(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039145
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】光学装置および画像読取装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/00 20060101AFI20240314BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20240314BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20240314BHJP
H04N 1/191 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
G02B5/00 B
G02B3/00 A
G02B7/02 D
G02B7/02 B
H04N1/191
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143480
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107216
【弁理士】
【氏名又は名称】伊與田 幸穂
(72)【発明者】
【氏名】蜂須賀 正樹
【テーマコード(参考)】
2H042
2H044
5C072
【Fターム(参考)】
2H042AA03
2H042AA12
2H042AA14
2H042AA15
2H042AA29
2H044AB28
2H044AD01
5C072AA01
5C072CA02
5C072DA03
5C072DA15
5C072EA07
(57)【要約】
【課題】レンズ体及び樹脂成形による遮光体を備える装置と比較して、レンズ性能に対する影響を抑制する。
【解決手段】各々の光軸が互いに沿うように並べられた複数のレンズを備えたレンズ体74と、レンズ体74に対する光の進入側にて、光を透過する透過部75aが複数のレンズ74aの各々に位置し光を遮る遮光部75bが複数のレンズ74aの各々の間に位置するように透過部75aと遮光部75bが交互に連続する遮光体75と、 を備える光学装置1である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々の光軸が互いに沿うように並べられた複数のレンズを備えたレンズ体と、
前記レンズ体に対する光の進入側にて、光を透過する透過部が前記複数のレンズの各々に位置し光を遮る遮光部が当該複数のレンズの各々の間に位置するように当該透過部と当該遮光部が交互に連続する遮光体と、
を備える光学装置。
【請求項2】
前記遮光体は、
前記交互に連続する方向であって前記遮光部による前記複数のレンズの各々に対する光の遮りが行われる方向である遮光方向と、
前記遮光方向と交差する方向であって前記光の遮りが行われない方向である不遮光方向と、
を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記不遮光方向は、当該不遮光方向のうちの一側と他側とで前記遮光方向における位置が同じである、
ことを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記不遮光方向は、当該不遮光方向のうちの一側と他側とで前記遮光方向における位置が互いに異なる、
ことを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項5】
前記遮光体の前記遮光部は、前記交互に連続する方向に対して交差する方向に沿う面を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項6】
前記沿う面は、
前記レンズ体の前記複数のレンズに位置する第1面と、
前記第1面に対して角度をなす第2面と、
を含んで構成される、
ことを特徴とする請求項5に記載の光学装置。
【請求項7】
原稿に対して光を照射する照射部と、
各々の光軸が互いに沿うように並べられ、原稿での反射光を通す複数のレンズを備えたレンズ体と、
前記レンズ体に対する光の進入側にて、光を透過する透過部が前記複数のレンズの各々に位置し光を遮る遮光部が当該複数のレンズの各々の間に位置するように当該透過部と当該遮光部が交互に連続する遮光体と、
前記複数のレンズからの光を受光する受光部と、
