(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039168
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】トイレ形成ユニットおよびトイレの形成方法
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20240314BHJP
E04B 1/343 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
E04H1/12 301
E04B1/343 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143510
(22)【出願日】2022-09-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (イ) 展示日 :令和4年5月25日~令和4年5月27日 展示会名 :第4回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO 2022) 主催者名 :建設・測量生産性向上展 実行委員会 (ロ) 公開日:令和4年8月29日 公開先 :エスアールエス株式会社(東京都中央区日本橋3丁目12番2号 朝日ビルヂング8F)
(71)【出願人】
【識別番号】513049480
【氏名又は名称】株式会社ハマネツ
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】山田 智大
(72)【発明者】
【氏名】金子 大佑
(72)【発明者】
【氏名】小野田 貴光
【テーマコード(参考)】
2E025
【Fターム(参考)】
2E025BA05
2E025BB07
2E025BB08
2E025BB09
2E025BC01
2E025BC03
2E025BC04
(57)【要約】
【課題】小屋内に簡単かつ短時間にトイレを形成することができるトイレ形成ユニットおよびトイレの形成方法を提供する。
【解決手段】トイレ形成ユニット100は、床パネル支持体101と壁パネル支持体110とで構成されている。床パネル支持体101は、床側面状支持部102を備えている。床側面状支持部102は、方形状の外枠103aの内側に中骨103bおよびサブ支持部104が組み付けられたメイン支持部103で構成されており床パネル108が取り付けられている。壁パネル支持体110は、壁側面状支持部111と拡張支持部115とで構成されている。壁側面状支持部111は、方形状の外枠112aの内側に中骨112bおよび設備支持部114が組み付けられたメイン支持部112で構成されており壁パネル122が取り付けられている。拡張支持部115は、方形状の外枠117aの内側に中骨117bが組み付けられたメイン支持部117で構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬型の小屋内にトイレを形成するための中間品としてのトイレ形成ユニットであって、
1つないし5つの便器を設置可能な大きさの床面を構成する床パネルを下方から支持する床パネル支持体と、
前記床パネル支持体に連結されて前記床パネルに対して起立する壁パネルを支持する壁パネル支持体とを備えたことを特徴とするトイレ形成ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載したトイレ形成ユニットにおいて、
前記床パネル支持体には、前記床パネルが取り付けられており、
前記壁パネル支持体には、前記壁パネルが取り付けられていることを特徴とするトイレ形成ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載したトイレ形成ユニットにおいて、
前記床パネルは、
前記床パネル支持体上に着脱自在な状態で少なくとも2つ以上取り付けられていることを特徴とするトイレ形成ユニット。
【請求項4】
請求項1に記載したトイレ形成ユニットにおいて、
前記床パネル支持体は、
前記床パネルに対して下方に張り出して前記小屋内の床面上に載置されることで前記床パネルを前記小屋内の床面上から浮かせる複数の床脚部を有していることを特徴とするトイレ形成ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載したトイレ形成ユニットにおいて、
前記複数の床脚部は、
前記小屋内の床面上に連結するための連結部を有することを特徴とするトイレ形成ユニット。
【請求項6】
請求項4に記載したトイレ形成ユニットにおいて、
前記複数の床脚部は、
フォークリフトの爪を挿入可能な隙間を介して配置されていることを特徴とするトイレ形成ユニット。
【請求項7】
請求項4に記載したトイレ形成ユニットにおいて、
前記床パネル支持体は、
前記床パネルの下面全体を面状に支持する床側面状支持部を有しており、
前記複数の床脚部は、
前記床側面状支持部から下方に延びて形成されていることを特徴とするトイレ形成ユニット。
【請求項8】
請求項1に記載したトイレ形成ユニットにおいて、
前記床パネル支持体および前記壁パネル支持体の少なくとも一方は、
便器、手洗い器および間仕切壁のうちの少なくとも1つを支持する設備支持部を備えることを特徴とするトイレ形成ユニット。
【請求項9】
請求項1に記載したトイレ形成ユニットにおいて、
前記壁パネル支持体は、
前記床パネル支持体から取り外された単体状態において起立姿勢で自立することを特徴とするトイレ形成ユニット。
【請求項10】
請求項1に記載したトイレ形成ユニットにおいて、
前記壁パネル支持体は、
前記小屋内の床面上に載置される壁脚部を有することを特徴とするトイレ形成ユニット。
【請求項11】
請求項1に記載したトイレ形成ユニットにおいて、
前記床パネル支持体は、
前記床パネルの正面視で同床パネルの大きさ未満の大きさに形成されており、
前記壁パネル支持体は、
前記壁パネルの正面視で同壁パネルの大きさ未満の大きさに形成されていることを特徴とするトイレ形成ユニット。
【請求項12】
請求項1に記載したトイレ形成ユニットにおいて、
前記床パネル支持体は、
前記小屋内に設置された際にこの小屋内の床上に少なくとも人ひとりが通行できる通路を確保できる程度の大きさに形成されていることを特徴とするトイレ形成ユニット。
【請求項13】
請求項1に記載したトイレ形成ユニットにおいて、
前記床パネル支持体および前記壁パネル支持体の少なくとも一方は、配管を支持する配管保持具を備えており、
前記配管保持具は、
前記配管を支持する高さを任意の高さ位置に調整可能であることを特徴とするトイレ形成ユニット。
【請求項14】
可搬型の小屋内に便器を設置してトイレを形成するトイレの形成方法であって、
前記便器を前記小屋が存在する場所に搬送する便器搬送工程と、
請求項1ないし請求項11のうちの少なくとも1つに記載したトイレ形成ユニットを用意して前記小屋が存在する場所に搬送するトイレ形成ユニット搬送工程と、
前記トイレ形成ユニットを前記小屋内に設置するトイレ形成ユニット設置工程と、
