IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ゼロックス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-光学装置および画像読取装置 図1
  • 特開-光学装置および画像読取装置 図2
  • 特開-光学装置および画像読取装置 図3
  • 特開-光学装置および画像読取装置 図4
  • 特開-光学装置および画像読取装置 図5
  • 特開-光学装置および画像読取装置 図6
  • 特開-光学装置および画像読取装置 図7
  • 特開-光学装置および画像読取装置 図8
  • 特開-光学装置および画像読取装置 図9
  • 特開-光学装置および画像読取装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039146
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】光学装置および画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/00 20060101AFI20240314BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240314BHJP
   H04N 1/028 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
G02B5/00 B
G02B3/00 A
H04N1/028 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143481
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107216
【弁理士】
【氏名又は名称】伊與田 幸穂
(72)【発明者】
【氏名】蜂須賀 正樹
【テーマコード(参考)】
2H042
5C051
【Fターム(参考)】
2H042AA03
2H042AA12
2H042AA14
2H042AA15
2H042AA29
5C051AA01
5C051BA04
5C051DA03
5C051DB01
5C051DB04
5C051DB22
5C051DB28
5C051DC04
5C051DC07
5C051FA01
(57)【要約】
【課題】導光部からの光を遮らないで検出部に受け付けさせる構成と比較して、良好な検出画像を得る。
【解決手段】予め定められている位置P、P2~P5に導く光を出射口72bから発する導光部72と、予め定められている位置P、P2~P5で反射した光を受け付ける検出部73aと、予め定められている位置P、P2~P5及び導光部72を含む断面において、予め定められている位置P、P2~P5と予め定められている位置P、P2~P5から光軸J方向に遠い出射口72bの端部72cとを互いに結ぶ仮想線VLよりも検出部73a側に位置する遮光部76aを含む遮光手段76と、を備える光学装置1である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められている位置に導く光を出射口から発する導光部と、
前記予め定められている位置で反射した光を受け付ける検出部と、
前記予め定められている位置及び前記導光部を含む断面において、当該予め定められている位置と当該予め定められている位置から光軸方向に遠い前記出射口の端部とを互いに結ぶ仮想線よりも前記検出部側に位置する遮光部を含む遮光手段と、
を備える光学装置。
【請求項2】
前記遮光手段は、前記予め定められている位置で反射し前記検出部に向かう光を通す一方で当該予め定められている位置以外の他の位置で反射し当該検出部に向かう光の進入を妨げるための縁部を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記縁部は、前記遮光部と一体で形成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記縁部と前記遮光部とが一体で形成された部材に、前記予め定められている位置で反射した光が入射するレンズが搭載されている、ことを特徴とする請求項3に記載の光学装置。
【請求項5】
前記縁部と前記遮光部とが一体で形成された部材は、前記予め定められている位置で反射した光が入射するレンズを搭載するための凹部が形成されている、ことを特徴とする請求項3に記載の光学装置。
【請求項6】
前記縁部及び前記遮光部は、透明部材の表面に形成されたものである、ことを特徴とする請求項3に記載の光学装置。
【請求項7】
前記縁部は、前記検出部側に向く内面を有する、ことを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項8】
