(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039174
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】パレットボックス
(51)【国際特許分類】
B65D 19/18 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
B65D19/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143524
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永井 瑛
(72)【発明者】
【氏名】井上 将成
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA09
3E063BA05
3E063BB04
3E063CA04
3E063CB01
3E063CC03
3E063CC06
3E063CD08
3E063EE03
3E063FF03
(57)【要約】
【課題】減容状態での安定性が高められたパレットボックスを提供する。
【解決手段】パレットボックスは、パレット1、下蓋2、複数の側板3、および上蓋4を具備する。下蓋2はパレット1の上に載置される。複数の側板3は、矩形筒状をなすように組み立て可能であり、組み立てられた状態で下蓋2の上に載置される。上蓋4は、複数の側板3の上に被せられる。下蓋2は、下蓋本体21と周壁23とを備える。複数の側板3は、下蓋2の周壁23の内側に、互いに重なった状態で収容可能である。上蓋4は、複数の側板3が収容された下蓋2に対して、周壁23を覆う状態で被せられる。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットと、
前記パレットの上に載置される下蓋と、
矩形筒状をなすように組み立て可能であり、組み立てられた状態で前記下蓋の上に載置される複数の側板と、
組み立てられた前記複数の側板の上に被せられる上蓋とを具備し、
前記下蓋は、下蓋本体と、前記下蓋本体の周縁部分から上方に突出した周壁とを備え、
前記複数の側板は、前記下蓋の前記周壁の内側に、互いに重なった状態で収容可能に設けられ、
前記上蓋は、前記複数の側板が収容された前記下蓋に対して、前記周壁を覆う状態で被さるように構成されている、
パレットボックス。
【請求項2】
前記下蓋の前記周壁は、
前記下蓋本体の前記周縁部分から上方に突出した壁本体と、
前記壁本体から外側方に突出した横リブと、
前記壁本体から外側方に突出し、かつ前記横リブに交差した交差リブとを備え、
前記下蓋本体の前記周縁部分は、前記周壁よりも外側方に位置するフランジ部と、前記フランジ部から下方に突出したリブ構造とを備える、
請求項1のパレットボックス。
【請求項3】
前記下蓋本体の前記周縁部分は、前記周壁よりも外側方に位置するフランジ部を備え、
前記上蓋は、上蓋本体と、前記上蓋本体の周縁部分から下方に突出した周壁とを備え、
前記上蓋が前記下蓋に被さったときに、前記上蓋の前記周壁は、前記下蓋の前記周壁を囲み、かつ前記下蓋の前記フランジ部に当接する、
請求項1のパレットボックス。
【請求項4】
前記下蓋本体は、組み立てられた前記複数の側板の下端部を嵌め込むために、前記周壁の内側に設けられた溝を備え、
前記溝は、底面と、前記底面よりも前記周壁から離れた位置に設けられた側面とを備え、
前記側面は、前記側面の下側の一部を構成する側面下部と、前記側面の上側の一部を構成する側面上部とを含み、
前記側面上部の勾配は、前記側面下部の勾配よりも小さい、
請求項1のパレットボックス。
【請求項5】
前記下蓋と前記上蓋は、平面視において前記パレットと同一又はこれよりも小さな外形を有し、
前記下蓋は、前記下蓋本体の前記周縁部分から下方に突出する複数の突起を、さらに備え、
前記パレットは、フォーク挿入口と、前記フォーク挿入口とつながるように上下に貫通した複数の孔とを備え、
前記下蓋が前記パレットの上に載置されたときに、前記下蓋の前記複数の突起が、前記パレットの前記複数の孔に係合する、
請求項1のパレットボックス。
【請求項6】
前記上蓋は、前記上蓋の角部を構成するコーナー部材を備え、
前記コーナー部材は、部材本体と、前記部材本体の内面の上部から突出した上リブと、前記部材本体の前記内面の下部から突出した下リブとを備え、
前記上リブは、前記複数の側板で主体が構成された矩形筒状のスリーブに当接可能な端面と、前記端面から下方に延長されたガイド面とを有し、
前記下リブは、前記下蓋の前記周壁に当接可能な端面を有し、
前記上リブの前記端面は、前記下リブの前記端面よりも前記部材本体から離れて位置している、
請求項1から5のいずれか一項のパレットボックス。
【請求項7】
前記上蓋は、前記上蓋の角部を構成するコーナー部材を備え、
前記コーナー部材は、水平断面がL字状の内面を有する部材本体と、前記内面から突出した複数の縦リブとを備え、
前記内面は、L字状に連結された第1面および第2面を含み、
前記複数の縦リブが突出する向きは、前記第1面および前記第2面の両方に対して45°傾いた向きである、
請求項1から5のいずれか一項のパレットボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パレットボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたパレットボックスは、パレット、底板、複数の側板、および上蓋を備える。このパレットボックスでは、複数の側板が矩形筒状に組み立てられた状態で、パレットの上に底板、複数の側板、および上蓋がこの順で載置される。また、パレットボックスを未使用時に減容化するときには、底板が有する周壁の上面に上蓋を載せ、底板と上蓋との間に形成された空間に、折り畳まれた状態の複数の側板を収容する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来のパレットボックスでは、減容化された状態(以下「減容状態」という。)において、上蓋は底板の周壁の上面に載っているだけなので、外部から負荷が加わったときに上蓋が外れやすく、特に減容状態での安定性が十分でないという問題がある。
