IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立アプライアンス株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039220
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240314BHJP
   F25D 23/00 20060101ALN20240314BHJP
【FI】
B65G1/137 A
F25D23/00 301L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143606
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】栗山 哲
(72)【発明者】
【氏名】林 正二
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 功一
(72)【発明者】
【氏名】京谷 浩平
(72)【発明者】
【氏名】淡路 友章
(72)【発明者】
【氏名】南野 智之
(72)【発明者】
【氏名】原 和規
【テーマコード(参考)】
3F522
3L345
【Fターム(参考)】
3F522BB01
3F522BB24
3F522CC05
3F522CC06
3F522CC09
3F522DD03
3F522DD23
3F522DD33
3F522EE02
3F522EE13
3F522FF02
3F522FF15
3F522FF35
3F522FF36
3F522GG27
3F522GG37
3F522HH30
3F522HH37
3L345AA02
3L345AA14
3L345AA21
3L345BB01
3L345BB02
3L345BB05
3L345DD51
3L345EE03
3L345EE13
3L345EE14
3L345EE32
3L345EE45
3L345EE53
3L345HH31
3L345HH36
3L345HH42
3L345JJ01
3L345JJ03
3L345JJ05
3L345JJ13
3L345JJ23
3L345KK01
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】回転扉貯蔵室と引出扉貯蔵室の特性の違いに基づき、それぞれの貯蔵室に対する入庫および出庫を高精度に判定できる貯蔵庫を提供する。
【解決手段】回転扉が設けられた貯蔵室である回転扉貯蔵室と、引出扉が設けられた引出扉貯蔵室と、を備える貯蔵庫において、前記貯蔵庫の庫内に設けられ、RFIDタグが庫内にあるか庫外にあるかの判定に用いられる庫内アンテナと、前記貯蔵庫の庫外に設けられ、前記RFIDタグが庫内にあるか庫内にあるかの判定に用いられる庫外アンテナと、前記引出扉貯蔵室への入庫の際に前記RFIDタグがかざされる入庫用アンテナと、前記引出扉貯蔵室からの出庫の際に前記RFIDタグがかざされる出庫用アンテナと、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転扉が設けられた貯蔵室である回転扉貯蔵室と、引出扉が設けられた引出扉貯蔵室と、を備える貯蔵庫において、
前記貯蔵庫の庫内に設けられ、RFIDタグが庫内にあるか庫外にあるかの判定に用いられる庫内アンテナと、
前記貯蔵庫の庫外に設けられ、前記RFIDタグが庫内にあるか庫内にあるかの判定に用いられる庫外アンテナと、
前記引出扉貯蔵室への入庫の際に前記RFIDタグがかざされる入庫用アンテナと、
前記引出扉貯蔵室からの出庫の際に前記RFIDタグがかざされる出庫用アンテナと、を備えることを特徴とする貯蔵庫。
【請求項2】
請求項1に記載の貯蔵庫において、
前記回転扉貯蔵室への入庫の際に、前記RFIDタグが前記入庫用アンテナにかざされた場合、前記庫外アンテナおよび前記庫内アンテナを用いた判定の結果に関わらず、前記回転扉貯蔵室に対する入庫と判定し、
前記回転扉貯蔵室からの出庫の際に、前記RFIDタグが前記出庫用アンテナにかざされた場合、前記庫外アンテナおよび前記庫内アンテナを用いた判定の結果に関わらず、前記回転扉貯蔵室に対する出庫と判定することを特徴とする貯蔵庫。
【請求項3】
請求項1に記載の貯蔵庫において、
前記回転扉が開放されてから閉鎖される期間に、前記RFIDタグを最後に読み取ったのが前記庫内アンテナの場合、前記RFIDタグは庫内にあると判定し、
前記回転扉が開放されてから閉鎖される期間に、前記RFIDタグを最後に読み取ったのが前記庫外アンテナの場合、前記RFIDタグは庫外にあると判定することを特徴とする貯蔵庫。
【請求項4】
請求項1に記載の貯蔵庫において、
前記RFIDタグが前記入庫用アンテナにかざされた後に前記引出扉が開放された場合、または、前記引出扉が開放された後に前記RFIDタグが前記入庫用アンテナにかざされた場合、
前記RFIDタグが入庫されたこと、および、入庫先が前記引出扉貯蔵室であること、を在庫リストに記録することを特徴とする貯蔵庫。
【請求項5】
請求項4に記載の貯蔵庫において、
前記引出扉が開放された後に前記RFIDタグが前記出庫用アンテナにかざされた場合、
前記RFIDタグが出庫されたことを前記在庫リストに記録することを特徴とする貯蔵庫。
【請求項6】
請求項1に記載の貯蔵庫において、
前記庫内アンテナ、前記庫外アンテナ、前記入庫用アンテナおよび前記出庫用アンテナの動作を時分割で切り替える切替器を、さらに備えることを特徴とする貯蔵庫。
【請求項7】
請求項1に記載の貯蔵庫において、
前記庫内アンテナは、前記回転扉貯蔵室の内側に設けられ、
前記入庫用アンテナおよび前記出庫用アンテナは、前記貯蔵庫の庫外に設けられることを特徴とする貯蔵庫。
【請求項8】
請求項7に記載の貯蔵庫において、
前記入庫用アンテナおよび前記出庫用アンテナは、前記回転扉の前面側に設けられることを特徴とする貯蔵庫。
【請求項9】
請求項7に記載の貯蔵庫において、
前記引出扉貯蔵室は、上段の引出扉貯蔵室と、下段の引出扉貯蔵室と、を有し、
前記入庫用アンテナおよび前記出庫用アンテナは、上段の引出扉貯蔵室の回転扉の前面側に設けられることを特徴とする貯蔵庫。
【請求項10】
回転扉が設けられた貯蔵室である回転扉貯蔵室と、引出扉が設けられた引出扉貯蔵室と、を備える貯蔵庫において、
前記貯蔵庫の庫内に設けられ、RFIDタグが庫内にあるか庫外にあるかの判定に用いられる庫内アンテナと、
前記貯蔵庫の庫外に設けられ、前記RFIDタグが庫内にあるか庫内にあるかの判定に用いられる庫外アンテナと、
前記引出扉貯蔵室に対する入庫または出庫の際に前記RFIDタグがかざされる入庫出庫両用アンテナと、
入庫か出庫かを特定する音声を認識するマイクと、を備えることを特徴とする貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
食材の過剰な家庭内在庫による食品ロスの低減に向けて、キッチンに保存される食材にRFID(Radio Frequency Identifier)タグを添付し、そのタグIDを元に在庫管理をする食材管理システムが提案されている。例えば、特許文献1には、「庫内に収容する食品に食品情報を記録したRF-IDタグを付して貯蔵する冷蔵庫において、冷蔵庫の庫内または冷蔵庫の庫内と庫外の双方にRF-IDタグリーダーを有すること」(請求項1)が記載されている。さらに、特許文献1には、「操作者は、RF-IDタグの付いたパッケージを冷蔵庫の庫内に単に入れるかまたはRF-IDタグリーダライタが冷蔵庫前面扉にある場合は、冷蔵庫前面にかざすだけで良い」(段落0010)との記載もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-319043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷蔵庫などの貯蔵庫の中には缶やアルミ蒸着袋など金属製容器に入った食材も保管されるが、一般的な流通用のRFIDタグを金属製容器に近づけるとRFIDタグが具備するアンテナの特性が劣化し、RFIDタグがリーダライタで読み取れない課題がある(第1の課題)。また、貯蔵庫に貯蔵される食材は水分を含む場合が多く、この食材の水分により電波が減衰することにより、RFIDタグがリーダライタで読みとれない課題がある(第2の課題)。
【0005】
