(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039220
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240314BHJP
F25D 23/00 20060101ALN20240314BHJP
【FI】
B65G1/137 A
F25D23/00 301L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143606
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】栗山 哲
(72)【発明者】
【氏名】林 正二
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 功一
(72)【発明者】
【氏名】京谷 浩平
(72)【発明者】
【氏名】淡路 友章
(72)【発明者】
【氏名】南野 智之
(72)【発明者】
【氏名】原 和規
【テーマコード(参考)】
3F522
3L345
【Fターム(参考)】
3F522BB01
3F522BB24
3F522CC05
3F522CC06
3F522CC09
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3F522HH37
3L345AA02
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3L345HH31
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3L345HH42
3L345JJ01
3L345JJ03
3L345JJ05
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3L345JJ23
3L345KK01
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】回転扉貯蔵室と引出扉貯蔵室の特性の違いに基づき、それぞれの貯蔵室に対する入庫および出庫を高精度に判定できる貯蔵庫を提供する。
【解決手段】回転扉が設けられた貯蔵室である回転扉貯蔵室と、引出扉が設けられた引出扉貯蔵室と、を備える貯蔵庫において、前記貯蔵庫の庫内に設けられ、RFIDタグが庫内にあるか庫外にあるかの判定に用いられる庫内アンテナと、前記貯蔵庫の庫外に設けられ、前記RFIDタグが庫内にあるか庫内にあるかの判定に用いられる庫外アンテナと、前記引出扉貯蔵室への入庫の際に前記RFIDタグがかざされる入庫用アンテナと、前記引出扉貯蔵室からの出庫の際に前記RFIDタグがかざされる出庫用アンテナと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転扉が設けられた貯蔵室である回転扉貯蔵室と、引出扉が設けられた引出扉貯蔵室と、を備える貯蔵庫において、
前記貯蔵庫の庫内に設けられ、RFIDタグが庫内にあるか庫外にあるかの判定に用いられる庫内アンテナと、
前記貯蔵庫の庫外に設けられ、前記RFIDタグが庫内にあるか庫内にあるかの判定に用いられる庫外アンテナと、
前記引出扉貯蔵室への入庫の際に前記RFIDタグがかざされる入庫用アンテナと、
前記引出扉貯蔵室からの出庫の際に前記RFIDタグがかざされる出庫用アンテナと、を備えることを特徴とする貯蔵庫。
【請求項2】
請求項1に記載の貯蔵庫において、
前記回転扉貯蔵室への入庫の際に、前記RFIDタグが前記入庫用アンテナにかざされた場合、前記庫外アンテナおよび前記庫内アンテナを用いた判定の結果に関わらず、前記回転扉貯蔵室に対する入庫と判定し、
前記回転扉貯蔵室からの出庫の際に、前記RFIDタグが前記出庫用アンテナにかざされた場合、前記庫外アンテナおよび前記庫内アンテナを用いた判定の結果に関わらず、前記回転扉貯蔵室に対する出庫と判定することを特徴とする貯蔵庫。
【請求項3】
請求項1に記載の貯蔵庫において、
前記回転扉が開放されてから閉鎖される期間に、前記RFIDタグを最後に読み取ったのが前記庫内アンテナの場合、前記RFIDタグは庫内にあると判定し、
前記回転扉が開放されてから閉鎖される期間に、前記RFIDタグを最後に読み取ったのが前記庫外アンテナの場合、前記RFIDタグは庫外にあると判定することを特徴とする貯蔵庫。
【請求項4】
請求項1に記載の貯蔵庫において、
前記RFIDタグが前記入庫用アンテナにかざされた後に前記引出扉が開放された場合、または、前記引出扉が開放された後に前記RFIDタグが前記入庫用アンテナにかざされた場合、
前記RFIDタグが入庫されたこと、および、入庫先が前記引出扉貯蔵室であること、を在庫リストに記録することを特徴とする貯蔵庫。
【請求項5】
請求項4に記載の貯蔵庫において、
前記引出扉が開放された後に前記RFIDタグが前記出庫用アンテナにかざされた場合、
前記RFIDタグが出庫されたことを前記在庫リストに記録することを特徴とする貯蔵庫。
【請求項6】
請求項1に記載の貯蔵庫において、
前記庫内アンテナ、前記庫外アンテナ、前記入庫用アンテナおよび前記出庫用アンテナの動作を時分割で切り替える切替器を、さらに備えることを特徴とする貯蔵庫。
【請求項7】
請求項1に記載の貯蔵庫において、
前記庫内アンテナは、前記回転扉貯蔵室の内側に設けられ、
前記入庫用アンテナおよび前記出庫用アンテナは、前記貯蔵庫の庫外に設けられることを特徴とする貯蔵庫。
【請求項8】
請求項7に記載の貯蔵庫において、
前記入庫用アンテナおよび前記出庫用アンテナは、前記回転扉の前面側に設けられることを特徴とする貯蔵庫。
【請求項9】
請求項7に記載の貯蔵庫において、
前記引出扉貯蔵室は、上段の引出扉貯蔵室と、下段の引出扉貯蔵室と、を有し、
前記入庫用アンテナおよび前記出庫用アンテナは、上段の引出扉貯蔵室の回転扉の前面側に設けられることを特徴とする貯蔵庫。
【請求項10】
回転扉が設けられた貯蔵室である回転扉貯蔵室と、引出扉が設けられた引出扉貯蔵室と、を備える貯蔵庫において、
