(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039184
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】発光装置及び発光装置モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20240314BHJP
H01L 33/64 20100101ALI20240314BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143541
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田井 浩平
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 大輔
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA42
5F142BA02
5F142BA32
5F142CA11
5F142CB03
5F142CB12
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD17
5F142CD18
5F142CD32
5F142CD44
5F142CD47
5F142CE03
5F142CE16
5F142CF12
5F142CF23
5F142CF32
5F142CF42
5F142DA13
5F142DA73
5F142FA03
(57)【要約】
【課題】発光装置に含まれる半導体発光素子からの熱を効率的に外部に放散することが可能な発光装置及び発光装置モジュールを提供する。
【解決手段】
本発明の発光装置は、絶縁性の基板と、前記基板上に配されかつそれぞれが前記基板に対向する面にアノード電極及びカソード電極を有する1又は複数の発光素子と、各々が前記1又は複数の発光素子の各々のアノード電極又はカソード電極に接合されかつ前記基板を貫通して下方に突出した複数の金属体と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の基板と、
前記基板上に配されかつそれぞれが前記基板に対向する面にアノード電極及びカソード電極を有する1又は複数の発光素子と、
各々が前記1又は複数の発光素子の各々のアノード電極又はカソード電極に接合されかつ前記基板を貫通して下方に突出した複数の金属体と、を有することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記複数の金属体の各々は、前記基板の下面から突出した突出部において、当該突出部の上端部の側面から突出しかつ前記基板の下面に接して延在する拡張部を有することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記拡張部は、前記突出部の周囲に環状に延在することを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記複数の金属体の各々は、前記突出部の前記拡張部よりも下方にありかつ前記突出部の下端を含む部分の表面に絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項5】
前記絶縁層は、セラミックからなることを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記基板の上面には、各々が前記1又は複数の発光素子のアノード電極及びカソード電極の各々に接合されかつ互いに離隔した金属配線が形成され、前記複数の金属体の各々の上端部が前記金属配線の上面から露出していることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
前記基板はガラスエポキシ基板であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
絶縁性の基板と、前記基板上に配されかつそれぞれが前記基板に対向する面にアノード電極及びカソード電極を有する1又は複数の発光素子と、各々が前記1又は複数の発光素子の各々のアノード電極又はカソード電極に接合されかつ前記基板を貫通して下方に突出した複数の金属体と、を有する発光装置と、
上面に前記発光装置の前記複数の金属体と電気的に接続された回路配線を有する絶縁性の回路基板と、
前記回路基板の下面に配された放熱器と、からなる発光装置モジュールであって、
前記回路基板には、前記発光装置の前記複数の金属体に対応する位置のそれぞれに前記回路配線の上面から前記回路基板の下面まで貫通する複数の回路基板貫通孔が形成されており、
前記放熱器の上面には、前記発光装置の前記複数の金属体に対応する位置のそれぞれに複数の凹部が形成されており、
前記複数の金属体の各々は、前記回路基板の前記複数の回路基板貫通孔をそれぞれ通り前記放熱器の前記複数の凹部内に至るまで挿入され、
