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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039119
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】誘導加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/12 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
H05B6/12 317
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143429
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 大樹
(72)【発明者】
【氏名】松尾 良平
(72)【発明者】
【氏名】山田 清司
(72)【発明者】
【氏名】春原 大輝
【テーマコード(参考)】
3K151
【Fターム(参考)】
3K151BA52
3K151BA53
3K151BA55
3K151BA56
3K151BA85
3K151BA87
(57)【要約】
【課題】電子部品の冷却性能の高い誘導加熱調理器を提供する。
【解決手段】本体1Aと、本体1Aの上部を覆うトッププレート2Aと、本体1A内に設けられる複数の加熱コイルと、加熱コイルの近傍に設けられ、操作および表示を行う第2操作部41と、加熱コイルを制御する左右基板15を支持する基板台13Aと、左右基板15に設けられる高発熱素子を冷却するファン装置9と、を備える。基板台13Aは、高発熱素子を通過した冷却風が当たる壁部12sと、この壁部12sの上方に設けられ、第2操作部41に向けて冷却風を吐出させる開口12b,12cと、を備える。第2操作部41には、トッププレート2Aに向けて冷却風を流す側面43aが設けられている。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の上部を覆うトッププレートと、
前記筐体内に設けられる複数の加熱コイルと、
前記加熱コイルの近傍に設けられ、操作および表示を行う操作表示ユニットと、
前記加熱コイルを制御する制御基板を支持する基板ケースユニットと、
前記制御基板に設けられる高発熱素子を冷却するファン装置と、を備え、
前記基板ケースユニットは、前記高発熱素子を通過した冷却風が当たる壁と、この壁の上方に設けられ、前記操作表示ユニットに向けて前記冷却風を吐出させる開口と、を備え、
前記操作表示ユニットには、前記トッププレートに向けて前記冷却風を案内する壁面が設けられていることを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項2】
前記操作表示ユニットは、前記トッププレートの下面に沿って設けられる操作表示パネルと、この操作表示パネルを支持する支持フレームと、を備え、
前記支持フレームは、前記開口から吐出された冷却風を前記操作表示パネルに向けて案相する開口部を備えることを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【請求項3】
前記開口の開口面積は、前記開口部の開口面積よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の誘導加熱調理器。
【請求項4】
前記操作表示パネルと前記開口との間には、当該操作表示パネルの表示部が設けられていることをを特徴とする請求項2に記載の誘導加熱調理器。
【請求項5】
前記基板ケースユニットは、前記壁の上方に、前記トッププレートに向けて突出部を備え、
前記突出部に前記開口が形成されるとともに、前記突出部と前記トッププレートとの間に、前記冷却風を前記加熱コイル側に案内する風路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トッププレートに、三つの加熱コイルの設置位置に対応した三口の加熱部、被調理鍋の火加減を調整するための操作部が設けられた誘導加熱調理器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-68940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の誘導加熱調理器では、トッププレートに、さらに各加熱部毎の操作部及び液晶表示部を集約した操作表示ユニットを加熱部によって囲まれる領域に設けると、操作のため触れる部分と加熱部との距離が従来より近くなる。このため、加熱中の鍋からトッププレートへの伝熱の影響を受けやすく、触れる部分が高温になるとタッチ操作不可となる。
【0005】
そこで、本発明は、電子部品の冷却性能の高い誘導加熱調理器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、筐体と、前記筐体の上部を覆うトッププレートと、前記筐体内に設けられる複数の加熱コイルと、前記加熱コイルの近傍に設けられ、操作および表示を行う操作表示ユニットと、前記加熱コイルを制御する制御基板を支持する基板ケースユニットと、前記制御基板に設けられる高発熱素子を冷却するファン装置と、を備え、前記基板ケースユニットは、前記高発熱素子を通過した冷却風が当たる壁と、この壁の上方に設けられ、前記操作表示ユニットに向けて前記冷却風を吐出させる開口と、を備え、前記操作表示ユニットには、前記トッププレートに向けて前記冷却風を案内する壁面が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子部品の冷却性能の高い誘導加熱調理器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る誘導加熱調理器の斜視図である。
図2】第1実施形態に係る誘導加熱調理器のトッププレートを取り外した状態の平面図である。
図3】第1実施形態に係る誘導加熱調理器の分解斜視図である。
図4】第1実施形態に係る誘導加熱調理器が備えるファン装置の分解斜視図である。
図5】第1実施形態に係る誘導加熱調理器を、図1のV-V線で切断した場合の縦断面図である。
図6】第1実施形態に係る誘導加熱調理器を、図1のVI-VI線で切断した場合の縦断面図である。
図7】第1実施形態に係る誘導加熱調理器が備えるファン装置、左右基板、及び中基板を含む平面図である。
図8】第1実施形態に係る誘導加熱調理器の回路図である。
図9】第1実施形態に係る誘導加熱調理器の左右基板等を、図7のIX-IX線で切断した場合の縦断面図である。
図10】第1実施形態に係る誘導加熱調理器が備える基板カバーの底面図である。
図11】第2実施形態に係る誘導加熱調理器のトッププレートを取り外した状態の平面図である。
図12】第2実施形態に係る誘導加熱調理器が備える左右基板やファン装置を含む平面図である。
図13】第3実施形態に係る誘導加熱調理器の分解斜視図である。
図14】第3実施形態に係る誘導加熱調理器のトッププレートを取り外した状態の平面図である。
図15図14のXV-XV線で切断した場合の断面図である。
図16図14のXVI-XVI線で切断した場合の断面図である。
図17図14のXVII-XVII線で切断した場合の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、一例として、グリル庫4(図1参照)を備えるビルトイン型のIH(Induction Heating)クッキングヒータとして構成された誘導加熱調理器100(図1参照)について説明する。なお、第1実施形態と第2実施形態は参考例であり、第3実施形態が本発明に対応している。
【0010】
≪第1実施形態≫
図1は、第1実施形態に係る誘導加熱調理器100の斜視図である。
なお、図1に示すように、誘導加熱調理器100の前面パネル5が設けられている面を正面(前面)として、前後・左右・上下を定義する。
