(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039127
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】脱アルキル化プレニルフラバノンの製造方法及び脱アルキル化プレニルフラバノンを含む組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C12P 1/04 20060101AFI20240314BHJP
C07D 319/20 20060101ALI20240314BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240314BHJP
A61K 8/00 20060101ALI20240314BHJP
A61K 31/357 20060101ALI20240314BHJP
A61P 5/30 20060101ALI20240314BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240314BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240314BHJP
C12N 1/20 20060101ALN20240314BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20240314BHJP
A23L 5/00 20160101ALN20240314BHJP
【FI】
C12P1/04 Z
C07D319/20
A61K8/49
A61K8/00
A61K31/357
A61P5/30
A61P21/00
A61P9/00
C12N1/20 A
C07K14/47
A23L5/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143444
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大谷 彬
(72)【発明者】
【氏名】林 素子
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩明
【テーマコード(参考)】
4B035
4B064
4B065
4C083
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B035LC16
4B035LG04
4B035LG07
4B035LG09
4B035LG11
4B035LG44
4B035LG50
4B035LP42
4B064AC19
4B064CA02
4B064DA01
4B064DA10
4B065AA01X
4B065CA42
4B065CA43
4B065CA44
4B065CA50
4C083AC841
4C083AC842
4C083CC01
4C083FF01
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
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4C086ZA94
4C086ZC11
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA61
4H045CA43
4H045EA01
4H045EA15
4H045EA20
4H045FA73
(57)【要約】
【課題】少なくとも、生産性の向上した脱アルキル化プレニルフラバノンの製造方法の提供。
【解決手段】側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンと、界面活性剤を含む組成物とを含む溶液において、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離する能力を有する微生物に、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基が脱離した、脱アルキル化プレニルフラバノンを生成させる工程を含む、脱アルキル化プレニルフラバノンの製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンと、界面活性剤を含む組成物とを含む溶液において、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離する能力を有する微生物に、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基が脱離した、脱アルキル化プレニルフラバノンを生成させる工程を含む、
脱アルキル化プレニルフラバノンの製造方法。
【請求項2】
前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記非イオン性界面活性剤がポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリソルベート65である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが炭素数14以上の疎水性残基を有する、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記界面活性剤がイオン性界面活性剤である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記イオン性界面活性剤が、カゼイン、カゼイン加水分解物、酸カゼイン及びカゼインナトリウムからなる群より選択される一又は複数である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記界面活性剤を含む組成物が、カゼインを含む乳である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記アルコキシ基がメトキシ基であり、前記アルキル基がメチル基である、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンがイソキサントフモールであり、前記脱アルキル化プレニルフラバノンが8-プレニルナリンゲニンである、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記微生物が腸内細菌である、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記微生物がブラウチア(Blautia)属、ユーバクテリウム(Eubacterium)属、アセトバクテリウム(Acetobacterium)属、又はペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus)属に属する細菌である、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンと、界面活性剤を含む組成物とを含む溶液において、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離する能力を有する微生物に、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基が脱離した、脱アルキル化プレニルフラバノンを生成させる工程、及び
前記工程で生成した脱アルキル化プレニルフラバノンを製剤化する工程を含む、
脱アルキル化プレニルフラバノンを含む組成物の製造方法。
【請求項13】
前記脱アルキル化プレニルフラバノンを含む組成物が飲食品である、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記脱アルキル化プレニルフラバノンを含む組成物が化粧品である、請求項12に記載
の製造方法。
【請求項15】
前記脱アルキル化プレニルフラバノンを含む組成物が医薬品である、請求項12に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、脱アルキル化プレニルフラバノンの製造方法及び脱アルキル化プレニルフラバノンを含む組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホップ(Humulus lupulus L.)は、アサ科の多年草で、雌雄異株の蔓性植物である。雌株の毬花は、ビールに苦みなどを付与する原料を含み、さらに、キサントフモール、イソキサントフモール、8-プレニルナリンゲニンなどのプレニルフラボノイド(プレニル化フラボノイドと称されることもある。)などの有効な成分を含んでいる。これらプレニルフラボノイドは様々な生理活性をもつことが報告されており、医薬や食品の素材として注目されている。特に8-プレニルナリンゲニンは、エストロゲン活性を示すほか(非特許文献1)、血管新生抑制(特許文献1)、廃用性筋萎縮抑制(特許文献2)といった生理活性を示すことが報告されている。
【0003】
8-プレニルナリンゲニンについては、例えば、イソキサントフモールを含む市販の嫌気性細菌用培地において、ブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides)JCM 1395
株、ブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)JCM 14657株、ブラウティア・ホミニス
(Blautia hominis)JCM 32276株、ブラウティア・エスピー(Blautia sp.)DC 3652(NITE BP-02924)株、ブラウティア・エスピー(Blautia sp.)DC 3653(NITE BP-02629)株、ブラウティア・エスピー(Blautia sp.)DC 3654(NITE BP-02925)株、ユーバクテリ
ウム・リモスム(Eubacterium limosum)ATCC 8486株、ブラウティア・プロダクタ(Blautia producta)ATCC 27340株などの細菌を用いて、イソキサントフモールを脱メチル化することにより、8-プレニルナリンゲニンを製造する方法が報告されている(特許文献3~5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2005-526122号公報
【特許文献2】特開2016-136952号公報
【特許文献3】国際公開第2020/013027号
【特許文献4】特開2020-115858号公報
【特許文献5】特表2008-532558号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】S. Milligan, et al., J. Clin. Endocrinol. Metab., 84, 2249-2252 (1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の製造方法では、8-プレニルナリンゲニンを製造することはできるが、細菌によるイソキサントフモールの吸収及び代謝が十分でなく、8-プレニルナリンゲニンの生産性が低かった。
