(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039158
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】板材昇降式横型ホットプレス装置
(51)【国際特許分類】
B27D 3/02 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
B27D3/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143494
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000148818
【氏名又は名称】株式会社太平製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100174377
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100215038
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友子
(72)【発明者】
【氏名】石黒 勝
(72)【発明者】
【氏名】片山 貴之
(72)【発明者】
【氏名】水谷 圭佑
【テーマコード(参考)】
2B200
【Fターム(参考)】
2B200AA05
2B200CA02
2B200EA06
2B200EF16
2B200EF19
2B200EF21
2B200EF24
2B200EF28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】加熱圧締部に対する導入・導出スピードの高速化を容易とし、サイクルタイムの短縮を図ることのできる板材昇降式横型ホットプレス装置を提供する。
【解決手段】板材Wよりも高い位置にある作業ステーションJSに配置され、起立状態の複数の板材Wを複数の熱板401間に挟み込み加熱加圧する加熱圧締部400と、板材Wの端面を起立状態に保持し、一斉上昇させて熱板401間に導入するとともに、加熱圧締部400直下の待機ステーションWSと、待機ステーションWS近傍の供給ステーションSSとの間を押圧方向と直交する方向に沿って移動可能なローダ部300と、加熱圧締部400の加熱加圧後に熱板401間から導出された複数の板材Wを起立状態で受け止め、下降させて収容するとともに、待機ステーションWSと待機ステーションWS近傍の取出ステーションTSとの間を押圧方向と直交する方向に沿って移動可能なアンローダ部300’とを有する。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上からの高さが矩形状の被処理板材の長辺又は短辺の長さよりも高い位置に設定された作業ステーションに配置され、上下方向の接触面を有する複数の熱板の相互間に縦長状又は横長状で起立状態の被処理板材を各々挟み込み、被処理板材の厚さ方向を押圧方向として一斉に加熱加圧する加熱圧締部と、
複数の被処理板材の短辺側又は長辺側端面を厚さ方向に所定の間隔をあけて縦長状又は横長状の起立状態に保持し、各被処理板材の短辺側又は長辺側端面を下側から支えつつ上昇させて対応する熱板間に導入するための搬入側起立収容棚を有するとともに、前記加熱圧締部の直下に設定された待機ステーションと、平面視で前記待機ステーションの近傍に設定された供給ステーションとの間を、前記押圧方向と直交する方向又は押圧方向と重なり合う方向に沿って移動可能な搬入側収容台車に前記搬入側起立収容棚が搭載されたローダ部と、
前記加熱圧締部の加熱加圧後に対応する熱板間から各々導出された複数の処理済板材の短辺側又は長辺側端面を厚さ方向に所定の間隔をあけて縦長状又は横長状の起立状態で受け止め保持し、各処理済板材の短辺側又は長辺側端面を下側から支えつつ下降させて収容するための搬出側起立収容棚を有するとともに、前記待機ステーションと、平面視で前記待機ステーションの近傍であって前記供給ステーションとは異なる位置に設定された取出ステーションとの間を、前記押圧方向と直交する方向又は押圧方向と重なり合う方向に沿って移動可能な搬出側収容台車に前記搬出側起立収容棚が搭載されたアンローダ部と、
を備えることを特徴とする板材昇降式横型ホットプレス装置。
【請求項2】
前記供給ステーションにおいて前記ローダ部に起立状態に収容された複数の被処理板材は、前記搬入側収容台車とともに前記待機ステーションまで移動し、前記搬入側起立収容棚によって下側から支えられつつ上昇し、前記作業ステーションにおいて前記加熱圧締部の対応する熱板間に導入された後、
前記加熱圧締部の加熱加圧中には、前記搬入側収容台車が前記搬入側起立収容棚を空の状態で搭載して前記待機ステーションから前記供給ステーションへ戻るのと入れ替わりに、前記搬出側収容台車が前記搬出側起立収容棚を空の状態で搭載して前記取出ステーションから前記待機ステーションへ移動し、
前記作業ステーションにおいて前記加熱圧締部の対応する熱板間から各々導出された複数の処理済板材は、前記搬出側起立収容棚によって起立状態に保持され、かつ下側から支えられつつ下降し、前記待機ステーションにおいて前記アンローダ部に収容され、前記搬出側収容台車とともに前記取出ステーションへ戻る請求項1に記載の板材昇降式横型ホットプレス装置。
【請求項3】
前記搬入側起立収容棚は、複数の被処理板材を下側から受け止め、起立状態のまま鉛直方向に沿って一斉に昇降可能であり、
前記搬出側起立収容棚は、複数の処理済板材を下側から受け止め、起立状態のまま鉛直方向に沿って一斉に昇降可能である請求項1又は請求項2に記載の板材昇降式横型ホットプレス装置。
【請求項4】
前記搬入側収容台車は、前記待機ステーションと前記供給ステーションとの間を平面視において前記押圧方向と直交する水平方向に移動可能であり、
前記搬出側収容台車は、前記待機ステーションと前記取出ステーションとの間を平面視において前記押圧方向と直交する水平方向に移動可能である請求項1又は請求項2に記載の板材昇降式横型ホットプレス装置。
【請求項5】
前記搬入側収容台車及び前記搬出側収容台車は、前記待機ステーション、前記供給ステーション及び前記取出ステーションの相互間を地上同一高さで一直線状に繋ぐ水平レール上を移動可能である請求項4に記載の板材昇降式横型ホットプレス装置。
【請求項6】
前記搬入側起立収容棚と前記搬出側起立収容棚とは同一構造を有するとともに、前記搬入側収容台車と前記搬出側収容台車とは同一構造を有し、
前記ローダ部と前記アンローダ部とは相互に置換可能である請求項1又は請求項2に記載の板材昇降式横型ホットプレス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板材昇降式横型ホットプレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
合板、化粧板、繊維板、パーティクルボード、ベニヤ単板等の木質系で矩形状の板材(被処理板材)を加熱加圧して所定の板厚に成形する多段プレス装置(ホットプレス)において、起立状態に保持された複数の板材の各々を、鉛直方向に垂下して対向配置された複数の熱板の間に搬入して加熱加圧する横型方式が知られている。この横型方式(横型ホットプレス)は、水平方向に保持された板材と熱板とを上下方向に交互に積み重ねて加熱加圧する縦型方式(縦型ホットプレス)に比して、板材や熱板自身の重量の影響による成形ムラ(板厚の不揃い)が発生しにくい利点を有する。
【0003】
そして、このような横型ホットプレスにおいて例えば特許文献1~3には、多数の被処理板材を水平状態(倒伏状態)から所定間隔で並ぶ垂直状態(起立状態)に連続的に姿勢変更させる供給手段が提案されている。これらの供給手段は、多数の被処理板材を倒伏状態から起立状態へ次々と姿勢変更できるので、起立状態に整列された被処理板材をホットプレス部(すなわち加熱圧締部)の熱板間へ一斉に搬入することが可能となる。
【0004】
また、特許文献1~3には、多数の処理済板材を所定間隔で並ぶ垂直状態(起立状態)から水平状態(倒伏状態)に連続的に姿勢変更させる排出手段が提案されている。これらの排出手段は、多数の加熱加圧後の板材(処理済板材)を起立状態から倒伏状態へ次々と姿勢変更できるので、ホットプレス部の熱板間から起立状態で一斉に取り出された処理済板材を倒伏状態へ整列し直して搬出することが可能となる。
【0005】
ところで、特許文献1~3の例示からも見て取れるように、横型ホットプレスにおいては、加熱加圧直前の各被処理板材を供給手段からホットプレス部へ停滞、詰り等の異常を発生させることなく円滑に搬入する(取り込む)こと、及び加熱加圧直後の各処理済板材をホットプレス部から排出手段へ停滞、詰り等の異常を発生させることなく円滑に搬出する(取り出す)ことは、ホットプレス部で各板材に変形、損傷等の欠陥を発生させることなく加熱加圧することと並んで、あるいはそのこと以上に重要なテーマである。
【0006】
このうち特許文献1,2においては、ホットプレス部の上流側に位置する搬入側搬送部において、繊維方向が前後方向となる横長状の起立状態に姿勢変更された各被処理板材の長辺側端面が搬入体(搬入コンベヤ)の水平な搬送面で受け止められ、次に加熱加圧直前の各被処理板材を熱板間に搬入し加熱加圧直後の各処理済板材を熱板間から搬出するために、起立状態の各板材はホットプレス部の下部に配置された搬送体(搬送コンベヤ)の水平な搬送面に受け継がれ、さらに下流側に位置する搬出側搬送部において、起立状態の各処理済板材は搬出体(搬出コンベヤ)の水平な搬送面に受け継がれた後倒伏状態へ姿勢変更される。
【0007】
そして、特許文献1,2では、搬入体、搬送体及び搬出体の三者間で被処理板材及び処理済板材を円滑に受け渡すために、中間的な搬送手段(例えば補助搬入体、補助搬出体)や調整手段(例えば搬入体回動機構、搬出体回動機構)を付加し、上記三者の各搬送面に対して位置関係の調整(高さ位置合わせ)を行って、受け継ぐ際に各板材の停滞、詰り等の異常発生の防止を図っている。よって、特許文献1,2のように、ホットプレス部の下部に配置された搬送体に対する中間搬送手段、調整手段等の増設は、各板材の円滑な搬送受け渡しを可能とするが、その反面搬入・搬出構造の複雑化(ひいては設備費の高騰)や各搬送面の位置調整の煩雑化を招く要因ともなる。
【0008】
一方、特許文献3においては、ホットプレス部の上流側に位置する搬入側搬送部において、繊維方向が上下方向となる横長状の起立状態に姿勢変更された各被処理板材の上部が搬入用把持部材で把持され、ホットプレス部の周囲を迂回した後上方から熱板間に移送(搬入)され、さらに下流側に位置する搬出側搬送部において、上部を搬出用把持部材で把持された各処理済板材が起立状態で熱板間から上方へ取り出され、ホットプレス部の周囲を迂回した後倒伏状態へ姿勢変更されて移送(搬出)される。
【0009】
このように、特許文献3では、ホットプレス部の下部に搬送体を設けず、中間搬送手段や調整手段も不要となり、搬入・搬出構造の簡素化(設備費の抑制)や各搬送面の位置調整の簡略化が図られている。しかし、各板材は、把持部材による宙吊り状態となってホットプレス部の周囲を迂回して移送(搬入、搬出)されるので、移送開始時・移送停止時等の速度変化発生時(加減速時)に発生する慣性力や風圧を受けてバタつきを生じ、姿勢が不安定になって停滞、詰り等の異常が発生するおそれがある(特に単板のような薄く軽量な板材を高速で移送するときに顕著に現れる)。よって、特許文献3のように、把持部材で各板材の上部を把持して移送することは、搬入・搬出構造の簡素化や各搬送面の位置調整の簡略化に寄与するが、その反面ホットプレス部に対する搬入・搬出スピードの高速化が困難となり、サイクルタイムの短縮を図る上で障害となるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4776440号公報
【特許文献2】特許第4776441号公報
【特許文献3】特許第5590928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、複雑なローダ部・アンローダ部や煩雑な搬送面の位置調整を要することなく、加熱圧締部(ホットプレス部)に対する導入・導出スピードの高速化を容易とし、サイクルタイムの短縮を図ることのできる板材昇降式横型ホットプレス装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の板材昇降式横型ホットプレス装置は、
地上からの高さが矩形状の被処理板材の長辺又は短辺の長さよりも高い位置に設定された作業ステーションに配置され、上下方向の接触面を有する複数の熱板の相互間に縦長状又は横長状で起立状態の被処理板材を各々挟み込み、被処理板材の厚さ方向(である水平方向)を押圧方向として一斉に加熱加圧する加熱圧締部(すなわちホットプレス部)と、
複数の被処理板材の短辺側又は長辺側端面を厚さ方向に所定の間隔をあけて縦長状又は横長状の起立状態に保持し、各被処理板材の短辺側又は長辺側端面を下側から支えつつ(一斉に)上昇させて対応する熱板間に導入するための搬入側起立収容棚(すなわちロード棚)を有するとともに、前記加熱圧締部の直下に設定された待機ステーションと、平面視で前記待機ステーションの近傍に設定された供給ステーションとの間を、前記押圧方向と直交する方向又は押圧方向と重なり合う方向に沿って移動可能な搬入側収容台車(すなわちロード台車)に前記搬入側起立収容棚が搭載されたローダ部と、