【0005】
本開示が解決しようとする課題は、減容状態での安定性が高められたパレットボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一様態に係るパレットボックスは、パレットと、前記パレットの上に載置される下蓋と、矩形筒状をなすように組み立て可能であり、組み立てられた状態で前記下蓋の上に載置される複数の側板と、組み立てられた前記複数の側板の上に被せられる上蓋とを具備する。前記下蓋は、下蓋本体と、前記下蓋本体の周縁部分から上方に突出した周壁とを備える。前記複数の側板は、前記下蓋の前記周壁の内側に、互いに重なった状態で収容可能に設けられている。前記上蓋は、前記複数の側板が収容された前記下蓋に対して、前記周壁を覆う状態で被さるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、減容状態での安定性が高められたパレットボックスを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態のパレットボックスの組み立て状態の斜視図である。
【
図2】
図2は、同上のパレットボックスの要部を垂直に破断して示す斜視図である。
【
図3】
図3は、同上のパレットボックスの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、同上のパレットボックスの下蓋およびパレットの平面図である。
【
図7】
図7は、同上の下蓋およびパレットを分離して示す斜視図である。
【
図8】
図8は、同上の下蓋の要部を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、同上のパレットボックスの減容状態の斜視図である。
【
図11】
図11は、同上のパレットボックスの要部を水平に破断して示す斜視図である。
【
図12】
図12は、同上のパレットボックスの減容状態において上蓋を外した斜視図である。
【
図13】
図13は、同上のパレットボックスが備えるコーナー部材の斜視図である。
【
図15】
図15は、同上のパレットボックスの変形例が備える下蓋およびパレットの要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)一実施形態
(1.1)パレットボックスの全体構造
図1等に示すように、一実施形態のパレットボックスは、パレット1、下蓋2、複数の側板3、および上蓋4を具備する。
【0010】
パレット1は、フォークリフトを用いて運搬可能なものであって、合成樹脂を用いて平面視矩形状に形成されている。
【0011】
下蓋2は、パレット1の上に着脱可能に載置されるものであって、合成樹脂を用いて平面視矩形状に形成されている(
図3等参照)。下蓋2は、上方に突出した周壁23を備える。
【0012】
複数の側板3は、下蓋2の上に着脱可能に載置されるものであって、それぞれが平板状の外形を有する。一実施形態のパレットボックスにおける複数の側板3は、4つの側板3である。4つの側板3は、4つの縦枠状の連結部材5を介して連結される。4つの側板3は、全体が矩形筒状をなすように組み立てられた状態で、下蓋2の上に載置される。一実施形態のパレットボックスでは、4つの側板3と、4つの連結部材5とで、矩形筒状のスリーブ7が構成されている。スリーブ7は、平面視において下蓋2の周壁23よりも小さな外形を有する。
【0013】
上蓋4は、矩形筒状に組み立てられた4つの側板3の上(言い換えれば、前後左右の4つの側板3で主体が構成された矩形筒状のスリーブ7の上)に被せられるものであって、合成樹脂を用いて平面視矩形状に形成されている。
【0014】
以下においては、
図1に示す状態を、パレットボックスの組み立て状態という。
図10に示す状態を、パレットボックスの減容状態という。減容状態のパレットでは、互いに分離された4つの側板3が、下蓋2と上蓋4との間に収容されている(
図12参照)。
【0015】
一実施形態のパレットボックスが備える各構成について、さらに詳述する。
【0016】
(1.2)パレット
パレット1は、4辺を有する平面視矩形状の上面11(
図7参照)と、上面11の4辺から下方に延長された4つの側面13とを有する。
【0017】
各側面13には、2つのフォーク挿入口15が、水平方向に距離をあけて設けられている。2つのフォーク挿入口15は、互いに同大同形である。2つのフォーク挿入口15は、図示略のフォークリフトが備えるフォークの2つの爪を挿し込むために利用可能である。
【0018】
各フォーク挿入口15には、他の部分よりも開口面積が大きく設定された外側端部が含まれている。各フォーク挿入口15は、自身の外側端部を通じて、外側に向けて開放されている。
【0019】
パレット1の中央部には、開口部17が形成されている。開口部17は、パレット1の上面11の下方に位置しており、下方に開放されている。パレット1に設けられた各フォーク挿入口15は、開口部17に連通している。
【0020】
パレット1の上面11の周縁部には、複数の孔19が設けられている。上面11の周縁部は、上面11の4辺に沿って設けられた4つの直線状の短縁部分112を含む。一実施形態のパレットボックスでは、各短縁部分112に、複数の孔19が設けられている。
【0021】
各短縁部分112の複数の孔19は、2つのフォーク挿入口15のそれぞれの上方に設けられている。一実施形態のパレットボックスでは、各フォーク挿入口15の外側端部の上方に、水平方向に距離をあけて位置する2つの孔19が設けられている。各孔19は、その下方に位置するフォーク挿入口15の外側端部とつながるように、上下に貫通している。各孔19は丸孔である。
【0022】
各フォーク挿入口15の外側端部には、複数のリブ154が設けられている(
図7等参照)。複数のリブ154は、水平方向に距離をあけて互いに平行に位置する3つのリブ154である。3つのリブ154は、2つの孔19の近傍に位置するとともに、2つの孔19よりも下側に位置している。3つのリブ154には、水平方向において2つの孔19の間に位置するリブ154と、2つの孔19を挟んだ左右両側に位置する2つのリブ154とが含まれている。各リブ154は、斜め下方を向く傾斜面を有する三角リブである。
【0023】