本開示の課題は、少なくとも、生産性の向上した脱アルキル化プレニルフラバノンの製造方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<1>側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンと、界面活性剤を含む組成物とを含む溶液において、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離する能力を有する微生物に、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基が脱離した、脱アルキル化プレニルフラバノンを生成させる工程を含む、
脱アルキル化プレニルフラバノンの製造方法。
<2>前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、<1>に記載の製造方法。
<3>前記非イオン性界面活性剤がポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリソルベート65である、<2>に記載の製造方法。
<4>前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが炭素数14以上の疎水性残基を有する、<3>に記載の製造方法。
<5>前記界面活性剤がイオン性界面活性剤である、<1>に記載の製造方法。
<6>前記イオン性界面活性剤が、カゼイン、カゼイン加水分解物、酸カゼイン及びカゼインナトリウムからなる群より選択される一又は複数である、<5>に記載の製造方法。<7>前記界面活性剤を含む組成物が、カゼインを含む乳である、<1>に記載の製造方法。
<8>前記アルコキシ基がメトキシ基であり、前記アルキル基がメチル基である、<1>~<7>のいずれかに記載の製造方法。
<9>前記側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンがイソキサントフモールであり、前記脱アルキル化プレニルフラバノンが8-プレニルナリンゲニンである、<1>~<8>のいずれかに記載の製造方法。
<10>前記微生物が腸内細菌である、<1>~<9>のいずれかに記載の製造方法。
<11>前記微生物がブラウチア(Blautia)属、ユーバクテリウム(Eubacterium)属、アセトバクテリウム(Acetobacterium)属、又はペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus)属に属する細菌である、<1>~<10>のいずれかに記載の製造方法。
<12>側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンと、界面活性剤を含む組成物とを含む溶液において、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離する能力を有する微生物に、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基が脱離した、脱アルキル化プレニルフラバノンを生成させる工程、及び
前記工程で生成した脱アルキル化プレニルフラバノンを製剤化する工程を含む、
脱アルキル化プレニルフラバノンを含む組成物の製造方法。
<13>前記脱アルキル化プレニルフラバノンを含む組成物が飲食品である、<12>に記載の製造方法。
<14>前記脱アルキル化プレニルフラバノンを含む組成物が化粧品である、<12>に記載の製造方法。
<15>前記脱アルキル化プレニルフラバノンを含む組成物が医薬品である、<12>に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、少なくとも、生産性の向上した脱アルキル化プレニルフラバノンの製造方法の提供という効果を奏し得る。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各態様における各構成及びそれらの組み合わせ等は、一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本開示は、態様によって限定されることはなく、クレームの範囲によってのみ限定される。また、本開示に開示された各々の態様は、本開示に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。
【0010】
<1.脱アルキル化プレニルフラバノンの製造方法>
本開示の一態様に係る、脱アルキル化プレニルフラバノンの製造方法は、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンと、界面活性剤を含む組成物とを含む溶液において、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離する能力を有する微生物に、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基が脱離した、脱アルキル化プレニルフラバノンを生成させる工程を含む。
【0011】
フラバノンとは、フラボノイドの一種である。
本態様におけるフラバノンとしては、側鎖にアルコキシ基を有することができ、かつ、側鎖にプレニル基を有することができるフラバノンであって、側鎖にアルコキシ基を有し、かつ、側鎖にプレニル基を有するフラバノンである場合に、前記工程により、該アルコキシ基のアルキル基が脱離し、脱アルキル化プレニルフラバノンが生成する限り特に制限されない。
側鎖にアルコキシ基を有さず、かつ、側鎖にプレニル基を有さないフラバノンとしては、例えば、ブチン、エリオジクチオール、ナリンゲニン、ピノセムブリン、リキリチゲニン等が挙げられる。
【0012】
(側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノン)
プレニルフラバノンとは、側鎖にプレニル基を有するフラバノンのことである。すなわち、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンとは、側鎖にアルコキシ基及びプレニル基を有するプレニルフラバノンと表記することもできる。側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンは、下記式(I)で表される。
【化1】
(式(I)中、R
1~R
9はそれぞれ独立して水素原子、水酸基、アルコキシ基、又はプレニル基であり、R
1~R
9のうち1個以上がアルコキシ基であり、R
1~R
9のうち1個以上がプレニル基である。)
【0013】
本態様で用いられる側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンは、一種を用いてもよいし、複数種を用いてもよい。
【0014】
プレニル基とは、炭素数5のイソプレン単位で構成される構造単位の総称である。
本態様におけるプレニル基としては、フラバノンの側鎖に付加されることができるプレニル基、好ましくは、側鎖にアルコキシ基を有するフラバノンの側鎖に付加されることができるプレニル基であって、側鎖にアルコキシ基を有するフラバノンの側鎖に付加されることができるプレニル基である場合に、前記工程により、該アルコキシ基のアルキル基が脱離し、脱アルキル化プレニルフラバノンが生成する限り特に制限されない。例えば、ジメチルアリル基(C5)、ゲラニル基(C10)、ファルネシル基(C15)、ゲラニルゲラニル基(C20)、ゲラニルファルネシル基(C25)、ヘキサプレニル基(C30)、オクタプレニル基(C40)、デカプレニル基(C50)等が挙げられる。側鎖にアルコキシ基を有するフラバノンにおいて該プレニル基が複数存在する場合、それらのすべ
てが同一のプレニル基であってもよいし、異なるプレニル基であってもよい。
【0015】
本態様における、フラバノンに付加されたプレニル基の個数としては、好ましくは1~8個であり、より好ましく1~3個であり、さらに好ましくは1個である。
【0016】
本態様におけるプレニル基の置換位置は特に限定されないが、R2、R4、R5、R6、R8、及びR9から選択される1つ以上がプレニル基に置換されていることが好ましく、R2及びR4から選択される1つ以上がプレニル基に置換されていることがより好ましく、R4がプレニル基に置換されていることが特に好ましい。
【0017】
アルコキシ基とは、アルキル基が酸素原子に結合した構造(RO-)で表される官能基で
ある。
本態様におけるアルコキシ基としては、フラバノンの側鎖に付加されることができるアルコキシ基、好ましくは、プレニルフラバノンの側鎖に付加されることができるアルコキシ基であって、プレニルフラバノンの側鎖に付加されることができるアルコキシ基である場合に、前記工程により、当該アルコキシ基のアルキル基が脱離し、脱アルキル化プレニルフラバノンが生成する限り特に制限されない。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられ、好ましくはメトキシ基である。側鎖にアルコキシ基を有するフラバノンにおいて該アルコキシ基が複数存在する場合、それらのすべてが同一のアルコキシ基であってもよいし、異なるアルコキシ基であってもよい。
【0018】
本態様における、プレニルフラバノンが側鎖に有するアルコキシ基の個数としては、好ましくは1~8個であり、より好ましく1~4個であり、さらに好ましくは1個である。
【0019】
本態様におけるアルコキシ基の置換位置は特に限定されないが、R1、R3、及びR7から選択される1つ以上がアルコキシ基に置換されていることが好ましく、R1がプレニル基に置換されていることがより好ましい。
【0020】
本態様で用いられる側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンとしては、前記工程により、該アルコキシ基のアルキル基が脱離した、脱アルキル化プレニルフラバノンが生成する限り特に制限されず、例えば、
イソキサントフモール(R1にメトキシ基が付加され、R4にジメチルアリル基が付加されたナリンゲニンである。詳細には、式(I)中、R1がメトキシ基、R2が-H、R3が-OH、R4がジメチルアリル基、R5が-H、R6が-H、R7が-OH、R8が-H、R9が-Hである。)、
6-プレニルサクラネチン(R3にメトキシ基が付加され、R2にジメチルアリル基が付加されたナリンゲニンである。詳細には、式(I)中、R1が-OH、R2がジメチルアリル基、R3がメトキシ基、R4が-H、R5が-H、R6が-H、R7が-OH、R8が-H、R9が-Hである。)、