さらに、発明者らの検討により、次のような課題も明らかとなった。家庭用の冷蔵庫では、回転扉貯蔵室に加えて引出扉貯蔵室も具備するものもある。このような冷蔵庫では、野菜室や冷凍室が引出扉貯蔵室に割り当てられることが一般的である。これは、貯蔵室内の空気を外部に逃がさないためや、貯蔵のし易さなどの利便性を高めるためである。しかし、引出扉貯蔵室は回転扉貯蔵室に比べて棚の数が相対的に少なく、また下方向に貯蔵する動作となるため、横方向に貯蔵する動作となる回転扉貯蔵室に比べて食材同志が密着した貯蔵状態になりやすい。したがって、引出扉貯蔵室においては、回転扉貯蔵室と比較して、前述の第1の課題および第2の課題がより顕著になると考えられる。
【0006】
一方、特許文献1に記載の技術は、あくまで回転扉貯蔵室の内外に設けられたアンテナによって、回転扉貯蔵室内に貯蔵される食材の在庫管理を意図したものである。
【0007】
本発明の目的は、回転扉貯蔵室と引出扉貯蔵室の特性の違いに基づき、それぞれの貯蔵室に対する入庫および出庫を高精度に判定できる貯蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するため、本発明は、回転扉が設けられた貯蔵室である回転扉貯蔵室と、引出扉が設けられた引出扉貯蔵室と、を備える貯蔵庫において、前記貯蔵庫の庫内に設けられ、RFIDタグが庫内にあるか庫外にあるかの判定に用いられる庫内アンテナと、前記貯蔵庫の庫外に設けられ、前記RFIDタグが庫内にあるか庫内にあるかの判定に用いられる庫外アンテナと、前記引出扉貯蔵室への入庫の際に前記RFIDタグがかざされる入庫用アンテナと、前記引出扉貯蔵室からの出庫の際に前記RFIDタグがかざされる出庫用アンテナと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回転扉貯蔵室と引出扉貯蔵室の特性の違いに基づき、それぞれの貯蔵室に対する入庫および出庫を高精度に判定できる貯蔵庫を提供することが可能となる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の発明を実施するための形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1に係る貯蔵庫の構造を示した鳥観図
図2】実施例1に係る貯蔵庫の回転扉貯蔵室に対する在庫判定動作を示したフロー図
図3A】実施例1に係る貯蔵庫の引出扉貯蔵室に対する在庫判定動作(入庫用アンテナがかざされた場合)を示したフロー図
図3B】実施例1に係る貯蔵庫の引出扉貯蔵室に対する在庫判定動作(出庫用アンテナがかざされた場合)を示したフロー図
図4】実施例1に係る(2022年1月2日17:00における)履歴リストの一例
図5A】実施例1に(2022年1月1日12:00における)係る在庫リストの一例
図5B】実施例1に(2022年1月1日13:00における)係る在庫リストの一例
図5C】実施例1に(2022年1月2日12:00における)係る在庫リストの一例
図5D】実施例1に(2022年1月2日12:02における)係る在庫リストの一例
図6A】実施例2に係る貯蔵庫の引出扉貯蔵室に対する在庫判定動作(入庫用アンテナがかざされた場合)を示したフロー図
図6B】実施例2に係る貯蔵庫の引出扉貯蔵室に対する在庫判定動作(出庫用アンテナがかざされた場合)を示したフロー図
図7】実施例3に係る貯蔵庫の回転扉貯蔵室に対する在庫判定動作を示したフロー図
図8】実施例4に係る貯蔵庫の回転扉貯蔵室に対する在庫判定動作を示したフロー図
図9】実施例5に係る貯蔵庫の回転扉貯蔵室に対する在庫判定動作を示したフロー図
図10】実施例6に係る貯蔵庫の構造を示した鳥観図
図11A】実施例7に係る貯蔵庫の入庫および出庫用アンテナの設置位置を示した平面図
図11B】実施例7の変形例に係る貯蔵庫の入庫および出庫用アンテナの設置位置を示した平面図
図12】実施例8に係る貯蔵庫の入庫および出庫用アンテナの設置位置を示した平面図
図13】実施例9に係る貯蔵庫の構造を示した鳥観図
図14】実施例9に係る貯蔵庫の引出扉貯蔵室に対する在庫判定動作を示したフロー図
図15】実施例10に係る貯蔵庫の構造を示した鳥観図
図16】実施例11に係る貯蔵庫の構造を示した鳥観図
図17】実施例11に係る入庫用アンテナの動作と扉状態の関係を示した表
図18】実施例12に係る貯蔵庫の構造を示した鳥観図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。実施例は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0012】
また、発明を実施するための形態では、貯蔵庫として冷蔵庫を例に説明するが、収納棚やストッカーなど他の貯蔵庫であっても構わない。
【0013】
同一あるいは同様の機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0014】
本明細書では、回転式の扉が設けられる貯蔵室を回転扉貯蔵室と称し、引出式の扉が設けられる貯蔵室を引出式貯蔵室と称する。
【実施例0015】
本発明の実施例1に係る貯蔵庫の構造ついて、図1を用いて説明する。
【0016】
図1は実施例1に係る貯蔵庫の構造を示した鳥観図である。1aは冷蔵庫本体であり、10は冷蔵庫本体1aが具備する回転扉貯蔵室であり、11は回転扉貯蔵室10を封止するための左側回転扉であり、12は回転扉貯蔵室10を封止するための右側回転扉であり、20は第1の引出扉貯蔵室であり、21は第2の引出扉貯蔵室であり、30は第3の引出扉貯蔵室であり、40は第4の引出扉貯蔵室であり、100は庫内アンテナであり、110aは庫外アンテナであり、200aは入庫用アンテナであり、210aは出庫用アンテナである。図1では、回転扉貯蔵室の左側回転扉11および右側回転扉12は閉鎖されており、第1~4の引出扉貯蔵室20~40も閉鎖されている状態を示している。300aは切替器であり、庫内アンテナ100と庫外アンテナ110aと入庫用アンテナ200aと出庫用アンテナ210aを同一の周波数チャネルで動作させる場合にアンテナの動作タイミングを時分割で切り替える機能を有する。この切替器300aの切り替え機能により、アンテナ間の干渉が防止できる。
【0017】
第1の引出扉貯蔵室20と第2の引出扉貯蔵室21は同一の高さ位置に設置され、第3の引出扉貯蔵室30は第1の引出扉貯蔵室20および第2の引出扉貯蔵室21より低い位置に設置され、第4の引出扉貯蔵室40は第3の引出扉貯蔵室30より低い位置に設置される。また、回転扉貯蔵室10は第1の引出扉貯蔵室20および第2の引出扉貯蔵室21より高い位置に設置される。ここで、回転扉貯蔵室10は冷蔵室であり、第1の引出扉貯蔵室20は製氷室であり、第2の引出扉貯蔵室21は冷凍室であり、第3の引出扉貯蔵室30は冷凍室であり、第4の引出扉貯蔵室40は野菜室である。なお、上記貯蔵室の分類は一例であり、第3の引出扉貯蔵室30が野菜室で、第4の引出扉貯蔵室40が冷凍室であっても構わない。
【0018】
入庫用アンテナ200aは、ユーザーがRFIDタグの貼付された食材を第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40に入庫する際にRFIDタグをかざしてRFIDタグを読み取る用途で用いられる。また、出庫用アンテナ210aは、ユーザーがRFIDタグの貼付された食材を第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40から出庫する際にRFIDタグをかざしてRFIDタグを読み取る用途で用いられる。
【0019】
庫内アンテナ100は回転扉貯蔵室10の庫内天井に設置され、庫外アンテナ110aは第1の引出扉貯蔵室20の引出扉の外側前面に設置され、入庫用アンテナ200aおよび出庫用アンテナ210aは左側回転扉11の外側前面に各々設置される。入庫用アンテナ200aおよび出庫用アンテナ210aが設置される高さは任意であって構わないが、冷蔵庫が設置される床面からの高さ120cm±30cmの位置に入庫用アンテナ200aおよび出庫用アンテナ210aの中心が位置するように設置することが望ましい。この設置位置が望ましい理由は、冷蔵庫を使用するユーザーの平均身長を157cmとした場合に、食材に貼付されたRFIDタグをアンテナにかざす動作をする場合にアンテナおよびRFIDタグが見やすい位置かつかざしやすい位置であるためである。
【0020】