前記トイレ形成ユニット設置工程の前または後に前記便器を前記トイレ形成ユニットに設置する便器設置工程とを含むことを特徴とするトイレの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送用コンテナまたはプレハブ小屋など完成品の状態でまたは解体することで移動させることができる可搬型の小屋にトイレを設置するためのトイレ形成ユニットおよびトイレの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トイレの設置を前提としない可搬型の小屋に対してトイレを設置することが行われている。例えば、下記特許文献1においては、貨物輸送用コンテナ内に天井、壁、床などの内装材を施工した後、便器、洗面器および扉などのトイレに必要な種々の設備を設置した移動式便所が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された移動式便所においては、貨物輸送用コンテナ内に天井、壁、床などの内装材を施工した後、便器、洗面器および扉などの設備を設置するため、トイレの形成に非常に手間と時間が掛かるという問題がある。
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、小屋内に簡単かつ短時間にトイレを形成することができるトイレ形成ユニットおよびトイレの形成方法を提供することにある。
【発明の概要】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、可搬型の小屋内にトイレを形成するための中間品としてのトイレ形成ユニットであって、1つないし5つの便器を設置可能な大きさの床面を構成する床パネルを下方から支持する床パネル支持体と、床パネル支持体に連結されて床パネルに対して起立する壁パネルを支持する壁パネル支持体とを備えたことにある。
【0007】
これによれば、トイレ形成ユニットは、トイレの形成対象となる小屋にトイレ形成ユニットを搬送してこのトイレ形成ユニットをベースとしてトイレを形成していくことができるため、小屋内に簡単かつ短時間にトイレを形成することができる。
【0008】
また、本発明の他の特徴は、前記トイレ形成ユニットにおいて、床パネル支持体には、床パネルが取り付けられており、壁パネル支持体には、壁パネルが取り付けられていることにある。
【0009】
これによれば、トイレ形成ユニットは、床パネル支持体に床パネルが取り付けられているとともに壁パネル支持体に壁パネルが取り付けられているため、トイレの形成現場における作業負担を軽減して小屋内に簡単かつ短時間にトイレを形成することができる。
【0010】
また、本発明の他の特徴は、前記トイレ形成ユニットにおいて、床パネルは、床パネル支持体上に着脱自在な状態で少なくとも2つ以上取り付けられていることにある。
【0011】
これによれば、トイレ形成ユニットは、床パネルが床パネル支持体上に着脱自在な状態で少なくとも2つ以上取り付けられているため、トイレ形成ユニットの設置時、撤去時またはメンテナンス時に一部の床パネルを取り外しても他の床パネルが床パネル支持体上に残ることで床下空間の作業性を維持または向上させることができる。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、前記トイレ形成ユニットにおいて、床パネル支持体は、床パネルに対して下方に張り出して小屋内の床面上に載置されることで床パネルを小屋内の床面上から浮かせる複数の床脚部を有していることにある。
【0013】
これによれば、トイレ形成ユニットは、床パネル支持体が床パネルを小屋内の床面上から浮かせる複数の床脚部を有しているため、小屋内の床と床パネルとの間の床下空間内での作業または同空間を配管などの収容空間として利用する際に床脚部を持ち手または物品の固定具などに利用でき床下空間をより利用し易くすることができる。
【0014】
また、本発明の他の特徴は、前記トイレ形成ユニットにおいて、複数の床脚部は、小屋内の床面上に連結するための連結部を有することにある。
【0015】
これによれば、トイレ形成ユニットは、複数の床脚部が小屋内の床面上に連結するための連結部を有しているため、小屋内の床面に安定的に固定することができる。
【0016】
また、本発明の他の特徴は、前記トイレ形成ユニットにおいて、複数の床脚部は、フォークリフトの爪を挿入可能な隙間を介して配置されていることにある。
【0017】
これによれば、トイレ形成ユニットは、複数の床脚部がフォークリフトの爪を挿入可能な隙間を介して配置されているため、トイレ形成ユニットをフォークリフトを使って小屋内に対して設置、移動または撤去することができる。
【0018】
また、本発明の他の特徴は、前記トイレ形成ユニットにおいて、床パネル支持体は、床パネルの下面全体を面状に支持する床側面状支持部を有しており、複数の床脚部は、床側面状支持部から下方に延びて形成されていることにある。
【0019】
これによれば、トイレ形成ユニットは、床パネル支持体が床パネルの下面全体を面状に支持する床側面状支持部を有して構成されているため、上からの荷重を受ける床パネルを面で支持することができるとともに床側面状支持部を持ち上げることで床パネルを面で持ち上げることもでき床パネルの荷重負担を軽減できることで床パネルの材質または形状の選択の幅を広げることができる。なお、床側面状支持部としては、床パネルの下面の全面を完全に覆う板状に形成することができるほか、床パネルの下面の全面に亘って部分的に覆う形態、例えば、床パネルの下面の全面を網目状、格子状またはフィッシュボーン状に広がる板状に形成することができる。
【0020】
また、本発明の他の特徴は、前記トイレ形成ユニットにおいて、床パネル支持体および壁パネル支持体の少なくとも一方は、便器、手洗い器および間仕切壁のうちの少なくとも1つを支持する設備支持部を備えることにある。
【0021】
これによれば、トイレ形成ユニットは、床パネル支持体および壁パネル支持体の少なくとも一方が便器、手洗い器および間仕切壁のうちの少なくとも1つを支持する設備支持部を有しているため、便器、手洗い器および間仕切壁などの設備を安定的に支持することができる。
【0022】
また、本発明の他の特徴は、前記トイレ形成ユニットにおいて、壁パネル支持体は、床パネル支持体から取り外された単体状態において起立姿勢で自立することにある。
【0023】
これによれば、トイレ形成ユニットは、壁パネル支持体が床パネル支持体から取り外された単体状態において起立姿勢で自立するため、床パネル支持体に対する連結作業または分離作業において作業性を向上させることができる。
【0024】
また、本発明の他の特徴は、前記トイレ形成ユニットにおいて、壁パネル支持体は、小屋内の床面上に載置される壁脚部を有することにある。
【0025】
これによれば、トイレ形成ユニットは、壁パネル支持体が小屋内の床面上に載置される壁脚部を有しているため、起立する壁パネルを安定的に支持することができるとともにこの壁パネルが連結される床パネル支持体も安定させることができる。
【0026】
なお、トイレ形成ユニットにおいて、壁パネル支持体は、壁パネルの裏面全体を面状に支持する壁側面状支持部と、壁側面状支持部に対して壁パネルとは反対側に離隔して対向する面状に形成された拡張支持部とを有するように構成するとよい。そして、壁パネル支持体は、拡張支持部に壁脚部を有することで壁パネル支持体を安定化させることができるとともに自立させることもできる。また、トイレ形成ユニットは、壁側面状支持部と拡張支持部との間の空洞部である背面空間に配管または電気製品の制御装置などの設備の配置スペースとして利用することができる。