前記加熱圧締部の加熱加圧後に対応する熱板間から各々導出された複数の処理済板材の短辺側又は長辺側端面を厚さ方向に所定の間隔をあけて縦長状又は横長状の起立状態で受け止め保持し、各処理済板材の短辺側又は長辺側端面を下側から支えつつ(一斉に)下降させて収容するための搬出側起立収容棚(すなわちアンロード棚)を有するとともに、前記待機ステーションと、平面視で前記待機ステーションの近傍であって前記供給ステーションとは異なる位置に設定された取出ステーションとの間を、前記押圧方向と直交する方向又は押圧方向と重なり合う方向に沿って移動可能な搬出側収容台車(すなわちアンロード台車)に前記搬出側起立収容棚が搭載されたアンローダ部と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
そして、上記構成を備える板材昇降式横型ホットプレス装置に関して、
供給ステーションにおいてローダ部に(縦長状又は横長状の)起立状態に収容された複数の被処理板材は、搬入側収容台車とともに待機ステーションまで移動し、搬入側起立収容棚によって(短辺側又は長辺側端面を)下側から支えられつつ(一斉に)上昇し、作業ステーションにおいて加熱圧締部の対応する熱板間に導入された後、
加熱圧締部の加熱加圧中には、搬入側収容台車が搬入側起立収容棚を空の状態で搭載して待機ステーションから供給ステーションへ戻るのと入れ替わりに、搬出側収容台車が搬出側起立収容棚を空の状態で搭載して取出ステーションから待機ステーションへ移動し、
作業ステーションにおいて加熱圧締部の対応する熱板間から各々導出された複数の処理済板材は、搬出側起立収容棚によって(縦長状又は横長状の)起立状態に保持され、かつ(短辺側又は長辺側端面を)下側から支えられつつ(一斉に)下降し、待機ステーションにおいてアンローダ部に収容され、搬出側収容台車とともに取出ステーションへ戻る。
【0014】
このように、複雑なローダ部・アンローダ部や煩雑な搬送面の位置調整を要せずとも、停滞、詰り等の異常発生を抑制しつつ被処理板材を加熱圧締部の熱板間に円滑に導入し、かつ処理済板材を加熱圧締部の熱板間から円滑に導出できる。その結果、加熱圧締部に対する導入・導出スピードの高速化が容易となり、搬入側及び搬出側におけるサイクルタイムの短縮を図ることができる。
【0015】
そして、上記搬入側起立収容棚は、複数の被処理板材(の短辺側又は長辺側端面)を下側から受け止め、起立状態のまま鉛直方向に沿って一斉に昇降可能であり、
上記搬出側起立収容棚は、複数の処理済板材(の短辺側又は長辺側端面)を下側から受け止め、起立状態のまま鉛直方向に沿って一斉に昇降可能である。
【0016】
被処理板材及び処理済板材は、起立状態のまま鉛直方向に沿って一斉に昇降されるので、加熱圧締部の熱板間に一層安定した姿勢で導入でき、熱板間から一層安定した姿勢で導出できる。
【0017】
また、上記搬入側収容台車は、待機ステーションと供給ステーションとの間を平面視において押圧方向と直交する水平方向に移動可能であり、
上記搬出側収容台車は、待機ステーションと取出ステーションとの間を平面視において押圧方向と直交する水平方向に移動可能である。
【0018】
これによって、待機ステーションに対して供給ステーションや取出ステーションを近距離に配置することができ、移動時間の短縮を図ることができる。
【0019】
具体的には、上記搬入側収容台車及び搬出側収容台車は、待機ステーション、供給ステーション及び取出ステーションの相互間を地上同一高さで一直線状に繋ぐ水平レール上を移動可能である。
【0020】
これによって、3つのステーション間で搬入側収容台車や搬出側収容台車を一層効率よく移動させることができる。
【0021】
さらに、上記搬入側起立収容棚と搬出側起立収容棚とは同一構造を有するとともに、搬入側収容台車と搬出側収容台車とは同一構造を有し、
ローダ部とアンローダ部とは相互に置換可能である。
【0022】
これによって、搬入側起立収容棚と搬出側起立収容棚、搬入側収容台車と搬出側収容台車、ひいてはローダ部全体とアンローダ部全体とを共用化でき、設備費用の更なるコストダウンとともに作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図5】可動体フレームの移動前(a)と、移動後(b)を示した右側面図。
【
図6】搬入側倒伏搬送部の伸縮コンベヤの短縮状態を示した側面図。
【
図7】搬入側倒伏搬送部の伸縮コンベヤの伸長状態を示した側面図。
【
図9】搬入側倒伏搬送部のローラコンベヤの側面図。
【
図10】搬入側倒伏搬送部の傾斜配置コンベヤの側面図。
【
図13】移送コンベヤ駆動機構を説明するための移送コンベヤの拡大側面図。
【
図14】搬入側姿勢変換部における板材の導入・姿勢変換・導出を説明するための模式図。
【
図20】板材昇降式横型ホットプレス装置を平面視した模式図。
【
図23】昇降駆動機構を説明するためのローダ部の平面図。
【
図26】板材保持位置調整機構を説明するためのローダ部の正面図。
【
図27】スライド枠駆動機構を説明するためのローダ部の平面図。
【
図28】加熱圧締部を説明するための加熱圧締部及びローダ部の側面図。
【
図29】搬出側姿勢変換部における板材の導入・姿勢変換・導出を説明するための模式図。
【
図34】板材昇降式横型ホットプレス装置の駆動サイクルを簡単に示したタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の板材昇降式横型ホットプレス装置の一実施例を説明する。
【0025】
図1~
図4には、横型多段ホットプレス装置1000の一例が示されている。横型多段ホットプレス装置1000は、板材搬入構造500及び板材搬出構造500’(
図2~
図4参照)を含む。さらに横型多段ホットプレス装置1000は、板材昇降式横型ホットプレス装置700を含む(
図1参照)。
【0026】
板材搬入構造500及び板材搬出構造500’は、起立状態に保持された複数の矩形状の被処理板材W1を加熱圧締部400(ホットプレス部)に配置された複数の熱板401の間にそれぞれ搬入して(板材搬入構造500)、各被処理板材W1の厚さ方向を押圧方向Pとして複数の熱板401(
図28参照)により一斉に加熱加圧し(加熱圧締部400)、それによって得られた複数の矩形状の処理済板材W2を起立状態にて加熱圧締部400から搬出する(板材搬出構造500’)。
【0027】
なお、本実施例における被処理板材W1及び処理済板材W2は矩形状をなし、その繊維方向が長辺方向と一致している(
図2参照)。被処理板材W1及び処理済板材W2は、ここではベニヤ単板であるが、合板、化粧板、繊維板、パーティクルボード等の木質系で矩形の板材とすることができる。被処理板材W1及び処理済板材W2は、加熱圧締部400での加熱加圧処理の前後で名称が変化するが、以下では全てを板材Wと略するものとする。
【0028】
また、板材Wは薄く、繊維方向ではない方向を上下方向にして起立させた場合、起立せず自重により長辺方向において湾曲してしまうが、繊維方向を上下方向にして起立させた場合は、自重に抗して起立状態を維持できる。ただし、図面中に図示されている板材Wは、実際のものよりも厚みをもって図示され、強調されている。このため、各図の装置は、板材Wの厚みが実際よりも厚いため、実際のものとは異なるように図示されている。特に、後述する熱板401(
図28等参照)や、ローダ部300及びアンローダ部300’の棚区画部321(固定式区画壁:
図21等参照)は、実際よりもその数が少なく、それらの間の間隔も実際よりも幅広く図示されている。
【0029】
横型多段ホットプレス装置1000の板材搬入構造500について説明する。
【0030】
横型多段ホットプレス装置1000は、
図1~
図3に示すように、加熱圧締部400の搬入側に板材搬入構造500を備える。板材搬入構造500では、長辺側を搬送方向Cに沿わせて搬入側姿勢変換部200により倒伏状態で搬送される複数の板材W(被処理板材)が、搬送終端部において搬入側姿勢変換部200により縦長状の起立状態に姿勢変更されて順次ローダ部300に収容され、さらにローダ部300のロード台車320(収容台車)が加熱圧締部400(ホットプレス部)の下方に移動した後、ロード棚310(起立収容棚)により起立状態のまま上昇して対応する熱板401間(
図28参照)に各々導入される。
【0031】
本実施例の板材搬入構造500は、搬入側倒伏搬送部100と、搬入側姿勢変換部200と、ローダ部300と、を備える。
【0032】
搬入側倒伏搬送部100について説明する。
【0033】
搬入側倒伏搬送部100は、倒伏状態の板材W(被処理板材)を、その長辺側が平面視において押圧方向Pと平行な搬送方向Cとなるように搬送する。ここでの搬入側倒伏搬送部100は、
図2及び
図3に示すように、伸縮コンベヤ110(搬入入口コンベヤ)と、ローラコンベヤ120(搬入中間コンベヤ)と、傾斜配置コンベヤ130(搬入出口コンベヤ)と、を有する。
【0034】
伸縮コンベヤ110(搬入入口コンベヤ)は、
図6及び
図7に示すように、鉛直方向Zに直交する予め定められた水平方向を搬送方向Cとする。伸縮コンベヤ110は、搬送方向Cに直交する幅方向Y(
図8参照)に並ぶ複数のローラ付きベルトコンベヤ111、112(ここではローラ付きベルトコンベヤ111、112が合計で8つ並ぶ)を有する。各ローラ付きベルトコンベヤ111、112は、複数の搬送ローラ113R(ローラコンベヤ)と、それら搬送ローラ113Rと鉛直方向Zにおいて対面する対面区間S114を有した搬送ベルト114Bと、を有する。それら搬送ローラ113Rと搬送ベルト114Bの対面区間S114との間に搬送経路100P(倒伏搬送経路)が形成される。
【0035】
各ローラ付きベルトコンベヤ111、112の搬送ローラ113Rは、鉛直方向Z及び搬送方向Cに直交する幅方向Yに延びる回転軸線周りを回転自在とされる。他方、各ローラ付きベルトコンベヤ111、112の搬送ベルト114Bは環状をなし、所定位置に配置された各プーリに巻き掛けられる。それら各プーリは、搬送ベルト114Bのテンションを一定に維持するための周知のテンショナー機構110Tのアイドラープーリ114Tを含む。また、それら各プーリは、搬送ベルト114Bを駆動させる駆動プーリ114Dを含む。各ローラ付きベルトコンベヤ111、112は、それぞれに属する搬送ローラ113Rと搬送ベルト114Bの対面区間S114との間に形成される搬送経路100P(倒伏搬送経路)において、搬送ベルト114Bの回転により当該搬送経路100Pを搬送方向Cに向けて押し出される。
【0036】
伸縮コンベヤ110は、伸縮コンベヤ駆動機構110Dを有する。伸縮コンベヤ駆動機構110Dは、横型多段ホットプレス装置1000の主制御部900(制御回路)と接続する回転駆動部M115(サーボモータ及び駆動回路等を含む:
図33参照)と、回転駆動部M115の出力に基づいて回転する共通ベルト駆動軸115と、共通ベルト駆動軸115に対し一体回転可能に組付けられた各ローラ付きベルトコンベヤ111、112の駆動プーリ114Dと、を有する。回転駆動部M115が共通ベルト駆動軸115を回転させることにより全ての駆動プーリ114Dが同速度で回転し、これにより全てのローラ付きベルトコンベヤ111、112の搬送ベルト114Bが同速度で回転して、搬送経路100P内において板材Wを同速度で送り出す。
【0037】
また、伸縮コンベヤ110は、伸縮調整機構110Aを有する。ここでの各ローラ付きベルトコンベヤ111、112は、固定コンベヤ111と、可動コンベヤ112と、を有する。固定コンベヤ111は全て、地表面に固定された搬入側倒伏搬送部100のベースフレーム1000F(
図6及び
図7参照)に対し固定される。他方、可動コンベヤ112は、ベースフレーム1000Fに対し全てが一体となって搬送方向Cに往復移動可能となるよう前端フレーム110Fに固定される。
【0038】
伸縮調整機構110Aは、全可動コンベヤ112の搬送方向Cへの一体移動によって板材Wの搬送距離を搬送方向Cに延長する。ここでの伸縮調整機構110Aは、ベースフレーム1000Fに固定された搬送方向Cに延び出す搬送ガイドレール117と、搬送ガイドレール117にガイドされる形で搬送方向Cに前後進可能なガイド台車118と、を有する。各可動コンベヤ112にはガイド台車118が組付けられ、これにより各可動コンベヤ112の搬送方向Cへの往復移動がガイドされる。
【0039】
ここでの伸縮調整機構110Aは、ベルトテンショナー機構110Tを含む。ベルトテンショナー機構110Tは、搬送ベルト114B毎に設けられており、対応する搬送ベルト114Bに生じるテンションの変化(例えば可動コンベヤ112の移動に伴うテンションの変化等)を吸収し、板材Wの安定した搬送を可能にする。
【0040】
なお、本実施例の伸縮コンベヤ110では、
図8に示すように、幅方向Yに並ぶ2以上(ここでは2)の固定コンベヤ111と2以上(ここでは2)の可動コンベヤ112とによって、1枚の板材Wを搬送する搬送経路100Pが形成される。ここでは幅方向Yにおいて2つの搬送経路100Pを有する。また、
図6及び
図7に示すように、これらの搬送経路100Pは、鉛直方向Zの上下2段に並ぶ形で形成されており、合計で4つの搬送経路100Pを有する。
【0041】
各搬送経路100Pを構成する固定コンベヤ111は、搬送方向Cの後端で幅方向Yに延びる後端フレーム110Bに連結され、その後端フレーム110Bがベースフレーム1000Fに対し固定され、位置移動を不可としている。他方、各搬送ラインを構成する可動コンベヤ112は、搬送方向Cの前端で幅方向Yに延びる単一の前端フレーム110Fに連結されており、ローラコンベヤ120の後端に固定される。また、上下に並ぶ可動コンベヤ112の対は、連結フレーム110Eによって連結されており、搬送方向Cに向けて一体となって往復移動する。伸縮コンベヤ駆動機構110Dは、上下のローラ付きベルトコンベヤ111、112に対応して設けられ、それぞれに対応する回転駆動部M115(
図33参照)を2つ有する。
【0042】
ローラコンベヤ120(搬入中間コンベヤ)は、