前記遮光部は、透明部材の隣り合う2つの面に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項9】
前記隣り合う2つの面がなす角度は鈍角である、ことを特徴とする請求項8に記載の光学装置。
【請求項10】
画像読取り位置に導く光を出射口から発する導光部と、
前記画像読取り位置で反射した光を受け付ける検出部と、
前記画像読取り位置及び前記導光部を含む断面において、当該画像読取り位置と当該画像読取り位置から光軸方向に遠い前記出射口の端部とを互いに結ぶ仮想線よりも前記検出部側に位置する遮光部を含む遮光手段と、
を備える画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置および画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、複数のレンズが列状に並び、かつ光入射用の複数の第1のレンズ面および光出射用の複数の第2のレンズ面を有する少なくとも1つのレンズアレイと、各レンズの軸長方向に貫通した複数の貫通孔を有しており、かつこれら複数の貫通孔が各第1のレンズ面の正面に位置するようにしてレンズアレイの正面を覆う第1の遮光マスクと、を備えているレンズアレイユニットであって、各レンズの軸長方向に貫通した複数の貫通孔を有しており、かつこれら複数の貫通孔が各第2のレンズ面の背後に位置するようにレンズアレイの背後に配された第2の遮光マスクをさらに備えるレンズアレイユニットを具備する光学装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-302504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、導光部から導かれた光が予め定められている位置で反射した反射光を検出部が受け付ける場合に、導光部からの光の一部を遮ることで反射光による良好な画像を得ることが可能になる。
本発明の目的は、導光部からの光を遮らないで検出部に受け付けさせる構成と比較して、良好な検出画像を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、予め定められている位置に導く光を出射口から発する導光部と、前記予め定められている位置で反射した光を受け付ける検出部と、前記予め定められている位置及び前記導光部を含む断面において、当該予め定められている位置と当該予め定められている位置から光軸方向に遠い前記出射口の端部とを互いに結ぶ仮想線よりも前記検出部側に位置する遮光部を含む遮光手段と、を備える光学装置である。
請求項2に記載の発明は、前記遮光手段は、前記予め定められている位置で反射し前記検出部に向かう光を通す一方で当該予め定められている位置以外の他の位置で反射し当該検出部に向かう光の進入を妨げるための縁部を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置である。
請求項3に記載の発明は、前記縁部は、前記遮光部と一体で形成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の光学装置である。
請求項4に記載の発明は、前記縁部と前記遮光部とが一体で形成された部材に、前記予め定められている位置で反射した光が入射するレンズが搭載されている、ことを特徴とする請求項3に記載の光学装置である。
請求項5に記載の発明は、前記縁部と前記遮光部とが一体で形成された部材は、前記予め定められている位置で反射した光が入射するレンズを搭載するための凹部が形成されている、ことを特徴とする請求項3に記載の光学装置である。
請求項6に記載の発明は、前記縁部及び前記遮光部は、透明部材の表面に形成されたものである、ことを特徴とする請求項3に記載の光学装置である。
請求項7に記載の発明は、前記縁部は、前記検出部側に向く内面を有する、ことを特徴とする請求項2に記載の光学装置である。
請求項8に記載の発明は、前記遮光部は、透明部材の隣り合う2つの面に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置である。
請求項9に記載の発明は、前記隣り合う2つの面がなす角度は鈍角である、ことを特徴とする請求項8に記載の光学装置である。
請求項10に記載の発明は、画像読取り位置に導く光を出射口から発する導光部と、前記画像読取り位置で反射した光を受け付ける検出部と、前記画像読取り位置及び前記導光部を含む断面において、当該画像読取り位置と当該画像読取り位置から光軸方向に遠い前記出射口の端部とを互いに結ぶ仮想線よりも前記検出部側に位置する遮光部を含む遮光手段と、を備える画像読取装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、導光部からの光を遮らないで検出部に受け付けさせる構成と比較して、良好な検出画像を得ることができる。
