(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039137
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】貨物自動車利用型災害対策システム
(51)【国際特許分類】
B60P 3/00 20060101AFI20240314BHJP
B65D 77/00 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
B60P3/00 Z
B65D77/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143468
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】513071436
【氏名又は名称】ファシル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】八木 法明
(72)【発明者】
【氏名】八木 貴司
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB99
3E067AC03
3E067AC15
3E067BA06C
3E067BA12B
3E067BB02C
3E067BB14B
3E067BC06C
3E067EA24
3E067EB03
3E067FA04
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】日本中を日々走行している膨大な数の貨物自動車を活用して、災害時に防災用品を必要としている人達に即座に提供することが可能な貨物自動車利用型災害対策システムを提供する。
【解決手段】災害発生時に貨物自動車Kの助手席Kaに常時搭載している段ボール23を開封して上面開口23dから手提げバッグ31を取り出す。次いで、手提げバッグ31に複数の個装体19を入れる。このようにすることで複数の個装体19を容易に運ぶことが可能となる。そして、手提げバッグ31を持って移動して、防災用品を必要とする人達に対し個装体19を配布する。個装体19には複数種類の防災用品が一人分ごと包装されているので、個装体19を受け取った者に対して有効に機能することになる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物自動車と、前記貨物自動車に搭載可能な防災用品と、前記貨物自動車に設けられ前記防災用品の存在を報知する報知手段とで構成され、前記防災用品が災害時に使用されることを特徴とする貨物自動車利用型災害対策システム。
【請求項2】
請求項1に記載した貨物自動車利用型災害対策システムにおいて、
荷台以外のスペースに防災用品を搭載することを特徴とする貨物自動車利用型災害対策システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載した貨物自動車利用型災害対策システムにおいて、
防災用品は複数種類のものが一人分ごとに包装された個装体として備えられることを特徴とする貨物自動車利用型災害対策システム。
【請求項4】
請求項3に記載した貨物自動車利用型災害対策システムにおいて、
複数の個装体は段ボール箱に収容され、且つ前記段ボール箱は器具を使用しないで容易に開封することが可能な易開封構造を有していることを特徴とする貨物自動車利用型災害対策システム。
【請求項5】
請求項4に記載した貨物自動車利用型災害対策システムにおいて、
防災用品を配布する際に防災用品を入れる手提げバッグが段ボールに収容されていることを特徴とする貨物自動車利用型災害対策システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貨物自動車利用型災害対策システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地震等の災害が発生すると被災者に対する防災用品(支援物資)の迅速な提供が必要になる。
特許文献1に開示された災害対応支援方法および災害対応支援システムでは、道路復旧や物資輸送の計画のための情報を効率的に提供して、貨物自動車等により防災用品を可能な限り迅速に被災者のもとへ届けようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、外出先において防災用品の準備が全くない状況で被災することも想定される。このような状況においては防災用品の到着を待つ余裕のない場合もある。
一方、我が国において自動車による貨物輸送は物流の根幹を為すものであり、膨大な数の貨物自動車が日本中を日々走行している。
