(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039131
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】柱脚部固定構造及び柱脚部固定構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/24 20060101AFI20240314BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
E04B1/24 R
E04B1/58 511Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143458
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000231855
【氏名又は名称】日本鋳造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 正隆
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AC14
2E125AE01
2E125AG03
2E125BB01
2E125CA05
(57)【要約】
【課題】基礎コンクリート内部の配筋に影響を与えることなく、せん断力に対する耐力を向上させた柱脚部固定構造及び柱脚部固定構造の施工方法を提供する。
【解決手段】柱脚部固定構造は、基礎コンクリートに固定されたアンカーボルトと、該アンカーボルトが貫通するアンカーボルト貫通孔が形成されたベースプレートと、該ベースプレートに下端が固定された鉄骨柱と、アンカーボルト貫通孔を貫通した状態のアンカーボルトに螺合して、鉄骨柱の軸方向においてベースプレートを基礎コンクリート側に押し付けて締結する上ナットと、鉄骨柱の軸方向に直交する第1方向において、ベースプレートの端面と対向して配置される第1支圧部材と、第1支圧部材に接続された伝達部材と、を備える。第1支圧部材は、ベースプレートからの第1方向に沿った荷重を受け、伝達部材に伝達し、伝達部材は、基礎コンクリートに荷重を伝達可能に設置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎コンクリートに固定されたアンカーボルトと、
該アンカーボルトが貫通するアンカーボルト貫通孔が形成されたベースプレートと、
該ベースプレートに下端が固定された鉄骨柱と、
前記アンカーボルト貫通孔を貫通した状態の前記アンカーボルトに螺合して、前記鉄骨柱の軸方向において前記ベースプレートを前記基礎コンクリート側に押し付けて締結する上ナットと、
前記鉄骨柱の軸方向に直交する第1方向において、前記ベースプレートの端面と対向して配置される第1支圧部材と、
前記第1支圧部材に接続された伝達部材と、を備え、
前記第1支圧部材は、
前記ベースプレートからの前記第1方向に沿った荷重を受け、前記伝達部材に伝達し、
前記伝達部材は、
前記基礎コンクリートに前記荷重を伝達可能に設置される、柱脚部固定構造。
【請求項2】
前記伝達部材は、
前記第1方向において、一方の端部に前記第1支圧部材が接続され、
他方の端部に前記基礎コンクリートに接合される接合部を備える、請求項1に記載の柱脚部固定構造。
【請求項3】
前記伝達部材は、
前記接合部に前記基礎コンクリートに向かって突出する第2支圧部材を備え、
前記第2支圧部材は、
前記伝達部材と前記基礎コンクリートとの間に充填されたグラウト材に前記荷重を伝達する、請求項2に記載の柱脚部固定構造。
【請求項4】
前記第2支圧部材は、
棒状であり、少なくとも一方の端部に軸方向に直交する方向に突出する頭部を備える、請求項3に記載の柱脚部固定構造。
【請求項5】
前記第1支圧部材と前記伝達部材とは、
一体の板状部材として形成され、
前記板状部材は、
内側に前記ベースプレートが配置される矩形の開口を備え、
前記開口の内周面を形成する4つの面のうち少なくとも1つの面は、
前記ベースプレートの外周の端面に当接する支圧面であり、
前記接合部は、
前記板状部材のうち、前記第1方向において、前記支圧面に対向する方向に延びる部分の端部である、請求項4に記載の柱脚部固定構造。
【請求項6】
前記第1方向において、前記基礎コンクリートの側面及び前記ベースプレートを包囲するシアキャップを備え、
前記シアキャップは、
前記第1支圧部材と、
前記第1支圧部材に対し前記第1方向において対向して配置された第2支圧部材と、を備え、
前記伝達部材は、
前記第1支圧部材と前記第2支圧部材とを接続し、
前記第2支圧部材は、
前記側面に当接し、
前記ベースプレートから他方の支圧部材及び前記伝達部材を介して伝達された前記荷重を前記側面に伝達する、請求項1に記載の柱脚部固定構造。
【請求項7】
基礎コンクリートに固定されたアンカーボルトと、
該アンカーボルトが貫通するアンカーボルト貫通孔が形成されたベースプレートと、
該ベースプレートに下端が固定された鉄骨柱と、
前記アンカーボルト貫通孔を貫通した状態の前記アンカーボルトに螺合して、前記鉄骨柱の軸方向において前記ベースプレートを前記基礎コンクリート側に押し付けて締結する上ナットと、
前記鉄骨柱の軸方向に直交する第1方向において、前記基礎コンクリートの側面及び前記ベースプレートを包囲するシアキャップと、を備え、
前記シアキャップは、
前記第1方向において対向して配置された第1支圧部材及び第2支圧部材と、
前記第1支圧部材と前記第2支圧部材とを接続する伝達部材と、を備え、
前記第2支圧部材は、
前記側面に当接し、
前記ベースプレートから前記第1支圧部材及び前記伝達部材を介して伝達された前記第1方向に沿った荷重を前記側面に伝達する、柱脚部固定構造。
【請求項8】
前記ベースプレートに対し前記第1方向に配置され、前記ベースプレート及び前記シアキャップに当接している中間部材を更に備える、請求項6又は7に記載の柱脚部固定構造。
【請求項9】
前記シアキャップは、
前記軸方向に平行な4つの板面を有し、
前記4つの板面は、
前記ベースプレート、前記中間部材及び前記基礎コンクリートの前記側面を包囲し、
前記中間部材は、
前記ベースプレートの前記第1方向の端面と前記4つの板面との間の隙間に配置される、請求項8に記載の柱脚部固定構造。
【請求項10】
前記ベースプレートと前記基礎コンクリートとの間にはグラウト材が充填され、
前記中間部材は、
前記軸方向に貫通する注入口を備える、請求項8に記載の柱脚部固定構造。
【請求項11】
前記基礎コンクリートは、
前記側面から前記第1方向に延びる梁を備え、
前記第1支圧部材、前記第2支圧部材及び前記伝達部材のうち少なくとも1つは、
前記梁の形状に沿った切り欠き部を有する、請求項6又は7に記載の柱脚部固定構造。
【請求項12】
基礎コンクリートから突出したアンカーボルトにベースプレートを固定することにより柱脚を前記基礎コンクリートに立設する柱脚部固定構造の施工方法であって、
前記基礎コンクリートの上面から間隔をおいて前記ベースプレートを配置する工程と、
前記柱脚の軸方向に対し直交する第1方向において、前記ベースプレートの端面と対向させ前記ベースプレートからの前記第1方向に沿った荷重が伝達するように第1支圧部材を配置する工程と、