前記複数の金属体の各々と前記放熱器とは、絶縁層を介して、金属からなる伝熱部接合材によって接合されていることを特徴とする発光装置モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子を含む発光装置及び発光装置モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体発光素子を含む発光装置と、当該発光装置の一方の面、特に、発光装置の光出射面と反対の面と取り付けられたヒートシンク等の放熱器を有する発光装置モジュールが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、下面の表面上にネジが設けられた金属ベースと、金属ベースの上面に取付けられた発光ダイオード・チップと、金属ベースの上面に設置されかつ発光ダイオード・チップと電気的に接続された回路基板と、金属ベースの下面の側に金属ベースのネジを介して直接に機械連結されたヒートシンクと、を有する発光ダイオードが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発光ダイオードにおいては、金属ベースとヒートシンクとを直接機械連結する場合、金属ベースとヒートシンクとの接触面における接触熱抵抗が大きいため、金属ベースとヒートシンクの間の熱抵抗が大きくなってしまう。
【0006】
また、特許文献1に記載の発光ダイオードにおいて、金属ベースとヒートシンクとの間に樹脂からなる母材に無機フィラーを分散させた一般的な熱伝導接着剤を用いる場合も、樹脂を母材とした熱伝導接着剤の熱伝導率が小さいため、金属ベースとヒートシンクの間の熱抵抗が大きくなってしまう。
【0007】
そのため、特許文献1に記載の発光ダイオードにおいては、金属ベースとヒートシンクとの接触面における接触熱抵抗又は熱伝導接着剤の熱抵抗によって、発光ダイオード・チップからヒートシンクへ効率的に熱伝導することができないという問題が挙げられる。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、発光装置に含まれる半導体発光素子からの熱を効率的に外部に放散することが可能な発光装置及び発光装置モジュールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る発光装置は、絶縁性の基板と、前記基板上に配されかつそれぞれが前記基板に対向する面にアノード電極及びカソード電極を有する1又は複数の発光素子と、各々が前記1又は複数の発光素子の各々のアノード電極又はカソード電極に接合されかつ前記基板を貫通して下方に突出した複数の金属体と、を有することを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る発光装置モジュールは、絶縁性の基板と、前記基板上に配されかつそれぞれが前記基板に対向する面にアノード電極及びカソード電極を有する1又は複数の発光素子と、各々が前記1又は複数の発光素子の各々のアノード電極又はカソード電極に接合されかつ前記基板を貫通して下方に突出した複数の金属体と、を有する発光装置と、上面に前記発光装置の前記複数の金属体と電気的に接続された回路配線を有する絶縁性の回路基板と、前記回路基板の下面に配された放熱器と、からなる発光装置モジュールであって、前記回路基板には、前記発光装置の前記複数の金属体に対応する位置のそれぞれに前記回路配線の上面から前記回路基板の下面まで貫通する複数の回路基板貫通孔が形成されており、前記放熱器の上面には、前記発光装置の前記複数の金属体に対応する位置のそれぞれに複数の凹部が形成されており、前記複数の金属体の各々は、前記回路基板の前記複数の回路基板貫通孔をそれぞれ通り前記放熱器の前記複数の凹部内に至るまで挿入され、前記複数の金属体の各々と前記放熱器とは、絶縁層を介して、金属からなる伝熱部接合材によって接合されていることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例1に係る発光装置の上面図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る発光装置の断面図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る発光装置の断面図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る発光装置モジュールの断面図である。
【
図5】本発明の実施例1に係る回路基板の上面図である。
【
図6】本発明の実施例1に係る回路基板の上面図である。
【
図7】本発明の実施例2に係る発光装置の断面図である。
【
図8】本発明の実施例2に係る発光装置モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例0013】
図1乃至
図3を参照しつつ、実施例1に係る発光装置10の構成について説明する。
図1は、実施例1に係る発光装置10の上面図である。また、
図2は、
図1に示した発光装置10の2-2線に沿った断面図である。また、
図3は、
図1に示した発光装置10の3-3線に沿った断面図である。なお、
図1においては、基板11の上面上の各要素の構造及び位置関係を明確にするために、光反射体60(
図2及び
図3参照)を省略している。
【0014】
(発光装置10)
発光装置10は、平板上の基板11と、基板11の上面上に形成された複数の素子接合部15と、素子接合部15の形成領域において基板11の下面から素子接合部15の上面まで貫通する複数の金属体20と、基板11に素子接合部15を介して接合されかつ基板11上に複数配された発光素子30と、を有する。また、発光装置10は、複数の発光素子30の上面上に配された波長変換体50と、基板11の上面において波長変換体50の上面を露出するように形成された光反射体60と、を有する。
