情報165を生成する。これにより、避難指示装置10は、多くの対象者が一斉に避難することによって混乱(パニック)が発生することを回避しつつ、対象者が適切に避難することを実現できる。
【0058】
また、本実施形態に係る避難指示装置10は、検知した不審者の特徴を抽出し、監視カメラ21によって新たに撮像された撮像画像161において、抽出した不審者の特徴を有する人物をその不審者として特定する。即ち、避難指示装置10は、最初に検出した不審者の特徴を利用して、その後の撮像画像161において不審者を追跡するので、効率的に情報処理を行うことができる。
【0059】
また、本実施形態に係る避難指示装置10は、監視カメラ位置情報162によって示される不審者を撮像した監視カメラ21の位置を地
図166を用いて表した避難指示情報165を生成する。避難指示装置10は、また、不審者が撮像された撮像画像161を含む避難指示情報165を生成する。そして、避難指示装置10は、不審者の位置を随時取得し、不審者の最新の位置に基づいて避難指示情報165を随時(例えば所定の時間ごとに)更新する。これにより、避難指示装置10は、対象者が不審者に関する現在の詳細な状況を正確に把握することを実現できる。
【0060】
また、本実施形態に係る避難指示装置10は、不審者の行動を抑止するための部材、不審者によって発生した火災を消火するための部材、及び、不審者によって負傷した人の救護に必要な部材の少なくともいずれかの設置場所を表す情報を取得する。避難指示装置10は、その設置場所を地
図166を用いて表した情報を生成し、生成したその情報をモニタ22及び対象者端末装置23に出力する。避難指示装置10は、さらに、不審者を撮像した監視カメラ21との距離が閾値以下であるモニタ22あるいは対象者端末装置23に対して、不審者の行動を抑止するための部材を使用することを指示する避難指示情報165を生成する。これにより、避難指示装置10は、不審者による危害を被る可能性が高い対象者の護身、及び、不審者により負傷した対象者の救護などを、適切に支援することができる。
【0061】
また、本実施形態に係る避難指示装置10は、検知部12による不審者の検知結果163を、安全管理事業者の端末装置24に出力する。これにより、避難指示装置10は、安全管理事業者による不審者の身柄の迅速な確保を支援することができる。
【0062】
また、本実施形態に係る避難指示装置10は、列車内における不審者を検知する場合に、その列車が次の駅に到着するまでの時間を取得し、取得したその列車が次の駅に到着するまでの時間を当該列車におけるモニタ22及び対象者端末装置23に出力する。これにより、避難指示装置10は、当該列車内にいる対象者の不安を和らげることができる。
【0063】
また、本実施形態に係る避難指示装置10は、画像及び音声の少なくともいずれかにより表される避難指示情報165を生成する。これにより避難指示装置10は、視覚障碍者あるいは聴覚障碍者に対しても、避難指示情報165を確実に提示することができる。
【0064】
<第2の実施形態>
図5は、本発明の第2の実施形態に係る避難指示装置40の構成を示すブロック図である。
【0065】
本実施形態に係る避難指示装置40は、撮像位置取得部41、検知部42、提示装置位置取得部43、生成部44、出力部45を備えている。撮像位置取得部41、検知部42、提示装置位置取得部43、生成部44、出力部45は、順に、撮像位置取得手段、検知手段、提示装置位置取得手段、生成手段、出力手段の一例である。
【0066】
撮像位置取得部41は、撮像装置51による撮像画像411と、撮像装置51の位置を表す撮像装置位置情報412とを取得する。撮像装置51は、例えば、第1の実施形態に係る監視カメラ21と同様な装置である。撮像画像411は、例えば、第1の実施形態に係る撮像画像161と同様な画像である。撮像装置位置情報412は、例えば、第1の実施形態に係る監視カメラ位置情報162と同様な情報である。撮像位置取得部41は、例えば、第1の実施形態に係る撮像位置取得部11と同様に動作する。
【0067】
検知部42は、撮像画像411を解析することによって、撮像画像411に含まれる不審者を検知する。検知部42は、例えば、第1の実施形態に係る検知部12と同様に動作する。
【0068】
提示装置位置取得部43は、情報を提示する提示装置52の位置を表す提示装置位置情報431を取得する。提示装置52は、例えば、第1の実施形態に係るモニタ22あるいは対象者端末装置23と同様な装置である。提示装置位置取得部43は、例えば、第1の実施形態に係る提示装置位置取得部13と同様に動作する。
【0069】
生成部44は、提示装置位置情報431によって示される位置において、撮像装置位置情報412によって示される位置にある撮像装置51によって撮像された不審者から避難する方向を表す避難指示情報441を生成する。避難指示情報441は、例えば、第1の実施形態に係る避難指示情報165と同様な情報である。生成部44は、例えば、第1の実施形態に係る生成部14と同様に動作する。
【0070】
出力部45は、避難指示情報441を提示装置52に出力する。出力部45は、例えば、第1の実施形態に係る出力部15と同様に動作する。
【0071】
次に
図6のフローチャートを参照して、本実施形態に係る避難指示装置40の動作(処理)について詳細に説明する。
【0072】
提示装置位置取得部43は、提示装置52から提示装置位置情報431を取得する(ステップS201)。撮像位置取得部41は、撮像装置51から撮像画像411及び撮像装置位置情報412を取得する(ステップS202)。検知部42は、撮像画像411を解析することによって、撮像画像411に含まれる不審者を検知する(ステップS203)。