伝達部材は前記第1支圧部材に接合され、前記第1支圧部材から前記伝達部材に伝達した前記荷重が前記基礎コンクリートに伝達するように前記伝達部材を設置する工程と、を備える、柱脚部固定構造の施工方法。
【請求項13】
前記第1支圧部材は、
前記ベースプレートの端面に対向する支圧面から前記第1方向に延びる前記伝達部材を備え、
前記伝達部材を前記基礎コンクリートの上方に配置し、
前記ベースプレートを前記第1支圧部材に当接するように配置し、
前記伝達部材の一方の端部に接続された前記第1支圧部材と前記ベースプレートの端面とを当接させ、前記伝達部材の他方の端部を第2支圧部材により前記基礎コンクリートと一体となるように固定する、請求項12に記載の柱脚部固定構造の施工方法。
【請求項14】
前記第1支圧部材を配置する工程は、
前記第1支圧部材を前記基礎コンクリートの前記軸方向に平行な第1側面に接して配置し、
前記第1支圧部材に対し、前記第1方向において対向させて、前記第1側面に対向する第2側面に接して第2支圧部材を配置する工程を更に備え、
前記伝達部材を設置する工程は、
前記伝達部材を前記第1支圧部材及び前記第2支圧部材に接合し、前記第1支圧部材及び前記第2支圧部材を接続する、請求項12に記載の柱脚部固定構造の施工方法。
【請求項15】
前記基礎コンクリートを打設するための型枠を設置する工程と、
前記基礎コンクリートを打設する工程と、を更に備え、
前記型枠を設置する工程の後に、前記第1支圧部材を設置する工程、前記第2支圧部材を設置する工程、及び前記伝達部材を設置する工程を行い、
前記基礎コンクリートを打設する工程は、
前記第1支圧部材を設置する工程、前記第2支圧部材を設置する工程、及び前記伝達部材を設置する工程の後に、前記第1支圧部材、前記第2支圧部材、前記伝達部材及び前記型枠の内側の空間にコンクリートを充填する、請求項14に記載の柱脚部固定構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、構造物を形成する柱を基礎コンクリートに設置する柱脚部固定構造及び柱脚部固定構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
柱を基礎コンクリートに固定する露出型柱脚工法において、柱脚部固定構造は、基礎コンクリートに固定されたアンカーボルトと、アンカーボルトが貫通するアンカーボルト貫通孔が形成されたベースプレートと、が用いられ、ベースプレートに柱が接続されている。このとき、アンカーボルト貫通孔を貫通するアンカーボルトにナットを螺合し、該ナットを締め付けることによって、ベースプレートを基礎コンクリートに押し付けて固定している。
【0003】
露出型柱脚部固定構造では、鉄骨柱が固定されているベースプレートから基礎コンクリートに対して、柱脚に作用するせん断力(ベースプレートと基礎コンクリート基礎の界面に作用するせん断力)を伝達する必要がある。従来技術においては、ベースプレートの裏面の摩擦力による伝達手段、ベースプレートからコンクリート基礎内に埋設されるアンカーボルトによる伝達手段、さらには、ベースプレートの下面に設けられているシアキーによる伝達手段により、柱脚に作用するせん断力の伝達が図られている。
【0004】
例えば、特許文献1においては、ベースプレートの下面にシアキーが固定されている。また、基礎コンクリートにシア金物が埋設され、シア金物の一部が基礎コンクリートから上方に突出し、平面視においてシアキーの内側に配設されている。シア金物とシアキーとは、鉛直方向においてラップするように配置されている。シアキーと基礎コンクリートから上方に突出してシアキーの内側に配設されているシア金物とは、鉛直方向にラップしているため、鉄骨柱の柱脚に作用するせん断力が、ベースプレートからシアキーを介し、シアキーからシア金物を介して基礎コンクリートに円滑に伝達されるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された柱脚部固定構造は、基礎コンクリートの上面から内部に向かって延びるシア金物を有するため、基礎コンクリートの内部の鉄筋配置の自由度が制限されるという課題があった。また、シア金物を小さくし、基礎コンクリート内部鉄筋と干渉しないように設定することも可能であるが、その場合は、柱脚部固定構造のせん断力に対する強度向上効果が限定的となる、という課題があった。
【0007】
本開示は、以上のような問題を解決するものであって、基礎コンクリート内部の配筋に影響を与えることなく、せん断力に対する耐力を向上させた柱脚部固定構造及び柱脚部固定構造の施工方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る柱脚部固定構造は、基礎コンクリートに固定されたアンカーボルトと、該アンカーボルトが貫通するアンカーボルト貫通孔が形成されたベースプレートと、該ベースプレートに下端が固定された鉄骨柱と、前記アンカーボルト貫通孔を貫通した状態の前記アンカーボルトに螺合して、前記鉄骨柱の軸方向において前記ベースプレートを前記基礎コンクリート側に押し付けて締結する上ナットと、前記鉄骨柱の軸方向に直交する第1方向において、前記ベースプレートの端面と対向して配置される第1支圧部材と、前記第1支圧部材に接続された伝達部材と、を備え、前記第1支圧部材は、前記ベースプレートからの前記第1方向に沿った荷重を受け、前記伝達部材に伝達し、前記伝達部材は、前記基礎コンクリートに前記荷重を伝達可能に設置される。
【0009】
本開示に係る柱脚部固定構造の施工方法は、基礎コンクリートから突出したアンカーボルトにベースプレートを固定することにより柱脚を前記基礎コンクリートに立設する柱脚部固定構造の施工方法であって、前記基礎コンクリートの上面から間隔をおいて前記ベースプレートを配置する工程と、前記柱脚の軸方向に対し直交する第1方向において、前記ベースプレートの端面と対向させ前記ベースプレートからの前記第1方向に沿った荷重が伝達するように第1支圧部材を配置する工程と、伝達部材は前記第1支圧部材に接合され、前記第1支圧部材から前記伝達部材に伝達した前記荷重が前記基礎コンクリートに伝達するように前記伝達部材を設置する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、柱脚からベースプレートに伝達したせん断力を、第1支圧部材及び伝達部材を介して基礎コンクリートの上面又は側面に伝達することができる。そのため、基礎コンクリートの内部にせん断力を支持する部材を設置せずにせん断力に対する耐力を向上させることができ、内部の配筋に影響を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る柱脚部固定構造100の一例の斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る柱脚部固定構造100の一例の断面構造の説明図である。
【
図3】
図1の柱脚部固定構造100の平面図である。
【
図4】
図1の柱脚部固定構造100の一例の側面図である。
【
図5】
図1の柱脚部固定構造100の一例の側面図である。
【
図6】実施の形態1に係る柱脚部固定構造100の板状部材63を基礎コンクリート10の側面11に取り付けた状態の断面構造の説明図である。
【
図7】実施の形態1に係る柱脚部固定構造100のベースプレート30が載置される直前の状態を示す断面構造の説明図である。
【
