(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039162
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム、および、記録媒体処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 37/04 20060101AFI20240314BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240314BHJP
B42B 5/00 20060101ALI20240314BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
B65H37/04 Z
G03G15/00 432
B42B5/00
B41J29/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143500
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(72)【発明者】
【氏名】荻野 孝
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 伸英
(72)【発明者】
【氏名】田中 久美子
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 浩二
【テーマコード(参考)】
2C061
2H072
3F108
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS02
2C061BB08
2C061BB28
2C061CK01
2H072AA29
2H072AA30
2H072GA07
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA11
(57)【要約】
【課題】綴じ処理が行われる記録媒体に供給される水分の量の適正化を図る。
【解決手段】第3関係テーブルでは、積載順情報により特定される積載順が早いほど、供給される水分が多くなるようになる設定が行われている。このため、CPUは、積載順情報により特定される積載順が早い用紙については、積載順が遅い用紙に比べて、供給される水分が多くなる設定を行う。具体的には、CPUは、第3関係テーブルを参照し、積載順情報により特定される積載順が早い用紙については、水分の量が多いことを示す、水分の量についての情報を取得する。そして、CPUは、この水分の量についての情報により特定される水分の量を、用紙に供給される水分の量として設定する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備える情報処理装置であり、
前記プロセッサは、
綴じ処理が行われる記録媒体に供給される水分の当該記録媒体からの揮発の量に影響を与える要因についての情報である要因情報を取得し、
前記要因情報に基づき、前記記録媒体に供給される水分の量についての設定を行う、
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記要因情報として、綴じ処理が行われる前記記録媒体に対する水分の供給から当該記録媒体に対する綴じ処理が行われるまでの経過時間についての情報である経過時間情報を取得し、
前記経過時間情報に基づき、前記記録媒体に供給される水分の量についての設定を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記経過時間情報により特定される時間が予め定められた時間を超える場合、当該予め定められた時間を超えない場合に比べて、前記記録媒体に供給される水分が多くなるようにする設定を行う、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
記録媒体が順に積載されたうえで綴じ処理が行われる際における記録媒体の積載順に基づき、当該記録媒体の各々についての前記経過時間情報を取得する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記積載順が遅い記録媒体についての前記経過時間情報を取得する場合、当該積載順が早い記録媒体についての当該経過時間情報により特定される時間に比べて時間が短いことを示す経過時間情報を取得する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記要因情報として、記録媒体が順に積載されたうえで綴じ処理が行われる際における記録媒体の積載順についての情報である積載順情報を取得し、
前記積載順情報に基づき、前記記録媒体の各々に供給される水分の量についての設定を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記積載順情報により特定される積載順が遅い記録媒体については、積載順が早い記録媒体に比べて供給される水分が少なくなる設定を行う、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記要因情報として、前記記録媒体に対する綴じ処理が行われる箇所の雰囲気についての情報である雰囲気情報を取得し、
前記雰囲気情報に基づき、前記記録媒体に供給される水分の量についての設定を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記要因情報として、綴じ処理が行われる前記記録媒体の種別についての情報である種別情報を取得し、
前記種別情報に基づき、前記記録媒体に供給される水分の量についての設定を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記要因情報として、綴じ処理が行われる前記記録媒体に供給される水分の種別についての情報である水分種別情報を取得し、
前記水分種別情報に基づき、前記記録媒体に供給される水分の量についての設定を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
綴じ処理が行われる記録媒体に供給される水分の当該記録媒体からの揮発の量に影響を与える要因についての情報である要因情報を取得する機能と、
前記要因情報に基づき、前記記録媒体に供給される水分の量についての設定を行う機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項12】
記録媒体に対する綴じ処理を行う綴じ処理手段と、当該綴じ処理手段による綴じ処理が行われる記録媒体に供給される水分の量についての設定を行う情報処理装置と、を備え、当該情報処理装置が、請求項1乃至10の何れかに記載の情報処理装置を含んで構成された記録媒体処理装置。
【請求項13】
綴じ処理が行われる記録媒体に対する水分の供給を行う水分供給手段と、
前記水分供給手段により前記記録媒体に供給された水分の一部を当該記録媒体から除去する水分除去手段と、
を備える記録媒体処理装置。
【請求項14】
前記水分除去手段は、前記記録媒体に対する綴じ処理が行われる前に前記一部を除去する、
請求項13に記載の記録媒体処理装置。
【請求項15】
前記水分除去手段は、前記記録媒体に含浸しておらず当該記録媒体の表面に付着している水分を除去する、
請求項13に記載の記録媒体処理装置。
【請求項16】
前記水分除去手段は、前記記録媒体の表面に接触しながら当該表面に沿って当該表面に対する相対移動を行って、当該記録媒体に付着している水分を除去する、
請求項13に記載の記録媒体処理装置。
【請求項17】
前記水分除去手段は、互いに接触する一対の部材を備え、
前記一対の部材の間を前記記録媒体が通過することで、当該記録媒体に供給された水分の一部が除去される、
請求項13に記載の記録媒体処理装置。
【請求項18】
前記一対の部材のうちの少なくとも一方の部材を他方の部材に対して進退させる進退手段を更に備える請求項17に記載の記録媒体処理装置。
【請求項19】
前記一対の部材を構成する部材の各々は、当該一対の部材を通過する記録媒体の移動方向と交差する方向に沿って延びる回転軸を中心に回転可能となっている、
請求項17に記載の記録媒体処理装置。
【請求項20】
前記水分除去手段は、水分を吸収する吸収体を用いて前記記録媒体に供給された水分の一部を除去する、
請求項13に記載の記録媒体処理装置。
【請求項21】
前記水分除去手段は、前記記録媒体に対して気体を吹き付けて当該記録媒体に供給された水分の一部を除去する、
請求項13に記載の記録媒体処理装置。
【請求項22】
前記水分除去手段は、互いに接触し回転可能に設けられ前記記録媒体の少なくとも一部が通過する一対の回転部材を備え、
前記一対の回転部材を前記記録媒体が通過する際の通過方向において、当該一対の回転部材よりも下流側に、水分を貯める水分貯め部が設けられ、
記録媒体の少なくとも一部が前記一対の回転部材を通過することで、前記水分貯め部の水分が当該記録媒体に供給され、
前記回転部材を通過した記録媒体が反対方向へ移動することで、当該記録媒体に供給された前記水分の一部が、当該回転部材によって除去される、
請求項13に記載の記録媒体処理装置。
【請求項23】
前記一対の回転部材を前記記録媒体が通過する際、当該記録媒体は下方から上方に向かって移動し、
前記一対の回転部材の上方に、前記水分貯め部が設けられている、
請求項22に記載の記録媒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラム、および、記録媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、押圧手段によるシート束への綴じ処理を行う前に、シート束の押圧手段により綴じ処理されるべき位置に水を塗布する水分塗布手段を備える装置が開示されている。
特許文献2には、シート束において、液体が付与される液体付与領域と、加圧歯によって加圧される加圧領域とが重なって設けられる構成が開示されている。
特許文献3には、用紙束揃え部によってステイプルトレイ上で複数の用紙の用紙搬送方向端部及び用紙幅方向端部が互いに整合された用紙束の用紙端部に、水分を供給する水分供給手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-123007号公報
【特許文献2】特開2020-172399号公報
【特許文献3】特開2015-127116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記録媒体の綴じ処理を行うにあたり、記録媒体に対して水分を供給すると、綴じの強度を増すことができる。
ところで、綴じ処理時の条件によっては必要な水分の量が変化し、記録媒体に供給される水分が多すぎたり、逆に、記録媒体に供給される水分が不足したりする事態が生じうる。
本発明の目的は、綴じ処理が行われる記録媒体に供給される水分の量の適正化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、プロセッサを備える情報処理装置であり、前記プロセッサは、綴じ処理が行われる記録媒体に供給される水分の当該記録媒体からの揮発の量に影響を与える要因についての情報である要因情報を取得し、前記要因情報に基づき、前記記録媒体に供給される水分の量についての設定を行う、情報処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記プロセッサは、前記要因情報として、綴じ処理が行われる前記記録媒体に対する水分の供給から当該記録媒体に対する綴じ処理が行われるまでの経過時間についての情報である経過時間情報を取得し、前記経過時間情報に基づき、前記記録媒体に供給される水分の量についての設定を行う、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記プロセッサは、前記経過時間情報により特定される時間が予め定められた時間を超える場合、当該予め定められた時間を超えない場合に比べて、前記記録媒体に供給される水分が多くなるようにする設定を行う、請求項2に記載の情報処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記プロセッサは、記録媒体が順に積載されたうえで綴じ処理が行われる際における記録媒体の積載順に基づき、当該記録媒体の各々についての前記経過時間情報を取得する、請求項2に記載の情報処理装置である。
