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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039120
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】光検出装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240314BHJP
   H01L 31/0232 20140101ALI20240314BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20240314BHJP
   H04N 25/61 20230101ALI20240314BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L31/02 D
H04N5/369
H04N5/357 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143430
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】副田 貴明
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
4M118AA05
4M118AA06
4M118AB01
4M118AB03
4M118BA14
4M118CA02
4M118CA05
4M118CA22
4M118CA32
4M118DD04
4M118DD12
4M118FA06
4M118FA27
4M118FA28
4M118FA33
4M118GA02
4M118GB04
4M118GB07
4M118GB11
4M118GC07
4M118GC08
4M118GD03
4M118GD04
4M118GD07
4M118GD20
5C024CX01
5C024EX43
5C024EX51
5C024EX52
5C024GX02
5F149AA04
5F149BA09
5F149BA17
5F149BB03
5F149CB05
5F149CB06
5F149CB14
5F149DA25
5F149DA44
5F149EA04
5F149EA07
5F149EA12
5F149EA13
5F149HA05
5F149HA10
5F149HA12
5F149HA13
5F149HA20
5F149JA11
5F149JA12
5F149KA13
5F149KA14
5F149KA20
5F149XB05
5F149XB37
5F849AA04
5F849BA09
5F849BA17
5F849BB03
5F849CB05
5F849CB06
5F849CB14
5F849DA25
5F849DA44
5F849EA04
5F849EA07
5F849EA12
5F849EA13
5F849HA05
5F849HA10
5F849HA12
5F849HA13
5F849HA20
5F849JA11
5F849JA12
5F849KA13
5F849KA14
5F849KA20
5F849XB05
5F849XB37
(57)【要約】
【課題】マイクロレンズを共有する複数の画素間の感度差のズレを補正しつつ、混色を抑制することが可能な光検出装置および電子機器を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態の光検出装置は、対向する第1の面および第2の面を有し、複数の画素が行列状に配設されると共に、画素毎に受光量に応じた電荷を光電変換により生成する光電変換部が埋め込み形成された半導体基板と、第1の面の側に、隣り合う複数の画素に跨って配置されたマイクロレンズと、マイクロレンズの集光光路上に積層された、屈折率の異なる複数の散乱体とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1の面および第2の面を有し、複数の画素が行列状に配設されると共に、前記画素毎に受光量に応じた電荷を光電変換により生成する光電変換部が埋め込み形成された半導体基板と、
前記第1の面の側に、隣り合う前記複数の画素に跨って配置されたマイクロレンズと、
前記マイクロレンズの集光光路上に積層された、屈折率の異なる複数の散乱体と
を備えた光検出装置。
【請求項2】
前記複数の散乱体として、半導体基板側から前記集光光路上に順に配置された第1の散乱体および第2の散乱体を有し、
前記第2の散乱体と前記第1の散乱体との界面における散乱は、前記第1の散乱体と前記半導体基板との界面における散乱よりも小さい、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記半導体基板に埋め込まれ、前記複数の画素それぞれを共有する複数の画素の間を分離する第1の分離部をさらに有し、
前記第1の散乱体は、前記第1の分離部に埋め込まれ、
前記第2の散乱体は、前記半導体基板の前記第1の面の側の、前記第1の分離部の上方に配置されている、請求項2に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記第2の散乱体は、断面視において、矩形形状、前記マイクロレンズの側に頂点を有する三角形状または前記マイクロレンズの側に向かって広がる台形形状を有する、請求項2に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記第2の散乱体は、一部が前記第1の分離部に埋め込まれている、請求項3に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記第1の面と前記マイクロレンズとの間に設けられ、複数の前記マイクロレンズ毎に異なる分光特性を有する複数のカラーフィルタからなるカラーフィルタ層をさらに有する、請求項3に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記第2の散乱体は、前記第1の面と前記カラーフィルタ層との間に配置されている、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記半導体基板の前記第1の面と前記カラーフィルタ層との間に設けられ中間層をさらに有し、
前記第2の散乱体は前記中間層に埋め込まれている、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記第2の散乱体は、一部が前記カラーフィルタ層内に突出している、請求項8に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記第2の散乱体は、前記カラーフィルタ層内に設けられている、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記第2の散乱体は、前記カラーフィルタ層よりも前記マイクロレンズの側に設けられている、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記第2の散乱体は、前記複数のカラーフィルタの分光特性に応じて高さが異なる、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項13】
前記複数の散乱体として前記第2の散乱体の上方に配置され、前記第1の散乱体および前記第2の散乱体とは屈折率の異なる第3の散乱体をさらに有する、請求項2に記載の光検出装置。
【請求項14】
1つの前記マイクロレンズを共有する隣り合う前記複数の画素を画素ユニットとし、
前記半導体基板に埋め込まれ、隣り合う前記画素ユニットの間を分離する第2の分離部をさらに有する、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項15】
前記半導体基板の前記第1の面の側の、前記第2の分離部の上方に設けられた遮光膜をさらに有する、請求項14に記載の光検出装置。
【請求項16】
前記遮光膜は、一部が前記第2の分離部に埋め込まれている、請求項15に記載の光検出装置。
【請求項17】
分光特性が互いに異なる前記複数のカラーフィルタの間を分離する隔壁をさらに有する、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項18】
前記半導体基板の第2の面側に配線層をさらに有する、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項19】
光検出装置を有し、
前記光検出装置は、
対向する第1の面および第2の面を有し、複数の画素が行列状に配設されると共に、前記画素毎に受光量に応じた電荷を光電変換により生成する光電変換部が埋め込み形成された半導体基板と、
前記第1の面の側に、隣り合う前記複数の画素に跨って配置されたマイクロレンズと、
前記マイクロレンズの集光光路上に積層された、屈折率の異なる複数の散乱体と