ババキニン(R3にメトキシ基が付加され、R2にジメチルアリル基が付加されたリキリチゲニンである。詳細には、式(I)中、R1が-H、R2がジメチルアリル基、R3がメトキシ基、R4が-H、R5が-H、R6が-H、R7が-OH、R8が-H、R9が-Hである。)等が挙げられる。
【0021】
前記工程により生成する脱アルキル化プレニルフラバノンは、側鎖に一のアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから生成する場合には、該一のアルコキシ基のアルキル基が脱離して生成したものである。側鎖に複数のアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから生成する場合には、該複数のアルコキシ基のうち一のアルコキシ基のアルキル基が脱離して生成したものでもよいし、該複数のアルコキシ基のうち一部のアルコキシ基(一のア
ルコキシ基でなく、全部のアルコキシ基でもない。)のアルキル基が脱離して生成したものでもよいし、該複数のアルコキシ基のうち全部のアルコキシ基のアルキル基が脱離して生成したものでもよい。
また、複数のアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから複数のアルコキシ基(一のアルコキシ基でなく、全部のアルコキシ基でもない。)のアルキル基が脱離した場合、生成した脱アルキル化プレニルフラバノンにはアルコキシ基が残存しているため、該生成した脱アルキル化プレニルフラバノンは、前記「側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノン」として使用することができる。例えば、3個のアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから1個のアルコキシ基のアルキル基が脱離した場合、生成した脱アルキル化プレニルフラバノンには2個のアルコキシ基が残存しているため、該生成した脱アルキル化プレニルフラバノンは、前記「側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノン」として使用することができる。
【0022】
前記工程により生成する脱アルキル化プレニルフラバノンとしては、例えば、
イソキサントフモールの1個のメトキシ基のメチル基が脱離して生成した8-プレニルナリンゲニン、
6-プレニルサクラネチンの1個のメトキシ基のメチル基が脱離して生成した6-プレニルナリンゲニン、
ババキニンの1個のメトキシ基のメチル基が脱離して生成したババキン等が挙げられる。
【0023】
(界面活性剤を含む組成物)
本態様で用いられる界面活性剤を含む組成物は、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンとともに溶液に含めた場合に、含めない場合よりも、前記工程により、該アルコキシ基のアルキル基が脱離した、脱アルキル化プレニルフラバノンの生産性が向上する限り特に制限されない。界面活性剤を含む組成物は、界面活性剤そのものであってもよいし、界面活性剤を含み、かつ、界面活性剤以外の成分を含む組成物であってもよい。また、本態様で用いられる界面活性剤を含む組成物は、生成した脱アルキル化プレニルフラバノンを製剤化した際に、それを摂取する対象や、使用する対象、投与される対象にとって有害なものでないことが好ましい。例えば、飲食品や化粧品、医薬品の形態に含めた際に、それぞれ、それを摂取する対象、使用する対象、投与される対象にとって有害なものでないことが好ましい。
また、後述の実施例に示される通り、一部の界面活性剤を含ませることで生成した8-プレニルナリンゲニンの発酵培地中の水溶性を向上させることができる場合がある。
本態様では、界面活性剤を含む組成物は、一種を用いてもよいし、複数種を用いてもよい。
【0024】
本態様で用いられる界面活性剤は、イオン性界面活性剤でも非イオン性界面活性剤(ノニオン性界面活性剤)でもよい。イオン性界面活性剤は、陰イオン界面活性剤(アニオン界面活性剤)でも、陽イオン界面活性剤(カチオン界面活性剤)でも、両性界面活性剤(双性界面活性剤)でもよい。
【0025】
陰イオン界面活性剤(アニオン界面活性剤)とは、水中で解離したとき陰イオンとなる界面活性剤である。
本態様で用いられる陰イオン界面活性剤の例としては、アルギン酸、カプリル酸、コール酸、1-デカンスルホン酸、デオキシコール酸、1-ドデカンスルホン酸、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、N-ラウロイルザルコシン、タウロコール酸等が挙げられる。
【0026】
陽イオン界面活性剤とは、水中で解離したとき陽イオンとなる界面活性剤である。
本態様で用いられる陽イオン界面活性剤の例としては、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)、塩化ベンザルコニウム、ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロリド、塩化セチルピリジニウム、塩化メチルベンゼトニウム、4-ピコリンドデシル硫酸塩等が挙げられる。
【0027】
両性界面活性剤(双性界面活性剤)とは、分子内にアニオン性部位とカチオン性部位の両方を有する界面活性剤であり、溶液のpHに応じて陽・両性・陰イオンとなる界面活性剤である。具体的には、両性界面活性剤は前記陰イオン界面活性剤と陽イオン界面活性剤のそれぞれを組み合わせた構造を有する界面活性剤である。
本態様で用いられる両性界面活性剤の例としては、3-[(3-コラミドプロピル)-ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホン酸塩(CHAPS)、3-[(コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸塩(CHAPSO)、N-ドデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸塩、リゾ-アルファ-ホスファチジルコリン等が挙げられる。
【0028】
また、本態様で用いられるイオン性界面活性剤として、カゼイン、カゼイン加水分解物、酸カゼイン、カゼインナトリウムも挙げられる。
【0029】
カゼインは、乳やチーズなどに含まれるリンタンパク質の一種である。本態様で用いられるカゼインは、常法により得ることができる。また、本態様で用いられるカゼインとしては、α-カゼイン、β-カゼイン、γ-カゼインのいずれを用いてもよく、一種を用いてもよいし、複数種を用いてもよい。
【0030】
本態様で用いられるカゼイン加水分解物は、例えば、市販のカゼインや、ヒト、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ等の乳等を出発原料として常法により得たものや、遺伝子工学的手法等によって生産されたものが挙げられる。
【0031】
カゼインの加水分解の方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、酵素を用いた加水分解の方法や、酸を用いた加水分解の方法等が挙げられる。
【0032】
酵素を用いた加水分解の方法としては、例えば、水性媒体中に分散させたカゼインに、1種又は複数種のタンパク質分解酵素を作用させて加水分解する方法等が挙げられる。
水性媒体中のカゼインの濃度は、加水分解の効率や操作性の観点から、タンパク質換算で、例えば、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上などが挙げられ、一方で、50質量%以下、30質量%以下、20質量%以下などが挙げられる。すなわち、水性媒体中のカゼインの濃度は、タンパク質換算で、例えば、1質量%以上50質量%以下、5質量%以上30質量%以下、10質量%以上20質量%以下などが挙げられる。
加水分解の際のpHは、使用するタンパク質分解酵素の至適pH付近であることが好ましい。
加水分解の際の温度は、使用するタンパク質分解酵素の至適温度付近が好ましい。例えば、5℃以上、10℃以上、30℃以上などが挙げられ、一方で、50℃以下、40℃以下などが挙げられる。すなわち、加水分解の際の温度は、例えば、5℃以上50℃以下、10℃以上40℃以下、30℃以上40℃以下が挙げられる。
加水分解の時間は、十分量のカゼイン加水分解物が生成する時間であればよく、水性媒体中のカゼインの濃度や、加水分解の際のpH、温度等により適宜設定することができる。
タンパク質分解酵素としては、例えば、セリンプロテアーゼ(例えば、トリプシン、ズブチリシン等)、アスパラギン酸プロテアーゼ(例えば、ペプシン、カテプシン等)、金
属プロテアーゼ(例えば、サーモリシン等)、システインプロテアーゼ(例えば、パパイン等)等が挙げられる。
【0033】
酸を用いた加水分解の方法としては、例えば、水性媒体中に分散させたカゼインに酸を加えて加水分解する方法等が挙げられる。
水性媒体中のカゼインの濃度は、酸の種類や酸の規定度により適宜調整することができる。例えば、1.0質量%以上、5.0質量%以上などが挙げられ、一方で、90質量%以下、80質量%以下などが挙げられる。すなわち、水性媒体中のカゼインの濃度は、例えば、1.0質量%以上90質量%以下、5.0質量%以上80質量%以下が挙げられる。
加水分解の際の酸規定度は、例えば、0.01規定以上、0.1規定以上などが挙げられ、一方で、2規定以下、1規定以下などが挙げられる。すなわち、加水分解の際の酸規定度は、例えば、0.01規定以上2規定以下、0.1規定以上1規定以下が挙げられる。
加水分解の際の温度は、例えば、40℃以上、50℃以上、60℃以上などが挙げられ、一方で、100℃以下、90℃以下、80℃以下などが挙げられる。すなわち、加水分解の際の温度は、例えば、40℃以上100℃以下、50℃以上90℃以下、60℃以上80℃以下が挙げられる。
加水分解の時間は、十分量のカゼイン加水分解物が生成する時間であればよく、水性媒体中のカゼインの濃度や、加水分解の際の酸規定度、温度等により適宜設定することができる。
酸としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等)、有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸等)等が挙げられる。
【0034】
本態様で用いられる酸カゼインとしては、一種を用いてもよいし、複数種を用いてもよい。酸カゼインは、市販品であってもよく、例えば、フォンテラジャパン社のAcid casein 720等であってよい。
【0035】
本態様で用いられるカゼインナトリウムは、常法に従って、酸カゼインを中和(ナトリウム化)して得ることができる。カゼインナトリウムは、市販品を用いてもよく、例えば、フォンテラジャパン社のSodium Caseinate 180等であってよい。