【0027】
また、本発明の他の特徴は、前記トイレ形成ユニットにおいて、床パネル支持体は、床パネルの正面視で同床パネルの大きさ未満の大きさに形成されており、壁パネル支持体は、壁パネルの正面視で同壁パネルの大きさ未満の大きさに形成されていることにある。
【0028】
これによれば、トイレ形成ユニットは、床パネル支持体が床パネルの正面視で同床パネルの大きさ未満の大きさに形成されているとともに、壁パネル支持体が壁パネルの正面視で同壁パネルの大きさ未満の大きさに形成されているため、互いに隣り合う2つのトイレ形成ユニットを密着させた際に床パネル同士および壁パネル同士を密着させることができる。
【0029】
また、本発明の他の特徴は、前記トイレ形成ユニットにおいて、床パネル支持体は、小屋内に設置された際にこの小屋内の床上に少なくとも人ひとりが通行できる通路を確保できる程度の大きさに形成されていることにある。
【0030】
これによれば、トイレ形成ユニットは、床パネル支持体が小屋内に設置された際にこの小屋内の床上に少なくとも人ひとりが通行できる通路を確保できる程度の大きさに形成されているため、床パネルにおける歩行に対する負担を軽減することができ床パネルの耐久性の向上または床パネルの材料の選択の幅を広げることができる。
【0031】
また、本発明の他の特徴は、前記トイレ形成ユニットにおいて、床パネル支持体および壁パネル支持体の少なくとも一方は、配管を支持する配管保持具を備えており、配管保持具は、配管を支持する高さを任意の高さ位置に調整可能であることにある。
【0032】
これによれば、トイレ形成ユニットは、配管保持具が配管を支持する高さを任意の高さ位置に調整可能に構成されているため、便器の位置または他の物品との物理的干渉に対応して配管を配置できるとともに配管の勾配も自由に設定することができる。
【0033】
また、本発明はトイレ形成ユニットの発明として実施できるばかりでなく、可搬型の小屋に対するトイレの形成方法の発明としても実施できるものである。
【0034】
具体的には、トイレの形成方法は、可搬型の小屋内に便器を設置してトイレを形成するトイレの形成方法であって、便器を小屋が存在する場所に搬送する便器搬送工程と、請求項1ないし請求項11のうちの少なくとも1つに記載したトイレ形成ユニットを用意して小屋が存在する場所に搬送するトイレ形成ユニット搬送工程と、トイレ形成ユニットを小屋内に設置するトイレ形成ユニット設置工程と、トイレ形成ユニット設置工程の前または後に便器をトイレ形成ユニットに設置する便器設置工程とを含むようにすればよい。これによれば、トイレの形成方法は、上記トイレ形成ユニットの発明と同じ作用効果を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明に係るトイレ形成ユニットの外観構成の概略を斜め前方から示す斜視図である。
【
図2】
図1に示したトイレ形成ユニットにおける床パネルおよび壁パネルがそれぞれ装着されていない状態の外観構成の概略を斜め前方から示す斜視図である。
【
図3】
図2に示したトイレ形成ユニットの外観構成の概略を斜め後方から示す斜視図である。
【
図4】
図1に示したトイレ形成ユニットの外観構成の概略を背面側から示す背面図である。
【
図5】
図1に示したトイレ形成ユニットが設置される小屋の外観構成の概略を斜め前方から示す斜視図である。
【
図6】
図1に示したトイレ形成ユニットに装着されている配管保持具の外観構成の概略を斜め前方から示す部品展開図である。
【
図7】
図5に示す小屋の側壁の一部を除去してトイレ形成ユニットを設置可能とした状態を示す斜視図である。
【
図8】
図1に示したトイレ形成ユニットに対して便器、手洗い器および間仕切壁をそれぞれ取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図9】
図1に示したトイレ形成ユニットに対して2つの便器、間仕切壁および個室ブースをそれぞれ取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図10】
図1に示したトイレ形成ユニットに対して便器、手洗い器および個室ブースをそれぞれ取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図11】
図8、
図9および
図10にそれぞれ示したトイレ形成ユニットを小屋内に設置した状態を示す平面図である。
【
図12】
図11に示す小屋の開口部を側壁で塞いでトイレを完成させた小屋の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明に係るトイレ形成ユニットおよびトイレの形成方法の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るトイレの形成方法に用いるトイレ形成ユニット100の外観構成の概略を斜め前方から示す斜視図である。また、
図2は、
図1に示したトイレ形成ユニット100における床パネル108および壁パネル122がそれぞれ装着されていない状態の外観構成の概略を斜め前方から示す斜視図である。また、
図3は、
図2に示したトイレ形成ユニット100の外観構成の概略を斜め後方から示す斜視図である。また、
図4は、
図1に示したトイレ形成ユニット100の外観構成の概略を背面側から示す背面図である。
【0037】
このトイレ形成ユニット100は、トイレの設置を前提としない可搬型の小屋10内に用を足すための空間であるトイレ200を形成するためにトイレ200を構成する一部の部品を予め組み付けた中間部品である。
【0038】
ここで、トイレ形成ユニット100が組み付けられる小屋10について説明しておく。小屋10は、
図5に示すように、本実施形態においては、貨物(図示せず)を海上輸送または陸上輸送する際に収容する輸送用コンテナ(インターモーダル貨物コンテナ)である。この小屋10は、水平方向に長く延びる直方体状に形成されており、主として、基礎フレーム11、底板12、4つの側壁13~16および屋根17によって構成されている(
図11参照)。
【0039】
基礎フレーム11は、直方体状の小屋10に12個の各辺上に配置されて小屋10の骨格を構成するする部品であり、12本の棒状の鋼材を直方体状に連結して構成されている。この基礎フレーム11は、直方体状の小屋10の6面をそれぞれ構成する底板12、側壁13~16および屋根17をそれぞれ支持している。
【0040】
底板12は、小屋10において貨物が載置される部材であり、鋼板を平面視で長方形状に形成して構成されている。本実施形態においては、底板12は、鋼板を凹凸が繰り返す波板状に形成した所謂波板で構成されている。この場合、底板12の上面には、金属製または木製の平坦な板材からなる床板が固定的に敷いてあり、底板12の上面が平坦になるように形成されている。
【0041】