これら複数のリブ154は、フォーク挿入口15内にフォークの爪を挿入する際に、爪を適正位置にまでガイドするように機能し、また、下蓋本体21が備える後述の突起29を保護するように機能する。
【0024】
パレット1の孔19の数は上記に限定されず、例えば、各短縁部分112に孔19が1つだけ設けられてもよい。また、各フォーク挿入口15の上方に孔19が1つだけ設けられてもよいし、各フォーク挿入口15の上方に孔19が3つ以上設けられてもよい。
【0025】
(1.3)下蓋
下蓋2は、平面視においてパレット1と同一又はこれよりも小さな外形を有する。
【0026】
図4、
図7等に示すように、下蓋2は、矩形平板状である下蓋本体21と、下蓋本体21の周縁部分から上方に突出した周壁23とを備える。
【0027】
下蓋本体21は、平面視矩形状の周縁部分を有する。下蓋本体21の周縁部分には、周壁23の内側に位置する平面視矩形状の溝22が設けられている。溝22は、周壁23に沿って設けられている。言い換えれば、溝22は、下蓋本体21の外周縁に沿って設けられている。下蓋本体21のうち溝22に囲まれた部分の上面が、平坦な積載面を構成している。下蓋本体21の積載面の裏面には、その全体にわたって格子状のリブ構造25が設けられている(
図9参照)。
【0028】
図5と
図6に想像線で示すように、溝22は、起立した姿勢の側板3の下端部を嵌め込むために用いられる。矩形筒状をなすように連結された4つの側板3の下端部が、矩形状の溝22に嵌め込まれることで、4つの側板3は、それぞれ下蓋2の上で起立した姿勢に保持される。
【0029】
溝22は、底面221と、内側の側面223と、この側面223に対向する外側の側面225とを備える。
【0030】
内側の側面223は、底面221よりも内側に設けられており、言い換えれば、底面221よりも周壁23から離れた位置に設けられている。内側の側面223は、側面下部223aと、側面下部223aの上側に位置する側面上部223bとを含む。
【0031】
側面下部223aは、側面223の下側の一部を構成し、側面上部223bは、側面223の上側の一部を構成している。側面下部223aと側面上部223bとは、上下方向において一つながりに形成されている。側面下部223aと側面上部223bは、ともに平坦である。
【0032】
側面上部223bの勾配は、側面下部223aの勾配よりも小さく設けられている。側面下部223aは鉛直又は略鉛直な面であるのに対して、側面上部223bは鉛直面から45°程度傾いた面である。
【0033】
そのため、矩形筒状のスリーブ7を溝22に嵌め込む際には、斜め上方を向く傾斜面で構成された側面上部223bが、スリーブ7を溝22にまで円滑に嵌め込むためのガイド面として機能する。運搬中の振動等を原因としてスリーブ7が溝22内の適正位置からずれた場合にも、傾斜面で構成された側面上部223bは、スリーブ7を溝22内の適正位置に戻すためのガイド面として機能する。
【0034】
側面下部223aと側面上部223bとの傾斜角度の差は45°程度であるが、この傾斜角度の差は、例えば20°から70°の範囲内の角度であってもよいし、30°から60°の範囲内の角度であってもよいし、35°から55°の範囲内の角度であってもよい。
【0035】
外側の側面225は、底面221よりも外側に設けられている。一実施形態のパレットボックスでは、外側の側面225が、周壁23の内側の側面で構成されている。外側の側面225は略鉛直な面であり、詳細には、鉛直面から僅かに外側に傾いた面である。
【0036】
下蓋本体21の周縁部分は、さらにフランジ部212とリブ構造214とを備える。
【0037】
フランジ部212は、下蓋本体21の周縁部分のうち周壁23よりも外側方に位置する部分で、構成されている。フランジ部212は、下蓋本体21の全周にわたって設けられている。
【0038】
リブ構造214は、フランジ部212(つまり下蓋本体21の周縁部分のうち周壁23よりも外側方に位置する部分)の下面から、下方に突出している。フランジ部212は、リブ構造214によって補強されている。
【0039】
図9に示すように、リブ構造214は、フランジ部212の外周縁部に設けられた第1のリブ215と、第1のリブ215の内側に設けられた第2のリブ216とを含む。第1のリブ215と第2のリブ216は、ともに下蓋本体21の全周にわたって環状に設けられている。
【0040】
第2のリブ216の内側には、下蓋本体21の周縁部分の下面から下方に突出した第3のリブ219が設けられている。第3のリブ219は、下蓋本体21の全周にわたって環状に設けられている。第2のリブ216と第3のリブ219との間の距離は、下蓋本体21の全周にわたって均一ではない。矩形平板状である下蓋本体21が有する4つの角部では、第2のリブ216と第3のリブ219との間の距離が、他の部分よりも広く設定されている。
【0041】
リブ構造214は、さらに複数の交差リブ217を含む。複数の交差リブ217は、フランジ部212の周方向に距離をあけて配されている。各交差リブ217は、第1のリブ215に対してT字状に交差し、第2のリブ216に対して十字状に交差している。
【0042】
図7、
図8等に示すように、下蓋2の周壁23は、下蓋本体21の周縁部分から上方に突出した壁本体231と、壁本体231から外側方に突出した横リブ233と、横リブ233と交差するように壁本体231から外側方に突出した交差リブ236とを備える。
【0043】
壁本体231は、下蓋本体21の外周縁よりも内側に位置している。壁本体231は、下蓋本体21の外周縁に沿って平面視矩形状に形成されており、4箇所の角部231aを含む。壁本体231の各角部231aは平面視L字状であり、壁本体231のうち4つの角部231aを除いた主体部分231bよりも、一段高く形成されている。
【0044】
横リブ233は、上下に距離をあけて複数設けられている。複数の横リブ233は、壁本体231の全周にわたって形成された第1横リブ234と、壁本体231の各角部231aに形成された第2横リブ235とを含む。第2横リブ235は、第1横リブ234の上方に位置している。
【0045】
壁本体231の各角部231aにおいて、第2横リブ235は、その角部231aの上端部から外側方に突出している。壁本体231の主体部分231bにおいては、第1横リブ234が、主体部分231bの上端部から外側方に突出している。