を備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、撮像情報および視差情報を取得可能な光検出装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1では、複数の画素毎に設けられた瞳分割用マイクロレンズの中心位置と、その瞳分割用マイクロレンズが設けられた複数の位相差検出画素の画素境界部と、を結ぶ光路上且つ半導体基板の受光面との間の中間層内に入射光散乱体を設けることにより、位相差検出画素ペア間の製造誤差に起因する受光感度のズレを補正する固体撮像素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-211413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撮像情報および視差情報を取得可能な光検出装置では、マイクロレンズを共有する複数の画素間の感度差ズレの補正と共に、混色の抑制が求められている。
【0005】
マイクロレンズを共有する複数の画素間の感度差のズレを補正しつつ、混色を抑制することが可能な光検出装置および電子機器を提供することが望ましい。
【0006】
本開示の一実施形態としての光検出装置は、対向する第1の面および第2の面を有し、複数の画素が行列状に配設されると共に、画素毎に受光量に応じた電荷を光電変換により生成する光電変換部が埋め込み形成された半導体基板と、第1の面の側に、隣り合う複数の画素に跨って配置されたマイクロレンズと、マイクロレンズの集光光路上に積層された、屈折率の異なる複数の散乱体とを備えたものである。
【0007】
本開示の一実施形態としての電子機器は、上記一実施形態の光検出装置を備えたものである。
【0008】
本開示の一実施形態としての光検出装置および一実施形態としての電子機器では、複数の画素が行列状に配置されると共に、画素毎に光電変換部を有する半導体基板の受光面(第1の面)側に、隣り合う複数の画素に跨って配置されるマイクロレンズを設け、そのマイクロレンズの集光光路上に屈折率の異なる複数の散乱体を積層するようにした。これにより、散乱体による入射光の強い散乱を抑える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本技術の概要を説明する図である。
図2】本開示の一実施の形態に係る光検出装置の構成の一例を表す断面模式図である。
図3図2に示した光検出装置の全体構成を表すブロック図である。
図4図2に示した単位画素ユニットの等価回路図である。
図5図2に示した単位画素ユニットの構成の一例を表す平面模式図である。
図6図2に示した単位画素ユニットの構成の他の例を表す平面模式図である。
図7図2に示したカラーフィルタ層およびマイクロレンズのシフトの一例を表す断面模式図である。
図8A図2に示した散乱膜の製造方法の一例を説明するための断面模式図である。
図8B図8Aに続く工程を表す断面模式図である。
図8C図8Bに続く工程を表す断面模式図である。
図8D図8Cに続く工程を表す断面模式図である。
図8E図8Dに続く工程を表す断面模式図である。
図9A図2に示した散乱膜の製造方法の他の例を説明するための断面模式図である。
図9B図9Aに続く工程を表す断面模式図である。
図9C図9Bに続く工程を表す断面模式図である。
図9D図9Cに続く工程を表す断面模式図である。
図9E図9Dに続く工程を表す断面模式図である。
図9F図9Eに続く工程を表す断面模式図である。
図10】本開示の変形例1に係る光検出装置の構成の一例を表す断面模式図である。
図11】本開示の変形例2に係る光検出装置の構成の一例を表す断面模式図である。
図12】本開示の変形例3に係る光検出装置の構成の一例を表す断面模式図である。
図13】本開示の変形例4に係る光検出装置の構成の一例を表す断面模式図である。
図14】本開示の変形例5に係る光検出装置の構成の一例を表す断面模式図である。
図15】本開示の変形例5に係る光検出装置の構成の他の例を表す断面模式図である。
図16】本開示の変形例6に係る光検出装置の構成の一例を表す断面模式図である。
図17】本開示の変形例6に係る光検出装置の構成の他の例を表す断面模式図である。
図18】本開示の変形例6に係る光検出装置の単位画素ユニットの構成の一例を表す平面模式図である。
図19】本開示の変形例6に係る光検出装置の単位画素ユニットの構成の他の例を表す平面模式図である。
図20】本開示の変形例6に係る光検出装置の単位画素ユニットの構成の他の例を表す平面模式図である。
図21】本開示の変形例7に係る光検出装置の構成の一例を表す断面模式図である。
図22】本開示の変形例8に係る光検出装置の構成の一例を表す断面模式図である。
図23】本開示の変形例8に係る光検出装置の構成の他の例を表す断面模式図である。
図24】本開示の変形例8に係る光検出装置の構成の他の例を表す断面模式図である。
図25】本開示の変形例9に係る光検出装置の構成の一例を表す断面模式図である。
図26】本開示の変形例10に係る光検出装置の構成の一例を表す断面模式図である。
図27】本開示の変形例10に係る光検出装置の構成の他の例を表す断面模式図である。
図28A図2に示した光検出装置を用いた光検出システムの全体構成の一例を表す模式図である。
図28B図28Aに示した光検出システムの回路構成の一例を表す図である。
図29】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図30】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
図31】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図32】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示における一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本開示の一具体例であって、本開示は以下の態様に限定されるものではない。また、本開示は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比等についても、それらに限定されるものではない。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.実施の形態(マイクロレンズを共有する複数の画素において、マイクロレンズの集光光路上に屈折率の異なる複数の散乱体を積層した光検出装置の例)
2.変形例
2-1.変形例1(光検出装置の構成の他の例)
2-2.変形例2(光検出装置の構成の他の例)
2-3.変形例3(光検出装置の構成の他の例)
2-4.変形例4(光検出装置の構成の他の例)
2-5.変形例5(光検出装置の構成の他の例)
2-6.変形例6(光検出装置の構成の他の例)
2-7.変形例7(光検出装置の構成の他の例)
2-8.変形例8(光検出装置の構成の他の例)
2-9.変形例9(光検出装置の構成の他の例)
2-10.変形例10(光検出装置の構成の他の例)
3.適用例
4.応用例
【0011】
<1.実施の形態>
[概要]
図1は、本技術の概要を説明する位相差検出用の信号を生成する像面位相差画素Pの断面構成を模式的に表したものである。本実施の形態の像面位相差画素Pは、後述する、例えば撮像情報と視差情報とを同時に取得可能な光検出装置1を構成するものである。像面位相差画素Pは、隣り合う複数の単位画素P(例えば、行方向または列方向に隣り合う2つの単位画素Pまたは2行×2列に配置された4つの単位画素P)を画素ユニットUとし、この画素ユニットUを構成する複数の単位画素Pに対して1つのマイクロレンズ(マイクロレンズ203L)が跨って配置されたものである(例えば、図5および図6参照)。本実施の形態では、マイクロレンズ203Lの集光光路上に、屈折率の異なる複数の散乱体301,302,303,・・・が積層されている。
【0012】
像面位相差画素Pは、対向する第1面101S1および第2面101S2を有する半導体基板101に光電変換部102が単位画素P毎に埋め込み形成されている。半導体基板101には、さらに、隣り合う光電変換部102の間に分離部103が形成されている。半導体基板101の受光面となる第1面101S1上には、中間層201、カラーフィルタ層202およびマイクロレンズ203Lがこの順に積層されている。像面位相差画素Pでは、マイクロレンズ203Lにより集光されると共にカラーフィルタ層202において分光され、最終的に分離部103による散乱成分を含む光Lが光電変換部102において受光され、光電変換される。このとき、回折限界により受光面(第1面101S1)への集光はある程度の広がりを持っていることを前提とする。屈折率の異なる複数の散乱体301,302,303は、マイクロレンズ203Lの集光光路上、具体的には、隣り合う光電変換部102の間を分離する分離部103、あるいはその上方に設けられている。これにより、マイクロレンズ203Lによって集光された光Lは、散乱体301,302,303により集光強度が段階的に分散された状態で、像面位相差画素Pを構成する複数の単位画素Pそれぞれの光電変換部102において受光される。
【0013】
複数の散乱体(散乱体301,302,303)は、例えば、以下のように構成されている。