側壁13~16は、底板12の4つの各辺上に起立して四方を囲む板状の部材であり、鋼板を正面視で長方形状に形成して構成されている。本実施形態においては、側壁13~16は、底板12と同様に、波板で構成されている。この場合、側壁13,14は、小屋10の長手方向に直交する短手方向に延びる側壁をそれぞれ構成しており、それぞれ2つずつの板材が蝶番を介して開閉するように構成されている。すなわち、側壁13,14は、小屋10に対する貨物の搬入口または搬出口を構成している。また、側壁15,16は、小屋10の長手方向に延びる側壁をそれぞれ構成している。
【0042】
屋根17は、底板12の上方で底板12を覆う板状の部材であり、鋼板を平面視で長方形状に形成して構成されている。本実施形態においては、屋根17は、底板12と同様に、鋼板を凹凸が繰り返す波板状に形成した所謂波板で構成されている。
【0043】
(トイレ形成ユニット100の構成)
トイレ形成ユニット100は、床パネル支持体101に壁パネル支持体110が取り付けられて構成されている。ここでトイレ形成ユニット100は、床パネル支持体101に対して壁パネル122が取り付けられている側を「奥側」とし、この奥側の反対側を「前側」とし、これらの奥側と前側の両者間の方向である奥行き方向に水平に直交する方向を「側方」と称し、これらの前後方向および側方にそれぞれ直交する方向を「上下方向」とする。
【0044】
床パネル支持体101は、床パネル108を支持してトイレ200の床を構成する部品であり、水平方向に延びる台状に形成されている。より具体的には、床パネル支持体101は、主として、床側面状支持部102と床脚部105とで構成されている。
【0045】
床側面状支持部102は、床パネル108を支持する部分であり、平面視で長方形状のフレーム体で構成されている。本実施形態においては、床側面状支持部102は、小屋10内の底板12上に配置した際に、底板12の長手方向に沿って通路が確保できるように底板12の奥行き方向の長さよりも短い長さの奥行きで形成されている。この床側面状支持部102は、主として、メイン支持部103とサブ支持部104とで構成されている。メイン支持部103は、床側面状支持部102の骨格を構成する部分であり、鋼製の角材を平面視で方形に組んだ外枠103aの内側に鋼製の角材を十字状に組んだ中骨103bを組み込んで構成されている。
【0046】
サブ支持部104は、メイン支持部103を補強するとともに床パネル108を面状に支持するための部分であり、メイン支持部103を構成する角材よりも細い角材を外枠103aと中骨103bとの間の領域に複数配置して構成されている。本実施形態においては、サブ支持部104は、トイレ形成ユニット100の奥行方向に平行に延びて形成されている。これにより、床側面状支持部102は、床パネル108の下面の全面に亘って部分的に覆う格子状に広がる板状に形成される。
【0047】
床脚部105は、床側面状支持部102を小屋10の底板12上に浮かした状態で支持するための部品であり、鋼製の角材で構成されている。この床脚部105は、前記外枠103aにおける四隅およびこの外枠103aと中骨103bとの交点部分にそれぞれ図示下方に下垂した状態で取り付けられている。すなわち、床脚部105は、本実施形態においては、床側面状支持部102の下面に8つ設けられている。
【0048】
これら8つの床脚部105のうち、後述する壁パネル支持体110が連結される側(つまり、奥側)の外枠103aの長辺に設けられた3つの床脚部105には、壁パネル支持体110を取り付けるための取付部105aがそれぞれ形成されている。この場合、取付部105aは、鋼製の板状体に貫通孔が形成されて構成されている。
【0049】
また、8つの床脚部105のうち、壁パネル支持体110が連結される側とは反対側(つまり、前側)の外枠103aの長辺の両端部に設けられた2つの床脚部105には、小屋10の底板12に連結するための連結部105bがそれぞれ形成されている。この場合、連結部105bは、鋼製の板状体に貫通孔が形成されて構成されている。この床パネル支持体101は、これらの床脚部105によって床側面状支持部102が上方に持ち上げられた状態で支持されることで床側面状支持部102の下方に床下空間106が形成される。また、これらの連結部105bがそれぞれ設けられた2つの床脚部105には、空間カバー107が取り付けられている。
【0050】
床下空間106は、トイレ形成ユニット100の設置時、撤去時またはメンテナンス時における作業スペース、配管などの各種設備の配置スペースまたはフォークリフトの爪を挿入するためのスペースとして利用される部分である。この場合、床下空間106は、床パネル支持体101の外側からフォークリフトの爪を抜き差しできるように、外枠103aの下方で開口して外部に連通して形成されている。本実施形態においては、床下空間106は、床パネル支持体101の長手方向(つまり、両側方)およびこの長手方向に直交する短手方向(つまり、奥行方向)にそれぞれフォークリフトの爪が挿入可能に形成されている。
【0051】
空間カバー107は、床パネル支持体101が小屋10の底板12上に配置された場合に、小屋10内で床下空間106が露出しないように隠すための部品であり、金属材または樹脂材を平板状に形成して構成されている。本実施形態においては、空間カバー107は、連結部105bがそれぞれ設けられた2つの床脚部105間にビスなどの固定具を介して着脱自在に取り付けられている。つまり、空間カバー107は、トイレ形成ユニット100の前側に設けられている。
【0052】
床パネル108は、トイレ200の床の表面を構成する部品であり、金属材または樹脂材を平板状に形成して構成されている。本実施形態においては、床パネル108は、板厚が12mmの再生プラスチック板で構成されている。この床パネル108は、床側面状支持部102の上面全体を2つの第1床パネル108aおよび第2床パネル108bで覆うように床側面状支持部102の上面にビスなどの固定具を介して着脱自在に取り付けられている。これらの第1床パネル108aおよび第2床パネル108bは、トイレ形成ユニット100の前側と奥側とにそれぞれ同じ大きさに形成されて取り付けられている。
【0053】
この場合、トイレ形成ユニット100の前側半分に設けられている第1床パネル108aには、前記連結部105bの真上部分にそれぞれ貫通孔が形成されているとともに、これらの各貫通孔がキャップ109によって着脱自在に塞がれている。このキャップ109によって塞がれた2つの貫通孔は、小屋10の底板12に対して連結部105bを固定するボルトにドライバなどの工具を案内し易くするための開口部である。
【0054】
壁パネル支持体110は、壁パネル122を支持してトイレ200の壁の一部を構成する部品であり、垂直方向に延びる壁状に形成されている。より具体的には、壁パネル支持体110は、主として、壁側面状支持部111と拡張支持部115とで構成されている。
【0055】
壁側面状支持部111は、壁パネル122を支持する部分であり、正面視で長方形状のフレーム体で構成されている。この壁側面状支持部111は、主として、メイン支持部112と設備支持部114とで構成されている。メイン支持部112は、壁側面状支持部111の骨格を構成する部分であり、断面形状がC字状になるように鋼板を折り曲げた所謂C型鋼で構成された角材を正面視で方形に組んだ外枠112aの内側にC型鋼からなる中骨112bを垂直方向に組み込んで構成されている。このメイン支持部112は、側方の両端部に垂直方向に延びる2つのC形鋼の下端部に壁脚部113がそれぞれ形成されている。