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、日本中を日々走行している膨大な数の貨物自動車を活用して、災害時に防災用品を必要としている人達に対し即座に提供することが可能な貨物自動車利用型災害対策システムの提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明は、貨物自動車と、前記貨物自動車に搭載可能な防災用品と、前記貨物自動車に設けられ前記防災用品の存在を報知する報知手段とで構成され、前記防災用品が災害時に使用されることを特徴とする貨物自動車利用型災害対策システムである。
【0006】
好ましくは、荷台以外のスペースに防災用品を搭載することを特徴とする貨物自動車利用型災害対策システムである。
【0007】
好ましくは、防災用品は複数種類のものが一人分ごとに包装された個装体として備えられることを特徴とする貨物自動車利用型災害対策システムである。
【0008】
好ましくは、複数の個装体は段ボール箱に収容され、且つ前記段ボール箱は器具を使用しないで容易に開封することが可能な易開封構造を有していることを特徴とする貨物自動車利用型災害対策システムである。
【0009】
好ましくは、防災用品を配布する際に防災用品を入れる手提げバッグが段ボールに収容されていることを特徴とする貨物自動車利用型災害対策システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の貨物自動車利用型災害対策システムによれば、日本中を日々走行している膨大な数の貨物自動車を活用して、災害時において防災用品を必要としている人達に即座に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係る貨物自動車利用型災害対策システムに用いる防災用品セットの内容を示す図である。
【
図2】
図1の防災用品を収容した段ボール箱を貨物自動車の助手席に搭載した状態を示す図である。
【
図3】貨物自動車に個装された防災用品を収容した段ボール箱が搭載されていることを報知するステッカーを箱型荷台の後部に備えた状態を示す図である。
【
図4】防災用品を収容した段ボール箱の斜視図である。
【
図5】
図4の段ボール箱の易開封構造を説明するための図である。
【
図6】
図4の段ボール箱の易開封構造を利用して段ボール箱を開封する作業を説明するための図である。
【
図7】
図4の段ボール箱の易開封構造を利用して段ボール箱を開封する作業を説明するための斜視図である。
【
図8】
図4の段ボール箱を開封して収容されている個装された防災用品を手提げバッグに移してから配布する作業を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態に係る貨物自動車利用型災害対策システムを図面にしたがって説明する。
図1に貨物自動車利用型災害対策システムに用いる防災用品セット1を示し、この防災用品セット1は、使い捨て携帯トイレ(大小兼用)3、使い捨て携帯トイレ(小専用)5、静音アルミポンチョ7、N95マスク9、長期保存用カイロ11、備蓄用氷砂糖13、災害時お役立ちカード15から成り、これらをそれぞれ1つずつ合成樹脂製の透明シートから成る袋17に収容して個装されて個装体19が構成されている。すなわち、防災用品セット1を構成する複数種類の防災用品が一人分ごとに包装されて個装体19となっている。
袋17にはファスナ21が設けられ、袋17の上端の開口が開閉可能になっている。
災害時お役立ちカード15には、国土交通省気象庁のホームページに接続するためのQRコード(登録商標)、災害用伝言ダイヤルの番号等が記載されている。
【0013】
符号31は手提げバッグを示し、この手提げバッグ31は布製で袋部31aの幅寸法350mm、高さ寸法360mm、奥行寸法(マチ)110mmであり、袋部31aの上端部には一対の持ち手31bが取り付けられている。
符号23は段ボール箱を示し、この段ボール箱23のサイズは、幅寸法390mm、奥行寸法310mm、高さ寸法220mmである。段ボール箱23の本体部23aの上端の一対の短辺部には内フラップ23bが接続され、一対の長辺部には外フラップ23cが接続されており、本体部23aの上面開口23dは2枚の内フラップ23bと2枚の外フラップ23cによって覆われるようになっている(
図8参照)。
【0014】
図4、5に示すように本体部23aの一方の側板23eの幅方向の中央部分で且つ上端寄りには、易開封構造としての易破断部25、27が設けられている。易破断部25、27は部分的に切れ込みが形成されており、指で押す程度の力で破断することが可能である。易破断部25、27によって囲まれた部分は大小の略長方形が短辺の一部を共有して横並びに配置された形状を為している。