【0036】
本態様で用いられる非イオン性界面活性剤(ノニオン性界面活性剤)としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリソルベート(ソルビタン脂肪酸エステルに所定の分子数のエチレンオキシドが縮合したもの)、及びレシチン等が挙げられる。
【0037】
本態様で用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルの例としては、平均重合度が2以上、6~15、8~10などのポリグリセリンと、炭素数8~18の脂肪酸(例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等)とのエステル等が挙げられる。脂肪酸の炭素数は、好ましくは14以上である。ポリグリセリン脂肪酸エステルはモノエステルであってよく、ジエステル以上であってよく、それらの混合物であってよい。
【0038】
具体例としては、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノパルミチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリントリオレイン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル、デカグリセリンモノミ
リスチン酸エステル、及びデカグリセリンモノラウリン酸エステル等が挙げられる。好ましくはデカグリセリンモノオレイン酸エステル及び/又はデカグリセリンモノミリスチン酸エステルである。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとして市販品を用いることができる。デカグリセリンモノオレイン酸エステルとしては、Decaglyn 1-OVF(日光ケミカルズ)が挙げられる。デカグリセリンモノミリスチン酸エステルとしては、Decaglyn 1-MF(日光ケミカルズ)が挙
げられる。
【0039】
本態様で用いられるショ糖脂肪酸エステルの例としては、脂肪酸の炭素数が12以上、12~20のものなどが挙げられる。
具体例としては、ショ糖ジオレイン酸エステル、ショ糖ジステアリン酸エステル、ショ糖ジパルミチン酸エステル、ショ糖ジミリスチン酸エステル、ショ糖ジラウリン酸エステル、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステル等が挙げられる。
【0040】
本態様で用いられるグリセリン脂肪酸エステルの例としては、グリセリンと脂肪酸とのモノエステル、グリセリンと脂肪酸とのジエステル等が挙げられる。脂肪酸の例としては、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、炭素数8~20、10~18などのものが挙げられ、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸等が挙げられる
具体的には、グリセリンモノカプリル酸エステル、グリセリンモノカプリン酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステルが挙げられる。
【0041】
本態様で用いられる有機酸モノグリセリドとして、有機酸(例えば、酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸(例えば、ジアセチル酒石酸等))と脂肪酸(例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸等)とから構成されるものなどが挙げられる。
具体例としては、酢酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、酒石酸モノグリセリド(例えば、ジアセチル酒石酸モノグリセリド等)等が挙げられる。
【0042】
本態様で用いられるソルビタン脂肪酸エステルの例としては、ソルビタンと炭素数12~18の飽和又は不飽和脂肪酸とのモノエステル、ジエステル、トリエステルが挙げられる。
具体的には、ソルビタンラウリン酸モノエステル、ソルビタンパルミチン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸トリエステル、ソルビタンオレイン酸モノエステル、ソルビタンオレイン酸トリエステル等が挙げられる。
【0043】
本態様で用いられるプロピレングリコール脂肪酸エステルの例としては、飽和又は不飽和が挙げられ、また、脂肪酸の炭素数が6~18、6~12などのものが挙げられる。また、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、プロピレングリコールジ脂肪酸エステル等が挙げられる。
具体例としては、プロピレングリコールモノカプリル酸エステル、プロピレングリコールジカプリル酸エステル、プロピレングリコールモノカプリン酸エステル、プロピレングリコールジカプリン酸エステル、プロピレングリコールモノラウリン酸エステル、プロピレングリコールジラウリン酸エステル、プロピレングリコールモノミリスチン酸エステル、プロピレングリコールジミリスチン酸エステル、プロピレングリコールモノパルミチン酸エステル、プロピレングリコールジパルミチン酸エステル、プロピレングリコールモノステアリン酸エステル、プロピレングリコールジステアリン酸エステル、プロピレングリコールモノイソステアリン酸エステル、プロピレングリコールジイソステアリン酸エステ
ル、プロピレングリコールモノオレイン酸エステル、プロピレングリコールジオレイン酸エステル、プロピレングリコールモノリノール酸エステル、プロピレングリコールジリノール酸エステル、プロピレングリコールモノリノレン酸エステル、プロピレングリコールジリノレン酸エステル等が挙げられる。
【0044】
本態様で用いられるポリソルベートは、ソルビタン脂肪酸エステルにエチレンオキシドが縮合したものである。
具体例としては、ポリソルベート20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、ポリソルベート40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、ポリソルベート60(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート)、ポリソルベート65(ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート)、ポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、ポリソルベート85(ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート)等が挙げられる。
これらの中でも、脱アルキル化プレニルフラバノンの生産性が特に向上する点で、ポリソルベート65が好ましい。
【0045】
ポリソルベートとして市販品を用いることができる。ポリソルベート20としては、Tween(登録商標)20が挙げられる。ポリソルベート65としては、Tween(登録商標)65が挙げられる。ポリソルベート80としては、Tween(登録商標)80が挙げられる。
【0046】
本態様で用いられるレシチンは、グリセリン二脂肪酸エステル(ジグリセリド)のリン酸誘導体付加物であり、動植物体に広く分布するものである。
具体例としては、卵黄レシチン、大豆レシチン、ヒマワリレシチン等が挙げられる。また、前記レシチンから有効成分を分離した分別レシチンや、前記レシチンを酵素で処理した酵素処理レシチンや酵素分解レシチンであってもよい。
【0047】
本態様で用いられる界面活性剤を含む組成物は、カゼインを含む乳であってもよく、該乳は、カゼインを含んでいればカゼイン以外の成分を含んでいてもよい。
【0048】
本態様で用いられるカゼインを含む乳は、哺乳動物から得られるものであれば特に制限されず、ヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、サル、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ハムスター、モルモット等から得られる乳が挙げられる。
また、本態様で用いられるカゼインを含む乳の形態としては、固体状でも液状でもよい。また、態様として、脱脂乳、全粉乳、全脂粉乳、脱脂粉乳(スキムミルク)等であってもよい。また、生乳でも殺菌乳でもよいが、殺菌乳が好ましい。
【0049】
(側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離する能力を有する微生物)
本態様で用いられる、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離する能力を有する微生物としては、例えば、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離する能力を有する、細菌、真菌、単細胞藻類、ウイルス、原生動物のほか、動物又は植物の細胞(幹細胞、脱分化細胞、分化細胞を含む。)、組織培養物等が挙げられる。また、遺伝子工学的手法によって得られた融合細胞(ハイブリドーマを含む。)、脱分化細胞、形質転換体であってもよい。
本態様における前記微生物は、一種を用いてもよいし、複数種を用いてもよい。
【0050】
前記微生物は、好ましくは細菌であり、例えば、腸内、口腔内、腸管内、皮膚、泌尿生
殖器等から分離することができる細菌である。腸内から分離することができる細菌は、一般に腸内細菌と呼称される。
【0051】
前記微生物としては、例えば、ブラウティア(Blautia)属に属する細菌、ユーバクテ
リウム(Eubacterium)属に属する細菌、アセトバクテリウム(Acetobacterium)属に属
する細菌、ペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus)属に属する細菌等が挙げられる。
【0052】
ブラウティア(Blautia)属に属する細菌としては、例えば、ブラウティア・コッコイ
デス(Blautia coccoides)に属する細菌、ブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)
に属する細菌、ブラウティア・ホミニス(Blautia hominis)に属する細菌、ブラウティ
ア・プロダクタ(Blautia producta)(旧ペプトストレプトコッカス・プロダクタス(Peptostreptococcus productus))に属する細菌等が挙げられる。また、ブラウティア・エスピー(Blautia sp.)DC 3652(NITE BP-02924)株、ブラウティア・エスピー(Blautia