請求項5に記載の発明は、前記プロセッサは、前記積載順が遅い記録媒体についての前記経過時間情報を取得する場合、当該積載順が早い記録媒体についての当該経過時間情報により特定される時間に比べて時間が短いことを示す経過時間情報を取得する、請求項4に記載の情報処理装置である。
請求項6に記載の発明は、前記プロセッサは、前記要因情報として、記録媒体が順に積載されたうえで綴じ処理が行われる際における記録媒体の積載順についての情報である積載順情報を取得し、前記積載順情報に基づき、前記記録媒体の各々に供給される水分の量についての設定を行う、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項7に記載の発明は、前記プロセッサは、前記積載順情報により特定される積載順が遅い記録媒体については、積載順が早い記録媒体に比べて供給される水分が少なくなる設定を行う、請求項6に記載の情報処理装置である。
請求項8に記載の発明は、前記プロセッサは、前記要因情報として、前記記録媒体に対する綴じ処理が行われる箇所の雰囲気についての情報である雰囲気情報を取得し、前記雰囲気情報に基づき、前記記録媒体に供給される水分の量についての設定を行う、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項9に記載の発明は、前記プロセッサは、前記要因情報として、綴じ処理が行われる前記記録媒体の種別についての情報である種別情報を取得し、前記種別情報に基づき、前記記録媒体に供給される水分の量についての設定を行う、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項10に記載の発明は、前記プロセッサは、前記要因情報として、綴じ処理が行われる前記記録媒体に供給される水分の種別についての情報である水分種別情報を取得し、前記水分種別情報に基づき、前記記録媒体に供給される水分の量についての設定を行う、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項11に記載の発明は、綴じ処理が行われる記録媒体に供給される水分の当該記録媒体からの揮発の量に影響を与える要因についての情報である要因情報を取得する機能と、前記要因情報に基づき、前記記録媒体に供給される水分の量についての設定を行う機能と、をコンピュータに実現させるためのプログラムである。
請求項12に記載の発明は、記録媒体に対する綴じ処理を行う綴じ処理手段と、当該綴じ処理手段による綴じ処理が行われる記録媒体に供給される水分の量についての設定を行う情報処理装置と、を備え、当該情報処理装置が、請求項1乃至10の何れかに記載の情報処理装置を含んで構成された記録媒体処理装置である。
請求項13に記載の発明は、綴じ処理が行われる記録媒体に対する水分の供給を行う水分供給手段と、前記水分供給手段により前記記録媒体に供給された水分の一部を当該記録媒体から除去する水分除去手段と、を備える記録媒体処理装置である。
請求項14に記載の発明は、前記水分除去手段は、前記記録媒体に対する綴じ処理が行われる前に前記一部を除去する、請求項13に記載の記録媒体処理装置である。
請求項15に記載の発明は、前記水分除去手段は、前記記録媒体に含浸しておらず当該記録媒体の表面に付着している水分を除去する、請求項13に記載の記録媒体処理装置である。
請求項16に記載の発明は、前記水分除去手段は、前記記録媒体の表面に接触しながら当該表面に沿って当該表面に対する相対移動を行って、当該記録媒体に付着している水分を除去する、請求項13に記載の記録媒体処理装置である。
請求項17に記載の発明は、前記水分除去手段は、互いに接触する一対の部材を備え、前記一対の部材の間を前記記録媒体が通過することで、当該記録媒体に供給された水分の一部が除去される、請求項13に記載の記録媒体処理装置である。
請求項18に記載の発明は、前記一対の部材のうちの少なくとも一方の部材を他方の部材に対して進退させる進退手段を更に備える請求項17に記載の記録媒体処理装置である。
請求項19に記載の発明は、前記一対の部材を構成する部材の各々は、当該一対の部材を通過する記録媒体の移動方向と交差する方向に沿って延びる回転軸を中心に回転可能となっている、請求項17に記載の記録媒体処理装置である。
請求項20に記載の発明は、前記水分除去手段は、水分を吸収する吸収体を用いて前記記録媒体に供給された水分の一部を除去する、請求項13に記載の記録媒体処理装置である。
請求項21に記載の発明は、前記水分除去手段は、前記記録媒体に対して気体を吹き付けて当該記録媒体に供給された水分の一部を除去する、請求項13に記載の記録媒体処理装置である。
請求項22に記載の発明は、前記水分除去手段は、互いに接触し回転可能に設けられ前記記録媒体の少なくとも一部が通過する一対の回転部材を備え、前記一対の回転部材を前記記録媒体が通過する際の通過方向において、当該一対の回転部材よりも下流側に、水分を貯める水分貯め部が設けられ、記録媒体の少なくとも一部が前記一対の回転部材を通過することで、前記水分貯め部の水分が当該記録媒体に供給され、前記回転部材を通過した記録媒体が反対方向へ移動することで、当該記録媒体に供給された前記水分の一部が、当該回転部材によって除去される、請求項13に記載の記録媒体処理装置である。
請求項23に記載の発明は、前記一対の回転部材を前記記録媒体が通過する際、当該記録媒体は下方から上方に向かって移動し、前記一対の回転部材の上方に、前記水分貯め部が設けられている、請求項22に記載の記録媒体処理装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、綴じ処理が行われる記録媒体に供給される水分の量の適正化を図ることができる。
請求項2の発明によれば、綴じ処理が行われる記録媒体に対する水分の供給からこの記録媒体に対する綴じ処理が行われるまでの経過時間を考慮して、記録媒体に供給される水分の量についての設定を行うことができる。
請求項3の発明によれば、綴じ処理が行われる記録媒体に対する水分の供給からこの記録媒体に対する綴じ処理が行われるまでの経過時間が長い場合に、記録媒体に供給される水分の量を増すことができる。
請求項4の発明によれば、記録媒体が順に積載されたうえで綴じ処理が行われる際における記録媒体の積載順に基づき、記録媒体の各々についての経過時間情報を取得することができる。
請求項5の発明によれば、積載順が遅い記録媒体についての経過時間情報を取得する場合、積載順が早い記録媒体についての経過時間情報により特定される時間に比べて時間が短いことを示す経過時間情報を取得することができる。
請求項6の発明によれば、記録媒体が順に積載されたうえで綴じ処理が行われる際における記録媒体の積載順を考慮して、記録媒体に供給される水分の量についての設定を行うことができる。
請求項7の発明によれば、積載順情報により特定される積載順が遅い記録媒体については、積載順が早い記録媒体に比べて供給される水分が少なくなる設定を行うことができる。
請求項8の発明によれば、記録媒体に対する綴じ処理が行われる箇所の雰囲気を考慮して、記録媒体に供給される水分の量についての設定を行うことができる。
請求項9の発明によれば、綴じ処理が行われる記録媒体の種別を考慮して、記録媒体に供給される水分の量についての設定を行うことができる。
請求項10の発明によれば、綴じ処理が行われる記録媒体に供給される水分の種別を考慮して、記録媒体に供給される水分の量についての設定を行うことができる。
請求項11の発明によれば、綴じ処理が行われる記録媒体に供給される水分の量の適正化を図ることができる。
請求項12の発明によれば、綴じ処理が行われる記録媒体に供給される水分の量の適正化を図ることができる。
請求項13の発明によれば、綴じ処理が行われる記録媒体に供給される水分の量の適正化を図ることができる。
請求項14の発明によれば、記録媒体に対する綴じ処理が行われる前に、記録媒体に供給された水分のうちの余分な水分を除去することができる。
請求項15の発明によれば、記録媒体に含浸しておらず記録媒体の表面に付着している水分を除去することができる。
請求項16の発明によれば、記録媒体に付着している水分を除去することができる。
請求項17の発明によれば、記録媒体に付着している水分を除去することができる。
請求項18の発明によれば、水分除去手段として設けられた、互いに接触する一対の部材を構成する一方の部材と他方の部材との接触圧を変更することが可能となる。
請求項19の発明によれば、回転可能な一対の回転部材を用いて、記録媒体に供給された水分の一部を記録媒体から除去することができる。
請求項20の発明によれば、記録媒体に供給された水分の一部を除去することができる。
請求項21の発明によれば、記録媒体に供給された水分の一部を除去することができる。
請求項22の発明によれば、記録媒体への水分の供給と、供給されたこの水分の一部の除去とを行うことができる。
請求項23の発明によれば、一対の回転部材の上方に形成される空間を、水分貯め部として活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】画像形成システムの全体構成を示した図である。
【
図5】
図4の矢印Vで示す方向から、綴じ処理ユニットを見た場合の図である。
【
図6】情報処理装置のハードウエアの構成を示した図である。
【
図10】第1後処理装置の他の構成例を示した図である。
【
図11】(A)~(B)は、水分供給部、水分除去部の設置箇所における用紙の動きを示した図である。
【
図12】水分供給部、水分除去部の他の構成例を示した図である。
【
図13】水分除去部の他の構成例を示した図である。
【
図14】水分除去部の他の構成例を示した図である。
【
図15】水分除去部の他の構成例を示した図である。
【
図16】互いに接触する一対の部材を用い、綴じが行われる箇所のみに対して水分を供給する構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、画像形成システム1の全体構成を示した図である。
図1に示す画像形成システム1は、記録媒体の一例としての用紙Pに対して画像を形成する画像形成装置2と、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pに対して予め定められた処理を施す用紙処理装置3とを備える。
【0009】
画像形成装置2には、電子写真方式やインクジェット方式を用いて、用紙Pへの画像の形成を行う画像形成部19が設けられている。
また、画像形成装置2には、定着器14が設けられている。この定着器14は、用紙Pの搬送方向において、画像形成部19の下流側に配置されている。
定着器14では、画像が形成された用紙Pの加圧および加熱が行われる。これにより、用紙P上の画像が、この用紙Pに定着される。
【0010】
記録媒体処理装置の一例としての用紙処理装置3には、画像形成装置2から出力された用紙Pを下流側に搬送する搬送装置10、搬送装置10により搬送される用紙Pに対して厚紙や窓空き用紙等の合紙を供給する合紙供給装置20が設けられている。
また、用紙処理装置3には、搬送装置10から搬送された用紙Pに対して内三折り(C折り)や外三折り(Z折り)等の折り処理を施す折り装置30が設けられている。