図9に示すように、鉛直方向Zに直交する予め定められた水平方向を搬送方向Cとする。ローラコンベヤ120は、伸縮コンベヤ110の上下2段の搬送経路100Pから搬出された板材Wを引き継いで、それらを搬送方向Cへ送り出す。
【0043】
ローラコンベヤ120は、鉛直方向Z及び搬送方向Cに直交する幅方向Y(
図9に符号なし:
図2参照)に延びる回転軸線周りを回転自在な複数の搬送ローラ121を、搬送方向Cにおいて平行に並ぶ形で有しており、それら搬送ローラ121上に搬送経路100Pを形成している。即ち、伸縮コンベヤ110から搬送方向Cに向けて水平に搬出される板材Wは、平行に並ぶ各搬送ローラ121上に載せられ、各搬送ローラ121の回転により搬送方向Cに送り出される。
【0044】
ローラコンベヤ120は、所定位置に配置された各プーリに巻き掛けられた環状の駆動チェーン123を有する。それら各プーリは、各搬送ローラ121の回転軸線方向の端部に一体回転可能に設けられ、駆動チェーン123の回転によって回転する。各搬送ローラ121は、対応するプーリの回転により回転する。また、それら各プーリは、駆動チェーン123のテンションを一定に維持するための周知のテンショナー機構のアイドラープーリ122Tを含む。また、それら各プーリは、駆動チェーン123を駆動させる駆動プーリ122Dを含む。
【0045】
ローラコンベヤ120は、ローラコンベヤ駆動機構120Dを有する。ローラコンベヤ駆動機構120Dは、主制御部900と接続する回転駆動部M125(サーボモータ及び駆動回路等を含む:
図33参照)と、回転駆動部M125の出力に基づいて回転する駆動プーリ122Dを有する。回転駆動部M125が駆動プーリ122Dを回転させることにより駆動チェーン123が回転し、その結果、全てのプーリ122Dが同速度で回転する。これにより、各搬送ローラ121も同速度で回転するから、それら搬送ローラ121上の板材Wが同速度で搬送できる。
【0046】
なお、本実施例のローラコンベヤ120は、鉛直方向Z及び搬送方向Cに直交する幅方向Y(
図9に符号なし:
図2参照)に延びる搬送ローラ121上に、その幅方向Yにおいて横並びする2枚の板材Wを搬送する。即ち、ローラコンベヤ120は、幅方向Yにおいて2つの搬送経路100Pを有する。また、これらの搬送経路100Pは、鉛直方向に並ぶ形で上下2段に形成され、合計で4つの搬送経路100Pを有する。ローラコンベヤ駆動機構120Dは、上下のローラコンベヤ120に対応して設けられ、それぞれに対応する回転駆動部M125(
図33参照)を有する。
【0047】
ローラコンベヤ120は、ベースフレーム1000Fに対し搬送方向Cに往復移動可能とされた可動体フレーム100Eに組付けられ、可動体フレーム100Eと一体移動可能とされている。
【0048】
傾斜配置コンベヤ130(搬入出口コンベヤ)は、
図10に示すように、鉛直方向Zに直交する予め定められた水平方向を搬送方向Cとする。傾斜配置コンベヤ130は、ローラコンベヤ120の上下2段の搬送経路100Pから搬出された板材Wを引き継いで、それらを搬入側姿勢変換部200が導入可能となるよう上下方向において接近させて搬送方向Cへ搬出する。
【0049】
傾斜配置コンベヤ130は、鉛直方向Z及び搬送方向Cに直交する幅方向Y(
図10に符号なし:
図2参照)に並ぶ複数(ここでは4つ)のローラ付きベルトコンベヤ131、132を上下段にそれぞれに有する。上段のローラ付きベルトコンベヤ131は、搬送方向Cの前端側で下段のローラ付きベルトコンベヤ132に接近するように、ここでは搬送方向Cに向かって下方に傾斜した形で配置される。下段のローラ付きベルトコンベヤ132は、搬送方向Cの前端側で上段のローラ付きベルトコンベヤ131に接近するように、ここでは搬送方向Cに向かって上方に傾斜した形で配置される。上下段の各ローラ付きベルトコンベヤ131、132は、複数の搬送ローラ133R(ローラコンベヤ)と、それら搬送ローラ133Rと鉛直方向Zにおいて対面する対面区間S134を有した搬送ベルト134Bと、を有する。それら搬送ローラ133Rと搬送ベルト134Bの対面区間S114との間に搬送経路100P(倒伏搬送経路)が形成される。
【0050】
各ローラ付きベルトコンベヤ131、132の搬送ローラ133Rは、鉛直方向Z及び搬送方向Cに直交する幅方向Yに延びる回転軸線周りを回転自在に配置される。各ローラ付きベルトコンベヤ131、132の搬送ベルト134Bは環状をなし、所定位置に配置された各プーリに巻き掛けられる。それら各プーリは、搬送ベルト134Bのテンションを一定に維持するための周知のテンショナー機構のアイドラープーリ134Tを含む。また、それら各プーリは、搬送ベルト134Bを駆動させる駆動プーリ134Dを含む。各ローラ付きベルトコンベヤ131、132は、それぞれに属する搬送ローラ133Rと搬送ベルト114Bの対面区間S134との間に形成される搬送経路100P(倒伏搬送経路)において、搬送ベルト134Bの回転により当該搬送経路100Pを自身の傾斜方向に向けて押し出される。
【0051】
傾斜配置コンベヤ130は、傾斜配置コンベヤ駆動機構130Dを有する。傾斜配置コンベヤ駆動機構130Dは、主制御部900と接続する回転駆動部M135(サーボモータ及び駆動回路等を含む:
図33参照)と、回転駆動部M135の出力に基づいて回転する共通ベルト駆動軸135と、共通ベルト駆動軸135に対し一体回転可能に組付けられた各ローラ付きベルトコンベヤ131、132の駆動プーリ134Dと、を有する。回転駆動部M135が共通ベルト駆動軸135を回転させることにより全ての駆動プーリ134Dが同速度で回転し、これにより全てのローラ付きベルトコンベヤ131、132の搬送ベルト134Bが同速度で回転して、搬送経路100P内において板材Wを同速度で送り出す。
【0052】
なお、本実施例の傾斜配置コンベヤ130は、幅方向Y(
図10に符号なし:
図2参照)に並ぶ2以上のローラ付きベルトコンベヤ131、あるいは幅方向Y(
図10に符号なし:
図2参照)に並ぶ2以上のローラ付きベルトコンベヤ132によって、1枚の板材Wを搬送する搬送経路100Pを形成する。ここでは幅方向Yに並ぶ2つの搬送経路100Pが形成され、かつそれらが鉛直方向Zの上下に形成されており、合計で4つの搬送経路100Pを有する。傾斜配置コンベヤ駆動機構130Dは、上下のローラ付きベルトコンベヤ131、132に対応して設けられ、それぞれに対応する回転駆動部M135(
図33参照)を有する。
【0053】
傾斜配置コンベヤ130は、ベースフレーム1000Fに対し搬送方向Cに往復移動可能とされた可動体フレーム100Eに組付けられ、可動体フレーム100Eと一体移動可能とされている。
【0054】
搬入側姿勢変換部200(木質系板材の搬送姿勢変換装置)について説明する。
【0055】
搬入側姿勢変換部200は、矩形状をなしいずれかの辺と平行な搬送方向CAに沿って搬送される板材Wを導入し(
図14→
図15)、その板材Wの搬送方向長さの中間位置において搬送方向CAに直交する幅方向Yに水平配置された回動軸線Qの周りに回動することにより(
図15→
図16)、板材Wの搬送姿勢及び搬送方向を変換するための翼車回動装置である。
【0056】
ここでの搬入側姿勢変換部200は、搬入側倒伏搬送部100の搬送方向Cの下流側端部(
図10参照)に配置され、長辺側が搬送方向CA(ここでは搬入側倒伏搬送部100の搬送方向Cと同方向)を向く倒伏状態で搬送方向CAに沿って導入された板材W(
図14→
図15)を、その長辺側が上下方向(ここでは鉛直方向Z)と一致する搬送方向CBを向く縦長状の起立状態に姿勢変更(
図15→
図16)して搬送方向CBに沿って導出する搬送姿勢変換装置として機能する。なお、本発明における上下方向は鉛直方向Zに限るものではなく、上側から下側(下側から上側)に向かう方向であればよい。例えば、上下方向は鉛直方向Zに対し斜めに交差する方向であってもよい。
【0057】
搬入側姿勢変換部200は、
図11~
図13に示すように、一対の回動板210、210(回動基体)と、回動翼220(翼車本体)と、回動駆動機構240(
図12参照)と、移送コンベヤ230(移送体)と、移送コンベヤ駆動機構250(
図13参照)と、を有する。
【0058】
一対の回動板210、210(回動基体)は、
図11及び
図12に示すように、回動軸線Qに沿って板材Wの幅方向Yの両外側に各々配設され、かつ回動軸線Q周りで一体回動する。ここでの一対の回動板210はそれぞれが円盤状をなす。なお、
図12に破線で示した板材Wは、
図11に示した板材Wとは異なる位置(異なる直径収容区画220D)に収容されたものを示している。
【0059】
回動翼220(翼車本体)は、
図12に示すように、一対の回動板210、210間に架設される。回動翼220は、
図11に示すように、回動軸線Q方向から見て、板材Wの導入方向である直径方向に扁平状に貫通し、その両端には板材Wが出入りするための開口を各々有する直径収容区画220Dが回動中心部220Qにて直交状に交差して2個形成され、かつそれら2個の直径収容区画220Dは交差状態を維持しつつ回動軸線Q周りで一対の回動板210、210とともに一体回動可能である。
【0060】
回動駆動機構240は、一対の回動板210、210及び回動翼220を、回動軸線Q周りで一体回転させる。
図12に示すように、回動駆動機構240は、一対の回動軸部241、241と、主制御部900と接続する回動駆動部M241(サーボモータ及び駆動回路等を含む:
図33参照)と、を有する。一対の回動軸部241、241は、回動軸線Qの軸線方向の両側に設けられた各回動板210、210に対しそれぞれが一体回転可能に固定される。一方、それら回動軸部241、241は、可動体フレーム100Eに組付けられた非回転の姿勢変換部フレーム200Fに対し、それぞれが回動軸線Q周りで回動可能に支持される。回動駆動部M241は、一対の回動軸部241、241の一方を回動軸線Q周りで回転可能に連結する。この回転により、双方の回動軸部241、241、一対の回動板210、210、回動翼220が回動軸線Q周りを一体に回動する。
【0061】
移送コンベヤ230(移送体)は、
図11に示すように、直径収容区画220D内で板材Wを挟持するために各々の直径収容区画220Dに沿って配置される。ここでの移送コンベヤ230は、各々の直径収容区画220Dにおいて直径方向に沿う板材挟持用の対向部分(第一コンベヤと第二コンベヤ)を有し、その対向間において板材Wを挟持状態で移送する。移送コンベヤ230は、先行する搬入側倒伏搬送部100の傾斜配置コンベヤ130(先行搬送経路、倒伏搬送経路)から板材Wを所定の直径収容区画220Dへ導入する際、又は所定の直径収容区画220Dから板材Wを後続するローダ部300のロード棚310(後続搬送経路、起立搬送経路)に導出する際に、一対の回動板210、210及び回動翼220の一体回動とは異なるタイミングで作動して板材Wを移送する。つまり、移送コンベヤ230による板材Wの移送は、直径収容区画220Dの対向部分で挟持される形でなされ、その移送は一対の回動板210、210及び回動翼220の非回転時に実行される。
【0062】
ここでの移送コンベヤ230は、直交する2つの直径収容区画220Dに対しそれぞれ設けられる。
図11には、上下方向(ここでは鉛直方向Z)に沿う直径収容区画220Dに対応する移送コンベヤ230と、搬送方向C(
図11の左右方向)に沿う直径収容区画220Dに対応する移送コンベヤ230が存在する。それら各移送コンベヤ230は、直径収容区画220Dごとに独立して駆動される。
【0063】
また、各移送コンベヤ230は、各々の直径収容区画220Dの回動中心部220Qにおいて半径単位に分割され、かつ分割された双方が同じ移送方向に同時駆動される。
図11では、上下方向(ここでは鉛直方向Z)に沿う移送コンベヤ230が、回動中心部220Qを挟んで上下に分割され、搬送方向C(
図11の左右方向)に沿う移送コンベヤ230が、回動中心部220Qを挟んで搬送方向Cの前後(
図11の左右)に分割されている。回動中心部220Qは、共用領域として2つの直径収容区画220Dにおいて使用される。
【0064】
各々の直径収容区画220Dには、回動軸線Q方向から見て同時に2枚の板材Wを背中合わせ状に導入可能である。移送コンベヤ230は、一対のベルトコンベヤ230A、230Bが2枚の板材Wを厚み方向の両外側から挟むように向かい合わせて配置され、同時駆動によって各々の板材Wを同じ方向に移送する。
図11では、上下方向(ここでは鉛直方向Z)に沿う移送コンベヤ230が、搬送方向Cの前後(
図11の左右)で向かい合う一対のベルトコンベヤ230A、230Bを有し、搬送方向C(
図11の左右方向)に沿う移送コンベヤ230が、上下方向(ここでは鉛直方向Z)で向かい合う一対のベルトコンベヤ230A、230Bを有する。
【0065】
さらに、各々の直径収容区画220Dには、一対のベルトコンベヤ230A、230Bの間に位置して、直径収容区画220Dを直径方向に二分割する仕切体232が設けられる。仕切体232には、ベルトコンベヤ230A、230Bの位置する側とは反対側で板材Wに接する多数の遊転ローラ230Rが、回動軸線Qと平行なローラ軸線周りで回転可能に軸支される。
図11では、各仕切体232に、その長手方向に沿って多数の遊転ローラ230Rが配置されている。それら遊転ローラ230Rは、仕切体232の長手方向において、一対のベルトコンベヤ230A、230Bの一方に近接するものと他方に近接するものとが交互に配置され、一方に近接するものと他方に近接するものとがそれぞれ別のローラコンベヤを形成する。一対のベルトコンベヤ230A、230Bは、近接するベルトコンベヤ230A、230Bとの間でそれぞれ板材Wを挟持し、それらを同一方向に移送する。
【0066】
