(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039161
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】通信制御装置および通信設定の支援方法
(51)【国際特許分類】
H04W 24/08 20090101AFI20240314BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20240314BHJP
【FI】
H04W24/08
H04W4/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143497
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000233295
【氏名又は名称】株式会社日立情報通信エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 利行
(72)【発明者】
【氏名】三村 和
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067BB27
5K067FF02
5K067LL11
(57)【要約】
【課題】通信要求条件を満たす、通信経路および通信処理の組合せを高速に探索する。
【解決手段】通信制御装置は、センサ情報を送信するセンサ端末およびセンサ情報を収集する通信プラットフォームと接続する。センサ端末および通信プラットフォームは、通信方式が異なる通信経路を介して互いに通信可能である。通信プラットフォームは、センサ情報の送信を制御するための、複数の通信処理を実行可能である。通信制御装置は、センサ端末および通信プラットフォームの間の通信性能の条件を取得し、条件を満たす可能性がある通信処理を特定し、通信経路および通信処理の組合せを生成し、組合せの通信性能を算出し、通信性能に基づいて条件を満たす組合せを特定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信制御装置であって、
プロセッサ、前記プロセッサに接続される記憶装置、および前記プロセッサに接続されるネットワークインタフェースを備え、
センサが計測した値を含むセンサ情報を送信するセンサ端末、前記センサ情報を収集する通信プラットフォーム、および収集された前記センサ情報を用いた処理を実行するアプリケーションが稼働するセンタ装置と接続し、
前記センサ端末および前記通信プラットフォームは、通信方式が異なる通信経路を介して互いに通信可能であって、
前記通信プラットフォームは、前記センサ情報の送信を制御するための、複数の通信処理を実行可能であって、
前記通信制御装置は、
複数の前記通信経路の通信性能を管理するための通信経路データベース、および複数の前記通信処理の各々が通信性能に与える影響の程度を管理するための通信処理データベースを管理し、
前記センサ端末および前記通信プラットフォームの間の通信性能の条件を取得し、
前記通信処理データベースを参照して、前記条件を満たす可能性がある前記通信処理を特定し、
前記通信経路および前記通信処理の組合せを生成し、
前記通信経路データベースおよび前記通信処理データベースを参照して、前記組合せの各々の通信性能を算出し、
算出された前記通信性能に基づいて、前記条件を満たす前記組合せを特定し、
特定された前記組合せを提示するための表示情報を生成し、出力することを特徴とする通信制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信制御装置であって、
前記通信処理データベースは、複数の前記通信処理の各々について、通信性能を表す項目ごとの通信性能に与える影響の有無を示すデータを格納し、
前記通信制御装置は、
前記通信処理を選択し、
選択された前記通信処理の前記データを参照して、前記条件にて指定された通信性能が低下するか否かを判定し、
前記条件にて指定された通信性能が低下する場合、選択された前記通信処理を、前記組合せを構成する前記通信処理から除外することを特徴とする通信制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の通信制御装置であって、
前記通信処理データベースは、複数の前記通信処理の各々について、通信性能を表す項目ごとの通信性能に与える影響の大きさを示すデータを格納し、
前記通信制御装置は、
前記通信処理を選択し、
選択された前記通信処理の前記データを参照して、前記条件にて指定された通信性能の低下が許容可能な範囲であるか否かを判定し、
前記条件にて指定された通信性能の低下が許容可能な範囲でない場合、選択された前記通信処理を、前記組合せを構成する前記通信処理から除外することを特徴とする通信制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の通信制御装置であって、
前記アプリケーションの機能および非機能の少なくともいずれかの要件を取得し、
前記要件を前記条件に変換することを特徴とする通信制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の通信制御装置であって、