を備える画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置および画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、複数のレンズが列状に並び、かつ光入射用の複数の第1のレンズ面および光出射用の複数の第2のレンズ面を有する少なくとも1つのレンズアレイと、各レンズの軸長方向に貫通した複数の貫通孔を有しており、かつこれら複数の貫通孔が各第1のレンズ面の正面に位置するようにしてレンズアレイの正面を覆う第1の遮光マスクと、を備えているレンズアレイユニットであって、各レンズの軸長方向に貫通した複数の貫通孔を有しており、かつこれら複数の貫通孔が各第2のレンズ面の背後に位置するようにレンズアレイの背後に配された第2の遮光マスクをさらに備えるレンズアレイユニットを具備する光学装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、各々の光軸が互いに沿うように並べられた複数のレンズを備えたレンズ体の当該レンズ同士の間隔を狭くすると、レンズ性能が向上する一方で、遮光体の肉厚が薄くなることで樹脂成形の際に成形不良が発生するおそれが高くなり、製造コストを抑制することが困難になる。
本発明の目的は、レンズ体及び樹脂成形による遮光体を備える装置と比較して、レンズ性能に対する影響を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、各々の光軸が互いに沿うように並べられた複数のレンズを備えたレンズ体と、前記レンズ体に対する光の進入側にて、光を透過する透過部が前記複数のレンズの各々に位置し光を遮る遮光部が当該複数のレンズの各々の間に位置するように当該透過部と当該遮光部が交互に連続する遮光体と、を備える光学装置である。
請求項2に記載の発明は、前記遮光体は、前記交互に連続する方向であって前記遮光部による前記複数のレンズの各々に対する光の遮りが行われる方向である遮光方向と、前記遮光方向と交差する方向であって前記光の遮りが行われない方向である不遮光方向と、を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置である。
請求項3に記載の発明は、前記不遮光方向は、当該不遮光方向のうちの一側と他側とで前記遮光方向における位置が同じである、ことを特徴とする請求項2に記載の光学装置である。
請求項4に記載の発明は、前記不遮光方向は、当該不遮光方向のうちの一側と他側とで前記遮光方向における位置が互いに異なる、ことを特徴とする請求項2に記載の光学装置である。
請求項5に記載の発明は、前記遮光体の前記遮光部は、前記交互に連続する方向に対して交差する方向に沿う面を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置である。
請求項6に記載の発明は、前記沿う面は、前記レンズ体の前記複数のレンズに位置する第1面と、前記第1面に対して角度をなす第2面と、を含んで構成される、ことを特徴とする請求項5に記載の光学装置である。
請求項7に記載の発明は、原稿に対して光を照射する照射部と、各々の光軸が互いに沿うように並べられ、原稿での反射光を通す複数のレンズを備えたレンズ体と、前記レンズ体に対する光の進入側にて、光を透過する透過部が前記複数のレンズの各々に位置し光を遮る遮光部が当該複数のレンズの各々の間に位置するように当該透過部と当該遮光部が交互に連続する遮光体と、前記複数のレンズからの光を受光する受光部と、を備える画像読取装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、レンズ体及び樹脂成形による遮光体を備える装置と比較して、レンズ性能に対する影響を抑制することができる。
請求項2の発明によれば、交互に連続する方向と交差する方向にも光の遮りが行われる場合と比較して、簡易に構成することができる。
請求項3の発明によれば、不遮光方向が不遮光方向のうちの一側と他側とで遮光方向における位置が同じでない場合と比較して、遮光体の製造を容易に行うことができる。
請求項4の発明によれば、不遮光方向が不遮光方向のうちの一側と他側とで遮光方向における位置が互いに異ならない場合と比較して、レンズ体の複数のレンズを狭い間隔で配置することができる。
請求項5の発明によれば、遮光部が交互に連続する方向に対して交差する方向に沿う面を有しない場合と比較して、金型を用いずに部材を積層して製造することができる。
請求項6の発明によれば、沿う面がレンズ体の複数のレンズに位置する第1面と、第1面に対して角度をなす第2面と、を含んで構成されない場合と比較して、レンズ体の複数のレンズを狭い間隔で配置することができる。