このように各移送コンベヤ230には、対応する直径収容区画220Dの一対のベルトコンベヤ230A、230Bの一方(第一コンベヤ)と、これと近接する遊転ローラ230Rからなるローラコンベヤ(第二コンベヤ)とが対向部分となってそれらの対向間に板材Wを移送する第一の搬送経路100Pが形成され、当該一対のベルトコンベヤ230A、230Bの他方(第一コンベヤ)と、これと近接する遊転ローラ230Rからなるローラコンベヤ(第二コンベヤ)とが対向部分となってそれらの対向間に板材Wを移送する第二の搬送経路100Pが形成される。このように各移送コンベヤ230は、仕切体232の表裏両側に2つの搬送経路100Pを有し、板材Wを2枚同時移送できる。
【0067】
本実施形態における各移送コンベヤ230には、仕切体232の表裏で対向する一対のベルトコンベヤ230A、230Bを、
図12に示すように、幅方向Yに並ぶ形で4組有する(
図12では、ベルトコンベヤ230Aがベルトコンベヤ230Bの背後に位置するため、図示されていない)。それら4組のベルトコンベヤ230A、230Bの対は、幅方向Yの両側(左右両側)の2組ずつによって1つの搬送経路100Pを形成する。したがって、ここでの各移送コンベヤ230には、仕切体232の表裏両側と、幅方向Yの両側(左右両側)との合わせて4つの搬送経路100Pを有し、板材Wを4枚同時移送できる。
【0068】
各ベルトコンベヤ230A、230Bは、
図13に示すように、半径単位に分割された2つの分割コンベヤ231を有する。各分割コンベヤ231は、所定位置に配置された各プーリ231Pと、それらに巻き掛けられる環状の搬送ベルト231Bと、を有する。各分割コンベヤ231のプーリ231Pは、それぞれの搬送ベルト231Bのテンションを一定に維持するための周知のテンショナー機構のアイドラープーリ231Tを含む。また、各分割コンベヤ231のプーリ231Pは、それぞれの搬送ベルト231Bを駆動させる駆動プーリ231Dを含む。各ベルトコンベヤ230A、230Bは、対応する移送コンベヤ駆動機構250が分割コンベヤ231の双方の駆動プーリ231Dを回転させ、それぞれの搬送ベルト231Bを回転させる。
【0069】
移送コンベヤ駆動機構250は、直径収容区画220D毎に設けられ、対応する移送コンベヤ230の全分割コンベヤ231を一斉駆動し、それらの搬送ベルト231Bを同速度で同時に回転させる。
【0070】
図13は、一方の直径収容区画220Dに対応する移送コンベヤ駆動機構250のみを図示している。
図13に示すように、各移送コンベヤ駆動機構250は、主制御部900に接続する移送コンベヤ駆動部M250(ステップモータ及び駆動回路等を含む:
図12及び
図33参照)と、回動軸線Qに対する径方向外側の所定位置に配置され、移送コンベヤ駆動部M250の出力に基づいて回転する回転出力プーリ250M(
図12参照)と、回動軸線Q周りを回転自在に配置される回転出力伝達プーリ250Cと、それらプーリ250M、250Cに巻き掛けられる回転出力伝達ベルト250Bと、を有する。移送コンベヤ駆動部M250が回転出力プーリ250Mを回転させることにより回転出力伝達ベルト250Bが回転し、これにより回転出力伝達プーリ250Cが回転する。なお、回転出力伝達プーリ250Cは、回動軸部241に対し回転自在に取り付けられた遊転プーリであり、回動軸部241とは無関係に回転する。
【0071】
また、各移送コンベヤ駆動機構250は、回転出力伝達プーリ250Cと共通回転軸駆動プーリ251Dを含む所定位置に配置された各プーリ251Pと、それら各プーリ251Pに巻き掛けられる駆動ベルト251Bと、を有する。各プーリ251Pは、駆動ベルト251Bのテンションを一定に維持するための周知のテンショナー機構のアイドラープーリ251Tを含む。回転出力伝達プーリ250Cが回転することにより駆動ベルト251Bが回転し、これにより4つの共通回転軸駆動プーリ251Dが回転する。それら4つの共通回転軸駆動プーリ251Dが回転すると、回転翼220において回動軸線Qと平行な軸線周りを回転可能に配置された4つの共通回転軸251Q(
図12参照)が回転する。4つの共通回転軸251Qには、
図13に示すように、移送コンベヤ230に対応する4つの分割コンベヤ231のうちの1つの各駆動プーリ231Dが、同軸周りを一体回転可能に組み付けられている。各共通回転軸251Qの回転により、各駆動プーリ231Dが回転し、移送コンベヤ230の4つの分割コンベヤ231全ての搬送ベルト231Bを回転させる。
【0072】
なお、本実施例の移送コンベヤ230は、
図12に示すように、幅方向Yに横並びする4組のベルトコンベヤ230A、230B(
図11においてベルトコンベヤ230Aはベルトコンベヤ230Bの裏側に位置し、図示されない)の対を有する。つまり、本実施例の移送コンベヤ230は、
図13に示す4つの分割コンベヤ231を、
図13の奥行き方向に4つ並ぶ形で有している。共通回転軸251Qは、奥行き方向に並ぶ4つの分割コンベヤ231の各駆動プーリ231Dが一体回転可能に組み付けられており、その回転によりそれら4つの分割コンベヤ231の搬送ベルト231Bを同時に同速度で回転させる。本実施例において、共通回転軸251Qは4つあり、それらが駆動ベルト251Bによって同時に同速度で回転するから、各共通回転軸251Qに対応する4つの分割コンベヤ231、即ち合計16の分割コンベヤ231の搬送ベルト231Bも、同時に同速度で回転する。
【0073】
また、各移送コンベヤ230の搬送ベルト231Bは、対応する遊転ローラ230Rとの対面区間において同一方向に同速度で同時に送り出されるよう、駆動ベルト251Bが巻き掛けられる各プーリ251P(
図13参照)と、各搬送ベルト231Bが巻き掛けられる各プーリ231P(
図13参照)が配置されている。これにより、仕切体232の表裏両側で幅方向Yに並ぶ合計4つの搬送経路100Pにて板材Wが同一方向に同速度で同時に移送される。
【0074】
このように構成された搬入側姿勢変換部200は、傾斜配置コンベヤ130上下2段の搬送経路100Pから搬出された合わせて4枚の板材Wを引き継いで、それらを搬送方向CA(ここでは搬入側倒伏搬送部100の搬送方向C)に向かって直径収容区画220Dに引き込み(
図14→
図15)、当該直径収容区画220Dに収容保持する(
図15)。具体的にいえば、搬入側姿勢変換部200は、傾斜配置コンベヤ130(先行搬送経路、搬入側倒伏搬送部100)の最も近くに位置する移送コンベヤ230の作動により傾斜配置コンベヤ130から導入された板材Wを、回動中心部220Qを通って対応する直径収容区画220Dへ収容する。
【0075】
その後、搬入側姿勢変換部200は、回動駆動機構240により一対の回動板210、210と回動翼220とが回動軸線Q周りで一体回動(姿勢変更:
図15→
図16)して板材Wを収容する直径収容区画220Dが、後続するロード棚310(後続搬送経路、起立搬送経路)の最も近くに位置する状態で停止する(姿勢変更完了:
図16)。ここでは、一対の回動板210、210と回動翼220が回動軸線Q周りを90度回転(
図15の視点では時計方向RAに90度回転)して、これに伴いこれまで水平方向に向いていた搬送方向CA及び直径収容区画220Dが搬送方向CB(ここでは鉛直下向き(Z方向とは逆向き))に向くように変更され、直径収容区画220Dに倒伏状態で収容されている板材Wが起立状態へと姿勢変更される。一対の回動板210、210と回動翼220の回転が停止した後、回動駆動機構240による移送コンベヤ230が再作動することにより、対応する直径収容区画220Dに収容された板材Wが回動中心部220Qを通り、搬送方向CBに沿って後述するロード棚310(後続搬送経路)に導出される(
図16→
図17→
図18)。
【0076】
また、搬入側姿勢変換部200は、間欠駆動機構260を備える。
【0077】
直径収容区画220Dに収容された板材Wが後述するロード棚310(後続搬送経路)に導出されると、間欠駆動機構260(
図11及び
図12参照)が、搬入側姿勢変換部200を、熱板ピッチを基準単位として押圧方向P(ここでは搬入側倒伏搬送部100の搬送方向Cと同一方向)に沿って間欠移動させる(
図18→
図19)。
【0078】
なお、熱板ピッチは、加熱圧締部400(ホットプレス部)において押圧方向Pに並列して配置される複数の熱板401間の幅であり、被処理板材である板材Wの厚さに応じて定められる。
【0079】
ここでの間欠駆動機構260は、静止状態のロード棚310(ローダ部300)に対して搬入側姿勢変換部200を押圧方向Pに沿って間欠移動させる。具体的にいえば、直径収容区画220Dに収容された板材Wがロード棚310に導出される度に、間欠駆動機構260が一対の回動板210、210及び回動翼220をロード棚310の次の収容位置に到達させる(
図18→
図19)。間欠駆動機構260は、間欠駆動部M260(ステップモータ及び減速機等:
図12及び
図33参照)と、間欠駆動部M260の回転出力を搬送方向Cに沿った直線運動に変換するラックアンドピニオンギア260Gと、を有する。このラックアンドピニオンギア260Gにより、一対の回動板210、210及び回動翼220は、間欠駆動部M260の回転出力に基づいて、静止状態のロード棚310及び移動不可のベースフレーム1000Fに対し搬送方向Cに向けて移動可能となっている。
【0080】
なお、ここでの間欠駆動部M260は、
図12に示すように、ベースフレーム1000Fに固定される。他方、一対の回動板210、210及び回動翼220は、ベースフレーム1000Fに対し、搬送方向Cに沿って往復移動可能となるよう支持された可動体フレーム100Eに固定される。ここでの可動体フレーム100Eは、搬送方向Cに直交する幅方向Yの両側に設けられる従動輪100W、100Wを、当該搬送方向Cに複数有したフレーム車両体であり、ベースフレーム1000Fには、それら従動輪100Wが転動するレール1000Wが設けられている。間欠駆動部M260は、その回転出力をラックアンドピニオンギア260Gにより搬送方向Cに沿う直線動作に変換し、この直線動作により、可動体フレーム100Eがベースフレーム1000F上を搬送方向Cに沿って往復移動可能となる。
【0081】
また、搬入側姿勢変換部200は、連携手段270を備える。
【0082】
連携手段270は、
図5に示すように、間欠駆動機構260による一対の回動板210、210及び回動翼220の移動に搬入側倒伏搬送部100が追従するように、搬入側姿勢変換部200と搬入側倒伏搬送部100とを連携させる。ここでの連携手段270は、可動体フレーム100Eと、伸縮コンベヤ110の可動コンベヤ112及び前端フレーム110Fと、を有する。一対の回動板210、210及び回動翼220と、搬入側倒伏搬送部100の傾斜配置コンベヤ130及びローラコンベヤ120とは、可動体フレーム100Eに固定されている。伸縮コンベヤ110の前端フレーム110Fは、可動体フレーム100Eの後端に固定されている。これにより、間欠駆動機構260により一対の回動板210、210及び回動翼220が搬送方向Cに移動するときには、それら一対の回動板210、210及び回動翼220と一体となって可動体フレーム100Eがベースフレーム1000F上を移動するから、この移動によってローラコンベヤ120と、傾斜配置コンベヤ130と、回動翼220(直径収容区画220D)との距離が離れていくことはない。伸縮コンベヤ110については、可動コンベヤ112が可動体フレーム100Eと連結しており、可動体フレーム100Eに牽引されるような形でその移動に追従する。この場合、伸縮コンベヤ110内での搬送距離が延びることになるが、板材Wの搬送は問題なく実行される。このように、搬入側倒伏搬送部100は、間欠駆動機構260による搬入側姿勢変換部200の間欠移動に伴い、これと同期して搬入側倒伏搬送部100の搬送長さが伸縮調整機構110Aによって搬送方向Cに沿って伸縮調整される。
【0083】
ここで、本実施例における搬入側倒伏搬送部100での板材Wの搬送及び搬入側姿勢変換部200での板材Wの導入、回動(姿勢変更)、導出について具体的に説明する。
【0084】
横型多段ホットプレス装置1000のメイン処理である加熱加圧処理は、主制御部900(制御回路:
図33参照)により実行される。各種の設定は、キーボード等の入力部2及びモニタ等の画面表示部3を用いて行うことができる。
【0085】
加熱加圧処理を実行する主制御部900は、板材搬入処理として、
図2に示す板材搬入装置600に対し、搬入側倒伏搬送部100への板材Wの送り出しを所定時間おきに実行させる。ここでは、搬入側倒伏搬送部100の搬送部入口側に位置する伸縮コンベヤ110に対し、板材Wを送り出す。ここでは
図6に示す伸縮コンベヤ110の上下段に対し、それぞれ幅方向Yに横並びした2枚ずつ(
図8参照)、合計4枚の板材Wが所定時間おきに送り出される。これと同時に主制御部900は、搬入側板材搬送処理として、搬入側倒伏搬送部100の各回転駆動部M115、M125、M135を駆動し、それぞれに対応するコンベヤ110、120、130に板材Wを搬送方向Cに向けて同速度で搬送させる。
【0086】
なお、主制御部900は、板材搬入処理を、板材搬入装置600から送り出した板材Wの枚数が予め設定されたローダ収容枚数に達したときに一時停止する。その一時停止の判断は、送り出した板材Wの枚数(カウント数)に基づいて行うことができる。また、主制御部900は、搬入側板材搬送処理を、上記ローダ収容枚数の板材Wが全て搬入側倒伏搬送部100の搬送部出口から送り出されたときに一時停止する。その一時停止の判断は、ローダ収容枚数の板材Wの搬入開始からの経過時間や、搬入された板材Wをカウントしてローダ収容枚数の最後の板材Wを特定し、最後の板材Wを搬入側倒伏搬送部100の搬送部出口に設けられたセンサで検知した検知情報に基づいて行うことができる。
【0087】