使用している前記通信経路、実行している前記通信処理、ならびに、前記センサ端末および前記通信プラットフォームの間の通信性能を含む計測情報を取得し、
前記計測情報に基づいて、前記通信処理データベースを更新することを特徴とする通信制御装置。
【請求項6】
通信制御装置が実行する通信設定の支援方法であって、
前記通信制御装置は、
プロセッサ、前記プロセッサに接続される記憶装置、および前記プロセッサに接続されるネットワークインタフェースを有し、
センサが計測した値を含むセンサ情報を送信するセンサ端末、前記センサ情報を収集する通信プラットフォーム、および収集された前記センサ情報を用いた処理を実行するアプリケーションが稼働するセンタ装置と接続し、
前記センサ端末および前記通信プラットフォームは、通信方式が異なる通信経路を介して互いに通信可能であって、
前記通信プラットフォームは、前記センサ情報の送信を制御するための、複数の通信処理を実行可能であって、
前記通信制御装置は、複数の前記通信経路の通信性能を管理するための通信経路データベース、および複数の前記通信処理の各々が通信性能に与える影響の程度を管理するための通信処理データベースを管理し、
前記通信設定の支援方法は、
前記通信制御装置が、前記センサ端末および前記通信プラットフォームの間の通信性能の条件を取得する第1のステップと、
前記通信制御装置が、前記通信処理データベースを参照して、前記条件を満たす可能性がある前記通信処理を特定する第2のステップと、
前記通信制御装置が、前記通信経路および前記通信処理の組合せを生成する第3のステップと、
前記通信制御装置が、前記通信経路データベースおよび前記通信処理データベースを参照して、前記組合せの各々の通信性能を算出する第4ステップと、
前記通信制御装置が、算出された前記通信性能に基づいて、前記条件を満たす前記組合せを特定する第5のステップと、
前記通信制御装置が、特定された前記組合せを提示するための表示情報を生成し、出力する第6のステップと、を含むことを特徴とする通信設定の支援方法。
【請求項7】
請求項6に記載の通信設定の支援方法であって、
前記通信処理データベースは、複数の前記通信処理の各々について、通信性能を表す項目ごとの通信性能に与える影響の有無を示すデータを格納し、
前記第2のステップは、
前記通信制御装置が、前記通信処理を選択するステップと、
前記通信制御装置が、選択された前記通信処理の前記データを参照して、前記条件にて指定された通信性能が低下するか否かを判定するステップと、
前記通信制御装置が、前記条件にて指定された通信性能が低下する場合、選択された前記通信処理を、前記組合せを構成する前記通信処理から除外するステップと、を含むことを特徴とする通信設定の支援方法。
【請求項8】
請求項6に記載の通信設定の支援方法であって、
前記通信処理データベースは、複数の前記通信処理の各々について、通信性能を表す項目ごとの通信性能に与える影響の大きさを示すデータを格納し、
前記第2のステップは、
前記通信制御装置が、前記通信処理を選択するステップと、
前記通信制御装置が、選択された前記通信処理の前記データを参照して、前記条件にて指定された通信性能の低下が許容可能な範囲であるか否かを判定するステップと、
前記通信制御装置が、前記条件にて指定された通信性能の低下が許容可能な範囲でない場合、選択された前記通信処理を、前記組合せを構成する前記通信処理から除外するステップと、を含むことを特徴とする通信設定の支援方法。
【請求項9】
請求項6に記載の通信設定の支援方法であって、
前記通信制御装置が、前記アプリケーションの機能および非機能の少なくともいずれかの要件を取得するステップと、
前記通信制御装置が、前記要件を前記条件に変換するステップと、を含むことを特徴とする通信設定の支援方法。
【請求項10】
請求項6に記載の通信設定の支援方法であって、
前記通信制御装置が、使用している前記通信経路、実行している前記通信処理、ならびに、前記センサ端末および前記通信プラットフォームの間の通信性能を含む計測情報を取得するステップと、
前記通信制御装置が、前記計測情報に基づいて、前記通信処理データベースを更新するステップと、を含むことを特徴とする通信設定の支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ情報を送受信するための通信ネットワークの設定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、設備の監視および保守、または設備内のエネルギー消費量などの解析および制御を、設備から離れたセンタから遠隔で実施する遠隔監視/制御システムの需要が高まっている。モニタリング対象を監視するセンサから当該システムで使用する情報を取得するために、センサの各々に通信用のケーブルを接続する場合、コストが高くなり、また、モニタリング対象の移動に伴ってケーブルの接続を変更する必要がある。そのため、無線通信を用いてセンサから情報を収集する構成が注目されている。
【0003】