なお、入庫用アンテナ200aまたは出庫用アンテナ210aの中心位置の、冷蔵庫が設置される床面からの高さは対象とするユーザーの平均身長に合わせて任意の値に変えることが望ましい。また、入庫用アンテナ200aおよび出庫用アンテナ210aのRFIDタグ読取領域はアンテナの正面方向の半径5cm程度以下と設定することが望ましい。
【0021】
次に、本発明の実施例1に係る在庫管理動作について、図2図5を用いて説明する。
【0022】
図2は回転扉貯蔵室10での在庫管理に関するシステム動作フローであり、図3Aおよび図3Bは第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40での在庫管理に関するシステム動作フローである。さらに、図3AはユーザーがRFIDタグを入庫用アンテナ200aにかざした場合のシステム動作フローであり、図3BはユーザーがRFIDタグを出庫用アンテナ210aにかざした場合のシステム動作フローである。図4は履歴リスト500の一例であり、図5A図5Dは在庫リスト510の一例である。
【0023】
図2において、回転扉貯蔵室10の左側回転扉11または右側回転扉12の少なくともいずれか一方が開放された場合(ステップS10)、庫外アンテナ110aおよび庫内アンテナ100がRFIDタグの読取動作を開始する(ステップS20、ステップS30)。左側回転扉11および右側回転扉12の両方が閉鎖された場合(ステップS40)、庫外アンテナ110aおよび庫内アンテナ100でのRFIDタグの読取動作を終了する(ステップS50、ステップS60)。続いて、在庫判定(ステップS70)が実施され、在庫判定(ステップS70)の結果を元に履歴リスト500が更新される(ステップS80)。さらに、履歴リスト500を元に在庫リスト510が更新される(ステップS90)。なお、上記ステップS20~ステップS70の一連の動作をフローF10とする。
【0024】
在庫判定(ステップS70)の詳細フローは次のとおりである。庫内アンテナ100および庫外アンテナ110aがRFIDタグの読取動作を行っている期間中において、最後にRFIDタグを読み取ったアンテナが庫内アンテナ100であった場合、RFIDタグは回転扉貯蔵室10内に存在すると判定し、逆に、最後にRFIDタグを読み取ったアンテナが庫外アンテナ110aであった場合、RFIDタグは回転扉貯蔵室10外に存在すると判定する(ステップS71~ステップS73)。
【0025】
次に、履歴リスト500と在庫リスト510の一例を図4および図5A~5Dを用いて説明する。
【0026】
図4は2022年1月2日17:00における履歴リスト500の一例である。履歴リスト500は少なくとも、在庫判定日時、読み取ったRFIDタグのID、貯蔵場所(冷蔵室、冷凍室、野菜室など)、庫内外判定を具備する。回転扉貯蔵室10(冷蔵室)では庫内アンテナ100および庫外アンテナ110aを用いて、回転扉が閉鎖されるたびに在庫判定が実施される。このため、回転扉貯蔵室10内に貯蔵し続けられるRFIDタグは、同RFIDタグが入庫されたタイミング以外に、他のRFIDタグが回転扉貯蔵室10に入庫または出庫された際に庫内アンテナ100で読み取られて在庫判定が実施される。したがって、同一タグIDに対する在庫判定結果の時系列情報が履歴リストには保存される。
【0027】
図3Aにおいて、入庫用アンテナ200aでRFIDタグが読み取られた場合(ステップS100)、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40のいずれかの開放状態を確認し、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40の全てが閉鎖されている場合、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40のいずれか一つが開放されるまで入庫用アンテナ200aを用いて読み取られたRFIDタグの読取情報を保存する(ステップS110、ステップS120)。一方、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40のいずれか一つが開放されている場合、開放された引出扉貯蔵室の名称(第2、第3、第4)を取得し、入庫用アンテナ200aを用いて読み取られたRFIDタグの読取情報に開放された引出扉貯蔵室の名称を付与する(ステップS110~ステップS140)。開放された引出扉貯蔵室が閉鎖された場合(ステップS150)、在庫判定が実施される(ステップS160)。在庫判定(ステップS160)ではRFIDタグが入庫用アンテナ200aで読み取られていることから、引出扉貯蔵室内にRFIDタグが存在すると判定し、かつ付与された開放された引出扉貯蔵室の名称(ステップS140)よりRFIDタグが存在する引出扉貯蔵室が第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40のいずれであるかを判定する。在庫判定(ステップS160)の結果を元に履歴リスト500が更新される(ステップS80)。さらに、履歴リスト500を元に在庫リスト510が更新される(ステップS90)。なお、上記ステップS110~ステップS160の一連の動作をフローF20とする。
【0028】
以上のシステム動作により、ユーザーがRFIDタグを入庫用アンテナ200aにかざす動作と引出扉貯蔵室を開閉する動作により、1個の入庫用アンテナ200aを用いてユーザーが第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40のうちどの貯蔵室にRFIDタグを入庫したかを認識できる。なお、例えば第2の引出扉貯蔵室21にRFIDタグを入庫する場合、ユーザーは第2の引出扉貯蔵室21の開放前または開放中にRFIDタグを入庫用アンテナ200aにかざす動作を行うため、在庫判定が実施されるタイミング(ステップS160)は第2の引出扉貯蔵室21が閉鎖後(ステップS150)であることが必然である。第3の引出扉貯蔵室30または第4の引出扉貯蔵室40に関しても同様である。
【0029】
図3Bにおいて、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40のいずれか一つが開放された状態において、出庫用アンテナ210aでRFIDタグが読み取られた場合(ステップS110、ステップS200)、開放された引出扉貯蔵室の名称(第2、第3、第4)を取得し、出庫用アンテナ210aを用いて読み取られたRFIDタグの読取情報に開放された引出扉貯蔵室の名称を付与する(ステップS210、ステップS220)。開放された引出扉貯蔵室が閉鎖されてから所定の時間が経過した場合(ステップS230)、在庫判定が実施される(ステップS240)。在庫判定(ステップS240)ではRFIDタグが出庫用アンテナ210aで読み取られていることから、引出扉貯蔵室外にRFIDタグが存在すると判定し、かつ付与された開放された引出扉貯蔵室の名称(ステップS220)よりRFIDタグが存在する引出扉貯蔵室が第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40のいずれであるかを判定する。在庫判定(ステップS240)の結果を元に履歴リスト500が更新される(ステップS80)。さらに、履歴リスト500を元に在庫リスト510が更新される(ステップS90)。なお、上記引出扉貯蔵室が閉鎖されてからの所定の時間はユーザーの冷蔵庫の使い方によって異なるため、ユーザーが設定できるようにしておくことが望ましい。また、上記ステップS210~ステップS240の一連の動作をフローF30とする。
【0030】
図5Aは2022年1月1日12:00における在庫リスト510aの一例である。在庫リスト510aは少なくとも、在庫判定日時、読み取ったRFIDタグのID、貯蔵場所(冷蔵室、冷凍室、野菜室など)、在庫状態(入庫、在庫、出庫)を具備する。タグIDが000000001のRFIDタグは図4に示した履歴リスト500において、2022年1月1日12:00に冷蔵室内に初めて存在することが記録されている。したがって、在庫リスト510aでは同IDのRFIDタグは2022年1月1日12:00に在庫状態が入庫と記録される。
【0031】