図1に示す誘導加熱調理器100は、金属製の被調理鍋(図示せず)の鍋底に渦電流を発生させ、この渦電流によるジュール熱で被調理鍋そのものを発熱させる機器である。前記した渦電流は、右加熱コイル6(図2参照)や左加熱コイル7(図2参照)の他、中加熱コイル8(図2参照)に所定の高周波電流を流して、磁束を時間的に変化させることで発生する。
【0011】
図1に示すように、誘導加熱調理器100は、本体1と、トッププレート2と、排気カバー3と、グリル庫4と、前面パネル5と、を備えている。本体1は、誘導加熱調理器100の外郭を構成する筐体であり、上側が開口した箱状(凹状)を呈している(図3も参照)。
【0012】
トッププレート2は、被調理鍋(図示せず)が載置される板状ガラス2aと、この板状ガラス2aの四辺を保持する枠部2bと、を備え、本体1の上側の開口を塞ぐように設置されている。さらに、トッププレート2は、右加熱コイル6(図2参照)、左加熱コイル7(図2参照)、及び中加熱コイル8(図2参照)のそれぞれの設置位置に対応した三口の鍋載置部2cと、被調理鍋の加熱具合の調整に用いられる操作パネル2dと、を備えている。なお、図1では、操作パネル2dがトッププレート2に設けられる例を示しているが、操作パネル2dの一部又は全部が前面パネル5に設けられるようにしてもよい。
【0013】
排気カバー3は、トッププレート2の後端部に設けられる薄板状の金属板である。排気カバー3には、ファン装置9(図2参照)から吹き出される空気を排気するための排気口として、複数の孔3hが設けられている。なお、排気カバー3が汚れた場合に洗浄できるように、排気カバー3は着脱可能になっている。
【0014】
グリル庫4(ロースタやオーブンともいう)は、後記する上ヒータ4b(図6参照)や下ヒータ4c(図6参照)で被調理物を加熱するものである。図1の例では、本体1の正面左側にグリル庫4が設けられ、前後方向にスライド可能になっている。
【0015】
前面パネル5は、本体1において、グリル庫4の前面に左右方向で隣り合うように設けられている。また、本体1には、配線コードCを介してプラグPが接続されている。
【0016】
図2は、誘導加熱調理器100のトッププレートを取り外した状態の平面図である。
図2に示すように、誘導加熱調理器100は、右加熱コイル6(第1加熱コイル)と、左加熱コイル7(第2加熱コイル)と、中加熱コイル8(第3加熱コイル)と、ファン装置9と、を備えている。
【0017】
右加熱コイル6、左加熱コイル7、及び中加熱コイル8は、それぞれ、所定の高周波電流が流されるコイルであり、トッププレート2(図1参照)の下側に設けられている。図2の例では、平面視において本体1の右側領域に右加熱コイル6が設けられ、また、本体1の左側領域に左加熱コイル7が設けられている。また、平面視において本体1の中央奥側に中加熱コイル8が設けられている。
【0018】
ファン装置9は、後記する左右基板15(図3参照)や中基板16(図3参照)に実装される電子部品の他、右加熱コイル6、左加熱コイル7、及び中加熱コイル8を放熱させるための冷却風を吹き出す装置である。なお、図2に示す基板カバー12や左右基板15、中基板16については後記する。
【0019】
図3は、誘導加熱調理器100の分解斜視図である。
誘導加熱調理器100は、前記した構成の他に、図3に示すコイルベース10と、温度センサ11と、基板カバー12と、基板台13,14と、左右基板15と、中基板16と、を備えている。
【0020】
コイルベース10は、右加熱コイル6、左加熱コイル7、及び中加熱コイル8のそれぞれが載置される部材であり、バネ等の支持部20(図5参照)によって3箇所で支持されている。この支持部20からコイルベース10に上向きの付勢力が与えられることで、トッププレート2の下面(裏面)に右加熱コイル6等が押し付けられ、被調理鍋(図示せず)と右加熱コイル6等との間の距離が所定に保たれるようになっている。
【0021】
温度センサ11は、被調理鍋(図示せず)の鍋底の温度を検出するセンサであり、右加熱コイル6、左加熱コイル7、及び中加熱コイル8のそれぞれの中心付近にひとつずつ設けられている。
基板カバー12は、左右基板15や中基板16と、各加熱コイル(右加熱コイル6・左加熱コイル7・中加熱コイル8)と、の間を上下方向で仕切るものである。また、基板カバー12は、ファン装置9から吹き出される冷却風を所定に導く風路を形成する機能も有している。
【0022】
基板カバー12は、左右基板15(第1基板)を覆うとともに、中基板16(第2基板)の少なくとも一部を覆うように設置されている。そして、右加熱コイル6、左加熱コイル7、及び中加熱コイル8が、基板カバー12の上側に設置されている。基板カバー12には、ファン装置9の上側のケーシング9dが略一体で設けられている。
【0023】
基板台13は、左右基板15が載置される樹脂製の絶縁部材であり、平面視で左右基板15に対応した矩形状を呈している。他方の基板台14は、中基板16が載置される絶縁部材であり、平面視で中基板16に対応した矩形状を呈している。これらの基板台13,14は、それぞれの板面が略面一となるように、また、前後方向で所定に隣り合うように、相互に固定されている。そして、これらの基板台13,14を上から覆うように、基板カバー12が設置される。
【0024】
本体1は、前記したように、上側が開口した箱状(凹状)を呈している。具体的には、本体1は、平面視で矩形状を呈する仕切板1a(本体1の底板)と、この仕切板1aの縁部から上側に延びる側板1bと、を含んで構成されている。そして、本体1の仕切板1aに基板台13,14が固定されるようになっている。なお、仕切板1aには、外部からの空気をファン装置9の吸気口91h(図5参照)に導くための吸気開口部1hが設けられている。その他、本体1には、誘導加熱調理器100の状態を所定に表示するための表示部17が設けられている。
【0025】
左右基板15(第1基板)は、所定の電子部品が実装されるプリント基板であり、本体1に設置されている。このような電子部品として、右加熱コイル6に接続される右インバータ素子S1,S2(図7参照)や、左加熱コイル7に接続される左インバータ素子S3,S4(図7参照)の他、ダイオードブリッジ21(図7参照)や集積回路、コンデンサ、抵抗器等が含まれる。
【0026】
中基板16(第2基板)は、所定の電子部品が実装されるプリント基板であり、本体1に設置されている。このような電子部品として、中加熱コイル8に接続される中インバータ素子S5,S6(図7参照)の他、コンデンサや抵抗器等が含まれる。前記した左右基板15と中基板16とは、電力線や通信線を介して、電気的に接続されている。
【0027】
図3に示す水受部18は、排気カバー3の孔3h(図1参照)を介して滴り落ちる液滴を受けるものであり、排気カバー3の下側において、ファン装置9の後側に設けられている。また、水受部18には、ファン装置9との間を仕切るように、格子状の仕切り18aが設けられている。このような仕切り18aを設けることで、ファン装置9側に液滴が入り込まないようにしている。
【0028】
図4は、誘導加熱調理器が備えるファン装置9の分解斜視図である。
図4に示すファン装置9は、モータ9aと、インペラ9bと、ケーシング9c,9dと、を備える遠心ファンである。モータ9aは、ファン装置9の駆動源であり、固定子(図示せず)及び回転子(図示せず)の他、この回転子と一体で回転する回転軸91aを備えている。インペラ9bは、モータ9aの駆動に伴う回転によって空気を送り出す羽根車である。ケーシング9c,9dは、モータ9aやインペラ9bを収容するものである。
【0029】
図4に示すように、下側のケーシング9cは、底部91cと、側部92cと、一対の舌部93c,94cと、分岐部95cと、が一体成型された構成になっている。ケーシング9cの底部91cにおいて、インペラ9bの中心付近には吸気口91hが設けられている。ケーシング9cの側部92cは、底部91cの縁から上側に延びており、平面視でC字状(図4では、左右が逆のC字状)を呈している。
【0030】