一方、主制御部900は、搬入側板材搬送処理によって板材Wが所定時間おきに搬入側倒伏搬送部100の所定の出口位置(ここでは傾斜配置コンベヤ130の出口位置)に所定の導出状態となる形で到達するたびに、それを搬入側姿勢変換部200に導入・姿勢変更した上で、ローダ部300に導出して収容させる板材収容処理を実行する。搬入側倒伏搬送部100の出口位置への板材Wの到達は、搬送の経過時間で判断してもよいし、出口位置にセンサを設けてその検知結果に基づいて判断してもよい。この板材収容処理は、予め設定されたローダ収容枚数の板材Wが全てローダ部300に収容されるまで繰り返し実行される。
【0088】
板材収容処理について具体的に説明する。搬入側姿勢変換部200は、初期状態において、一方の直径収容区画220Dが搬入側倒伏搬送部100の傾斜配置コンベヤ130の最も近くに位置し、他方の直径収容区画220Dがロード棚310の搬送方向Cにおける最も手前の収容位置の最も近くに位置する停止状態にある(
図14)。主制御部900は、この初期状態において板材収容処理を実行し、まずは搬入側倒伏搬送部100(傾斜配置コンベヤ130)の搬送部出口の最も近くに位置する移送コンベヤ230の移送コンベヤ駆動部M250を駆動して搬送ベルト231Bを所定導入距離だけ回転させる。これにより、搬入側倒伏搬送部100(傾斜配置コンベヤ130)の所定の出口位置にて導出状態となっている板材W(ここでは4枚)が、移送コンベヤ230によって対応する直径収容区画220D内に引き込まれ、所定の収容位置に到達して収容状態となる。次に主制御部900は、回動駆動部M241を駆動して一対の回動板210、210及び回動翼220を回動軸線Q周りの所定回転方向に90度回動(姿勢変更)させる。(
図15→
図16)。このとき、板材Wを収容している直径収容区画220Dはロード棚310(ロード棚310の最初の収容位置)の最も近くに位置して停止する一方、板材Wを収容していない他方の直径収容区画220Dは傾斜配置コンベヤ130の最も近くに停止する(
図16)。
【0089】
主制御部900は、この停止状態(姿勢変更完了状態:
図16)において、板材Wを収容している直径収容区画220Dに対応する移送コンベヤ230の移送コンベヤ駆動部M250と、板材Wを収容していない他方の直径収容区画220Dに対応する移送コンベヤ230の移送コンベヤ駆動部M250と、を駆動させる。これにより、直径収容区画220Dに収容された板材Wが回動中心部220Qを通りロード棚310に導出されるとともに、導出された直後又は導出とほぼ同時に、傾斜配置コンベヤ130から次の板材Wが、板材Wを収容していない直径収容区画220Dに、回動中心部220Qを通る形で導入・収容される(
図16→
図17→
図18)。なお、ロード棚310に導出された板材Wは自然落下し、棚底部311に受け止められる形でロード棚310に収容される。また、ロード棚310に導出される前には、主制御部900が後述するローダ部300のスライド枠押圧駆動部S360を駆動して、スライド枠322を幅方向Yの内向きに引き込んだ昇降ガイド状態とされる。
【0090】
板材Wの導入及び導出については、導出される板材と導入される板材Wとが回動中心部220Qにおいて干渉しないタイミングで実行される必要がある。ここでの主制御部900は、上記の停止状態(
図16)になったときに、板材Wを収容している移送コンベヤ230の移送コンベヤ駆動部M250を駆動し、収容している板材Wを導出するとともに、その板材Wが回動中心部220Qを通過した直後のタイミング(
図17)で、板材Wを収容していない移送コンベヤ230の移送コンベヤ駆動部M250を駆動して傾斜配置コンベヤ130から次の板材Wを導入・収容する。板材Wの回動中心部220Qの通過完了判断は、板材Wの導出開始(前者の移送コンベヤ駆動部M250の駆動開始)からの経過時間や、回動中心部220Qの通過完了位置にセンサを設けてその検知結果に基づいて行うことができる。
【0091】
収容していた板材Wの導出と次の板材Wの導入・収容が完了すると(
図18)、主制御部900は、間欠駆動部M260を駆動して、板材Wを収容していない上下方向(ここでは鉛直方向Z)に沿う直径収容区画220Dの下側出口がロード棚310の次の収容位置の最も近くに位置するよう、一対の回動板210、210及び回動翼220を搬入側倒伏搬送部100の搬送方向Cに沿って移動させる(
図18→
図19)。ここでは連携手段270により、搬入側倒伏搬送部100の傾斜配置コンベヤ130と、ローラコンベヤ120と、伸縮コンベヤ110(
図6~
図8参照)の可動コンベヤ112とが一対の回動板210、210及び回動翼220に牽引される形で搬送方向Cに移動する。このとき伸縮コンベヤ110では、伸縮調整機構110Aによる搬送方向Cの長さ調整がなされる。
【0092】
なお、板材搬入処理において、
図2に示す板材搬入装置600から搬入側倒伏搬送部100への板材Wの送り出し間隔(所定時間)は、ここでは搬入側姿勢変換部200における板材Wの導入から次の収容位置への移動までの経過時間として定められており、次の収容位置への移動が完了するに伴い、搬入側倒伏搬送部100(傾斜配置コンベヤ130)の所定の出口位置にて次の板材Wが導出状態となるようになっている。
【0093】
ロード棚310に板材Wが収容されると、それ以降、主制御部900は、上述した板材Wの導入、90度回動(姿勢変更)、板材Wの導出と次の板材Wの導入・収容、及び次の収容位置への移動という一連の駆動処理を繰り返し実行する。
【0094】
ただし、ローダ収容枚数の最後の板材Wについては、導入、90度回動(姿勢変更)、板材Wの導出を上記と同様に行った上で、次の板材Wの導入・収容はせず、間欠駆動部M260を駆動して、一対の回動板210、210及び回動翼220を搬入側倒伏搬送部100の搬送方向Cとは逆向きに移動させ、上下方向(ここでは鉛直方向Z)に沿う直径収容区画220Dの下端が、ロード棚310の搬送方向Cにおける最も手前の収容位置に最も接近する初期状態に復帰させる。これにより、一連の板材収容処理が終了する(
図34の搬入・姿勢変換工程の終了)。
【0095】
一連の板材収容処理が終了すると、主制御部900は、ローダ収容枚数の板材Wを収容したローダ部300を、搬入側姿勢変換部200の直下に設定された供給ステーションSSから、加熱圧締部400の直下に設定された待機ステーションWSへと移動させるローダ移動処理(
図34のロード台車移動)を実行する(
図1及び
図20参照)。そして、移動したローダ部300の板材Wは、加熱圧締部400に導入され(
図34のローディング工程)、これによりローダ部300は空になる。
【0096】
その後、主制御部900は、空になったローダ部300を、待機ステーションWSから供給ステーションSSへ逆戻りさせるローダ戻り処理(
図34のロード台車戻り)を実行する。主制御部900は、空になったローダ部300が供給ステーションSSに到達したときに、上述の板材搬入処理(板材搬入装置600から搬入側倒伏搬送部100への板材Wの送り出し)の一時停止と、搬入側板材搬送処理(搬入側倒伏搬送部100での板材Wの搬送)の一時停止と、一連の板材収容処理(搬入側姿勢変換部200での板材Wの導入、回動、導出の繰り返し)と、を解除し、再びそれらを実行する(
図34の次のサイクルの搬入・姿勢変換工程の開始)。
【0097】
板材搬入処理、搬入側板材搬送処理、一連の板材収容処理(
図34の各搬入・姿勢変換工程)と、それらの後に実行されるローダ移動処理及びローダ戻り処理(
図34の各ロード台車移動、ロード台車戻り)は、それぞれ処理される板材Wの総枚数が、予め設定された板材総処理枚数となるまで繰り返し実行される。
【0098】
ローダ部300は、
図21及び
図22に示すように、ロード棚310(搬入側起立収容棚)と、ロード台車320(搬入側収容台車)と、を有する。
【0099】
ロード棚310は、搬入側姿勢変換部200から起立状態で導出された複数の板材Wの短辺側端面を厚さ方向に所定の隙間3S(間隔)をあけて縦長状の起立状態に保持可能である。また、ロード棚310は、複数の板材Wを起立状態のまま一斉に昇降可能であり、各板材Wの短辺側端面を下側から支えつつ一斉に上昇させて対応する熱板401間(
図28参照)に導入することができる。
【0100】
ロード台車320は、ロード棚310を昇降案内可能に搭載するとともに、
図1に示すように、搬入側姿勢変換部200及び加熱圧締部400のいずれよりも下位に位置してそれらの下方空間を、平面視において押圧方向Pと直交する方向(ここでは幅方向Yと一致する)に移動可能である。
【0101】
具体的には、
図21及び
図22に示すように、ロード棚310(搬入側起立収容棚)は、複数の板材Wの短辺側端面を下側から受け止める棚底部311と、棚底部311が受け止めた板材Wの短辺側端面を下側から支えつつ一斉に昇降可能な昇降式底部材312(昇降式底壁)と、を有する。棚底部311は、ロード台車320の上端部に固定されるとともに、全隙間3Sに収容される板材Wを受け止めて支えられるように、搬送方向Cに長く形成される(
図21参照)。また、棚底部311は、隙間3Sに収容される板材Wを幅方向Yの両端側で安定して受け止めて支えるよう、幅方向Yに対向配置される(
図22参照)。昇降式底部材312は、幅方向Yに対向配置される棚底部311の間を昇降できるように配置される(
図22参照)。ここでの昇降式底部材312は、板材Wを安定して昇降できるように棚底部311の間となる区間で幅方向Yの両側に配置された、搬送方向Cに延びる角パイプ材である。
【0102】
また、ここでのロード台車320は、複数の棚区画部321(固定式区画壁)を有する(
図21参照)。それら複数の棚区画部321は、棚底部311よりも上方に位置するとともに搬送方向Cに沿って互いが平行をなして並び、それぞれの間に隙間3Sを形成する板状をなす。搬入側姿勢変換部200により縦長状の起立状態に姿勢変更されて下方に導出される板材Wは、
図21に示すそれら棚区画部321間に形成される各隙間3Sに対し、搬送方向Cの手前側から順次導入・収容される(
図14~
図19参照)。導入・収容された板材Wは、その隙間3S内において棚底部311に短辺側を下側から受け止められ、棚区画部321に仕切られて縦長状の起立状態のまま収容される。ロード棚310の昇降式底部材312が昇降して板材Wを上下動させる際には、それら棚区画部321がその上下動を案内(ガイド)する役割を果たす。
【0103】
また、ローダ部300は、水平移動機構330を有する。ローダ部300の水平移動機構330は、
図20及び
図21に示すように、ロード台車320を、加熱圧締部400の直下に設定された待機ステーションWSと、平面視で待機ステーションWSの近傍で、搬入側姿勢変換部200の直下に設定された供給ステーションSSとの間を、押圧方向Pと直交する水平方向に沿って移動させる。ここでのロード台車320は、待機ステーションWSと供給ステーションSSの相互間を地上同一高さで一直線状に繋ぐ水平レール300W上を移動可能とされている。
【0104】
水平移動機構330は、台車駆動部M330(サーボモータ及び駆動回路等を含む:
図33参照)と、水平レール300W及び水平レール300W上を転動する車輪330W(
図1及び
図20参照)と、を有する。車輪330Wは、台車駆動部M330の出力に基づいて回転する駆動輪と、それ以外の従動輪を含む。回転駆動部M115が水平レール300W上をガイドされる形で転動する車輪330Wを回転させることにより、ロード台車320を水平レール300Wに沿って前後進できる。ここでの水平レール300Wは、後述するアンロード台車320’の水平レール300Wにつながる直線状のレールである。
【0105】
また、ローダ部300は、昇降駆動機構340を有する。
図23~
図25に示すように、昇降駆動機構340は、複数の板材W(の短辺側又は長辺側(ここでは短辺側)端面)を下側から受け止めたロード棚310に対し、それよりも下方で待機する昇降式底部材312を上昇駆動させることで、それら板材Wを起立状態のまま鉛直方向Zに沿って一斉に上昇させる。
【0106】
昇降駆動機構340は、昇降用駆動部M340(サーボモータ及び駆動回路等を含む:
図33参照)と、鉛直方向Zに延びる回転軸線を有して所定位置に配置される各プーリ340D、340T、340Z、340Zと、それらプーリ340D、340T、340Z、340Zに掛け回されるタイミングベルト340Bと、ボールねじ340S(
図25参照)、直線昇降動作案内部(リニヤガイド)340L(
図24及び
図25参照)と、を有する。昇降用駆動部M340は、減速機を含み、鉛直方向Zの回転軸線R340周りを回転する出力軸を有するようロード台車320に搭載される。昇降用駆動部M340の出力軸には駆動プーリ340Dが一体回転可能に固定され、昇降用駆動部M340の出力によりタイミングベルト340Bが回転し、各プーリ340T、340Z、340Zを回転させる。なお、プーリ340Tは、タイミングベルト340Bのテンションを一定に維持するための周知のテンショナー機構のアイドラープーリである。また、プーリ340Z、340Zは、それぞれがボールねじ340Sのネジ軸340SZ(
図25参照)の下端に対し、当該回転軸線周りを一体回転可能に固定されるネジ軸回転プーリである。
【0107】
ボールねじ340Sは、
図21に示すように、ロード台車320に対し搬送方向Cの前後両側で、かつ幅方向Yの略中央に固定される。各ボールねじ340Sのネジ軸340SZは、鉛直方向Zに回転軸線を有するように固定される。各ボールねじ340Sは、対応するネジ軸340SZに対し、その回転軸線の回転に伴い昇降するよう取り付けられる昇降ナット部340SNを有する。各昇降ナット部340SNには板状の昇降体342が固定され、昇降体342の上端に昇降式底部材312が固定される。