図5Bは2022年1月1日13:00における在庫リスト510bの一例である。図4に示した履歴リスト500において、2022年1月1日13:00にてタグIDが000000002と000000001の2つのRFIDタグが冷蔵庫内に存在することが記録されている。タグIDが000000002のRFIDタグに関しては、同日時に冷蔵庫内に初めて存在することが記録されている一方で、タグIDが000000001のRFIDタグに関しては、冷蔵庫内に存在するという記録は2回目である。したがって、タグIDが000000002のRFIDタグは2022年1月1日13:00に在庫状態が入庫と記録される。一方、タグIDが000000001のRFIDタグは2022年1月1日12:00に在庫状態が在庫と記録される。つまり、冷蔵庫内に貯蔵し続けられているRFIDタグに対しては、最初に冷蔵庫内にRFIDタグが存在することが記録された(つまりRFIDタグが入庫された)日時を記録する。
【0032】
図5Cは2022年1月2日12:00における在庫リスト510cの一例であり、図5Dは2022年1月2日12:02における在庫リスト510dの一例である。回転扉貯蔵室10(冷蔵室)と同様に第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40(冷凍室および野菜室)に対しても、図5Aおよび5Bを用いて説明した記録方式で在庫判定日時、貯蔵場所、在庫状態が記録される。ただし、回転扉貯蔵室10とは異なり第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40へ入庫するRFIDタグはユーザーが入庫用アンテナ200aにかざすことで読み取られるため、履歴リスト500において庫内外判定が内と記録される回数は1回である。そこで、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40においては、RFIDタグの在庫判定が実施された後に回転扉貯蔵室10または第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40が開放されたタイミングで在庫状態を在庫と変更する動作が望ましい。なお、在庫リスト510に記録された貯蔵室が開放されたタイミングで在庫状態を在庫と変更する動作としても構わない。また、いずれの状況で在庫状態を入庫から在庫に変更するかをユーザーが設定できるようにしても構わない。
【0033】
加えて、図5Dに示したとおり、図4に示した履歴リスト500にてタグIDが000000001のRFIDタグが2022年1月2日17:00において冷蔵庫外に存在することが記録されているため、在庫リスト510dでは2022年1月2日17:00に在庫状態が出庫と記録される。
【0034】
なお、本実施例では図示していないが、RFIDタグのIDの詳細内容(メーカー、商品名、消費期限など)を保存しているデータベースを照会して、在庫リスト510にIDの詳細内容を追加またはIDと置換してユーザーに提示する機能を具備しても良い。なお、IDの詳細内容のいずれを提示するようにするかをユーザーが設定できるようにすることが望ましい。
【0035】
以上の図2図3A図3Bに示した3つのシステム動作により、回転扉貯蔵室10では、ユーザーがRFIDタグ(が貼付された食材)を回転扉貯蔵室10に入庫または出庫する動作のみで在庫管理が可能となり、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40では、ユーザーがRFIDタグを入庫用アンテナ200aまたは出庫用アンテナ210aにかざす動作と引出扉貯蔵室を開閉する動作により、RFIDタグが貼付された食材が冷蔵庫の内または外に存在することが認識されると同時に同食材がどの貯蔵室に存在するかの認識が可能となる。さらに図4および図5A図5Dに示した履歴リストおよび在庫リストを用いた記録により、入庫された日時情報も取得できるため、冷蔵室内での在庫管理が可能となる。
【0036】
以上の貯蔵庫の構造および動作より、本実施例では次の効果が得られる。引出扉貯蔵室において、ユーザーがRFIDタグを入庫用アンテナ200aまたは出庫用アンテナ210aにかざす動作を行うことにより、RFIDタグを読み取る確度が理想的には100%にできるため、在庫判定の確度が100%に向上できる効果がある。また、回転扉貯蔵室ではユーザーがRFIDタグ(が貼付された食材)を回転扉貯蔵室に入庫または出庫する動作のみで在庫管理が可能となるため、冷蔵庫に食材を貯蔵する用途においてユーザーの利便性を損ねないという効果がある。
【0037】
なお、本実施例では、庫内アンテナ100は回転扉貯蔵室10の庫内天井に設置する配置を例に挙げて説明したが、庫内天井ではなく側面や下面などに設置しても構わない。また、庫内アンテナ100の個数も1個ではなく複数であって構わない。
【0038】
また、本実施例では、庫内アンテナ100および庫外アンテナ110aでのRFIDタグの読取動作が終了するタイミングは左側回転扉11および右側回転扉12の両方が閉鎖されたタイミングを例に挙げて説明したが、両方の扉が閉鎖されてから所定の時間が経過した後に終了しても構わない。また、庫内アンテナ100と庫外アンテナ110aでのRFIDタグの読取動作の終了するタイミングは異なっても構わない。例えば、回転扉貯蔵室10に貯蔵されているRFIDタグの在庫判定確度を高めるには、RFIDタグの読取動作が終了するタイミングは庫内アンテナ100の方が庫外アンテナ110aより遅い方が望ましい。また逆に、回転扉貯蔵室10から出庫されたRFIDタグの出庫判定確度を高めるには、RFIDタグの読取動作が終了するタイミングは庫外アンテナ110aの方が庫内アンテナ100より遅い方が望ましい。
【0039】
また、本実施例では、第1の引出扉貯蔵室20は冷蔵庫本体1aが生成した氷を貯蔵する製氷室と仮定しており、製氷室内に貯蔵される氷にはRFIDタグを貼付した在庫管理は不要であるため、在庫管理を実施する貯蔵室からは除外したが、他の引出扉貯蔵室と同様の在庫管理を行っても構わない。
【0040】
また、本実施例では在庫リスト510が具備する在庫状態として、入庫と出庫と在庫の3種類を示したが、入庫(または在庫)と出庫の2種類であっても構わない。
【0041】
また、本実施例では在庫リスト510に記録する在庫判定日時はRFIDタグを冷蔵庫に入庫した日時を記録するとしたが、最新の在庫判定が実施された日時を記録しても構わない。さらに、記録する日時をユーザーが変更できるようにしても構わない。
【実施例0042】
本発明の実施例2に係る貯蔵庫の動作ついて、図6を用いて説明する。
【0043】
図6Aは入庫用アンテナ200aでRFIDタグが読み取られた場合の第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40での在庫管理に関するシステム動作フローであり、図6Bは出庫用アンテナ210aでRFIDタグが読み取られた場合の第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40での在庫管理に関するシステム動作フローである。
【0044】
図6Aにおいて、入庫用アンテナ200aでRFIDタグが読み取られた場合(ステップS100)にフローF20が実施されるシステム動作フローは実施例1にて説明した図3Aと同様である。フローF20が実施された後、在庫リスト510に入庫用アンテナ200aでのRFIDタグ読取情報に含まれるタグIDが存在し、かつ在庫リスト510における記録が入庫または在庫である場合、ユーザーが本来出庫用アンテナ210aにRFIDタグをかざす動作をすべきところを間違って入庫用アンテナ200aにかざしたと判断し、ユーザーにアラートを通知する(ステップS300、ステップS310)。一方、在庫リスト510に入庫用アンテナ200aでのRFIDタグ読取情報に含まれるタグIDが存在しない場合、または在庫リスト510における記録が入庫または在庫ではない場合、履歴リスト500の更新が更新され、さらに在庫リスト510が更新される(ステップS300、ステップS80、ステップS90)。
【0045】