図8】実施の形態1に係る柱脚部固定構造100の基礎コンクリート10の上に鉄骨柱40が立設された状態の断面構造の説明図である。
【
図9】実施の形態1に係る柱脚部固定構造100のベースプレート30の周囲に中間部材61を設置した状態の基礎コンクリート10の上に鉄骨柱40が立設された状態の断面構造の説明図である。
【
図10】実施の形態1に係る柱脚部固定構造100のベースプレート30と基礎コンクリート10の上面14との間にグラウト材90を注入する工程における断面構造の説明図である。
【
図11】実施の形態1に係る柱脚部固定構造100の変形例の平面図である。
【
図12】比較例である柱脚部固定構造1000の断面構造の説明図である。
【
図13】比較例である柱脚部固定構造1000の断面構造の説明図である。
【
図14】実施の形態2に係る柱脚部固定構造200の断面構造の説明図である。
【
図16】実施の形態2に係る柱脚部固定構造200のシアプレート260を基礎コンクリート10に載置する前の状態の断面構造の説明図である。
【
図17】実施の形態2に係る柱脚部固定構造200の基礎コンクリート10の上に鉄骨柱40が立設された状態の断面構造の説明図である。
【
図18】実施の形態2に係る柱脚部固定構造200のベースプレート30と基礎コンクリート10の上面14との間にグラウト材90を注入する工程における断面構造の説明図である。
【
図19】実施の形態2に係る柱脚部固定構造200の変形例1の断面構造の説明図である。
【
図20】実施の形態2に係る柱脚部固定構造200の変形例1の平面図である。
【
図21】実施の形態2に係る柱脚部固定構造200の変形例2の断面構造の説明図である。
【
図22】実施の形態2に係る柱脚部固定構造200の変形例2の平面図である。
【
図23】実施の形態3に係る柱脚部固定構造300の一例の斜視図である。
【
図24】実施の形態3に係る柱脚部固定構造300の一例の断面構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
以下、図面に基づいて本開示の実施の形態について説明する。各図において、同一の符号を付した部材等については、同一の又はこれに相当する部材等を表すものであって、これは明細書の全文において共通している。また、明細書全文に表れている構成要素の形態は、あくまで例示であって、明細書内の記載のみに限定されるものではない。構成要素の組み合わせは、各実施の形態における組み合わせのみに限定するものではなく、他の実施の形態に記載した構成要素を別の実施の形態に適用することができる。さらに、添字で区別等している複数の同種の機器等について、特に区別したり、特定したりする必要がない場合には、添字を省略して記載する場合がある。また、図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0013】
(柱脚部固定構造100)
図1は、実施の形態1に係る柱脚部固定構造100の一例の斜視図である。
図2は、実施の形態1に係る柱脚部固定構造100の一例の断面構造の説明図である。
図3は、
図1の柱脚部固定構造100の平面図である。柱脚部固定構造100は、鉄骨柱40をベースプレート30を介して基礎コンクリート10に固定するものである。なお、鉄骨柱40の下端部を柱脚部と呼ぶ。基礎コンクリート10は、上面から突出するアンカーボルト50を備える。基礎コンクリート10の上面の上方にはまんじゅうとも呼ばれる鉄骨建方用モルタル70を介してベースプレート30が配置されている。ベースプレート30には、鉄骨柱40の下端40aが接合され、ベースプレート30が、ナット51及びアンカーボルト50により締結固定されることにより、鉄骨柱40は、基礎コンクリート10の上面に立設される。なお、鉄骨建方用モルタル70はベースプレート30及び鉄骨柱40を設置する際に高さ位置を調整するための仮置きに使用するものである。ベースプレート30は、鉄骨建方用モルタル70を介して基礎コンクリート10の上面に載置される形態に限定されるものではなく、例えば、アンカーボルト50に螺合した下ナット(図示なし)の上に載置することにより基礎コンクリート10の上面14から上方に配置されても良い。
【0014】
ベースプレート30と基礎コンクリート10の上面との間にはグラウト材90が充填される。グラウト材90は、鉄骨柱40の軸方向、すなわちz方向逆向きに掛かる荷重を基礎コンクリート10の上面に伝達する。また、グラウト材90は、アンカーボルト貫通孔31とアンカーボルト50との間に充填されても良い。このように構成することにより、ベースプレート30に水平方向に力が加わったときに、グラウト材90を介してアンカーボルト50に力を伝えることができる。なお、グラウト材90は、例えば無収縮モルタルなどにより構成され、充填材とも称される。
【0015】
(グラウト材90)
基礎コンクリート10の上面にはベースプレート30の鉛直方向のレベル(高さ位置)を調整するための鉄骨建方用モルタル70が設けられている。鉄骨建方用モルタル70は、ベースプレート30の中央の下方にある。鉄骨建方用モルタル70の上面にベースプレート30が載置されている。また、ベースプレート30の下方において、鉄骨建方用モルタル70の周囲を包み込むように、基礎コンクリート10の上面とベースプレート30の下面との間にグラウト材90が設けられている。なお、平面視(鉄骨柱40側からz方向逆向きに見た状態)において、グラウト材90は、ベースプレート30よりも広い範囲に設けられている。
【0016】
(ベースプレート30)
実施の形態1においては、ベースプレート30は、平面視において略矩形の板状の金属部材であって、上面の中央部に鉄骨柱40が溶接などの手段により接合されている。ベースプレート30の角の近傍にはそれぞれアンカーボルト貫通孔31が設けられている。実施の形態1においては、
図3の例に示す様に、アンカーボルト貫通孔31は4箇所に設けられているが、
図1に示す様にさらに多く設けられていても良い。
【0017】
(アンカーボルト50、ナット51及び座金52)
アンカーボルト50は、基礎コンクリート10の内部にアンカーユニット(図示せず)などを用いて設置され、基礎コンクリート10の上面14の所定の位置から突出するように設けられる。アンカーボルト50は、ベースプレート30のアンカーボルト貫通孔31に挿通される。また、アンカーボルト50は、座金52の孔に挿通され、ナット51が螺合する。ベースプレート30は、ナット51を締結することにより基礎コンクリート10の上面に固定される。
【0018】
(シアキャップ60)
図1に示すように、実施の形態1に係る柱脚部固定構造100は、基礎コンクリート10の上部を側方から包囲するシアキャップ60を備える。言い換えると、シアキャップ60は、基礎コンクリート10の上部を、鉄骨柱40の軸方向に直交する第1方向(
図1のxy平面に平行な方向)から包囲している。また、シアキャップ60は、ベースプレート30及びグラウト材90も第1方向から包囲している。
【0019】
図2に示すように、鉄骨柱40にせん断荷重Fがx方向逆向きに加わったときに、シアキャップ60を構成する板状部材63であって、せん断荷重Fが向いている方向に位置する板状部材63a(
図2の左側に配置されている板状部材63a)は、ベースプレート30の第1方向を向いた端面32から中間部材61を介してせん断荷重Fを受ける。