遠隔監視/制御システムでは、センタにて稼働するアプリケーションが地理的に分散した複数の拠点(設備)の情報を統合し、処理を実行するために、各拠点の情報を集約するケースがある。情報の集約には有線通信の他に広域のセルラ網を用いる場合も多い。通信コストの観点から、センサから収集した情報をそのままセルラ網に転送することは適切ではない。そのため、収集した情報を蓄積し、アプリケーションが処理可能なデータ形式に整形するプラットフォームが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アプリケーションの通信に関する要求条件は、アプリケーションが実行する処理によって異なる。ここで、アプリケーションの通信に関する要求条件は、通信性能に関する条件であり、例えば、収集する情報のデータ量および収集頻度、または、到達率などの信頼性などである。以下の記載では、アプリケーションの通信に関する要求条件を通信要求条件と記載する。
【0006】
センサとプラットフォームとの間の通信ネットワークの通信方式としては、通信速度に優れるLTE(Long Term Evolution)、消費電力に優れるZigbee(登録商標)、通信距離に優れるLPWA(Low Power Wide Area network)など、特徴の異なる様々な通信方式を選択できる。アプリケーションの通信に関する要求条件を満たす通信方式で通信する通信ネットワークを選択する必要がある。
【0007】
以下では、任意の通信方式で通信する通信ネットワークを通信経路と記載する。
【0008】
アプリケーションの要求条件に応じて通信経路を選択する技術として、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、「複数の経路を有する無線通信区間と、1以上の経路を有する有線通信区間とを含むネットワークと、前記ネットワークを制御する通信制御装置と、を備える通信システムであって、前記無線通信区間には通信端末が接続されており、前記有線通信区間にはサーバが接続されており、前記通信制御装置は、前記無線通信区間の複数の経路の通信状態と、前記有線通信区間の1以上の経路の通信状態とを取得し、前記無線通信区間に接続された通信端末と前記有線通信区間に接続されたサーバとの間でデータ通信要求があった場合、前記無線通信区間および前記有線通信区間による通信品質が、前記通信端末と前記サーバとの間の通信において要求される通信品質を満たすように、前記複数の無線通信区間の経路および前記1以上の有線通信区間の経路から、それぞれの経路を選択する。」ことが開示されている。
【0009】
ハードウェアの処理能力などの制約によって、通信要求条件を満足する通信経路を選択できない場合がある。そのため、特許文献1に記載の技術では、前述の課題を解決することが難しい。
【0010】
プラットフォームは、収集した情報の蓄積、アプリケーションが処理可能なデータ形式への整形、および、蓄積した情報からアプリケーションが必要とする情報(例えば、変化があった値を含む情報)の抽出などのデータ処理を実現する機能を有する。また、プラットフォームは、端末に繰り返し情報を送信させる時間ダイバーシチ、複数の端末に同じ情報を送信させる空間ダイバーシチ、複数の端末への同一情報ストリームの振り分けなど、情報の送信を制御するための通信処理を実現する機能を有する。通信処理を活用することによって、通信ネットワークの信頼性の向上および実効的な通信速度の向上を実現できる。
【0011】
通信経路の選択だけでは通信要求条件を満たせない場合でも、通信経路およびプラットフォームの通信処理を組み合わせることによって、通信要求条件を満たすことができる。
【0012】
しかし、通信経路および通信処理の組合せは非常に多いため、最適な組合せを探索するためには膨大な計算量が必要となる。
【0013】
本発明は上記課題を解決するための発明であり、通信要求条件を満たす、通信経路およびプラットフォームの通信処理の組合せを高速に探索する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、通信制御装置であって、プロセッサ、前記プロセッサに接続される記憶装置、および前記プロセッサに接続されるネットワークインタフェースを備え、センサが計測した値を含むセンサ情報を送信するセンサ端末、前記センサ情報を収集する通信プラットフォーム、および収集された前記センサ情報を用いた処理を実行するアプリケーションが稼働するセンタ装置と接続し、前記センサ端末および前記通信プラットフォームは、通信方式が異なる通信経路を介して互いに通信可能であって、前記通信プラットフォームは、前記センサ情報の送信を制御するための、複数の通信処理を実行可能であって、前記通信制御装置は、複数の前記通信経路の通信性能を管理するための通信経路データベース、および複数の前記通信処理の各々が通信性能に与える影響の程度を管理するための通信処理データベースを管理し、前記センサ端末および前記通信プラットフォームの間の通信性能の条件を取得し、前記通信処理データベースを参照して、前記条件を満たす可能性がある前記通信処理を特定し、前記通信経路および前記通信処理の組合せを生成し、前記通信経路データベースおよび前記通信処理データベースを参照して、前記組合せの各々の通信性能を算出し、算出された前記通信性能に基づいて、前記条件を満たす前記組合せを特定し、特定された前記組合せを提示するための表示情報を生成し、出力する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、通信要求条件を満たす、通信経路およびプラットフォームの通信処理の組合せを高速に探索できる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例1の遠隔監視/制御システムの構成例を示す図である。