sp.)DC 3653(NITE BP-02629)株、ブラウティア・エスピー(Blautia sp.)DC 3654(NITE BP-02925)株等が挙げられる。
【0053】
ブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides)に属する細菌としては、例えば、
ブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides)JCM 1395株等が挙げられる。
ブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)に属する細菌としては、ブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)JCM 14657株等が挙げられる。
ブラウティア・ホミニス(Blautia hominis)に属する細菌としては、ブラウティア・
ホミニス(Blautia hominis)JCM 32276株等が挙げられる。
ブラウティア・プロダクタ(Blautia producta)(旧ペプトストレプトコッカス・プロダクタス(Peptostreptococcus productus))に属する細菌としては、ブラウティア・プロダクタ(Blautia producta)ATCC 27340株等が挙げられる。
【0054】
ユーバクテリウム(Eubacterium)属に属する細菌としては、例えば、ユーバクテリウ
ム・リモスム(Eubacterium limosum)に属する細菌等が挙げられる。
【0055】
ユーバクテリウム・リモスム(Eubacterium limosum)に属する細菌としては、例えば
、ユーバクテリウム・リモスム(Eubacterium limosum)ATCC 8486株等が挙げられる。
【0056】
アセトバクテリウム(Acetobacterium)属に属する細菌としては、例えば、アセトバクテリウム・バキ(Acetobacterium bakii)DSM 8239株に属する細菌等が挙げられる。
【0057】
ペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus)属に属する細菌としては、例えば、ペプトストレプトコッカス・プロダクタス(Peptostreptococcus productus)DSM 2950
株に属する細菌等が挙げられる。
【0058】
JCM番号が付与された細菌は、Japan Collection of Microorganisms(国立研究開発法
人理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室、郵便番号:305-0074、住所:茨城県つくば市高野台3-1-1)から入手することができる。
ATCC番号が付与された細菌は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(住所:12301 Parklawn Drive, Rockville, Maryland 20852, United States of America)か
ら入手することができる。
ブラウティア・エスピー(Blautia sp.)DC 3652(NITE BP-02924)株は、ブダペスト
条約に基づいて、2019年3月20日付で、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄
託センター(郵便番号:292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)に国際寄
託され、NITE BP-02924の受託番号が付与されたものである。
ブラウティア・エスピー(Blautia sp.)DC 3653(NITE BP-02629)株は、2018年2月7
日付で、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託され、NITE P-02629の受託番号が付与され、2018年12月27日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管請求され、NITE BP-02629の受託番号が付与されたものである。
ブラウティア・エスピー(Blautia sp.)DC 3654(NITE BP-02925)株は、ブダペスト
条約に基づいて、2019年3月20日付で、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄
託センターに国際寄託され、NITE BP-02925の受託番号が付与されたものである。
【0059】
ブラウティア・エスピー(Blautia sp.)DC 3652(NITE BP-02924)株を例にして説明
すると、本態様では、ブラウティア・エスピー(Blautia sp.)DC 3652(NITE BP-02924
)株は、同寄託菌株に制限されず、同寄託菌株と実質的に同等の菌株であってもよい。実質的に同等の菌株とは、同寄託菌株と同属又は同種に属する菌株であって、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離する能力を有する菌株をいう。また、実質的に同等の菌株とは、その16S rRNA遺伝子の塩基配列が、前記寄託菌株の16S rRNA遺伝子の塩基配列と好ましくは98.5%以上、より好ましくは98.7%以上、さらに好ましくは99%以上、よりさらに好ましくは100%の相同性を有する菌株である。さらに、前記寄託菌株は、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離する能力を有する限り、前記寄託菌株又はそれと実質的に同等の菌株から、変異処理、遺伝子組換え、自然変異株の選択等によって育種された菌株であってもよい。
このことは、既出の他の寄託菌株についても同様に適用される。
【0060】
(側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離する能力を有する微生物の静止体)
本態様における、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離する能力を有する微生物は、その静止体を含む。
静止体とは、培養した微生物から遠心分離等の操作により培地成分を取り除き、塩溶液や緩衝液で洗浄し、該洗浄液と同一の液に懸濁した微生物体であって、増殖しない状態の微生物体を指し、本態様においては、少なくとも、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離して、脱アルキル化プレニルフラバノンを生成することができる代謝系を有している微生物体をいう。
塩溶液の例としては、生理食塩水等が挙げられる。緩衝液の例としては、リン酸緩衝液、トリス-塩酸緩衝液、クエン酸-リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、MOPS緩衝液、酢酸緩衝液、グリシン緩衝液等が挙げられる。いずれも、pHや濃度は、常法に従い適宜調整できる。本開示の微生物はいずれも静止体を含む。
【0061】
(側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンと、界面活性剤を含む組成物とを含む溶液)
本態様における、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンと、界面活性剤を含む組成物とを含む溶液とは、該溶液において、前記微生物に、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離して、脱アルキル化プレニルフラバノンを生成させることができるものであれば特に制限されない。好ましくは培地であり、より好ましくは後述する「培地、及び培養による脱アルキル化プレニルフラバノンの生成」欄に記載した培地である。また、前記微生物が静止体である場合には、前述した塩溶液や緩衝液が好ましい。
なお、本開示に記載されている「培地」とは、いずれも、最少培地を含む、微生物が増殖できる溶液をいい、微生物が増殖できない溶液、例えば、前述した塩溶液や緩衝液などを含まないものとする。
【0062】
該溶液へ、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンを添加する場合には、脱ア
ルキル化プレニルフラバノンの生成前に添加しても、その途中で添加してもよく、また、一括添加、逐次添加、連続添加でもよい。
溶液中の、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンの含有量は、総量で、好ましくは0.0001g/L以上、より好ましくは0.001g/L以上、さらに好ましくは0.01g/L以上であり、一方で、好ましくは20g/L以下、より好ましくは10g/L以下、さらに好ましくは3g/L以下である。すなわち、溶液中の、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンの含有量は、総量で、例えば、0.0001g/L以上20g/L以下、0.001g/L以上10g/L以下、又は0.01g/L以上3g/L以下であってよい。
【0063】
該溶液へ、界面活性剤を含む組成物を添加する場合には、脱アルキル化プレニルフラバノンの生成前に添加しても、その途中で添加してもよく、また、一括添加、逐次添加、連続添加でもよい。
溶液中の、界面活性剤を含む組成物の含有量は、界面活性剤の総量で、好ましくは0.001g/L以上、より好ましくは0.01g/L以上、さらに好ましくは0.1g/L以上であり、一方で、好ましくは200g/L以下、より好ましくは100g/L以下、さらに好ましくは20g/L以下である。すなわち、界面活性剤を含む組成物の含有量は、界面活性剤の総量で、例えば、0.001g/L以上200g/L以下、0.01g/L以上100g/L以下、又は0.1g/L以上20g/L以下であってよい。
ただし、前記界面活性剤を含む組成物がカゼインを含む乳である場合、溶液中の、該カゼインを含む乳の含有量は、カゼインの総量で、好ましくは1g/L以上、より好ましくは5g/L以上、さらに好ましくは10g/L以上であり、一方で、好ましくは200g/L以下、より好ましくは150g/L以下、さらに好ましくは100g/L以下である。すなわち、溶液中の、該カゼインを含む乳の含有量は、カゼインの総量で、例えば、1g/L以上200g/L以下、5g/L以上150g/L以下、又は10g/L以上100g/L以下であってよい。
【0064】