【0073】
生成部44は、提示装置位置情報431によって示される位置において、撮像装置位置情報412によって示される位置にある撮像装置51によって撮像された不審者から避難する方向を表す避難指示情報441を生成する(ステップS204)。出力部45は、避難指示情報441を提示装置52に出力し、処理はステップS202へ戻る。
【0074】
本実施形態に係る避難指示装置40は、不審者による危険が迫っている対象者が、不審者の存在を直接認識できない場合であっても、対象者が不審者から適切に避難することを実現できる。その理由は、避難指示装置40は、撮像装置51による撮像画像411から不審者を検知し、対象者が不審者から避難する方向を表す避難指示情報441を対象者と不審者との位置関係に応じて生成し、生成した避難指示情報441を対象者に提示するからである。
【0075】
<ハードウェア構成例>
上述した各実施形態において
図1、及び、
図5に示した避難指示装置における各部は、専用のHW(HardWare)(電子回路)によって実現することができる。また、
図1、及び、
図5において、少なくとも、下記構成は、プロセッサによって実行される命令を含むソフトウェアプログラムの機能(処理)単位(ソフトウェアモジュール)と捉えることができる。
・撮像位置取得部11及び41、
・検知部12及び42、
・提示装置位置取得部13及び43、
・生成部14及び44、
・出力部15及び45、
・記憶部16における記憶制御機能。
【0076】
但し、これらの図面に示した各部の区分けは、説明の便宜上の構成であり、実装に際しては、様々な構成が想定され得る。この場合のハードウェア環境の一例を、
図7を参照して説明する。
【0077】
図7は、本発明の各実施形態に係る避難指示装置を実現可能な情報処理装置900(コンピュータ)の構成を例示的に説明する図である。即ち、
図7は、
図1及び
図5に示した避難指示装置を実現可能なコンピュータ(情報処理装置)の構成であって、上述した実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を表す。
【0078】
図7に示した情報処理装置900は、構成要素として下記を備えている。
・CPU(Central_Processing_Unit)901、
・ROM(Read_Only_Memory)902、
・RAM(Random_Access_Memory)903、
・ハードディスク(記憶装置)904、
・通信インタフェース905、
・バス906(通信線)、
・CD-ROM(Compact_Disc_Read_Only_Memory)等の記録媒体907に格納されたデータを読み書き可能なリーダライタ908、
・モニタやスピーカ、キーボード等の入出力インタフェース909。
【0079】
即ち、上記構成要素を備える情報処理装置900は、これらの構成がバス906を介して接続された一般的なコンピュータである。情報処理装置900は、CPU901を複数備える場合もあれば、マルチコアにより構成されたCPU901を備える場合もある。
【0080】
そして、上述した実施形態を例に説明した本発明は、
図7に示した情報処理装置900に対して、次の機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給する。その機能とは、その実施形態の説明において参照したブロック構成図(
図1及び
図5)における上述した構成、或いはフローチャート(
図4及び
図6)の機能である。本発明は、その後、そのコンピュータプログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して解釈し実行することによって達成される。また、当該装置内に供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能な揮発性のメモリ(RAM903)、または、ROM902やハードディスク904等の不揮発性の記憶デバイスに格納すれば良い。
【0081】
また、前記の場合において、当該ハードウェア内へのコンピュータプログラムの供給方法は、現在では一般的な手順を採用することができる。その手順としては、例えば、CD-ROM等の各種記録媒体907を介して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信回線を介して外部よりダウンロードする方法等がある。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータプログラムを構成するコード或いは、そのコードが格納された記録媒体907によって構成されると捉えることができる。
【0082】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0083】
尚、上述した各実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。しかしながら、上述した各実施形態により例示的に説明した本発明は、以下には限られない。
【0084】
(付記1)
撮像装置による撮像画像と、前記撮像装置の位置を表す撮像装置位置情報とを取得する撮像位置取得手段と、
前記撮像画像を解析することによって、前記撮像画像に含まれる不審者を検知する検知手段と、
情報を提示する提示装置の位置を表す提示装置位置情報を取得する提示装置位置取得手段と、