【0015】
(基板11)
基板11は、絶縁性を有するガラス繊維強化エポキシ樹脂(以下、ガラスエポキシと称する)からなる矩形の平面形状を有する平板上の基板である。基板11は、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al2O3)等の他の絶縁性のセラミック基板であってもよい。
【0016】
素子接合部15は、基板11の上面上に形成されている基板11の上面の短手方向に延在する金属配線である。素子接合部15は、互いに離隔しつつ基板11の長手方向に複数配列されている。素子接合部15は、それぞれ基板11の表面に張り付けられた銅(Cu)箔層がパターンエッチングされて形成された銅層と、当該銅層の表面にニッケル(Ni)、金(Au)の順に形成されためっき層を有している。素子接合部15の各々は、基板上面の短手方向中央部にあり他の部分よりも当該短手方向の幅が広い部分でありかつ発光素子30を基板11に載置する際の素子載置部として機能する載置部15Aを有している。
【0017】
貫通孔11Hは、素子接合部15の載置部15Aの上面から基板11の下面まで貫通している貫通孔である。実施例1においては、円形の開口形状を有する貫通孔11Hが形成されている。なお、実施例1の素子接合部15は、基板11及び基板11の表面に形成されている上記銅層に貫通孔11Hを形成した後に、当該銅層表面に上記メッキ層を形成することで形成される。従って、素子接合部15の貫通孔11Hに面した表面もNi、Auのメッキ層が形成されている。
【0018】
実施例1においては、基板11の上面の長手方向に6個の素子接合部15が形成され、それぞれの素子接合部15の載置部15Aに2つの貫通孔11Hが設けられている。
【0019】
貫通孔11Hは、例えば、基板11の下面からドリル等の機械加工を施して形成することができる。また、貫通孔11Hは、例えば、基板11の下方からレーザを照射するレーザ加工によっても形成できる。
【0020】
なお、発光装置10は、その製造時において、大判のガラエポ基材上に基板11が前後左右に連続的に配列しており、発光装置10が一括的に製造される。素子接合部15の載置部15Aから短手方向に基板11上面の端部まで延伸している延長部15Bは、当該製造時に複数の基板11においてNi層及びAu層を電解めっきするための導通配線である。
【0021】
また、発光装置10の製造時においては、最終工程にてダイシングによって発光装置10を個片化して製造を行う。よって、発光装置10の側面、すなわち基板11の側面及び後述の光反射体60の側面は、ダイシング面である。
【0022】
(金属体20)
金属体20は、基板11の下面から貫通孔11Hのそれぞれに圧入されたピン状の金属体である。金属体20は、発光素子30と電気的に接続しかつ、発光素子30から生じる熱を発光装置10の外部に伝熱又は放散する。
【0023】
金属体20の各々は、例えば、Cuからなる金属体であり、表面にNi層及びAu層がこの順に積層されている。
【0024】
金属体20は、貫通孔11Hに圧入された部分である貫通部20Aと及び基板11の下面から下方に突出した部分である突出部20Bを有する。
【0025】
貫通部20Aは、基板11の下面の側の貫通孔11Hから上端部が素子接合部15の載置部15Aの上面近傍まで至るように貫通孔11Hの各々に圧入されている。
【0026】
突出部20Bは、その上端部に、突出部20Bの側面から突出する拡張部EXが形成されている。拡張部EXは、突出部20Bの側面の周囲に環状に延在する鍔状の形状を有している。実施例1において、金属体20は、円柱状のピン及び当該ピンの中間部に円環状の拡張部EXが形成された中鍔ピンである。
【0027】
金属体20は、基板11の下面から、拡張部EXの上面、すなわち貫通部20Aの側の面が基板11と接するまで圧入されている。すなわち、拡張部EXは、金属体20を基板11の下面から貫通孔11Hに圧入した際のストッパとして機能する。
【0028】
金属体20、特に貫通部20Aは、例えば、貫通孔11Hの径と同じ大きさの径で形成されている。これにより、金属体20は、貫通部20Aが貫通孔11Hにプレス等で圧入されて基板11に固定されている。また、加熱嵌め、冷やし嵌めで固定されてもよい。
【0029】
また、金属体20の径は、例えば、貫通孔11Hよりも僅かに小さい径を有していてもよい。その場合は、貫通部20Aを貫通孔11H内に挿入し、その後かしめて基板11に固定してもよい。なお、かしめた後の貫通部20Aの径は貫通孔11Hよりも太くなる。
【0030】
金属体20は、例えば、上面視において、円と異なる他の形状の外縁形状(断面形状)を有する拡張部EXであってもよい。また、金属体20は、貫通部20Aと突出部20Bの拡張部EXより下方の部分で異なる径を有していてもよい。
【0031】
(発光素子30)
発光素子30は、基板11の上面に配された発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の半導体発光素子である。実施例1においては、発光素子30として、青色の光を放射するLED素子を用いた。