【0014】
散乱体301は、本開示の「第1の散乱体」の一具体例に相当するものである。散乱体301は、マイクロレンズ203Lを共有する隣り合う単位画素P間の、例えば整合誤差に起因する感度ズレを補正するためのものであり、その一部あるいは全部が半導体基板101に埋め込まれている。
【0015】
散乱体302は、本開示の「第2の散乱体」の一具体例に相当するものである。散乱体302は、散乱体301よりも上方、即ち、光入射側S1に配置され、散乱体301による過剰な散乱を抑えるものである。
【0016】
散乱体301および散乱体302は、以下のような屈折率条件に基づいて構成されている。なお、波長以下のサイズの構造についての議論のため、球状粒子によるレイリー散乱の散乱断面積(数式(1))を用いて散乱強度を概算したものを利用する(以下、散乱強度係数と称する)。
【0017】
【数1】
(n:散乱体の屈折率、n:媒質の屈折率)
【0018】
後述する構造1のような一般的な像面位相差画素Pでは、半導体基板101と分離部103との屈折率差分に起因する過剰な散乱により、隣り合う像面位相差画素P間において混色が発生する虞がある。例えば、半導体基板101はシリコン(Si)基板により形成され、分離部103は酸化シリコン(SiO)により形成されていると想定した場合、散乱体301のみが半導体基板101に埋め込まれた構造では、その散乱強度係数は0.16となる。一方、図1に示したように、散乱体301の上方に散乱体302が配置された構造(構造1)では、例えば、散乱体302の屈折率が0.56よりも小さい場合、または2.54よりも大きい場合には、構造1よりも大きな散乱が発生してしまう。そのため、その間の屈折率の物質を散乱体302の構成材料として選択する。また、屈折率が酸化シリコンと近すぎる場合には、散乱自体が発生しなくなる。
【0019】
以上のことから、散乱体302と散乱体301との界面における散乱は、散乱体301と半導体基板101との界面における散乱よりも小さいことが望ましい。即ち、半導体基板101の屈折率をN、半導体基板101に埋め込まれた散乱体301の屈折率をN、散乱体301の上方に配置される散乱体302の屈折率をNとし、上記数式(1)を用い、散乱体302(N)と散乱体301(N)との界面における散乱をα12、散乱体301(N)と半導体基板101(N)との界面における散乱をα01とした場合にα12<α01となるような材料を選択することが望ましい。これにより、本実施の形態の像面位相差画素Pでは、マイクロレンズ203Lによって集光された光Lは、散乱体302によってある程度散乱されるため、半導体基板101に埋め込まれた散乱体301での過剰な散乱が抑えられ、隣り合う像面位相差画素P間における混色の発生が低減される。
【0020】
上記のように、散乱体301の屈折率Nと散乱体302の屈折率Nとの比(N/N)が、半導体基板101の屈折率Nと散乱体301の屈折率Nとの比(N/N)よりも1に近くなるような散乱体302の構成材料としては、以下のものが挙げられる。散乱体302の構成材料としては、例えば、フッ化ランタン(LaF)、トリフルオロメタニド(CF)、酸化アルミニウム(Al)、酸化マグネシウム(MgO)および酸化イットリウム(Y)等の中間屈折率材料が挙げられる。この他、散乱体302は、空隙(Air)や屈折率を制御した回転塗布法によるポーラスシリコン酸化膜、SiOにFやCを添加したフッ素添加ガラス(FSG)、SiOC(炭素添加ガラス)等のポーラス材料が挙げられる。
【0021】
なお、上記計算は簡易的なモデルによる概算値であり、「適度な散乱」は画素ピッチや分離部103を構成するトレンチサイズ等の周辺構造に依存して変動する。そのため、最適な屈折率もそれに応じで変動することとなる。
【0022】
散乱体302の上方に配置される散乱体303は、散乱体302と同様に散乱体301による過剰な散乱を抑えるものである。図1に示したように、半導体基板101に埋め込み形成された散乱体301の上方に複数の散乱体(散乱体302,303)を積層方向(Z軸方向)に配置することにより、マイクロレンズ203Lによって集光された光Lは、散乱体303と散乱体302との界面、散乱体302と散乱体301との界面によって段階的に散乱される。これにより、半導体基板101に埋め込まれた散乱体301での過剰な散乱がさらに抑えられ、隣り合う像面位相差画素P間における混色の発生がより低減される。
【0023】
[光検出装置の概略構成]
図2は、本開示の一実施の形態に係る光検出装置(光検出装置1)の断面構成の一例を模式的に表したものである。図3は、図2に示した光検出装置1の全体構成の一例を表したものである。光検出装置1は、例えば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の電子機器に用いられるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等であり、撮像エリアとして、複数の画素(単位画素P)が行列状に2次元配置された画素部(画素部100A)を有している。光検出装置1は、このCMOSイメージセンサ等において、例えば所謂裏面照射型の光検出装置である。
【0024】
光検出装置1は、光学レンズ系(図示せず)を介して被写体からの入射光(像光)を取り込んで、撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位Pで電気信号に変換して画素信号として出力するものである。光検出装置1は、半導体基板11上に、撮像エリアとしての画素部100Aを有すると共に、この画素部100Aの周辺領域に、例えば、垂直駆動回路111、カラム信号処理回路112、水平駆動回路113、出力回路114、制御回路115および入出力端子116を有している。
【0025】
画素部100Aには、例えば、複数の単位画素Pが行列状に2次元配置されている。複数の単位画素Pは、撮像画素と像面位相差画素とを兼ねている。撮像画素は、撮像レンズによって結像された被写体像をフォトダイオードPDにおいて光電変換して画像生成用の信号を生成するものである。像面位相差画素は、撮像レンズの瞳領域を分割し、分割された瞳領域からの被写体像を光電変換して位相差検出用の信号を生成するものである。
【0026】
単位画素Pには、例えば、画素行毎に画素駆動線Lread(具体的には行選択線およびリセット制御線)が配線され、画素列毎に垂直信号線Lsigが配線されている。画素駆動線Lreadは、画素からの信号読み出しのための駆動信号を伝送するものである。画素駆動線Lreadの一端は、垂直駆動回路111の各行に対応した出力端に接続されている。
【0027】
垂直駆動回路111は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成され、画素部100Aの各単位画素Pを、例えば、行単位で駆動する画素駆動部である。垂直駆動回路111によって選択走査された画素行の各単位画素Pから出力される信号は、垂直信号線Lsigの各々を通してカラム信号処理回路112に供給される。カラム信号処理回路112は、垂直信号線Lsig毎に設けられたアンプや水平選択スイッチ等によって構成されている。
【0028】
水平駆動回路113は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成され、カラム信号処理回路112の各水平選択スイッチを走査しつつ順番に駆動するものである。この水平駆動回路113による選択走査により、垂直信号線Lsigの各々を通して伝送される各画素の信号が順番に水平信号線121に出力され、当該水平信号線121を通して半導体基板11の外部へ伝送される。
【0029】
出力回路114は、カラム信号処理回路112の各々から水平信号線121を介して順次供給される信号に対して信号処理を行って出力するものである。出力回路114は、例えば、バッファリングのみを行う場合もあるし、黒レベル調整、列ばらつき補正および各種デジタル信号処理等が行われる場合もある。
【0030】
垂直駆動回路111、カラム信号処理回路112、水平駆動回路113、水平信号線121および出力回路114からなる回路部分は、半導体基板11上に直に形成されていてもよいし、あるいは外部制御ICに配設されたものであってもよい。また、それらの回路部分は、ケーブル等により接続された他の基板に形成されていてもよい。
【0031】
制御回路115は、半導体基板11の外部から与えられるクロックや、動作モードを指令するデータ等を受け取り、また、光検出装置1の内部情報等のデータを出力するものである。制御回路115はさらに、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータを有し、当該タイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号を基に垂直駆動回路111、カラム信号処理回路112および水平駆動回路113等の周辺回路の駆動制御を行う。
【0032】
入出力端子116は、外部との信号のやり取りを行うものである。
【0033】
[像面位相差画素の回路構成]