【0011】
また、用紙処理装置3には、折り装置30の下流側に設けられ、用紙Pに穴あけや端綴じ、中綴じ等を行う第1後処理装置40が設けられている。
付言すると、折り装置30の下流側は、画像形成装置2により画像が形成された複数枚の用紙Pによりなる用紙束に対する処理を行ったり、一枚の用紙P毎に用紙Pに対する処理を行ったりする第1後処理装置40が設けられている。
【0012】
また、用紙処理装置3には、第1後処理装置40の下流側に設けられ、中折りや中綴じされた用紙束に対する処理をさらに行う第2後処理装置590が設けられている。
また、用紙処理装置3には、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)を備え、用紙処理装置3の全体を制御する情報処理装置100が設けられている。
また、用紙処理装置3には、ユーザへの情報の表示を行う情報表示部915が設けられている。情報表示部915は、いわゆるタッチパネルにより構成されている。情報表示部915は、情報の表示機能の他に、ユーザが入力する情報を受け付ける受け付け機能を有する。
【0013】
第1後処理装置40には、用紙Pに穴あけ(パンチ)を施す穿孔ユニット41、用紙束の端を綴じる端綴じ部42が設けられている。
また、端綴じ部42を経た用紙Pが積載される第1積載部43、第1後処理装置40での処理が行われない用紙Pまたは穴あけだけが施された用紙Pが積載される第2積載部45が設けられている。
さらに、第1後処理装置40には、用紙束を中折り/中綴じをして見開き状の冊子を作製する中綴じユニット44が設けられている。
【0014】
図2は、第1後処理装置40の構成を説明する図である。
第1後処理装置40には、折り装置30から搬送されてきた用紙Pを受け入れる受け入れ口49が設けられている。
受け入れ口49の直後には、穿孔ユニット41が設けられている。穿孔ユニット41は、第1後処理装置40へ搬送されてきた用紙Pに対して、2穴や4穴等の穴あけ(パンチ)を施す。
【0015】
また、この受け入れ口49から端綴じ部42にかけて設けられ、受け入れ口49にて受け入れられた用紙Pの端綴じ部42への搬送に用いられる第1用紙搬送経路R11が設けられている。
さらに、第1分岐部B1にて、第1用紙搬送経路R11から分岐し、第2積載部45への用紙Pの搬送に用いられる第2用紙搬送経路R12が設けられている。
【0016】
また、第2分岐部B2にて、第1用紙搬送経路R11から分岐し、中綴じユニット44への用紙Pの搬送に用いられる第3用紙搬送経路R13が設けられている。
また、用紙Pの搬送先を、第1用紙搬送経路R11~第3用紙搬送経路R13の何れかに切り替える切り替えゲート70が設けられている。
【0017】
端綴じ部42には、用紙Pを必要枚数だけ集積させて用紙束を生成する用紙集積部60が設けられている。
用紙集積部60には、水平方向に対して傾斜して配置され、搬送されてきた用紙Pを下方から支持する支持板67が設けられている。本実施形態では、この支持板67の上に、用紙束が生成される。
【0018】
さらに、端綴じ部42には、用紙集積部60にて生成された用紙束の端部に対して綴じ(端綴じ)を実行する綴じ処理ユニット50が設けられている。
本実施形態では、綴じ処理ユニット50として、ステープル針を用いないで綴じ処理を行う綴じ処理ユニット52が設けられている。
また、端綴じ部42には、回転駆動を行い、用紙集積部60にて生成された用紙束を第1積載部43へ送り出す搬送ロール61が設けられている。さらに、搬送ロール61から退避した位置、および、搬送ロール61に圧接する位置へ移動可能な可動ロール62が設けられている。
【0019】
ここで、端綴じ部42による処理が行われる際には、まず、受け入れ口49にて、搬送されてきた用紙Pが受け入れられる。
その後、この用紙Pは、第1用紙搬送経路R11に沿って搬送され、端綴じ部42に達する。
そして、この用紙Pは、支持板67の上方まで搬送された後に支持板67に落下する。用紙Pは、支持板67によって下方から支持されるとともに、支持板67に付与された傾斜および回転部材63によって、支持板67の上をスライド移動する。
【0020】
その後、この用紙Pは、支持板67の端部に取り付けられたエンドガイド64に突き当たる。付言すると、本実施形態では、支持板67の端部に対し、図中上方に向かって延びるエンドガイド64が設けられており、支持板67上を移動した用紙Pは、このエンドガイド64に突き当たる。
これにより、本実施形態では、用紙Pの移動が停止される。以後、用紙Pが上流側から搬送されてくる度にこの動作が行われ、支持板67上には、
図3(支持板67の状態を示した図)に示すように、複数枚の用紙Pが揃えられた用紙束Tが生成される。
【0021】
また、本実施形態では、
図2に示すように、用紙束Tの幅方向における位置を揃える用紙幅位置揃え部材65が設けられている。
本実施形態では、支持板67上に用紙Pが供給される度に、用紙Pの幅方向における端部(側部)が、用紙幅位置揃え部材65により押圧され、用紙Pの幅方向における位置が揃えられる。
【0022】
予め定められた枚数の用紙Pが支持板67上に積載され、用紙束Tが生成されると、綴じ処理手段の一例である綴じ処理ユニット52によって、用紙束Tの端部に対する綴じが実行される。
綴じ処理ユニット52は、用紙束Tを2つの綴じ歯で挟んでこの用紙束Tを構成する用紙P同士を圧着させて、綴じを実行する。
その後、本実施形態では、可動ロール62が搬送ロール61に向かって進出し、可動ロール62および搬送ロール61により用紙束Tが挟まれる。その後、搬送ロール61が回転駆動を行い、用紙束Tが第1積載部43へ搬送される。
【0023】
綴じ処理ユニット52は、
図2の紙面の奥側および手前側に向かって移動可能に設けられており、本実施形態では、複数の箇所にて、用紙Pに対する綴じ処理を行える。
ここで、端綴じ部42が設けられている部分は、用紙Pを綴じる綴じ処理装置として捉えることができる。
本実施形態では、用紙Pの端綴じが行われる際には、画像形成装置2により画像が形成された用紙Pが、この端綴じ部42へ搬送される。端綴じ部42では、画像形成装置2から搬送されてきたこの用紙Pに対する綴じ処理が行われる。
【0024】
図4(用紙集積部60を上方から見た場合の図)を参照し、さらに説明すると、本実施形態では、上記のとおり、綴じ処理ユニット52が設けられている。
さらに、本実施形態では、用紙集積部60に集積される用紙Pに含まれる水分の調整を行う水分調整手段の一例である水分調整機構700が設けられている。
【0025】
本実施形態では、端綴じ部42へ用紙Pが搬送されてくる度に、必要に応じ、水分調整機構700による水分の調整が行われる。より具体的には、本実施形態では、ユーザからの指示がある場合などに、用紙P一枚ごとに、水分調整機構700による水分の調整が行われる。
なお、これに限らず、用紙束Tとなった後に、水分調整機構700による水分の調整が行われるようにしてもよい。
【0026】
水分調整手段の一例としてのこの水分調整機構700には、水分供給部710が設けられている。
水分供給手段の一例としての水分供給部710は、綴じ処理が行われる用紙Pへの水分の供給を行う。より具体的には、水分供給部710は、用紙Pのうち、綴じ処理手段である綴じ処理ユニット52による綴じ処理が行われる箇所である綴じ処理箇所に対して、水分の供給を行う。
【0027】
水分供給部710による水分の供給態様は、公知の既存のものを用いればよく特に限定されるものではない。例えば、インクジェットのように水分を吐出して水分の供給を行う供給態様が一例にあげられる。また、水分を霧状にして、霧状の水分を、綴じ処理箇所に対して供給する供給態様も考えられる。
なお、水分の供給は、少なくとも綴じ処理箇所に対して行われればよく、綴じ処理箇所の周囲の領域への水分の供給がさらに行われてもよい。
また、用紙Pに供給される水分は、水のみに限らず、水以外の他の成分を含んだものとしてもよい。
【0028】
また、本実施形態では、水分供給部710が移動する構成となっているが、水分供給部710は、固定した状態で設けてもよい。
水分供給部710を固定した状態で設ける場合、例えば、用紙Pの綴じ位置毎に、水分供給部710を設けるようにする。
【0029】
また、綴じ処理箇所への水分の供給は、端綴じ部42(
図1参照)で行うのに限らず、画像形成装置2内にて行ってもよい。
また、その他に、綴じ処理箇所への水分の供給は、例えば、画像形成装置2から端綴じ部42へ用紙Pが搬送される過程で行ってもよい。
言い換えると、用紙Pが端綴じ部42に向かって移動する際に通る、用紙Pの搬送経路上にて、綴じ処理箇所への水分の供給が行われてもよい。
【0030】
図4に示すように、綴じ処理ユニット52、水分調整機構700は、第1後処理装置40の奥行き方向における位置が互いに異なるように配置されている。
本実施形態では、用紙P(用紙束T)の搬送方向と直交する方向である、第1後処理装置40の奥行き方向に沿って、綴じ処理ユニット52、水分調整機構700が移動する。
また、本実施形態では、1つの共通の経路に沿って、綴じ処理ユニット52、水分調整機構700が移動する。
【0031】
本実施形態では、綴じ処理ユニット52が移動可能となっており、用紙束Tの複数の箇所に対して綴じ処理を行える。
また、本実施形態では、水分調整機構700が移動可能となっており、用紙束Tの複数の箇所に対して水分の供給を行える。
【0032】
綴じ処理ユニット52は、例えば、第1後処理装置40の奥行き方向において互いに異なる箇所に位置する2点(
図4の(A)位置と(B)位置)にて停止するとともに、この2点において綴じ処理(2点端綴じ処理)を行う。
また、綴じ処理ユニット52は、例えば、用紙束Tの一方の端(用紙束Tの一方の角部)(
図4の(D)位置)にて停止するとともに、この停止位置で綴じ処理(1点端綴じ)を行う。
また、綴じ処理ユニット52は、例えば、用紙束Tの他方の端(用紙束Tの他方の角部)(
図4の(C)位置)にて停止するとともに、この停止位置で綴じ処理(1点端綴じ)を行う。
【0033】
また、水分調整機構700も、上記の2点(
図4の(A)位置と(B)位置)にて停止するとともに、この2点において、水分の供給を行う。
また、水分調整機構700は、例えば、用紙束Tの一方の端(用紙束Tの一方の角部)(
図4の(D)位置)にて停止し、この停止位置で、水分の供給を行う。
また、水分調整機構700は、例えば、用紙束Tの他方の端(用紙束Tの他方の角部)(
図4の(C)位置)にて停止し、この停止位置で、水分の供給を行う。
【0034】
本実施形態では、(A)位置と(B)位置との間では、綴じ処理ユニット52、水分調整機構700の各々は、直線的な移動を行う。
また、本実施形態では、(A)位置と(C)位置との間、および、(B)位置と(D)位置との間では、綴じ処理ユニット52、水分調整機構700の各々は、例えば45°の回転を伴いながら移動を行う。
【0035】
綴じ処理ユニット52、水分調整機構700の各々を移動させる場合、例えば、これらに、モータなどの駆動源を設けるようにする。この場合、綴じ処理ユニット52、水分調整機構700の各々は、自身で移動する。
また、綴じ処理ユニット52、水分調整機構700の各々を移動させる場合、例えば、移動可能なベルトなどに、綴じ処理ユニット52、水分調整機構700を取り付ける。そして、このベルトを移動させる。これにより、綴じ処理ユニット52、水分調整機構700は移動する。
【0036】
本実施形態では、
図4に示すように、エンドガイド64が、複数設けられている。
これらのエンドガイド64は、第1後処理装置40の奥行き方向(用紙Pの搬送方向と直交する方向)において、互いに異なる箇所に配置されている。
また、エンドガイド64の各々は、
図4に示すように、規制部641および対向片642を有する。