【0056】
壁脚部113は、小屋10の床板11a上に載置される部分であり、前記床脚部105の下端部と同じ位置まで延びて形成されている。また、この壁脚部113は、床パネル支持体101に取り付けられる部分であり、床パネル支持体101の床脚部105に形成された取付部105aにボルトを介して取り付けられている。すなわち、壁パネル支持体110は、床パネル支持体101に対して着脱自在な状態で一体的に組み付けられている。
【0057】
設備支持部114は、トイレ200を構成する便器201、手洗い器202、間仕切壁203および個室ブース204などのトイレ設備を取り付けるための部分であり、鋼板によって構成されている。本実施形態においては、設備支持部114は、正面視で側方方向に延びる長方形状に形成された大小2つずつの第1設備支持部114aと第2設備支持部114bとで構成されている。
【0058】
第1設備支持部114aは、メイン支持部112の内側の上下方向の中央部における中骨112bを挟んだ左半分および右半分の各位置にそれぞれ取り付けられている。この場合、2つの第1設備支持部114aは、外枠112aおよび中骨112bにそれぞれ溶接されるとともに外枠112aの下辺から起立する支持部材114cの上端部にそれぞれ溶接されて取り付けられている。また、第2設備支持部114bは、第1設備支持部114aの下方にそれぞれ取り付けられている。この場合、第2設備支持部114bは、外枠112aの下辺から起立する前記支持部材114cにそれぞれ溶接されて取り付けられている。
【0059】
支持部材114cは、第1設備支持部114aおよび第2設備支持部114bをそれぞれ支持するための部品であり、C型鋼で構成された角材で構成されている。本実施形態においては、支持部材114cは、左右それぞれの第1設備支持部114aおよび第2設備支持部114bをそれぞれ2つずつの角材で構成されている。この場合、支持部材114cは、左右それぞれ2つずつの角材のうちの一方に配管保持具130がそれぞれ取り付けられている。
【0060】
拡張支持部115は、壁側面状支持部111の機能を拡張または補助するための部分であり、正面視で長方形状のフレーム体で構成されている。この場合、壁側面状支持部111の機能を拡張または補助とは、壁パネル122の支持の補助、壁側面状支持部111に取り付けられるトイレ設備の支持の補助、壁側面状支持部111には取り付けることができないトイレ設備の支持、または壁側面状支持部111の安定性の向上などである。
【0061】
この拡張支持部115は、主として、連結アーム116およびメイン支持部117とで構成されている。連結アーム116は、メイン支持部117を壁側面状支持部111に対して壁パネル側とは反対側の離隔した位置に配置するための部品であり、壁側面状支持部111の背面から棒状に延びて形成されている。本実施形態においては、連結アーム116は、鋼製のアングル材で構成されている。この連結アーム116は、一方の端部が外枠112aの上辺および第1設備支持部114aの下辺にそれぞれ溶接によって接続されており、他方の端部がメイン支持部117に溶接によって接続されている。
【0062】
メイン支持部117は、拡張支持部115の骨格を構成する部分であり、C型鋼で構成された角材を正面視で方形に組んだ外枠117aの内側にC型鋼からなる中骨117bを水平方向および垂直方向にそれぞれ組み込んで構成されている。このメイン支持部117は、側方の両端部に垂直方向に延びる2つのC形鋼の下端部に壁脚部118がそれぞれ形成されている。
【0063】
壁脚部118は、壁脚部113とともに小屋10の床板11a上に載置される部分であり、壁脚部113の下端部と同じ位置まで延びて形成されている。これにより、壁パネル支持体110は、床パネル支持体101から分離された単体の状態において起立姿勢で自立することができる。また、壁脚部118の下端部には、小屋10の底板12に連結するための連結部118aが形成されている。この場合、連結部118aは、鋼製の板状体に貫通孔が形成されて構成されている。
【0064】
これらの壁側面状支持部111と拡張支持部115との間には、背面空間120が形成されている。背面空間120は、壁側面状支持部111および拡張支持部115が支持する物品またはこの物品に付属または接続される物品を位置させることができる空間ある。この背面空間120は、空間カバー121によって上方が塞がれている。
【0065】
空間カバー121は、小屋10内で床下空間106が露出しないように隠すための部品であり、金属材または樹脂材を平板状に形成して構成されている。本実施形態においては、空間カバー121は、外枠112aと外枠117aとの間にビスなどの固定具を介して着脱自在に取り付けられている。これにより、空間カバー121は、トイレ200内にて物品を置くための棚としても機能することができる。
【0066】
壁パネル122は、トイレ200を形成する複数の側壁のうちの1つの側壁の表面を構成する部品であり、金属材または樹脂材を平板状に形成して構成されている。本実施形態においては、壁パネル122は、板厚が3mmのアルミニウム複合板で構成されている。この壁パネル122は、壁側面状支持部111の壁面全体を2つの第1壁パネル122aおよび第2壁パネル122bで覆うように壁側面状支持部111にビスなどの固定具を介して着脱自在に取り付けられている。
【0067】
この場合、第1壁パネル122aおよび第2壁パネル122bは、トイレ形成ユニット100の左右の側方にそれぞれ同じ大きさに形成されて取り付けられている。また、第2壁パネル122bにおける下端の隅部には、トイレ形成ユニット100の設置時、撤去時またはメンテナンス時における壁パネル支持体110の背面にアクセスするための開口部123が形成されている。この開口部123は、金属製または樹脂材の板材で構成された開口部カバー124によって覆われている。開口部カバー124は、第2壁パネル122bに対してビスなどの固定具を介して着脱自在に取り付けられている。
【0068】
配管保持具130は、
図6に示すように、便器201または手洗い器202などの水回り設備の排水管140を保持する器具である。この配管保持具130は、主として、ベースプレート131と配管保持体135とで構成されている。
【0069】
ベースプレート131は、配管保持体135が着脱自在に取り付けられる部品であり、金属材または樹脂材を断面形状がコ字状(またはC字状)で長尺に延びる板状体に形成して構成されている。より具体的には、ベースプレート131は、平面視で長方形状の平状態で構成された連結部131aにおける2つの長辺部分にサイドプレート131bがそれぞれ直角方向に起立した状態で形成されて構成されている。
【0070】
連結部131aは、配管保持体135が取り付けられる部分であり、雌ネジが形成された取付孔132がベースプレート131の長手方向に沿って複数(本実施形態においては、5つ)形成されている。取付孔132は、配管保持体135を取り付けるためのボルト134がねじ込まれる貫通孔である。
【0071】
サイドプレート131bは、ベースプレート131を支持部材114cに取り付けるための部分であり、それぞれ平板状に形成されている。この場合、2つのサイドプレート131bは、支持部材114cを挟み込むことができる間隔を介してそれぞれ配置されている。また、これら2つのサイドプレート131bには、それぞれ支持部材114cにボルト133aで固定するための貫通孔からなるボルト孔133bが2つずつ形成されている。