【0032】
発光素子30は、透光性を有する板状の成長基板31と、成長基板31の下面に形成された発光層を含む半導体構造層(図示せず)と、当該半導体構造層の成長基板31と接する面と反対の面、すなわち下面に形成された一対の電極であるアノード電極33及びカソード電極35と、を含む構造を有している。
【0033】
発光素子30は、アノード電極33及びカソード電極35が形成されている成長基板31の下面が基板11の上面と対向する向きで搭載されている。すなわち、発光素子30は、能動面である半導体構造層が形成された面を反転して基板11に接合したフリップチップ態様の発光素子である。
【0034】
また、発光素子30は、アノード電極33及びカソード電極35の各々の下面が、素子接合部15の載置部15A及び金属体20の貫通部20Aの各々の上面とそれぞれ導電性の素子接合層40を介して接合されている。すなわち、金属体20は、素子接合層40を介して、発光素子30のアノード電極33及びカソード電極35の各々と電気的に接続されている。
【0035】
素子接合層40は、例えば、共晶接合によって形成された金錫(AuSn)等の金属合金である。すなわち、素子接合部15の載置部15A及び金属体20の貫通部20Aと発光素子30のアノード電極33及びカソード電極35とは、接合時の加熱によって溶融状態を経た金属合金によって双方の接触熱抵抗が極小になるように接合されている。言い換えれば、素子接合層40によって、アノード電極33及びカソード電極35と素子接合部15の載置部15A及び金属体20の貫通部20Aの上面とがそれぞれ互いに溶着(溶融接合)されている。
【0036】
これにより、発光素子30と素子接合部15の載置部15A及び金属体20の貫通部20Aとの間の接触熱抵抗を小さくすることができる。
【0037】
また、発光素子30は、高い熱伝導率を有する金属合金であるAuSn(熱伝導率:約60W/m・K)によって、同様に高い熱伝導率を有する金属体20(Cu熱伝導率:約380W/m・K、Ni熱伝導率:約90W/m・K、Au熱伝導率:約300W/m・K)と接合されているため、発光素子30から生じた熱は素子接合層40を介して効率的に金属体20へと伝導される。
【0038】
また、
図1乃至
図3に示すように、素子接合層40を介して発光素子30と接している面積は、金属体20よりも素子接合部15の載置部15Aの方が大きい。よって、素子接合部15の載置部15Aは、発光素子30から生じた熱を集熱する集熱部としても機能する。
【0039】
また、素子接合部15の載置部15Aと金属体20の貫通部20Aとの間に間隙がある場合、素子接合層40は、発光素子30の接合時に溶融した素子接合層40が当該間隙に入り込み充填される。すなわち、金属体20は、素子接合層40によって、素子接合部15の載置部15Aとも互いに溶着されている。従って、発光素子30から素子接合部15の載置部15Aに集熱された熱も、効率的に金属体20へと伝導される。
【0040】
よって、発光素子30から生じる熱は、効率的に金属体20へと伝導され、金属体20を介して発光装置10の外部に放散させることが可能となる。
【0041】
なお、実施例1においては、6個の素子接合部15上に3個の発光素子30が接合されている。基板11上の発光素子30の搭載数はこれに限定されず、1個又は2個以上の発光素子30を配してもよい。その場合、基板11上に形成される素子接合部15の数は、基板11上に配される発光素子30の合計電極数に応じて形成される。
【0042】
また、実施例1においては、発光素子30の1の電極(アノード電極33又はカソード電極35)に対して2の金属体20が接合される場合について説明した。しかし、金属体20は、発光素子30の1の電極に対して1又は3以上の金属体20が接合されていてもよい。
【0043】
また、実施例1においては、基板11の貫通孔11Hの内面にガラスエポキシが露出するノンスルーホール態様の貫通孔である場合について説明した。しかし、貫通孔11Hは、貫通孔11Hの内面及び基板11の下面の貫通孔11Hの開口部の周囲に素子接合部15と連続した金属層が形成されたスルーホール態様としてもよい。貫通孔11Hをスルーホール態様とすることにより、金属体20と素子接合部15との接触面積が増加し、素子接合部15から金属体20へより効率的に熱を伝導させることもできる。
【0044】
(波長変換体50)
波長変換体50は、板状の形状を有し、発光素子30の各々の上面上に配されている。波長変換体50は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂等の透光性の樹脂によって発光素子30の各々の上面上に接合されている。
【0045】
波長変換体50は、発光素子30と対向する面である下面から入光した発光素子30の放射光の一部または全部を波長変換して上面から出光する。
【0046】
波長変換体50には、例えば、セリウム(Ce)をドープしたイットリウムアルミニウムガーネット(YAG:Ce、Y3Al5O12:Ce)の蛍光体粒子とバインダであるアルミナ(Al2O3)などのセラミック粒子とを混合して焼成を行った焼結体を用いることができる。
【0047】
また、実施例1においては、波長変換体50が発光素子30より放射された青色光の一部を黄色光に波長変換し、白色光を出光するように蛍光体粒子の含有率が調整されている。なお、全部を黄色光に波長変換する場合は黄色光を出光する。