【0037】
規制部641は、支持板67に対して直交する関係で配置され、本実施形態では、この規制部641に用紙Pの端部が突き当たって用紙Pの移動が規制される。
対向片642は、規制部641に接続されるとともに支持板67に対向するように配置されている。
本実施形態では、支持板67上に用紙Pが載ると、対向片642と支持板67との間にこの用紙Pの端部が入り込む。さらに、この用紙Pの端部が規制部641に突き当たる。これにより、用紙Pの揃えが行われる。
【0038】
なお、
図4の(A)位置にて綴じ処理が行われるときには、
図4にて図中中央(上下方向における中央)に位置する、符号3Eで示す対向片642と、図中下方に位置する、符号3Fで示す対向片642との間に形成された間隙を通じて綴じ処理が行われる。
また、
図4の(A)位置にて、水分の供給が行われるときにも、符号3Eで示す、図中中央に位置する対向片642と、符号3Fで示す、図中下方に位置する対向片642との間に形成された間隙を通じて、水分の供給が行われる。
【0039】
また、
図4の(B)位置にて綴じ処理が行われるときには、符号3Gで示す、図中上方に位置する対向片642と、符号3Eで示す、図中中央に位置する対向片642との間に形成された間隙を通じて綴じ処理が行われる。
また、
図4の(B)位置にて、水分の供給が行われるときにも、符号3Gで示す、図中上方に位置する対向片642と、符号3Eで示す、図中中央に位置する対向片642との間に形成された間隙を通じて、水分の供給が行われる。
【0040】
なお、本実施形態では、綴じ処理ユニット52として、ステープルなどの綴じ用部材を用いない綴じ処理ユニット52を用いる場合を一例に説明するが、ステープルなどの綴じ用部材を用いる綴じ処理ユニット52を追加で設けてもよい。
綴じ用部材を用いる綴じ処理ユニット52を追加で設ける場合、例えば、ユーザからの指示に応じて、綴じに用いる綴じ処理ユニット52を切り替えるようにする。
この場合、綴じ用部材を用いない綴じ処理、綴じ用部材を用いる綴じ処理の両方を行える。
【0041】
図5は、
図4の矢印Vで示す方向から、綴じ処理ユニット52を見た場合の図である。
綴じ処理手段の一例としての綴じ処理ユニット52には、複数枚の用紙Pからなる用紙束Tの綴じ処理に用いられる第1綴じ歯71が設けられている。
また、この第1綴じ歯71の上方には、第2綴じ歯72が設けられている。
【0042】
第1綴じ歯71および第2綴じ歯72の各々には、凹凸部が設けられている。
第1綴じ歯71のうちの第2綴じ歯72側に位置する面、および、第2綴じ歯72のうちの第1綴じ歯71側に位置する面には、図中矢印4Xで示す方向に凸部と凹部とが交互に並んだ凹凸部が設けられている。
言い換えると、第1綴じ歯71のうちの第2綴じ歯72側に位置する面、および、第2綴じ歯72のうちの第1綴じ歯71側に位置する面には、凸部と凹部とが、第1綴じ歯71、第2綴じ歯72の長手方向に交互に並んだ凹凸部が設けられている。
【0043】
第1綴じ歯71および第2綴じ歯72による綴じ処理が行われる際、第2綴じ歯72が、第1綴じ歯71に向かって進出する。
より具体的には、本実施形態では、綴じ処理が行われる際には、第2綴じ歯72が、
図5の矢印4Yで示す直線状の経路に沿って下降し、第1綴じ歯71に向かって移動する。
【0044】
そして、本実施形態では、第1綴じ歯71と第2綴じ歯72との間に位置する用紙束T(不図示)が、この第1綴じ歯71と第2綴じ歯72とにより挟まれ押圧される。
このとき、本実施形態では、第1綴じ歯71に設けられた凸部と、第2綴じ歯72に設けられた凹部とが互いに対向する。また、このとき、第1綴じ歯71に設けられた凹部と、第2綴じ歯72に設けられた凸部とが互いに対向する。
また、一方の綴じ歯に設けられた凹部に、他方の綴じ歯に設けられた凸部が入り込む。
【0045】
これにより、用紙束Tを構成する用紙P同士が圧着され、用紙Pの綴じ処理が行われる。その後、本実施形態では、第2綴じ歯72が、上方へ移動し第1綴じ歯71から退避する。
なお、本実施形態では、第1綴じ歯71と第2綴じ歯72の各々にて、凸部と凹部とが交互に並ぶ場合を一例に説明したが、凸部および凹部は、他の並び方で配置してもよい。
言い換えると、
図5に示す構成は、第1綴じ歯71、第2綴じ歯72の一例であって、第1綴じ歯71、第2綴じ歯72は、
図5に示す構成に限らず、他の構成としてもよい。
【0046】
綴じ処理ユニット52には、第2綴じ歯72を第1綴じ歯71に向けて移動させる移動手段の一例としての移動機構500が設けられている。
移動機構500は、図中上下方向に沿って延びる棒状のねじ部材510を備え、不図示の駆動モータで、このねじ部材510を周方向に回転させて、第2綴じ歯72を第1綴じ歯71に向けて移動させる。
【0047】
本実施形態では、第2綴じ歯72に連動して移動する連動部分600が設けられている。本実施形態では、この連動部分600に対してねじ部材510が噛み合っている。言い換えると、連動部分600に対してねじ部材510が接続されている。
移動機構500は、連動部分600に噛み合うねじ部材510を周方向に回転させて、第2綴じ歯72を第1綴じ歯71に向けて移動させる。
より具体的には、本実施形態では、綴じ処理ユニット52に設けられた不図示の駆動モータを正転させると、ねじ部材510が周方向且つ一方向に回転する。
これにより、連動部分600および第2綴じ歯72が下降し、第2綴じ歯72が第1綴じ歯71へ移動する。これにより綴じ処理が行われる。
【0048】
綴じ処理が終了すると、駆動モータが逆転し、ねじ部材510が逆方向に回転する。
これにより、連動部分600および第2綴じ歯72が上昇する。第2綴じ歯72が上昇すると、第2綴じ歯72が第1綴じ歯71から退避する。
なお、本実施形態では、ねじ部材510を用いて、第2綴じ歯72を移動させたが、第2綴じ歯72を移動させる機構は、特に限定されず、その他に、カム機構やジャッキ機構などを用いてもよい。
また、本実施形態では、第2綴じ歯72を移動させたが、第1綴じ歯71を移動させてもよいし、第1綴じ歯71、第2綴じ歯72の両者を移動させてもよい。
【0049】
本実施形態では、
図4にて示したエンドガイド64を、綴じ処理ユニット52が通過できるように構成されている。
より具体的には、本実施形態では、第1綴じ歯71と第2綴じ歯72との最大の離間量が、エンドガイド64の高さ寸法よりも大きくなっている。これにより、本実施形態では、綴じ処理ユニット52が、エンドガイド64を通過する。
【0050】
図6は、情報処理装置100のハードウエアの構成を示した図である。
情報処理装置100には、処理部201と、情報を記憶する情報記憶装置202と、LAN(=Local Area Network)ケーブル等を介した通信を実現するネットワークインターフェース203とが設けられている。
【0051】
処理部201は、コンピュータにより構成されている。
処理部201は、各種の処理を実行するプロセッサの一例としてのCPU(=Central Processing Unit)211を有する。また、処理部201は、ソフトウエアが記憶されたROM(=Read Only Memory)212と、ワークエリアとして用いられるRAM(=Random Access Memory)213とを有する。
情報記憶装置202は、ハードディスクドライブ、半導体メモリ、磁気テープなど、既存の装置により実現される。
処理部201と、情報記憶装置202と、ネットワークインターフェース203とは、バス206や不図示の信号線を通じて接続される。
【0052】
CPU211によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で、情報処理装置100へ提供しうる。また、CPU211によって実行されるプログラムは、インターネットなどの通信手段を用いて、情報処理装置100へ提供してもよい。
【0053】
本明細書において、プロセッサとは、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
また、プロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は、本実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、変更してもよい。
【0054】
プロセッサの一例であるCPU211が実行する処理について説明する。
CPU211は、綴じ処理が行われる用紙Pに供給される水分のこの用紙Pからの揮発の量に影響を与える要因についての情報である要因情報を取得する。
そして、CPU211は、取得したこの要因情報に基づき、用紙Pに供給される水分の量についての設定を行う。
そして、CPU211は、設定したこの水分の量についての情報に基づき、水分供給部710(
図4参照)の制御を行って、設定したこの水分の量の水分が、用紙Pの綴じ箇所に対して供給されるようにする。
【0055】
〔経過時間情報による処理〕
具体的に説明すると、CPU211は、要因情報として、例えば、用紙Pに対する水分の供給からこの用紙Pに対する綴じ処理が行われるまでの経過時間についての情報である経過時間情報を用紙P毎に取得する。
そして、CPU211は、取得したこの経過時間情報に基づき、用紙Pに供給される水分の量についての設定を用紙P毎に行う。
より具体的には、CPU211は、例えば、経過時間情報により特定される時間が予め定められた時間を超える場合、この予め定められた時間を超えない場合に比べて、用紙Pに供給される水分が多くなるようにする設定を行う。
【0056】
本実施形態では、用紙束Tの生成にあたり、支持板67(
図3参照)の上に用紙Pが順に積載されるが、最初の方に積載される用紙Pについては、この用紙Pへの水分の供給から、この用紙Pが含まれたうえで生成される用紙束Tに対する綴じ処理が行われるまでの経過時間が長くなる。
言い換えると、最初の方に積載される用紙Pについては、この用紙Pへの水分の供給から、綴じ処理ユニット52によるこの用紙Pに対する綴じ処理が行われるまでの経過時間が長くなる。
この場合、最初の方に積載されるこの用紙Pについては、この用紙Pからの水分の揮発の量が大きくなり、綴じ処理が行われる際にこの用紙Pに含まれる水分の量が少なくなる。
【0057】
これに対し、最後の方に積載される用紙Pについては、この用紙Pへの水分の供給から、この用紙Pが含まれたうえで生成される用紙束Tに対する綴じ処理が行われるまでの経過時間が短くなる。
言い換えると、最後の方に積載される用紙Pについては、この用紙Pへの水分の供給から、綴じ処理ユニット52によるこの用紙Pに対する綴じ処理が行われるまでの経過時間が短くなる。
【0058】
この場合、最後の方に積載されるこの用紙Pについては、この用紙Pからの水分の揮発の量が少なくなり、綴じ処理が行われる際にこの用紙Pに含まれる水分の量が多くなる。
本実施形態では、最後の方に積載される用紙Pに対しては、綴じ処理が行われる直前に水分の供給が行われ、綴じ処理が行われる際、この用紙Pに含まれる水分の量は多くなる。
【0059】
このように、用紙Pに含まれる水分の量が用紙P毎に異なる場合、1つの用紙束Tにおいて、用紙Pに含まれる水分の量にばらつきが生じることになる。この場合、綴じの強度が、想定している強度にならないなどの不具合が生じるおそれがある。
このため、本実施形態では、上記の通り、経過時間情報により特定される時間が予め定められた時間を超え、綴じ処理が行われるまでの経過時間が長い用紙Pについては、この予め定められた時間を超えない場合に比べて、用紙Pに供給される水分が多くなるようにする設定を行う。
【0060】
一方、経過時間情報により特定される時間が予め定められた時間を超えず、綴じ処理が行われるまでの時間が短い用紙Pについては、この予め定められた時間を超える場合に比べて、用紙Pに供給される水分が少なくなるようにする設定を行う。