図2の左側に配置され、柱脚部からせん断荷重Fを受けている板状部材63aを「第1支圧部材」と称する。中間部材61は、ベースプレート30に掛かったせん断荷重Fを第1支圧部材である板状部材63に伝達するものである。
【0020】
図3に示すように、板状部材63は、矩形に組み合わされ、基礎コンクリート10及びベースプレート30を第1方向から包囲している。板状部材63aに対しx方向において対向して配置されている板状部材63bは、板状部材63aと板状部材63c及び63dにより接続されている。第1支圧部材に対し第1方向において対向し、基礎コンクリート10に荷重を伝達する板状部材63bを「第2支圧部材」と称する。第2支圧部材は、シアキャップ60を構成する部材のうち基礎コンクリート10に荷重を伝達する部材である。
【0021】
図4は、
図1の柱脚部固定構造100の一例の側面図である。第2支圧部材である板状部材63bは、板状部材63c及び63dを介してせん断荷重Fを受け、基礎コンクリート10の
図4において右側の側面11に伝達する。つまり、シアキャップ60は、ベースプレート30からせん断荷重Fを受けて基礎コンクリート10の
図4において右側にある側面11に伝達する。シアキャップ60により、柱脚部に加わったせん断荷重Fは、基礎コンクリート10の側面11によって支持されるため、柱脚部固定構造100のせん断荷重に対する耐力が向上する。言い換えると、
図4の基礎コンクリート10の右側の側面11の反力fが、第2支圧部材である板状部材63bから板状部材63c及び63dを経て第1支圧部材である板状部材63aに伝達し、鉄骨柱40及びベースプレート30に掛かるせん断荷重Fに対抗する。このとき、板状部材63c及び63dは、「伝達部材」と称する。
【0022】
なお、
図2においてせん断荷重Fが逆方向(x方向)に加わった場合は、
図2において右側にある板状部材63bが「第1支圧部材」となり、左側にある板状部材63aが「第2支圧部材」となる。この場合であっても、伝達部材である板状部材63c及び63dは、第1支圧部材である板状部材63bからの荷重を第2支圧部材である板状部材63aに伝達し、第2支圧部材である板状部材63aが基礎コンクリート10の側面11に荷重を伝達することによりせん断荷重Fに対抗できる。
【0023】
図5は、
図1の柱脚部固定構造100の一例の側面図である。
図4においては、基礎コンクリート10を基礎梁12が接続されていない側面11から見たときの構造を説明したが、
図5は、基礎コンクリート10の基礎梁12が接続された側面11から見た図を示している。基礎梁12が接続された側面11に第1支圧部材、第2支圧部材及び伝達部材が配置された場合、第1支圧部材、第2支圧部材及び伝達部材は、切り欠き部64が設けられ、基礎梁12を回避するようにして設置される。第1支圧部材、第2支圧部材及び伝達部材は、切り欠き部64が設けられることにより、面積が減少するが、荷重を伝達できるよう構成されており、鉄骨柱40から入力されるせん断荷重Fに対抗できる。また、第2支圧部材は、ベースプレート30の下面から下端面までの距離Hを適正に確保することにより、切り欠き部64が設けられた側面11との接触面積が減少しても、せん断荷重Fを受けたときの変形などが抑えられる。
【0024】
図3に示すように、少なくとも第1支圧部材となる板状部材63aとベースプレート30の端面32との間にせん断荷重Fを伝達する中間部材61が設置される。中間部材61は、ベースプレート30及び板状部材63aに当接(メタルタッチ)している。実施の形態1においては、第1支圧部材となる板状部材63aとベースプレート30との間だけではなく、板状部材63b、63c及び63dとベースプレート30との間にも中間部材61が設置されている。そのため、例えば
図3において、せん断荷重Fがx方向、y方向、又はy方向逆向きに沿って負荷されるような場合であっても、ベースプレート30からシアキャップ60に荷重が伝達され、柱脚部固定構造100は、せん断荷重Fに対し対抗できる。
【0025】
<実施の形態1に係る柱脚部固定構造100の施工方法>
次に実施の形態1に係る柱脚部固定構造100の施工方法について説明する。
図6は、実施の形態1に係る柱脚部固定構造100の板状部材63を基礎コンクリート10の側面11に取り付けた状態の断面構造の説明図である。まず、基礎コンクリート10の側面11に板状部材63が取り付けられる。板状部材63は、鉄骨柱40からせん断荷重Fが掛かった場合に基礎コンクリート10の側面11に荷重が伝達されるように当接した状態で固定される。特に、第2支圧部材となる板状部材63は、側面11に当接させる必要がある。板状部材63は、基礎コンクリート10の上面14と側面11に当接する板面との間を例えばアングル部材81により接続して固定される。なお、第2支圧部材として用いられる板状部材63と側面11との間に隙間がある場合は、その隙間にグラウト材90を充填しても良い。
【0026】
図7は、実施の形態1に係る柱脚部固定構造100のベースプレート30が載置される直前の状態を示す断面構造の説明図である。
図6の状態において4本のアンカーボルト50の先端の位置を固定していたテンプレート80が撤去される。基礎コンクリート10の上面14には、鉄骨建方用モルタル70が載置される。鉄骨建方用モルタル70は、その上にベースプレート30が載置され、鉄骨柱40の高さ位置が調整される。鉄骨柱40の高さ位置調整は、鉄骨建方用モルタル70のみに限定されず、例えばアンカーボルト50に螺合しベースプレート30の下に配置されたナット又はダブルナット(図示せず)により行っても良い。また、鉄骨柱40の高さ位置調整は、鉄骨建方用モルタル70とアンカーボルト50に螺合したナットを併用して行っても良い。なお、実施の形態1においては、アンカーボルト50が4本設置された柱脚部固定構造100について説明しているが、アンカーボルト50の本数を限定するものではない。アンカーボルト50は、例えば8本又は12本など適宜設置数を変更できる。
【0027】
図8は、実施の形態1に係る柱脚部固定構造100の基礎コンクリート10の上に鉄骨柱40が立設された状態の断面構造の説明図である。鉄骨柱40は、下端40aにベースプレート30が接合された状態により、クレーンなどで吊り上げて基礎コンクリート10上に設置される。鉄骨柱40を立設するにあたっては、ベースプレート30の4つの角の周辺に設けられたアンカーボルト貫通孔31にアンカーボルト50を挿通し、アンカーボルト50に螺合させたナット51を締結して、ベースプレート30を固定する。ナット51は、ベースプレート30の上面との間に座金52を挟んだ状態で締結される。
【0028】
図9は、実施の形態1に係る柱脚部固定構造100のベースプレート30の周囲に中間部材61を設置した状態の基礎コンクリート10の上に鉄骨柱40が立設された状態の断面構造の説明図である。鉄骨柱40及びベースプレート30の位置が決まったところで、ベースプレート30とシアキャップ60との間に中間部材61が設置される。中間部材61は、ベースプレート30とシアキャップ60との隙間を埋めるものであり、落下防止治具82を用いて隙間に仮止めされ、ベースプレート30及びシアキャップ60の少なくとも一方と溶接される。なお、中間部材61は、ベースプレート30及びシアキャップ60と当接し、荷重を伝達できれば良いため、必ずしも溶接されなくとも良い。なお、中間部材61の代わりにグラウト材90を充填し、そのグラウト材90を中間部材とすることもできる。この場合は、