請求項7の発明によれば、レンズ体及び樹脂成形による遮光体を備える装置と比較して、レンズ性能に対する影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の概略構成図である。
【
図2】本実施の形態が適用される画像読取装置の概略構成図である。
【
図3】透明板上にある原稿で反射した反射光が受光基板の受光素子で受光される態様を説明する図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る遮光壁を説明する図であり、(a)~(e)は、その製造工程を時系列で示す。
【
図5】第1の実施の形態に係る遮光壁とマイクロレンズアレイとの相対的な位置関係を説明する図である。
【
図6】第2の実施の形態に係る遮光壁を説明する図であり、(a)~(e)は、その製造工程を時系列で示す。
【
図7】第2の実施の形態に係る遮光壁とマイクロレンズアレイとの相対的な位置関係を説明する図である。
【
図8】第2の実施の形態における二列配置のマイクロレンズアレイの遮光を説明する図である。
【
図9】第2の実施の形態に係る遮光壁の他の製造工程を説明する図であり、(a)~(b)は、時系列で示す。
【
図10】第3の実施の形態に係る遮光壁を説明する図であり、(a)は、遮光壁の透過部と遮光部の形状を説明する図であり、(b)は、遮光壁とマイクロレンズアレイとの相対的な位置関係を説明する図である。
【
図11】第4の実施の形態に係る遮光壁を説明する図であり、(a)は、遮光壁の透過部と遮光部の形状を説明する図であり、(b)は、遮光壁とマイクロレンズアレイとの相対的な位置関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で参照する図面における各部の大きさや厚さ等は、実際の寸法とは異なっている場合がある。
<画像形成装置100>
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置100の概略構成図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、原稿Gの情報を読み取る原稿読取装置1と、原稿読取装置1で読み取った原稿の情報(読取画像)に基づいて画像を記録紙Sに形成する画像形成部2と、画像形成部2に供給する記録紙Sを送り出す給紙部3とを備えている。この画像形成装置100では、画像形成部2と給紙部3とを本体101の内部に収容する一方で、本体101の上方に原稿読取装置1を配置している。本体101は、その上面部に、画像が形成された記録紙Sを排出して収容する排出収容部102を有する。
【0009】
原稿読取装置1は、筐体103を有する。また、原稿読取装置1は、筐体103の上面部に、原稿Gを置く光透過性の原稿台105と、その原稿台105を覆うとともに筐体103に対して開閉操作できる原稿カバー106とを有する。原稿カバー106には、原稿Gを読取位置まで搬送するとともに読み取り後の原稿Gを排出する自動原稿搬送部107と、自動原稿搬送部107により送られる原稿Gを搭載する原稿トレイ108と、自動原稿搬送部107から排出される原稿Gを収容する収容部109とが設けられている。
【0010】
画像形成部2は、例えば電子写真方式にて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する像形成ユニット20と、その像形成ユニット20で形成されたトナー像を記録紙Sに転写するまで搬送する中間転写ユニット26と、中間転写ユニット26から記録紙Sに転写したトナー像を定着させる定着ユニット27とを備えている。なお、画像形成部2は、電子写真方式以外に、例えばインクジェット方式にて画像を形成するものを採用してもよい。
【0011】
給紙部3は、予め定めたサイズ、種類などからなる複数枚の記録紙Sを搭載可能な引き出し式の収容体31と、収容体31に収容される記録紙Sを1枚ずつ搬送路に送り出す送出装置32とを有する。給紙部3と画像形成部2との間には、給紙部3から送り出された記録紙Sを二次転写位置まで搬送する供給搬送路28が配置されている。
【0012】
次に、画像形成装置100の基本的な動作について説明をする。