図4は、図2に示した光検出装置1において像面位相差画素Pを構成する、隣り合う複数の単位画素Pからなる画素ユニットUの読み出し回路の一例を表したものである。なお、図4では、行方向または列方向に隣り合う2つの単位画素Pからなる画素ユニットUについて説明する(例えば、図5参照)。画素ユニットUは、例えば、図4に示したように、2つの単位画素Pそれぞれに設けられた12A,12Bと、転送トランジスタTR1,TR2と、画素ユニットU毎に設けられたフローティングディフュージョンFDと、リセットトランジスタRSTと、増幅トランジスタAMPと、選択トランジスタSELとを有している。
【0034】
光電変換部12A,12Bは、それぞれ、フォトダイオード(PD)である。光電変換部12Aは、アノードが接地電圧線に接続され、カソードが転送トランジスタTR1のソースに接続されている。光電変換部12Bは、光電変換部12Aと同様に、アノードが接地電圧線に接続され、カソードが転送トランジスタTR2のソースに接続されている。
【0035】
転送トランジスタTR1は、光電変換部12AとフローティングディフュージョンFDとの間に接続されている。転送トランジスタTR2は、光電変換部12BとフローティングディフュージョンFDとの間に接続されている。転送トランジスタTR1,TR2のゲート電極には、それぞれ、駆動信号TRsigが印加される。この駆動信号TRsigがアクティブ状態になると、転送トランジスタTR1,TR2のそれぞれの転送ゲートが導通状態となり、光電変換部12A,12B各々に蓄積されている信号電荷が、転送トランジスタTR1,TR2を介してフローティングディフュージョンFDに転送される。
【0036】
フローティングディフュージョンFDは、転送トランジスタTR1,TR2と増幅トランジスタAMPとの間に接続されている。フローティングディフュージョンFDは、転送トランジスタTR1,TR2により転送される信号電荷を電圧信号に電荷電圧変換して、増幅トランジスタAMPに出力する。
【0037】
リセットトランジスタRSTは、フローティングディフュージョンFDと電源部との間に接続されている。リセットトランジスタRSTのゲート電極には、駆動信号RSTsigが印加される。この駆動信号RSTsigがアクティブ状態になると、リセットトランジスタRSTのリセットゲートが導通状態となり、フローティングディフュージョンFDの電位が電源部のレベルにリセットされる。
【0038】
増幅トランジスタAMPは、そのゲート電極がフローティングディフュージョンFDに、ドレイン電極が電源部にそれぞれ接続されており、フローティングディフュージョンFDが保持している電圧信号の読み出し回路、所謂ソースフォロア回路の入力部となる。即ち、増幅トランジスタAMPは、そのソース電極が選択トランジスタSELを介して垂直信号線Lsigに接続されることで、垂直信号線Lsigの一端に接続される定電流源とソースフォロア回路を構成する。
【0039】
選択トランジスタSELは、増幅トランジスタAMPのソース電極と、垂直信号線Lsigとの間に接続される。選択トランジスタSELのゲート電極には、駆動信号SELsigが印加される。この駆動信号SELsigがアクティブ状態になると、選択トランジスタSELが導通状態となり、像面位相差画素Pが選択状態となる。これにより、増幅トランジスタAMPから出力される読み出し信号(画素信号)が、選択トランジスタSELを介して、垂直信号線Lsigに出力される。
【0040】
像面位相差画素Pでは、例えば、光電変換部12Aにおいて生成された信号電荷および光電変換部12Bにおいて生成された信号電荷がそれぞれ読み出される。この光電変換部12Aおよび光電変換部12Bそれぞれから読み出された信号電荷を、例えば外部の信号処理部の位相差演算ブロックに出力することで、位相差オートフォーカス用の信号が取得できる。また、この光電変換部12Aおよび光電変換部12Bそれぞれから読み出された信号電荷をフローティングディフュージョンFDにおいて足し合わせ、例えば外部の信号処理部の撮像ブロックに出力することで、光電変換部12Aおよび光電変換部12Bの総電荷に基づく画素信号を取得できる。
【0041】
[光検出装置の断面構成]
図5は、単位画素Pの平面構成の一例を模式的に表したものである。図6は、単位画素Pの平面構成の他の例を模式的に表したものである。光検出装置1は、上記のように、例えば裏面照射型の光検出装置であり、画素部100Aに行列状に2次元配置された単位画素Pは、例えば、受光部10と、受光部10の光入射側S1に設けられた集光部20と、受光部10の光入射側S1とは反対側に設けられた多層配線層30とが積層された構成を有している。
【0042】
受光部10は、対向する第1面11S1および第2面11S2を有する半導体基板11と、半導体基板11に埋め込み形成された複数の光電変換部12とを有している。半導体基板11は、上述した半導体基板101に相当するものであり、例えば、Si基板で構成されている。光電変換部12は、上述した光電変換部102に相当するものである。光電変換部12は、例えばPIN(Positive Intrinsic Negative)型のフォトダイオード(PD)であり、半導体基板11の所定領域にpn接合を有している。光電変換部12は、上記のように、単位画素P毎に埋め込み形成されている。
【0043】
受光部10は、さらに、第1分離部13と、第2分離部14とを有している。
【0044】
第1分離部13は、上述した分離部103および散乱体301に相当するものであり、マイクロレンズ25Lを共有する隣り合う単位画素Pの間に設けられている。具体的には、例えば図5に示したように、X軸方向に隣り合う単位画素P1,P2との間、例えば図6に示したように、X軸方向(行方向)およびY軸方向(列方向)に2行×2列に配置された単位画素P1,P2,P3,P4の間に設けられている。第1分離部13は、隣り合う光電変換部12Aと光電変換部12Bとを電気的に分離すると共に、マイクロレンズ25Lを共有する隣り合う単位画素P間の感度ズレを補正するためのものである。第1分離部13は、例えば、半導体基板11の第1面11S1と第2面11S2との間を貫通している。第1分離部13は、例えば、酸化シリコン(SiO)によって形成されている。
【0045】
第1分離部13は、図2に示した半導体基板11の第1面11S1と第2面11S2との間を貫通するFTI(Full Trench Isolation)構造の他に、例えば、半導体基板11に第1面11S1側から開口(トレンチ)を形成し、そのトレンチに酸化シリコンを埋め込んだSTI(Shallow Trench Isolation、)構造としてもよい。
【0046】
第2分離部14は、本開示の「第2の分離部」の一具体例に相当するものであり、隣り合う画素ユニットUの間に設けられている。換言すると、第2分離部14は画素ユニットUの周囲に設けられており、画素部100Aにおいて、例えば格子状に設けられている。第2分離部14は、隣り合う画素ユニットUの間を電気的に分離するためのものであり、例えば、半導体基板11の第1面11S1側から第2面11S2側に向かって延伸している。第2分離部14は、例えば、第1分離部13と同様に、例えば、酸化シリコンによって形成されている。
【0047】
第2分離部14は、第1分離部13と同様に、図2に示した半導体基板11の第1面11S1と第2面11S2との間を貫通するFTI構造の他に、例えば、半導体基板11に第1面11S1側から開口を形成し、そのトレンチに酸化シリコンを埋め込んだSTI構造としてもよい。換言すると、隣り合う単位画素Pは、半導体基板11の第2面11S2側において半導体基板11によって互いに接続されていてもよい。
【0048】
集光部20は、受光部10の光入射側S1に設けられ、例えば、半導体基板11の第1面11S1を覆う保護層21と、散乱膜22と、遮光膜23と、カラーフィルタ層24と、マイクロレンズ層25とを有し、受光部10側からこの順に積層されている。
【0049】
保護層21は、上述した「中間層201」に相当するものであり、半導体基板11の第1面11S1を保護すると共に、その表面を平坦化するものである。保護層21は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン(SiN)および酸窒化シリコン(SiON)等を用いて形成されている。
【0050】
散乱膜22は、上述した「散乱体302」に相当するものであり、第1分離部13による過剰な散乱を抑えるためのものである。散乱膜22は、第1分離部13上に、平面視において第1分離部13と同様のレイアウトで形成されている。具体的には、例えば図5に示したように、平面視において、X軸方向に隣り合う単位画素P1,P2との間、例えば図6に示したように、平面視において、X軸方向(行方向)およびY軸方向(列方向)に2行×2列に配置された単位画素P1,P2,P3,P4の間に設けられている。
【0051】