図9において中間部材61は配置されず、次のグラウト材90を注入する工程において、中間部材61が配置されている位置までグラウト材90を充填する。また、グラウト材90を中間部材とする場合は、ベースプレート30上に十分な厚さのコンクリートが打設されると良い。
【0029】
図10は、実施の形態1に係る柱脚部固定構造100のベースプレート30と基礎コンクリート10の上面14との間にグラウト材90を注入する工程における断面構造の説明図である。中間部材61は、貫通穴62が設けられており、例えばそのうち1箇所からグラウト材90を注入する。貫通穴62は、望ましくは注入口となるもの以外に少なくとももう1箇所に設けられており、グラウト材90がベースプレート30と基礎コンクリート10の上面14に隙間なく充填されたかどうかを確認するための穴となる。つまり、注入口となる貫通穴62以外に流出口となる貫通穴62を設けることにより、グラウト材90の充填時の空気抜きの穴となるとともに、グラウト材90が流出することにより空間にグラウト材90が充填されたことを確認することが可能となる。
【0030】
以上のように、実施の形態1に係る柱脚部固定構造100が施工される。なお、シアキャップ60は、
図6に示されるように基礎コンクリート10の上面14から上方に突出して設置され、基礎コンクリート10の側方を包囲しているため、グラウト材90を充填する際の型枠としての機能を兼ねることができる。また、
図6において、板状部材63と基礎コンクリート10とは、アングル部材81で固定されているが、その他の構造で固定されていても良い。たとえば、板状部材63と基礎梁12とを固定しても良い。また、アングル部材81は、
図7においては取り外されているが、取り付けたままの状態であっても良い。
【0031】
<実施の形態1に係る柱脚部固定構造100の施工方法の変形例>
図6においては、基礎コンクリート10が設置された後に、基礎コンクリート10の側面11にシアキャップ60を設置する手順について説明したが、シアキャップ60は、基礎コンクリート10が設置される前に設置され、基礎コンクリート10を打設するための型枠としても利用することも可能である。
【0032】
図6において、シアキャップ60の下方に示されている二点鎖線は、基礎コンクリート10を打設するための型枠83を示している。型枠83は、基礎コンクリート10が打設される前に設置されるものである。施工方法の変形例においては、型枠83の上にシアキャップ60が設置され、シアキャップ60も型枠83と共に基礎コンクリート10が打設されるための空間を形成する。シアキャップ60及び型枠83の内側の空間に基礎コンクリート10が打設され、硬化した後に、型枠83は取り外される。型枠83が取り外される前にシアキャップ60を構成する板状の部材63と基礎コンクリート10とは、アングル部材81により固定されても良い。ただし、
図3及び
図4に示す様に、基礎梁12が設置されている場合は、アングル部材81が設置されなくともシアキャップ60は基礎コンクリート10との位置関係が保持される。
【0033】
以上のように、基礎コンクリート10を打設するための型枠としてシアキャップ60を用いることにより、シアキャップ60と基礎コンクリート10の側面11との間に隙間が発生するのを抑えることができるため、後からシアキャップ60と基礎コンクリート10の側面11との間にグラウト材などを充填する工程が不要となる。
【0034】
<柱脚部固定構造100の変形例>
図11は、実施の形態1に係る柱脚部固定構造100の変形例の平面図である。実施の形態1の変形例である柱脚部固定構造100Aは、
図3に示されている柱脚部固定構造100に対し、中間部材61の構造を変更したものである。
図11に示される柱脚部固定構造100Aにおいては、鉄骨柱40から入力されるせん断荷重Fが、x方向及びx方向の逆方向に沿って入力されることを想定しており、シアキャップ60は、ベースプレート30を包囲し、全周にわたって少なくとも荷重が伝達するように設置されている。一方、柱脚部固定構造100Aは、中間部材61がベースプレート30のx方向の端面32に当接するように配置されている。そして、ベースプレート30のy方向の端面32とシアキャップ60との間に隙間が設けられている。柱脚部固定構造100Aは、この隙間からグラウト材90を充填できる。
【0035】
柱脚部固定構造100Aは、例えばせん断荷重Fのx方向成分のみに対し強度を確保すれば良い場合に有効である。
【0036】
<実施の形態1に係る柱脚部固定構造100、100Aの効果>
図12は、比較例である柱脚部固定構造1000の断面構造の説明図である。比較例の柱脚部固定構造1000は、ベースプレート30の下面にシアキー35が下方に突出して設けられている。柱脚部固定構造1000は、シアキー35により鉄骨柱40に加わったせん断荷重Fに対抗することができるが、基礎コンクリート10の内部にベースプレート30と接合されたシアキー35を埋設するため、基礎コンクリート10の内部に配置される梁主筋95などの鉄筋の配置をずらす又は削除するなどの対応が必要となる。
【0037】
例えば、
図12の鉄骨柱40に接合されているガセットプレート41を引っ張る方向に荷重が掛かった場合、鉄骨柱40にはx方向にせん断荷重Fが入力される。すると、シアキー35には図中の反力fが生じ、せん断荷重Fに対抗することができる。しかし、基礎コンクリート10の内部には、基礎コンクリート10の強度を確保するために、鉄筋が多く配置されており、シアキー35を設置するためには、例えば水平方向にまっすぐ通されている梁主筋95がシアキー35を回避するように曲げて設置される必要がある。また、鉄筋がシアキー35を回避するように設置されるだけでなく、配置する鉄筋の量も削減しなければならない場合があり、基礎コンクリート10の強度を確保するためには、基礎コンクリート10自体を大きくする必要がある。
【0038】
図13は、比較例である柱脚部固定構造1000の断面構造の説明図である。
図13の比較例の柱脚部固定構造1000は、ベースプレート30を固定するアンカーボルト50を増設してせん断荷重Fに対抗するものであるが、反力fを生じるアンカーボルト50の本数が増加し、せん断荷重Fに対する強度が向上する。しかし、増設したアンカーボルト50が基礎コンクリート10の側面11に近い場合、例えばコーン状側方破壊により
図13の部位Dが破損し、基礎コンクリート10に亀裂や欠損などが生ずる。したがって、
図13に示す柱脚部固定構造1000においても、増設するアンカーボルト50に応じて基礎コンクリート10自体を大きくする必要がある。
【0039】
一方、実施の形態1に係る柱脚部固定構造100、100Aは、基礎コンクリート10の内部の領域に侵入して配置するような構造を必要とせずに、せん断荷重Fに対抗する反力fを得ることができ、せん断荷重Fに対する強度を向上させることが可能となる。したがって、実施の形態1に係る柱脚部固定構造100によれば、基礎コンクリート10の設計を変更することなく、柱脚部固定構造100の強度を向上できる。また、実施の形態1に係る柱脚部固定構造100、100Aを用いることによって、従来のベースプレート30に合わせてシアキャップ60を構成できるため、柱脚の構造を新たに設計する必要もない。
【0040】
実施の形態2.