【0072】
配管保持体135は、排水管140を着脱自在に保持するための部品であり、主として、取付プレート136と保持リング137とで構成されている。取付プレート136は、連結部131aに取り付けられる部分であり、金属製または樹脂製の板状体で構成されている。この取付プレート136には、上下方向に沿って複数(本実施形態においては、3つ)の位置調整孔136aが形成されている。
【0073】
位置調整孔136aは、取付孔132にねじ込まれるボルト134を貫通させるための貫通孔である。この位置調整孔136aは、複数の取付孔132に対して上下方向に位置を調整できるようにするために複数の取付孔132の形成方向(上下方向)に沿って延びる長孔状に形成されている。したがって、配管保持体135は、複数の取付孔132のうちの位置調整孔136aが宛がわれる取付孔132と、この取付孔132に対する長孔状の位置調整孔136aの位置によって上下方向の任意の位置でベースプレート131に取り付けることができる。
【0074】
保持リング137は、排水管140を着脱保持するための部品であり、金属材または樹脂材を断面形状がC字状の略円環状に形成して構成されている。この保持リング137は、周方向の両端部が径方向外側にそれぞれ屈曲して延びており、これらの屈曲して延びた部分が取付プレート136を挟んだ状態でボルト137aが締め付けられることで取付プレート136に対して着脱自在に取り付けられている。
【0075】
排水管140は、
図4に示すように、便器201または手洗い器202などの水回り設備の排水をトイレ形成ユニット100の外部に導くための部品であり、金属製または樹脂製のパイプで構成されている。この排水管140は、トイレ形成ユニット100の左右方向の幅と略同じ長さまたは若干短い長さに形成されており、両端部に他の配管、継手または閉塞キャップが取り付けられる接続部141a,141bがそれぞれ形成されている。また、排水管140には、トイレ形成ユニット100に取り付けられる水回り設備の排水用の配管に連結するための水回り設備接続部142a,142bがそれぞれ形成されている。
【0076】
この水回り設備接続部142a,142bは、トイレ形成ユニット100に取り付けられる水回り設備の数に対応して設けられるものであり、本実施形態のように2つに限定されるものではないことは当然である。この排水管140は、前記配管保持具130によって
図6において図示左側から図示右側に向かって下方に下がる水勾配を有した姿勢で背面空間120内に取り付けられている。なお、
図2および
図3においては、壁パネル支持体110の構造を明確にするために排水管140の図示を省略している。
【0077】
(トイレ形成ユニット100の作動)
次に、このように構成したトイレ形成ユニット100の作動について説明する。このトイレ形成ユニット100は、小屋10に対してトイレ200を形成するための工場などに輸送されて小屋10に対して組み込まれる。
【0078】
この小屋10は、
図7に示すように、作業者によって予め側壁15が取り除かれるとともに、小屋10内の側壁13,14,15および屋根17にそれぞれ化粧パネル18が取り付けられている。また、小屋10の内部は、大型間仕切壁208によって図示左側の男性用トイレ200Mと図示左側の女性用トイレ200Wとに仕切られている。
【0079】
まず、作業者は、トイレ形成ユニット100を小屋10が存在している場所に輸送する。具体的には、作業者は、トイレ形成ユニット100をフォークリフトなどを用いてトレーラまたはトラックなどの輸送車両の荷台上に積み込む。この場合、作業者は、トイレ形成ユニット100における床下空間106内にフォークリフトの爪を挿し込んでトイレ形成ユニット100全体を持ち上げて輸送車両の荷台上に積み込むことができる。
【0080】
なお、この場合、空間カバー107は外枠103aから取り外されていることは当然である。また、作業者は、クレーンなどの吊り上げ装置または人力でトイレ形成ユニット100全体を持ち上げて輸送車両の荷台上に積み込むことができることは当然である。本実施形態においては、トイレ形成ユニット100は、側方方向の幅が1750mm、奥行が1400mmおよび高さが1480mmである。したがって、作業者は、ウィング車などの輸送車両の荷台に複数台のトイレ形成ユニット100を積み込むことができる。本実施形態においては、作業者は、3台のトイレ形成ユニット100を輸送車両に積み込む。
【0081】
次に、作業者は、トイレ形成ユニット100を小屋10が存在している場所に輸送する。この場合、作業者は、トイレ200を構成する他の部品または器具も小屋10が存在している場所に自らが輸送または別途手配する。ここで、トイレ200を構成する主な部品または器具としては、便器201、手洗い器202、間仕切壁203および個室ブース204がある。このトイレ形成ユニット100および便器201を小屋10が存在する場所に運ぶ工程が、本発明に係るトイレ形成ユニット搬送工程および便器搬送工程に相当する。
【0082】
便器201は、人が用を足すための器であり、男性用小便器、和式便器または洋式便器がある。手洗い器202は、手を洗うための設備であり、水を吐出する蛇口と吐出した水を受け止める洗面ボウルとを備えて構成されている。間仕切壁203は、互いに隣接する男性用の小便器である便器201同士または同便器201と手洗い器202とを隔てるための壁状の部品である。個室ブース204は、洋式または和式の便器201を包囲する壁と扉とで構成された部品群である。
【0083】
なお、トイレ形成ユニット100は、便器201、手洗い器202、間仕切壁203および個室ブース204の設備、例えば、鏡、小物入れ、照明、換気扇または空調設備などを取り付けることができる。また、作業者は、これらの便器201、手洗い器202、間仕切壁203および個室ブース204以外にも各設備同士を繋ぐボルトまたは配管、シール材、接着剤または工具などを用意する必要があるが、これらについては本発明に直接関らないためその説明は省略する。
【0084】
次に、作業者は、輸送車両の荷台上からトイレ形成ユニット100を降ろす。この場合、作業者は、トイレ形成ユニット100における床下空間106内にフォークリフトの爪を挿し込んでトイレ形成ユニット100全体を持ち上げて輸送車両の荷台上から降ろすことができる。また、この場合、作業者は、トイレ形成ユニット100を屋外における地面上、屋内における床状、または小屋10内の底板12上に降ろすことができる。
【0085】
次に、作業者は、3つのトイレ形成ユニット100に対して各トイレ形成ユニット100ごとに必要な便器201、手洗い器202、間仕切壁203および個室ブース204を組み付ける。具体的には、作業者は、
図8に示すように、1つ目のトイレ形成ユニット100Aに対して男性用小便器である便器201、手洗い器202および間仕切壁203を組み付ける。また、作業者は、
図9に示すように、2つ目のトイレ形成ユニット100Bに対して男性用小便器である便器201、洋式便器である便器201、間仕切壁203および個室ブース204を組み付ける。