散乱膜22は、散乱膜22の屈折率(N22)と第1分離部13の屈折率(N13)との比(N22/N13)が、第1分離部13の屈折率(N13)と半導体基板11の屈折率(N11)との比(N13/N11)よりも1に近くなるような構成材料を用いて形成することができる。このような構成材料としては、例えば、フッ化ランタン、トリフルオロメタニド、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよび酸化イットリウム等の中間屈折率材料が挙げられる。この他、散乱体302は、空隙(Air)や屈折率を制御した回転塗布法によるポーラスシリコン酸化膜、SiOにFやCを添加したフッ素添加ガラス(FSG)、SiOC(炭素添加ガラス)等のポーラス材料が挙げられる。
【0052】
遮光膜23は、カラーフィルタ層24に斜入射した光が隣り合う異なる波長の光を検出する画素ユニットUへの漏れ込みを防ぐためのものである。遮光膜23は、第2分離部14上に設けられており、図5および図6に示したように、平面視において第2分離部14と同様のレイアウトで形成されている。遮光膜23は、保護層21を異なる波長の光を検出する画素ユニットU間を光学的に分離するように、保護層21をY軸方向に貫通するように設けられている。また、遮光膜23は、一部が第2分離部14に埋め込まれていてもよい。これにより、第2分離部14は、隣り合う画素ユニットUの間を電気的、且つ、光学的にも分離することができる。
【0053】
遮光膜23の構成材料としては、例えば、遮光性を有する材料が挙げられる。具体的には、例えば、タングステン(W)、銀(Ag)、銅(Cu)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)またはそれらの合金が挙げられる。この他、TiN等の金属化合物が挙げられる。遮光膜23は、例えば単層膜または積層膜として形成するようにしてもよい。
【0054】
カラーフィルタ層24は、所定の波長の光を選択的に透過するものである。カラーフィルタ層24は、図2に示したように、例えば、赤色光(R)を選択的に透過させる赤色カラーフィルタ24R、緑色光(G)を選択的に透過させる緑色カラーフィルタ24Gおよび図示していないが青色光(B)を選択的に透過させる青色カラーフィルタ24Bを有している。その他、カラーフィルタ層24は、シアン、マゼンタおよび黄色をそれぞれ選択的に透過するフィルタを有していてもよい。各色のカラーフィルタ24R,24G,24Bは画素ユニットU毎に設けられており、各色のカラーフィルタ24R,24G,24Bが設けられた単位画素P(赤色画素Pr、緑色画素Pgおよび青色画素Pb)では、それぞれの光電変換部12において対応する色光が検出されるようになっている。カラーフィルタ層24は、例えば、顔料や染料を用いて形成することができる。カラーフィルタ層24の膜厚は、その分光スペクトルによる色再現性やセンサ感度を考慮して、色毎に異なる膜厚としてもよい。なお、白黒画素においては透明材料からなる層をカラーフィルタ層24とみなすことができる。赤外線用の画素においては赤外線を選択透過させる材料からなる層をカラーフィルタ層24とみなすことができる。
【0055】
マイクロレンズ層25は、例えば、画素部100Aの全面を覆うように設けられており、その表面には複数のマイクロレンズ25Lを有している。マイクロレンズ25Lは、その上方から入射した光を受光面となる第1面11S1に向けて集光させるためのものであり、図2に示したように画素ユニットU毎に設けられている。マイクロレンズ25Lを含むマイクロレンズ層25は、例えば、高屈折率材料を用いて形成されており、具体的には、例えば、酸化シリコンや窒化シリコン等の無機材料により形成されている。この他、マイクロレンズ層25は、エピスルフィド系樹脂、チエタン化合物やその樹脂等の高屈折率の有機材料を用いて形成してもよい。マイクロレンズ25Lの形状は、特に限定されるものではなく、半球形状や半円筒状等の各種レンズ形状を採用することができる。
【0056】
多層配線層30は、受光部10の光入射側S1とは反対側に設けられている。多層配線層30は、例えば、複数の配線層31,32,33が、層間絶縁層34を間に積層された構成を有している。多層配線層30には、例えば、上述した読み出し回路の他に、垂直駆動回路111、カラム信号処理回路112、水平駆動回路113、出力回路114、制御回路115および入出力端子116等が形成されている。
【0057】
配線層31,32,33は、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)またはタングステン(W)等を用いて形成されている。この他、配線層31,32,33は、ポリシリコン(Poly-Si)を用いて形成するようにしてもよい。
【0058】
層間絶縁層34は、例えば、酸化シリコン、TEOS、窒化シリコンおよび酸窒化シリコン等のうちの1種よりなる単層膜、あるいはこれらのうちの2種以上よりなる積層膜により形成されている。
【0059】
なお、画素ユニットU毎に配置されるカラーフィルタ層24およびマイクロレンズ25Lは、画素部100Aにおける位置に応じて、例えば、図7に示したように、画素部100Aの光学中心方向にシフトさせるようにしてもよい。カラーフィルタ層24およびマイクロレンズ25Lのシフト量は、画素部100Aの光学中心から略同心円状に異なる。
【0060】
[散乱膜の製造方法]
散乱膜22は、例えば、次のようにして形成することができる。
【0061】
まず、図8Aに示したように、半導体基板11の第1面11S1上に、例えば、気相成長(CVD)法、スパッタリングまたは原子層蒸着(ALD)法等を用いて保護層21を成膜する。次に、図8Bに示したように、例えば、リソグラフィ技術により保護層21をエッチングして第1分離部13上に開口21Hを形成する。
【0062】
続いて、図8Cに示したように、例えば、CVD法やALD法を用いて開口21Hを埋め込むように保護層21上に散乱膜22を成膜する。次に、図8Dに示したように、散乱膜22上にレジスト41を成膜し、表面を平坦化する。その後、図8Eに示したように、レジスト41と共に散乱膜22をエッチバックする。これにより、第1分離部13上に選択的に散乱膜22が形成される。
【0063】
散乱膜22は、例えば、次のようにして形成することができる。
【0064】
まず、図9Aに示したように、半導体基板11の第1面11S1側に第1分離部13が突出した半導体基板11の第1面11S1に、例えば、CVD法、スパッタリングまたはALD法等を用いて、第1分離部13の周囲を埋めるように保護層21を薄く成膜する。続いて、図9Bに示したように、例えば、CVD法、スパッタリングまたはALD法等を用いて散乱膜22を成膜する。
【0065】
次に、図9Cに示したように、例えば、リソグラフィ技術により散乱膜22をエッチングして第1分離部13上に選択的に散乱膜22をパターニングする。続いて、図9Dに示したように、例えば、CVD法、スパッタリングまたはALD法等を用いて散乱膜22を埋め込むように保護層21を成膜する。次に、図9Eに示したように、保護層21の表面に形成された凹凸を埋め込むようにレジスト41を成膜する。その後、図9Fに示したように、レジスト41と共に保護層21をエッチバックし表面を平坦化する。
【0066】
[作用・効果]
本実施の形態の光検出装置1では、単位画素P毎に光電変換部12を有する半導体基板の11の受光面(第1面11S1)側に、隣り合う複数の単位画素Pに跨るマイクロレンズ25Lを配置し、マイクロレンズ25Lの集光光路上に屈折率の異なる散乱体(第1分離部13および散乱膜22)を積層するようにした。これにより、第1分離部13による入射光の強い散乱を抑える。以下、これについて説明する。
【0067】
近年、位相差検出方式による焦点検出機能を有する半導体イメージングデバイス(光検出装置)が普及している。位相差検出方式による焦点検出機能を有する光検出装置は、位相差検出のために複数の同色画素が1つのオンチップレンズ(OCL)で受光する構造となっている。このような光検出装置では、光路上に散乱体を置くことにより、集光を散らして感度差を軽減して位相差検出画素ペア間の製造誤差に起因する受光感度ズレを補正している。
【0068】
製品化されている実構造では、集光点に画素分離のトレンチが配置されており、トレンチの内部にSiO等の散乱体を埋め込むことにより、感度差を補正する効果を得ている。しかしながら、この散乱体による散乱が過剰なことに起因する隣接画素への混色が課題となっている。
【0069】
これに対して本実施の形態では、マイクロレンズ25Lを共有する隣り合う複数の単位画素Pそれぞれに設けられた光電変換部12の間を分離する、マイクロレンズ25Lの集光光路上に設けられる第1分離部13の上に、第1分離部13とは屈折率の異なる散乱膜22を設けるようにした。これにより、散乱膜22である程度散乱された光Lが第1分離部13によって散乱されるようになる。これにより、第1分離部13による感度差補正の効果を維持しつつ、第1分離部13による入射光の強い散乱が抑えられる。
【0070】
以上により、本実施の形態の光検出装置1では、マイクロレンズ25Lを共有する複数の単位画素P間の感度差のズレを補正しつつ、隣り合う像面位相差画素P間における混色を抑制することが可能となる。
【0071】
次に、本開示の変形例1~10について説明する。以下では、上記実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0072】