【0048】
(光反射体60)
光反射体60は、基板11の上面上において、素子接合部15、発光素子30の露出面、及び波長変換体50の側面を覆うように形成されている。
【0049】
光反射体60は、発光素子30の側面から出射する光及び波長変換体50の側面から出射する光を各々の内方方向に反射し、波長変換体50の上面へと導光する。
【0050】
光反射体60には、例えば、光散乱性粒子である酸化チタン(TiO2)粒子を混合した熱硬化性のシリコーン樹脂を用いることができる。
【0051】
(発光装置モジュール100)
図4は、実施例1に係る発光装置10を搭載した発光装置モジュール100の断面図である。
図4は、
図1に示した発光装置10の2-2線に沿った位置に相当する断面である。また、
図5は、実施例1に係る回路基板70の上面図である。なお、
図5においては、回路基板70の上面上の配線形状と発光装置10の発光素子30の位置関係を明確にするために、発光装置10及び発光素子30を破線にて図示している。
【0052】
発光装置モジュール100は、発光装置10と、回路基板70と、放熱器80と、を有する。発光装置モジュール100においては、回路基板70の上面に発光装置10が搭載され、回路基板70の下面に放熱器80が取り付けられている。
【0053】
(回路基板70)
回路基板70は、ガラスエポキシ等からなる絶縁性の基板であり、発光装置10の搭載面である上面に発光装置10の金属体20の突出部20Bの各々と電気的に接続する一対の電極配線71、73及び中間配線75を備えている。
【0054】
また、回路基板70の電極配線71、73及び中間配線75の各々の発光装置10の金属体20の突出部20Bに対向する位置には、電極配線71、73及び中間配線75の各々の上面から回路基板70の下面まで貫通する複数の回路基板貫通孔70Hが形成されている。
【0055】
発光装置10は、
図4に示すように、発光素子30のアノード電極33及びカソード電極35の各々に接合された金属体20ごとに、電極配線71、73及び中間配線75の各々に設けられた回路基板貫通孔70Hにそれぞれ挿入され、はんだ等の装置接合材78によって電気的に接続されている。
【0056】
実施例1においては、
図5に示すように、発光素子30が隣り合う電極配線71、73及び中間配線75の各々を跨ぐように配され、発光素子30のアノード電極33及びカソード電極35が当該隣り合う電極配線71、73及び中間配線75に、それぞれの金属体20及び装置接合材78を介して接合されている。すなわち、発光装置10の発光素子30は、電極配線71と電極配線73との間において、中間配線75を介して直列に接続されている。
【0057】
また、装置接合材78は、
図4に示すように、発光装置10の接合時において加熱により溶融し、電極配線71、73及び中間配線75の各々と金属体20の突出部20Bとを接合する。この時、溶融した装置接合材78は、電極配線71、73、中間配線75(基板配線)と金属体20の突出部20Bの拡張部EXの下面及び側面にまで濡れ広がる。また、余剰な装置接合材78は、回路基板貫通孔70Hに挿入されている突出部20Bの表面へ濡れひろがる。これにより、回路基板70の電極配線71、73及び中間配線75と金属体20の突出部20B、特に拡張部EXの部分とが接合部材浮きすることなく接合される。すなわち、発光装置10の金属体20は、突出部20Bの拡張部EXを含む上端の一部が発光装置10の外部電極端子として機能する。
【0058】
なお、装置接合材78は、金属体20の突出部20Bの拡張部EXの側面に濡れ広がることでフィレットを形成する。フィレットの形成により、発光装置10と回路基板70とを高い接合強度で接合させることができる。
【0059】
また、金属体20の突出部20Bの拡張部EXは、発光装置10と回路基板70との間を所定距離離隔させるスペーサとしても機能する。スペーサにより発光装置10は回路基板70の上面より高くできるので、回路基板70上に実装されている他の電子部品に出射光が遮られるなどの光線干渉を抑制することができる。
【0060】
金属体20の突出部20Bと装置接合材78との接合部より下方である突出部20Bの先端方向の部分の各々は、回路基板貫通孔70Hを通り抜けて回路基板70の下面から突出している。
【0061】
また、
図6に示すように、回路基板70は、発光装置10に含まれる発光素子30が個別に駆動可能なように電極配線71及び73が形成されていてもよい。具体的には、発光素子30のアノード電極33及びカソード電極35に接合された金属体20の各々ごとに電極配線71及び73を形成し、それぞれの電極配線71及び73の間で電流を個別に供給するようにしてもよい。また、複数の電極配線71及び73に一括的に電流を供給するようにして、発光装置10の発光素子30を並列に接続するようにしてもよい。
【0062】
(放熱器80)
放熱器80は、回路基板70の下面に配されたヒートシンクである。放熱器80には、下面に放熱フィン81が形成されている。放熱器80は、放熱フィン81が形成されている下面と反対の面である上面が回路基板70の下面と対向するように配されている。
【0063】
放熱器80は、例えば、熱伝導率の高いアルミニウム(Al、熱伝導率:約220W/m・K)等の金属からなる。