【0046】
一実施形態のパレットボックスにおいて、交差リブ236は複数設けられている。複数の交差リブ236は、それぞれ上下に伸びる縦リブである。
【0047】
複数の交差リブ236は、壁本体231の各角部231aに設けられた複数の交差リブ236と、壁本体231の主体部分231bに設けられた複数の交差リブ236とを含む。
【0048】
壁本体231の各角部231aに設けられた複数の交差リブ236は、それぞれ第1横リブ234に対して十字状に交差し、かつ第2横リブ235に対してT字状に交差している。各角部231aにおける複数の交差リブ236は、それぞれ直線状であり、かつ互いに平行である。
【0049】
壁本体231の主体部分231bに設けられた複数の交差リブ236は、それぞれ第1横リブ234に対してT字状に交差している。主体部分231bにおける複数の交差リブ236は、それぞれ直線状であり、かつ互いに平行である。
【0050】
各角部231aで隣接して位置する交差リブ236間の距離は、主体部分231bで隣接して位置する交差リブ236間の距離よりも、短く設定されている。
【0051】
加えて、下蓋2は、下蓋本体21から下方に突出する複数の突起29を備える。複数の突起29は、それぞれ柱状である。各突起29の外周面には、周方向に距離をあけて複数の突条部293が設けられている。複数の突条部293は、上下に長い4つの突条部293である。各突条部293は、突起29を補強するためのものであり、突起29の上下の全長にわたって設けられている。
【0052】
複数の突起29は、下蓋本体21の周縁部分から下方に突出しており、より詳細には、下蓋本体21のフランジ部212の下面から下方に突出している。
【0053】
フランジ部212は、全体として矩形状をなすように連続した4つの直線部分213を含む。一実施形態のパレットボックスでは、各直線部分213に、二対の突起29が設けられている。各直線部分213の二対の突起29は、直線部分213の長手方向に距離をあけて位置する一対の突起29と、直線部分213の長手方向に距離をあけて位置する別の一対の突起29とを含む。一対の突起29と、これに隣接する別の一対の突起29とは、直線部分213の長手方向に距離をあけて位置している。
【0054】
なお、下蓋2の突起29の数はこれに限定されず、各直線部分213に1つの突起29が設けられてもよいし、各直線部分213に2つ、3つ又は5つ以上の突起29が設けられてもよい。下蓋2の突起29の数および配置と、パレット1の孔19の数および配置は、一致することが好ましい。
【0055】
図5、
図6に示すように、下蓋2がパレット1の上に載置されたときに、下蓋2が備える各突起29は、パレット1の対応する孔19に挿し込まれる。これにより、下蓋2が備える都合16個の突起29は、パレット1が備える都合16個の孔19に対して一対一で係合する。
【0056】
各孔19に挿し込まれた突起29は、フォーク挿入口15内に突出する。一実施形態のパレットボックスでは、各フォーク挿入口15の外側端部に、2つの突起29が突出する。そのため、各突起29が対応する孔19に係合しているか否かを、目視で簡単に確認することができる。また、各突起29が破損しているか否かを、目視で簡単に確認することができる。
【0057】
なお、上記したように各フォーク挿入口15の外側端部には、2つの孔19の近傍に位置する3つのリブ154が設けられている。3つのリブ154が並ぶ水平方向で見たとき、各孔19から突出する突起29は、隣接するリブ154の外形の内側に位置しており、隣接するリブ154から下方に飛び出すことのない位置関係にある。そのため、フォーク挿入口15内にフォークの爪を挿入する際に、フォークの爪が突起29に当たって破損を生じることは防止されている。
【0058】
(1.4)複数の側板
各側板3は、合成樹脂を用いて矩形平板状に形成されている。各側板3は、多孔質構造等の中空構造を有することが好ましい。
【0059】
各連結部材5とこれに隣接する両側の側板3とは、着脱可能である。各連結部材5から少なくとも片側の側板3を取り外すことで、4つの側板3は互いに分離される。
【0060】
図12に示すように、各側板3は、下蓋2の上に倒れた姿勢で、下蓋2の周壁23の内側に収容可能な外形を有している。分離された4つの側板3は、下蓋2の周壁23の内側に、互いに重なった状態で収容可能である。
【0061】
なお、一実施形態のパレットボックスでは、4つの側板3を互いに分離させることで、4つの側板3を互いに重なった状態で周壁23の内側に収容しているが、例えば4つの側板3を、連結した状態のままで折り畳み可能に構成することも好ましい。この場合には、4つの側板3を着脱可能に連結させる連結部材5を備えず、4つの側板3を分離させるのではなく折り畳むことで、互いに重なった状態で周壁23の内側に収容することが可能である。
【0062】
連結状態のままで折り畳み可能な4つの側板3は、一例として、罫線加工によって内側に向けてく字状に折り曲げ可能に構成された一対の側板3を含む。一対の側板3は、4つの側板3が矩形筒状に組み立てられた状態において、互いに対向する。一対の側板3を内側に向けてく字状に折り畳むことで、4つの側板3を互いに重なった状態で周壁23の内側に収容することが可能である。
【0063】
また、折り畳み可能に連結された一対の側板3と、同じく折り畳み可能に連結された別の一対の側板3とを用いることも可能である。この場合、二対の側板3をそれぞれL字状に保持して組み合わせることで、矩形筒状のスリーブ7が構成される。二対の側板3を互いに分離させ、それぞれをく字状に折り畳むことで、4つの側板3を互いに重なった状態で周壁23の内側に収容することが可能である。
【0064】
(1.5)上蓋
上蓋4は、平面視においてパレット1と同一又はこれよりも小さな外形を有する。
【0065】
図1等に示すように、上蓋4は、4辺を有する矩形平板状の上蓋本体41と、上蓋本体41の周縁部分から下方に突出した周壁43とを備える。上蓋本体41は、合成樹脂を用いて形成されている。上蓋本体41は、多孔質構造等の中空構造を有することが好ましい。
【0066】