請求項2の発明によれば、縁部を含まない場合と比較して、より良好な検出画像を得ることができる。
請求項3の発明によれば、縁部が遮光部と一体で形成されていない場合と比較して、組立作業性を向上させることができる。
請求項4の発明によれば、縁部と遮光部とが一体で形成された部材にレンズが搭載されない場合と比較して、組立作業性を向上させることができる。
請求項5の発明によれば、縁部と遮光部とが一体で形成された部材に凹部が形成されていない場合と比較して、光軸方向の寸法を抑えることができる。
請求項6の発明によれば、縁部及び遮光部を透明部材の表面に形成したものではない場合と比較して、部品剛性を向上させることができる。
請求項7の発明によれば、縁部が検出部側に向く内面を有しない場合と比較して、より良好な検出画像を得ることができる。
請求項8の発明によれば、遮光部が透明部材の隣り合う2つの面に形成したものではない場合と比較して、より良好な検出画像を得ることができる。
請求項9の発明によれば、隣り合う2つの面がなす角度が鈍角ではない場合と比較して、遮光をより確実に行うことができる。
請求項10の発明によれば、導光部からの光を遮らないで検出部に受け付けさせる構成と比較して、良好な検出画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の概略構成図である。
図2】本実施の形態が適用される画像読取装置の概略構成図である。
図3】透明板上にある原稿で反射した反射光が受光基板の受光素子で受光される態様を説明する図である。
図4】第1遮光壁の構成例を説明する図であり、(a)は一例の斜視図であり、(b)は他の例の斜視図である。
図5】第1の実施の形態に係る第2遮光壁を説明する図であり、(a)は、第2遮光壁の構成を説明する図であり、(b)は、第2遮光壁による遮光の結果を説明する図である。
図6】第2の実施の形態に係る第2遮光壁を説明する図であり、(a)は、第2遮光壁の構成を説明する図であり、(b)、(c)及び(d)は、第2遮光壁による遮光の結果を説明する図である。
図7】第3の実施の形態に係る第2遮光壁を説明する図である。
図8】第4の実施の形態に係る第2遮光壁を説明する図であり、(a)は、第2遮光壁の構成を説明する図であり、(b)は、第2遮光壁に第1遮光壁及びマイクロレンズアレイを取り付けた場合を説明する図である。
図9】第5の実施の形態に係る第2遮光壁を説明する図であり、(a)は、第2遮光壁の構成を説明する図であり、(b)は第2遮光壁の平面図である。
図10】第6の実施の形態に係る第2遮光壁を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で参照する図面における各部の大きさや厚さ等は、実際の寸法とは異なっている場合がある。
<画像形成装置100>
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置100の概略構成図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、原稿Gの情報を読み取る原稿読取装置1と、原稿読取装置1で読み取った原稿の情報(読取画像)に基づいて画像を記録紙Rに形成する画像形成部2と、画像形成部2に供給する記録紙Rを送り出す給紙部3とを備えている。この画像形成装置100では、画像形成部2と給紙部3とを本体101の内部に収容する一方で、本体101の上方に原稿読取装置1を配置している。本体101は、その上面部に、画像が形成された記録紙Rを排出して収容する排出収容部102を有する。
【0009】
原稿読取装置1は、筐体103を有する。また、原稿読取装置1は、筐体103の上面部に、原稿Gを置く光透過性の原稿台105と、その原稿台105を覆うとともに筐体103に対して開閉操作できる原稿カバー106とを有する。原稿カバー106には、原稿Gを読取位置まで搬送するとともに読み取り後の原稿Gを排出する自動原稿搬送部107と、自動原稿搬送部107により送られる原稿Gを搭載する原稿トレイ108と、自動原稿搬送部107から排出される原稿Gを収容する収容部109とが設けられている。
【0010】
画像形成部2は、例えば電子写真方式にて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する像形成ユニット20と、その像形成ユニット20で形成されたトナー像を記録紙Rに転写するまで搬送する中間転写ユニット26と、中間転写ユニット26から記録紙Rに転写したトナー像を定着させる定着ユニット27とを備えている。なお、画像形成部2は、電子写真方式以外に、例えばインクジェット方式にて画像を形成するものを採用してもよい。