段ボール箱23には30個の個装体19と2つの手提げバッグ31が収容される。これらの総重量は約7.2kgである。
段ボール箱23の本体部23aに個装体19と手提げバッグ31を収容してから、内フラップ23bと外フラップ23cによって上面開口23dを覆う状態にする。そして、粘着テープ29の一端部を易破断部25の上端部分に貼り、更に粘着テープ29を2枚の外フラップ23cに跨るように貼り付けて、粘着テープ29の他端部を他方の側板23eに張り付ける。このようにして段ボール箱23の封をする。
【0015】
図2に示すように個装体19と手提げバッグ31を収容して封をした段ボール箱23を貨物自動車Kの助手席Kaに載置する。段ボール箱23は前記したサイズなので、助手席Kaにスペース的に余裕をもって載置することができ、助手席Kaを載置スペースとすることで貨物自動車Kの荷台スペースを取ることなく30個の個装体19と2つの手提げバッグ31を搭載することが可能である。しかも個装体19と手提げバッグ31を収容した段ボール箱23の総重量は7.2kgなので一人で容易に扱うことが可能である。
図3に示すように貨物自動車Kの箱型荷台Kbの後面(扉)には報知手段としてのステッカー33が貼られている。ステッカー33には、「多色を用いた図形、デザイン化された防災の文字と、防災用品を備えています、の文字」が表示されており、離れたところからも容易に視認することができるようになっている。
【0016】
例えば、貨物自動車Kが業務中において災害が発生し、交通渋滞に巻き込まれて停車したときに、そこに居合わせた人達はステッカー33を視認することで、貨物自動車Kが防災用品を備えていることを知ることができる。
長時間に渡って交通渋滞が解消しないと判断されたとき貨物自動車Kの運転手は段ボール箱23を開封する。すなわち、
図6に示すように易破断部27に囲まれた部分を指で押すことにより易破断部27が破断して、穴27aが形成される。この穴27aから指を入れて易破断部25に囲まれた部分を摘まんで手前に引くことで易破断部25に沿って破断する。これにより易破断部25に囲まれた部分は小片25aとして側板23eから離脱する。この小片25aには粘着テープ29の一端部が貼着されているので、小片25aを引き上げることで粘着テープ29が側板23eから剥がれる。更に
図7に示すように小片25aを持って2枚の外フラップ23cどうしの接合部に沿って移動させることで、粘着テープ29を外フラップ23cから剥がすことができる。
このように段ボール箱23は、器具を使用しないで容易に開封することが可能である。
【0017】
そして、
図8に示すように、外フラップ23c、内フラップ23bを開いて、上面開口23dから手提げバッグ31を取り出す。
次いで、手提げバッグ31に複数の個装体19を入れる。このようにすることで複数の個装体19を容易に運ぶことが可能となる。そして、手提げバッグ31を持って移動し、防災用品を必要とする人達に対し個装体19を配布する。
前述のように個装体19は複数種類の防災用品が一人分ごとに包装されているので、個装体19を受け取った者に対して有効に機能することになる。
【0018】
上記のように本発明の貨物自動車利用型災害対策システムでは、日本中を日々走行している膨大な数の貨物自動車を活用して、災害時に防災用品を必要としている人達に即座に提供することが可能となる。
【0019】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、貨物自動車に搭載する防災用品は上記したものに限定されず、適宜変更することが可能である。また、必ずしも個装体の形態にしなくもよい。
また、ステッカーのデザインは変更してもよく、ステッカーを貼る場所も箱型荷台Kbの後面(扉)に限らず、適宜変更してもよいのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の貨物自動車利用型災害対策システムは、防災用品の製造、販売業に利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0021】
1…防災用品セット 3…使い捨て携帯トイレ(大小兼用)
5…使い捨て携帯トイレ(小専用) 7…静音アルミポンチョ
9…N95マスク 11…長期保存用カイロ
13…備蓄用氷砂糖 15…災害時お役立ちカード
17…袋 19…個装体
21…ファスナ 23…段ボール箱
23a…本体部 23b…内フラップ
23c…外フラップ 23d…上面開口
23e…側板 25、27…易破断部
25a…小片 27a…穴
29…粘着テープ 31…手提げバッグ
31a…袋部 31b…持ち手
33…ステッカー
K…貨物自動車 Ka…助手席 Kb…箱型荷台