【
図2】実施例1の通信制御装置のハードウェア構成およびソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施例1の通信経路データベースの一例を示す図である。
【
図4】実施例1の通信処理データベースの一例を示す図である。
【
図5】実施例1の通信制御装置が実行する探索処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図6】実施例2の通信処理データベースの一例を示す図である。
【
図7】実施例2の通信制御装置が生成する組合せリストの一例を示す図である。
【
図8】実施例3の通信制御装置が実行する探索処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図9】実施例3の通信制御装置が実行する探索処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図10】実施例4の通信制御装置が実行する探索処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図11】実施例5の通信制御装置が実行するデータベース更新処理の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
【0018】
以下に説明する発明の構成において、同一または類似する構成または機能には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」等の表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数または順序を限定するものではない。
【0020】
図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、および範囲等は、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、および範囲等を表していない場合がある。したがって、本発明では、図面等に開示された位置、大きさ、形状、および範囲等に限定されない。
【実施例0021】
図1は、実施例1の遠隔監視/制御システムの構成例を示す図である。
【0022】
遠隔監視/制御システム10は、少なくとも一つのセンサ端末101、少なくとも一つの通信プラットフォーム102、一つのセンタ装置103、一つの通信制御装置104、および複数の通信装置105を含む。
図1では、四つの通信装置105-1、105-2、105-3、105-4が含まれる。
【0023】
センサ端末101および通信装置105-1、105-2は設備に存在し、通信プラットフォーム102、センタ装置103、および通信装置105-3、105-4はセンサ情報の蓄積および分析を行うセンタに存在する。通信制御装置104は、設備およびセンタのいずれに存在してもよい。また、通信制御装置104は、設備およびセンタとは異なる場所に存在してもよい。
【0024】
なお、遠隔監視/制御システム10を構成する要素の数は一例であってこれに限定されない。例えば、設備およびセンタの各々の通信装置105の数は一つまたは三つでもよい。
【0025】
通信制御装置104は、図示しない通信ネットワークを介して、センサ端末101、通信プラットフォーム102、およびセンタ装置103と接続する。通信ネットワークの接続方式は有線および無線のいずれでもよい。通信制御装置104と他の装置またはシステムとを接続する通信ネットワークの通信方式は限定されない。
【0026】
通信装置105は、無線接続の通信経路を介して互いに接続される。通信装置105間の通信に使用可能な通信経路は複数存在するものとする。センサ端末101および通信装置105-1、105-2は、無線接続の通信ネットワークを介して接続される。センサ端末101および通信装置105-1、105-2を接続する通信ネットワークの通信方式は限定されない。通信プラットフォーム102および通信装置105-3、105-4は、無線接続の通信ネットワークを介して接続される。通信プラットフォーム102および通信装置105-3、105-4を接続する通信ネットワークの通信方式は限定されない。通信プラットフォーム102およびセンタ装置103は、有線接続または無線接続の通信ネットワークを介して接続される。通信プラットフォーム102およびセンタ装置103を接続する通信ネットワークの通信方式は限定されない。
【0027】
センサ端末101は、温度および圧力などの計測値を含むセンサ情報を収集し、通信制御装置104の指示にしたがって通信装置105-1、105-2に送信する。センサ端末101は、例えばセンサ、ならびに、CPU、メモリ、および通信インタフェースを有する計算機から構成される。
【0028】