図6Bにおいて、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40のいずれか一つが開放された状態において、出庫用アンテナ210aでRFIDタグが読み取られた場合(ステップS200、ステップS210)にフローF30が実施されるシステム動作フローは実施例1にて説明した図3Bと同様である。フローF30が実施された後、在庫リスト510に入庫用アンテナ200aでのRFIDタグ読取情報に含まれるタグIDが存在し、かつ在庫リスト510における記録が入庫または在庫である場合、履歴リスト500の更新が更新され、さらに在庫リスト510が更新される(ステップS300、ステップS80、ステップS90)。一方、在庫リスト510に入庫用アンテナ200aでのRFIDタグ読取情報に含まれるタグIDが存在しない場合、または在庫リスト510における記録が入庫または在庫ではない場合、ユーザーが本来入庫用アンテナ200aにRFIDタグをかざす動作をすべきところを間違って出庫用アンテナ210aにかざしたと判断し、ユーザーにアラートを通知する(ステップS300、ステップS310)。
【0046】
本実施の形態では、ユーザーが出庫動作をしているにも関わらず入庫用アンテナ200aにRFIDタグをかざしてしまうという間違いをユーザーに通知することで、ユーザーに再度正しい動作(出庫用アンテナ210aにタグをかざす)を促すことができるため、在庫判定の確度を向上できるという効果がある。また、ユーザーが入庫動作をしているにも関わらず出庫用アンテナ210aにRFIDタグをかざしてしまうという間違いをユーザーに通知することで、ユーザーに再度正しい動作(入庫用アンテナ200aにタグをかざす)を促すことができるため、在庫判定の確度を向上できるという効果がある。
【0047】
なお、ユーザーがかざしたアンテナが正しい場合は、ユーザーにアラート通知後にユーザーが強制的に在庫判定結果を確定させる機能を有しても構わない。この場合、ユーザーによる在庫判定結果のダブルチェックが可能となった状態であり、在庫判定の確度をさらに向上することが可能となる。
【実施例0048】
本発明の実施例3に係る貯蔵庫の動作ついて、図7を用いて説明する。
【0049】
実施例1と同様、本実施例の貯蔵庫は、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40に対しては、ユーザーが入庫用アンテナ200aまたは出庫用アンテナ210aにRFIDタグをかざす動作を伴う在庫管理方法を有している。一方、回転扉貯蔵室10に対しては庫内アンテナ100および庫外アンテナ110aを用いて在庫管理を行うため、ユーザーがRFIDタグをアンテナにかざす動作を伴わない在庫管理方法を有している。しかし、回転扉貯蔵室10への食材入出庫時にユーザーが入庫用アンテナ200aまたは出庫用アンテナ210aにRFIDタグをかざす動作をするケースも想定される。本実施例の貯蔵庫は、このようなユーザー動作に対応した機能を有する。
【0050】
図7は回転扉が開放された場合の回転扉貯蔵室10に対する在庫判定に関するシステム動作フローである。図7において、回転扉貯蔵室10の左側回転扉11または右側回転扉12のいずれか一つ以上が開放された場合、前述したフローF10が実施される(ステップS10、フローF10)。
【0051】
並行して、入庫用アンテナ200aでRFIDタグが読み取られた場合、前述したフローF20が実施される(ステップS10、ステップS100、フローF20)。ただし、前述したフローF20は、引出扉貯蔵室への入庫の際にRFIDタグが入庫用アンテナにかざされた場合を前提としている。したがって、本実施例においてフローF20を実施する際には、前述したフローF20における引出扉に関する動作は、回転扉に関する動作に差し替えられる。
【0052】
さらに並行して、入庫用アンテナ200aでRFIDタグが読み取られず出庫用アンテナ210aでRFIDタグが読み取られた場合、前述したフローF30が実施される(ステップS10、ステップS100、ステップS210、フローF30)。ただし、前述したフローF30は、引出扉貯蔵室からの出庫の際にRFIDタグが出庫用アンテナにかざされた場合を前提としている。したがって、本実施例においてフローF30を実施する際には、前述したフローF30における引出扉に関する動作は、回転扉に関する動作に差し替えられる。
【0053】
フローF10のみが実施された場合、フローF10とフローF20とが実施された場合、またはフローF10とフローF30とが実施された場合、在庫判定結果の調停が実施される(ステップS400)。さらに、履歴リスト500が更新され、続いて在庫リスト510が更新される。
【0054】
ステップS400の詳細を説明する。フローF10のみが実施された場合、ステップS400ではフローF10にて生成された在庫判定結果を選択する。一方、フローF10とフローF20とが実施された場合はフローF20にて生成された在庫判定結果を、フローF10とフローF30とが実施された場合はフローF30にて生成された在庫判定結果を各々選択する。これは、ユーザーがRFIDタグをアンテナにかざして入庫または出庫するという意思を優先することで、在庫判定結果をユーザーが理解し易くするためである。
【0055】
ただし、ユーザーが意図せずRFIDタグを読み取らせるアンテナを間違える危険性が高い場合は、上記いずれの場合においてもフローF10にて生成された在庫判定結果を選択して構わない。また、いずれの在庫判定結果を選択するかをユーザーが設定できるようにしても構わない。
【0056】
本実施例では、回転扉貯蔵室10にRFIDタグが貼付された食材を入庫または出庫する際に、ユーザーがRFIDタグを入庫用アンテナ200aまたは出庫用アンテナ210aにかざし、入庫用アンテナ200aまたは出庫用アンテナ210aでRFIDタグが読み取られるケースにおいても回転扉貯蔵室10における在庫管理が可能となるという効果がある。
【実施例0057】
本発明の実施例4に係る貯蔵庫の動作ついて、図8を用いて説明する。
【0058】
本実施例の貯蔵庫は、ユーザー動作に対応した機能として、実施例3で述べた機能に加え、さらに以下の機能を有する。
【0059】
図1に示したとおり、入庫用アンテナ200aは回転扉貯蔵室10の左側回転扉11の先端側に設置され、出庫用アンテナ210aは左側回転扉11のヒンジ側に設置される。このようなアンテナの配置により、入庫時および出庫時におけるRFIDタグが貼付された食材の動線(食材が移動する経路)が短くなり、ユーザーの利便性が高まる。特に、短時間の間に多くの食材が冷蔵庫の内と外を移動するケースは出庫よりも入庫の方が多いと推定される。具体的には、買い物から帰ってきて食材を冷蔵庫に貯蔵する場合、食材が外気温にさらされている時間を極力短くするために、ユーザーは多くの食材を短時間で冷蔵庫に入庫する。一方、調理などの際に食材を冷蔵庫から取り出す場合は、個々の食材が外気温にさらされている時間を極力短くするために、ユーザーは出庫する食材の数を限定する。このような理由から、入庫用アンテナ200aは出庫用アンテナ210aに比べて扉先端に近い側に設置されることが望ましい。ただし、このようなアンテナ配置の場合、出庫時には食材の動線が入庫用アンテナ200aのRFIDタグ読取領域と重なるため、ユーザーが出庫用アンテナ210aにRFIDタグをかざす前に入庫用アンテナ200aがRFIDタグを読み取る可能性がある。つまり、食材の動線が入庫用アンテナ200aの読取領域と重なるため、ユーザーが意図せずにRFIDタグが入庫用アンテナ200aで読み取られるという誤読取の可能性がある。
【0060】
図8は回転扉が開放された場合の回転扉貯蔵室10に対する在庫判定に関するシステム動作フローである。図8において、ステップS10、ステップS100、ステップS210からなるシステム動作フローは実施例3と同様である。入庫用アンテナ200aでRFIDタグが読み取られた後に出庫用アンテナ210aでRFIDタグが読み取られた場合(ステップS100、ステップS210)、ステップS100において入庫用アンテナ200aでRFIDタグが読み取られた時刻とステップS210において出庫用アンテナ210aでRFIDタグが読み取られた時刻の差が所定の時間以内であるかの判定が実施されると同時に、読み取られたRFIDタグのタグIDが同一であるかの判定が実施される(ステップS410)。ステップS410の判定がYESの場合、入庫用アンテナ200aで読み取られたRFIDタグの情報は、ユーザーが意図せずにRFIDタグが入庫用アンテナ200aで読み取られた誤読取と推定されるため、ステップS100で得られたRFIDタグ読取情報を破棄する(ステップS420)。一方、ステップS410の判定がNOの場合はユーザーが意図してRFIDタグを入庫用アンテナ200aにかざして入庫用アンテナ200aがRFIDタグを読み取ったと推定されるため、ステップS100で得られたRFIDタグ読取情報はフローF20に、ステップS210で得れたRFIDタグ読取情報はフローF30に各々入力される(ステップS430)。在庫判定結果の調停(ステップS400)、履歴リストの更新(ステップS80)、在庫リストの更新(ステップS90)からなる動作フローは実施例3と同様である。