一対の舌部93c,94cは、平面視で側部92cの一端・他端から外側に反り返るように形成されている。分岐部95cは、インペラ9bの回転に伴って吐出される空気を2方向に分流させる機能を有している。図4に示すように、分岐部95cは、平面視で逆V字状を呈し、一対の舌部93c,94cの間の所定箇所に設けられている。
【0031】
そして、モータ9aの回転軸91aに連結されたインペラ9bがケーシング9cに設置され、さらに、ケーシング9cに対して上から蓋をするように別のケーシング9dが固定される。この状態においてインペラ9bは、ケーシング9c,9dに接触しないように、モータ9aの回転軸91aで回転可能に支持されている。
【0032】
図4に示す前吹出口92h(一方の吹出口)及び左吹出口93h(他方の吹出口)は、ファン装置9から空気が吹き出される開口部であり、上下方向において、左右基板15(第1基板:図3参照)と基板カバー12(図3参照)との間に設けられる。
【0033】
なお、左吹出口93hは、ケーシング9cの底部91c(一部)、一方の舌部93c、及び分岐部95c(舌部93cに対向している部分)の他、基板カバー12(図3参照)の一部を含んで構成されている。
また、前吹出口92hは、ケーシング9cの底部91c(一部)、他方の舌部94c、及び分岐部95c(舌部94cに対向している部分)の他、基板カバー12(図3参照)の一部を含んで構成されている。そして、モータ9aの駆動に伴ってインペラ9bが回転すると、吸気口91hを介してケーシング9c,9d内に導かれた空気が、前吹出口92hと左吹出口93hとの二方向に分流して吹き出されるようになっている。
【0034】
なお、ファン装置9は、本体1(図3参照)の内部の通風抵抗(例えば、100[Pa]~200[Pa])に対して十分な裕度(余裕)のある圧力-風量特性を有していることが望ましい。これによって、低速回転でも冷却に必要な風量(例えば、1.0~1.5[m3/min])が得られるため、左右基板15(図3参照)や中基板16(図3参照)の各電子部品の他、各加熱コイルを効率よく冷却し、また、誘導加熱時の低騒音化を図ることができる。
【0035】
図5は、誘導加熱調理器100を、図1のV-V線で切断した場合の縦断面図である。
なお、図5における白抜き矢印は、空気の流れを示している。図5に示すように、本体1の背面には、外部から本体1内に空気を取り込むための吸気開口部1hが設けられている。また、本体1の後部の空間には、ダクト19が設けられている。ダクト19は、本体1の吸気開口部1hを介して流入する空気を、ファン装置9の吸気口91hに導くものである。
【0036】
ファン装置9の駆動に伴い、吸気開口部1h及びダクト19を順次に介して通流した空気は、吸気口91hを介してファン装置9に導かれる。そして、ファン装置9で昇圧された空気は、前吹出口92h(図4参照)及び左吹出口93h(図4参照)を介して二方向に分流する。図5では、前記した二方向のうち、前吹出口92hを介して吐出された空気の流れを白抜き矢印で示している。
【0037】
ファン装置9の前吹出口92hを介して吹き出された空気は、左右基板15と基板カバー12との間の空間F1を概ね前向きに通流する。これによって、左右基板15に実装された各電子部品Eの放熱が促進される。そして、左右基板15と基板カバー12との間の空間F1を通流した空気は、基板カバー12の上部吹出口12hを介して、基板カバー12とトッププレート2との間の空間F2に導かれる。この空間F2を空気が通流する過程で、右加熱コイル6等が適度に冷却される。そして、空間F2を通流した空気は、排気カバー3に設けられた孔3hを介して、外部に排気される。
【0038】
図6は、誘導加熱調理器100を、図1のVI-VI線で切断した場合の縦断面図である。
図6に示すように、グリル庫4の内部には、仕切板4aで仕切られた空間として、加熱室4kが設けられている。加熱室4kには、熱源である上ヒータ4b・下ヒータ4cが設けられている他、魚等が載置される焼網4dや、この焼網4dの下側に配置される受け皿4eが設けられている。受け皿4eは、焼網4dとともに前後方向でスライド可能になっている。
【0039】
なお、加熱室4kの被調理物を熱する際の熱源は、電熱ヒータに限らず、マイクロ波、水蒸気、又はこれらの組合せであってもよい。また、温度調節器(図示せず)を用いて、グリル庫4の庫内温度を調節しつつ、オーブン加熱を所定に行うようにしてもよい。図6に示すフェライト3fは、左右基板15への電磁的な影響を抑制するための高透磁率材料であり、中加熱コイル8等の下側に設置されている。
【0040】
ファン装置9の左吹出口93hを介して吹き出された空気は、左右基板15と基板カバー12との間の空間F1を介して概ね左向きに通流し、左右基板15に実装された各電子部品Eを冷却するようになっている。そして、空間F1を通流した空気は、上部吹出口12h(図5参照)を介して、トッププレート2と基板カバー12との間の空間F2に導かれる。
【0041】
図7は、誘導加熱調理器100が備えるファン装置9、左右基板15、及び中基板16を含む平面図である。
なお、図7では、基板カバー12(図10も参照)の裏側に一体で設けられたリブRa,Rb,Rc,Rdや基板カバー仕切りRs,Rtを破線で示している。また、図7では、空気の流れを白抜き矢印で示している。
【0042】
図7に示すように、ファン装置9の前側に左右基板15が配置され、ファン装置9の前吹出口92hを介して吹き出された空気が、左右基板15に導かれるようになっている。また、ファン装置9の左側に中基板16が設けられ、ファン装置9の左吹出口93hを介して吹き出された空気が、中基板16に導かれるようになっている。
【0043】
中基板16は、前後方向において左右基板15の後側に配置され、接続部29を介して、左右基板15に電気的に接続されている。接続部29は、左右基板15と中基板16を基板台で直接固定する固定部29aと、電力線を通すフック29bからなる。また、中基板16の基板面(上面)は、左右基板15の基板面(上面)と略面一になっている。図7に示すように、左右基板15には、ダイオードブリッジ21の他、一対の右インバータ素子S1,S2や、一対の左インバータ素子S3,S4が実装されている。これらの各電子部品について、図8を用いて説明する。
【0044】
図8は、誘導加熱調理器100の回路図である。
誘導加熱調理器100は、左右基板15(図7参照)に実装される電子部品として、ダイオードブリッジ21と、平滑コンデンサ22と、右インバータ回路23(第1インバータ回路)と、左インバータ回路24(第2インバータ回路)と、共振コンデンサ26,27と、を備えている。また、誘導加熱調理器100は、中基板16(図7参照)に実装される電子部品として、中インバータ回路25(第3インバータ回路)と、中加熱コイル8(第3加熱コイル)と、共振コンデンサ28と、を備えている。
【0045】
ダイオードブリッジ21は、交流電源Qから印加される交流電圧を全波整流して、直流電圧(脈流)に変換する回路である。図8の例では、ダイオードブリッジ21は、4つのダイオードD1~D4がブリッジ形に接続された構成になっている。平滑コンデンサ22は、ダイオードブリッジ21から印加される電圧(脈動する直流電圧)を平滑化するコンデンサである。
【0046】
右インバータ回路23は、平滑コンデンサ22から配線30a,30bを介して印加される直流電圧を高周波の所定電圧に変換する電力変換回路であり、右加熱コイル6に接続されている。図8に示すように、右インバータ回路23は、一対の右インバータ素子S1,S2(第1インバータ素子)を備えている。このような右インバータ素子S1,S2として、例えば、IGBTが用いられる(左インバータ素子S3,S4や中インバータ素子S5,S6も同様)。
【0047】
図8の例では、一方の右インバータ素子S1のエミッタと、他方の右インバータ素子S2のコレクタと、が接続され、その中間接続点が右加熱コイル6の一端に接続されている。また、一方の右インバータ素子S1のコレクタが平滑コンデンサ22の正極に接続され、他方の右インバータ素子S2のエミッタが平滑コンデンサ22の負極に接続されている。一対の右インバータ素子S1,S2には、それぞれ、還流ダイオードDが逆並列に接続されている。