【0011】
給紙部3は、予め定めたサイズ、種類などからなる複数枚の記録紙Rを搭載可能な引き出し式の収容体31と、収容体31に収容される記録紙Rを1枚ずつ搬送路に送り出す送出装置32とを有する。給紙部3と画像形成部2との間には、給紙部3から送り出された記録紙Rを二次転写位置まで搬送する供給搬送路28が配置されている。
【0012】
次に、画像形成装置100の基本的な動作について説明をする。
まず、原稿読取装置1では、ユーザによって原稿台105と原稿トレイ108のいずれか一方に原稿Gが置かれる。そして、ユーザが操作ボタン(不図示)などを操作することで、原稿読み取りの指示を受け付けると、原稿Gの読み取り動作が開始される。すなわち、原稿読取装置1が原稿Gの読み取り情報を取得する。そして、画像形成部2が、原稿読取装置1から受信した原稿Gの読み取り情報に基づいて、画像形成動作を実行する。この際、画像形成部2の動作にあわせて、給紙部3から記録紙Rが送り出される。そして、記録紙Rは、画像形成部2にてトナー像が定着された後、排出収容部102へと排出される。以上の画像形成の動作は、原稿Gの枚数や画像形成枚数に応じた分だけ同様に繰り返される。
【0013】
<原稿読取装置1>
次に、図2を参照しながら、本実施の形態が適用される原稿読取装置1について説明をする。原稿読取装置1は、光学装置の一例である。図2には、副走査方向Sが図示されている。
図2は、本実施の形態が適用される原稿読取装置1の概略構成図であり、同図の主走査方向は、紙面と直交する方向である。
図2に示すように、原稿読取装置1は、読取対象である不図示の原稿を上面で支持する透明板71と、光源72aの光を原稿に導く導光体72と、原稿で反射した反射光を受ける受光素子73aを有する受光基板73と、を備えている。
光源72a及び導光体72は、原稿に対し一方向から光を発すると共に他方向からも原稿に対して光を発するように、配置されている。
受光基板73は、透明板71に対し導光体72よりも遠くに位置する。受光基板73において、受光素子73aは、主走査方向に間隔を隔てて列状に並べられ、反射光を受け付ける。
【0014】
原稿読取装置1は、微細なマイクロレンズを複数備えるマイクロレンズアレイ74と、マイクロレンズに入るべきでない反射光を遮るための第1遮光壁75及び第2遮光壁76と、をさらに備えている。
マイクロレンズアレイ74は、主走査方向に長くなるように配置される。
第1遮光壁75及び第2遮光壁76は、主走査方向に延びる部材であり、マイクロレンズアレイ74に対する光の進入側に位置し、光の遮りによりマイクロレンズアレイ74のマイクロレンズの各々に進入する光を制限する。
【0015】
原稿読取装置1は、導光体72、受光基板73、マイクロレンズアレイ74、第1遮光壁75及び第2遮光壁76を保持するハウジング77をさらに備えている。
ハウジング77は、透明板71に対し、受光基板73、マイクロレンズアレイ74、第1遮光壁75及び第2遮光壁76を位置決めする。
導光体72は導光部の一例であり、受光基板73の受光素子73aは検出部の一例であり、第2遮光壁76は遮光手段の一例である。
【0016】
図3は、透明板71上にある原稿で反射した反射光が受光基板73の受光素子73aで受光される態様を説明する図である。図3は、図2の紙面垂直方向の断面を示したものであり、第1遮光壁75及び第2遮光壁76を一点鎖線で示している。図3には、主走査方向Lが図示されている。
図3に示すマイクロレンズアレイ74は、位置ずれの倍率変動が少ない正立等倍結像の2枚レンズアレイである。また、マイクロレンズアレイ74は、マイクロレンズ74aの各々の光軸が互いに沿うように主走査方向Lに並べられている。
【0017】
第1遮光壁75は、長焦点深度のために、透明板71とマイクロレンズアレイ74との間に配置される。かかる第1遮光壁75により、開口角が小さくなる狭開口化が実現されるとともに、斜め入射する光を制限し隣接のマイクロレンズに迷光(破線で図示)が入らないようにする迷光入射防止が実現され、レンズの光学性能が向上する。
【0018】
第2遮光壁76は、導光体72(図2参照)からの光のうち結像に不要な光を原稿に届く前に遮るものであり、透明板71と第1遮光壁75との間に配置される。かかる第2遮光壁76により、第1遮光壁75の内面反射が防止され文字の薄さやパッチのにじみの発生が抑制される。
【0019】
透明板71に対して設定される原稿読取り位置Pで反射した反射光のうち第1遮光壁75及び第2遮光壁76により遮光されなかった反射光がマイクロレンズアレイ74により受光素子73aに受光される。
マイクロレンズアレイ74は、原稿読取り位置Pで反射した反射光が入射するものであり、レンズの一例である。
【0020】