周壁43は、上蓋本体41の4辺に沿ってそれぞれ設けられた4つの垂下壁435と、4つの垂下壁435の下端部にそれぞれ取り付けられた4つのフレーム部材437と、4つの垂下壁435を連結させる4つのコーナー部材6とを含む。各垂下壁435は、合成樹脂を用いて形成されている。
【0067】
各フレーム部材437は、対応する垂下壁435の下端部を補強する断面コ字状の補強部材である。各フレーム部材437は、隣接する2つのコーナー部材6に対して固定されている。4つのフレーム部材437が、4つの垂下壁435を補強するとともに、4つのコーナー部材6を環状につなぐことで、上蓋4の全体の強度が高められる。
【0068】
コーナー部材6は、合成樹脂を用いて形成されており、互いに隣接する2つの垂下壁435をL字状に連結させるとともに、互いに隣接する2つのフレーム部材437をL字状に連結させる。一実施形態のパレットボックスでは、4つのコーナー部材6が、上蓋4の4つの角部を構成している。
【0069】
図13、
図14に示すように、コーナー部材6は、部材本体61と、複数の縦リブ63と、複数の横リブ64とを備える。
【0070】
部材本体61は、上カバー613と、上カバー613の一端縁部から垂下された第1カバー614と、上カバー613の別の短縁部から垂下された第2カバー615とを一体に備える。第1カバー614と第2カバー615とは、平面視においてL字状に連結されている。
【0071】
コーナー部材6が装着された上蓋4において、上カバー613は、矩形平板状である上蓋本体41の1つの角部を覆う。第1カバー614は、互いに隣接する2つの垂下壁435のうち一方の垂下壁435の端縁部に連結されるとともに、この垂下壁435の下端部を覆うフレーム部材437の端縁部に連結される。第2カバー615は、他方の垂下壁435の端縁部に連結されるとともに、この垂下壁435の下端部を覆うフレーム部材437の端縁部に連結される。
【0072】
第1カバー614の外面には、フレーム部材437の端縁部を取り付けるための平坦な取り付け面621が含まれている(
図14参照)。取り付け面621は、第1カバー614の外面の他の部分よりも、内側に凹んだ位置に設けられている。
【0073】
さらに、第1カバー614の外面には、傾斜面623と垂直面625とが含まれている。傾斜面623は、取り付け面621と、第1カバー614の外面のうち水平方向において取り付け面621に隣接する部分とをつなぐ面である。傾斜面623は、取り付け面621に対して45°傾いており、また、第1カバー614の外面のうち水平方向において取り付け面621に隣接する部分に対して、45°傾いている。
【0074】
垂直面625は、取り付け面621の下方に位置している。
図11に示すように、第1カバー614の取り付け面621にフレーム部材437の端縁部が取り付けられた状態において、垂直面625は、傾斜面623よりもフレーム部材437の近くに位置する。フレーム部材437の端縁部は、垂直面625に当接するとともに、傾斜面623に対しては非接触である。
【0075】
上記のように、フレーム部材437の端縁部の少なくとも一部を、コーナー部材6が有する垂直面625に当接させることで、フレーム部材437をコーナー部材6に対して安定的に取り付けることが可能である。
【0076】
図示は省略するが、第2カバー615の外面においても、第1カバー614と同様の取り付け面621、傾斜面623および垂直面625が含まれている。
【0077】
一実施形態のパレットボックスにおいては、上カバー613の上面が、部材本体61の上面を構成する。第1カバー614の内面が、部材本体61の内側の第1面611を構成し、第2カバー615の内面が、部材本体61の内側の第2面612を構成する。第1カバー614と第2カバー615の外面は、ともに平坦である。
【0078】
第1面611と第2面612はL字をなすように連結されている。互いに連結された第1面611と第2面612が、部材本体61の水平断面L字状の内面610を構成している。
【0079】
複数の縦リブ63は、部材本体61の内面610から突出している。複数の縦リブ63は、互いに平行である。複数の縦リブ63は、部材本体61の第1面611から突出した複数の縦リブ63と、第2面612から突出した複数の縦リブ63とを含む。
【0080】
部材本体61の内面610から突出した複数の縦リブ63は、内面610から突出した複数の上リブ65と、内面610から突出した複数の下リブ66とで構成されている。
【0081】
複数の上リブ65は、それぞれ上下に長い一直線状のリブであり、互いに平行である。複数の上リブ65は、部材本体61の内面610の上部から突出している。複数の上リブ65は、第1面611の上部から突出した複数の上リブ65と、第2面612の上部から突出した複数の上リブ65とを含む。
【0082】
各上リブ65は、端面652とガイド面654とを有する。端面652は、上リブ65のうち内面610から最も離れた部分の端面である。ガイド面654は、端面652から下方に伸びた面であり、端面652から下方に離れた部分ほど内面610に近くなるように、全体が傾斜している。端面652の上下長さは、例えば上リブ65の上下長さの1/4から1/2の範囲内で設定されていることが好ましい。
【0083】
各上リブ65において、端面652とこれの下方に位置するガイド面654とは、直線状に一つながりに形成されている。端面652は、矩形筒状のスリーブ7に対して当接可能に構成されている。
【0084】
複数の下リブ66は、それぞれ上下に長い一直線状のリブであり、互いに平行である。複数の下リブ66は、部材本体61の内面610の下部から突出している。各下リブ66は、その上方に位置する上リブ65と一直線上でつながる位置にある。複数の下リブ66は、第1面611の下部から突出した複数の下リブ66と、第2面612の下部から突出した複数の下リブ66とを含む。
【0085】
各下リブ66は、端面662を有する。端面662は、上リブ65のうち内面610から最も離れた部分の端面である。端面662は、上下に直線状に伸びた形状を有する。各下リブ66の端面662は、各上リブ65の端面652およびガイド面654よりも、部材本体61の内面610に近い位置にある。
【0086】
上記の各上リブ65および各下リブ66が突出する向き(つまり各縦リブ63が突出する向き)は、第1面611と第2面612の両方に対して45°傾いた向きである。