まず、原稿読取装置1では、ユーザによって原稿台105と原稿トレイ108のいずれか一方に原稿Gが置かれる。そして、ユーザが操作ボタン(不図示)などを操作することで、原稿読み取りの指示を受け付けると、原稿Gの読み取り動作が開始される。すなわち、原稿読取装置1が原稿Gの読み取り情報を取得する。そして、画像形成部2が、原稿読取装置1から受信した原稿Gの読み取り情報に基づいて、画像形成動作を実行する。この際、画像形成部2の動作にあわせて、給紙部3から記録紙Sが送り出される。そして、記録紙Sは、画像形成部2にてトナー像が定着された後、排出収容部102へと排出される。以上の画像形成の動作は、原稿Gの枚数や画像形成枚数に応じた分だけ同様に繰り返される。
【0013】
<原稿読取装置1>
次に、
図2を参照しながら、本実施の形態が適用される原稿読取装置1について説明をする。原稿読取装置1は、光学装置の一例である。
図2は、本実施の形態が適用される原稿読取装置1の概略構成図であり、同図の主走査方向は、紙面と直交する方向である。
図2に示すように、原稿読取装置1は、読取対象である不図示の原稿を上面で支持する透明板71と、光源72aの光を原稿に導く導光体72と、原稿で反射した反射光を受ける受光素子73aを有する受光基板73と、を備えている。
光源72a及び導光体72は、原稿に対し一方向から光を発すると共に他方向からも原稿に対して光を発するように、配置されている。
受光基板73は、透明板71に対し導光体72よりも遠くに位置する。受光基板73において、受光素子73aは、主走査方向に間隔を隔てて列状に並べられている。
【0014】
原稿読取装置1は、微細なマイクロレンズを複数備えるマイクロレンズアレイ74と、他のマイクロレンズに入るべき反射光を遮るための遮光壁75と、をさらに備えている。
マイクロレンズアレイ74は、主走査方向に長くなるように配置される。
遮光壁75は、主走査方向に延びる部材であり、マイクロレンズアレイ74に対する光の進入側に位置し、光の遮りによりマイクロレンズアレイ74のマイクロレンズの各々に進入する光を制限する。
【0015】
原稿読取装置1は、導光体72、受光基板73、マイクロレンズアレイ74及び遮光壁75を保持するハウジング76をさらに備えている。
ハウジング76は、透明板71に対し、受光基板73、マイクロレンズアレイ74及び遮光壁75を位置決めする。
【0016】
図3は、透明板71上にある原稿で反射した反射光が受光基板73の受光素子73aで受光される態様を説明する図である。
図3は、
図2の紙面垂直方向の断面を示したものであり、
図3には、主走査方向Lが図示されている。
図3に示すように、遮光壁75は、光が透過する透過部75aと光を遮る遮光部75bが交互に連続するように形成されている。透過部75aは、例えばガラスないし透明樹脂等の材質で形成され、遮光部75bは、例えば遮光フィルムないし黒い接着剤で形成されている。
遮光壁75は、長焦点深度のために、透明板71とマイクロレンズアレイ74との間に配置される。
【0017】
マイクロレンズアレイ74は、位置ずれの倍率変動が少ない正立等倍結像の2枚レンズアレイを採用することができる。また、マイクロレンズアレイ74は、マイクロレンズ74aの各々の光軸が互いに沿うように主走査方向に並べられている。
【0018】
かかる構成を採用することで、透明板71の原稿で反射した反射光のうち、遮光壁75の透過部75aを通る反射光が、マイクロレンズアレイ74により受光素子73aに受光される。
さらに説明すると、上述の遮光壁75により、開口角が小さくなる狭開口化が実現されるとともに、斜め入射する光を制限し隣接のマイクロレンズに迷光(破線で図示)が入らないようにする迷光入射防止が実現され、レンズの光学性能が向上する。
マイクロレンズアレイ74は、レンズ体の一例であり、マイクロレンズ74aは複数のレンズの一例である。遮光壁75は、遮光体75の一例である。
【0019】
<第1の実施の形態>
図4は、第1の実施の形態に係る遮光壁75を説明する図であり、(a)~(e)は、その製造工程を時系列で示す。
図4(a)に示すように、ガラス又は透明部材等の第1部材75cと、遮光フィルム又は黒い接着材等の第2部材75dと、が積層するようにして一体化する。すなわち、透過部75a(
図3参照)になる第1部材75cと、遮光部75b(同図参照)になる第2部材75dとを互いに重ねて貼り合わせることで、ブロック部材75eが構成される。このように、遮光壁75を、金型を用いる樹脂成形により製造するものではないことから、高価な金型を作成しなくても済み、また、少量生産の場合に製造コストが抑制される。
なお、第1部材75c及び第2部材75dは厚さ均一であるのが好ましい。
【0020】