実施の形態2に係る柱脚部固定構造200は、実施の形態1における柱脚部固定構造100に対し、第1支圧部材及び伝達部材の構造を変更したものである。実施の形態2においては、実施の形態1に対する変更点を中心に説明する。
【0041】
図14は、実施の形態2に係る柱脚部固定構造200の断面構造の説明図である。柱脚部固定構造200は、第1支圧部材となる部材263及び伝達部材となる部材265によって鉄骨柱40に掛かるせん断荷重Fを支持するものである。ベースプレート30からのせん断荷重Fを支持する部材をシアプレート260と称する。シアプレート260は、第1支圧部材となる部材263、伝達部材となる部材265及び部材265に接合されたスタッド266を備える。第1支圧部材となる部材263は、ベースプレート30の端面32に当接し、せん断荷重Fが伝達される。部材263は、伝達部材となる部材265の一方の端部に接続され一体に形成され、部材263に伝達されたせん断荷重Fが部材265に伝達される。伝達部材である部材265は、部材263が接続されている一方の端部に対し反対側の端部265aにスタッド266を備える。スタッド266は、部材265と基礎コンクリート10との間に充填されたグラウト材90に埋設され、伝達部材である部材265からの荷重を基礎コンクリート10と一体になって支持する。つまり、
図14のせん断荷重Fは、第1支圧部材となる部材263から伝達部材となる部材265、スタッド266及びグラウト材90、基礎梁12を経て基礎コンクリート10に支持される。なお、
図14において、伝達部材となる部材265と第1支圧部材となる部材263とは、塑性加工又は切削加工により一体の部材から形成されていても良いし、2つの部材263及び265を溶接又はボルトによる固定などの手段により接合して構成されても良い。
【0042】
図15は、
図14の柱脚部固定構造200の平面図である。第1支圧部材となる部材263は、ベースプレート30のx方向逆向きを向いた端面32に当接している。伝達部材となる部材265は、ベースプレート30の下側にアンカーボルト50を回避するように配置され、第1支圧部材となる部材263に対し鉄骨柱40を挟んで反対側(x方向)に向かって延びている。部材265は、ベースプレート30の4つの角に対応する部分を切り欠くように形成されているが、アンカーボルト50を回避するように形成されていれば、例えば貫通孔が設けられていても良い。伝達部材となる部材265の端部265aは、複数のスタッド266が接続されている。
【0043】
スタッド266は、シアプレート260が受けた荷重を、グラウト材90を介して基礎コンクリート10に伝達するものである。スタッド266は、棒状の部材の先端が拡大した形状を有する部材であり、部材265に接合されている。スタッド266は、例えばボルトを部材265に開けた雌ねじに螺合させて設置されても良い。または、
図14に示されているような棒状の部材ではなく、部材265に凹凸を設けてグラウト材90と噛み合うように形成されていても良い。なお、スタッド266は、シアプレート260を構成する部材のうち基礎コンクリート10に荷重を伝達するため、「第2支圧部材」とも称する。また、スタッド266が設置されている端部265aは、基礎コンクリート10にグラウト材90を介して接合される部分であり、「接合部」とも称する。
【0044】
また、スタッド266は、シアプレート260の部材265の上面からz方向に突出して設けられていても良い。柱脚部固定構造100は、設置された後に増し打ちコンクリート99などにより覆われる。シアプレート260から上方に延びるスタッド266は、増し打ちコンクリート99と噛み合い、せん断荷重Fを増し打ちコンクリート99を介して基礎コンクリート10に伝達する。実施の形態2に係る柱脚部固定構造200においては、
図14に示す荷重Fの方向にベースプレート30にせん断荷重が掛かるが、床の中央側の増し打ちコンクリート99及びグラウト材90にスタッド266から荷重が伝達されることにより荷重Fが支持される。従って、
図14の左側の領域Bにある増し打ちコンクリート99及びグラウト材90への負荷が抑えられるため、破損を抑制できる。
【0045】
また、
図15に示されているように、シアプレート260は、y方向にも第1支圧部材となる部材263を備えているため、せん断荷重Fがy方向に負荷された場合においても対抗できるように構成されている。
【0046】
<実施の形態2に係る柱脚部固定構造200の施工方法>
次に実施の形態2に係る柱脚部固定構造200の施工方法について説明する。
図16は、実施の形態2に係る柱脚部固定構造200のシアプレート260を基礎コンクリート10に載置する前の状態の断面構造の説明図である。
図16に示すように、アンカーボルト50の先端の位置を固定していたテンプレート80(
図6参照)が撤去されている。基礎コンクリート10の上面14には、鉄骨建方用モルタル70が載置される。鉄骨建方用モルタル70は、その上に部材265及びベースプレート30が載置され、鉄骨柱40の高さ位置が調整される。鉄骨柱40の高さ位置調整は、鉄骨建方用モルタル70のみに限定されず、例えばアンカーボルト50に螺合したナット又はダブルナット(図示せず)により行っても良い。また、鉄骨柱40の高さ位置調整は、鉄骨建方用モルタル70とアンカーボルト50に螺合したナットを併用して行っても良い。
【0047】
図17は、実施の形態2に係る柱脚部固定構造200の基礎コンクリート10の上に鉄骨柱40が立設された状態の断面構造の説明図である。実施の形態2に係るシアプレート260は、鉄骨柱40のベースプレート30と一体に組み合わせた状態で、基礎コンクリート10の上に配置される。シアプレート260は、ベースプレート30とクランプ(図示せず)などを用いて一体に組み合わされた状態でクレーンなどを用いて基礎コンクリート10の上に載置される。鉄骨柱40を立設するにあたっては、ベースプレート30の4つの角の周辺に設けられたアンカーボルト貫通孔31にアンカーボルト50を挿通し、アンカーボルト50に螺合させたナット51を締結して、ベースプレート30を固定する。ナット51は、ベースプレート30の上面との間に座金52を挟んだ状態で締結される。
【0048】
図18は、実施の形態2に係る柱脚部固定構造200のベースプレート30と基礎コンクリート10の上面14との間にグラウト材90を注入する工程における断面構造の説明図である。シアプレート260と基礎コンクリート10の上面14との間にグラウト材90を充填するにあたり、ベースプレート30及びシアプレート260の周囲に型枠部材98が設置される。型枠部材98とベースプレート30及びシアプレート260との間には、隙間が設けられていても良いし、例えばベースプレート30又はシアプレート260に貫通孔が設けられていても良い。グラウト材90は、その隙間又は貫通孔から注入される。また、グラウト材90がその隙間又は貫通孔から流出することを確認することにより、ベースプレート30及びシアプレート260の下の空間にグラウト材90が充填されたことを確認することが可能となる。
【0049】
以上のように、実施の形態2に係る柱脚部固定構造200が施工される。グラウト材90が固化した後は、型枠部材98は取り外される。また、柱脚部固定構造200が設置された後に、柱脚、ベースプレート30及びシアプレート260を覆うように増し打ちコンクリート99が打設される。
図14においては、スタッド266は、基礎コンクリート10側とは反対側にも突出しており、増し打ちコンクリート99を介してせん断荷重Fを支持することもできる。なお、増し打ちコンクリート99は、基礎コンクリート10及び基礎梁12の上に形成されるスラブであっても良い。
【0050】
<柱脚部固定構造200の変形例>
図19は、実施の形態2に係る柱脚部固定構造200の変形例1の断面構造の説明図である。実施の形態2の変形例1である柱脚部固定構造200Aは、柱脚部固定構造200に対し、第1支圧部材となる部材267を追加したものである。部材267は、シアプレート260Aの伝達部材となる部材265の上面に接合され、ベースプレート30のx方向の端面32に当接するように設置される。