以上の処理を行うと、水分供給部710が各用紙Pに供給する水分の量が、用紙P毎に大きく異なる事態が生じにくくなり、用紙Pに含まれる水分の量のばらつきが小さくなる。
また、以上の処理を行う場合、用紙Pの各々に、同じ量の水分を一律に供給する場合に比べ、使用する水の総量の低減を図れる。
【0061】
ここで、CPU211は、上記の経過時間情報の取得にあたっては、例えば、支持板67(
図3参照)上に用紙Pが順に積載されて用紙束Tが生成される際の用紙Pの積載順に基づき、用紙Pの各々についての経過時間情報を取得する。
具体的には、例えば、CPU211は、積載順と経過時間情報との関係を予め記した、
図7に示す関係テーブル(以下、「第1関係テーブル」と称する)を参照し、用紙Pの積載順に基づき、各用紙Pについての経過時間情報を取得する。
本実施形態では、
図7(A)~(X)に示すように、用紙束Tを構成する用紙Pの枚数毎に、第1関係テーブルが用意されており、CPU211は、用紙束Tを構成する用紙Pの枚数に対応した第1関係テーブルを参照して、用紙Pの積載順に基づき、各用紙Pについての経過時間情報を取得する。
【0062】
この処理を行う場合は、予め、積載順と経過時間情報との関係を予め記した第1関係テーブルを、情報記憶装置202(
図6参照)に登録しておく。
CPU211は、この第1関係テーブルを参照し、用紙束Tを構成する用紙Pの枚数についての情報、用紙Pの積載順についての情報を基に、各用紙Pについての経過時間情報を取得する。
本実施形態では、印刷ジョブについての情報であるジョブ情報に、用紙束Tを構成する用紙Pの枚数についての情報、用紙Pの積載順についての情報が含まれており、CPU211は、ジョブ情報と、第1関係テーブルに登録されている情報とを基に、用紙Pの各々について、経過時間情報を取得する。
【0063】
第1関係テーブルでは、用紙Pの積載順が早いほど、経過時間情報が長くなるように、経過時間情報が登録されている。
このため、CPU211は、積載順が早い用紙Pについての経過時間情報を取得する場合、積載順が遅い用紙Pについての経過時間情報に比べて、時間が長いことを示す経過時間情報を取得する。
また、CPU211は、積載順が遅い用紙Pについての経過時間情報を取得する場合、積載順が早い用紙Pについての経過時間情報に比べて、時間が短いことを示す経過時間情報を取得する。
【0064】
次いで、CPU211は、経過時間情報と水分の量との関係を予め記した、
図8に示す関係テーブル(以下、「第2関係テーブル」と称する)を参照し、各用紙Pについて、取得した上記の経過時間情報を基に、供給する水分の量についての情報を取得する。
経過時間情報と水分の量との関係を記した第2関係テーブルでは、経過時間が長いほど、供給される水分の量が多くなるように、水分の量についての情報が登録されている。
【0065】
本実施形態では、CPU211は、取得した経過時間情報が長い場合、経過時間情報が短い場合に比べて、水分の量が多いことを示す、水分の量についての情報を取得する。
また、CPU211は、取得した経過時間情報が短い場合、経過時間情報が長い場合に比べ、水分の量が少ないことを示す、水分の量についての情報を取得する。
【0066】
第2関係テーブルでは、実質的に、経過時間についての閾値が設定されていることになる。
本実施形態では、CPU211は、経過時間情報により特定される経過時間が、特定の閾値を超えている場合、この特定の閾値を超えない場合に比べ、水分の量が多いことを示す、水分の量についての情報を取得する。
また、CPU211は、経過時間情報が、特定の閾値を超えていない場合、この特定の閾値を超えている場合に比べ、水分の量が少ないことを示す、水分の量についての情報を取得する。
【0067】
次いで、CPU211は、取得した、この水分の量についての情報に基づき、用紙Pに供給される水分の量についての設定を行う。
具体的には、この場合、CPU211は、この水分の量についての情報により特定される水分の量を、用紙Pに供給される水分の量として設定する。
そして、CPU211は、設定したこの水分の量についての情報に基づき、水分供給部710(
図4参照)の制御を行って、設定したこの水分の量の水分が、用紙Pの綴じ箇所に対して供給されるようにする。
【0068】
CPU211は、水分供給部710の制御を行って、設定したこの水分の量の水分が供給されるようにするにあたり、例えば、この水分供給部710の出力を変更して、設定したこの水分の量の水分が供給されるようにする。
また、その他に、CPU211は、例えば、水分供給部710を作動させる時間を変更して、設定した水分の量の水分が供給されるようにする。
【0069】
他の処理を説明する。
他の処理として、CPU211は、要因情報として、用紙Pの積載順についての情報である積載順情報を取得してもよい。
そして、CPU211は、取得したこの積載順情報に基づき、用紙Pの各々に供給される水分の量についての情報を取得し、この水分の量についての情報に基づき、用紙Pの各々に供給される水分の量についての設定を行う。
上記では、積載順情報を基に得た経過時間情報に基づき、用紙Pの各々に供給される水分の量についての情報を取得した。ところで、経過時間情報に基づかずに、積載順情報から、直接、用紙Pの各々に供給される水分の量についての情報を取得してもよい。
【0070】
この処理例では、CPU211は、綴じ処理が行われる際における用紙Pの積載順についての情報である積載順情報に基づき、用紙Pの各々に供給される水分の量についての設定を行う。
具体的には、この処理を行う場合は、予め、積載順情報と、供給する水分の量との関係を予め記した関係テーブル(以下、「第3関係テーブル」と称する)を、情報記憶装置202に登録しておく。
具体的には、例えば、
図9(A)~(X)に示すように、用紙束Tを構成する用紙Pの枚数毎に、第3関係テーブルを用意し、これらの第3関係テーブルを、情報記憶装置202に登録しておく。
【0071】
そして、CPU211は、用紙束Tを構成する用紙Pの枚数についての情報と、積載順情報と、情報記憶装置202に登録されている第3関係テーブルに登録されている情報とに基づき、用紙Pの各々に供給される水分の量についての設定を行う。
本実施形態では、ジョブ情報に、用紙束Tを構成する用紙Pの枚数についての情報と、用紙Pの積載順についての情報とが含まれており、CPU211は、ジョブ情報と、第3関係テーブルに登録されている情報とを基に、各用紙Pの各々について、用紙Pに供給される水分の量についての設定を行う。
【0072】
第3関係テーブルでは、積載順情報により特定される積載順が早いほど、供給される水分が多くなるようになる設定が行われている。
このため、本実施形態では、CPU211は、積載順情報により特定される積載順が早い用紙Pについては、積載順が遅い用紙Pに比べて、供給される水分が多くなる設定を行う。
具体的には、CPU211は、第3関係テーブルを参照し、積載順情報により特定される積載順が早い用紙Pについては、水分の量が多いことを示す、水分の量についての情報を取得する。そして、CPU211は、この水分の量についての情報により特定される水分の量を、用紙Pに供給される水分の量として設定する。
【0073】
一方、CPU211は、積載順情報により特定される積載順が遅い用紙Pについては、積載順が早い用紙Pに比べて、供給される水分が少なくなる設定を行う。
具体的には、CPU211は、第3関係テーブルを参照し、積載順情報により特定される積載順が遅い用紙Pについては、水分の量が少ないことを示す、水分の量についての情報を取得する。そして、CPU211は、この水分の量についての情報により特定される水分の量を、用紙Pに供給される水分の量として設定する。
【0074】
この処理でも、実質的に閾値が設定されていることになり、CPU211は、積載順情報により特定される積載順が予め定められた閾値よりも小さい用紙Pについては、積載順がこの予め定められた閾値よりも大きい用紙Pに比べ、供給される水分が多くなる設定を行う。
また、CPU211は、積載順情報により特定される積載順が予め定められた閾値よりも大きい用紙Pについては、積載順がこの予め定められた閾値よりも小さい用紙Pに比べ、供給される水分が少なくなる設定を行う。
【0075】
なお、用紙束Tを構成する用紙Pの枚数が、予め定められた閾値よりも小さい場合や、用紙束Tの生成に要する時間が、予め定められた時間よりも短い場合など、予め定められた条件を満たす場合、用紙Pの各々に供給される水分の量の変更を行わずに、予め定められた一定の量の水分が、用紙Pの各々に供給されるようにしてもよい。
言い換えると、予め定められた条件を満たす場合、上記の経過時間情報に基づく水分の量の設定や、上記の積載順情報に基づく水分の量の設定を行わずに、予め定められた一定の量の水分が、用紙Pの各々に供給されるようにしてもよい。
【0076】
用紙束Tを構成する用紙Pの枚数が、予め定められた閾値よりも小さい場合や、用紙束Tの生成に要する時間が、予め定められた時間よりも短い場合など、予め定められた条件を満たす場合を想定する。
この場合、最初の方に積載される用紙Pへの水分の供給からこの用紙Pに対する綴じ処理が行われるまでの経過時間と、最後の方に積載される用紙Pへの水分の供給からこの用紙Pに対する綴じ処理が行われるまでの経過時間との差が小さくなる。
この場合、予め定められた一定の量の水分が、用紙Pの各々に供給されるようにしても、綴じ処理が実行される際に用紙Pの各々に含まれる水分のばらつきの程度は小さくなる。この場合、用紙Pに含まれる水分がばらつくことによる不具合は生じにくくなる。
【0077】
また、CPU211は、経過時間情報や、積載順情報に基づき、用紙Pの各々に供給される水分の量の設定を行うにあたり、綴じ処理が行われる際に用紙Pの各々に含まれる水分の量が、特定の範囲内に収まるように、用紙Pの各々に供給される水分の量の設定を行うことが好ましい。
言い換えると、CPU211は、経過時間情報や、積載順情報に基づき、用紙Pの各々に供給される水分の量の設定を行うにあたり、綴じ処理が行われる際に用紙Pの各々に含まれる水分の量が揃うように、用紙Pの各々に供給される水分の量の設定を行うことが好ましい。
【0078】
また、CPU211は、上記の特定の範囲を変更し、綴じ処理が行われる際に用紙Pの各々に含まれる水分の量が、他の量に変更されるようにしてもよい。
具体的には、CPU211は、例えば、ユーザにより入力された、水分の量についての情報を基に、上記の特定の範囲を変更し、綴じ処理が行われる際に用紙Pの各々に含まれる水分の量が、他の値の量となるようにしてもよい。
【0079】
例えば、ユーザによっては、用紙P間の結合力を高めたりしたい場合があり、ユーザが、水分の量を増す設定を行うことが想定される。
この場合、CPU211は、上記の特定の範囲により特定される値がより大きくなるように特定の範囲の変更を行う。これにより、綴じ処理が行われる際に用紙Pの各々に含まれる水分の量が増加し、用紙P間の結合力を高められるようになる。
【0080】
また、例えば、ユーザによっては、用紙P間の結合力を低め用紙P同士が仮止めされた形としたい場合があり、ユーザが、水分の量を減らす設定を行うことが想定される。
この場合、CPU211は、上記の特定の範囲により特定される値がより小さくなるように特定の範囲の変更を行う。これにより、綴じ処理が行われる際に用紙Pの各々に含まれる水分の量が減少し、用紙P間の結合力が小さくなる。
【0081】
〔雰囲気情報による処理〕
他の処理例をさらに説明する。
CPU211は、要因情報として、用紙Pの綴じ処理が行われる箇所の雰囲気についての情報である雰囲気情報を取得してもよい。
具体的には、CPU211は、雰囲気情報として、例えば、支持板67(
図2参照)が設置されている箇所における気温や湿度などの情報を取得する。