【0048】
また、一対の共振コンデンサ26,26が互いに直列接続され、その中間接続点が右加熱コイル6の他端に接続されている。そして、一対の右インバータ素子S1,S2のオン・オフが所定に制御されることで、右加熱コイル6に高周波電流が流れるようになっている。
【0049】
左インバータ回路24は、平滑コンデンサ22から配線30c,30dを介して印加される直流電圧を高周波の所定電圧に変換する電力変換回路であり、左加熱コイル7に接続されている。左インバータ回路24は、配線30c及び配線30a(一部)を介して、平滑コンデンサ22の正極に接続されるとともに、配線30d及び配線30b(一部)を介して、平滑コンデンサ22の負極に接続されている。図8に示すように、左インバータ回路24は、一対の左インバータ素子S3,S4(第2インバータ素子)を備え、その中間接続点が左加熱コイル7に接続されている。また、一対の共振コンデンサ27,27が互いに直列接続され、その中間接続点が左加熱コイル7の他端に接続されている。
【0050】
中インバータ回路25は、平滑コンデンサ22から配線30e,30fを介して印加される直流電圧を高周波の所定電圧に変換する電力変換回路であり、中加熱コイル8に接続されている。中インバータ回路25は、配線30e及び配線30a(一部)を介して、平滑コンデンサ22の正極に接続されるとともに、配線30f及び配線30b(一部)を介して、平滑コンデンサ22の負極に接続されている。図8に示すように、中インバータ回路25は、一対の中インバータ素子S5,S6(第3インバータ素子)を備え、その中間接続点が中加熱コイル8に接続されている。また、一対の共振コンデンサ28,28が互いに直列接続され、その中間接続点が中加熱コイル8の他端に接続されている。
【0051】
第1実施形態では、図8に示すように、右インバータ回路23、左インバータ回路24、及び中インバータ回路25で一つのダイオードブリッジ21を共用(共通化)し、このダイオードブリッジ21を一枚の左右基板15(図7参照)に実装するようにしている。つまり、右インバータ回路23、左インバータ回路24、及び中インバータ回路25のそれぞれの直流側に、ダイオードブリッジ21が共通に接続されている。これによって、ダイオードブリッジ21の実装面積を小さくし、ひいては、左右基板15(図7参照)のコンパクト化を図ることができる。なお、図8の回路図は一例であり、誘導加熱調理器100の回路構成はこれに限定されるものではない。
【0052】
図9は、誘導加熱調理器100の左右基板15等を、図7のIX-IX線で切断した場合の縦断面図である。
図9に示すように、左右基板15には、右インバータ素子S1が設置される金属部材として、ヒートシンクH1(第1ヒートシンク)が設けられている。ヒートシンクH1は、右インバータ素子S1が設置される板状のベースHa1と、このベースHa1から垂直に延びる複数のフィンHb1と、を備えている。図9の例では、左右基板15の基板面に対してベースHa1が垂直になるように、また、複数のフィンHb1がベースHa1から左側に延びるように、ヒートシンクH1が設置されている。なお、他方の右インバータ素子S2(図7参照)が設置されるヒートシンクH2(図7参照)についても同様である。
【0053】
また、左右基板15には、左インバータ素子S3が設置される金属部材として、ヒートシンクH3(第2ヒートシンク)が設けられている。ヒートシンクH3は、左インバータ素子S3が設置される板状のベースHa3と、このベースHa3から垂直に延びる複数のフィンHb3と、を備えている。図9の例では、左右基板15の基板面に対してベースHa3が垂直になるように、また、複数のフィンHb3がベースHa3から右側に延びるように、ヒートシンクH3が設置されている。なお、他方の左インバータ素子S4(図7参照)が設置されるヒートシンクH4(図7参照)についても同様である。
【0054】
図9の例では、ヒートシンクH1のフィンHb1の先端と、ヒートシンクH3のフィンHb3の先端と、が所定の隙間を介して、左右方向で相互に対向している。この隙間には、前後方向に延びる基板カバー仕切りRs(図7も参照)が設けられている。基板カバー仕切りRsは、ヒートシンクH1,H3の各領域を仕切って、冷却風の風路を形成する部材であり、基板カバー12の裏面から下側に延びている。
【0055】
図7に示すように、一対の右インバータ素子S1,S2(第1インバータ素子)には、それぞれ、ヒートシンクH1,H2(第1ヒートシンク)が個別に設置されている。また、一対のヒートシンクH1,H2は、冷却風の流れ方向(図7では、前後方向)に沿って一列に並んで設けられている。図7の例では、一対のヒートシンクH1,H2のうち、冷却風の上流側のヒートシンクH1よりも、冷却風の下流側のヒートシンクH2の方が、冷却風の流れ方向に延在している長さが長くなっている。これによって、風下側のヒートシンクH2の冷却性能が、風上側のヒートシンクH1に対して相対的に高められる。
【0056】
例えば、風上側のヒートシンクH1の前後方向の長さL1が25[mm]であり、風下側のヒートシンクH2の前後方向の長さL2が35[mm]であってもよい。このようにヒートシンクH1,H2の前後方向の長さの大小関係が規定されることで、一方の右インバータ素子S1の放熱で冷却風の温度が上昇しても、風下側のヒートシンクH2を介した放熱によって、他方の右インバータ素子S2も適度に冷却される。
【0057】
同様に、一対の左インバータ素子S3,S4(第2インバータ素子)には、それぞれ、ヒートシンクH3,H4(第2ヒートシンク)が個別に設置されている。また、一対のヒートシンクH3,H4は、冷却風の流れ方向に沿って一列に並んで設けられている。そして、一対のヒートシンクH3,H4のうち、冷却風の上流側のヒートシンクH3よりも、冷却風の下流側のヒートシンクH4の方が、冷却風の流れ方向に延在している長さが長くなっている。これによって、風下側のヒートシンクH4の冷却性能が、風上側のヒートシンクH3に対して相対的に高められる。
【0058】
また、左右基板15には、ダイオードブリッジ21が設置される金属部材として、ヒートシンクHD(ダイオード用ヒートシンク)が設けられている。図9に示すように、ヒートシンクHDは、ダイオードブリッジ21が設置される板状のベースHDaと、このベースHDaから垂直に延びる複数のフィンHDbと、を備えている。図9の例では、左右基板15の基板面に対してベースHDaが垂直になるように、また、複数のフィンHDbがベースHDaから横方向に延びるように、ヒートシンクHDが設置されている。
【0059】
また、図7に示すように、ヒートシンクH1,H3(第1ヒートシンクと第2ヒートシンク)の間の左右方向の距離よりも、ヒートシンクH1,HD(第1ヒートシンクとダイオード用ヒートシンク)の間の左右方向の距離の方が長いことが好ましい。さらに、ヒートシンクH1,H3(第1ヒートシンクと第2ヒートシンク)の間の左右方向の距離よりも、ヒートシンクH3,HD(第2ヒートシンクとダイオード用ヒートシンク)の間の左右方向の距離の方が長いことが好ましい。このような構成によれば、右インバータ素子S1,S2、及びダイオードブリッジ21の一方から他方への熱伝達が抑制される。また、左インバータ素子S3,S4、及びダイオードブリッジ21の一方から他方への熱伝達も抑制される。したがって、右インバータ素子S1,S2、左インバータ素子S3,S4、及びダイオードブリッジ21が、それぞれ、冷却風との間の熱交換で効率よく冷却される。
【0060】
なお、図9の例では、ヒートシンクH1,H3のフィンHb1,Hb3の枚数(12枚)が、ヒートシンクHDのフィンHDbの枚数(10枚)よりも多くなっている。これによって、ヒートシンクH1,H3の実装面積を小さくし、また、冷却風がヒートシンクH1,H3を通流する過程での圧力損失を減らして、冷却効率を高めるようにしている(ヒートシンクH2,H4についても同様)。なお、ヒートシンクH1~H4,HDの上下方向の長さの大小関係は、適宜に変更可能である。