【0051】
図19に示すようにx方向にせん断荷重Fが掛かった場合、シアプレート260Aは、ベースプレート30のx方向を向いた端面32からせん断荷重Fが伝達され、伝達部材となる部材265を経てスタッド266に荷重が伝達される。スタッド266は、グラウト材90及び増し打ちコンクリート99と噛み合う部材であり、
図14に示されるx方向逆向きのせん断荷重Fに対してだけでなく、
図19に示されているx方向に掛かるせん断荷重Fにも対抗できる。
【0052】
図20は、実施の形態2に係る柱脚部固定構造200の変形例1の断面構造の平面図である。部材267は、シアプレート260Aがy方向逆向きのせん断荷重Fを受けた場合であっても対抗できるように構成されている。つまり、部材267は、
図20のy方向逆向きを向いたベースプレート30の端面32に対向する位置にも配置されており、部材267を介して部材265にせん断荷重Fが伝達され、さらに
図20のy方向逆向きに延びる部分に設置されたスタッド266を介して基礎コンクリート10に伝達される。
【0053】
図21は、実施の形態2に係る柱脚部固定構造200の変形例2の断面構造の説明図である。
図22は、実施の形態2に係る柱脚部固定構造200の変形例2の平面図である。実施の形態2の変形例である柱脚部固定構造200Bは、実施の形態2に係る柱脚部固定構造200に対し、シアプレート260の構造を変更したものである。シアプレート260Bは、ベースプレート30の周囲を包囲するように部材263Bが配置される。部材263Bは、中央部に開口268が設けられ、開口268の内面のうち部材265が延びる方向とは逆側に位置する内面263a及び263bがベースプレート30の端面32と当接している。
【0054】
ベースプレート30の端面32と当接している内面263a及び263bは、シアプレート260の第1支圧部材となる部材263(
図14及び
図15参照)と同様にベースプレート30からのせん断荷重Fを受け、伝達部材となる部材265及びスタッド266を介して基礎コンクリート10にせん断荷重Fを支持する。シアプレート260Bは、開口のx方向逆向き側の内面263a及びy方向の内面263bがベースプレート30と当接し、それらに対向する内面263c及び263dがベースプレート30と隙間269を置いて位置している。そのため、シアプレート260Bは、
図21に示されているせん断荷重Fを支持することができるが、x方向及びy方向逆向きに沿ったせん断荷重Fに対しては対抗できない。ただし、隙間269を埋める部材を追加し、ベースプレート30から内面263c及び263dに荷重が伝達できるように構成することにより、シアプレート260Bは逆方向のせん断荷重Fにも対抗できる。
【0055】
<実施の形態2に係る柱脚部固定構造200、200A、200Bの効果>
実施の形態2に係る柱脚部固定構造200、200A及び200Bは、実施の形態1と同様に基礎コンクリート10の内部の領域に侵入して配置するような構造を必要とせずに、せん断荷重Fに対抗する反力fを得ることができ、せん断荷重Fに対する強度を向上させることが可能となる。したがって、実施の形態2に係る柱脚部固定構造200、200A、200Bによれば、基礎コンクリート10の納まりを大きく変更することなく、柱脚部固定構造200、200A、200Bの強度を向上できる。また、実施の形態2に係る柱脚部固定構造200、200A、200Bを用いることによって、従来のベースプレート30に合わせてシアプレート260を構成できるため、柱脚の構造を新たに設計する必要もない。
【0056】
また、実施の形態2においては、第1支圧部材となる部材263とベースプレート30との隙間を埋めるための中間部材61を使用することがないため、設置が容易になる。また、柱脚部固定構造200Aの部材267は、基礎コンクリート10に設置する前にあらかじめベースプレート30と組み合わせた上で当接させた状態にすることにより、より確実に荷重を伝達させる構造が実現できる。また、柱脚部固定構造200Aの部材267は、鉄骨柱40を基礎コンクリート10上に設置し、
図14の状態になったところで接合されても良い。
【0057】
実施の形態3.
実施の形態3に係る柱脚部固定構造300は、実施の形態1における柱脚部固定構造100に対し、第1支圧部材及び伝達部材の構造を変更したものである。実施の形態3においては、実施の形態1に対する変更点を中心に説明する。
【0058】
図23は、実施の形態3に係る柱脚部固定構造300の一例の斜視図である。
図24は、実施の形態3に係る柱脚部固定構造300の一例の断面構造の説明図である。実施の形態3に係る柱脚部固定構造300は、シアキャップ60を設置する範囲をベースプレート30から基礎梁12の上面までの間に設置したものである。
【0059】
実施の形態3においては、基礎梁12が基礎コンクリート10の上面14から下方に離れた位置に配置されている。シアキャップ60を構成する板状部材63a~63dは、基礎梁12を回避する切り欠き部64を有しておらず、基礎梁12の上面から上の部分において基礎コンクリート10及びベースプレート30を第1方向(
図23のxy平面に平行な方向)から包囲する。
【0060】
実施の形態3においても、
図23に示すように鉄骨柱40及びベースプレート30にせん断荷重Fが加わると、せん断荷重Fは、中間部材61から第1支圧部材となる板状部材63a、伝達部材となる板状部材63c及び63dを経て、第2支圧部材となる板状部材63bに伝達する。板状部材63bは、基礎コンクリート10の
図23において右側に位置する側面11に接しており、第2支圧部材である板状部材63bに伝達したせん断荷重Fが側面11に支持される。
【0061】
実施の形態3においては、基礎コンクリート10の上面14が基礎梁12の上面から上方に離れており、ベースプレート30から基礎梁12の上面までの間に支圧部材及び伝達部材となるシアキャップ60が設置されているため、簡易な構造で鉄骨柱40に負荷されたせん断荷重Fに対抗できる。実施の形態1においては、
図4に示す様に、基礎梁12の上面と基礎コンクリート10の上面14とが同じ高さにあるため、シアキャップ60は、切り欠き部64を有していなければ、荷重を基礎コンクリート10の側面11に伝達することができない。しかし、実施の形態3の柱脚部固定構造300によれば、シアキャップ60は切り欠き部64を備えていなくても、側面11に荷重を伝達することが可能となる。
【0062】
実施の形態3に係る柱脚部固定構造300は、実施の形態1に係る柱脚部固定構造100、100Aと同様に、基礎コンクリート10の内部の領域に侵入して配置するような構造を必要とせずに、せん断荷重Fに対抗する反力fを得ることができ、せん断荷重Fに対する強度を向上させることが可能となる。したがって、実施の形態3に係る柱脚部固定構造300によれば、基礎コンクリート10の納まりを大きく変更することなく、強度を向上できる。また、実施の形態1に係る柱脚部固定構造300を用いることによって、従来のベースプレート30に合わせてシアキャップ60を構成できるため、柱脚の構造を新たに設計する必要もない。
【0063】
以上に本開示を実施の形態に基づいて説明したが、本開示は上述した実施の形態の構成のみに限定されるものではない。特に構成要素の組み合わせは、実施の形態における組み合わせのみに限定するものではなく、適宜変更することができる。また、いわゆる当業者が必要に応じてなす種々なる変更、応用、利用の範囲をも本開示の要旨(技術的範囲)に含むことを念のため申し添える。
【0064】
上記に説明した柱脚部固定構造100、100A、200、200A、200B及び300は、以下の付記1~14に示す各特徴の組み合わせも含み得るものである。その組み合わせについて下記に示す。
【0065】
[付記1]
基礎コンクリートに固定されたアンカーボルトと、