<2.変形例>
(2-1.変形例1)
図10は、本開示の変形例1に係る光検出装置(光検出装置1A)の断面構成の一例を模式的に表したものである。光検出装置1Aは、例えば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の電子機器に用いられるCMOSイメージセンサ等であり、上記実施の形態と同様に、例えば所謂裏面照射型の光検出装置である。
【0073】
第1分離部13上に形成する散乱膜22は、半導体基板11と界面を形成しないことが望ましい。そのため、散乱膜22の幅は、図10に示したように、第1分離部13の幅よりも狭く形成することが好ましい。これにより、散乱膜22と半導体基板11との界面における強い散乱の発生が抑えられる。
【0074】
(2-2.変形例2)
図11は、本開示の変形例2に係る光検出装置(光検出装置1B)の断面構成の一例を模式的に表したものである。図12は、本開示の変形例2に係る光検出装置1Bの断面構成の他の例を模式的に表したものである。光検出装置1Bは、例えば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の電子機器に用いられるCMOSイメージセンサ等であり、上記実施の形態と同様に、例えば所謂裏面照射型の光検出装置である。
【0075】
上記実施の形態および変形例1では、断面視において矩形形状を有する散乱膜22を設けた例を示したがこれに限定されるものではない。散乱膜22は、図11に示したように、マイクロレンズ25L側に頂点を有する三角形状としてもよい。あるいは、散乱膜22は、図12に示したように、マイクロレンズ25L側に向かって広がる台形形状としてもよい。このように、散乱膜22の上面と保護層21との界面の面積を変えることで散乱強度を制御することができる。
【0076】
(2-3.変形例3)
図13は、本開示の変形例3に係る光検出装置(光検出装置1C)の断面構成の一例を模式的に表したものである。光検出装置1Cは、例えば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の電子機器に用いられるCMOSイメージセンサ等であり、上記実施の形態と同様に、例えば所謂裏面照射型の光検出装置である。
【0077】
上記実施の形態等では、半導体基板11の第1面11S1と同一面を形成する第1分離部13上に散乱膜22を形成した例を示したがこれに限定されるものではない。図13に示したように、散乱膜22の一部を第1分離部13に埋め込むようにしてもよい。このように、散乱膜22の表面積を増やすことにより、散乱膜22による散乱効果を向上させることができる。
【0078】
(2-4.変形例4)
図14は、本開示の変形例4に係る光検出装置(光検出装置1D)の断面構成の一例を模式的に表したものである。図15は、本開示の変形例4に係る光検出装置1Dの断面構成の他の例を模式的に表したものである。光検出装置1Dは、例えば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の電子機器に用いられるCMOSイメージセンサ等であり、上記実施の形態と同様に、例えば所謂裏面照射型の光検出装置である。
【0079】
散乱膜22は、図14に示したように、半導体基板11の第1面11S1とカラーフィルタ層24との間を分離するように保護層21を貫通させてもよいし、あるいは、図15に示したように、一部をカラーフィルタ層24内に突出させてもよい。これにより、上記変形例3と同様に、散乱膜22の表面積が増えることにより、散乱膜22による散乱効果を向上させることができる。
【0080】
また、散乱膜22とカラーフィルタ層24との界面が形成されると、散乱膜22とカラーフィルタ層24との屈折率差分により散乱が発生する。カラーフィルタ層24の屈折率によっては、この散乱効果により、隣り合う像面位相差画素P間における混色をさらに抑制することが可能となる。
【0081】
(2-5.変形例5)
図16は、本開示の変形例5に係る光検出装置(光検出装置1E)の断面構成の一例を模式的に表したものである。図17は、本開示の変形例5に係る光検出装置1Eの断面構成の他の例を模式的に表したものである。光検出装置1Eは、例えば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の電子機器に用いられるCMOSイメージセンサ等であり、上記実施の形態と同様に、例えば所謂裏面照射型の光検出装置である。
【0082】
上記実施の形態等では、半導体基板11の第1面11S1と同一面を形成する第1分離部13上に散乱膜22を形成した例を示したがこれに限定されるものではない。散乱膜22は、図16に示したように、第1分離部13と散乱膜22との間に保護層21を有するように、保護層21の層内に埋め込むようにしてもよい。その場合には、散乱膜22は半導体基板11との界面を形成する虞がないため、図17に示したように、第1分離部13により幅広に設けるようにしてもよい。
【0083】
図17に示したように、第1分離部13により幅広に散乱膜22を形成する場合には、マイクロレンズ25Lの集光光路上に部分的に設けるようにしてもよい。その平面形状は、図18に示したように矩形形状としてもよいし、図19に示したように円形状としてもよい。また、図20に示したように、第1分離部13の上方に、第1分離部13の形状に沿って例えば十字状に形成するようにしてもよい。
【0084】
(2-6.変形例6)
図21は、本開示の変形例6に係る光検出装置(光検出装置1F)の断面構成の一例を模式的に表したものである。光検出装置1Fは、例えば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の電子機器に用いられるCMOSイメージセンサ等であり、上記実施の形態と同様に、例えば所謂裏面照射型の光検出装置である。
【0085】
散乱膜22は、図21に示したように、各画素単位ユニットUに設けられる各カラーフィルタ24R,24G,24Bの分光特性および屈折率に応じて散乱膜22の高さを作り分けるようにしてもよい。
【0086】
(2-7.変形例7)
図22は、本開示の変形例7に係る光検出装置(光検出装置1G)の断面構成の一例を模式的に表したものである。図23は、本開示の変形例7に係る光検出装置1Gの断面構成の他の例を模式的に表したものである。光検出装置1Gは、例えば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の電子機器に用いられるCMOSイメージセンサ等であり、上記実施の形態と同様に、例えば所謂裏面照射型の光検出装置である。
【0087】
第1分離部13上には、図22に示したように、複数の散乱膜22,26を積層するようにしてもよい。このように、複数の散乱膜22,26を積層する場合、より光入射側S1側に配置される散乱膜26は、図22に示したように、散乱膜22よりも幅狭に設けるようにしてもよいし、図23に示したように、散乱膜22よりも幅広に設けるようにしてもよい。このように、複数の散乱膜22,26を第1分離部13上に積層することにより、半導体基板11およびカラーフィルタ層24それぞれに適した散乱体を作り分けることができる。
【0088】
(2-8.変形例8)
図24は、本開示の変形例8に係る光検出装置(光検出装置1J)の断面構成の一例を模式的に表したものである。光検出装置1Jは、例えば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の電子機器に用いられるCMOSイメージセンサ等であり、上記実施の形態と同様に、例えば所謂裏面照射型の光検出装置である。
【0089】
第1分離部13上には、図24に示したように、各画素単位ユニットUに設けられる各カラーフィルタ24R,24G,24Bの分光特性および屈折率に応じて1または複数の散乱体(例えば、散乱膜22,26)を作り分けるようにしてもよい。
【0090】
(2-9.変形例9)
図25は、本開示の変形例9に係る光検出装置(光検出装置1H)の断面構成の一例を模式的に表したものである。光検出装置1Hは、例えば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の電子機器に用いられるCMOSイメージセンサ等であり、上記実施の形態と同様に、例えば所謂裏面照射型の光検出装置である。
【0091】
カラーフィルタ層24の隣り合う画素ユニットUの間には、各カラーフィルタ24R,24G,24Bの間を分離する隔壁27を設けるようにしてもよい。これにより、集光特性の向上に伴い、相乗して散乱膜22の効果が向上する。よって、隣り合う像面位相差画素P間における混色をさらに抑制することが可能となる。
【0092】
(2-10.変形例10)
図26は、本開示の変形例10に係る光検出装置(光検出装置1I)の断面構成の一例を模式的に表したものである。図27は、本開示の変形例10に係る光検出装置1Gの断面構成の他の例を模式的に表したものである。光検出装置1Gは、例えば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の電子機器に用いられるCMOSイメージセンサ等であり、上記実施の形態と同様に、例えば所謂裏面照射型の光検出装置である。