【0064】
放熱器80の上面には、金属体20の突出部20Bの先端に対向する位置に複数の凹部80Fが形成されている。また、放熱器80の上面の凹部80Fが形成されている領域には、絶縁層IN及びメタライズ層MEがこの順に表面に形成されている。
【0065】
絶縁層INは、放熱器80の上面を電気的に絶縁させる絶縁層である。絶縁層INは、例えば、Al2O3等のセラミックからなり、放熱器80の上面の凹部80Fが形成されている領域において、放熱器80の上面及び凹部80Fの各々の内面を覆うように形成されている。すなわち、絶縁層INは、放熱器80の上面の凹部80Fの形成領域に連続的に形成されている。
【0066】
絶縁層INは、例えば、セラミック溶射によって形成することができる。絶縁層INは、例えば、放熱器80の上面の凹部80Fが形成された領域が一括的に開口された溶射マスクを介して、上方からAl2O3の溶射を行うことで形成できる。絶縁層INをこのように形成することによって、金属である放熱器80とセラミックである絶縁層INとは、接触熱抵抗が小さくなるように(極小になるように)接合されている。言い換えれば、放熱器80と絶縁層INとの接合界面は、気密性を有する程に接合されている。これにより、絶縁層INと放熱器80との間の接触熱抵抗を小さくすることができる。
【0067】
メタライズ層MEは、放熱器80と後述する放熱器接合材85とを接合させるための接合層である。メタライズ層MEは、例えば、絶縁層INの表面にNi層及びAu層がこの順に積層された金属層である。メタライズ層MEは、絶縁層INの表面において、凹部80Fの各々の内面の部分を含む領域でありかつ隣り合う凹部80Fのメタライズ層MEと離隔するように形成されている。すなわち、メタライズ層MEは、放熱器80の凹部80Fの各々ごとに形成されており、隣り合うメタライズ層ME同士は電気的に絶縁されている。
【0068】
メタライズ層MEは、例えば、金属溶射によって形成することができる。メタライズ層MEは、絶縁層INの上面の凹部80Fの形成部分の各々が開口された溶射マスクを介して、上方からNi及びAuの順に溶射を行うことで形成できる。メタライズ層MEをこのように形成することによって、セラミックである絶縁層INと金属であるメタライズ層MEとは、接触熱抵抗が小さくなるように(極小になるように)接合されている。言い換えれば、絶縁層INとメタライズ層MEとの接合界面は、気密性を有する程に接合されている。これにより、メタライズ層MEと絶縁層INとの間の接触熱抵抗を小さくすることができる。
【0069】
絶縁層IN及びメタライズ層MEは、溶射行程時において、放熱器80の上面で溶射マスク及び溶射材を変更するだけで形成することができる。
【0070】
発光装置10の金属体20の突出部20Bの先端は、回路基板貫通孔70Hを通り、放熱器80の凹部80Fの内部まで至っている。
【0071】
放熱器80の凹部80Fには、はんだ等の金属を含む放熱器接合材85が充填されており、この放熱器接合材85によって金属体20と放熱器80のメタライズ層MEとが接合されている。すなわち、金属体20と放熱器80のメタライズ層MEとは、接合時の加熱によって溶融状態を経た金属を含む接合材料によって絶縁層INを介して接合されている。言い換えれば、放熱器接合材85によって、金属体20と放熱器80のメタライズ層MEとが互いに溶着されている。これにより、金属体20とメタライズ層MEとの間の接触熱抵抗を小さくすることができる。
【0072】
上述の通り、メタライズ層MEと絶縁層INの間及び絶縁層INと放熱器80との間の接合界面は、接合している。よって、金属体20と放熱器80とは、絶縁層INを介して、放熱器接合材85によって電気的に互いに絶縁されつつも熱伝導性の優れた接合がなされる。
【0073】
また、金属体20とメタライズ層MEとが高い熱伝導率を有する金属合金であるはんだである放熱器接合材85(熱伝導率:約60W/m・K)で接合されているため、金属体20からの熱が放熱器80へと効率的に伝導される。
【0074】
また、放熱器80は、回路基板貫通孔70H及び放熱器80の凹部80Fが上述のような位置関係となるように、回路基板70及び放熱器80を貫通する絶縁性のプッシュピン等の固定具PPによって、スペーサSPを介して所定距離離隔するように固定されている。回路基板70の下面と放熱器80の上面との間にスペーサSPを介在させることにより、回路基板70に発光装置10を載置する際に、放熱器80の凹部80Fに充填された放熱器接合材85の原料であるはんだペーストが漏れ出し、隣り合う金属体20の突出部20B同士の間で短絡することを抑制することができる。また、放熱器80と回路基板70との間からも放熱が可能であり、かつ回路基板70への熱影響を低減できる。
【0075】
絶縁層INの膜厚は、金属体20と放熱器80との間で電気的に絶縁できる程度の厚みでよい。絶縁層INとしてAl2O3を用いた場合、絶縁層INの膜厚は、十数μm~数十μm程度の膜厚でよい。Al2O3は、他の部材に用いられている金属部材と比較して熱伝導率があまり高くない(Al2O3熱伝導率:約30W/m・K)ため、金属体20と放熱器80との間で電気的に絶縁できれば膜厚は小さいほうが好ましい。
【0076】
また、メタライズ層MEの膜厚は、絶縁層INの表面上における放熱器接合材85と接合する領域で、溶融したはんだである放熱器接合材85と良好な濡れ性を示す1μm~数μm程度の膜厚でよい。