図4は、第1遮光壁75の構成例を説明する図であり、(a)は一例の斜視図であり、(b)は他の例の斜視図である。
図4(a)に一例として示す第1遮光壁75は、遮光性を有するたとえば黒色の合成樹脂製であり、一方向に延びた略プレート状あるいは略ブロック状である。そして、第1遮光壁75は、マイクロレンズアレイ74の複数のマイクロレンズ74aの配列に対応した複数の貫通孔75aを有する。これらの貫通孔75aの内壁面も黒色である。
第1遮光壁75は、金型を用いた樹脂成形により製造することが可能であり、その樹脂成形時に貫通孔75aを形成することもできるが、機械加工などによって形成してもよい。
【0021】
また、図4(b)に他の例として示す第1遮光壁75は、光が透過する透過部75bと光を遮る遮光部75cが交互に連続するように形成されている。透過部75bは、例えばガラスないし透明樹脂等の材質で形成され、遮光部75cは、例えば遮光フィルムないし黒い接着剤で形成されている。
第1遮光壁75は、2枚の透過部75bの間に遮光部75cが積層されるように一体化したものを予め定められている寸法に切断する方法で製造するものであり、金型を用いる樹脂成形で製造しない。
【0022】
<第1の実施の形態>
図5は、第1の実施の形態に係る第2遮光壁76を説明する図であり、(a)は、第2遮光壁76の構成を説明する図であり、(b)は、第2遮光壁76による遮光の結果を説明する図である。
第1の実施の形態に係る第2遮光壁76は、図5(a)に示すように、第1遮光壁75に対して原稿読取り位置P側に配設されており、板状部材である一対の部材76a、76aを含む。かかる一対の部材76a、76aの各々は、導光体72に隣接し、図5(a)の紙面垂直方向、すなわち副走査方向Sと交差する主走査方向L(主走査方向Lは例えば図3参照)に沿って延びている。
【0023】
一対の部材76a、76aは、予め定められている間隔をあけて設けられており、互いに略平行である。すなわち、一対の部材76a、76a同士の間隔は、一対の部材76a、76aの基部側と先端側とで略同一である。
【0024】
第2遮光壁76の一対の部材76a、76aは、原稿読取り位置P及び導光体72を含む断面において一点鎖線で示す仮想線VLよりも受光素子73a(図2参照)側に位置する。かかる仮想線VLは、原稿読取り位置Pと原稿読取り位置Pから光軸Jの方向に遠い出射口72bの端部72cとを互いに結ぶ仮想の線であり、図5では、原稿読取り位置Pで収束する光路を示す線と重なっている。
一対の部材76a、76aは、導光体72からの光のうち、原稿読取り位置Pに収束する光路を遮らない一方で、光軸Jの方向において原稿読取り位置Pよりも受光素子73a側で収束する光路を遮るように配置されている。
【0025】
このため、図5(a)に示すように、一対の部材76a、76aにより、光軸J上において原稿読取り位置Pよりも導光体72側にある位置P1に収束する光路が遮られる。その一方で、同図(b)に示すように、光軸J上において原稿読取り位置Pよりも導光体72から遠い側にある原稿読取り位置P2、P3、P4に収束する光路を遮らない。
原稿読取り位置P、P2~P4は、予め定められている位置の一例である。なお、図5(a)は、原稿読取り位置P、P2~P4及び導光体72を含む断面を示す。
【0026】
ここで、原稿G(図1参照)が透明板71に接する場合、原稿Gは原稿読取り位置Pで読み取られる。また、原稿Gは、原稿読取り位置Pよりも導光体72側に位置することはない。したがって、図5(a)の位置P1で収束する光は、原稿読み取りに用いられないことから、結像に不要な光である。
さらに説明すると、かかる位置P1で収束する不要な光により、第1遮光壁75の内面反射が発生し、受光素子73aにより検出する画像における文字が薄くなったりパッチのにじみが発生したりするおそれがある。かかる不要な光の内面反射を、第1遮光壁75に対してサンドブラストや塗装を施す対策が考えられるが、十分な効果を奏することは困難である。
【0027】
そこで、第1の実施の形態では、導光体72からの光のうちの不要な光を原稿Gに届く前に遮るための一対の部材76a、76aを含む第2遮光壁76を備えている。このように、第1の実施の形態では、第2遮光壁76により導光体72からの光の一部を遮ることで、第2遮光壁76を設けない場合に比べて、反射光による良好な画質の画像を得ることが可能になる。
【0028】
図5(b)に示すように、原稿読取り位置P2~P4に収束する光路は、第1の実施の形態に係る第2遮光壁76により遮られることはない。このため、搬送時の紙の挙動や紙のしわ等により原稿G(図1参照)が原稿読取り位置Pから離れている場合、原稿読取り位置P2~P4のいずれかで反射し、画像読み取りが可能になる。
第2遮光壁76の一対の部材76a、76aは、遮光手段の遮光部の一例である。