通信装置105は、通信経路を介して、設備とセンタとの間の通信を行う。通信装置105-1、105-2は、センサ端末101から受信したセンサ情報を通信装置105-3、105-4に送信する。通信装置105-3、105-4は、受信したセンサ情報を通信プラットフォーム102に送信する。
【0029】
通信プラットフォーム102は、通信制御装置104の指示にしたがって、通信装置105-3、105-4から受信したセンサ情報に対してデータ処理を実行し、また、空間ダイバーシチ等、センタ装置103に対するデータの送信を制御するための通信処理を実行する。通信プラットフォーム102は、CPU、メモリ、および通信インタフェースを有する計算機から構成されるシステムである。
【0030】
センタ装置103は、通信プラットフォーム102から受信したセンサ情報を蓄積し、また、システム管理者の要求に応じて解析および表示等を行うアプリケーションを実行する。センタ装置103は、例えば、CPU、メモリ、および通信インタフェースを有する計算機である。
【0031】
通信制御装置104は、センサ端末101、通信プラットフォーム102、およびセンタ装置103に対して各種指示を送信する。実施例1の通信制御装置104は、通信要求条件を満たす、通信経路および通信処理の組合せを探索する機能を有する。また、実施例1の通信制御装置104は、探索結果に基づいて、センサ端末101および通信プラットフォーム102に通信経路および通信処理の設定を行うための指示を送信する。
【0032】
通信要求条件は、通信性能に関する条件である。通信性能は、通信距離、通信速度、および遅延など、複数の項目を含む。以下では、通信要求条件に含まれる項目を指定項目と記載する。
【0033】
図2は、実施例1の通信制御装置104のハードウェア構成およびソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0034】
通信制御装置104は、プロセッサ201、主記憶装置202、副記憶装置203、およびネットワークインタフェース204を有する。各ハードウェア要素は内部バス205を介して互いに接続される。
【0035】
主記憶装置202は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などのメモリであり、プロセッサ201が実行するプログラムおよびプログラムが使用する情報を格納する。主記憶装置202は、一時的にデータを格納するワークエリアを提供する記憶装置としても用いられる。なお、通信制御装置104は、主記憶装置202とは別に、ワークエリアを提供するバッファメモリを有してもよい。
【0036】
副記憶装置203は、HDD(Hard Disk Drive)およびSSD(Solid State Drive)などであり、情報を永続的に格納する。主記憶装置202に格納されるプログラムおよび情報は、副記憶装置203に格納されてもよい。この場合、プロセッサ201が副記憶装置203からプログラムおよび情報を読み出し、主記憶装置202にロードする。
【0037】
プロセッサ201は、主記憶装置202に格納されるプログラムを実行する。プロセッサ201は、プログラムにしたがって処理を実行することによって機能部(モジュール)として機能する。以下の説明では、機能部を主語に処理を説明する場合、プロセッサ201が機能部を実現するプログラムを実行していることを示す。
【0038】
ネットワークインタフェース204は、ネットワークを介して外部の装置と通信する。通信制御装置104は、センサ端末101と通信するためのネットワークインタフェース204-1、通信プラットフォーム102と通信するためのネットワークインタフェース204-2、センタ装置103と通信するためのネットワークインタフェース204-3を有する。
【0039】
主記憶装置202は、探索部210および条件変換部211を実現するプログラムを格納し、また、通信経路データベース220および通信処理データベース221を格納する。なお、通信経路データベース220および通信処理データベース221は、副記憶装置203に格納されてもよい。
【0040】
通信経路データベース220は、通信経路の通信性能を管理するためのデータベースである。通信処理データベース221は、通信処理が通信性能に与える影響を管理するためのデータベースである。
【0041】
探索部210は、通信要求条件を満たす通信経路および通信処理の組合せを探索する。条件変換部211は、入力された条件を通信要求条件に変換する。条件変換部211に関する処理は実施例4で説明する。
【0042】
なお、主記憶装置202には、図示しないプログラムおよび情報が格納されているが、本発明とは関係しないため省略している。なお、通信制御装置104が有する機能は、複数の計算機から構成されるシステムとして実現してもよい。
【0043】
図3は、実施例1の通信経路データベース220の一例を示す図である。
【0044】
通信経路データベース220は、通信経路301、コスト302、通信距離303、遅延304、通信速度305、および電池寿命306を含むエントリを格納する。一つの通信経路に対して一つのエントリが存在する。なお、エントリに含まれるフィールドは前述したものに限定されない。
【0045】
通信経路301は、通信経路の種別を格納するフィールドである。通信経路301には、通信方式の名称などが格納される。