【0087】
複数の横リブ64は、部材本体61の内面610から突出している。複数の横リブ64は、それぞれ内面610の第1面611から第2面612にかけて形成されている。
【0088】
複数の横リブ64には、複数の上リブ65に交差する第1横リブ641と、複数の上リブ65と複数の下リブ66に交差する第2横リブ642と、複数の下リブ66に交差する第3横リブ643とが含まれている。
【0089】
第1横リブ641は、部材本体61の内面610の上部に設けられている。複数の上リブ65は、第1横リブ641の下面から下方に伸びている。各上リブ65は、第1横リブ641に対してT字状に連結されている。
【0090】
第1横リブ641は、上カバー613の下方に位置している。第1横リブ641と上カバー613とは互いに平行であり、第1横リブ641と上カバー613との間には、上蓋本体41の1つの角部を挿し込み可能なスペースが形成されている。
【0091】
第1横リブ641と上カバー613との間には、図示略の複数の縦リブが設けられている。上記複数の縦リブは、例えば水平方向に距離をあけて位置する3つの縦リブである。上記複数の縦リブが第1横リブ641および上カバー613につながることで、コーナー部材6の圧縮強度や座屈強度が向上し、ひいてはこれを四隅に備える上蓋4の圧縮強度や座屈強度が向上する。上記複数の縦リブの各々は、その下方に位置する上リブ65および下リブ66と一直線上でつながる位置にあることが好ましい。また、上記複数の縦リブが部材本体61の内面610から突出する寸法は、各上リブ65が部材本体61の内面610から突出する寸法以上で設定されていることが好ましい。
【0092】
第1横リブ641と上カバー613との間のスペースに挿し込まれる上蓋本体41の角部は、上記複数の縦リブが挿し込まれる複数のスリット状の切り欠き(例えば水平方向に距離をあけて位置する3つの切り欠き)を有していることが、好ましい。これにより、上蓋本体41とコーナー部材6との干渉が回避される。
【0093】
第2横リブ642は、部材本体61の内面610の上部と下部とを仕切る位置に、設けられている。複数の上リブ65は、第2横リブ642の上面から上方に伸びている。各上リブ65は、第2横リブ642に対して逆T字状に連結されている。複数の下リブ66は、第2横リブ642の下面から下方に伸びている。各下リブ66は、第2横リブ642に対してT字状に連結されている。
【0094】
第3横リブ643は、上下に距離をあけて2つ設けられている。2つの第3横リブ643は、それぞれ第2横リブ642の下方に設けられており、互いに平行である。2つの第3横リブ643のうち下側の第3横リブ643は、部材本体61の内面610の下端縁部に設けられている。2つの第3横リブ643のうち上側の第3横リブ643は、下側の第3横リブ643と第2横リブ642との間に設けられている。複数の下リブ66は、上側の第3横リブ643に対して十字状に交差し、下側の第3横リブ643に対して逆T字状に交差している。
【0095】
第2横リブ642および第3横リブ643の内面610からの突出高さは、互いに同一である。第1横リブ641の内面610からの突出高さは、第2横リブ642および第3横リブ643の内面610からの突出高さと相違している。第1横リブ641は、第2横リブ642および第3横リブ643よりも、内面610から高く突出している。
【0096】
加えて、コーナー部材6は、部材本体61の上面に装着された滑り止め部材69を備える(
図14等参照)。コーナー部材6が滑り止め部材69を備えることで、パレットボックスを組み立て状態又は減容状態で段積みしたときの滑り止めが図られる。
【0097】
滑り止め部材69は、例えばエラストマーを用いて形成されたシート状の部材である。滑り止め部材69の周縁部には、上側の部分ほど互いに近づくようなテーパー状に傾斜した傾斜面691が、全周にわたって形成されている。滑り止め部材69が傾斜面691を有することで、パレットボックスを組み立て状態又は減容状態で段積みしたときの、滑り止め部材69の損耗防止や破損防止が図られる。
【0098】
部材本体61の上面には、滑り止め部材69を配置するための凹部616が、形成されている(
図2参照)。凹部616は、滑り止め部材69よりも一回り大きな外形を有している。凹部616の底面に滑り止め部材69が接合した状態では、凹部616の外周縁部が、滑り止め部材69を全周にわたって囲む環状の溝618を構成する。
【0099】
部材本体61のうち凹部616よりも外側の部分は、凹部616を全周にわたって囲む(言い換えれば溝618を全周にわたって囲む)土手状の部分を構成している。この土手状の部分が、滑り止め部材69の剥がれ防止に寄与する。凹部616の底面に滑り止め部材69が接合した状態において、滑り止め部材69の上面は、溝618を囲む土手状の部分の上面よりも高く位置する。
【0100】
滑り止め部材69が接合される凹部616の底面は、凹凸形状を有している。具体的には、凹部616の底面に溝617(
図2参照)が形成されている。溝617は例えば格子状である。
【0101】
凹部616の底面が上記の凹凸形状を有することで、滑り止め部材69の接合面積が増大し、滑り止め部材69の接合強度が高まる。これにより、パレットボックスを段積みしたときに滑り止め部材69に負荷が加わっても、滑り止め部材69が捲れることや、滑り止め部材69が剥がれることが防止される。
【0102】
さらに、部材本体61には、凹部616の外周の一部から外側方に伸びた延長溝619が、形成されている。凹部616に滑り止め部材69が接合した状態で、延長溝619は、環状の溝618の周方向の一部から、外側方に伸びている。延長溝619が排水溝として機能することで、溝618に水が溜まることが抑えられる。
【0103】
滑り止め部材69は、2色成形によって部材本体61に一体成形してもよいし、後加工で部材本体61に貼り付けてもよい。
【0104】
2色成形によって滑り止め部材69を形成する場合において、部材本体61の凹部616は、境界部分の樹脂冷却を促進するための薄肉化に寄与し、また、滑り止め部材69の材料のはみ出し防止に寄与する。また、滑り止め部材69の周囲には溝618が形成されるので、滑り止め部材69にバリが生じても、このバリを逃がすクリアランスとして溝618が機能し得る。