溶液中の、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンに対する界面活性剤を含む組成物の比は、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンの総量に対する界面活性剤の総量の重量比として、好ましくは0.00005以上、より好ましくは0.001以上、さらに好ましくは0.03以上であり、一方で、好ましくは2000000以下、より好ましくは100000以下、さらに好ましくは2000以下である。すなわち、溶液中の、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンに対する界面活性剤を含む組成物の比は、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンの総量に対する界面活性剤の総量の重量比として、例えば、0.00005以上2000000以下、0.001以上100000以下、又は0.03以上2000以下であってよい。
ただし、前記界面活性剤を含む組成物がカゼインを含む乳である場合、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンに対するカゼインを含む乳の比は、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンの総量に対するカゼインの総量の重量比として、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは3以上であり、一方で、好ましくは2000000以下、より好ましくは150000以下、さらに好ましくは10000以下である。すなわち、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンに対するカゼインを含む乳の比は、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンの総量に対するカゼインの総量の重量比として、例えば、0.05以上2000000以下、0.5以上150000以下、又は3以上10000以下であってよい。
【0065】
(培地、及び培養による脱アルキル化プレニルフラバノンの生成)
前記工程では、前記溶液は培地であることが好ましい。該培地は特に限定されないが、例えば、Oxoid社製のANAEROBE BASAL BROTH (ABB培地)、Oxoid社製のWilkins-Chalgren
Anaerobe Broth (CM0643)、日水製薬社製のGAM培地、変法GAM培地、ブレインハートイン
フュージョン培地等を使用することができる。
【0066】
また、培地に水溶性の有機物を炭素源として加えることができる。水溶性の有機物として、以下の化合物を挙げることができる。すなわち、グルコース、アラビノース、ソルビトール、フラクトース、マンノース、スクロース、トレハロース、キシロースなどの糖類;グリセロールなどのアルコール類;吉草酸、酪酸、プロピオン酸、酢酸、ギ酸、フマル酸などの有機酸類などを挙げることができる。
【0067】
炭素源としての培地に加える有機物の濃度は、効率的に発育させるために適宜調節することができる。一般的には、0.1~10wt/vol%の範囲から添加量を選択することができる。
【0068】
前記の炭素源に加えて、培地に窒素源を加えることができる。窒素源としては通常の発酵に用いうる各種の窒素化合物を用いることができる。
好ましい無機窒素源として、アンモニウム塩、硝酸塩などを、より好ましくは、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、硝酸カリウム及び硝酸ソーダなどを挙げることができる。
また、有機窒素源としては、アミノ酸類、酵母エキス、ペプトン類(例えばポリペプトンN、大豆ペプトンなど)、肉エキス(例えばエールリッヒカツオエキス、ラブ-レムコ末、ブイヨンなど)、魚介類エキス、肝臓エキス、消化血清末、魚油などを挙げることができる。
【0069】
さらに、炭素源や窒素源に加えて、例えば、ビタミンなどの補因子や各種の塩類等の無機化合物を培地に加えることによって、増殖や活性を増強できる場合もある。たとえば無機化合物、ビタミン類、脂肪酸など、動植物由来の微生物増殖補助因子として以下のものを挙げることができる。
【0070】
無機化合物 ビタミン類
リン酸二水素カリウム ビオチン
硫酸マグネシウム 葉酸
硫酸マンガン ピリドキシン
塩化ナトリウム チアミン
塩化コバルト リボフラビン
塩化カルシウム ニコチン酸
硫酸亜鉛 パントテン酸
硫酸銅 ビタミンB12
明ばん チオオクト酸
モリブデン酸ソーダ p-アミノ安息香酸
塩化カリウム ビタミンK
ホウ酸等
塩化ニッケル
タングステン酸ナトリウム
セレン酸ナトリウム
硫酸第一鉄アンモニウム
酢酸ナトリウム三水和物
硫酸マグネシウム七水和物
硫酸マンガン四水和物
【0071】
また、培地中に、システイン、シスチン、硫化ナトリウム、亜硫酸塩、アスコルビン酸、グルタチオン、チオグリコール酸、ルチンなどの還元剤や、カタラーゼ、スーパーオキ
シドムターゼなどの活性酸素種を分解する酵素を添加することにより生育が良好になることがあるため、その場合には好ましい。
【0072】
培養中の気相、水相は、空気もしくは酸素を含まないことが好ましい。例えば、窒素及び/又は水素を任意の比率で含むことや、窒素及び/又は二酸化炭素を任意の比率で含むことが挙げられ、水素を含む、気相や水相であることが好ましい。気相における水素の割合は、脱アルキル化プレニルフラバノンの生成が促進されることから、通常0.5体積%以上、好ましくは1.0体積%以上、より好ましくは2.0体積%以上であり、一方、通常100体積%以下、好ましくは20体積%以下、より好ましくは10体積%以下である。すなわち、気相における水素の割合は、例えば、1.0体積%以上100体積%以下、2.0体積%以上20体積%以下、又は2.0体積%以上10体積%以下であってよい。
【0073】
培養中の気相や水相をこのような環境にする方法は特に制限されないが、例えば、培養前に前記ガスで気相を置換する方法、これに加えて、培養中も培養器の底部から供給する及び/又は培養器の気相に供給する方法、培養前に前記ガスで水相をバブリングするなどの方法をとることができる。前記水素は、水素ガスをそのまま用いてもよい。また、培地にギ酸及び/又はその塩などの水素の原料を添加し、微生物の作用により培養中に水素を生成してもよい。
【0074】
通気量は、好ましくは0.005~2vvmであり、0.05~0.5vvmがより好ましい。また、混合ガスはナノバブルとして供給することもできる。
培養温度は、好ましくは20℃~45℃、より好ましくは25℃~40℃、さらに好ましくは30℃~37℃である。
培養器の加圧条件は、生育できる条件であれば特に限定されるものではないが、好ましくは0.001~1MPaの範囲、より好ましくは0.01~0.5MPaである。
培養時間は、好ましくは8~340時間、より好ましくは12~170時間、さらに好ましくは16~120時間である。
【0075】
また、培養液に吸着剤、包摂化合物などを添加することにより、脱アルキル化プレニルフラバノンの生成を促進できることがあるため、その場合には好ましい。
吸着剤としては、例えば、セルロース及びその誘導体;デキストリン;三菱化学株式会社製の疎水性吸着剤であるダイアイオンHPシリーズやセパビーズシリーズ;オルガノ株式会社製のアンバーライトXADシリーズなどを挙げることができる。
【0076】
包摂化合物としては、例えば、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、クラスターデキストリン(高度分岐環状デキストリン)のほか、これらの類縁体でもよく、例えば、メチル-β-シクロデキストリン、トリメチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどを挙げることができる。この中で、γ-シクロデキストリンが最も効果的であることがあるため、その場合には好ましい。また、2種以上の包摂化合物を共存させることにより、脱アルキル化プレニルフラバノンの生成をさらに促進できることがあるため、その場合には好ましい。
包摂化合物の添加量としては、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンの総量に対する包摂化合物の総量のモル比が、通常0.1以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上であり、一方、通常5.0以下、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下である。すなわち、包摂化合物の添加量としては、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンの総量に対する包摂化合物の総量のモル比が、例えば0.1以上5.0以下、0.5以上2.5以下、又は1.0以上2.0以下であってよい。
【0077】
(静止体による脱アルキル化プレニルフラバノンの生成)
前記微生物が静止体である場合の溶液は、前記培地の代わりに、前記「側鎖にアルコキ
シ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離する能力を有する微生物の静止体」欄に記載した塩溶液や緩衝液が好ましい。
その他の条件については、前記「培地、及び培養による脱アルキル化プレニルフラバノンの生成」欄の記載を援用する。
【0078】
(その他の工程)
本態様では、例えば、得られた脱アルキル化プレニルフラバノンを定量する工程を含んでもよい。その方法は常法に従うことができる。例えば、培養液の一部を採取して適宜希釈し、よく撹拌した後、ポリテロラフルオロエチレン(PTFE)膜などの膜を使用して濾過し、不溶物を除去したものを高速液体クロマトグラフィーで定量することなどが挙げられる。
【0079】
また、本態様は、得られた脱アルキル化プレニルフラバノンを回収する工程を含んでもよい。当該回収工程は、精製工程や濃縮工程等を含む。精製工程における精製処理としては、熱などによる微生物の殺菌;精密濾過(MF)、限外濾過(UF)などによる除菌;固形物、高分子物質の除去;有機溶媒やイオン性液体などによる抽出;疎水性吸着剤、イオン交換樹脂、活性炭カラム等を用いた吸着、脱色といった処理を行うことができる。また、濃縮工程における濃縮処理としては、エバポレーター、逆浸透膜等による濃縮が挙げられる。
さらに、得られた脱アルキル化プレニルフラバノンを含む溶液は、凍結乾燥、噴霧乾燥などにより粉末化することができる。粉末化の際に、ラクトース、デキストリン、コーンスターチ等の賦形剤を添加することもできる。
【0080】
<2.脱アルキル化プレニルフラバノンを含む組成物の製造方法>
本開示の他の一態様に係る、脱アルキル化プレニルフラバノンを含む組成物の製造方法は、