【0061】
本実施例では、回転扉貯蔵室10にRFIDタグが貼付された食材を入庫する際に、ユーザーが食材を入庫する動線を最短にできるため、入庫用アンテナ200aにユーザーがRFIDタグをかざす動作が必要であってもユーザー利便性を損ねないという効果がある。また、RFIDタグが貼付された食材の動線が入庫用アンテナ200aのRFIDタグ読取領域と重なることによるRFIDタグの誤読取を防ぐことができるため、回転扉貯蔵室10に対する在庫管理の確度の向上が可能になるという効果がある。
【0062】
なお、入庫用アンテナ200aと出庫用アンテナ210aの設置位置が左右逆の場合は、ステップS100とステップS210との順を逆とし、ステップS420にてステップS210で得られたRFIDタグ読取情報を破棄するシステム動作フローとすることで同様の効果が得られる。
【0063】
また、入庫用アンテナ200aと出庫用アンテナ210aとが縦方向に並ぶように設置しても構わない。この場合、回転扉貯蔵室10からRFIDタグが貼付された食材を出庫する際の食材の動線がさらに短くできるため、ユーザー利便性を損ねないという効果がある。なお、この場合、RFIDタグが貼付された食材を持ったまま回転扉貯蔵室10の左側回転扉11下部に設置された取手を持って扉の開放または開放中の扉を支持する場合があるため、入庫用アンテナ200aは出庫用アンテナ210aより低い位置にあることが望ましい。これにより、入庫時に出庫用アンテナ210aでRFIDタグが読み取られる誤読取を防ぐことができ、回転扉貯蔵室10に対する在庫管理の確度の向上が可能になるという効果がある。
【0064】
また、本実施例ではステップS410およびステップS420からなるフローF40を在庫判定より前に実施したが、在庫判定結果の調停(ステップS400)で実施しても構わない。
【実施例0065】
本発明の実施例5に係る貯蔵庫の動作ついて、図9を用いて説明する。
【0066】
冷蔵庫本体1aは、外箱と内箱の間や貯蔵室扉内に、金属蒸着層で形成された外包材にグラスウールなどの芯材を封入した真空断熱材が配置されている。したがって、回転扉貯蔵室10の内側に設置された庫内アンテナ100から放射された電波は、真空断熱材によって反射されることになるる。しかし、冷蔵庫本体1aは、真空断熱材の配置されていない部分も存在するため、庫内アンテナ100から放射された電波の一部は、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30,40に伝搬する可能性もある。本実施例の貯蔵庫は、庫内アンテナ100が、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30,40に存在するRFIDタグを意図せず読み取ってしまった場合に対応する機能を有する。
【0067】
図9は回転扉貯蔵室10での在庫管理に関するシステム動作フローである。図9において、回転扉貯蔵室10の左側回転扉11または右側回転扉12の少なくともいずれか一方が開放された場合(ステップS10)、フローF10が実施される。フローF10にて生成された在庫判定結果と在庫リスト510とを比較し、フローF10にて生成された在庫判定結果に含まれるタグIDと同一のタグIDが在庫リスト510に存在し、かつ同タグIDの貯蔵場所が第2~第4の引出扉貯蔵室(冷凍室または野菜室)のいずれかである場合、フローF10に含まれた同タグIDに関するRFIDタグ読取情報と在庫判定結果を破棄する(ステップS500、ステップS510)。履歴リストの更新(ステップS80)、在庫リストの更新(ステップS90)からなる動作フローは実施例1~4と同様である。
【0068】
フローF10では回転扉貯蔵室10以外は開放されないため、回転扉貯蔵室10以外に存在するRFIDタグの貯蔵場所は変更されない。したがって、本実施例では、庫内アンテナ100が回転扉貯蔵室10以外の貯蔵室に存在するRFIDタグを読み取った場合、回転扉貯蔵室10以外の貯蔵室に存在するRFIDタグの貯蔵場所に関する在庫判定の確度を向上できる効果がある。
【実施例0069】
本発明の実施例6に係る貯蔵庫の構造ついて、図10を用いて説明する。
【0070】
図10は実施例6に係る貯蔵庫の構造を示した鳥観図である。110bは庫外アンテナであり、冷蔵庫本体1aの上部、具体的には外箱の天面の前側端部に設置される。その他の構造および動作は実施例1と同様である。
【0071】
本実施例では、庫外アンテナ110bが冷蔵庫本体1aに設置される構造であるため、庫外アンテナ110aが第1の引出扉貯蔵室20の引出扉に設置される実施例1に比べて、庫外アンテナ110bへの給電線路の設置が容易になり、低コスト化が可能になる効果がある。
【実施例0072】
本発明の実施例7に係る貯蔵庫の構造ついて、図11Aおよび11Bを用いて説明する。
【0073】
図11Aは実施例7に係る貯蔵庫を正面方向から見た平面図であり、図11Bは実施例7の変形例に係る貯蔵庫を正面方向から見た平面図である。図11Aにおいて、200bは入庫用アンテナであり、210bは出庫用アンテナであり、入庫用アンテナ200bおよび出庫用アンテナ210bは第1の引出扉貯蔵室20の外側前面に設置される。図11Bにおいて、200cは入庫用アンテナであり、210cは出庫用アンテナであり、入庫用アンテナ200cおよび出庫用アンテナ210cは第2の引出扉貯蔵室21の外側前面に設置される。
【0074】
実施例7およびその変形例では、入庫用アンテナ200bまたは200cおよび出庫用アンテナ210bまたは210cを、第1の引出扉貯蔵室20または第2の引出扉貯蔵室21の外側に設置する構造である。このため、回転扉貯蔵室10を含むいずれの貯蔵室に食材を入庫または出庫する際にも、入庫用または出庫用アンテナの正面方向が変わらないため、ユーザーがRFIDタグを入庫用または出庫用アンテナにかざす動作が容易になるという効果がある。
【0075】
ここで、実施例1で述べたとおり、製氷室に貯蔵する食材は在庫管理が不要である。したがって、製氷室の機能を有する貯蔵室を第1の引出扉貯蔵室20に設定する場合は、図11Aの構造が望ましい。逆に、製氷室の機能を有する貯蔵室を第2の引出扉貯蔵室21に設定する場合は、図11Bの構造が望ましい。
【実施例0076】
本発明の実施例8に係る貯蔵庫の構造ついて、図12を用いて説明する。
【0077】
図12は実施例8に係る貯蔵庫を正面方向から見た平面図である。図12において、200dは入庫用アンテナであり、210dは出庫用アンテナであり、入庫用アンテナ200dは回転扉貯蔵室10の右側回転扉12の外側前面に設置され、出庫用アンテナ210dは回転扉貯蔵室10の左側回転扉11の外側前面に設置される。
【0078】
本実施例では、第2の引出扉貯蔵室21にRFIDタグが貼付された食材を入庫する際に、ユーザーが入庫用アンテナ200dにRFIDタグをかざした後に食材を第2の引出扉貯蔵室21に入庫する動線が出庫用アンテナ210dのRFIDタグ読取領域と重ならないため、ユーザーが意図せずRFIDタグを出庫用アンテナ210dで読み取らせてしまうことによる在庫判定間違いの確率を低下できる効果がある。また、第2の引出扉貯蔵室21からRFIDタグが貼付された食材を出庫する際に、ユーザーが食材を第2の引出扉貯蔵室21から出庫した後に出庫用アンテナ210dにRFIDタグをかざす動線(食材が移動する経路)が入庫用アンテナ200dのRFIDタグ読取領域と重ならないため、ユーザーが意図せずRFIDタグを入庫用アンテナ200dで読み取らせてしまうことによる在庫判定間違いの確率を低下できる効果がある。
【0079】
なお、本実施例では入庫用アンテナ200dを回転扉貯蔵室10の右側回転扉12の外側に設置し、出庫用アンテナ210dを回転扉貯蔵室10の左側回転扉11の外側に設置したが、逆の位置であっても構わない。また、どちらの扉にどちらのアンテナを設定するかをユーザーが設定できるようにしても構わない。
【実施例0080】
本発明の実施例9に係る貯蔵庫の構造および動作ついて、図13および図14を用いて説明する。