【0061】
再び、図7に戻って説明を続ける。
図7に示すように、左右基板15に設けられるヒートシンクH1~H4,HDの設置位置に着目すると、次のような配置になっている。すなわち、ヒートシンクH1,H2(第1ヒートシンク)、ヒートシンクH3,H4(第2ヒートシンク)、及びヒートシンクHD(ダイオード用ヒートシンク)を通流する冷却風の流れ方向(前後方向)に対して垂直な方向(左右方向)において、ヒートシンクH1,H2(第1ヒートシンク)、ヒートシンクH3,H4(第2ヒートシンク)、及びヒートシンクHD(ダイオード用ヒートシンク)が異なる位置に設けられている。そして、所定に形成された風路を介して、それぞれのヒートシンクH1~H4,HDに冷却風が通流し、高発熱素子である右インバータ素子S1,S2や左インバータ素子S3,S4の他、ダイオードブリッジ21の放熱が促進されるようになっている。
【0062】
図7に示すように、中基板16には、一対の中インバータ素子S5,S6が設置される金属部材として、ヒートシンクH5,H6(第3ヒートシンク)が設けられている。図7の例では、冷却風の流れ方向(左右方向)に沿って、2つのヒートシンクH5,H6が設けられている。一方のヒートシンクH5には中インバータ素子S5が設置され、他方のヒートシンクH6には別の中インバータ素子S6が設置されている。
【0063】
前記したように、ファン装置9には、2つの吹出口として、前吹出口92hと、左吹出口93hと、が設けられている。これら2つの吹出口のうち、前吹出口92h(一方の吹出口)を介して吹き出された冷却風は、右インバータ素子S1,S2(第1インバータ素子)、左インバータ素子S3,S4(第2インバータ素子)、及びダイオードブリッジ21のそれぞれに向けて分流する。また、左吹出口93h(他方の吹出口)を介して吹き出された冷却風は、中インバータ素子S5,S6(第3インバータ素子)に導かれる。
【0064】
このように、ファン装置9から吹き出される冷却風を、右インバータ素子S1,S2(第1インバータ素子)、左インバータ素子S3,S4(第2インバータ素子)、中インバータ素子S5,S6(第3インバータ素子)、及びダイオードブリッジ21のそれぞれに向けて分流させるように導く風路が設けられている。このような風路について、図10を用いて説明する。
【0065】
図10は、誘導加熱調理器100が備える基板カバー12の底面図である。
なお、図10は、基板カバー12の裏面を下から見上げた底面図であるため、図7とは左右が逆になっている。
図10に示すように、基板カバー12には、その下面(裏面)から下側に延びるように、複数のリブRa,Rb,Rc,Rdや、基板カバー仕切Rs,Rtが設けられている。なお、ファン装置9からの冷却風を右インバータ素子S1,S2(図7参照)のヒートシンクH1,H2に導く風路W1は、基板カバー仕切Rt(ヒートシンクH1,H2の付近)と、別の基板カバー仕切Rsと、左右基板15(図7参照)の一部と、基板カバー12の一部と、を含んで構成されている。
【0066】
また、ファン装置9からの冷却風を左インバータ素子S3,S4(図7参照)のヒートシンクH3,H4に導く風路W2は、基板カバー仕切Rsと、リブRaと、左右基板15(図7参照)の一部と、基板カバー12の一部と、を含んで構成されている。
また、ファン装置9からの冷却風をダイオードブリッジ21(図7参照)のヒートシンクHDに導く風路W3は、基板カバー仕切Rt(ヒートシンクHDの付近)と、リブRbと、左右基板15(図7参照)の一部と、基板カバー12の一部と、を含んで構成されている。
【0067】
前記したように、ダイオードブリッジ21(図7参照)は、右インバータ素子S1,S2(図7参照)や左インバータ素子S3,S4(図7参照)から比較的離れた位置に設けられている。したがって、温度の比較的低い冷却風がダイオードブリッジ21のヒートシンクHDに導かれため、ダイオードブリッジ21の放熱が促進される。
【0068】
また、ファン装置9からの冷却風を中インバータ素子S5,S6(図7参照)のヒートシンクH5,H6に導く風路W4は、リブRc,Rdと、中基板16(図7参照)の一部と、基板カバー12の一部と、を含んで構成されている。これによって、中インバータ素子S5,S6のヒートシンクH5,H6にも、温度の比較的低い冷却風が導かれる。
【0069】
<効果>
第1実施形態によれば、右インバータ素子S1,S2、左インバータ素子S3,S4、中インバータ素子S5,S6、及びダイオードブリッジ21のそれぞれに分流するように冷却風が導かれる。したがって、前記した各電子部品の間での熱的な影響が抑制され、各電子部品を適切に冷却できる。したがって、ファン装置9の小型化や消費電力量の削減を図ることができる。
【0070】
なお、従来の誘導加熱調理器では、インバータ素子やダイオードブリッジといった高発熱素子が3個以上、一列に並んだ状態で基板に実装されていた(例えば、特許文献1)。このような構成では、高発熱素子からの吸熱で冷却風の温度が上昇し、風下側の高発熱素子の放熱が進みにくくなる。また、誘導加熱調理器の消費電力が大きいときには、ダイオードブリッジの単位時間当たりの発熱量が大きくなるため、冷却不足にならないようにファン装置の回転速度が上げられ、消費電力量の増加を招くことがあった。
【0071】
これに対して第1実施形態では、空気の流れ方向に沿って一列に並べて実装される高発熱素子(例えば、右インバータ素子S1,S2:図7参照)の個数が2個ですむ。したがって、ファン装置9の回転速度が比較的小さい場合でも、風下側の高発熱素子(例えば、右インバータ素子S2)が適切に冷却される。さらの、高発熱素子を通流する過程での冷却風の圧力損失が低減されるため、冷却風が通流しやすくなる。
【0072】
また、右インバータ回路23(図8参照)、左インバータ回路24、及び中インバータ回路25の直流側に接続されるダイオードブリッジ21が一つに集約(共通化)されている。さらに、接地(アース)される母線(図8の配線30b等)が共通化されているため、左右基板15の面積を小さくすることができ、ひいては、誘導加熱調理器100のコンパクト化を図ることができる。
【0073】
また、中インバータ素子S5,S6は、中基板16に実装されているため、左右基板15に実装されたダイオードブリッジ21から比較的離れている。したがって、中インバータ素子S5,S6と、ダイオードブリッジ21と、の間での熱的な影響はほとんどなく、冷却風で中インバータ素子S5,S6を効率よく冷却できる。また、例えば、中加熱コイル8に代えてラジエントヒータを用いる場合、基板台14(図3参照)や中基板16(図3参照)を省略した構成で、左右基板15をほとんどそのまま流用できる。したがって、誘導加熱調理器の機種が異なる場合でも、多くの部品を共通化できるため、その開発コストや製造コストを削減できる。
【0074】
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、第1実施形態で説明した中加熱コイル8(図2参照)に代えて、ラジエントヒータ40(図11参照)が設けられた構成になっている。また、第2実施形態は、誘導加熱調理器100A(図12参照)が左右基板15(図12参照)を備える一方、中基板16(第1実施形態の図7参照)を備えない点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0075】
図11は、第2実施形態に係る誘導加熱調理器100Aのトッププレートを取り外した状態の平面図である。
図11に示すように、誘導加熱調理器100Aは、右加熱コイル6(第1加熱コイル)と、左加熱コイル7(第2加熱コイル)と、ラジエントヒータ40と、ファン装置9と、を備えている。
【0076】
ラジエントヒータ40は、渦巻状の電熱線(例えば、ニクロム線)であり、電流が流れることで発熱するようになっている。図11の例では、平面視の中央奥側において、基板カバー12の上側にラジエントヒータ40が設置されている。ラジエントヒータ40は、左右基板15(第1基板)に実装された所定の電子部品に接続されている。