【0046】
コスト302は、通信経路の設定などに要するコストを格納するフィールドである。通信距離303、遅延304、通信速度305、および電池寿命306は、通信性能を表す項目の値を格納するフィールドである。通信距離303は、通信経路の通信距離を格納するフィールドである。遅延304は、通信経路の遅延を格納するフィールドである。通信速度305は、通信経路の通信速度を格納するフィールドである。電池寿命306は、通信経路を用いた通信による通信装置105の電池寿命を格納するフィールドである。
【0047】
なお、通信経路データベース220はテーブル形式の情報でなくてもよい。例えば、CSV(Comma Separated Values)、XML(Extensible Markup Language)などでもよい。
【0048】
図4は、実施例1の通信処理データベース221の一例を示す図である。
【0049】
通信処理データベース221は、通信処理401、コスト402、通信距離403、遅延404、通信速度405、および電池寿命406を含むエントリを格納する。一つの通信処理に対して一つのエントリが存在する。なお、エントリに含まれるフィールドは前述したものに限定されない。
【0050】
通信処理401は、通信処理の種別を格納するフィールドである。通信処理401には、通信処理の名称などが格納される。
【0051】
コスト402は、通信処理を適用に要するコストを格納するフィールドである。通信距離403、遅延404、通信速度405、および電池寿命406は、通信性能を表す項目の通信性能に与える影響に関する値を格納するフィールドである。通信距離403、遅延404、通信速度405、および電池寿命406は、通信処理を適用した場合の通信性能への影響の有無を表す値を格納するフィールドである。通信性能を向上させる場合、フィールドにはプラスの記号が格納され、通信性能を低下させる場合、フィールドにはマイナスの記号が格納される。また、通信性能への影響がない場合、フィールドには「影響なし」が格納される。
【0052】
なお、通信処理データベース221はテーブル形式の情報でなくてもよい。例えば、CSV(Comma Separated Values)、XML(Extensible Markup Language)などでもよい。
【0053】
図5は、実施例1の通信制御装置104が実行する探索処理の一例を説明するフローチャートである。
【0054】
通信制御装置104は、通信要求条件を受信した場合、探索処理を開始する。通信要求条件は、例えば、センタ装置103で稼働するアプリケーションから取得する。
【0055】
通信制御装置104は、利用可能な通信経路を特定し、通信経路のリストを生成する(ステップS101)。例えば、通信制御装置104は、センサ端末101および通信プラットフォーム102の少なくともいずれかから利用可能な通信経路に関する情報を取得する。
【0056】
通信制御装置104は、利用可能な通信処理を特定し、通信処理のリストを生成する(ステップS102)。例えば、通信制御装置104は、通信プラットフォーム102から実行可能な通信処理に関する情報を取得する。
【0057】
通信制御装置104は、通信処理データベース221を参照し、指定項目の通信性能に負の影響を与えない通信処理を特定する(ステップS103)。すなわち、通信要求条件を満たす可能性がある通信処理が特定される。具体的には、以下のような処理を実行する。
【0058】
(S103-1)通信制御装置104は、ステップS102において生成されたリストから一つの通信処理を選択する。選択された通信処理をターゲット通信処理と記載する。
【0059】
(S103-2)通信制御装置104は、通信処理データベース221のターゲット通信処理に対応するエントリを参照する。通信制御装置104は、各指定項目に対応するいずれかのフィールドにマイナスの記号が設定されているか否かを判定する。
【0060】
(S103-3)少なくとも一つの指定項目のフィールドにマイナスの記号が設定されている場合、通信制御装置104は、リストからターゲット通信処理を削除し、S103-4に進む。通信要求条件の全ての指定項目に対応するフィールドにマイナスの記号が設定されていない場合、通信制御装置104はS103-4に進む。
【0061】
(S103-4)通信制御装置104は、リストに登録された全ての通信処理について処理が完了したか否かを判定する。
【0062】
(S103-5)リストに登録された全ての通信処理について処理が完了していない場合、通信制御装置104はS103-1に戻る。リストに登録された全ての通信処理について処理が完了した場合、通信制御装置104は処理を終了する。
【0063】
通信制御装置104は、通信経路のリストおよび通信処理のリストに基づいて、通信経路および通信処理の組合せを生成する(ステップS104)。
【0064】
通信制御装置104は、各組合せについて、各指定項目の値(性能値)およびコストを算出する(ステップS105)。
【0065】