図4(a)に示す例は、第1部材75c及び第2部材75dが厚さを持つ板状部材であり、第1部材75c及び第2部材75dを1枚ずつ積層する。このように、第1部材75cと第1部材75cとの間に1枚の第2部材75dを重ねているが、これに限られず、第1部材75cと第1部材75cとの間に複数枚の第2部材75dを重ねてもよい。第2部材75dの板厚では遮光部75bの厚さを1枚で確保することが難しい場合に有用である。
なお、第2部材75dが黒い接着材等の、厚さを持つ板状部材でない場合、接着材の量を調整することで、遮光部75bの厚さを設定することが可能である。
【0021】
さらに説明すると、
図4(a)に示すように、第1部材75c及び第2部材75dの一辺がX方向に伸び、他の辺がY方向に延びるものとし、その積層の方向がZ方向とする。そして、同図(b)に示すブロック部材75eを、Z方向と平行に延びる線である切断線(破線で図示)で切断する。かかる切断線は、Y方向及びZ方向で画定される平面に対する線である。
これにより、同図(c)に示すように、予め定められている幅(Y方向の寸法)の板状の積層部材75fが形成される。ここにいう板状の積層部材75fは、第1部材75cによる透過部75a(
図3参照)と、第2部材75dによる遮光部75b(同図参照)とが交互に連続している。
【0022】
図4(c)に示す板状の積層部材75fは、Z方向に長い部材であることから、同図(d)に示すように、X方向及びY方向で画定される平面に対する線(破線で図示)にてさらに切断し、X方向の長さを整える。そうすると、同図(e)に示すように、X方向及びY方向には短くZ方向に長い形状の遮光壁75が形成される。
【0023】
図5は、第1の実施の形態に係る遮光壁75とマイクロレンズアレイ74との相対的な位置関係を説明する図である。
図5は、遮光壁75側から見た図であり、手前側に遮光壁75が位置し、向こう側にマイクロレンズアレイ74が位置する。なお、
図5に示すZ方向は主走査方向である。
図5に示すように、第1の実施の形態では、マイクロレンズアレイ74のマイクロレンズ74aの各々が一列に配列されている。これに対応する遮光壁75は、透過部75aと遮光部75bがZ方向に交互に連続する。第1の実施の形態におけるZ方向は、交互に連続する方向の一例である。
【0024】
より詳細には、透過部75aがマイクロレンズアレイ74のマイクロレンズ74aの各々に位置し、遮光部75bがマイクロレンズ74aの各々の間に位置するように、遮光壁75は、マイクロレンズアレイ74が位置決めされている。したがって、原稿で反射した反射光は、遮光壁75において第1部材75c(
図4参照)である透過部75aを透過してマイクロレンズ74aに入射する(
図3も参照)。
【0025】
さらに説明すると、第1の実施の形態では、マイクロレンズ74aの全周にわたって遮光部75bが設けられている構成ではなく、遮光部75bが設けられていない方向があることから、遮光部75bにより光の遮りが行われる方向である遮光方向と、光の遮りが行われない方向である不遮光方向とがある。
ここにいう遮光方向は、遮光部75bによる複数のマイクロレンズ74aの各々に対する光の遮りが行われる方向をいい、第1の実施の形態では、遮光壁75の長手方向すなわちZ方向である。また、ここにいう不遮光方向とは、遮光方向と交差する方向であって遮光部75bによる複数のマイクロレンズ74aの各々に対する光の遮りが行われない方向をいい、第1の実施の形態では、遮光壁75の短手方向すなわち、Z方向と略直交するX方向である。
【0026】
図5に示すように、遮光壁75は、Z方向及びX方向に延びる平面である第1側面751及び第2側面752を有する。第1側面751は、不遮光方向であるX方向のうちの一側X1に位置し、また、第2側面752は、X方向のうちの他側X2に位置する。遮光部75bは、第1側面751と第2側面752とを互いに結ぶように形成されているということができる。
X方向は、
図5では上下方向を示すものであり、例えば上方向を示す一方向及び下方向を示す他方向を規定する。そして、X方向のうちいずれか一方向(
図5では上方向)が一側X1であり、他方向(同図では下方向)が他側X2である。
【0027】
さらに説明すると、X方向は、Z方向すなわち透過部75aと遮光部75bが交互に連続する方向及びY方向すなわち複数のマイクロレンズ74aの光軸方向以外の方向である。そして、遮光部75bで遮光する面は、X方向とY方向という2方向で規定される。このため、一側X1とは、遮光部75bで遮光する面を光軸方向と共に規定する方向のうちいずれか一方向をいい、他側X2とは、他方向をいう。
なお、
図5ではZ方向とX方向を示しているが、Z方向とY方向の場合であってもよく、かかる場合には、光軸方向がX方向になる。
【0028】