【0077】
図12は、誘導加熱調理器100Aが備える左右基板15やファン装置9を含む平面図である。
図12は、第1実施形態(図7参照)の構成と比較して、基板台14や中基板16が設けられていない点が異なっているが、それ以外(左右基板15の構成等)については、第1実施形態と同様である。図12の例では、左右基板15(第1基板)の縁部に設けられる接続部29(固定部29a及びフック29b)に、他の基板は特に接続されていない。そして、左右基板15から所定の配線を介してラジエントヒータ40に電力が供給され、ラジエントヒータ40が発熱するようになっている。
【0078】
また、図12に示すように、ファン装置9の2つの吹出口である前吹出口92h、左吹出口93hのうち、前吹出口92h(一方の吹出口)を介して吹き出された冷却風は、右インバータ素子S1,S2(第1インバータ素子)、左インバータ素子S3,S4(第2インバータ素子)、及びダイオードブリッジ21のそれぞれに向けて分流するようになっている。また、ファン装置9の左吹出口93h(他方の吹出口)を介して吹き出された冷却風は、固定部29aとフック29bからなる接続部29の付近の空間Gに導かれる。
【0079】
<効果>
第2実施形態によれば、ラジエントヒータ40が設けられる構成でも、右インバータ素子S1,S2や左インバータ素子S3,S4、ダイオードブリッジ21といった高発熱素子を適切に冷却できる。また、誘導加熱調理器100Aにプリント基板は、右インバータ素子S1,S2や左インバータ素子S3,S4、ダイオードブリッジ21等が実装される一枚の左右基板15ですむため、誘導加熱調理器100Aのコンパクト化を図ることができる。
【0080】
また、例えば、ラジエントヒータ40に代えて、第1実施形態で説明したような中加熱コイル8(図2参照)を設ける場合でも、左右基板15をそのまま用いることができるため、異なる機種の間で部品の共通化を図り、開発コストや製造コストを削減できる。
【0081】
≪変形例≫
以上、本発明に係る誘導加熱調理器100,100Aについて各実施形態で説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、各実施形態では、基板カバー12のリブRa~Rd(図10参照)や基板カバー仕切Rs,Rt(図10参照)を用いて、冷却風を所定に分流させる構成について説明したが、これに限らない。例えば、ファン装置9のケーシング9cに3つ以上の吹出口を設け、これらの吹出口を介して、冷却風を所定に分流させるようにしてもよい。
【0082】
また、誘導加熱調理器100の回路構成は、図8の例に限定されず、さまざまな変更が可能である。例えば、直流電圧の昇圧又は降圧を行うチョッパ回路(図示せず)を適宜に設けてもよい。
また、第1実施形態では、誘導加熱調理器100(図2参照)が、右加熱コイル6、左加熱コイル7、及び中加熱コイル8を備える構成について説明したが、例えば、中加熱コイル8を省略してもよい。
【0083】
また、第1実施形態では、中インバータ回路25(図8参照)の直流側が、左右基板15に実装されたダイオードブリッジ21に接続される構成について説明したが、これに限らない。例えば、中インバータ回路25の直流側に接続される別のダイオードブリッジ(図示せず)を設け、このダイオードブリッジを中基板16に設置してもよい。
【0084】
また、各実施形態では、右インバータ素子S1,S2(図7参照)のヒートシンクH1,H2と、左インバータ素子S3,S4のヒートシンクH3,H4と、を仕切る基板カバー仕切りRsが設けられる構成について説明したが、この基板カバー仕切りRsを省略してもよい。そして、右インバータ素子S1,S2や左インバータ素子S3,S4といった高発熱素子の手前側(風上側)で冷却風を所定に分流させるようにしてもよい。
【0085】
また、各実施形態では、右インバータ素子S1,S2に個別にヒートシンクH1,H2が設置される構成について説明したが、右インバータ素子S1,S2のヒートシンクを共通化してもよい。なお、左インバータ素子S3,S4や中インバータ素子S5,S6の各ヒートシンクについても同様のことがいえる。
また、各実施形態では、右インバータ素子S1,S2等のそれぞれの高発熱素子にヒートシンクが設置される構成について説明したが、ヒートシンクが適宜に省略されてもよく、また、ヒートシンク以外の所定の放熱部品を設置するようにしてもよい。
【0086】
また、各実施形態では、右インバータ素子S1,S2、左インバータ素子S3,S4、及び中インバータ素子S5,S6としてIGBTが用いられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、前記した各インバータ素子として、IGBT以外の所定のスイッチング素子が用いられてもよい。また、複数種類のスイッチング素子が混在していてもよい。
【0087】
また、各実施形態では、誘導加熱調理器100,100Aが、グリル庫4(図1参照)を備えるビルトイン型のIHクッキングヒータである場合について説明したが、これに限らない。すなわち、ビルトイン型のIHクッキングヒータ以外のさまざまな種類の誘導加熱調理器にも各実施形態を適用可能である。
【0088】
≪第3実施形態≫
ところで、既存の誘導加熱調理器では単一の操作部が設けられているだけであるため、ユーザにとっては使い勝手が悪いという不具合があった。そこで、既存の操作部の他にもタッチパネル方式の操作部を誘導加熱調理器に設けて、ユーザの操作の使い勝手を良くしたいという課題がある。また、一般家庭のキッチンにおける誘導加熱調理器の設置場所の寸法は、ある程度定まっているのが一般的である。そこで誘導加熱調理器はその寸法サイズの空間に収まるように設計される。そして誘導加熱調理器は複数口の加熱領域を備えていることが一般的である。よって、トップフレート上は複数口の加熱領域のために面積を割かねばならない。
【0089】
しかし、この場合、前記した課題におけるタッチパネル方式の操作部をトッププレート上から操作可能に設けたとすると、加熱領域に大きな鍋等をおいて当該鍋等を加熱した場合、当該タッチパネル方式の操作部は鍋等から比較的近い位置に配置せざるを得ない。そのため、鍋等からタッチパネル方式の操作部までの距離は短くなりやすく、鍋等からタッチパネル方式の操作部(に対応したトッププレートの部分)に熱が伝わりやすく、温度が上昇したトッププレートに触れて操作部を操作するユーザが操作部(の上のトッププレートの部分)の温度上昇が気になってしまうという不具合がある。また、タッチパネルの熱に対する耐久性を考慮することも必要になる。そこで、本実施形態では、タッチパネル方式の操作部を追加で設けても、その操作部をユーザが操作する場合にユーザに違和感を持たせないようにしたというものである。以下、図13ないし図17を参照して説明する。
【0090】
図13は、第3実施形態に係る誘導加熱調理器の分解斜視図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図13に示すように、第3実施形態の誘導加熱調理器100Bは、本体1A(筐体)、本体1Aの上部を覆うトッププレート2Aと、本体1A内に設けられる加熱コイル(右加熱コイル6、左加熱コイル7、中加熱コイル8)と、加熱コイル(右加熱コイル6、左加熱コイル7、中加熱コイル8)の近傍に設けられ、操作および表示を行う第2操作部41(操作表示ユニット)と、加熱コイル(右加熱コイル6、左加熱コイル7、中加熱コイル8)を制御する制御基板(左右基板15、中基板16)を支持する基板ケースユニット(基板カバー12A、基板台13A,14A)と、制御基板(左右基板15)に設けられる高発熱素子(右インバータ素子S1,S2および左インバータ素子S3,S4)を冷却するファン装置9と、を備える。
【0091】
本体1Aは、誘導加熱調理器100Bの外郭を構成する筐体であり、上側が開口した箱状(凹状)を呈している。また、本体1Aは、平面視で矩形状を呈する仕切板1a(本体1の底板)と、この仕切板1aの縁部から上側に延びる側板1dと、を含んで構成されている。また、本体1Aは、ファン装置9が配置される側に仕切板1aよりも深く形成された凹部1cが形成されている。また、凹部1cが形成される後側の側板1dには、冷却風を取り込むためのパンチング加工された吸気孔1eが形成されている。