側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンと、界面活性剤を含む組成物とを含む溶液において、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離する能力を有する微生物に、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基が脱離した、脱アルキル化プレニルフラバノンを生成させる工程、及び
前記工程で生成した脱アルキル化プレニルフラバノンを製剤化する工程を含む。
【0081】
側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンと、界面活性剤を含む組成物とを含む溶液において、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離する能力を有する微生物に、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基が脱離した、脱アルキル化プレニルフラバノンを生成させる工程については、既に記載した態様の内容を援用する。
【0082】
製剤化工程においては、前記生成工程で生成した脱アルキル化プレニルフラバノンを有効成分として、常法に従って製剤化することができる。
【0083】
(脱アルキル化プレニルフラバノンを含む飲食品の製造方法)
前記製剤化が飲食品の形態にすることである場合、前記態様は、
側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンと、界面活性剤を含む組成物とを含む溶液において、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離する能力を有する微生物に、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基が脱離した、脱アルキル化プレニルフラバノンを生成させる工程、及び
前記工程で生成した脱アルキル化プレニルフラバノンを用いて飲食品を製造する工程を
含む、
脱アルキル化プレニルフラバノンを含む飲食品の製造方法である。
【0084】
前記飲食品は、常法に従って製造することができる。また、脱アルキル化プレニルフラバノンと飲食品又は飲食品の素材との配合量、配合方法、配合時期は適宜選択することができる。さらに、必要に応じて、製造した飲食品を、瓶、袋、缶、箱、パック等の容器に封入することができる。
【0085】
製造された飲食品は、一般の飲食品の他、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品、病者用食品、食品添加物等(これらには飲料も含まれる。)として使用できる。飲食品の形態としては、例えば、適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用いて、食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペーストなど、に成形して食用に供してもよい。また、種々の食品、例えば、ハム、ソーセージなどの食肉加工食品、かまぼこ、ちくわなどの水産加工食品、パン、菓子、バター、粉乳、発酵乳製品に添加して使用したり、水、果汁、牛乳、清涼飲料などの飲料に添加して使用してもよい。
【0086】
前記飲食品は、水、タンパク質、糖質、脂質、ビタミン類、ミネラル類、有機酸、有機塩基、果汁、フレーバー類等を含んでよい。タンパク質としては、例えば、全脂粉乳、脱脂粉乳、部分脱脂粉乳、カゼイン、大豆タンパク質、鶏卵タンパク質、肉タンパク質等の動植物性タンパク質、及びこれらの加水分解物、バターなどが挙げられる。糖質としては、糖類、加工澱粉(デキストリンのほか、可溶性澱粉、ブリティッシュスターチ、酸化澱粉、澱粉エステル、澱粉エーテル等)、食物繊維などが挙げられる。脂質としては、例えば、ラード、サフラワー油、コーン油、ナタネ油、ヤシ油、これらの分別油、水素添加油、エステル交換油等の植物性油脂などが挙げられる。ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、カロチン類、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD群、ビタミンE、ビタミンK群、ビタミンP、ビタミンQ、ナイアシン、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、イノシトール、コリン、葉酸などが挙げられ、ミネラル類としては、例えば、カルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、銅、鉄、マンガン、亜鉛、セレン、乳清ミネラルなどが挙げられる。有機酸としては、例えば、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸などが挙げられる。これらの成分は、2種以上を組み合わせて使用してもよく、合成品及び/又はこれらを多く含む飲食品を用いてもよい。
【0087】
(脱アルキル化プレニルフラバノンを含む化粧品の製造方法)
前記製剤化が化粧品の形態にすることである場合、前記態様は、
側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンと、界面活性剤を含む組成物とを含む溶液において、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離する能力を有する微生物に、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基が脱離した、脱アルキル化プレニルフラバノンを生成させる工程、及び
前記工程で生成した脱アルキル化プレニルフラバノンを用いて化粧品を製造する工程を含む、
脱アルキル化プレニルフラバノンを含む化粧品の製造方法である。
【0088】
前記化粧品は、常法に従って製造することができる。また、脱アルキル化プレニルフラバノンと化粧品又は化粧品の素材との配合量、配合方法、配合時期は適宜選択することができる。さらに、必要に応じて、製造した化粧品を、瓶、袋、缶、箱、パック等の容器に封入することができる。
【0089】
前記化粧品は、通常用いられる公知の成分を含んでよい。
例えば、アニオン界面活性剤(脂肪酸石鹸、スルホン酸塩型アニオン界面活性剤、硫酸
エステル型アニオン界面活性剤、リン酸エステル型アニオン界面活性剤、アシルメチルタウリン塩、モノアルキルリン酸塩、アシルグルタミン酸塩、イセチオン酸エステル塩等)、カチオン界面活性剤(アミン塩型カチオン界面活性剤、第四アンモニウム型カチオン界面活性剤(テトラアルキルアンモニウム型、ピリジニウム型))、非イオン性界面活性剤(グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル等)、両性界面活性剤(イミダゾリン型、ベタイン型、アミノ酸型)、フッソ系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の天然、合成界面活性剤;
アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アラビアガム、キサンタンガム、ペクチン、トラガント、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カチオン化セルロース、カチオン化デキストラン、カチオン化デキストリン、キトサン、カチオン化ビニルピロリドンポリマー、塩化N,N-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウムポリマー、乳タンパク質、大豆タンパク質、ゼラチン、卵タンパク質、カゼインナトリウム、ホエータンパク質等の水溶性高分子;
コハク酸、フマル酸、クエン酸、ピルビン酸、グルクロン酸、2-ヒドロキシ酪酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、タルトロン酸、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ビタミンA酸、ビタミンC誘導体、ビタミンD、ビタミンE、オリゴペプチド、トラネキサム酸エステル等の活性成分;
多価アルコール、アミノ酸、ムコ多糖類、蛋白質、生体抽出物、発酵代謝物、多糖類、植物抽出物、リン脂質、セラミドなどの保湿剤;
油脂類(大豆油、ヌカ油、ホホバ油、アボガド油、アーモンド油、カカオ油、オリーブ油、ゴマ油、パーシック油、ヒマシ油、ヤシ油、ミンク油、牛脂、豚脂等の天然油脂、これらの天然油脂を水素添加して得られる硬化油及びミリスチン酸グリセリド、2-エチルヘキサン酸グリセリド等の合成トリグリセリド、ジグリセリド等)、ロウ類(カルナウバロウ、鯨ロウ、ミツロウ、ラノリン等)、炭化水素類(流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、スクワラン、プリスタン等)、高級脂肪酸類(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラノリン酸、イソステアリン酸等)、高級アルコール類(ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、コレステロール、2-ヘキシルデカノール等)、エステル類(オクタン酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸コレスチール等)、精油類(ハッカ油、ジャスミン油、シヨウ脳油、ヒノキ油、トウヒ油、リュウ油、テレピン油、ケイ皮油、ベルガモット油、ミカン油、シヨウブ油、パイン油、ラベンダー油、ベイ油、クローブ油、ヒバ油、バラ油、ユーカリ油、レモン油、ペパーミント油、タイム油、ローズ油、セージ油、メントール、シネオール、オイゲノール、シトラール、シトロネラール、ボルネオール、リナロール、ゲラニオール、カンファー、チモール、スピラントール、ピネン、リモネン、テルペン系化合物等)、シリコーン油類等の油脂成分(エモリエント成分);
炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、ホウ砂、硫酸ナトリウム、硫化ナトリウム、硝酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、りん酸ナトリウム、塩化カリウム、硫化カリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機塩類;
ホウ酸、メタケイ酸、無水ケイ酸等の無機酸類;
黄色4号、青色1号、黄色202号、クロロフィル、リボフラビン、紅花、クロシン、
アントラキノン等の色素類;
香料類;
アクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリテトラフルオロエタン等の高分子、これらの高分子のコポリマー、ケイ酸、ケイ酸カルシウム、天然ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、ゼオライト、酸化チタン、タルク、カオリン、マイカ、ベントナイト等の微粉体;