具体的には、この場合、第1後処理装置40(
図2参照)の内部に、温度センサや湿度センサなどを設置し、CPU211は、これらのセンサからの出力を基に、支持板67が設置されている箇所における気温や湿度などの情報を取得する。
【0082】
そして、CPU211は、取得したこの雰囲気情報に基づき、用紙Pに供給される水分の量についての設定を行う。
具体的には、CPU211は、取得したこの雰囲気情報が、用紙Pからの水分の揮発の量が多くなることを示す情報である場合、用紙Pに供給される水分の量が多くなるようにする設定を行う。
また、CPU211は、取得したこの雰囲気情報が、用紙Pからの水分の揮発の量が少なくなることを示す情報である場合、用紙Pに供給される水分の量が少なくなる設定を行う。
【0083】
より具体的には、CPU211は、取得した雰囲気情報が気温情報である場合、この気温情報により特定される気温が予め定められた閾値よりも大きい場合、閾値より小さい場合に比べ、用紙Pに供給される水分の量が多くなるようにする設定を行う。
また、CPU211は、気温情報により特定される気温が予め定められた閾値よりも小さい場合、閾値よりも大きい場合に比べ、用紙Pに供給される水分の量が少なくなる設定を行う。
【0084】
また、CPU211は、取得した雰囲気情報が湿度情報である場合において、この湿度情報により特定される湿度が予め定められた閾値よりも大きい場合、閾値よりも小さい場合に比べ、用紙Pに供給される水分の量が少なくなる設定を行う。
また、CPU211は、湿度情報により特定される湿度が予め定められた閾値よりも小さい場合、閾値よりも大きい場合に比べ、用紙Pに供給される水分の量が多くなる設定を行う。
【0085】
〔用紙の種別情報による処理〕
他の処理例をさらに説明する。
CPU211は、要因情報として、綴じ処理が行われる用紙Pの種別についての情報である種別情報を取得してもよい。そして、この場合、CPU211は、取得したこの種別情報に基づき、用紙Pに供給される水分の量についての設定を行う。
【0086】
具体的には、CPU211は、取得した種別情報により特定される用紙Pの種別が、水分が保持されにくく用紙Pからの水分の揮発の量が大きくなる種別である場合、用紙Pに供給される水分の量が多くなるようにする設定を行う。
また、CPU211は、取得した種別情報により特定される用紙Pの種別が、水分が保持されやすく用紙Pからの水分の揮発の量が少なくなる種別である場合、用紙Pに供給される水分の量が少なくなるようにする設定を行う。
【0087】
より具体的には、この処理を行う場合、予め、用紙Pの種別と、水分の量との関係を記した関係テーブル(不図示)(以下、「第4関係テーブル」と称する)を、情報記憶装置202に格納しておく。
CPU211は、ジョブ情報を基に、用紙束Tを構成する用紙Pの各々について、用紙Pの種別についての情報である用紙種別情報を取得する。なお、この用紙種別情報には、用紙Pの厚さについての情報も含まれる。
【0088】
次いで、CPU211は、取得したこの用紙種別情報と、第4関係テーブルに登録されている情報とを基に、用紙P毎に、水分の量についての情報を取得する。
そして、CPU211は、取得したこの水分の量について情報により特定される水分の量を、用紙Pに供給される水分の量として設定する。CPU211は、この設定を用紙P毎に行う。
この処理により、水分の揮発が生じやすい用紙Pに対しては、より多くの水分が供給されるようになり、水分の揮発が生じにくい用紙Pに対しては、より少ない水分が供給される。
【0089】
〔水分種別情報による処理〕
他の処理例をさらに説明する。
CPU211は、要因情報として、綴じ処理が行われる用紙Pに供給される水分の種別についての情報である水分種別情報を取得してもよい。
この場合、CPU211は、取得したこの水分種別情報に基づき、用紙Pに供給される水分の量についての設定を行う。
具体的には、この処理を行う場合は、予め、水分の種別と、水分の量との関係を記した関係テーブル(以下、「第5関係テーブル」と称する)(不図示)を、情報記憶装置202に格納しておく。
【0090】
CPU211は、水分の量の設定にあたっては、まず、使用する水分の種別についての情報である水分種別情報を取得する。
具体的には、CPU211は、例えば、情報表示部915(
図2参照)を介してユーザが入力した水分の種別についての情報や、ジョブ情報に含まれる水分の種別についての情報を得て、使用する水分の種別についての情報である水分種別情報を取得する。
【0091】
ここで、水分供給部710(
図4参照)が複数設けられるとともに、この複数の水分供給部710に、互いに異なる種別の水分が収容され、さらに、使用する水分供給部710を切り替える態様を想定する。
また、例えば、1つの水分供給部710に収容される水分が、他の種別の水分とされたうえで、この他の種別の水分が、用紙Pへ供給される態様を想定する。
これらの態様が採用される場合、本実施形態では、水分種別情報を取得して、用紙Pに実際に供給される水分の種別についての情報である水分種別情報を取得する。
【0092】
そして、CPU211は、取得したこの水分種別情報と、第5関係テーブルに格納されている情報とを基に、水分の量についての情報を取得する。
そして、CPU211は、取得したこの水分の量について情報により特定される水分の量を、用紙Pに供給される水分の量として設定する。
この処理を行う場合、例えば、用紙Pに供給される水分の種別が、揮発しやすい種別である場合に、用紙Pに供給される水分の量が多くなるようにする設定が行われる。
また、この処理を行う場合、用紙Pに供給される水分の種別が、揮発しにくい種別である場合、用紙Pに供給される水分の量が少なくなるようにする設定が行われる。
【0093】
〔処理の組み合わせ〕
なお、上記では処理の各々が、それぞれ単独で実行される場合を説明したが、2以上の処理を組み合わせて実行してもよい。
具体的には、例えば、経過時間情報に基づき水分の量についての設定を行う上記の処理や、積載順情報に基づき水分の量についての設定を行う上記の処理と、用紙種別情報に基づき水分の量についての設定を行う上記の処理との両方の処理が行われるようにしてもよい。
また、例えば、経過時間情報に基づき水分の量についての設定を行う上記の処理や、積載順情報に基づき水分の量についての設定を行う上記の処理と、水分種別情報に基づき水分の量についての設定を行う上記の処理との両方の処理が行われるようにしてもよい。
【0094】
また、例えば、経過時間情報に基づき水分の量についての設定を行う上記の処理や、積載順情報に基づき水分の量についての設定を行う上記の処理と、用紙種別情報に基づき水分の量についての設定を行う上記の処理と、水分種別情報に基づき水分の量についての設定を行う上記の処理との3つの処理が行われるようにしてもよい。
また、例えば、用紙種別情報に基づき水分の量についての設定を行う上記の処理と、水分種別情報に基づき水分の量についての設定を行う上記の処理との両方の処理が行われるようにしてもよい。
【0095】
〔水分量の補正〕
また、その他に、用紙Pの温度も考慮して、用紙Pに供給される水分の補正を行うようにしてもよい。
ここで、例えば、本実施形態の画像形成システム1(
図1参照)の電源が投入された直後は、定着器14の温度が次第に上昇することになる。
この場合、時間の経過に応じて、支持板67(
図3参照)に積載される用紙Pの温度が上昇し、時間の経過に応じて、用紙Pからの水分の揮発の量が大きくなる。
【0096】
このため、画像形成システム1の電源が投入された直後など、予め定められた条件を満たす場合には、設定される水分の量を補正することが好ましい。
具体的には、例えば、時間の経過に応じて、補正量を多くして、時間の経過に応じて、より多くの水分が供給されるようにすることが好ましい。
これによって、用紙Pの温度が上昇することによって生じうる、水分の不足を抑えられる。
【0097】
〔第1後処理装置の他の構成例〕
図10は、第1後処理装置40の他の構成例を示した図である。
この構成例でも、上記と同様、第2用紙搬送経路R12、第3用紙搬送経路R13が設けられている。
第2用紙搬送経路R12は、第1分岐部B1にて第1用紙搬送経路R11から分岐し、図中上方に向かって延びている。第3用紙搬送経路R13は、第2分岐部B2にて第1用紙搬送経路R11から分岐し、図中下方に向かって延びている。
【0098】
さらに、この構成例では、第1分岐部B1に、用紙Pの搬送先を切り替える第1切り替えゲート78が設けられている。また、第2分岐部B2に、用紙Pの搬送先を切り替える第2切り替えゲート79が設けられている。
さらに、この他の構成例では、第2用紙搬送経路R12の上方に、用紙Pへの水分の供給を行う水分供給部710が設けられている。
【0099】
本実施形態では、綴じの対象となる用紙Pは、第1用紙搬送経路R11に設けられた複数の搬送ロール77によって、第1切り替えゲート78を通過する箇所まで搬送される。
次いで、本実施形態では、第1切り替えゲート78が作動して、この第1切り替えゲート78が第1用紙搬送経路R11上に突出する。さらに、この構成例では、搬送ロール77の逆転が行われる。
【0100】
これにより、用紙Pは、第2用紙搬送経路R12を通って、水分供給手段の一例としての水分供給部710に達し、この水分供給部710にて、用紙Pに対する水分の供給が行われる。
具体的には、この場合、上記と同様、用紙Pのうちの綴じ処理が行われる箇所に対する水分の供給が行われる。
【0101】
その後、この構成例では、搬送ロール77の逆転が行われ、用紙Pが支持板67に向けて搬送される。本実施形態では、この処理が、用紙束Tを構成する複数の用紙Pの各々について行われる。
これにより、この場合も、上記と同様、水分の供給が行われた複数の用紙Pが支持板67上に積載されて用紙束Tが生成され、そして、この用紙束Tに対する綴じ処理が行われる。
【0102】
図10に示すこの構成例では、第2用紙搬送経路R12を通って移動した用紙Pが水分供給部710に達することで、この用紙Pへの水分の供給が行われる。
さらに、この構成例では、この水分供給部710により用紙Pに供給された水分の一部をこの用紙Pから除去する水分除去手段の一例としての水分除去部720が設けられている。
【0103】
水分供給部710、水分除去部720は、いずれも、用紙Pの搬送方向において、綴じ処理が行われる箇所である、綴じ処理ユニット52の設置箇所よりも上流側に配置されている。
水分供給部710は、用紙Pに対する綴じ処理が行われる前に用紙Pへの水分の供給を行う。また、水分除去部720も、用紙Pに対する綴じ処理が行われる前に、水分供給部710により用紙Pに供給された水分の一部をこの用紙Pから除去する。
この構成例でも、用紙P一枚毎に、用紙Pへの水分の供給が行われ、また、用紙P一枚毎に、供給された水分の一部の除去が行われる。
【0104】
水分除去部720は、用紙Pに含浸しておらず用紙Pの表面に付着している水分、および、用紙Pに既に浸透している水分の一部を除去する。
水分供給部710によって用紙Pに対して水分が供給されると、水分が用紙Pに浸透する。水分除去部720は、用紙Pに未だ含浸しておらず用紙Pの表面に付着している水分、および、用紙Pに既に浸透している水分の一部を除去する。
水分を除去することで、必要以上の水分が用紙Pに供給されることが抑制される。また、水分を除去すると、用紙Pの載っている余分な水分が飛び散って機内に付着するなどの事態が生じにくくなる。
【0105】
この構成例における水分除去部720は、互いに接触する一対の部材721を備える。
本実施形態では、この一対の部材721の間を、図中下方に向かって移動する用紙Pが通過することで、水分供給部710によってこの用紙Pに供給された水分の一部が除去される。
部材721の各々は、円筒状に形成され、また、回転可能となっている。