【0081】
図13は実施例9に係る貯蔵庫の構造を示した鳥観図である。図13において、220は手動読取用アンテナ(入庫出庫両用アンテナ)であり、300bは切替器であり、400は音声認識用のマイクである。手動読取用アンテナ220は、ユーザーがRFIDタグの貼付された食材を第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40に入庫する際または第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40から出庫する際に、RFIDタグをかざしてRFIDタグを読み取る用途で用いられる。切替器300bは、庫内アンテナ100と庫外アンテナ110aと手動読取用アンテナ220を同一の周波数チャネルで動作させる場合にアンテナの動作タイミングを時分割で切り替える機能を有する。
【0082】
図13において、手動読取用アンテナ220およびマイク400は回転扉貯蔵室10の左側回転扉11の外側前面に設置されているが、ユーザーがRFIDタグを手動読取用アンテナ220にかざす動作を阻害しにない任意の位置であって構わない。また、ユーザーが発する音声を取得しやすい任意の位置であって構わない。
【0083】
図14は実施例9における引出扉貯蔵室での在庫管理に関するシステム動作フローである。図14では、ユーザーが音声を発してからRFIDタグを手動読取用アンテナ220にかざす動作を想定している。
【0084】
図14において、ユーザーが発した音声が「入庫」または「出庫」など事前に登録された指令音声であることを認識し(ステップS600)、手動読取用アンテナ220でRFIDタグが読み取られた場合(ステップS610)、ステップS610で得られたRFIDタグ読取情報にステップS600で認識された指令音声認識結果(「入庫」または「出庫」)を付与する(ステップS620)。第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40のいずれか一つが開放されていない場合、ステップS620で生成された指令音声認識結果が付与されたRFIDタグ読取情報は第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40のいずれか一つが開放されるまで保存される(ステップS200、ステップS120)。一方、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40のいずれか一つが開放されている場合、開放された貯蔵室の情報(第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40)を取得し(ステップS210)、ステップS620で生成された指令音声認識結果が付与されたRFIDタグ読取情報に開放された貯蔵室の情報を付与する(ステップS220)。さらに、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40が閉鎖された(ステップS110)後、ステップS600で得られた指令音声認識結果が「入庫」である場合、在庫判定を実施する(ステップS630、ステップS640)。一方、ステップS600で得られた指令音声認識結果が「出庫」である場合、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40が閉鎖されてから所定の時刻が経過するまではステップS600~ステップS630のシステム動作が繰り返され、所定の時間が経過した場合、在庫判定が実施される(ステップS230、ステップS640)。ステップS640の在庫判定では、ステップS600で得られた指令音声認識結果が「入庫」である場合は冷蔵庫の中にRFIDが存在すると判定し、逆にステップS600で得られた指令音声認識結果が「出庫」である場合は冷蔵庫の外にRFIDが存在すると判定する。また、ステップS210で得られた開放された貯蔵室の情報が貯蔵場所として判定される。履歴リストの更新(ステップS80)、在庫リストの更新(ステップS90)からなる動作フローは実施例1~5と同様である。
【0085】
本実施例では、ユーザーの音声情報を用いてRFIDタグが貯蔵室の内または外に存在することを認識できるため、アンテナの数を少なくすることが可能となる効果がある。さらに、アンテナが1個になることにより、実施例2、4、5で述べたような、ユーザーが異なるアンテナにRFIDタグをかざした間違い、あるいはユーザーが意図せずに異なるアンテナにRFIDタグをかざしてしまいアンテナがRFIDタグを誤読取してしまうケースがなくなるため、在庫判定の確度の向上が可能になる効果がある。
【0086】
なお、本実施例では、ユーザーが音声を発してからRFIDタグを手動読取用アンテナ220にかざす動作について説明したが、逆にRFIDタグを手動読取用アンテナ220にかざしてから音声を発する、またはRFIDタグを手動読取用アンテナ220にかざす動作と音声を発するのが同タイミングであっても同様の効果が得られることは自明である。
【0087】
また、本実施例では、ユーザーが発する音声に対して認識できる指令音声を「入庫」または「出庫」を例に挙げて説明したが、任意の単語もしくは文章であって構わない。また、ユーザーが任意に指令音声を設定できるようにしても構わない。さらに、入庫先または出庫元となる貯蔵室を音声によって指令できるようにしても構わない。例えば、冷蔵室と野菜室または冷凍室など複数の貯蔵室が開放されている場合には、ユーザーが対象の貯蔵室を音声で特定できると、利便性が向上する。
【0088】
また、本実施例では、「入庫」または「出庫」の音声指令をRFIDタグごとにユーザーが発することを想定して説明したが、複数のRFIDタグを手動読取用アンテナ220にかざす場合、「全部入庫」「まとめて入庫」などの音声指令をユーザーが発するようにしても良い。これにより、複数の食材を連続して入庫または出庫する際に、RFIDタグに対する音声指令の回数を少なくでき、ユーザーの利便性が向上する。
【0089】
また、本実施の形態では、「入庫」または「出庫」の情報を得るために音声情報を用いたが、機械的なボタンやタッチパネルを用いたユーザーによる情報入力、カメラや静電容量センサを用いたユーザーのジェスチャ検出など異なる手段であっても構わない。また、カメラやTOF(Time of Flight)センサなどを用いてユーザーが食材を手に持っているか否かという情報と、ユーザーの手の移動方向の情報を検出し、これらの検出結果の時系列順序より「入庫」または「出庫」というユーザー動作を判定しても構わない。
【実施例0090】
本発明の実施例10に係る貯蔵庫の構造ついて、図15を用いて説明する。
【0091】
図15は実施例10に係る貯蔵庫の構造を示した鳥観図である。1bは冷蔵庫本体であり、13aは回転扉貯蔵室10の回転扉であり、200eは入庫用アンテナであり、210eは出庫用アンテナである。本実施例の貯蔵庫は、実施例1~4および実施例9と異なり、回転扉貯蔵室10に設けられる回転扉が1枚である。入庫用アンテナ200eおよび出庫用アンテナ210eは回転扉13aの外側前面に設置され、入庫用アンテナ200eの方が出庫用アンテナ210eに比べて回転扉13aの先端側に設置される。この配置が望ましい理由は実施例4にて述べたとおりである。
【0092】
本実施例のように、回転扉貯蔵室10に設けられる回転扉が1枚の場合であっても、実施例4と同様の効果がある。
【実施例0093】
本発明の実施例11に係る貯蔵庫の構造および動作について、図16および図17を用いて説明する。
【0094】
図16は実施例11に係る貯蔵庫の構造を示した鳥観図である。13bは回転扉貯蔵室10に設けられる1枚の回転扉であり、14aは回転扉13bの左側上部の支点となるヒンジであり、14bは回転扉13bの右側上部の支点となるヒンジであり、200fおよび200gは入庫用アンテナであり、210fは出庫用アンテナであり、410aはヒンジ14aの下側の面に設置された磁石であり、410bはヒンジ14bの下側の面に設置された磁石であり、420aは回転扉13bの上側の面の左側に設置された磁気センサであり、420bは回転扉13bの上側の面の右側に設置された磁気センサである。300cは切替器であり、庫内アンテナ100と庫外アンテナ110aと入庫用アンテナ200fと入庫用アンテナ200gと出庫用アンテナ210fを同一の周波数チャネルで動作させる場合にアンテナの動作タイミングを時分割で切り替える機能を有する。