また、第1の実施の形態では、遮光部75bにより規定される不遮光方向すなわちX方向は、Z方向と略直交することから、一側X1にある第1側面751におけるZ方向の遮光部75bの位置と、他側X2にある第2側面752におけるZ方向の遮光部75bの位置が同じである。
【0029】
また、第1の実施の形態では、上述したように、遮光部75bで遮光する面である遮光面は、X方向とY方向という2方向で規定される。そして、遮光部75bは、透過部75aと遮光部75bが交互に連続する方向であるZ方向に対して略直交で交差する方向に沿う面Pを有し、かかる面Pは、遮光面であり、遮光壁75の内部反射を防ぐ面である。
面Pとは、隣り合う透過部75aとの境界を画する遮光部75bの面をいう。
【0030】
第1の実施の形態におけるZ方向は、遮光方向の一例であり、また、X方向は不遮光方向の一例である。面Pは、沿う面の一例である。
【0031】
<第2の実施の形態>
図6は、第2の実施の形態に係る遮光壁75を説明する図であり、(a)~(e)は、その製造工程を時系列で示す。なお、第2の実施の形態の製造工程は、第1の実施の形態の場合と共通する部分を有することから、説明を省略することがある。
図6(a)に示すように、積層した第1部材75cと第2部材75dを一体化したブロック部材75eを、同図(b)に示すように、Z方向に対して交差する斜め方向に延びる線である切断線(破線で図示)で切断する。第2の実施の形態の切断線は、Z方向に斜めである点で、Z方向と平行な切断線である第1の実施の形態と異なる。
このため、
図6(c)に示すように、遮光部75bは、層部材75fの表面と斜めに交差するように延びている。
【0032】
図7は、第2の実施の形態に係る遮光壁75とマイクロレンズアレイ74との相対的な位置関係を説明する図であり、第1の実施の形態を説明する
図5に対応するものである。
図7に示すマイクロレンズアレイ74は、二列のマイクロレンズ配置であり、
図5に示す一列配置とは異なる。すなわち、第2の実施の形態のマイクロレンズアレイ74は、Z方向に並ぶマイクロレンズ74a及びマイクロレンズ74bを有する。第2の実施の形態におけるZ方向は、交互に連続する方向の一例である。
【0033】
また、二列配置の第2の実施の形態では、マイクロレンズ74aの列とマイクロレンズ74bの列は、X方向にずれている。X方向にずれていない場合に比べて、マイクロレンズ74aの列とマイクロレンズ74bの列との間隔が狭くなる。
このように、マイクロレンズ74aの各々とマイクロレンズ74bの各々は、Z方向に関する位置が異なり、隣り合うマイクロレンズ74aの間にマイクロレンズ74bが位置する。
図7の場合には、マイクロレンズ74bは、マイクロレンズ74a同士の間隔の半分の距離、Z方向にずれている。Z方向に半分の間隔をずらした配置であり、マイクロレンズ74a、74bの間隔がより狭くなる。
なお、第2の実施の形態のマイクロレンズアレイ74は二列配置であるが、二列よりも多い列の配置の場合でもよく、その場合には、千鳥配置とすることができる。
【0034】
遮光壁75は、透過部75aと遮光部75bがZ方向に交互に連続するが、隣り合う遮光部75bの間に、1つのマイクロレンズ74aと1つのマイクロレンズ74bが位置する。
なお、Z方向の端部では、マイクロレンズ74a、74bの配置の関係で、隣り合う遮光部75bの間に、マイクロレンズ74a、74bのいずれか一方が位置する場合もある。
【0035】
図7に示すように、第2の実施の形態でも、第1の実施の形態の場合と同じく、遮光部75bにより光の遮りが行われる方向である遮光方向と、光の遮りが行われない方向である不遮光方向とがある。
第2の実施の形態の遮光方向は、第1の実施の形態の場合と同じくZ方向である一方で、不遮光方向は、Z方向と略直交するX方向(
図5参照)である第1の実施の形態の場合と異なり、Z方向と斜め交差するX3方向である。
また、X3方向は、マイクロレンズ74aの列とマイクロレンズ74bの列とのZ方向のずれ量に応じて規定される。第2の実施の形態では、Z方向に半分の間隔をずらした配置であることから、X3方向は、Z方向に対して45度の角度で交差する方向である。このため、遮光部75bが有する面Pは、Z方向に対して45度の角度で交差する方向に沿う。
さらに説明すると、X3方向における一側X1にある第1側面751におけるZ方向の遮光部75bの位置と、他側X2にある第2側面752におけるZ方向の遮光部75bの位置が互いに異なる。
【0036】
第2の実施の形態におけるZ方向は、交互に連続する方向の一例であり、遮光方向の一例である。また、X3方向は不遮光方向の一例である。面Pは、沿う面の一例である。