【0086】
また、作業者は、
図10に示すように、3つ目のトイレ形成ユニット100Cに対して洋式便器である便器201および個室ブース204を組み付ける。なお、トイレ形成ユニット100に対して組み付ける便器201、手洗い器202、間仕切壁203および個室ブース204は、トイレ200の仕様に応じて自由に選択されることは言うまでもない。
【0087】
作業者は、トイレ形成ユニット100Aにおける図示右側の第1設備支持部114aに男性用小便器である便器201をボルトなどの固定具を用いて取り付けるとともに、図示左側の第1設備支持部114aに手洗い器202をボルトなどの固定具を用いて取り付ける。この場合、作業者は、壁パネル122に孔を開けて便器201および手洗い器202にそれぞれ給水するための配管および排水を排水管140に導くための配管をそれぞれ接続する。また、作業者は、中骨103b,112bに対向する位置に間仕切壁203を配置してボルトなどの固定具を用いて取り付ける。すなわち、中骨103b,112bは、設備支持部としても機能する。
【0088】
次に、作業者は、前記トイレ形成ユニット100Aと同様に、トイレ形成ユニット100Bにおける図示右側の第1設備支持部114aに洋式便器である便器201をボルトなどの固定具を用いて取り付けるとともに、図示左側の第1設備支持部114aに男性用小便器である便器201をボルトなどの固定具を用いて取り付ける。また、作業者は、トイレ形成ユニット100における図示左端に間仕切壁203を配置して外枠103a,112aにボルトなどの固定具を用いて取り付ける。また、作業者は、前記設置した洋式便器である便器201の周囲を囲むように個室ブース204を配置して外枠103a,112aおよび中骨103b,112bにボルトなどの固定具を用いて取り付ける。すなわち、外枠103a,112aは、設備支持部としても機能する。
【0089】
次に、作業者は、前記トイレ形成ユニット100A,100Bと同様に、トイレ形成ユニット100Cにおける図示右側の第1設備支持部114aに手洗い器202をボルトなどの固定具を用いて取り付けるとともに、図示左側の第1設備支持部114aに洋式便器である便器201をボルトなどの固定具を用いて取り付ける。また、作業者は、前記設置した洋式便器である便器201の周囲を囲むように個室ブース204を配置して外枠103a,112aおよび中骨103b,112bにボルトなどの固定具を用いて取り付ける。この便器201をトイレ形成ユニット100A,100B,100Cに設置する工程が、本発明に係る便器設置工程に相当する。
【0090】
次に、作業者は、便器201、手洗い器202、間仕切壁203または個室ブース204を小屋10の外でトイレ形成ユニット100A,100B,100Cにそれぞれ組み付けた場合には、
図11に示すように、これらのトイレ形成ユニット100A,100B,100Cを小屋10の内部に設置する。この場合、作業者は、トイレ形成ユニット100A,100B,100Cにおける床下空間106内にフォークリフトの爪を挿し込んでトイレ形成ユニット100A,100B,100C全体を持ち上げて小屋10内における所定の位置に降ろすことができる。
【0091】
次に、作業者は、トイレ形成ユニット100A,100B,100Cの各連結部105b,118aをボルトなどの固定具を用いて底板12にそれぞれ連結する。この場合、作業者は、外枠103a,112aを介して互いに隣接するトイレ形成ユニット100A,100B,100C同士を連結してもよいし、互いに非連結状態としてもよい。また、この場合、小屋10の底板上においては、各床側面状支持部102が小屋10内の底板12の奥行き方向の長さよりも短い長さに形成されているため、トイレ形成ユニット100A,100B,100Cの各前方に通路205が形成される。このトイレ形成ユニット100A,100B,100Cを小屋10内に設置する工程が、本発明に係るトイレ形成ユニット設置工程に相当する。
【0092】
次に、作業者は、小屋10内のトイレ形成ユニット100A,100B,100Cに対して外部からの給排水設備および給電設備を接続するが、これらについては本発明に直接関らないためその説明は省略する。また、作業者は、外枠103aに空間カバー107を取り付けることで床下空間106を小屋10内において覆い隠すことができる。そして、作業者は、
図12に示すように、小屋10における側壁15を撤去した部分に扉206を備えた新たな側壁207を取り付けることでトイレ200を完成させることができる。本実施形態においては、小屋10内における大型間仕切壁208よりも図示左側が男性用トイレ200Mであり、図示右側が女性用トイレ200Wである。なお、作業者は、上記した組立手順とは逆の手順にてトイレ200を解体することもできる。
【0093】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、トイレ形成ユニット100は、トイレ200の形成対象となる小屋10にトイレ形成ユニット100を搬送してこのトイレ形成ユニット100をベースとしてトイレ200を形成していくことができるため、小屋10内に簡単かつ短時間にトイレ200を形成することができる。
【0094】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、各変形例の説明においては、上記実施形態と同様の部分については同じ符号を付して重複する説明は省略する。
【0095】
例えば、上記実施形態においては、床パネル108は、2つの便器201を配置可能な大きさに形成した。しかし、床パネル108は、1つないし5つの便器201を配置可能な大きさに形成されているとよいが、コンパクト化のためには1つないし3つが好適である。
【0096】
また、上記実施形態においては、トイレ形成ユニット100は、床パネル108、壁パネル122、配管保持具130および排水管140をそれぞれ備えて構成した。しかし、トイレ形成ユニット100は、床パネル支持体101と壁パネル支持体110とを備えて構成されていればよい。したがって、トイレ形成ユニット100は、床パネル108、壁パネル122、配管保持具130および排水管140のうちの少なくとも1つを省略して構成することができる。
【0097】
また、上記実施形態においては、トイレ形成ユニット100は、床側面状支持部102に2つの床パネル108を取り付けるとともに、壁側面状支持部111に2つの壁パネル122を取り付けて構成した。これにより、作業者は、2つの床パネル108または2つの壁パネル122のうちの一方を取り外すことで他方の床パネル108または壁パネル122を床側面状支持部102または壁側面状支持部111に取り付けた状態でトイレ形成ユニット100の設置、撤去またはメンテナンスを行うことができる。しかし、トイレ形成ユニット100は、床側面状支持部102に少なくとも1つの床パネル108を取り付けるとともに、壁側面状支持部111に少なくとも1つの壁パネル122を取り付けて構成することができる。なお、床パネル108および壁パネル122は、床側面状支持部102または壁側面状支持部111に対して着脱自在な状態で取り付けられていてもよいし、固定的に取り付けられていてもよい。
【0098】