また、部材721の各々は、円柱状に形成され回転する金属ロール721Aと、この金属ロール721Aの表面側に設けられた円筒状の弾性層721Bとより構成されている。この弾性層721Bは、例えば、ゴムにより構成される。
本実施形態では、一対の部材721のうちの一方の部材721が、駆動源であるモータ(不図示)からの駆動力を受けて回転し、他方の部材721が、この一方の部材721からの駆動力を受けて回転する。
【0106】
ここで、
図7の矢印7Aで示す方向は、この一対の部材721を通過する用紙Pの移動方向となっている。本実施形態では、部材721の各々は、この移動方向と交差する方向に沿って延びる回転軸を中心に回転可能となっている。
より具体的には、部材721の各々は、この移動方向と直交する方向に沿って延びる回転軸を中心に回転可能となっている。
【0107】
本実施形態では、回転可能なこの部材721を、図中下方に向かって移動する用紙Pが通過する際に、用紙Pの表面に付着している水分の移動がこの部材721により規制されて、用紙Pからのこの水分の除去が行われる。
また、本実施形態では、回転可能なこの部材721を、図中下方に向かって移動する用紙Pが通過する際に、用紙Pが圧縮されて、この圧縮により、用紙Pからの水分の排出が行われる。そして、排出された水分の移動が、部材721により規制されて、用紙Pからのこの水分の除去が行われる。
【0108】
〔用紙Pの動きの説明〕
図11(A)~(B)は、水分供給部710、水分除去部720の設置箇所における用紙Pの動きを示した図である。
水分供給部710、水分除去部720への用紙Pの搬送にあたっては、まず、
図11(A)の矢印11Aで示す方向へ用紙Pが搬送され、これにより、
図11(B)に示すように、この一対の部材721を、用紙Pの少なくとも一部が通過する。
具体的には、この例では、綴じ処理が行われる部分である、用紙Pの搬送方向における先端部P1が、この一対の部材721を通過する。
【0109】
本実施形態では、一対の部材721を用紙Pが通過する際の通過方向において、この一対の部材721よりも下流側に、
図11(B)に示すように、水分を貯める水分貯め部730が設けられている。
具体的には、この構成例では、一対の部材721の上方に位置するくさび状領域であって、この一対の部材721から用紙Pが出る際の出口部に位置するこのくさび状の領域に水分が貯められ、このくさび状の領域が、水分貯め部730となっている。
【0110】
本実施形態では、用紙Pの少なくとも一部が一対の部材721を通過することで、水分貯め部730に用紙Pの一部が達し、水分貯め部730の水分が、用紙Pのこの一部に対して供給される。
なお、用紙Pの一部が、水分貯め部730に止まっている時間を変更してもよく、用紙Pの一部が水分貯め部730に止まっている時間を変更すると、用紙Pの供給される水分が増減する。
【0111】
例えば、上記と同様、綴じ処理が行われる用紙Pに供給される水分のこの用紙Pからの揮発の量に影響を与える要因についての情報である要因情報を取得し、取得したこの要因情報に基づき、用紙Pの一部が水分貯め部730に止まっている時間の設定を行ってもよい。これにより、用紙Pに供給される水分が増減する。
なお、図示は省略するが、本実施形態では、水分貯め部730に対して、新たな水分を供給する供給機構が設けられている。水分貯め部730の水分が少なくなると、供給機構によって、水分貯め部730に対して新たな水分が供給される。
【0112】
図11(B)の状態の後、本実施形態では、一対の部材721の逆転が行われ、この一対の部材721を通過した用紙Pが反対方向へ移動する。
このとき、用紙Pのうちの水分が供給された箇所に対し、一対の部材721からの圧力が加わり、この圧力が加わらない場合に比べ、用紙Pへの水分の浸透の度合いが増す。
また、用紙Pの表面に付着している水分の移動がこの回転部材721により規制されて、用紙Pからのこの水分の除去が行われる。
また、用紙Pが圧縮されて、この圧縮により、用紙Pから、余分な水分の排出が行われる。そして、排出された水分の移動が、回転部材721により規制されて、用紙Pからのこの水分の除去が行われる。
【0113】
本実施形態のように、用紙Pの一部に水が供給される場合、用紙Pの全体に水分が供給されることに起因する用紙Pの質の低下が抑制される。
ここで、用紙Pへの水分の供給の手法としては、その他に、用紙Pの全ての部分を、外周面が濡れた状態にある回転部材(不図示)の間を通過させる手法も考えられる。
ところで、この場合、用紙Pの全体に水分が供給されることになり、用紙Pの全体に水分が供給されることに起因する用紙Pの質の低下を招きやすい。また、この場合、水分の消費量が増大する。
これに対し、本実施形態では、用紙Pの一部に水が供給され、用紙Pの全体に水分が供給されることに起因する用紙Pの質の低下が抑制され、また、水分の消費量も少なくなる。
【0114】
ここで、用紙Pへの水分の浸透の度合いを高める手法としては、その他に、例えば、界面活性剤を水分に加えるなど、水分の改質を行う手法も考えられる。ところで、この場合、改質のための材料が必要となったり、作業者の作業負担が大きくなったりする。
また、インクジェットヘッドなどを用いて水分を用紙Pに供給する態様も考えられるが、この場合も、界面活性剤などを水分に加えて表面張力を低下させる必要があり、この場合も、改質のための材料が必要となったり、作業者の作業負担が大きくなったりする。また、コストが増加したり、制御系が複雑化したりする。
これに対し、本実施形態のように、用紙Pに対して圧力を加えて、用紙Pへの水分の浸透の度合いを高める場合は、改質のための材料が不要となり、また、作業者の作業負担の増大を抑えられる。
【0115】
図11にて示す本実施形態の構成では、一対の部材721を用紙Pが最初に通過する際、用紙Pは下方から上方に向かって移動する。本実施形態では、上記の通り、一対の部材721の上方に、水分貯め部730が設けられており、用紙Pが下方から上方に向かって移動することで、用紙Pの一部がこの水分貯め部730に達する。
その後、本実施形態では、一対の部材721の逆転が行われて、用紙Pのこの一部が、一対の部材721を通過する。この際、用紙Pに供給された水分の一部の移動が、この一対の部材721により規制され、水分の一部が、この一対の部材721によって除去される。
【0116】
ここで、単に、用紙Pに水分を供給しただけでは、用紙Pに水分が浸透していない状態で綴じ処理が行われるなどの不具合が生じるおそれがある。
これに対し、本実施形態の構成では、用紙Pに対して圧力が加わり、用紙Pへの水分の浸透の度合いが高められる。さらに、本実施形態では、余分な水分については、一対の部材721によって除去される。
【0117】
なお、水分供給部710、水分除去部720の設置態様は、
図11に示す設置態様に限られない。
図12(水分供給部、水分除去部の他の構成例を示した図)に示すように、用紙Pが横方向に沿って移動するように、上下方向に並べられた一対の部材721を設けるようにし、さらに、この一対の部材721の横に、水分貯め部730を設けてもよい。
この構成例では、一対の部材721の図中左側に、水分を含侵した2つの含侵体731が設けられており、この2つの含侵体731の設置箇所が、水分貯め部730となっている。
この構成例では、一対の回転部材721を通過した用紙Pが、この2つの含侵体731の間に入ることで、この2つの含侵体731に接触し、この用紙Pへの水分の供給が行わる。
そして、この構成例では、2つの含侵体731に用紙Pが接触した後、この用紙Pは、上記と同様、反対方向へ移動する。これにより、水分除去部720によって、用紙Pに供給された水分の一部が除去される。
【0118】
なお、
図11(A)に示すように、一対の部材721のうちの少なくとも一方の部材721を他方の部材721に対して進退させる進退手段の一例としての進退機構739を設けるようにしてもよい。
この場合、用紙Pへの水分の浸透の度合いの調整を行える。
一方の部材721を他方の部材721に接近させることで、用紙Pへの水分の浸透の度合いが大きくなる。また、一方の部材721を他方の部材721から離れる方向へ移動させ、一方の部材721と他方の部材721との接触圧を低下させることで、用紙Pへの水分の浸透の度合いが小さくなる。
【0119】
ここで、例えば、単位時間当たりの用紙Pの処理枚数が多く、一対の部材721を用紙Pが通過する際の通過速度が大きい場合、用紙Pへの水分の浸透の度合いが低下するおそれがある。この場合に、一方の部材721を他方の部材721に接近させると、用紙Pへの水分の浸透の度合いが高まるようになる。
具体的には、本実施形態では、一対の部材721を用紙Pが通過する際の通過速度が予め定められた閾値よりも大きい場合、予め定められた閾値よりも大きくない場合に比べ、一方の部材721および他方の部材721のうちの少なくとも一方を、他方に対して接近させる。これにより、用紙Pへの水分の浸透の度合いが高まる。
【0120】
また、用紙Pを、一対の部材721の間を通過させる構成では、用紙Pの搬送速度を変更して、この用紙Pへの水分の浸透の度合いを変化させるようにしてもよい。
この場合、用紙Pへの水分の浸透の度合いを高める際には、一対の部材721の間を用紙Pが通過する際の用紙Pの搬送速度を低下させる。
また、用紙Pへの水分の浸透の度合いを低下させる際には、一対の部材721の間を用紙Pが通過する際の用紙Pの搬送速度を増加させる。
【0121】
〔他の構成例〕
他の構成例をさらに説明する。
その他に、水分除去部720が、用紙Pの表面に接触しながらこの表面に沿ってこの表面に対する相対移動を行って、用紙Pに付着している水分の除去が行われるようにしてもよい。
具体的には、例えば、
図13(水分除去部の他の構成例を示した図)に示すように、水分除去部720として機能する移動部材721が、用紙Pの表面に沿って移動して、この表面に載っている水分の除去が行われるようにしてもよい。
なお、ここでは、用紙Pに対する水分除去部720の相対移動として、水分除去部720側が移動する場合を説明したが、用紙P側が移動するようにしてもよい。また、水分除去部720および用紙Pの両者が移動するようにしてもよい。
【0122】
〔他の構成例〕
他の構成例をさらに説明する。
その他に、水分除去部720を、水分を吸収する吸収体により構成し、この吸収体を用いて用紙Pに供給された水分の一部を除去するようにしてもよい。
具体的には、例えば、
図14(水分除去部の他の構成例を示した図)に示すように、水分除去部720を、スポンジなどの多孔質材料により構成し、この水分除去部720を用紙Pに接触させて、用紙Pに供給された水分の一部を除去するようにしてもよい。
この場合、用紙Pの内部に既に浸透している水分が吸い出されて除去されたり、用紙Pの表面に載っている水分が吸われて除去されたりする。
【0123】
〔他の構成例〕
他の構成例をさらに説明する。
また、水分除去部720は、
図15(水分除去部の他の構成例を示した図)に示すように、用紙Pに対し、圧縮空気などの気体を吹き付けて、用紙Pに供給された水分の一部を除去するようにしてもよい。
この構成例では、用紙Pに対して気体が吹き付けられ、この気体によって、用紙Pの表面に載っている水分が、用紙P以外の箇所へ移動する。これにより、用紙Pに供給された水分の一部が除去される。
【0124】
〔他の構成例〕
上記では、用紙Pへの水分の浸透の度合いを高めるにあたり、用紙Pに対して圧力を加える構成を一例に説明した。
ところで、用紙Pへの水分の浸透の度合いを高める場合、他の構成によって実現してもよく、例えば、用紙Pのうちの綴じが行われる箇所に対して、複数の針を突き刺したうえで、この綴じが行われる箇所に対して、水分を供給するようにしてもよい。これによっても、用紙Pへの水分の浸透の度合いを高められる。
【0125】