【0037】
図8は、第2の実施の形態における二列配置のマイクロレンズアレイ74の遮光を説明する図である。
図8に示す実線で示す光は、原稿で反射した反射光であり、マイクロレンズアレイ74により受光基板73の受光素子73aで結像し、受光される。その一方で、原稿で反射した反射光以外の光(破線で図示)は、受光素子73aでは結像しない。
X3方向は、遮光壁75による光の遮りが行われないが、
図8で示すように、破線で図示の遮られない光が受光基板73の受光素子73aに入り難く、原稿で反射した反射光による画像に影響を与える可能性が低い。このため、遮光壁75による遮光は、Z方向(
図7参照)のみで足り、X3方向には遮光しなくても済む。このように受光素子が存在する方向を遮光方向、受光素子が存在しない方向を非遮光方向とするような遮光壁を設けている。
【0038】
図9は、第2の実施の形態に係る遮光壁75の他の製造工程を説明する図であり、(a)~(b)は、時系列で示す。
図9(a)~(b)は、
図6(a)~(b)に対応する。
図9(a)に示すように、Z方向に対して交差する斜め方向に積層したブロック部材75eを、斜め方向に延びる線である切断線(破線で図示)で切断する。これにより、1つのブロック部材75eから作成される層部材75f(
図6参照)の数が増える。
【0039】
<第3の実施の形態>
図10は、第3の実施の形態に係る遮光壁75を説明する図であり、(a)は、遮光壁75の透過部75aと遮光部75bの形状を説明する図であり、(b)は、遮光壁75とマイクロレンズアレイ74との相対的な位置関係を説明する図である。同図(b)は、第2の実施の形態を説明する
図7に対応する。
図10(a)には、遮光壁75は、1つの透過部75aと透過部75aを挟む2つの遮光部75bを含む最小単位の例としての多角柱で示されている。より詳細には、透過部75a及び遮光部75bは、2つの直線部が鈍角で互いに交差するように連続する形状であり、言い換えると、途中で折れ曲がる形状である。
【0040】
図10(b)に示すように、マイクロレンズアレイ74は、第2の実施の形態の場合と同じく、マイクロレンズ74a、74bを有する二列配置である。
遮光壁75は、同図(a)に示す多角柱が、マイクロレンズ74a、74bが並ぶ列の方向すなわちZ方向に連続して形成されている。
【0041】
第3の実施の形態では、遮光部75bにより光の遮りが行われる方向であるZ方向と、Z方向と交差する方向であって光の遮りが行われない方向であるX方向及びX4方向とがある。すなわち、第1側面751では、光の遮りが行われない方向がX方向であり、第2側面752では、光の遮りが行われない方向がX4方向である。
【0042】
また、第3の実施の形態における遮光部75bの面Pは、第1の実施の形態の場合のようなZ方向に対して略直交で交差する方向に沿う面P1と、第2の実施の形態の場合のようなZ方向に対して45度の角度で交差する方向に沿う面P2と、を含んで構成されている。
ここにいう面P1、P2とは、隣り合う透過部75aとの境界を画する遮光部75bの面の一部を構成する面であり、互いに連続する。また、面P1が第1側面751と交差する角度と面P2が第2側面752と交差する角度が互いに異なる。
面P1は、マイクロレンズアレイ74のマイクロレンズ74a、74bの相対的な位置関係によりZ方向に対する交差角度が定まる面であり、面P2は、かかる相対的な位置関係によりZ方向に対する交差角度が定まるものではない面である。
【0043】
また、第3の実施の形態では、光の遮りが行われないX方向は、X方向のうち一側X1と他側X2とでZ方向における位置が互いに異なる。
第3の実施の形態におけるZ方向は、交互に連続する方向の一例であり、遮光方向の一例である。また、X方向ないしX4方向は不遮光方向の一例である。面P1は、第2面の一例であり、面P2は、第1面の一例である。
【0044】
<第4の実施の形態>
図11は、第4の実施の形態に係る遮光壁75を説明する図であり、(a)は、遮光壁75の透過部75aと遮光部75bの形状を説明する図であり、(b)は、遮光壁75とマイクロレンズアレイ74との相対的な位置関係を説明する図である。
図11(a)、(b)は、上述した
図10(a)、(b)に対応する。
図11(a)には、遮光壁75は、1つの透過部75aと透過部75aを挟む2つの遮光部75bを含む最小単位の例としての多角柱で示されている。より詳細には、透過部75a及び遮光部75bは、厚さ方向にずれて位置する2つの直線部を互いに接続したZ形状である。