【0095】
本実施例では、実施例10とは異なり、回転扉貯蔵室10に設けられる回転扉13bが左右どちらの方向にも開く構造となっている。つまり、図16では回転扉13bの左側を支点として右側が開放した状態を示しているが、この逆の動作も可能である。
【0096】
入庫用アンテナ200fは回転扉13bの左端側に設置され、入庫用アンテナ200gは回転扉13bの右端側に設置され、出庫用アンテナ210fは回転扉13bの左右中央位置に設置される。
【0097】
磁石410aと磁気センサ420aとは、回転扉13bが閉鎖された状態では相対する位置に設置される。同様に、磁石410bと磁気センサ420bとは、回転扉13bが閉鎖された状態では相対する位置に設置される。このような配置により、回転扉13bの右側が開放された場合、磁石410bと磁気センサ420bの距離が長くなり、磁気センサ420bから出力される電圧が変化するため回転扉13bの右側が開放されたことが検知できる。逆に、回転扉13bの左側が開放された場合、磁石410aと磁気センサ420aの距離が長くなり、磁気センサ420aから出力される電圧が変化するため回転扉13bの左側が開放されたことが検知できる。
【0098】
図17は入庫用アンテナ200fおよび200gの動作状態と回転扉13bの開閉状態との関係を示した表である。回転扉13bの右側が開放している場合、入庫用アンテナ200fがRFIDタグを読み取る動作を行い、入庫用アンテナ200gはRFIDタグを読み取る動作を停止する。回転扉13bの左側が開放している場合、入庫用アンテナ200gがRFIDタグを読み取る動作を行い、入庫用アンテナ200fはRFIDタグを読み取る動作を停止する。回転扉13bが閉鎖されている場合、入庫用アンテナ200fおよび200gの両方がRFIDタグを読み取る動作を行う。なお、回転扉13bが閉鎖された状態では、入庫用アンテナ200fまたは200gのいずれか一方でのRFIDタグ読取情報を採用する動作を行う。このため、ユーザーは冷蔵庫に入庫または出庫する食材の貯蔵位置に応じて利便性の高い入庫用アンテナ位置を選択できる。
【0099】
本実施例では、入庫用アンテナ200fおよび200gが回転扉13bの両方端に設置されるため、回転扉13bの右側または左側のいずれの側が開放された場合でも入庫用アンテナが扉先端側に位置する。このため、実施例4と同様の効果がある。また、回転扉13bの開放状態に基づいて入庫用アンテナ200fおよび200gの動作状態を切り替えるため、例えばユーザーが回転扉13bの右側を開放中に出庫用アンテナ210fにRFIDタグをかざす際に、誤って入庫用アンテナ200gにRFIDタグがかざされてもRFIDタグを読み取ることがないため、在庫判定の確度の向上が可能になるという効果がある。
【0100】
なお、本実施例では、回転扉13bの開閉状態に応じて入庫用アンテナ200fおよび200gのRFIDタグを読み取る動作の状態を切り替える構成および動作について説明したが、回転扉13bの開閉状態に依らず入庫用アンテナ200fおよび200gがRFIDタグを読み取る動作を行っても構わない。この場合、回転扉13bの開閉状態を検知するセンサ数を低減でき、低コスト化が可能となる効果がある。
【0101】
また、本実施例では、磁石410aをヒンジ14aに設置し、磁石410bをヒンジ14bに設置し、磁気センサ420aおよび420bを回転扉13に設置する構造を説明したが、磁石410aおよび410bを回転扉13bに設置し、磁気センサ420aをヒンジ14aに設置し、磁気センサ420bをヒンジ14bに設置しても構わない。
【0102】
また、本実施例では、磁石410aおよび410bを、回転扉13bを支える上側のヒンジ14aおよび14bに設置し、磁気センサ420aおよび420bを、回転扉13bの上側の面に設置したが、磁石410aおよび410bを、回転扉13bを支える下側のヒンジ(図示せず)に設置し、磁気センサ420aおよび420bを、回転扉13bの下側の面に設置しても構わない。
【0103】
また、回転扉13bの左右いずれが開放されたかを検知する手段としては、磁気センサ420aおよび420bの代わりに、静電容量式の近接センサ、超音波式の近接センサ、光学式の近接センサなどであっても構わない。この場合、磁石410aおよび410bは不要である。
【0104】
また、回転扉13bの左右いずれが開放されたかを検知する手段としては、回転扉13bに角速度センサを設置して、回転扉13bの回転角を検出する方法であっても構わない。
【実施例0105】
本発明の実施例12に係る貯蔵庫の構造について、図18を用いて説明する。
【0106】
図18は実施例12に係る貯蔵庫の構造を示した鳥観図である。230aおよび230bは切替式手動読取用アンテナ(切替式入庫出庫両用アンテナ)である。300dは切替器であり、庫内アンテナ100と庫外アンテナ110aと切替式手動読取用アンテナ230aおよび230bを同一の周波数チャネルで動作させる場合にアンテナの動作タイミングを時分割で切り替える機能を有する。その他の構造は、実施例11と同様である。
【0107】
切替式手動読取用アンテナ230aおよび230bは回転扉13bの外側前面に設置され、切替式手動読取用アンテナ230aは切替式手動読取用アンテナ230bに対して右側に設置される。なお、切替式手動読取用アンテナ230aと切替式手動読取用アンテナ230bとは回転扉13bの縦方向の仮想中心線に対して左右対称な位置に設置されることが望ましい。
【0108】
実施例12に係る貯蔵庫の動作について説明する。
【0109】
ユーザーは回転扉貯蔵室10にRFIDタグが貼付された食材を入庫または出庫する際に回転扉13bの開放する側と、入庫または出庫の動作とを、紐づける設定を実施する。例えば、右側を開放する場合は入庫動作を行い、左側を開放する場合は出庫動作をすると設定する。この設定は冷蔵庫本体に設置されたインターフェースを用いても良いし、ユーザーが所持しているスマートフォンなどを介して設定しても良い。ユーザーが入庫動作をする際に回転扉13bの右側を開放すると設定した場合、切替式手動読取用アンテナ230aは入庫用アンテナの動作を行い、切替式手動読取用アンテナ230bは出庫用アンテナの動作を行う。
【0110】
本実施例では、ユーザーが希望した入庫および出庫の動作に応じて、切替式手動読取用アンテナ230aおよび230bのうち回転扉13bの開放される先端側に位置して、入庫用アンテナおよび出庫用アンテナとして動作する。このため、実施例4と同様の効果がある。また、実施例11に比べてアンテナ数を減らすことができ、低コスト化が可能となる効果がある。また、ユーザーの設定により、切替式手動読取用アンテナ230aおよび230bの入庫用アンテナまたは出庫用アンテナの動作が決定され、固定されるため、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40にRFIDタグが貼付された食材を入庫または出庫する際に、ユーザーがRFIDタグを入出庫動作とは異なるアンテナにかざす(例えば、入庫時に出庫用アンテナにRFIDタグをかざす)間違いを低減できるという効果がある。
【0111】
さらに、本発明は、前述した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、各実施例では、貯蔵庫として冷蔵庫を例に挙げて説明したが、収納棚やストッカー等の他の貯蔵庫であっても構わない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えたり、追加したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 冷蔵庫本体
10 回転扉貯蔵室
11 左側回転扉
12 右側回転扉
13 回転扉
14 ヒンジ
20 第1の引出扉貯蔵室
21 第2の引出扉貯蔵室
30 第3の引出扉貯蔵室
40 第4の引出扉貯蔵室
100 庫内アンテナ
110 庫外アンテナ
200 入庫用アンテナ
210 出庫用アンテナ
220 手動読取用アンテナ
230 切替式手動読取用アンテナ
300 切替器
400 マイク
410 磁石
420 磁気センサ
500 履歴リスト
510 在庫リスト
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18