【0093】
上記実施の形態等では、保護層21内に散乱膜22を設けた例を示したが、散乱膜22の形成位置はこれに限定されるものではない。散乱膜22は、図26に示したように、カラーフィルタ層24の層内に埋め込むようにしてもよいし、図27に示したように、マイクロレンズ層25の層内に埋め込むようにしてもよい。散乱膜22の屈折率条件や、各部材の膜厚、マイクロレンズ25Lの曲率等の条件に応じて半導体基板11と散乱膜22との距離を変えることにより、カラーフィルタ層24中、マイクロレンズ層25中での散乱効果を向上させることができる。
【0094】
<3.適用例>
図28Aは、光検出装置(例えば、光検出装置1)を備えた光検出システム2000の全体構成の一例を模式的に表したものである。図28Bは、光検出システム2000の回路構成の一例を表したものである。光検出システム2000は、赤外光L2を発する光源部としての発光装置2001と、受光部としての光検出装置2002とを備えている。光検出装置2002としては、上述した、例えば光検出装置1を用いることができる。光検出システム2000は、さらに、システム制御部2003、光源駆動部2004、センサ制御部2005、光源側光学系2006およびカメラ側光学系2007を備えていてもよい。
【0095】
光検出装置2002は光L1と光L2とを検出することができる。光L1は、外部からの環境光が被写体(測定対象物)2100(図28A)において反射された光である。光L2は発光装置2001において発光されたのち、被写体2100に反射された光である。光L1は例えば可視光であり、光L2は例えば赤外光である。光L1は、光検出装置2002における光電変換部において検出可能であり、光L2は、光検出装置2002における光電変換領域において検出可能である。光L1から被写体2100の画像情報を獲得し、光L2から被写体2100と光検出システム2000との間の距離情報を獲得することができる。光検出システム2000は、例えば、スマートフォン等の電子機器や車等の移動体に搭載することができる。発光装置2001は例えば、半導体レーザ、面発光半導体レーザ、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)で構成することができる。発光装置2001から発光された光L2の光検出装置2002による検出方法としては、例えばiTOF方式を採用することができるが、これに限定されることはない。iTOF方式では、光電変換部は、例えば光飛行時間(Time-of-Flight;TOF)により被写体2100との距離を測定することができる。発光装置2001から発光された光L2の光検出装置2002による検出方法としては、例えば、ストラクチャード・ライト方式やステレオビジョン方式を採用することもできる。例えばストラクチャード・ライト方式では、あらかじめ定められたパターンの光を被写体2100に投影し、そのパターンのひずみ具合を解析することによって光検出システム2000と被写体2100との距離を測定することができる。また、ステレオビジョン方式においては、例えば2以上のカメラを用い、被写体2100を2以上の異なる視点から見た2以上の画像を取得することで光検出システム2000と被写体との距離を測定することができる。なお、発光装置2001と光検出装置2002とは、システム制御部2003によって同期制御することができる。
【0096】
<4.応用例>
(移動体への応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0097】
図29は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0098】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図29に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0099】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0100】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0101】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0102】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0103】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0104】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0105】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0106】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0107】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図29の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0108】
図30は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0109】
図30では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0110】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0111】
なお、図30には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0112】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0113】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0114】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0115】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0116】
以上、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、撮像装置100は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、ノイズの少ない高精細な撮影画像を得ることができるので、移動体制御システムにおいて撮影画像を利用した高精度な制御を行うことができる。
【0117】
(内視鏡手術システムへの応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0118】
図31は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0119】
図31では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11153上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0120】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0121】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0122】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0123】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0124】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0125】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0126】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0127】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0128】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0129】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0130】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0131】