また、上記実施形態においては、トイレ形成ユニット100は、1つの床パネル支持体101に対して1つの壁パネル支持体110を取り付けて構成した。この場合、壁パネル支持体110は、トイレ200内において出入り口の扉206に対して最奥部のバックパネルを構成している。しかし、トイレ形成ユニット100は、床パネル支持体101に対してバックパネル以外の位置、例えば、両側方に配置されるサイドパネルまたは扉206側のフロントパネルを取り付けて構成することもできる。また、トイレ形成ユニット100は、1つの床パネル支持体101に対して2つ以上の壁パネル支持体110を取り付けて構成することもできる。
【0099】
また、上記実施形態においては、床パネル支持体101は、8つの床脚部105を備えて構成されている。これにより、トイレ形成ユニット100は、床側面状支持部102の下方に床下空間106を形成することができる。しかし、床パネル支持体101は、少なくとも1つの床脚部105を備えて構成することができる。また、床パネル支持体101は、床脚部105を省略して構成することもできる。なお、壁パネル支持体110についても同様に、壁脚部113を省略して構成することもできる。
【0100】
また、上記実施形態においては、床脚部105は、小屋10の底板12に連結するための連結部105bを備え構成した。しかし、床脚部105は、連結部105bを省略して構成することもできる。なお、壁脚部113も同様に、連結部118aを省略して構成することもできる。
【0101】
また、上記実施形態においては、床脚部105は、フォークリフトの爪が挿入可能な間隔を介して配置した。しかし、床脚部105は、フォークリフトの爪が挿入不能な間隔を介して配置してもよいことは当然である。
【0102】
また、上記実施形態においては、床側面状支持部102は、床パネル108の下面全体を面状に支持するように平面的に広がった形状に形成した。この場合、床側面状支持部102は、床パネル108の下面の全面に亘って部分的に覆う格子状に形成した。しかし、床側面状支持部102は、床パネル108の下面の全面を完全に覆う板状に形成することもできる。
【0103】
また、上記実施形態においては、壁パネル支持体110は、設備支持部114を備えて構成した。しかし、設備支持部114は、床パネル支持体101および壁パネル支持体110のうちの少なくとも一方に設けられていればよい。
【0104】
また、上記実施形態においては、壁パネル支持体110は、床パネル支持体101に対して連結されていない単体の非連結状態において起立した姿勢で自立するように構成した。しかし、壁パネル支持体110は、床パネル支持体101に対して連結されていない単体の非連結状態において起立した姿勢で自立しないように構成してもよいことは当然である。
【0105】
また、上記実施形態においては、トイレ形成ユニット100は、床パネル支持体101が床パネル108の正面視で同床パネル108の大きさ未満の大きさに形成されているとともに、壁パネル支持体110が壁パネル122の正面視で同壁パネル122の大きさ未満の大きさに形成されている。これにより、トイレ形成ユニット100は、互いに隣り合う2つのトイレ形成ユニット100同士を密着させた際に床パネル108同士および壁パネル122同士を密着させることができる。しかし、トイレ形成ユニット100は、床パネル支持体101が床パネル108の正面視で同床パネル108の大きさ以上の大きさに形成してもよいし、壁パネル支持体110が壁パネル122の正面視で同壁パネル122の大きさ以上の大きさに形成することもできる。
【0106】
また、上記実施形態においては、トイレ形成ユニット100は、床パネル支持体101が小屋10内に設置された際にこの小屋10内の底板12上に少なくとも人ひとりが通行できる通路205を確保できる程度の大きさに形成した。これにより、トイレ形成ユニット100は、床パネル108における歩行に対する負担を軽減することができ床パネル108の耐久性の向上または床パネル108の材料の選択の幅を広げることができる。しかし、トイレ形成ユニット100は、床パネル支持体101が小屋10内に設置された際にこの小屋10内の底板12の全面を覆う大きさに形成することもできる。
【0107】
また、上記実施形態においては、配管保持具130は、排水管140を支持する高さを任意の高さ位置に調整可能に構成した。しかし、配管保持具130は、排水管140を支持する高さを固定状態で支持するように構成することもできる。また、配管保持具130は、排水管140のほかに給水管または電線を収容する電線管を支持することもできる。
【0108】
また、上記実施形態においては、トイレ形成ユニット100は、輸送用コンテナで構成された小屋10内に設置した。しかし、トイレ形成ユニット100は、輸送用コンテナなどプレハブ小屋など完成品の状態でまたは解体することで移動させることができる可搬型の小屋に対して広くトイレ200を設置することができる。
【0109】
また、上記実施形態においては、壁パネル支持体110は、拡張支持部115を備えて構成した。これにより、トイレ形成ユニット100は、壁側面状支持部111の後方に背面空間120を形成することができる。しかし、壁パネル支持体110は、拡張支持部115を省略して構成することもできる。
【0110】
また、上記実施形態においては、トイレ200は、小屋10における側壁15を撤去した部分に扉206を備えた新たな側壁207を取り付けて構成した。しかし、トイレ200は、側壁15に開口部を加工して扉206を付けて構成してもよい。また、扉206は、側壁15に代えてまたは加えて側壁13、側壁14または側壁16に設けられていてもよい。また、扉206は、引戸であってもよいし、単なる開口部であってもよい。
【符号の説明】
【0111】
10…小屋、11…基礎フレーム、12…底板、13~16…側壁、17…屋根、18…化粧パネル、
100…トイレ形成ユニット、101…床パネル支持体、102…床側面状支持部、103…メイン支持部、103a…外枠、103b…中骨、104…サブ支持部、105…床脚部、105a…取付部、105b…連結部、106…床下空間、107…空間カバー、108…床パネル、108a…第1床パネル、108b…第2床パネル、109…キャップ、
110…壁パネル支持体、111…壁側面状支持部、112…メイン支持部、112a…外枠、112b…中骨、113…壁脚部、114…設備支持部、114a…第1設備支持部、114b…第2設備支持部、114c…支持部材、115…拡張支持部、116…連結アーム、117…メイン支持部、117a…外枠、117b…中骨、118…壁脚部、118a…連結部、
120…背面空間、121…空間カバー、122…壁パネル、122a…第1壁パネル、122b…第2壁パネル、123…開口部、124…開口部カバー、
130…配管保持具、131…ベースプレート、131a…連結部、131b…サイドプレート、132…取付孔、133a…ボルト、133b…ボルト孔、134…ボルト、135…配管保持体、136…取付プレート、136a…位置調整孔、137…保持リング、137a…ボルト、
140…排水管、141a,141b…接続部、142a,142b…水回り設備接続部、
200…トイレ、201…便器、202…手洗い器、203…間仕切壁、204…個室ブース、205…通路、206…扉、207…側壁、208…大型間仕切壁。