【0105】
滑り止め部材69を2色成形で形成する場合には、部材本体61の凹部616には上カバー613を上下に貫通する貫通孔が設けられていることが好ましい。部材本体61がこの貫通孔を有することで、滑り止め部材69の成形時に発生したガスは、部材本体61の貫通孔に配された金型の一部を通じて逃がされる。これにより、不良品の発生が抑制される。
【0106】
滑り止め部材69を貼り付ける場合においては、滑り止め部材69よりも一回り大きい凹部616が、貼り付けの作業性を高めるためのクリアランス確保に寄与し、また、樹脂収縮対策のためのクリアランス確保に寄与する。
【0107】
(1.6)組み立て状態
図1に示す組み立て状態のパレットボックスにおいては、パレット1に載置された下蓋2の上に、全体が矩形筒状をなすように連結された起立姿勢の4つの側板3が載置され(言い換えれば、4つの側板3で主体が構成されたスリーブ7が載置され)、この起立姿勢の4つの側板3の上に、上蓋4が被せられる。
【0108】
このとき、上蓋4の周壁43は、連結された4つの側板3の上端部を全周にわたって囲む。隣接する2つの側板3を連結させる連結部材5の上には、上蓋4の角部を構成するコーナー部材6の第1横リブ641が載置される(
図2参照)。
【0109】
組み立て状態のパレットボックスにおいて、コーナー部材6が備える各上リブ65の端面652は、スリーブ7を構成する側板3や連結部材5に対して当接可能な位置にある。各上リブ65の端面652が側板3や連結部材5に当たることで、組み立て状態における上蓋4のがたつきが効果的に防止される。
【0110】
(1.7)減容状態
図10に示す減容状態のパレットボックスにおいては、パレット1に載置された下蓋2の周壁23の内側に、4つの側板3が上下に重なった状態で収容可能である(
図12参照)。上蓋4は、4つの側板3が収容された下蓋2に対して、周壁23を覆い隠す状態で被せられる。
【0111】
このとき、上蓋4の周壁43は、下蓋2の周壁23を全周にわたって囲み、下蓋2のフランジ部212に対して上方から当接する。詳細には、上蓋4の周壁43の角部を構成するコーナー部材6が、下蓋2が備えるフランジ部212の角部の上面に当接可能である。また、上蓋4の周壁43の垂下壁435が、下蓋2が備えるフランジ部212の角部を除いた部分に当接可能である。
【0112】
図11に示すように、減容状態のパレットボックスにおいては、コーナー部材6が備える各下リブ66の端面662が、下蓋2の周壁23の角部分に対して当接可能な位置にある。各下リブ66の端面662が周壁23の外面に当たる(例えば壁本体231の一段高い角部231aの外面に当たる)ことで、減容状態における上蓋4のがたつきが防止される。
【0113】
特に、一実施形態のパレットボックスでは、4つのコーナー部材6を介して環状につながった4つのフレーム部材437によって、上蓋4の周壁43の下端部の強度が高められている。そのため、上蓋4の周壁43の下端部が下蓋2のフランジ部212に当たる減容状態において、上蓋4が高い安定性で保持される。
【0114】
(2)変形例
上記した一実施形態のパレットボックスでは、下蓋2の周壁23が備える複数の交差リブ236が、上下方向に伸びる縦リブで構成されているが、各交差リブ236の形状はこれに限定されない。例えば、
図15に示す変形例のように、複数の交差リブ236を、上下方向に対して傾いた方向に伸びる傾斜リブで構成することも可能である。複数の交差リブ236の一部が縦リブで構成され、残りが傾斜リブで構成されてもよい。複数の交差リブ236が互いに非平行であってもよい。
【0115】
また、上記した一実施形態のパレットボックスでは、下蓋本体21のフランジ部212から複数の突起29が突出しているが、下蓋本体21のうち周壁23の下方の部分から複数の突起29が突出してもよいし、下蓋本体21のうち溝22の下方の部分から複数の突起29が突出してもよい。いずれの場合も、下蓋本体21の周縁部分から複数の突起29が突出していると言える。
【0116】
また、上記した一実施形態のパレットボックスでは、1つの上リブ65が端面652とガイド面654の両方を有しているが、端面652を有する上リブ65と、ガイド面654を有する上リブ65とを別々に設けることも可能である。
【0117】
また、上記した一実施形態のパレットボックスでは、減容状態において、上蓋4の周壁43が下蓋2のフランジ部212に当接するが、上蓋4の周壁43が下蓋2のフランジ部212に当接しないように構成することも可能である。この場合、上蓋4の周壁43を例えば下蓋2の上端部に当接するように構成することが考えられる。
【0118】
また、減容状態において、上蓋4の周壁43の周方向の全体が下蓋2のフランジ部212に当接してもよいし、上蓋4の周壁43の周方向の一部だけが下蓋2のフランジ部212に当接してもよい。後者の場合、周壁43の一部を構成する4つのコーナー部材6だけが下蓋2のフランジ部212に当接するように構成されてもよいし、周壁43の別の一部を構成する4つのフレーム部材437だけが下蓋2のフランジ部212に当接するように構成されてもよい。また、4つのコーナー部材6のそれぞれの一部と、4つのフレーム部材437のそれぞれの一部とが、下蓋2のフランジ部212に当接するように構成されてもよい。
【0119】
また、上記した一実施形態のパレットボックスでは、下蓋2の溝22の内側の側面223が、異なる傾斜を有する側面下部223aと側面上部223bとで構成されているが、側面223の勾配が一様に構成されてもよいし、側面223の少なくとも一部が凸曲面で構成されてもよい。
【0120】
また、上記した一実施形態のパレットボックスでは、パレット1の各孔19が、フォーク挿入口15とつながるように上下に貫通しているが、複数の孔19の全部又は一部を非貫通に設けることも可能である。なお、各孔19がフォーク挿入口15に至るまでパレット1を貫通する構造には、各孔19を後加工で形成する場合に、加工作業を行いやすいという利点もある。
【0121】
パレットボックスの他の構成においても、同様の機能を有する範囲において、適宜に設計変更を行うことが可能である。
【0122】
(3)まとめ