前記提示装置位置情報によって示される位置において、前記撮像装置位置情報によって示される位置にある前記撮像装置によって撮像された前記不審者から避難する方向を表す避難指示情報を生成する生成手段と、
前記避難指示情報を前記提示装置に出力する出力手段と、
を備える避難指示装置。
【0085】
(付記2)
前記検知手段は、前記不審者が移動する方向を検知し、
前記生成手段は、前記不審者が移動する方向から遠ざかる方向を表す前記避難指示情報を生成する、
付記1に記載の避難指示装置。
【0086】
(付記3)
前記生成手段は、前記提示装置と前記不審者を撮像した前記撮像装置との距離が近いほど避難の優先度を高く設定し、前記優先度に応じて異なる前記避難指示情報を生成する、
付記1または付記2に記載の避難指示装置。
【0087】
(付記4)
前記生成手段は、前記優先度が閾値以上である位置にある前記提示装置に対して、すぐに避難することを表示させるとともに、前記優先度が閾値未満である位置にある提示装置に対して、現在の場所に待機すること、あるいは、前記不審者に近づかないことを表示させる前記避難指示情報を生成する、
付記3に記載の避難指示装置。
【0088】
(付記5)
前記検知手段は、検知した前記不審者の特徴を抽出し、前記撮像装置によって新たに撮像された撮像画像において、抽出した前記不審者の特徴を有する人物を前記不審者として特定する、
付記1または付記2に記載の避難指示装置。
【0089】
(付記6)
前記生成手段は、前記撮像装置位置情報によって示される前記不審者を撮像した前記撮像装置の位置を表す地図を含む前記避難指示情報を生成する、
付記1または付記2に記載の避難指示装置。
【0090】
(付記7)
前記生成手段は、前記不審者が撮像された前記撮像画像を含む前記避難指示情報を生成する、
付記1または付記2に記載の避難指示装置。
【0091】
(付記8)
前記出力手段は、前記不審者の行動を抑止するための部材、前記不審者によって発生した火災を消火するための部材、及び、前記不審者によって負傷した人の救護に必要な部材の少なくともいずれかの設置場所を表す情報を取得し、前記設置場所を含む地図の情報を生成し、生成した地図の情報を前記提示装置に出力する、
付記1または付記2に記載の避難指示装置。
【0092】
(付記9)
前記生成手段は、前記提示装置と前記不審者を撮像した前記撮像装置との距離が閾値以下である場合、前記不審者の行動を抑止するための部材を使用することを指示する前記避難指示情報を生成する、
付記8に記載の避難指示装置。
【0093】
(付記10)
前記出力手段は、前記検知手段による前記不審者の検知結果を、前記撮像装置がある場所及び前記提示装置がある場所の安全を管理する事業者の端末装置に出力する、
付記1または付記2に記載の避難指示装置。
【0094】
(付記11)
前記検知手段は、列車における前記不審者を検知し、
前記出力手段は、前記列車が次の駅に到着するまでの時間を取得し、取得した前記列車が次の駅に到着するまでの時間を前記列車における前記提示装置に出力する、
付記1または付記2に記載の避難指示装置。
【0095】
(付記12)
前記生成手段は、画像及び音声の少なくともいずれかにより表される前記避難指示情報を生成する、
付記1または付記2に記載の避難指示装置。
【0096】
(付記13)
情報処理装置によって、
撮像装置による撮像画像と、前記撮像装置の位置を表す撮像装置位置情報とを取得し、
前記撮像画像を解析することによって、前記撮像画像に含まれる不審者を検知し、
情報を提示する提示装置の位置を表す提示装置位置情報を取得し、
前記提示装置位置情報によって示される位置において、前記撮像装置位置情報によって示される位置にある前記撮像装置によって撮像された前記不審者から避難する方向を表す避難指示情報を生成し、
前記避難指示情報を前記提示装置に出力する、
避難指示方法。
【0097】
(付記14)
撮像装置による撮像画像と、前記撮像装置の位置を表す撮像装置位置情報とを取得する撮像位置取得処理と、
前記撮像画像を解析することによって、前記撮像画像に含まれる不審者を検知する検知処理と、
情報を提示する提示装置の位置を表す提示装置位置情報を取得する提示装置位置取得処理と、
前記提示装置位置情報によって示される位置において、前記撮像装置位置情報によって示される位置にある前記撮像装置によって撮像された前記不審者から避難する方向を表す避難指示情報を生成する生成処理と、
前記避難指示情報を前記提示装置に出力する出力処理と、
をコンピュータに実行させるための避難指示プログラム。
【符号の説明】
【0098】
1 避難指示システム
10 避難指示装置
11 撮像位置取得部
12 検知部
13 提示装置位置取得部
14 生成部
15 出力部
16 記憶部
161 撮像画像
162 監視カメラ位置情報
163 検知結果
164 提示装置位置情報
165 避難指示情報
166 地図
21 監視カメラ
22 モニタ
23 対象者端末装置
24 安全管理事業者の端末装置
30 通信ネットワーク
40 避難指示装置
41 撮像位置取得部
411 撮像画像
412 撮像装置位置情報
42 検知部
43 提示装置位置取得部
431 提示装置位置情報
44 生成部
441 避難指示情報
45 出力部
51 撮像装置
52 提示装置
900 情報処理装置
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 ハードディスク(記憶装置)
905 通信インタフェース
906 バス
907 記録媒体
908 リーダライタ
909 入出力インタフェース