通信制御装置104は、コスト302にコスト402の値を加算することによってコストを算出する。通信制御装置104は、通信距離303に、通信距離403の値に応じた数値を乗算することによって通信距離を算出する。例えば、プラスの記号が格納される場合、「1.2」を乗算し、マイナスの記号が格納される場合、「0.7」を乗算し、「影響なし」が格納される場合、「1」を乗算する。遅延、通信速度、および電池寿命も通信距離と同様の方法で算出される。
【0066】
通信制御装置104は、算出された性能値に基づいて、通信要求条件において定義された各指定項目の条件を満たす通信経路および通信処理の組合せを特定する(ステップS106)。
【0067】
通信制御装置104は、特定された通信経路および通信処理の組合せを表示するための表示情報を生成し、出力する(ステップS107)。表示情報は、例えば、通信プラットフォーム102またはセンタ装置103に送信される。
【0068】
ユーザは表示情報に基づいて採用する組合せを選択する。選択結果は、通信制御装置104に入力される。通信制御装置104は、選択結果に基づいて、選択された組合せに対応する通信経路および通信処理の設定を行うための指示を、センサ端末101および通信プラットフォーム102に送信する。
【0069】
実施例1の通信制御装置104は、指定項目の通信性能に負の影響がある通信処理を選択対象から除外することによって、通信経路および通信処理の組合せの数が削減されるため、最適な組合せを探索するための計算量を削減できる。
【0070】
なお、通信制御装置104は、通信処理を適用しない場合も含めて探索を行ってもよい。
【0071】
なお、通信制御装置104が有する機能は、センサ端末101、通信プラットフォーム102、およびセンタ装置103のいずれかに包含するようにしてもよい。
実施例2の遠隔監視/制御システム10の構成は実施例1と同一である。実施例2の通信制御装置104のハードウェア構成およびソフトウェア構成は実施例1と同一である。ただし、実施例2の通信処理データベース221は実施例1と一部異なる。
通信処理データベース221の格納されるエントリのフィールドは実施例1と同一である。実施例2では、通信距離403、遅延404、通信速度405、および電池寿命406に格納される値が実施例1と異なる。実施例2の通信距離403、遅延404、通信速度405、および電池寿命406は、通信処理を適用した場合の項目の通信性能に与える影響の大きさを表す値が格納される。通信距離403および通信速度405には、通信性能に正の影響を与える場合、1より大きい値が格納され、通信性能に負の影響を与える場合、フィールドには1より小さい値が設定され、通信性能に影響を与えない場合、1が格納される。遅延404および電池寿命406には、通信性能に正の影響を与える場合、1より小さい値が格納され、通信性能に負の影響を与える場合、フィールドには1より大きい値が設定され、通信性能に影響を与えない場合、1が格納される。
(S103-2)通信制御装置104は、通信処理データベース221のターゲット通信処理に対応するエントリを参照する。通信制御装置104は、少なくとも一つの指定項目に対応するフィールドに閾値より小さい値が格納されているか否かを判定する。すなわち、通信性能の低下が許容可能な範囲であるか否かが判定される。閾値は予め設定されているものとする。
(S103-3)少なくとも一つの指定項目に対応するフィールドに閾値より小さい値が格納されている場合、通信制御装置104は、リストからターゲット通信処理を削除し、S103-4に進む。少なくとも一つの指定項目に対応するフィールドに閾値より小さい値が格納されていない場合、通信制御装置104はS103-4に進む。
(S103-5)リストに登録された全ての通信処理について処理が完了していない場合、通信制御装置104はS103-1に戻る。リストに登録された全ての通信処理について処理が完了した場合、通信制御装置104は処理を終了する。
実施例2では、通信性能に与える負の影響の程度を考慮する点が実施例1と異なる。すなわち、通信制御装置104は、通信性能に与える負の影響が小さい通信処理は除外されないように制御する。これによって、組合せ数の爆発を抑制しつつ、組合せのバリエーションを増やすことができる。
ここでは、通信距離が1km以上、かつ、通信速度が100kbps以上である通信要求条件を取得しているものとする。ステップS102では、M_1、M_2、M_3、M_4、M_5、M_6が登録されたリストが生成され、ステップS103では、繰り返し送信、振り分け、およびコピーが登録されたリストが生成されたものとする。また、閾値は0.35が設定されているものとする。なお、項目ごとに異なる閾値を設定することもできる。
ステップS103において、ターゲット通信処理として繰り返し送信が選択された場合、通信制御装置104は、通信速度405の値(0.5)は閾値(0.35)より大きい。そのため、繰り返し送信は除外されない。振り分けおよびコピーは、通信性能に負の影響を与えないため除外されない。
ステップS104では、六つの通信経路(M_1、M_2、M_3、M_4、M_5、M_6)と三つの通信処理(繰り返し送信、振り分け、コピー)を組み合わせて、十八個の組合せが生成される。
組合せリスト700に登録されている組合せのうち、太枠で示した六つの組合せが通信要求条件を満たす。ステップS107では、六つの組合せを表示するための表示情報が生成される。