【0029】
<第2の実施の形態>
図6は、第2の実施の形態に係る第2遮光壁76を説明する図であり、(a)は、第2遮光壁76の構成を説明する図であり、(b)、(c)及び(d)は、第2遮光壁76による遮光の結果を説明する図である。図6(a)は、図5(a)に対応するものである。
第2の実施の形態に係る第2遮光壁76は、図6(a)に示すように、一対の部材76a、76aを含むほか、板状部材である一対の傾斜部材76b、76bも含む。かかる一対の傾斜部材76b、76bは、一対の部材76a、76aの間に位置する。
【0030】
さらに説明すると、一対の傾斜部材76b、76bは、光軸Jの方向の長さが一対の部材76a、76aよりも短い。すなわち、一対の傾斜部材76b、76bは、一対の部材76a、76aよりも奥まっている。なお、一対の傾斜部材76b、76bを光軸Jの方向に関して一対の部材76a、76aと同じ位置としてもよく、また、一対の部材76a、76aよりも突出していてもよい。
【0031】
また、一対の傾斜部材76b、76bは、一対の部材76a、76aと平行ではなく、一対の部材76a、76aに対して傾斜している。すなわち、一対の傾斜部材76b、76bは、第1遮光壁75から遠い端部(図6(a)の上端部)の間隔が第1遮光壁75に近い端部(同図(a)の下端部)の間隔よりも狭くなるように、傾斜している。これにより、一対の傾斜部材76b、76bの入射側に、紙面垂直方向(副走査方向Sと交差する主走査方向L(例えば図4参照))に沿って延びるスリット部76cが形成される。
【0032】
ここで、例えば位置P1で収束する不要な光は、一対の部材76a、76aにより原稿Gに届く前に遮られるが、結像に不要な光が第1遮光壁75に導かれてしまうことが想定される。
より詳細に説明すると、例えば図6(b)に示すように、原稿読取り位置P、P2~P4(図5(a)及び(b)参照)で反射する光であるメイン光(実線で図示)は受光素子73aに入る。その一方で、メイン光以外の光であって位置P’で収束する光は、受光素子73aに入らない。
しかしながら、図6(c)に示すように、第2遮光壁76の部材76a(同図(a)参照)で反射した光(太線で図示)が迷光となって受光素子73aに入ってしまうことが想定される。
そこで、第2の実施の形態に係る第2遮光壁76は、図6(d)に示すように、一対の傾斜部材76b、76b(同図(a)参照)により形成される迷光を遮るためのスリット部76cをさらに備えている。
【0033】
このように、第2の実施の形態に係る第2遮光壁76は、原稿読取り位置P、P2~P4で反射し受光素子73aに向かう光を通す一方で原稿読取り位置P、P2~P4以外の他の位置で反射し受光素子73aに向かう光の進入を妨げるための一対の傾斜部材76b、76bも備えている。なお、スリット部76cによりメイン光は遮られないことから、光量は落ちない。
第2遮光壁76の一対の傾斜部材76b、76bは、縁部の一例である。
【0034】
<第3の実施の形態>
図7は、第3の実施の形態に係る第2遮光壁76を説明する図であり、図6(a)に対応するものである。
図7に示す第3の実施の形態に係る第2遮光壁76は、第2の実施の形態の一対の部材76a及び一対の傾斜部材76b(図6(a)参照)の代わりに、これらを一体にした一対のブロック部材76d、76dを備える。ブロック部材76d、76dにより、第2の実施の形態の場合と同様のスリット部76cが形成されている。
これにより、第3の実施の形態では、第2の実施の形態の場合に比べて、第2遮光壁76の部品点数が少なくなる。
第2遮光壁76の一対のブロック部材76d、76dは、遮光部と一体で形成される縁部の一例である。
【0035】
<第4の実施の形態>
図8は、第4の実施の形態に係る第2遮光壁76を説明する図であり、(a)は、第2遮光壁76の構成を説明する図であり、(b)は、第2遮光壁76に第1遮光壁75及びマイクロレンズアレイ74を取り付けた場合を説明する図である。図8(a)は、図7に対応するものである。
図8に示す第4の実施の形態に係る第2遮光壁76は、第3の実施の形態の一対のブロック部材76d、76d(図7参照)の代わりに、これを一体化にした一体ブロック部76eを備える。一体ブロック部76eは、予め定められている幅のスリット部76cが形成されている。一体ブロック部76eは、縁部と遮光部とが一体で形成された部材の一例である。
【0036】
一体ブロック部76eは、肉厚が略同一になるように、部材76aの面に対応する外面76e1と傾斜部材76bの面に対応する内面76e2とが同じ方向に傾斜する。これにより、肉厚略同一の一体ブロック部76eの部品精度が出し易くなる。
また、一体ブロック部76eは、内面76e2が受光基板73の受光素子73a側を向いている。これにより、スリット部76cからの光による第1遮光壁75の内面反射は、内面76e2が平行である場合に比べて、抑制される。