【0077】
なお、絶縁層INにおいては、上記の形成方法及び材料に限定されず、反応性スパッタ等の真空成膜法又は化学気相析出法(Chemical Vapor Deposition:CVD)等により製膜された高い熱伝導率を有する他のセラミック等の絶縁層であってもよい。また、メタライズ層MEにおいても、スパッタ等の真空成膜法又はCVD法で製膜された良好なはんだ濡れ性を有する他の金属膜であってもよい。
【0078】
実施例1の発光装置モジュール100においては、発光素子30から放熱器80までの間で、熱伝導率が高い金属体20(Cu熱伝導率:約380W/m・K、Ni熱伝導率:約90W/m・K、Au熱伝導率:約300W/m・K)を用いている。
【0079】
また、発光素子30と金属体20との間及び金属体20と放熱器80との間において、これらを接合する接合材においても、熱伝導率が高い接合材(AuSn熱伝導率:約60W/m・K、はんだ熱伝導率:約60W/m・K)を用い、かつ接合部が非常に小さい接触熱抵抗となるように溶着状態で形成されている。
【0080】
以上の構成により、実施例1の発光装置モジュール100においては、発光装置10の発光素子30から放熱器80までの間に、樹脂材料等を含む熱伝導率の低い部材を用いない放熱経路を形成することができる。
【0081】
例えば、樹脂材料に無機フィラーが分散された接合材は、熱伝導率が低く(10W/m・K未満)、発光素子30から生じる熱を効率的に伝導することが難しい。
【0082】
また、母材が熱硬化性樹脂である場合、ボイドの発生又は加熱による硬化の収縮等により接合面に間隙が生じる可能性があり、接触熱抵抗が大きくなるおそれがある。
【0083】
従って、実施例1によれば、発光装置10の発光素子30から生じる熱を効率的に放熱器80に伝導し、放熱器80から発光装置モジュール100の外部に放散することが可能となる。
【0084】
また、放熱器80は、ヒートシンクに限定されない。例えば、発光装置モジュール100が灯具として用いられる場合、放熱器80は、ブラケット、リフレクタ、筐体等であってもよい。言い換えれば、放熱器80は、放熱器そのものであっても良いし放熱器の機能を兼ねる固定具や筐体等の部材であってもよい。また、放熱器80は、発光装置10からの熱の放熱経路となる部材であってもよい。
【0085】
(発光装置モジュール100の製造方法)
発光装置モジュール100は、以下の方法で製造可能である。
【0086】
まず、回路基板70の上面に形成された電極配線71、73及び中間配線75の上面上にそれぞれ装置接合材78の原料ペーストであるはんだペーストを塗布する(行程1)。
【0087】
次に、予め溶射処理を施して絶縁層IN及びメタライズ層MEが形成された放熱器80の凹部80Fに放熱器接合材85の原料であるはんだペーストを充填する(行程2)。
【0088】
次に、回路基板70の回路基板貫通孔70Hと放熱器80の凹部80Fとが対応する位置で固定されるように、放熱器80を固定具PPで固定する(行程3)。
【0089】
次に、発光装置10の金属体20の突出部20Bを対応する回路基板貫通孔70Hに挿入しつつ突出部20Bの拡張部EXと装置接合材78の原料ペーストとを接触させ、かつ金属体20の突出部20Bの先端部分と放熱器接合材85の原料であるはんだペーストとを接触させる(行程4)。
【0090】
この状態の回路基板70をリフロー炉に投入し、装置接合材78の原料ペースト及び放熱器接合材85の原料であるはんだペーストを溶融させ、発光装置10と回路基板70及び放熱器80とを接合する(行程5)。
【0091】
以上の行程を行うことによって、発光装置モジュール100を製造可能である。
実施例1においては、放熱器80の上面に絶縁層IN及びメタライズ層MEが形成され、金属体20と放熱器80とが電気的に絶縁される場合について説明した。しかし、金属体20と放熱器80の絶縁構造はこれに限定されない。
実施例2においては、金属体20の突出部20Bの先端を含む部分の表面に絶縁層IN及びメタライズ層MEが形成されている点で実施例1と相違する。発光装置10Aの金属体20を除く構成については、実施例1と同様である。
金属体20の絶縁層INは、例えば、セラミック溶射によって形成できる。絶縁層INは、例えば、基板11に金属体20が圧入された後に、基板11の下面、拡張部EXを含む突出部20Bの上端の部分の側面を覆うような溶射マスクを介して、基板11の下方からAl2O3の溶射を行うことによって形成できる。絶縁層INをこのように形成することによって、金属である金属体20とセラミックである絶縁層INとは、接触熱抵抗が小さくなるように(極小となるように)接合されている。言い換えれば、金属体20と絶縁層INとの接合界面は、気密性を有する程に接合されている。これにより、金属体20と絶縁層INとの間の接触熱抵抗を小さくすることができる。
金属体20のメタライズ層MEは、例えば、金属溶射によって形成できる。メタライズ層MEは、金属体20と放熱器接合材85とを接合させるための接合層である。メタライズ層MEは、金属体20の突出部20Bにおいて、突出部20Bの下方の先端を含む部分でありかつ、絶縁層INの上端部よりも下方の先端部分の表面を覆うように形成されている。メタライズ層MEは、例えば、絶縁層INの表面からNi層及びAu層がこの順に積層されている。