【0092】
トッププレート2Aは、本体1Aの上部開口を塞ぐように設けられる矩形状であり、ガラス製である。また、トッププレート2Aの上面には、3口の加熱領域(ヒータ)2cが設定されている。ここで、左側手前の加熱領域を2Lとし、右側手前の加熱領域を2Rとし、中央奥側の加熱領域を2Mとすると、加熱領域2Lと加熱領域2Rは、トッププレート2Aの上面の左右に並んで互いにある程度の間隔を空けて配置されている。加熱領域2Mは、加熱領域2Rと加熱領域2Lとの間の中間位置より後方に、加熱領域2R、加熱領域2Lとある程度の間隔を空けて設けられている。加熱領域2R、加熱領域2L、加熱領域2Mは例えば円形であるが、加熱領域2R、加熱領域2Lは例えばそれぞれ同じ大きさの比較的大きな円形であるのに対して、加熱領域2Mは、これらより小さな円形である。加熱領域2R、加熱領域2L、加熱領域2Mの範囲はそれぞれトッププレート2Aの上面のどこの位置になるのかは、トッププレート2Aの上面(上面から視てわかるように)に色別や線図等で表示されている。
【0093】
また、トッププレート2Aを上から視て前側端縁近傍には、トッププレート2Aの上面側から操作可能な第1操作部31が配置されている。第1操作部31は、本体1Aの各種操作を受付ける操作ボタン群である。第1操作部31は、例えば静電誘導方式のガラスタッチのボタン群である。もちろん第1操作部31を機械接点式のスイッチとして構成してもよい。第1操作部31は、例えば複数のボタンが左右方向に一列に並んでいる。第1操作部31のうち、左右方向の右側に一列に並ぶ右ヒータ操作部31Rは、加熱領域2R(に対応している右加熱コイル6)の各種操作をユーザから受け付ける。第1操作部31のうち、左右方向の左側に一列に並ぶ左ヒータ操作部31Lは、加熱領域2L(に対応している左加熱コイル7)の各種操作をユーザから受け付ける。第1操作部31のうち、左右方向の中央部に一列に並ぶ中ヒータ及びグリル操作部31Mは、加熱領域2M(に対応している中加熱コイル8)の各種操作と、グリル庫4の各種操作とをユーザから受け付ける。そして、本体1Aの仕切板1aに基板台13A,14Aが固定されるようになっている。
【0094】
また、トッププレート2Aにおける加熱領域2R、加熱領域2Lよりも前側で第1操作部31よりも後ろ側における左右方向の中央部には、トッププレート2Aの上面側から操作可能な第2操作部41(操作表示ユニット)が設けられている。第2操作部41は、タッチパネル方式で、ユーザからの各種操作を受け付け、又、各種のメッセージを表示する。メッセージの表示のために、第2操作部41は、液晶パネルを用いていてもよいし、有機ELパネルを用いていてもよい。なお、熱に対しては、液晶パネルの方が有機ELパネルよりも耐久性の面で良好である。
【0095】
第2操作部41は、ユーザからの各種操作を受け付け、又、各種のメッセージを表示する操作表示パネル42と、この操作表示パネル42を保持して基板カバー12Aに固定される支持フレーム43と、を備えて構成されている。また、支持フレーム43には、操作表示パネル42の下方に、操作表示パネル42を制御する表示制御基板44(図16図17参照)が設けられている。
【0096】
基板ケースユニットの一部である基板台13Aは、吸気孔1eからファン装置9に空気を導くためのダクト部9eを備えている。このダクト部9eは、本体1Aの凹部1cに入り込むようにして配置される。
【0097】
また、基板ケースユニットの別の一部である基板カバー12Aは、左右基板15や中基板16と、各加熱コイル(右加熱コイル6、左加熱コイル7、中加熱コイル8)と、の間を上下方向で仕切るものである。また、基板カバー12Aは、ファン装置9から吹き出される冷却風を所定の方向に導く風路を形成する機能も有している。また、基板カバー12Aの上部には、手前側の左右方向の中央に、開口12b,12cが左右方向に並んで形成されている。この開口12b,12cは、左右方向に細長い矩形状であり、左右に離間して形成され、前方に向けて開口している。また、基板カバー12Aは、開口12b,12cの下方に、基板カバー12Aの内側と外側とを隔てる壁部12sが形成されている。
【0098】
図14は、第3実施形態に係る誘導加熱調理器のトッププレートを取り外した状態の平面図である。
図14に示すように、右加熱コイル6は、加熱領域2Rに対応し、左加熱コイル7は、加熱領域2Lに対応し、中加熱コイル8は、加熱領域2Mに対応している。ファン装置9は、右加熱コイル6の後側、かつ、中加熱コイル8の右側に配置されている。
【0099】
第2操作部41は、各加熱領域2c(図13参照)と第1操作部31(図13参照)との間の領域に設けられている。液晶タッチパネル方式である第2操作部41は、各種操作を受付ける受付領域41aと各種操作を受付けない非受付領域41bとを備えている。つまり、第2操作部41は、タッチパネルの機能を有している領域とその機能を有していない領域とを備えている。タッチパネルの機能を有していない非受付領域41bは、各種メッセージの表示のみを行う。非受付領域41bは受付領域41aよりも加熱領域2R(図13参照)、加熱領域2L(図13参照)、加熱領域2M(図13参照)側に設けられている。すなわち、図14に示すように、非受付領域41bから加熱領域2L(図13参照)までの最短距離は、受付領域41aから加熱領域2L(図13参照)までの最短距離よりも短い(加熱領域2R、加熱領域2Mについても同様)。複数の加熱領域2c(図13参照)のうち最も第2操作部41に近いもの(本例では加熱領域2R及び加熱領域2L)の最外周部と第2操作部41との最短距離は例えば40mm以上80mm以下である。すなわち、熱の影響(タッチパネルの耐久性やユーザがタッチパネルに触れたときの温感等)を考慮して、タッチパネルの機能を有している受付領域41aをその機能を有していない非受付領域41bよりも加熱領域2c(図13参照)から離れた位置に配置している。
【0100】
基板カバー12Aは、前記した開口12b,12c(図13参照)が形成された突出部12d,12eが形成されている。この突出部12d,12eは、紙面垂直方向奥側から手前側に向けて突出している。また、突出部12d,12eは、左右方向に扁平な四角筒状に形成されている。また、突出部12d,12eは、操作表示パネル42の後端縁部に若干の隙間を空けて位置している。また、突出部12d,12eは、操作表示パネル42の左右両端から左右方向に飛び出さない範囲に位置している。
【0101】
図15は、図14のXV-XV線で切断した場合の断面図である。なお、図15は、突出部12d,12eの位置で切断し、後側から前側を見た状態である。
図15に示すように、基板カバー12Aの突出部12d,12eは、トッププレート2Aに向けて上方に突出している。また、突出部12d,12eより下側には、基板カバー12Aの一部を構成する壁部12sが形成されている。この壁部12sは、鉛直方向(上下方向)および左右方向に延びる面によって構成されている。また、突出部12dに形成された開口12bと突出部12eに形成された開口12cは、それぞれ左右方向に長い矩形状である。
【0102】
また、開口12b,12cを通して見た前方には、操作表示パネル42を支持する支持フレーム43の側面43aが位置している。開口12bに対向する側面43aには、操作表示パネル42の側に向けて貫通する貫通部43b(開口部)が形成されている。この貫通部43bの開口面積A2は、開口12bの開口面積A1よりも小さく形成されている。換言すると、開口12bの開口面積A1は、貫通部43bの開口面積A2よりも大きく形成されている。なお、側面43aの突出部12eに対向する側には、前記した貫通部43bは形成されておらず、開口12cの全体が側面43aと対向している。
【0103】