該アンカーボルトが貫通するアンカーボルト貫通孔が形成されたベースプレートと、
該ベースプレートに下端が固定された鉄骨柱と、
前記アンカーボルト貫通孔を貫通した状態の前記アンカーボルトに螺合して、前記鉄骨柱の軸方向において前記ベースプレートを前記基礎コンクリート側に押し付けて締結する上ナットと、
前記鉄骨柱の軸方向に直交する第1方向において、前記ベースプレートの端面と対向して配置される第1支圧部材と、
前記第1支圧部材に接続された伝達部材と、を備え、
前記第1支圧部材は、
前記ベースプレートからの前記第1方向に沿った荷重を受け、前記伝達部材に伝達し、
前記伝達部材は、
前記基礎コンクリートに前記荷重を伝達可能に設置される、柱脚部固定構造。
[付記2]
前記伝達部材は、
前記第1方向において、一方の端部に前記第1支圧部材が接続され、
他方の端部に前記基礎コンクリートに接合される接合部を備える、付記1に記載の柱脚部固定構造。
[付記3]
前記伝達部材は、
前記接合部に前記基礎コンクリートに向かって突出する第2支圧部材を備え、
前記第2支圧部材は、
前記伝達部材と前記基礎コンクリートとの間に充填されたグラウト材に前記荷重を伝達する、付記2に記載の柱脚部固定構造。
[付記4]
前記第2支圧部材は、
棒状であり、少なくとも一方の端部に軸方向に直交する方向に突出する頭部を備える、付記3に記載の柱脚部固定構造。
[付記5]
前記第1支圧部材と前記伝達部材とは、
一体の板状部材として形成され、
前記板状部材は、
内側に前記ベースプレートが配置される矩形の開口を備え、
前記開口の内周面を形成する4つの面のうち少なくとも1つの面は、
前記ベースプレートの外周の端面に当接する支圧面であり、
前記接合部は、
前記板状部材のうち、前記第1方向において、前記支圧面に対向する方向に延びる部分の端部である、付記4に記載の柱脚部固定構造。
[付記6]
前記第1方向において、前記基礎コンクリートの側面及び前記ベースプレートを包囲するシアキャップを備え、
前記シアキャップは、
前記第1支圧部材と、
前記第1支圧部材に対し前記第1方向において対向して配置された第2支圧部材と、を備え、
前記伝達部材は、
前記第1支圧部材と前記第2支圧部材とを接続し、
前記第2支圧部材は、
前記側面に当接し、
前記ベースプレートから他方の支圧部材及び前記伝達部材を介して伝達された前記荷重を前記側面に伝達する、付記1に記載の柱脚部固定構造。
[付記7]
基礎コンクリートに固定されたアンカーボルトと、
該アンカーボルトが貫通するアンカーボルト貫通孔が形成されたベースプレートと、
該ベースプレートに下端が固定された鉄骨柱と、
前記アンカーボルト貫通孔を貫通した状態の前記アンカーボルトに螺合して、前記鉄骨柱の軸方向において前記ベースプレートを前記基礎コンクリート側に押し付けて締結する上ナットと、
前記鉄骨柱の軸方向に直交する第1方向において、前記基礎コンクリートの側面及び前記ベースプレートを包囲するシアキャップと、を備え、
前記シアキャップは、
前記第1方向において対向して配置された第1支圧部材及び第2支圧部材と、
前記第1支圧部材と前記第2支圧部材とを接続する伝達部材と、を備え、
前記第2支圧部材は、
前記側面に当接し、
前記ベースプレートから前記第1支圧部材及び前記伝達部材を介して伝達された前記第1方向に沿った荷重を前記側面に伝達する、柱脚部固定構造。
[付記8]
前記ベースプレートに対し前記第1方向に配置され、前記ベースプレート及び前記シアキャップに当接している中間部材を更に備える、付記6又は7に記載の柱脚部固定構造。
[付記9]
前記シアキャップは、
前記軸方向に平行な4つの板面を有し、
前記4つの板面は、
前記ベースプレート、前記中間部材及び前記基礎コンクリートの前記側面を包囲し、
前記中間部材は、
前記ベースプレートの前記第1方向の端面と前記4つの板面との間の隙間に配置される、付記8に記載の柱脚部固定構造。
[付記10]
前記ベースプレートと前記基礎コンクリートとの間にはグラウト材が充填され、
前記中間部材は、
前記軸方向に貫通する注入口を備える、付記8又は9に記載の柱脚部固定構造。
[付記11]
前記基礎コンクリートは、
前記側面から前記第1方向に延びる梁を備え、
前記第1支圧部材、前記第2支圧部材及び前記伝達部材のうち少なくとも1つは、
前記梁の形状に沿った切り欠き部を有する、付記6~10の何れか1つに記載の柱脚部固定構造。
[付記12]
基礎コンクリートから突出したアンカーボルトにベースプレートを固定することにより柱脚を前記基礎コンクリートに立設する柱脚部固定構造の施工方法であって、
前記基礎コンクリートの上面から間隔をおいて前記ベースプレートを配置する工程と、
前記柱脚の軸方向に対し直交する第1方向において、前記ベースプレートの端面と対向させ前記ベースプレートからの前記第1方向に沿った荷重が伝達するように第1支圧部材を配置する工程と、
伝達部材は前記第1支圧部材に接合され、前記第1支圧部材から前記伝達部材に伝達した前記荷重が前記基礎コンクリートに伝達するように前記伝達部材を設置する工程と、を備える、柱脚部固定構造の施工方法。
[付記13]
前記第1支圧部材は、
前記ベースプレートの端面に対向する支圧面から前記第1方向に延びる前記伝達部材を備え、
前記伝達部材を前記基礎コンクリートの上方に配置し、
前記ベースプレートを前記第1支圧部材に当接するように配置し、
前記伝達部材の一方の端部に接続された前記第1支圧部材と前記ベースプレートの端面とを当接させ、前記伝達部材の他方の端部を第2支圧部材により前記基礎コンクリートと一体となるように固定する、付記12に記載の柱脚部固定構造の施工方法。
[付記14]
前記第1支圧部材を配置する工程は、
前記第1支圧部材を前記基礎コンクリートの前記軸方向に平行な第1側面に接して配置し、
前記第1支圧部材に対し、前記第1方向において対向させて、前記第1側面に対向する第2側面に接して第2支圧部材を配置する工程を更に備え、
前記伝達部材を設置する工程は、
前記伝達部材を前記第1支圧部材及び前記第2支圧部材に接合し、前記第1支圧部材及び前記第2支圧部材を接続する、付記12に記載の柱脚部固定構造の施工方法。
[付記15]
前記基礎コンクリートを打設するための型枠を設置する工程と、
前記基礎コンクリートを打設する工程と、を更に備え、
前記型枠を設置する工程の後に、前記第1支圧部材を設置する工程、前記第2支圧部材を設置する工程、及び前記伝達部材を設置する工程を行い、
前記基礎コンクリートを打設する工程は、
前記第1支圧部材を設置する工程、前記第2支圧部材を設置する工程、及び前記伝達部材を設置する工程の後に、前記第1支圧部材、前記第2支圧部材、前記伝達部材及び前記型枠の内側の空間にコンクリートを充填する、付記14に記載の柱脚部固定構造の施工方法。
【符号の説明】
【0066】
10 基礎コンクリート、11 側面、12 基礎梁、13 切り欠き部、14 上面、30 ベースプレート、31 アンカーボルト貫通孔、32 端面、35 シアキー、40 鉄骨柱、40a 下端、41 ガセットプレート、50 アンカーボルト、51 ナット、52 座金、60 シアキャップ、61 中間部材、62 貫通穴、63 板状部材、63a 板状部材、63b 板状部材、63c 板状部材、64 切り欠き部、70 鉄骨建方用モルタル、80 テンプレート、81 アングル部材、82 落下防止治具、90 グラウト材、95 梁主筋、98 型枠部材、99 打ちコンクリート、100 柱脚部固定構造、100A 柱脚部固定構造、200 柱脚部固定構造、200A 柱脚部固定構造、200B 柱脚部固定構造、260 シアプレート、260A シアプレート、260B シアプレート、263 部材、263B 部材、263a 内面、263b 内面、263c 内面、263d 内面、265 部材、265a 端部、266 スタッド、267 部材、268 開口、269 隙間、300 柱脚部固定構造、1000 柱脚部固定構造、D 部位、F せん断荷重、H 距離、f 反力。