【0108】
また、
図22に示すように、各ボールねじ340Sの幅方向Yの両側には、それらボールねじ340Sによる昇降体342(昇降式底部材312)の鉛直方向Zの直線昇降動作を案内する周知の直線昇降動作案内部340L、340L(リニヤガイド)が設けられる。直線昇降動作案内部340L、340Lは、
図25に示すように、ロード台車320に対し搬送方向Cの前後両側に固定されるネジ軸340SZを幅方向Yにおいて挟む形で固定される直線昇降ガイドレール340LLと、直線昇降ガイドレール340LL上を昇降する昇降ガイド体340LGと、を有する。ボールねじ340Sの昇降体342と、各直線昇降動作案内部340L、340Lの昇降ガイド体340LGは、タイミングベルト340Bの回転に基づいて同時かつ同速度で一斉に昇降する。
【0109】
また、ローダ部300は、板材保持位置調整機構350を有する。板材保持位置調整機構350は、
図22及び
図26に示すように、幅方向Yの両側に設けられた高さ調整用駆動部S350(油圧シリンダ:
図33参照)を有し、高さ調整用駆動部S350の駆動によって各棚底部311を連結した連結体351を鉛直方向Zに昇降させ、所定の昇降範囲内において予め定められた設定位置に停止保持できる。これにより、様々な長さ(ここでは長辺方向の長さ)の板材Wに対応することが可能になる。
【0110】
また、ロード台車320(搬入側収容台車)には、
図27に示すように、ロード棚310(搬入側起立収容棚)により複数の板材W(被処理板材)が対応する熱板401間に各々導入される際に、板材W(被処理板材)毎に個別の導入通路を形成するための櫛状(フォーク状)のスライド枠322(搬入側スライド枠、搬入側仕切部材)が設けられる。スライド枠322は、平面視において熱板401の下方、かつ棚区画部321(固定式区画壁)の上側に位置し、押圧方向Pと直交する水平方向にスライド移動可能に配置される。
【0111】
ここでのスライド枠322は、横並びする複数の櫛状突出部322Kを、突出基端側で横並び方向に延びる櫛状突出部支持体322Jにより一体化された形状を有する。スライド枠322は、ロード台車320において幅方向Yの両側に設けられ、それぞれの櫛状突出部322Kが、搬送方向Cに向けて横並びし、かつ幅方向Yの中央に向けて突出するように対向配置される。幅方向Yの両側に位置する棚区画部321は、それぞれの上端部に幅方向Yに貫通するスライド枠挿通案内部321I(スライドガイド)を有しており、各スライド枠322の櫛状突出部322Kは、スライド枠挿通案内部321I内を通って、幅方向Yの外側から中央側に向けて移動する。
【0112】
ここでのロード棚310は、幅方向Yにおいて2枚横並びするように板材Wを受け止め保持可能であり、棚区画部321は、幅方向Yの両外側と中央側とに設けられる。このため、棚区画部321は、幅方向Yに横並びする2枚の板材Wに対し、幅方向Yの両外側を搬送方向Cに挟む形で仕切るように設けられており、各板材Wの幅方向Yの中央には存在していない。この棚区画部321が存在しない中央領域に対し、幅方向Yの両側に設けられる各スライド枠322の櫛状突出部322Kは、幅方向Yの外側からスライド枠挿通案内部321Iを通って到達する。これにより、各スライド枠322の櫛状突出部322Kは、棚区画部321が存在しない中央領域において隣り合う隙間3Sの間を仕切るように位置する。
図27に示すように、隣り合う棚区画部321の間の隙間3Sに起立状態で収容された板材Wを平面視したときに、仮にその板材Wに幅方向Yにわたって曲がりや波打ち等の変形が生じていたとすると、その変形した板材Wは、幅方向Yにおける棚区画部321が存在しない中央領域を通って、隣接する隙間3Sへと部分的に進入している恐れがある。この場合、そのまま板材Wを上昇させて熱板401の隙間4Sに導入しようとしても、導入されずに熱板401の下端に衝突してしまう。櫛状突出部322Kが、棚区画部321が存在しない中央領域の上側において隣り合う隙間3Sの間を仕切るように位置する昇降ガイド状態となることで、板材Wの上方への導出及び上方からの導入をガイドすることができ、上記のような熱板401への衝突を回避することができる。
【0113】
ローダ部300は、このスライド枠322を駆動するスライド枠駆動機構360を有する。スライド枠駆動機構360は、スライド枠押圧駆動部S360(エアシリンダ)を有する。スライド枠押圧駆動部S360は、スライド枠322の櫛状突出部支持体322Jと連結しており、スライド枠322を幅方向Yの外向きに押し出す、又は内向きに引き込むように駆動する。
【0114】
このように構成された横型多段ホットプレス装置1000の板材搬入構造500では、長辺側を搬送方向Cに沿わせて搬入側倒伏搬送部100により倒伏状態で搬送される複数の板材W(被処理板材)が、搬送終端部において搬入側姿勢変換部200により縦長状の起立状態に姿勢変更されて順次前記ローダ部300に収容される(
図14~
図19参照)。さらに、このとき供給ステーションSSに位置していたロード台車320(搬入側収容台車)が加熱圧締部400の下方の待機ステーションWSに移動した後(
図1及び
図20参照)、ロード棚310(搬入側起立収容棚)により起立状態のまま一斉に上昇して加熱圧締部400の対応する熱板401間に各々導入される(
図28参照)。
【0115】
加熱圧締部400(ホットプレス部)では、複数の熱板401が、
図1に示すように待機ステーションWSの上方に位置し、地上からの高さが矩形状の板材Wの長辺の長さよりも高い位置に設定された作業ステーションJSに配置され、それぞれが上下方向(ここでは鉛直方向Z)の接触面を有する。
図28に示すように、それら複数の熱板401の相互間には縦長状で起立状態の板材W(
図28の破線)を各々挟み込み、板材Wの厚さ方向である水平方向を押圧方向Pとして一斉に加熱加圧する。なお、ここでの押圧方向Pは搬送方向Cと平行をなす。
【0116】
ここでの加熱圧締部400は、押圧方向Pの前後両側に固定配置された固定フレーム400F、400Fの間に複数の熱板401が配置される。各熱板401は、固定フレーム400F、400F間の上側の上部フレーム400Eによって押圧方向Pに移動自在に支持される。隣り合う熱板401間には板材Wを挟むことができる所定幅の隙間4Sが設けられる。
【0117】
加熱圧締部400は、周知の熱板加熱機構410を有する。熱板加熱機構410では、主制御部900と接続する加熱駆動部H410(
図33参照)が、各熱板401の内部に蒸気、熱油等が給排されるように駆動して、各熱板401の温度を、処理する板材Wの種類に応じて設定する。
【0118】
また、加熱圧締部400は、熱板プレス駆動機構420を有する。熱板プレス駆動機構420は、各熱板401を押圧方向Pにおいてプレス閉鎖およびプレス開放を行うために、各熱板401を押圧方向Pに移動自在に吊持する上部フレーム400Eと、主制御部900と接続する加圧駆動部S420(油圧シリンダ:
図33参照)と、加圧駆動部S420の駆動によって各熱板401を押圧方向Pに移動させる押圧盤402、402と、を有する。押圧盤402、402は、全熱板401における押圧方向Pの前後両側に位置するものに対しそれぞれが対向して配設される。押圧盤402、402の一方は、各熱板401と同様、上部フレーム400Eによって押圧方向Pに移動自在に支持されるとともに、固定フレーム400F、400Fの一方に設けられる加圧駆動部S420と連結し、加圧駆動部S420の駆動によって押圧盤402、402の他方に向かう押圧方向Pへと前後進可能である。押圧盤402、402の一方が他方に向けて前進することにより、各熱板401は、他方の押圧盤402側に押し付けられ、熱板401間に導入された板材Wを挟圧したプレス閉鎖状態となる。そのプレス閉鎖状態から押圧盤402、402の一方を後進させることにより、熱板401間に所定幅の隙間4Sが保持されたプレス開放状態となる。
【0119】
アンローダ部300’は、ローダ部300のロード棚310及びロード台車320と同様にして、アンロード棚310’(搬出側起立収容棚)及びアンロード台車320’(搬出側収容台車)を有する。
【0120】
アンロード棚310’(
図28参考)は、加熱圧締部400の加熱加圧後に対応する熱板401間から各々導出された複数の板材W(処理済板材)の短辺側端面を厚さ方向に所定の隙間3S(間隔)をあけて縦長状の起立状態で受け止め保持可能である。また、アンロード棚310’は、複数の板材Wを起立状態のまま一斉に昇降可能であり、各板材W(処理済板材)の短辺側端面を下側から支えつつ一斉に下降させて収容することができる。
【0121】
アンロード台車320’(
図28参考)は、ロード台車320と同様、アンロード棚310’(搬出側起立収容棚)を昇降案内可能に搭載するとともに、搬出側姿勢変換部200’及び加熱圧締部400のいずれよりも下位に位置してそれらの下方空間を平面視において押圧方向Pと直交する方向(ここでは幅方向Yに一致する)に移動可能である(
図1及び
図20参照)。
【0122】
具体的には、アンロード棚310’は、ロード棚310と同様、複数の板材Wの短辺側端面を下側から受け止める棚底部311と、起立状態のまま鉛直方向Zに沿って一斉に昇降可能な昇降式底部材312(昇降式底壁)と、を有する。また、アンロード台車320’は、ロード台車320と同様、棚底部311よりも上方に位置するとともに搬送方向Cに沿って互いが平行をなして並び、それぞれの間に隙間3Sを形成する板状をなす複数の棚区画部321(固定式区画壁)を有する。
【0123】
なお、ロード棚310(搬入側起立収容棚)とアンロード棚310’(搬出側起立収容棚)とは同一構造を有するとともに、ロード台車320(搬入側収容台車)とアンロード台車320’(搬出側収容台車)とは同一構造を有する。このため、ローダ部300とアンローダ部300’とは相互に置換可能である。アンロード棚310’とロード棚310、アンロード台車320’とロード台車320が同じ構成を有するから、ここではアンロード棚310’とアンロード台車320’とについての詳細な説明及び図示を省略する。
【0124】
また、アンローダ部300’は、ローダ部300と同様の水平移動機構330を有する(
図20及び
図21参照)。アンローダ部300’の水平移動機構330は、アンロード台車320’を、待機ステーションWSと、平面視で待機ステーションWSの近傍であって供給ステーションSSとは異なる位置に設定された取出ステーションTSとの間を、押圧方向Pと直交する方向に沿って移動させる。ここでのアンロード台車320’は、待機ステーションWSと取出ステーションTSとの間を平面視において押圧方向Pと直交する水平方向に移動可能であり、待機ステーションWS、取出ステーションTSの相互間を地上同一高さで一直線状に繋ぐ水平レール300W上を移動可能である。
【0125】
また、アンローダ部300’は、ローダ部300と同様の昇降駆動機構340を有する(
図23~
図25参考)。昇降駆動機構340は、複数の板材W(の短辺側又は長辺側(ここでは短辺側)端面)を下側から受け止めたロード棚310に対し、それよりも下方で待機する昇降式底部材312を上昇駆動させることで、それら板材Wを起立状態のまま鉛直方向Zに沿って一斉に昇降させる。ロード台車320上に固定される複数の棚区画部321は、その昇降をガイドする役割を果たす。
【0126】
また、アンローダ部300’は、ローダ部300と同様の板材保持位置調整機構350(
図22及び
図26参照)を有する。アンローダ部300’の板材保持位置調整機構350は、各棚底部311を連結した連結体351を鉛直方向Zに昇降させ、予め定められた昇降範囲内において任意の位置に停止保持できる。
【0127】
また、アンロード台車320’(
図27参考)には、アンロード棚310’により短辺側を受け止め保持された複数の板材Wが順次搬出側姿勢変換部200’に導入される際に、板材W毎に個別の導入通路を形成するためのスライド枠322(搬出側仕切部材)が設けられる。スライド枠322(搬出側スライド枠、搬出側仕切部材)は、平面視において搬出側姿勢変換部200’の下方、かつ棚区画部321(固定式区画壁)の上端部(
図21参考)に位置し、搬出側倒伏搬送部100’の搬送方向Cと直交する水平方向にスライド移動可能に配置される。
【0128】
なお、アンローダ部300’の水平移動機構330、昇降駆動機構340、板材保持位置調整機構350、スライド枠322及びスライド枠駆動機構360は、ローダ部300のものと同様であるから、それらの詳細な説明及び図示を省略する。
【0129】
本実施例の板材昇降式横型ホットプレス装置700は、上述した加熱圧締部400と、ローダ部300と、アンローダ部300’と、を有する。
【0130】
図20に示すように、板材昇降式横型ホットプレス装置700では、供給ステーションSSにおいてローダ部300に縦長状の起立状態に収容された複数の板材W(被処理板材)が、ロード台車320(搬入側収容台車)とともに待機ステーションWSまで移動し、ロード棚310(搬入側起立収容棚)によって短辺側端面を下側から支えられつつ一斉に上昇し、作業ステーションJSにおいて加熱圧締部400の対応する熱板401間に導入される。導入された後、それら板材W(被処理板材)には加熱圧締部400の加熱加圧処理がなされる。
【0131】
加熱圧締部400の加熱加圧中には、ロード台車320(搬入側収容台車)がロード棚310(搬入側起立収容棚)を空の状態で搭載して待機ステーションWSから供給ステーションSSへ戻るのと入れ替わりに、アンロード台車320’(搬出側収容台車)がアンロード棚310’(搬出側起立収容棚)を空の状態で搭載して取出ステーションTSから待機ステーションWSへ移動する。加熱圧締部400の加熱加圧処理が終わると、処理された複数の板材W(処理済板材)が熱板401間から導出される。