また、突出部12d,12eとトッププレート2Aとの間には、トッププレート2Aの下面2sに沿って空気が通流可能な風路R(隙間)が形成されている。このようにして、開口12b,12cから吐出した空気は、支持フレーム43の側面43aに当たって上方に向きを変えてトッププレート2Aの下面2sに吹き付けられる。そして、風路Rを通って、紙面垂直方向手前側に向かって流れる。
【0104】
図16は、図14のXVI-XVI線で切断した場合の断面図である。図17は、図14のXVII-XVII線で切断した場合の断面図である。なお、図16は、図15のXVI-XVI線で切断したとき、図17は、図15のXVII-XVII線で切断したときであり、いずれも突出部12dの側において切断した断面図である。
図16に示すように、本体1Aには、基板台13Aが固定され、基板台13Aに左右基板15が支持されている。また、左右基板15上に設けられる基板カバー12Aには、ファン装置9からの風(空気、冷却風)が当たる壁部12sが形成されている。この壁部12sの上方には、前方に向けて開口する開口12bが形成されている。また、開口12bの前方には、操作表示パネル42を支持する支持フレーム43の側面43aが対向するように位置している。
【0105】
これにより、ファン装置9から高発熱素子である右インバータ素子S1,S2(図12参照)を冷却した冷却風は、白抜き矢印で示すように、基板カバー12Aの壁部12sに当たり、垂直上方に向きを変え、突出部12dに形成された開口12bから前方に向けて吐出される。開口12bの前方には、支持フレーム43の側面43aが対向して配置されているので、冷却風は、さらに上方に向きを変え、トッププレート2Aの下面2sに向けて吹き付けられる。なお、開口12bより前側の下方は、壁部12sと側面43aとが対向することによって閉じた空間になっているので、開口12bから吐出された冷却風が下方に向けて流れることはない。そして、冷却風は、突出部12dの上面とトッププレート2Aとの隙間の風路Rを後方に向けて通り、第2操作部41の後側の周囲のトッププレート2Aが冷却される。つまり、加熱領域2R,2L(図13参照)上の鍋からの熱が第2操作部41に伝達されるのを抑制することができる。なお、図示していないが、突出部12eの側についても、図16に示す突出部12dの側と同様にして、冷却風によって第2操作部41の後側周囲のトッププレート2Aが冷却される。
【0106】
また、支持フレーム43は、基板台13A上に設けられたばね(弾性部材)によって支持されている。これにより、支持フレーム43は、下方から押圧され、操作表示パネル42がトッププレート2Aの下面2sに押し付けられるようになり、第2操作部41が本体1A内において安定して保持される。
【0107】
図17に示すように、基板カバー12Aには、ファン装置9からの冷却風が当たる壁部12sが形成されている。この壁部12sの上方には、前方に向けて開口する開口12bが形成されている。また、開口12bの前方には、操作表示パネル42を支持する支持フレーム43の側面43aを前後方向に貫通する貫通部43bが形成されている。
【0108】
これにより、ファン装置9から高発熱素子である右インバータ素子S1,S2(図12参照)を冷却した冷却風は、白抜き矢印で示すように、基板カバー12Aの壁部12sに当たり、上方に向きを変え、突出部12dに形成された開口12bから前方に向けて吐出される。開口12bの前方の一部には、支持フレーム43に形成された貫通部43bが対向しているので、冷却風の一部は、貫通部43bを通って、操作表示パネル42に向けて流れ込む。つまり、ファン装置9からの冷却風の一部は、操作表示パネル42を冷却することで、操作表示パネル42の熱による劣化を抑えることができる。なお、図示していないが、突出部12eに対向する側には、支持フレーム43の側面43aに貫通部43bが形成されていないので、操作表示パネル42に向けて冷却風が流れないようになっている。なお、突出部12d側と同様に貫通部43bを形成する構成であってもよい。
【0109】
以上説明したように、誘導加熱調理器100Bは、本体1A(筐体)と、本体1Aの上部を覆うトッププレート2Aと、本体1A内に設けられる複数の加熱コイル(右加熱コイル6、左加熱コイル7、中加熱コイル8)と、各加熱コイル(右加熱コイル6、左加熱コイル7、中加熱コイル8)の近傍に設けられ、操作(受付領域41a)および表示(非受付領域41b)を行う第2操作部41(操作表示ユニット)と、加熱コイル(右加熱コイル6、左加熱コイル7、中加熱コイル8)を制御する左右基板15(制御基板)を支持する基板台13A(基板ケースユニット)と、左右基板15に設けられる右インバータ素子S1,S2、左インバータ素子S3,S4(高発熱素子)を冷却するファン装置9と、を備える。基板カバー12Aは、高発熱素子を通過した冷却風が当たる壁部12s(壁)と、この壁部12sの上方に設けられ、第2操作部41に向けて冷却風を吐出させる開口12b,12cと、を備える。第2操作部41には、トッププレート2Aに向けて冷却風を案内する側面43a(壁面)が設けられている。これによれば、加熱中の鍋からトッププレート2Aへの伝熱による第2操作部41近傍のトッププレート2A(加熱部側)の温度上昇を効率的に低減し、冷却性能の高い誘導加熱調理器100Bを提供できる。
【0110】
また、誘導加熱調理器100Bにおいて、第2操作部41は、トッププレート2Aの下面2sに沿って設けられる操作表示パネル42と、この操作表示パネル42を支持する支持フレーム43と、を備える。支持フレーム43は、開口12b,12cから吐出された冷却風を操作表示パネル42に向けて流す(案内する)貫通部43b(開口部)を備える。これによれば、操作表示パネル42の劣化を抑制できる。
【0111】
また、誘導加熱調理器100Bにおいて、開口12b,12cの開口面積A1は、貫通部43bの開口面積A2よりも大きく形成されている。これによれば、トッププレート2Aに向かう冷却風の風量を多くすることができ、第2操作部41近傍のトッププレート2A(加熱部側)を確実に冷却することができる。
【0112】
また、誘導加熱調理器100Bにおいて、操作表示パネル42と開口12b,12cとの間には、当該操作表示パネル42の非受付領域41b(表示領域)が設けられている。これによれば、加熱コイル(右加熱コイル6、左加熱コイル7、中加熱コイル8)から操作表示パネル42の受付領域41a(操作領域面)を離すことができ、操作表示パネル42の受付領域41aの温度上昇を抑えることができる。
【0113】
また、誘導加熱調理器100Bにおいて、基板カバー12Aは、壁部12sの上方に、トッププレート2Aに向けて突出部12d,12eを備える。突出部12d,12eに開口12b,12cが形成されるとともに、突出部12d,12eとトッププレート2Aとの間に冷却風を加熱コイル(右加熱コイル6、左加熱コイル7、中加熱コイル8)側に案内する風路Rが形成されている。これによれば、冷却風が操作表示パネル42の手前側の受付領域41a(操作部、操作領域面)に流れ、第2操作部41近傍のトッププレート2Aの加熱部側の温度上昇を広い範囲で抑えることができる。
【0114】
また、実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0115】
1A 本体(筐体)
2A トッププレート
2s 下面
6 右加熱コイル(加熱コイル)
7 左加熱コイル(加熱コイル)
8 中加熱コイル(加熱コイル)
9 ファン装置
12A 基板カバー(基板ケースユニット)
12b,12c 開口
12d,12e 突出部
12s 壁部(壁)
13A 基板台(基板ケースユニット)
15 左右基板(制御基板)
16 中基板(制御基板)
31 第1操作部
41 第2操作部(操作表示ユニット)
42 操作表示パネル
43 支持フレーム
43a 側面(壁面)
43b 貫通部(開口部)
44 表示制御基板
100B 誘導加熱調理器
A1 開口面積(開口の開口面積)
A2 開口面積(開口部の開口面積)
R 風路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17