図32は、図31に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0132】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0133】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0134】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0135】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0136】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0137】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0138】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0139】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0140】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0141】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0142】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0143】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0144】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0145】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0146】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0147】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0148】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、内視鏡11100のカメラヘッド11102に設けられた撮像部11402に好適に適用され得る。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、撮像部11402を小型化もしくは高精細化することができるので、小型もしくは高精細な内視鏡11100を提供することができる。
【0149】
以上、実施の形態、変形例1~10および応用例を挙げて本開示を説明したが、本技術は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態等の光検出装置(光検出装置1)を構成する各部材は適宜省略してもよいし、あるいは他の部材を設けるようにしてもよい。例えば、上記実施の形態では、第2分離部14上に遮光膜23を設けた例を示したが、省略しても構わない。
【0150】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であってその記載に限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【0151】
なお、本開示は以下のような構成をとることも可能である。以下の構成の本技術によれば、複数の画素が行列状に配置されると共に、画素毎に光電変換部を有する半導体基板の受光面(第1の面)側に、それぞれが、隣り合う複数の画素に跨る複数のマイクロレンズを配置し、複数のマイクロレンズそれぞれの集光光路上に屈折率の異なる複数の散乱体を積層するようにした。これにより、より半導体基板の受光面側に設けられた散乱体による入射光の強い散乱を抑える。よって、マイクロレンズを共有する複数の画素間の感度差のズレを補正しつつ、混色を抑制することが可能となる。
(1)
対向する第1の面および第2の面を有し、複数の画素が行列状に配設されると共に、前記画素毎に受光量に応じた電荷を光電変換により生成する光電変換部が埋め込み形成された半導体基板と、
前記第1の面の側に、隣り合う前記複数の画素に跨って配置されたマイクロレンズと、
前記マイクロレンズの集光光路上に積層された、屈折率の異なる複数の散乱体と
を備えた光検出装置。
(2)
前記複数の散乱体として、半導体基板側から前記集光光路上に順に配置された第1の散乱体および第2の散乱体を有し、
前記第2の散乱体と前記第1の散乱体との界面における散乱は、前記第1の散乱体と前記半導体基板との界面における散乱よりも小さい、前記(1)に記載の光検出装置。
(3)
前記半導体基板に埋め込まれ、前記複数の画素それぞれを共有する複数の画素の間を分離する第1の分離部をさらに有し、
前記第1の散乱体は、前記第1の分離部に埋め込まれ、
前記第2の散乱体は、前記半導体基板の前記第1の面の側の、前記第1の分離部の上方に配置されている、前記(2)に記載の光検出装置。
(4)
前記第2の散乱体は、断面視において、矩形形状、前記マイクロレンズの側に頂点を有する三角形状または前記マイクロレンズの側に向かって広がる台形形状を有する、前記(2)または(3)に記載の光検出装置。
(5)
前記第2の散乱体は、一部が前記第1の分離部に埋め込まれている、前記(3)または(4)に記載の光検出装置。
(6)
前記第1の面と前記マイクロレンズとの間に設けられ、複数の前記マイクロレンズ毎に異なる分光特性を有する複数のカラーフィルタからなるカラーフィルタ層をさらに有する、前記(3)乃至(5)のうちのいずれか1つに記載の光検出装置。
(7)
前記第2の散乱体は、前記第1の面と前記カラーフィルタ層との間に配置されている、前記(6)に記載の光検出装置。
(8)
前記半導体基板の前記第1の面と前記カラーフィルタ層との間に設けられ中間層をさらに有し、
前記第2の散乱体は前記中間層に埋め込まれている、前記(6)または(7)に記載の光検出装置。
(9)
前記第2の散乱体は、一部が前記カラーフィルタ層内に突出している、前記(8)に記載の光検出装置。
(10)
前記第2の散乱体は、前記カラーフィルタ層内に設けられている、前記(6)に記載の光検出装置。
(11)
前記第2の散乱体は、前記カラーフィルタ層よりも前記マイクロレンズの側に設けられている、前記(6)に記載の光検出装置。
(12)
前記第2の散乱体は、前記複数のカラーフィルタの分光特性に応じて高さが異なる、前記(6)乃至(11)のうちのいずれか1つに記載の光検出装置。
(13)
前記複数の散乱体として前記第2の散乱体の上方に配置され、前記第1の散乱体および前記第2の散乱体とは屈折率の異なる第3の散乱体をさらに有する、前記(2)乃至(12)のうちのいずれか1つに記載の光検出装置。
(14)
1つの前記マイクロレンズを共有する隣り合う前記複数の画素を画素ユニットとし、
前記半導体基板に埋め込まれ、隣り合う前記画素ユニットの間を分離する第2の分離部をさらに有する、前記(1)乃至(13)のうちのいずれか1つに記載の光検出装置。
(15)
前記半導体基板の前記第1の面の側の、前記第2の分離部の上方に設けられた遮光膜をさらに有する、前記(14)に記載の光検出装置。
(16)
前記遮光膜は、一部が前記第2の分離部に埋め込まれている、前記(15)に記載の光検出装置。
(17)
分光特性が互いに異なる前記複数のカラーフィルタの間を分離する隔壁をさらに有する、前記(6)乃至(16)のうちのいずれか1つに記載の光検出装置。
(18)
前記半導体基板の第2の面側に配線層をさらに有する、前記(1)乃至(17)のうちのいずれか1つに記載の光検出装置。
(19)
光検出装置を有し、
前記光検出装置は、
対向する第1の面および第2の面を有し、複数の画素が行列状に配設されると共に、前記画素毎に受光量に応じた電荷を光電変換により生成する光電変換部が埋め込み形成された半導体基板と、
前記第1の面の側に、隣り合う前記複数の画素に跨って配置されたマイクロレンズと、
前記マイクロレンズの集光光路上に積層された、屈折率の異なる複数の散乱体と
を備えた電子機器。
【符号の説明】
【0152】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1I,1J…光検出装置、10…受光部、11,101…半導体基板、12,102…光電変換部、13…第1分離部、14…第2分離部、20…集光部、21…保護層、22,26…散乱膜、23…遮光膜、24,202…カラーフィルタ層、25…マイクロレンズ層、25L,203L…マイクロレンズ、30…多層配線層、31,32,33…配線層、34…層間絶縁層、103…分離部、201…中間層、301,302,303…散乱体、L…光、11S1,101S1…第1面、11S2,102S2…第2面、P…単位画素、P…像面位相差画素、S1…光入射側、U…画素ユニット。

図1
図2
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図8B
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