【0132】
作業ステーションJSにおいて加熱圧締部400の対応する熱板401間から各々導出された複数の板材W(処理済板材)は、アンロード棚310’(搬出側起立収容棚)によって縦長状の起立状態に保持され、かつ短辺側端面を下側から支えられつつ一斉に下降し、待機ステーションWSにおいてアンローダ部300’に収容され、アンロード台車320’(搬出側収容台車)とともに取出ステーションTSまで移動する。
【0133】
ここで、本実施例における板材昇降式横型ホットプレス装置700での板材Wの搬入搬出処理及びホットプレス処理について、具体的に説明する。
【0134】
横型多段ホットプレス装置1000の加熱加圧処理を実行する主制御部900(制御回路:
図33参照)は、その処理の開始時に加熱駆動部H410を駆動して、熱板401が予め設定された加熱温度となるように過熱を開始する。
【0135】
一方で、加熱加圧処理を実行した主制御部900(制御回路:
図33参照)は、上述した板材搬入処理、搬入側板材搬送処理、一連の板材収容処理(
図34の搬入姿勢変換工程)を実行する。これらの処理が終了したとき、ローダ部300は供給ステーションSSに位置し、ロード棚310には予め設定されたローダ収容枚数の板材Wが起立状態で収容され、スライド枠322が昇降ガイド状態に維持されている。主制御部900は、これらの処理の終了に伴い、ローダ部300の台車駆動部M330を駆動して、ローダ部300(ロード台車320)を供給ステーションSSから待機ステーションWSに移動させるローダ移動処理(
図34のロード台車移動)を行う。
【0136】
待機ステーションWSにローダ部300が到達すると、主制御部900は、熱板401が予め設定された加熱温度となっていれば、ローダ部300のスライド枠322を昇降ガイド状態としたまま、昇降用駆動部M340を駆動して、棚底部311よりも下方となる所定の初期位置にある昇降式底部材312を鉛直方向Zに上昇させる。このとき、板材Wの上端はスライド枠322にガイドされながら、熱板401間の各隙間4S間に進入するが、進入直後、主制御部900は昇降用駆動部M340の駆動を一旦停止する。一旦停止後、主制御部900は、スライド枠押圧駆動部S360を駆動して、ローダ部300のスライド枠322を幅方向Yの外向きに移動させて昇降ガイド状態を解除し、スライド枠322と上昇する昇降式底部材312との衝突が回避される状態とする。その上で、主制御部900は、昇降用駆動部M340を再度駆動し、板材Wを熱板401間の各隙間4S間に導入する。これにより、棚底部311が受け止めている全ての板材W(ローダ収容枚数の板材W)が起立状態のまま一斉に上昇し、作業ステーションJSにおける熱板401間の各隙間4Sに導入される(
図34のローディング工程)。導入が完了すると、主制御部900は、加圧駆動部S420を駆動して熱板401を押圧方向Pに移動させ、各隙間4S内の板材Wが加圧加熱(ホットプレス)されるプレス閉鎖状態とする(
図34のホットプレス工程)。主制御部900は、このプレス閉鎖状態を予め設定された加圧加熱処理時間だけ行う。
【0137】
プレス閉鎖状態の開始に伴い主制御部900は、昇降用駆動部M340を駆動して昇降式底部材312を下降させる。そして、主制御部900は、ローダ部300の台車駆動部M330を駆動して、ローダ部300(ロード台車320)を待機ステーションWSから供給ステーションSSに戻すローダ戻り処理(
図34のロード台車戻り)を行う。さらに、主制御部900は、アンローダ部300’の台車駆動部M330を駆動して、ローダ部300とは入れ違いで、アンローダ部300’を取出ステーションTSから待機ステーションWSに移動させるアンローダ移動処理(
図34のアンロード台車移動)を行う。アンローダ部300’が待機ステーションWSに到達すると、主制御部は、アンローダ部300’の昇降用駆動部M340を駆動して昇降式底部材312を鉛直方向Zに上昇させ、所定の受け止め位置に到達させる。
【0138】
プレス閉鎖状態が終了し、板材Wの加圧加熱が完了すると、主制御部900は、加圧駆動部S420を駆動して、各熱板401間の隙間4Sが所定幅となるよう熱板401を押圧方向Pとは逆向きに移動させ、プレス開放状態とする。プレス開放状態となるに伴い、各熱板401間の隙間4Sにあった各板材Wは、自然落下して、所定の受け止め位置にある昇降式底部材312に受け止められる。このとき、各板材Wは、落下したとはいえ上側部分が熱板401間に挟まれたままであるから、昇降式底部材312上で起立状態にある。この状態で、主制御部900は、アンローダ部300’の昇降用駆動部M340を駆動し、昇降式底部材312と熱板401の下端が衝突しない範囲で昇降式底部材312を若干(例えば5mm位)上昇させ、板材Wに振動を与える。これにより、熱板401と板材Wとの接着状態(加熱加圧中に漏出した木材樹脂、接着剤等)を解消し、より確実に板材Wを落下させる。その後、主制御部900は、アンローダ部300’の昇降用駆動部M340を再度駆動して、所定の初期位置まで昇降式底部材312を降下させる。これにより、待機ステーションWSに位置するアンローダ部300’には、加熱加圧処理を終えたローダ収容枚数の板材Wがアンロード棚310’に起立状態で収容された状態となる(
図34のアンローディング工程)。このとき、アンローダ部300’のスライド枠322は昇降ガイド状態ではないが、主制御部900は、取出しステーションTSにおける板材Wの搬出(
図34の姿勢変換搬出工程)までには、アンローダ部300’のスライド枠押圧駆動部S360を駆動して、スライド枠322を昇降ガイド状態とする。
【0139】
続いて主制御部900は、アンローダ部300’の台車駆動部M330を駆動して、アンローダ部300’(アンロード台車320’)を待機ステーションWSから取出ステーションTSに移動させるアンローダ戻り処理(
図34のアンロード台車戻り)を行う。取出ステーションTSにアンローダ部300’が到達すると、主制御部900は、収容している板材Wを全て取り出す板材取出処理(
図34の姿勢変換搬出工程)を実行する。この板材取出処理については後述する。
【0140】
横型多段ホットプレス装置1000の板材搬出構造500’について説明する。
【0141】
横型多段ホットプレス装置1000は、加熱圧締部400の搬出側に板材搬出構造500’を備える。板材搬出構造500’では、加熱圧締部400の搬出側において、
図4に示すように、作業ステーションJSにて加熱圧締部400の対応する熱板401間から縦長状の起立状態で各々導出される複数の板材W(処理済板材)が、待機ステーションWSに位置するアンロード台車320’上のアンロード棚310’(搬出側起立収容棚)により短辺側を受け止め保持されて起立状態のまま一斉に下降し、さらにアンロード台車320’(搬出側収容台車)が搬出側姿勢変換部200’の直下(下方)の取出ステーションTSに移動した後、搬出側姿勢変換部200’によりアンローダ部300’での起立状態から順次倒伏状態に姿勢変更され、搬出側倒伏搬送部100’により長辺側を搬出側倒伏搬送部100’の搬送方向Cに沿わせて倒伏状態で搬出される。
【0142】
本実施例の板材搬出構造500’は、アンローダ部300’と、搬出側姿勢変換部200’と、搬出側倒伏搬送部100’と、を備える。
【0143】
アンローダ部300’は、既に述べたように構成される。アンロード棚310’(搬出側起立収容棚)には、作業ステーションJSにおいて加熱圧締部400の対応する熱板401間から各々導出された複数の板材W(処理済板材)が、縦長状の起立状態に保持され、かつ短辺側端面を下側から支えられつつ一斉に待機ステーションWSへ下降して収容され、アンロード台車320’(搬出側収容台車)とともに取出ステーションTSまで移動する。
【0144】
搬出側姿勢変換部200’(木質系板材の搬送姿勢変換装置)について説明する。
【0145】
搬出側姿勢変換部200’は、矩形状をなしいずれかの辺と平行な搬送方向CA’(ここでは鉛直方向Z)に沿って搬送される板材W(処理済板材)を導入し(
図29→
図30)、その板材Wの搬送方向長さの中間位置において搬送方向CA’(ここでは鉛直方向Z)に直交する幅方向に水平配置された回動軸線Qの周りに回動することにより(
図30→
図31)、板材Wの搬送姿勢及び搬送方向を変換するための翼車回動装置である。
【0146】
ここでの搬出側姿勢変換部200’は、搬出側倒伏搬送部100’の搬送方向Cの上流側端部、かつ取出ステーションTSの直上(上方)に配置され、取出ステーションTSに位置するアンロード台車320’上のアンロード棚310’から、長辺側が上下方向(ここでは鉛直方向Z)と一致する搬送方向CA’を向く縦長状の起立状態で搬送方向CA’に沿って導入された板材W(
図29→
図30)を、その長辺側が搬送方向CB’(ここでは搬出側倒伏搬送部100’の搬送方向C)を向く倒伏状態に姿勢変更(
図30→
図31)して搬送方向CB’に沿って導出する搬送姿勢変換装置として機能する。
【0147】
搬出側姿勢変換部200’は、搬入側姿勢変換部200と同様、一対の回動板210、210(回動基体)と、回動翼220(翼車本体)と、回動駆動機構240(
図12参照)と、移送コンベヤ230(移送体)と、移送コンベヤ駆動機構250(
図13参照)と、を有する。
【0148】
搬出側姿勢変換部200’の一対の回動板210、210は、搬入側姿勢変換部200のものと同様、回動軸線Qに沿って板材Wの幅方向両外側に各々配設され、かつ回動軸線Q周りで一体回動する。
【0149】
搬出側姿勢変換部200’の回動翼220も、搬入側姿勢変換部200のものと同様で、一対の回動板210、210間に架設されるとともに、回動軸線Q方向から見て、板材Wの導入方向である直径方向に扁平状に貫通し、その両端には板材Wが出入りするための開口を各々有する直径収容区画220Dが回動中心部220Qにて直交状に交差して2個形成され、かつ2個の直径収容区画220Dは交差状態を維持しつつ回動軸線Q周りで一対の回動板210、210とともに一体回動可能である。
【0150】
搬出側姿勢変換部200’の移送コンベヤ230も、搬入側姿勢変換部200のものと同様で、直径収容区画220D内で板材Wを挟持するために各々の直径収容区画220Dに沿って配置されるとともに、各々の直径収容区画220Dにおいて直径方向に沿う板材挟持用の対向部分(第一コンベヤと第二コンベヤ)を有し、その対向間において板材Wを移送する。ただし、搬出側姿勢変換部200’の移送コンベヤ230は、板材Wの搬送ルートが、搬入側姿勢変換部200のルート(
図14~
図19参照)とは逆であり、先行するアンロード棚310’(先行搬送経路、起立搬送経路)から板材Wを所定の直径収容区画220Dへ導入し、所定の直径収容区画220Dから板材Wを後続する搬出側倒伏搬送部100’の傾斜配置コンベヤ130(後続搬送経路、倒伏搬送経路)に導出する(
図29~
図32参照)。これらの導入、又は導出の際に、搬出側姿勢変換部200’の移送コンベヤ230は、一対の回動板210、210及び回動翼220の一体回動とは異なるタイミングで作動して板材Wを移送する。なお、所定の直径収容区画220Dへの板材Wの導入時、アンローダ部300‘のスライド枠322は昇降ガイド状態とされる。これにより、板材Wはスライド枠322にガイドされながら搬出側姿勢変換部200’の移送コンベヤ230の開口部へ至り所定の直径収容区画220Dに導入される。
【0151】
また、搬出側姿勢変換部200’の回動駆動機構240、移送コンベヤ駆動機構250、間欠駆動機構260、連携手段270も、搬入側姿勢変換部200のものと同様に構成される。
【0152】
これにより、搬出側姿勢変換部200’は、アンロード棚310’の最も近くに位置する移送コンベヤ230の作動によりアンロード棚310’から導入された板材Wが回動中心部220Qを通って対応する直径収容区画220Dへ収容され(
図29→
図30)、その後一対の回動板210、210と回動翼220とが回動軸線Q周りで一体回動して板材Wを収容する直径収容区画220Dが倒伏搬送経路の最も近くに位置する状態で停止した後(
図30→
図31)、移送コンベヤ230の再作動により対応する直径収容区画220Dに収容された板材Wが回動中心部220Qを通り搬出側倒伏搬送部100’の傾斜配置コンベヤ130(後続搬送経路、倒伏搬送経路)に導出される(
図31→
図32)。
【0153】
搬出側倒伏搬送部100’について説明する。
【0154】
搬出側倒伏搬送部100’は、
図4に示すように、倒伏状態の板材W(処理済板材)をその長辺側が平面視において押圧方向Pと平行な搬送方向Cとなるように搬送する。ここでの搬出側倒伏搬送部100’は、搬入側倒伏搬送部100と同様、伸縮コンベヤ110(搬出出口コンベヤ)と、ローラコンベヤ120(搬出中間コンベヤ)と、傾斜配置コンベヤ130(搬出入口コンベヤ)と、を有する。ただし、搬出側倒伏搬送部100’においては、傾斜配置コンベヤ130、ローラコンベヤ120、伸縮コンベヤ110がこの順で並び、これらのコンベヤ130、120、110の板材Wの搬送方向Cが搬入側倒伏搬送部100とは逆方向(
図2参照)となるよう各駆動部が駆動する。なお、各コンベヤ130、120、110の構成は同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0155】
ここで、本実施例における搬出側姿勢変換部200’での板材Wの導入、回動(姿勢変更)、導出及び搬出側倒伏搬送部100’での板材Wの搬送について具体的に説明する。
【0156】
横型多段ホットプレス装置1000の加熱加圧処理を実行する主制御部900(制御回路:
図33参照)は、上述したアンローダ戻り処理(
図34のアンロード台車戻り)を行い、アンロード棚310’にローダ収容枚数の板材Wを収容したアンローダ部300’を、待機ステーションWSから取出ステーションTSに移動させる。