【0045】
図11(b)に示すように、第4の実施の形態では、遮光部75bにより光の遮りが行われる方向であるZ方向と、Z方向と交差する方向であって光の遮りが行われない方向であるX方向とがある。そして、X方向は、Z方向と略直交するが、Z形状である。
【0046】
さらに説明すると、第4の実施の形態では、遮光部75bの面Pとして、第3の実施の形態の面P1、P2を備え、さらに、面P2に連続する第2側面752に延びる面P3を備える。すなわち、面Pは、面P1、P2、P3を含んで構成されている。
面P3は、面P1と同じく、Z方向に対して略直交で交差する方向に沿う面である一方で、面P2は、Z方向に対して斜め交差する方向に沿う面である。このため、第1側面751と第2側面752とで、不遮光方向のZ方向における位置が互いに異なる。
【0047】
第4の実施の形態におけるZ方向は、交互に連続する方向の一例であり、遮光方向の一例である。また、X方向は不遮光方向の一例である。面P1、P3は、第2面の一例であり、面P2は、第1面の一例である。
【0048】
<付記>
(((1)))
各々の光軸が互いに沿うように並べられた複数のレンズを備えたレンズ体と、
前記レンズ体に対する光の進入側にて、光を透過する透過部が前記複数のレンズの各々に位置し光を遮る遮光部が当該複数のレンズの各々の間に位置するように当該透過部と当該遮光部が交互に連続する遮光体と、
を備える光学装置。
(((2)))
前記遮光体は、
前記交互に連続する方向であって前記遮光部による前記複数のレンズの各々に対する光の遮りが行われる方向である遮光方向と、
前記遮光方向と交差する方向であって前記光の遮りが行われない方向である不遮光方向と、
を有する、
ことを特徴とする(((1)))に記載の光学装置。
(((3)))
前記不遮光方向は、当該不遮光方向のうちの一側と他側とで前記遮光方向における位置が同じである、
ことを特徴とする(((2)))に記載の光学装置。
(((4)))
前記不遮光方向は、当該不遮光方向のうちの一側と他側とで前記遮光方向における位置が互いに異なる、
ことを特徴とする(((2)))に記載の光学装置。
(((5)))
前記遮光体の前記遮光部は、前記交互に連続する方向に対して交差する方向に沿う面を有する、
ことを特徴とする(((1)))に記載の光学装置。
(((6)))
前記沿う面は、
前記レンズ体の前記複数のレンズに位置する第1面と、
前記第1面に対して角度をなす第2面と、
を含んで構成される、
ことを特徴とする(((5)))に記載の光学装置。
(((7)))
原稿に対して光を照射する照射部と、
各々の光軸が互いに沿うように並べられ、原稿での反射光を通す複数のレンズを備えたレンズ体と、
前記レンズ体に対する光の進入側にて、光を透過する透過部が前記複数のレンズの各々に位置し光を遮る遮光部が当該複数のレンズの各々の間に位置するように当該透過部と当該遮光部が交互に連続する遮光体と、
前記複数のレンズからの光を受光する受光部と、
を備える画像読取装置。
【0049】
(((1)))の発明によれば、レンズ体及び樹脂成形による遮光体を備える装置と比較して、レンズ性能に対する影響を抑制することができる。
(((2)))の発明によれば、交互に連続する方向と交差する方向にも光の遮りが行われる場合と比較して、簡易に構成することができる。
(((3)))の発明によれば、不遮光方向が不遮光方向のうちの一側と他側とで遮光方向における位置が同じでない場合と比較して、遮光体の製造を容易に行うことができる。
(((4)))の発明によれば、不遮光方向が不遮光方向のうちの一側と他側とで遮光方向における位置が互いに異ならない場合と比較して、レンズ体の複数のレンズを狭い間隔で配置することができる。
(((5)))の発明によれば、遮光部が交互に連続する方向に対して交差する方向に沿う面を有しない場合と比較して、金型を用いずに部材を積層して製造することができる。
(((6)))の発明によれば、沿う面がレンズ体の複数のレンズに位置する第1面と、第1面に対して角度をなす第2面と、を含んで構成されない場合と比較して、レンズ体の複数のレンズを狭い間隔で配置することができる。
(((7)))の発明によれば、レンズ体及び樹脂成形による遮光体を備える装置と比較して、レンズ性能に対する影響を抑制することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…原稿読取装置、74…マイクロレンズアレイ、74a…マイクロレンズ、75…遮光壁、75a…透過部、75b…遮光部、X1…一側、X2…他側、P、P1~P3…面