上記の実施形態および各種の変形例に基づいて説明したように、本開示の第1態様に係るパレットボックスは、パレット1と、パレット1の上に載置される下蓋2と、矩形筒状をなすように組み立て可能であり、組み立てられた状態で下蓋2の上に載置される複数の側板3と、組み立てられた複数の側板3の上に被せられる上蓋4とを具備する。下蓋2は、下蓋本体21と、下蓋本体21の周縁部分から上方に突出した周壁23とを備える。複数の側板3は、下蓋2の周壁23の内側に、互いに重なった状態で収容可能に設けられる。上蓋4は、複数の側板3が収容された下蓋2に対して、周壁23を覆う状態で被さるように構成されている。
【0123】
この態様によれば、複数の側板3を収容した減容状態においては、上蓋4が下蓋2の周壁23を覆う状態で被るので、外部から負荷が加わったときにも上蓋4が外れにくい。そのため、減容状態のパレットボックスの安定性が高められる。また、作業者は、上蓋4を下蓋2に被せる作業を簡単に行うことができる。
【0124】
本開示の第2態様に係るパレットボックスでは、第1態様に加えて、下蓋2の周壁23は、下蓋本体21の周縁部分から上方に突出した壁本体231と、壁本体231から外側方に突出した横リブ233と、壁本体231から外側方に突出し、かつ横リブ233に交差した交差リブ236とを備える。下蓋本体21の周縁部分は、周壁23よりも外側方に位置するフランジ部212と、フランジ部212から下方に突出したリブ構造214とを備える。
【0125】
この態様によれば、下蓋2の周縁部分の強度が向上し、特に組み立て状態のパレットボックスの安定性が一層高められる。
【0126】
本開示の第3態様に係るパレットボックスでは、第1態様に加えて、下蓋本体21の周縁部分は、周壁23よりも外側方に位置するフランジ部212を備える。上蓋4は、上蓋本体41と、上蓋本体41の周縁部分から下方に突出した周壁43とを備える。上蓋4が下蓋2に被さったときに、上蓋4の周壁43は、下蓋2の周壁23を囲み、かつ下蓋2のフランジ部212に当接する。
【0127】
この態様によれば、減容状態におけるパレットボックスの安定性が一層高められる。
【0128】
本開示の第4態様に係るパレットボックスでは、第1態様に加えて、下蓋本体21は、組み立てられた複数の側板3の下端部を嵌め込むために、周壁23の内側に設けられた溝22を備える。溝22は、底面221と、底面221よりも周壁23から離れた位置に設けられた側面223とを備える。側面223は、側面223の下側の一部を構成する側面下部223aと、側面223の上側の一部を構成する側面上部223bとを含む。側面上部223bの勾配は、側面下部223aの勾配よりも小さい。
【0129】
この態様によれば、矩形筒状に組み立てられた複数の側板3の下端部を溝22に嵌め込む際に、側面上部223bをガイド面として利用することができ、パレットボックスの組み立て作業の効率が向上する。また、例えば運搬中に複数の側板3が溝22内の適正位置からずれた場合にも、側面上部223bがガイド面として機能することで、複数の側板3が溝22内の適正位置に戻りやすくなる。
【0130】
本開示の第5態様に係るパレットボックスでは、第1態様に加えて、下蓋2と上蓋4は、平面視においてパレット1と同一又はこれよりも小さな外形を有する。下蓋2は、下蓋本体21の周縁部分から下方に突出する複数の突起29を、さらに備える。パレット1は、フォーク挿入口15と、フォーク挿入口15とつながるように上下に貫通した複数の孔19とを備える。下蓋2がパレット1の上に載置されたときに、下蓋2の複数の突起29が、パレット1の複数の孔19に係合する。
【0131】
この態様によれば、パレット1に対する下蓋2の取り付け作業を簡単に行うことができ、パレット1に対して下蓋2を安定的に位置決めすることができる。また、パレット1に対する下蓋2の取付強度が向上する。
【0132】
本開示の第6態様に係るパレットボックスでは、第1態様から第5態様のいずれか1つに加えて、上蓋4は、上蓋4の角部を構成するコーナー部材6を備える。コーナー部材6は、部材本体61と、部材本体61の内面610の上部から突出した上リブ65と、部材本体61の内面610の下部から突出した下リブ66とを備える。上リブ65は、複数の側板3で主体が構成された矩形筒状のスリーブ7に当接可能な端面652と、端面652から下方に延長されたガイド面654とを有する。下リブ66は、下蓋2の周壁23に当接可能な端面662を有する。上リブ65の端面652は、下リブ66の端面662よりも部材本体61から離れて位置している。
【0133】
この態様によれば、パレットボックスの組み立て時には、上リブ65のガイド面654を利用して上蓋4を円滑に被せることができるとともに、上リブ65の端面652がスリーブ7に当接することで、上蓋4のがたつきを抑えることができる。パレットボックスが減容状態にあるときは、下リブ66の端面662が下蓋2の周壁23に当接することで、上蓋4のがたつきを抑えることができる。
【0134】
本開示の第7態様に係るパレットボックスでは、第1態様から第5態様のいずれか1つに加えて、上蓋4は、上蓋4の角部を構成するコーナー部材6を備える。コーナー部材6は、水平断面がL字状の内面610を有する部材本体61と、内面610から突出した複数の縦リブ63とを備える。内面610は、L字状に連結された第1面611および第2面612を含む。複数の縦リブ63が突出する向きは、第1面611および第2面612の両方に対して45°傾いた向きである。
【0135】
この態様によれば、複数の縦リブ63によってコーナー部材6ひいては上蓋4の強度を高めるとともに、上蓋4のがたつきを抑えることができ、しかも、これら複数の縦リブ63を一体に含むコーナー部材6を、金型からの抜き工程を経て効率的に形成することが可能である。
【符号の説明】
【0136】
1 パレット
15 フォーク挿入口
19 孔
2 下蓋
21 下蓋本体
212 フランジ部
214 リブ構造
22 溝
23 周壁
231 壁本体
233 横リブ
236 交差リブ
29 突起
3 側板
4 上蓋
41 上蓋本体
43 周壁
6 コーナー部材
61 部材本体
610 内面
611 第1面
612 第2面
63 縦リブ
65 上リブ
652 端面
654 ガイド面
66 下リブ
662 端面
7 スリーブ