【0037】
また、一体ブロック部76eは、透明板71とは反対の側に凹部76e3を備えている。かかる凹部76e3は、第1遮光壁75を受け入れる形状に形成されている。より詳細には、図8(b)に示すように、一体ブロック部76eの凹部76e3には、第1遮光壁75及びマイクロレンズアレイ74が位置決めして搭載される。これにより、組立作業性が向上する。また、凹部76e3により、一体ブロック部76eにマイクロレンズアレイ74を搭載した場合の光軸方向の寸法が小さくなる。
【0038】
ここで、スリット部76cのスリット幅は狭ければ狭いほど光学的に有利であるが、結像に必要なメイン光を遮るおそれがある。
そこで、第4の実施の形態では、図8(b)に示すように、一体ブロック部76eに第1遮光壁75及びマイクロレンズアレイ74を搭載する構成を採用する。これにより、マイクロレンズアレイ74が温度特性等により傾いた場合にばらつきに対する誤差を抑制している。
【0039】
<第5の実施の形態>
図9は、第5の実施の形態に係る第2遮光壁76を説明する図であり、(a)は、第2遮光壁76の構成を説明する図であり、(b)は第2遮光壁76の平面図である。
図9(a)に示す第5の実施の形態に係る第2遮光壁76は、光を透過する樹脂製の透明ブロック部76fを備える。かかる透明ブロック部76fには、図9(a)に示すように、第1遮光壁75及びマイクロレンズアレイ74が取り付けられる。
【0040】
透明ブロック部76fは、図9(a)に示すように、側面に形成された印刷部76f1と、原稿読取り位置P側にある上面に形成された印刷部76f2と、を有する。印刷部76f1、76f2はいずれも光を通さないものであり、透明ブロック部76fの表面に形成されている。
【0041】
透明ブロック部76fは、印刷部76f1により、上述した第1の実施の形態における一対の部材76a、76a(図5(a)参照)と同様の作用を奏する。すなわち、印刷部76f1は、原稿読取り位置Pに収束する光路を遮らないが原稿読取り位置Pの光軸方向において導光体72(例えば図8(a)参照)側に収束する光を遮るものである。
印刷部76f1は遮光部の一例である。
【0042】
また、透明ブロック部76fは、印刷部76f2によりスリット部76cが形成され、上述した第2の実施の形態における一対の傾斜部材76b、76b(図6(a)参照)と同様の作用を奏する。
すなわち、印刷部76f2は、原稿読取り位置P、P2~P4(例えば図8参照)で反射し受光素子73aに向かう光を通す一方で原稿読取り位置P、P2~P4以外の位置で反射し受光素子73aに向かう光の進入を妨げるものである。
さらに説明すると、印刷部76f2は、副走査方向Sの略中央位置に形成されておらず、かかる略中央位置が、迷光を遮るためのスリット部76cになる。スリット部76cは、図9(b)に示すように、主走査方向Lに沿って形成されている。
印刷部76f2は縁部の一例である。
【0043】
さらに説明すると、図9(a)に示す透明ブロック部76fは、第3の実施の形態における一対のブロック部材76d、76d(図7参照)を一体化にした構成である点で、第4の実施の形態の一体ブロック部76e(図8参照)と共通する。
【0044】
その一方で、透明ブロック部76fは、断面長方形であり、一体ブロック部76eに比べ単純な外形形状である。また、透明ブロック部76fは、反射光が樹脂を通る点で、反射光は空気を通っていく一体ブロック部76eと相違する。
このため、第2遮光壁76に、反射光の光路に影響を与える可能性があるゴミの進入を防止し、また、剛性の向上が図られる。
【0045】
<第6の実施の形態>
図10は、第6の実施の形態に係る第2遮光壁76を説明する図である。
図10に示す第6の実施の形態に係る第2遮光壁76は、光を透過する樹脂製の透明ブロック部76gを備える。なお、透明ブロック部76gには、第5の実施の形態の場合と同様に、第1遮光壁75及びマイクロレンズアレイ74が取り付けられる。
【0046】
透明ブロック部76gは、図10に示すように、側面に形成された印刷部76g1と、傾斜面に形成された印刷部76g2と、上面に形成された印刷部76g3と、を有する。印刷部76g1~76g3はいずれも光を通さないものであり、透明ブロック部76gの表面に形成されている。
印刷部76g1、76g2は、第5の実施の形態の印刷部76f1(図9(a)参照)に対応し、印刷部76g3は、第5の実施の形態の印刷部76f2(同図(a)参照)に対応する。
印刷部76g1、76g2は遮光部の一例であり、印刷部76g3は縁部の一例である。
【0047】
このように、透明ブロック部76gは、断面略長方形である点で、第5の実施の形態の場合と共通するが、4つの角部のうち2つの角部が面取りされて傾斜面が形成されている点で、面取りされていない第5の実施の形態の場合と相違する。