硫黄、湯の花、鉱砂、雲母末、中性白土、いり糠、殺菌剤、防腐剤、その他製剤上必要な成分などが挙げられる。
【0090】
(脱アルキル化プレニルフラバノンを含む医薬品の製造方法)
前記製剤化が医薬品の形態にすることである場合、前記態様は、
側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンと、界面活性剤を含む組成物とを含む溶液において、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離する能力を有する微生物に、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基が脱離した、脱アルキル化プレニルフラバノンを生成させる工程、及び
前記工程で生成した脱アルキル化プレニルフラバノンを用いて医薬品を製造する工程を含む、
脱アルキル化プレニルフラバノンを含む医薬品の製造方法である。
【0091】
前記医薬品は、常法に従って製造することができる。また、脱アルキル化プレニルフラバノンと医薬品又は医薬品の素材との配合量、配合方法、配合時期は適宜選択することができる。さらに、必要に応じて、製造した医薬品を、瓶、袋、缶、箱、パック等の容器に封入することができる。
【0092】
脱アルキル化プレニルフラバノンは、経口投与、直腸内投与、注射などの投与方法に適した固体又は液体の医薬用無毒性担体と混合して、慣用の医薬製剤の形態で投与することができる。このような製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などの固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤などの液剤、凍結乾燥製剤などが挙げられ、これらの製剤は製剤上の常套手段により調製することができる。前記の医薬用無毒性担体としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングルコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、ゼラチン、アルブミン、水、生理食塩水などが挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤などの慣用の添加剤を適宜添加することもできる。
【0093】
(脱アルキル化プレニルフラバノンを含む飼料の製造方法)
前記製剤化が飼料の形態にすることである場合、前記態様は、
側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンと、界面活性剤を含む組成物とを含む溶液において、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基を脱離する能力を有する微生物に、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンから該アルコキシ基のアルキル基が脱離した、脱アルキル化プレニルフラバノンを生成させる工程、及び
前記工程で生成した脱アルキル化プレニルフラバノンを用いて飼料を製造する工程を含む、
脱アルキル化プレニルフラバノンを含む飼料の製造方法である。
【0094】
前記飼料は、常法に従って製造することができる。また、脱アルキル化プレニルフラバノンと飼料又は飼料の素材との配合量、配合方法、配合時期は適宜選択することができる
。さらに、必要に応じて、製造した飼料を、瓶、袋、缶、箱、パック等の容器に封入することができる。
【0095】
飼料原料としては、例えば、穀物類又は加工穀物類(とうもろこし、マイロ、大麦等)、糟糠類(ふすま、米糠、コーングルテンフィード等)、植物性油粕類(大豆油粕、ごま油粕、綿実油粕等)、動物性原料(脱脂粉乳、魚粉、肉骨粉等)、ミネラル類(炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、食塩、無水ケイ酸等)、ビタミン類、アミノ酸類、ビール酵母などの酵母類、無機物質の微粉末(結晶性セルロース、タルク、シリカ等)などが挙げられる。
前記飼料は、前記の飼料原料に、配合飼料に通常使用される賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料等の飼料用添加剤のほか、所望によりその他の成分(抗生物質や殺菌剤、駆虫剤、防腐剤等)を配合してもよい。
前記飼料の形態は特に限定されるものではなく、例えば、粉末状、顆粒状、ペースト状、ペレット状、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル)、錠剤等が挙げられ、愛玩動物用のペットフードや、家畜や実験動物用の飼料として用いられてもよい。
【実施例0096】
以下に実施例を記載するが、いずれの実施例も、本開示の範囲を限定するものではない。
【0097】
〔実験例1〕
MilliQ水に、非イオン性界面活性剤として、Tween(登録商標)20(一般名:ポリソルベート20)(東京化成)(終濃度5g/L)、Tween(登録商標)65(一般名:ポリソルベート65)(Sigma-Aldrich)(終濃度5g/L)、Tween(登録
商標)80(一般名:ポリソルベート80)(花王)(終濃度5g/L)、Decaglyn 1-MF(一般名:デカグリセリンモノミリステート)(日光ケミカルズ)(終濃度5g/L)
、又はDecaglyn 1-OVF(一般名:デカグリセリンモノオレート)(日光ケミカルズ)(終濃度5g/L)と、イソキサントフモール(以下、「IX」と表記することがある。)(終濃度2g/L)とを添加した後、室温で12時間攪拌した。コントロールとして、界面活性剤を添加せず、イソキサントフモールのみを添加したサンプルを作成した。得られた溶液の上清を0.45μmフィルターでろ過した後、ろ液を用いて下記条件のHPLCによりイソキサントフモールの定量分析を実施した。上清に含まれるイソキサントフモールの量をIX溶解度(mg/L)として表1に示す。
【0098】
<HPLC条件>
カラム: Inertsil ODS-3 (4.6 mm × 25 cm, 5 μm)
溶離液A: H2O/Formic acid (99/1)
溶離液B: Acetonitrile/Formic acid (99/1)
勾配条件: 0-5 min (B液の体積比率:20%) → 5-10 min (B液の体積比率:70%) → 10-30 min (B液の体積比率:70%)
カラム温度: 40℃
流速: 1.0 mL/min
検出: UV at 290 nm
【0099】
【0100】
〔実験例2〕非イオン性界面活性剤を用いた、イソキサントフモールから8-プレニルナリンゲニンの製造方法
(実施例1)
変法GAM培地(日水製薬社製)に、非イオン性界面活性剤として、Tween(登録商
標)20(一般名:ポリソルベート20)(東京化成)(終濃度5g/L)と、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンとしてイソキサントフモール(終濃度300mg/L)を添加した後、加熱滅菌し、気相をN2:CO2:H2(80%:10%:10%)ガスで置換したものを発酵培地として用いた。当該発酵培地に、ブラウティア・エスピー(Blautia sp.)DC 3652(NITE BP-02924)株を植菌し、37℃で7日間、嫌気培養し
た。培養後、培養液5mLを10倍量のエタノールで希釈し、0.45μmフィルターでろ過した後、ろ液を用いて、実験例1と同一条件のHPLCにより、8-プレニルナリンゲニン(以下、「8PN」と表記することがある。)の定量分析を行った。
【0101】
(実施例2)
非イオン性界面活性剤として、Tween(登録商標)65(一般名:ポリソルベート65)(Sigma-Aldrich)(終濃度5g/L)を用いた以外は実施例1と同様に実施した
。
(実施例3)
非イオン性界面活性剤として、Tween(登録商標)80(一般名:ポリソルベート80)(花王)(終濃度5g/L)を用いた以外は実施例1と同様に実施した。
(実施例4)
非イオン性界面活性剤として、Decaglyn 1-MF(一般名:デカグリセリンモノミリステ
ート)(日光ケミカルズ)(終濃度5g/L)を用いた以外は実施例1と同様に実施した。
(実施例5)
非イオン性界面活性剤として、Decaglyn 1-OVF(一般名:デカグリセリンモノオレート)(日光ケミカルズ)(終濃度5g/L)を用いた以外は実施例1と同様に実施した。
(比較例1)
非イオン性界面活性剤のいずれも添加しないこと以外は実施例1と同様に実施した。
【0102】
結果を表2に示す。
【0103】
【0104】
〔実験例3〕イオン性界面活性剤を用いた、イソキサントフモールから8-プレニルナリンゲニンの製造方法
(実施例6-11)
変法GAM培地(日水製薬社製)に、イオン性界面活性剤である酸カゼインAcid casein 720(フォンテラジャパン)(終濃度26g/L、33g/L、又は100g/L)、又はイオン性界面活性剤であるカゼインナトリウムSodium Caseinate 180(フォンテラジャパン)(終濃度26g/L、33g/L、又は100g/L)と、側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンとしてイソキサントフモール(終濃度300mg/L)を添加したこと以外は実施例1と同様に実施した。結果を表3に示す。
【0105】
【0106】
〔実験例4〕カゼインを含む乳を用いた、イソキサントフモールから8-プレニルナリンゲニンの製造方法
(実施例12-14)
界面活性剤を含む組成物である、カゼインを含む乳として、牛乳(森永乳業)、12.3%(w/v,MilliQに溶解)全粉乳(よつ葉乳業)、又は5%(w/v,MilliQに溶解)スキムミルク(富士フイルム和光純薬)をそれぞれ用いた。側鎖にアルコキシ基を有するプレニルフラバノンとしてイソキサントフモール(終濃度300mg/L)をカゼインを含む乳に添加した後、加熱滅菌し、気相をN2:CO2:H2(80%:10%:10%)ガスで置換したものを発酵培地として用いた。当該発酵培地に、ブラウティア・エスピー(Blautia sp.)DC 3652(NITE BP-02924)株を植菌し、37℃で7日間、嫌気培養
した。培養後、培養液5mLを等量のMilliQ水で希釈し、25mLの酢酸エチルで抽出し
、上清を0.45μmフィルターでろ過した。ろ液を用いて、実験例1と同一条件のHPLCにより、8-プレニルナリンゲニンの定量分析を行った。結果を表4に示す。なお、カゼインの総量の推算値は牛乳及び全粉乳が26g/L、スキムミルクが27g/Lである。
【0107】