【0157】
アンローダ戻り処理が完了した主制御部900は、搬出側板材搬送処理として、搬出側倒伏搬送部100’の各回転駆動部M115、M125、M135を駆動し、それぞれに対応するコンベヤ110、120、130に板材Wを搬送方向C(
図4参照)に向けて同速度で搬送可能な状態とする。
【0158】
一方で、主制御部900は、搬出側姿勢変換部200’の一方の直径収容区画220Dに対し、アンローダ部300’から板材Wを所定枚数(ここでは4枚)ずつ導入し、それを姿勢変更した上で、搬出側倒伏搬送部100’に導出する板材取出し処理を実行する。この板材収容処理は、予め設定されたローダ収容枚数の板材Wが全て搬出側倒伏搬送部100’に送り出されるまで繰り返し実行される。
【0159】
板材取出し処理について具体的に説明する。搬出側姿勢変換部200’は、初期状態において、一方の直径収容区画220Dが搬出側倒伏搬送部100’の傾斜配置コンベヤ130の最も近くに位置し、他方の直径収容区画220Dがアンロード棚310’において搬出側倒伏搬送部100’の搬送方向C(
図4参照)の最も奥の収容位置に位置する停止状態にある(
図29)。
【0160】
主制御部900は、この初期状態において板材取出し処理を実行し、まずはアンローダ部300’の昇降用駆動部M340を駆動して昇降式底部材312を上昇させ、搬出側倒伏搬送部100’の搬送方向C(
図4参照)の逆側の最も奥の収容位置に収容されている板材Wを、移送コンベヤ230の搬送ベルト231Bによって引き上げられる引き上げ可能位置に到達させる(
図29)。このとき、主制御部900は、アンローダ部300’のスライド枠押圧駆動部S360も駆動して、アンローダ部300’のスライド枠322を幅方向Yの内向きに移動させて昇降ガイド状態としておくとよい。その上で、主制御部900は、アンロード棚310’の最も近くに位置する移送コンベヤ230の移送コンベヤ駆動部M250を駆動して搬送ベルト231Bを所定導入距離だけ回転させる。これにより、引き上げ可能位置に上昇した板材W(ここでは4枚)が、移送コンベヤ230によって対応する直径収容区画220D内に引き込まれ、所定の収容位置に到達して収容状態となる(
図29→
図30)。次に主制御部900は、回動駆動部M241を駆動して一対の回動板210、210及び回動翼220を回動軸線Q周りの所定回転方向に90度回動(
図30の視点では反時計方向RBに90度回転)させる(姿勢変更:
図30→
図31)。このとき、板材Wを収容している直径収容区画220Dは搬出側倒伏搬送部100’の傾斜配置コンベヤ130の最も近くに停止する一方、板材Wを収容していない他方の直径収容区画220Dはアンロード棚310’の最も近くに位置して停止する。
【0161】
この停止状態(
図31の姿勢変更完了状態)において、主制御部900は、間欠駆動部M260を駆動して、板材Wを収容していない上下方向(ここでは鉛直方向Z)に沿う直径収容区画220Dの下側出口がアンロード棚310’の次の収容位置の最も近くに位置するよう、一対の回動板210、210及び回動翼220を搬出側倒伏搬送部100’の搬送方向Cに沿って移動させる(
図31→
図32)。ここでは、搬入側倒伏搬送部100と同様、連携手段270により、搬出側倒伏搬送部100’の傾斜配置コンベヤ130(
図10参照)と、ローラコンベヤ120(
図9参照)と、伸縮コンベヤ110(
図6~
図8参照)の可動コンベヤ112とが一対の回動板210、210及び回動翼220に牽引される形で搬送方向C(ただし
図6~
図10の搬送方向Cとは逆方向)に移動する。このとき搬出側倒伏搬送部100’の伸縮コンベヤ110では、伸縮調整機構110Aによる搬送方向Cの長さ調整がなされる。
【0162】
一対の回動板210、210及び回動翼220の移動が完了すると、主制御部900は、板材Wを収容している直径収容区画220Dに対応する移送コンベヤ230の移送コンベヤ駆動部M250と、板材Wを収容していない他方の直径収容区画220Dに対応する移送コンベヤ230の移送コンベヤ駆動部M250と、を駆動させる。これにより、直径収容区画220Dに収容された板材Wが回動中心部220Qを通り搬出側倒伏搬送部100’の傾斜配置コンベヤ130に導出されるとともに、導出された直後又は導出とほぼ同時に、アンロード棚310’から次の板材Wが、板材Wを収容していない直径収容区画220Dに、回動中心部220Qを通る形で導入・収容される。
【0163】
板材Wの導入及び導出については、導出される板材と導入される板材Wとが回動中心部220Qにおいて干渉しないタイミングで実行される必要がある。ここでは主制御部900が、板材Wを収容している移送コンベヤ230の移送コンベヤ駆動部M250を駆動し、収容している板材Wを導出するとともに、その板材Wが回動中心部220Qを通過した直後のタイミング(
図32)で、板材Wを収容していない移送コンベヤ230の移送コンベヤ駆動部M250を駆動してアンロード棚310’から次の板材Wを導入・収容する。板材Wの回動中心部220Qの通過完了判断は、板材Wの導出開始(前者の移送コンベヤ駆動部M250の駆動開始)からの経過時間や、回動中心部220Qの通過完了位置にセンサを設けてその検知結果に基づいて行うことができる。
【0164】
板材Wが搬出側倒伏搬送部100’の傾斜配置コンベヤ130に導出された後、主制御部900は、上述した板材Wの導入、90度回動(姿勢変更)、次の収容位置への移動、及び板材Wの導出という一連の駆動処理を繰り返し実行する(
図34の姿勢変換・搬出工程)。ただし、ローダ収容枚数の最後の板材Wについては、次の収容位置への移動を省略し、導入、90度回動(姿勢変更)、板材Wの導出を上記と同様に行った上で、間欠駆動部M260を駆動して、一対の回動板210、210及び回動翼220を搬出側倒伏搬送部100’の搬送方向C(
図4参照)の最も奥の収容位置に移動させ、初期状態に復帰させる。これにより、一連の板材取出し処理が終了する。
【0165】
搬出側倒伏搬送部100’の傾斜配置コンベヤ130に導出された板材Wは、既に駆動中の傾斜配置コンベヤ130に導入され、後続のローラコンベヤ120、伸縮コンベヤ110に順次送り出されていき、伸縮コンベヤ110の先で、例えば回収ボックス600’に回収される。ただし、主制御部900は、ローダ収容枚数の最後の板材Wが伸縮コンベヤ110から搬出されたときに、搬出側板材搬送処理(搬出側倒伏搬送部100’の駆動)を一時停止する(
図34の姿勢変換・搬出工程の終了)。
【0166】
一連の板材取出し処理が終了すると、アンロード棚310’は空になる。一方で、主制御部900は、空になったアンローダ部300’を、取出ステーションTSから待機ステーションWSへと移動させるローダ移動処理(
図34のロード台車移動)を実行する。
【0167】
最後に、本実施例における加熱圧締部400と、ローダ部300と、アンローダ部300’とによる連携駆動について、
図34を用いて説明する。
【0168】
板材昇降式横型ホットプレス装置700における搬入・姿勢変換工程は、供給ステーションSSに位置するローダ部300に対し、搬入側倒伏搬送部100及び搬入側姿勢変換部200によって予め設定されたローダ収容枚数の板材Wを収容させることにより一旦完了する。搬入・姿勢変換工程が完了すると、ローダ部300が供給ステーションSSから待機ステーションWSへと移動する(ロード台車移動)。待機ステーションWSに到着したローダ部300は、全ての板材Wを加熱圧締部400に導入するローディング工程を実行する。これにより、ローダ部300は空になり、供給ステーションSSへと戻り(ロード台車戻り)、次のサイクルの搬入・姿勢変換工程が実行される。なお、ローダ部300は、搬入・姿勢変換工程が完了したときに待機ステーションWSにアンローダ部300’が位置する場合は、アンローダ部300’が待機ステーションWSを離れるまで供給ステーションSSに待機し、離れた後、速やかに待機ステーションWSへ移動して(ロード台車移動)、ローディング工程を実行する。
【0169】
このように、ローダ部300は、加熱圧締部400でのホットプレス工程、その後の板材Wの搬出処理(アンローディング工程)、及びさらにその後の姿勢変換・搬出工程を待つことが無く、空になったローダ部300が供給ステーションSSに戻るたびに次の搬入・姿勢変換工程が実行される。これにより、全体のサイクルタイムCTの短縮が可能となっている。
【0170】
他方、板材昇降式横型ホットプレス装置700における姿勢変換・搬出工程は、待機ステーションWSに位置するアンローダ部300’が、加熱圧締部400から導出されるローダ収容枚数の板材Wを全て収容するアンローディング工程を行った後、取出ステーションTSに移動(アンロード台車戻り)するたびに実行される。姿勢変換・搬出工程の実行後は、次のサイクルの搬入・姿勢変換工程を実行するために、アンローダ部300’が待機ステーションWSへと移動する(アンロード台車移動)。ただし、ローダ部300が待機ステーションWSに位置するときは、アンローダ部300’は取出ステーションTSに待機しており、ローダ部300が離れた後に待機ステーションWSへと移動する(アンロード台車移動)。そして、待機ステーションWSにおいて加熱圧締部400での処理が終わるまで待機し、終了後にアンローディング工程を実行する。そして、アンローダ部300’は再び取出ステーションTSに移動して姿勢変換・搬出工程を実行する。
【0171】
このように、アンローダ部300’は、ローダ部300のローディング工程、加熱圧締部400でのホットプレス工程を待つ可能性は場合はあるが、ローダ部300に対する搬入・姿勢変換工程を待つようなことはない。これにより、全体のサイクルタイムCTの短縮が可能となっている。実際には、アンローダ部300’は、姿勢変換・搬出工程がなされているときに少なくともローダ部300のローディング工程は完了するから、加熱圧締部400でのホットプレス工程を、その処理の途中から待つ程度で済む。
【0172】
以上で説明した横型多段ホットプレス装置において、板材搬入構造と板材搬出構造とは加熱圧締部(ホットプレス部)を中心として線対称に配設され、原則として同一構造を備えている。ただし、板材搬入に特有の構造又は板材搬出に特有の構造を個別に備えていてもよい。
【0173】
以上、本発明の一実施例を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、追加及び省略等の種々の変更が可能である。
【0174】
上記実施例では、ロード台車320(ローダ部300)は、
図20に示すように、待機ステーションWSと供給ステーションSSとの間を、押圧方向Pと直交する方向に沿って移動可能であったが、
図35に示すように、押圧方向Pと重なり合う方向に沿って移動可能であってもよい。また、上記実施例では、アンロード台車320’(アンローダ部300’)は、待機ステーションWSと取出ステーションTSとの間を、押圧方向Pと直交する方向に沿って移動可能であったが、
図35に示すように、押圧方向Pと重なり合う方向に沿って移動可能であってもよい。
図35においては、ロード台車320とアンロード台車320’との双方が押圧方向Pと重なり合う方向に沿って移動可能とされている。
【0175】
また、
図36に示すように、ロード台車320(ローダ部300)とアンロード台車320’(アンローダ部300’)のうちの一方を、押圧方向Pと直交する方向に沿って移動可能とし、他方を押圧方向Pと重なり合う方向に沿って移動可能としてもよい。
図36においては、ロード台車320の移動可能方向と、アンロード台車320’の移動可能方向とが直交しており、板材昇降式横型ホットプレス装置700全体が平面視でL字状をなす。
【0176】
また、ロード台車310及びアンロード台車320’の移動は、それぞれ水平方向に限るものではない。
【0177】
また、加熱圧締部400は、上下方向(ここでは鉛直方向Z)の接触面を有する複数の熱板401の相互間に横長状で起立状態の板材Wを各々挟み込み、板材Wの厚さ方向を押圧方向Pとして一斉に加熱加圧するように構成されてもよい。この場合、ロード棚320は、複数の板材Wの長辺側端面を厚さ方向に所定の間隔をあけて横長状の起立状態に保持し、各板材Wの長辺側端面を下側から支えつつ上昇させて対応する熱板401間に導入する。アンロード棚310’は、加熱圧締部400の加熱加圧後に対応する熱板401間から各々導出された複数の板材Wの長辺側端面を厚さ方向に所定の間隔をあけて横長状の起立状態で受け止め保持し、各板材Wの長辺側端面を下側から支えつつ下降させて収容する。
【符号の説明】
【0178】
1000 横型多段ホットプレス装置
500 板材搬入構造
100 搬入側倒伏搬送部
100P 倒伏搬送経路(先行搬送経路)
110 伸縮コンベヤ(搬入入口コンベヤ)
120 ローラコンベヤ(搬入中間コンベヤ)
130 傾斜配置コンベヤ(搬入出口コンベヤ)
200 搬入側姿勢変換部(翼車回動装置、搬送姿勢変換装置)
210 回動板(回動基体)
220 回動翼(翼車本体)
230 移送コンベヤ(移送体)
300 ローダ部
310 ロード棚(搬入側起立収容棚)
320 ロード台車(搬入側収容台車)
400 加熱圧締部(ホットプレス部)
500’ 板材搬出構造
100’ 搬出側倒伏搬送部
200’ 搬出側姿勢変換部(翼車回動装置、搬送姿勢変換装置)
300’ アンローダ部
310’ アンロード棚(搬出側起立収容棚)
320’ アンロード台車(搬出側収容台車)
700 板材昇降式横型ホットプレス装置
900 主制御部
P 押圧方向
Q 回動軸線
W 板材
W1 被処理板材(板材)
W2 処理済板材(板材)
JS 作業ステーション
SS 供給ステーション
TS 取出ステーション
WS 待機ステーション