【0048】
印刷部76g2が形成されている傾斜面と印刷部76g3が形成されている上面とは隣り合っている。
また、かかる傾斜面と上面とがなす角度は、90度以上であり鈍角である。このため、傾斜面で遮光を行うことになり、角部で遮光を行う場合に比べて、より確実に遮光が行われる。
なお、第6の実施の形態のような面取りを、上述した第4の実施の形態に係る一体ブロック部76eに形成してもよい。
【0049】
<付記>
(((1)))
予め定められている位置に導く光を出射口から発する導光部と、
前記予め定められている位置で反射した光を受け付ける検出部と、
前記予め定められている位置及び前記導光部を含む断面において、当該予め定められている位置と当該予め定められている位置から光軸方向に遠い前記出射口の端部とを互いに結ぶ仮想線よりも前記検出部側に位置する遮光部を含む遮光手段と、
を備える光学装置。
(((2)))
前記遮光手段は、前記予め定められている位置で反射し前記検出部に向かう光を通す一方で当該予め定められている位置以外の他の位置で反射し当該検出部に向かう光の進入を妨げるための縁部を含む、ことを特徴とする(((1)))に記載の光学装置。
(((3)))
前記縁部は、前記遮光部と一体で形成されている、ことを特徴とする(((2)))に記載の光学装置。
(((4)))
前記縁部と前記遮光部とが一体で形成された部材に、前記予め定められている位置で反射した光が入射するレンズが搭載されている、ことを特徴とする(((3)))に記載の光学装置。
(((5)))
前記縁部と前記遮光部とが一体で形成された部材は、前記予め定められている位置で反射した光が入射するレンズを搭載するための凹部が形成されている、ことを特徴とする(((3)))に記載の光学装置。
(((6)))
前記縁部及び前記遮光部は、透明部材の表面に形成されたものである、ことを特徴とする(((3)))に記載の光学装置。
(((7)))
前記縁部は、前記検出部側に向く内面を有する、ことを特徴とする(((2)))に記載の光学装置。
(((8)))
前記遮光部は、透明部材の隣り合う2つの面に形成されている、ことを特徴とする(((1)))に記載の光学装置。
(((9)))
前記隣り合う2つの面がなす角度は鈍角である、ことを特徴とする(((8)))に記載の光学装置。
(((10)))
画像読取り位置に導く光を出射口から発する導光部と、
前記画像読取り位置で反射した光を受け付ける検出部と、
前記画像読取り位置及び前記導光部を含む断面において、当該画像読取り位置と当該画像読取り位置から光軸方向に遠い前記出射口の端部とを互いに結ぶ仮想線よりも前記検出部側に位置する遮光部を含む遮光手段と、
を備える画像読取装置。
【0050】
(((1)))の発明によれば、導光部からの光を遮らないで検出部に受け付けさせる構成と比較して、良好な検出画像を得ることができる。
(((2)))の発明によれば、縁部を含まない場合と比較して、より良好な検出画像を得ることができる。
(((3)))の発明によれば、縁部が遮光部と一体で形成されていない場合と比較して、組立作業性を向上させることができる。
(((4)))の発明によれば、縁部と遮光部とが一体で形成された部材にレンズが搭載されない場合と比較して、組立作業性を向上させることができる。
(((5)))の発明によれば、縁部と遮光部とが一体で形成された部材に凹部が形成されていない場合と比較して、光軸方向の寸法を抑えることができる。
(((6)))の発明によれば、縁部及び遮光部を透明部材の表面に形成したものではない場合と比較して、部品剛性を向上させることができる。
(((7)))の発明によれば、縁部が検出部側に向く内面を有しない場合と比較して、より良好な検出画像を得ることができる。
(((8)))の発明によれば、遮光部が透明部材の隣り合う2つの面に形成したものではない場合と比較して、より良好な検出画像を得ることができる。
(((9)))の発明によれば、隣り合う2つの面がなす角度が鈍角ではない場合と比較して、遮光をより確実に行うことができる。
(((10)))の発明によれば、導光部からの光を遮らないで検出部に受け付けさせる構成と比較して、良好な検出画像を得ることができる。
【符号の説明】
【0051】
1…原稿読取装置、72…導光体、72b…出射口、72c…端部、73a…受光素子、74…マイクロレンズアレイ、74a…マイクロレンズ、76…第2遮光壁、76a…部材、76b…傾斜部材、76c…スリット部、76d…ブロック部材、76e…一体ブロック部、76f、76g…透明ブロック部、P、P2、P3、P4…原稿読取り位置、VL…仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10