また、上記では、互いに接触する一対の部材721の間を用紙Pが通過する構成を説明したが、互いに接触するこの一対の部材721を用い、用紙Pのうちの綴じが行われる箇所のみに対して水分が供給されるようにしてもよい。
図16は、互いに接触する一対の部材721を用い、綴じが行われる箇所のみに対して水分を供給する構成例を示した図である。
この構成例では、一対の部材721の各々の部材721の外周面に、凸部721Xが設けられている。さらに、この凸部721Xの表面に対して、水分を供給する供給ロール(不図示)が設けられている。
【0126】
この構成例では、水分収容部(不図示)内の水分が、供給ロールの外周面に付着し、この外周面に付着した水分が、一対の供給ロール721の各々に設けられた凸部721Xに付着する。そして、この凸部721Xに付着している水分が、用紙Pのうちの綴じが行われる箇所に対して付着する。
用紙Pへの水分の供給にあたっては、
図16に示すこの構成例のように、綴じが行われる箇所のみに対して水分が供給される構成としてもよい。
【0127】
(付記)
(((1)))
プロセッサを備える情報処理装置であり、
前記プロセッサは、
綴じ処理が行われる記録媒体に供給される水分の当該記録媒体からの揮発の量に影響を与える要因についての情報である要因情報を取得し、
前記要因情報に基づき、前記記録媒体に供給される水分の量についての設定を行う、
情報処理装置。
(((2)))
前記プロセッサは、
前記要因情報として、綴じ処理が行われる前記記録媒体に対する水分の供給から当該記録媒体に対する綴じ処理が行われるまでの経過時間についての情報である経過時間情報を取得し、
前記経過時間情報に基づき、前記記録媒体に供給される水分の量についての設定を行う、
(((1)))に記載の情報処理装置。
(((3)))
前記プロセッサは、
前記経過時間情報により特定される時間が予め定められた時間を超える場合、当該予め定められた時間を超えない場合に比べて、前記記録媒体に供給される水分が多くなるようにする設定を行う、
(((2)))に記載の情報処理装置。
(((4)))
前記プロセッサは、
記録媒体が順に積載されたうえで綴じ処理が行われる際における記録媒体の積載順に基づき、当該記録媒体の各々についての前記経過時間情報を取得する、
(((2)))に記載の情報処理装置。
(((5)))
前記プロセッサは、
前記積載順が遅い記録媒体についての前記経過時間情報を取得する場合、当該積載順が早い記録媒体についての当該経過時間情報により特定される時間に比べて時間が短いことを示す経過時間情報を取得する、
(((4)))に記載の情報処理装置。
(((6)))
前記プロセッサは、
前記要因情報として、記録媒体が順に積載されたうえで綴じ処理が行われる際における記録媒体の積載順についての情報である積載順情報を取得し、
前記積載順情報に基づき、前記記録媒体の各々に供給される水分の量についての設定を行う、
(((1)))に記載の情報処理装置。
(((7)))
前記プロセッサは、
前記積載順情報により特定される積載順が遅い記録媒体については、積載順が早い記録媒体に比べて供給される水分が少なくなる設定を行う、
(((6)))に記載の情報処理装置。
(((8)))
前記プロセッサは、
前記要因情報として、前記記録媒体に対する綴じ処理が行われる箇所の雰囲気についての情報である雰囲気情報を取得し、
前記雰囲気情報に基づき、前記記録媒体に供給される水分の量についての設定を行う、
(((1)))に記載の情報処理装置。
(((9)))
前記プロセッサは、
前記要因情報として、綴じ処理が行われる前記記録媒体の種別についての情報である種別情報を取得し、
前記種別情報に基づき、前記記録媒体に供給される水分の量についての設定を行う、
(((1)))に記載の情報処理装置。
(((10)))
前記プロセッサは、
前記要因情報として、綴じ処理が行われる前記記録媒体に供給される水分の種別についての情報である水分種別情報を取得し、
前記水分種別情報に基づき、前記記録媒体に供給される水分の量についての設定を行う、
(((1)))に記載の情報処理装置。
(((11)))
綴じ処理が行われる記録媒体に供給される水分の当該記録媒体からの揮発の量に影響を与える要因についての情報である要因情報を取得する機能と、
前記要因情報に基づき、前記記録媒体に供給される水分の量についての設定を行う機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。
(((12)))
記録媒体に対する綴じ処理を行う綴じ処理手段と、当該綴じ処理手段による綴じ処理が行われる記録媒体に供給される水分の量についての設定を行う情報処理装置と、を備え、当該情報処理装置が、(((1)))乃至(((10)))の何れかに記載の情報処理装置を含んで構成された記録媒体処理装置。
(((13)))
綴じ処理が行われる記録媒体に対する水分の供給を行う水分供給手段と、
前記水分供給手段により前記記録媒体に供給された水分の一部を当該記録媒体から除去する水分除去手段と、
を備える記録媒体処理装置。
(((14)))
前記水分除去手段は、前記記録媒体に対する綴じ処理が行われる前に前記一部を除去する、
(((13)))に記載の記録媒体処理装置。
(((15)))
前記水分除去手段は、前記記録媒体に含浸しておらず当該記録媒体の表面に付着している水分を除去する、
(((13)))又は(((14)))に記載の記録媒体処理装置。
(((16)))
前記水分除去手段は、前記記録媒体の表面に接触しながら当該表面に沿って当該表面に対する相対移動を行って、当該記録媒体に付着している水分を除去する、
(((13)))乃至(((15)))の何れかに記載の記録媒体処理装置。
(((17)))
前記水分除去手段は、互いに接触する一対の部材を備え、
前記一対の部材の間を前記記録媒体が通過することで、当該記録媒体に供給された水分の一部が除去される、
(((13)))乃至(((15)))の何れかに記載の記録媒体処理装置。
(((18)))
前記一対の部材のうちの少なくとも一方の部材を他方の部材に対して進退させる進退手段を更に備える(((17)))に記載の記録媒体処理装置。
(((19)))
前記一対の部材を構成する部材の各々は、当該一対の部材を通過する記録媒体の移動方向と交差する方向に沿って延びる回転軸を中心に回転可能となっている、
(((17)))又は(((18)))に記載の記録媒体処理装置。
(((20)))
前記水分除去手段は、水分を吸収する吸収体を用いて前記記録媒体に供給された水分の一部を除去する、
(((13)))乃至(((15)))の何れかに記載の記録媒体処理装置。
(((21)))
前記水分除去手段は、前記記録媒体に対して気体を吹き付けて当該記録媒体に供給された水分の一部を除去する、
(((13)))乃至(((15)))の何れかに記載の記録媒体処理装置。
(((22)))
前記水分除去手段は、互いに接触し回転可能に設けられ前記記録媒体の少なくとも一部が通過する一対の回転部材を備え、
前記一対の回転部材を前記記録媒体が通過する際の通過方向において、当該一対の回転部材よりも下流側に、水分を貯める水分貯め部が設けられ、
記録媒体の少なくとも一部が前記一対の回転部材を通過することで、前記水分貯め部の水分が当該記録媒体に供給され、
前記回転部材を通過した記録媒体が反対方向へ移動することで、当該記録媒体に供給された前記水分の一部が、当該回転部材によって除去される、
(((13)))乃至(((15)))の何れかに記載の記録媒体処理装置。
(((23)))
前記一対の回転部材を前記記録媒体が通過する際、当該記録媒体は下方から上方に向かって移動し、
前記一対の回転部材の上方に、前記水分貯め部が設けられている、
(((22)))に記載の記録媒体処理装置。
【0128】
(((1)))に係る情報処理装置によれば、綴じ処理が行われる記録媒体に供給される水分の量の適正化を図ることができる。
(((2)))に係る情報処理装置によれば、綴じ処理が行われる記録媒体に対する水分の供給からこの記録媒体に対する綴じ処理が行われるまでの経過時間を考慮して、記録媒体に供給される水分の量についての設定を行うことができる。
(((3)))に係る情報処理装置によれば、綴じ処理が行われる記録媒体に対する水分の供給からこの記録媒体に対する綴じ処理が行われるまでの経過時間が長い場合に、記録媒体に供給される水分の量を増すことができる。
(((4)))に係る情報処理装置によれば、記録媒体が順に積載されたうえで綴じ処理が行われる際における記録媒体の積載順に基づき、記録媒体の各々についての経過時間情報を取得することができる。
(((5)))に係る情報処理装置によれば、積載順が遅い記録媒体についての経過時間情報を取得する場合、積載順が早い記録媒体についての経過時間情報により特定される時間に比べて時間が短いことを示す経過時間情報を取得することができる。
(((6)))に係る情報処理装置によれば、記録媒体が順に積載されたうえで綴じ処理が行われる際における記録媒体の積載順を考慮して、記録媒体に供給される水分の量についての設定を行うことができる。
(((7)))に係る情報処理装置によれば、積載順情報により特定される積載順が遅い記録媒体については、積載順が早い記録媒体に比べて供給される水分が少なくなる設定を行うことができる。
(((8)))に係る情報処理装置によれば、記録媒体に対する綴じ処理が行われる箇所の雰囲気を考慮して、記録媒体に供給される水分の量についての設定を行うことができる。
(((9)))に係る情報処理装置によれば、綴じ処理が行われる記録媒体の種別を考慮して、記録媒体に供給される水分の量についての設定を行うことができる。
(((10)))に係る情報処理装置によれば、綴じ処理が行われる記録媒体に供給される水分の種別を考慮して、記録媒体に供給される水分の量についての設定を行うことができる。
(((11)))に係るプログラムによれば、綴じ処理が行われる記録媒体に供給される水分の量の適正化を図ることができる。
(((12)))に係る記録媒体処理装置によれば、綴じ処理が行われる記録媒体に供給される水分の量の適正化を図ることができる。
(((13)))に係る記録媒体処理装置によれば、綴じ処理が行われる記録媒体に供給される水分の量の適正化を図ることができる。
(((14)))に係る記録媒体処理装置によれば、記録媒体に対する綴じ処理が行われる前に、記録媒体に供給された水分のうちの余分な水分を除去することができる。
(((15)))に係る記録媒体処理装置によれば、記録媒体に含浸しておらず記録媒体の表面に付着している水分を除去することができる。
(((16)))に係る記録媒体処理装置によれば、記録媒体に付着している水分を除去することができる。
(((17)))に係る記録媒体処理装置によれば、記録媒体に付着している水分を除去することができる。
(((18)))に係る記録媒体処理装置によれば、水分除去手段として設けられた、互いに接触する一対の部材を構成する一方の部材と他方の部材との接触圧を変更することが可能となる。
(((19)))に係る記録媒体処理装置によれば、回転可能な一対の回転部材を用いて、記録媒体に供給された水分の一部を記録媒体から除去することができる。
(((20)))に係る記録媒体処理装置によれば、記録媒体に供給された水分の一部を除去することができる。
(((21)))に係る記録媒体処理装置によれば、記録媒体に供給された水分の一部を除去することができる。
(((22)))に係る記録媒体処理装置によれば、記録媒体への水分の供給と、供給されたこの水分の一部の除去とを行うことができる。
(((23)))に係る記録媒体処理装置によれば、一対の回転部材の上方に形成される空間を、水分貯め部として活用することができる。
【符号の説明】
【0129】
3…用紙処理装置、52…綴じ処理ユニット、100…情報処理装置、211…CPU、710…水分供給部、720…水分除去部、730…水分貯め部、739…進退機構、P…用紙