メタライズ層MEは、例えば、絶縁層INが形成された後に、基板11の下面、絶縁層INの上端部分の側面を含む突出部20Bの上方の側面を覆うような溶射マスクを介して、基板11の下方からNi及びAuの順に溶射を行うことによって形成できる。メタライズ層MEをこのように形成することによって、セラミックである絶縁層INと金属であるメタライズ層MEとは、接触熱抵抗が小さくなるように(極小となるように)接合されている。言い換えれば、絶縁層INとメタライズ層MEとの接合界面は、気密性を有する程に接合されている。
絶縁層IN及びメタライズ層MEの溶射行程は、溶射基材(金属体20)にかかる温度が300℃未満であり、溶射マスクを介した基板11であるガラスエポキシに影響を及ぼさずに処理可能である。
なお、実施例2においては、金属体20を基板11に圧入した後に絶縁層IN及びメタライズ層MEの溶射行程を行う場合について説明したが、予め絶縁層IN及びメタライズ層MEが形成された金属体20を用意し、これを基板11に圧入してもよい。
実施例2においては、放熱器90の上面に形成された凹部90Fに絶縁層IN及びメタライズ層MEが形成されない点で実施例1と相違する。回路基板70の構成及び発光装置10と回路基板70との接合状態については実施例1と同様である。
発光装置10の金属体20の突出部20Bの先端部分のメタライズ層MEが形成されている部分は、回路基板貫通孔70Hを通り、放熱器90の凹部90Fの内部まで至っている。
放熱器90の凹部90Fには、はんだ等の金属を含む放熱器接合材85が充填され、金属体20の突出部20Bの先端部分に形成されたメタライズ層MEと放熱器90とが放熱器接合材85を介して接合されている。
実施例2の発光装置モジュール100Aにおいて、メタライズ層MEと放熱器90とは、接合時の加熱によって溶融状態を経た金属を含む放熱器接合材85によって接合されている。言い換えれば、放熱器接合材85によって、メタライズ層MEと放熱器90とが互いに溶着されている。
金属体20とメタライズ層MEとの間には、絶縁層INが介在している。よって、金属体20と放熱器90とは、互いに電気的に絶縁されている。すなわち、金属体20と放熱器80とは、絶縁層INを介して、放熱器接合材85によって電気的に互いに絶縁されつつも熱伝導性の優れた接合がなされる。
発光装置モジュール100Aは、発光装置10の発光素子30から放熱器90までの間において、樹脂材料等を含む熱伝導率の低い部材を用いない放熱経路を形成することができる。
従って、実施例2の発光装置モジュール100Aにおいても、発光装置10の発光素子30から生じる熱を効率的に放熱器90に伝導し、放熱器90から発光装置モジュール100Aの外部に放散することが可能となる。
なお、発光装置10が回路基板70に接合された状態において、絶縁層INは、金属体20の突出部20Bの先端から、回路基板70の上面から下方の部分までの表面に形成されることが好ましい。絶縁層INが金属体20の突出部20Bの先端から回路基板70の上面より上方、特に電極配線71、73及び中間配線75の各々の上面を超える部分までの表面に形成されている場合、金属体20と装置接合材78との接合面積が減少し、金属体20と装置接合材78との接合強度が低下する可能性があるためである。
また、発光装置10が回路基板70に接合された状態において、メタライズ層MEは、金属体20の突出部20Bの先端から、放熱器90の上面から上方の部分までの表面に形成されることが好ましい。メタライズ層MEが金属体20の突出部20Bの先端から放熱器90の上面より下方、特に凹部90Fの内側面を超えない部分の表面にしか形成されていない場合、金属体20と放熱器接合材85との接合面積が減少し、金属体20と放熱器接合材85との接合強度及び金属体20から放熱器90への熱伝導効率が低下する可能性があるためである。
また、絶縁層INの上端部とメタライズ層MEの上端部との間の距離、すなわち絶縁層INの露出部分の上端から下端までの距離は、リフロー時に溶融した装置接合材78と放熱器接合材85とが接触してブリッジを形成しないような距離が露出されることが好ましい。
なお、実施例1及び実施例2においては、金属体20の突出部20Bの拡張部EXより先端方向の部分がストレートピン形状である場合について説明した。しかし、金属体20の突出部20Bの形状はこれに限定されない。
例えば、突出部20Bは、突出部20Bの放熱器接合材85又は95に埋設される部分に、他の部分よりも大きなサイズとなる潰し部、球状部又は柱状部等の先端部を有していてもよい。また、先端部に代えて、突出部20Bの放熱器接合材85に埋設される部分に、切り欠き部又は粗面部を設けてもよい。
これらを設けることにより、金属体20の突出部20Bが放熱器接合材85又は95、ひいては放熱器80又は90からの抜けを防止することが可能となる。さらに、突出部20Bの放熱器接合材85又は95に埋設される部分の表面積が増加することにより、金属体20から放熱器80又は90により効率的に熱を伝導させることが可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、発光装置に含まれる半導体発光素子からの熱を効率的に外部に放散することが可能な発光装置及び発光装置モジュールを提供することが可能になる。