前記貯蔵庫の庫内に設けられ、RFIDタグが庫内にあるか庫外にあるかの判定に用いられる庫内アンテナと、
前記貯蔵庫の庫外に設けられ、前記RFIDタグが庫内にあるか庫内にあるかの判定に用いられる庫外アンテナと、
前記引出扉貯蔵室に対する入庫または出庫の際に前記RFIDタグがかざされる入庫出庫両用アンテナと、
入庫か出庫かを特定する音声を認識するマイクと、を備えることを特徴とする貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
食材の過剰な家庭内在庫による食品ロスの低減に向けて、キッチンに保存される食材にRFID(Radio Frequency Identifier)タグを添付し、そのタグIDを元に在庫管理をする食材管理システムが提案されている。例えば、特許文献1には、「庫内に収容する食品に食品情報を記録したRF-IDタグを付して貯蔵する冷蔵庫において、冷蔵庫の庫内または冷蔵庫の庫内と庫外の双方にRF-IDタグリーダーを有すること」(請求項1)が記載されている。さらに、特許文献1には、「操作者は、RF-IDタグの付いたパッケージを冷蔵庫の庫内に単に入れるかまたはRF-IDタグリーダライタが冷蔵庫前面扉にある場合は、冷蔵庫前面にかざすだけで良い」(段落0010)との記載もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷蔵庫などの貯蔵庫の中には缶やアルミ蒸着袋など金属製容器に入った食材も保管されるが、一般的な流通用のRFIDタグを金属製容器に近づけるとRFIDタグが具備するアンテナの特性が劣化し、RFIDタグがリーダライタで読み取れない課題がある(第1の課題)。また、貯蔵庫に貯蔵される食材は水分を含む場合が多く、この食材の水分により電波が減衰することにより、RFIDタグがリーダライタで読みとれない課題がある(第2の課題)。
【0005】
さらに、発明者らの検討により、次のような課題も明らかとなった。家庭用の冷蔵庫では、回転扉貯蔵室に加えて引出扉貯蔵室も具備するものもある。このような冷蔵庫では、野菜室や冷凍室が引出扉貯蔵室に割り当てられることが一般的である。これは、貯蔵室内の空気を外部に逃がさないためや、貯蔵のし易さなどの利便性を高めるためである。しかし、引出扉貯蔵室は回転扉貯蔵室に比べて棚の数が相対的に少なく、また下方向に貯蔵する動作となるため、横方向に貯蔵する動作となる回転扉貯蔵室に比べて食材同志が密着した貯蔵状態になりやすい。したがって、引出扉貯蔵室においては、回転扉貯蔵室と比較して、前述の第1の課題および第2の課題がより顕著になると考えられる。
【0006】
一方、特許文献1に記載の技術は、あくまで回転扉貯蔵室の内外に設けられたアンテナによって、回転扉貯蔵室内に貯蔵される食材の在庫管理を意図したものである。
【0007】
本発明の目的は、回転扉貯蔵室と引出扉貯蔵室の特性の違いに基づき、それぞれの貯蔵室に対する入庫および出庫を高精度に判定できる貯蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するため、本発明は、回転扉が設けられた貯蔵室である回転扉貯蔵室と、引出扉が設けられた引出扉貯蔵室と、を備える貯蔵庫において、前記貯蔵庫の庫内に設けられ、RFIDタグが庫内にあるか庫外にあるかの判定に用いられる庫内アンテナと、前記貯蔵庫の庫外に設けられ、前記RFIDタグが庫内にあるか庫内にあるかの判定に用いられる庫外アンテナと、前記引出扉貯蔵室への入庫の際に前記RFIDタグがかざされる入庫用アンテナと、前記引出扉貯蔵室からの出庫の際に前記RFIDタグがかざされる出庫用アンテナと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回転扉貯蔵室と引出扉貯蔵室の特性の違いに基づき、それぞれの貯蔵室に対する入庫および出庫を高精度に判定できる貯蔵庫を提供することが可能となる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の発明を実施するための形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施例1に係る貯蔵庫の回転扉貯蔵室に対する在庫判定動作を示したフロー図
【
図3A】実施例1に係る貯蔵庫の引出扉貯蔵室に対する在庫判定動作(入庫用アンテナがかざされた場合)を示したフロー図
【
図3B】実施例1に係る貯蔵庫の引出扉貯蔵室に対する在庫判定動作(出庫用アンテナがかざされた場合)を示したフロー図
【
図4】実施例1に係る(2022年1月2日17:00における)履歴リストの一例
【
図5A】実施例1に(2022年1月1日12:00における)係る在庫リストの一例
【
図5B】実施例1に(2022年1月1日13:00における)係る在庫リストの一例
【
図5C】実施例1に(2022年1月2日12:00における)係る在庫リストの一例
【
図5D】実施例1に(2022年1月2日12:02における)係る在庫リストの一例
【
図6A】実施例2に係る貯蔵庫の引出扉貯蔵室に対する在庫判定動作(入庫用アンテナがかざされた場合)を示したフロー図
【
図6B】実施例2に係る貯蔵庫の引出扉貯蔵室に対する在庫判定動作(出庫用アンテナがかざされた場合)を示したフロー図
【
図7】実施例3に係る貯蔵庫の回転扉貯蔵室に対する在庫判定動作を示したフロー図
【
図8】実施例4に係る貯蔵庫の回転扉貯蔵室に対する在庫判定動作を示したフロー図
【
図9】実施例5に係る貯蔵庫の回転扉貯蔵室に対する在庫判定動作を示したフロー図
【
図10】実施例6に係る貯蔵庫の構造を示した鳥観図
【
図11A】実施例7に係る貯蔵庫の入庫および出庫用アンテナの設置位置を示した平面図
【
図11B】実施例7の変形例に係る貯蔵庫の入庫および出庫用アンテナの設置位置を示した平面図
【
図12】実施例8に係る貯蔵庫の入庫および出庫用アンテナの設置位置を示した平面図
【
図13】実施例9に係る貯蔵庫の構造を示した鳥観図
【
図14】実施例9に係る貯蔵庫の引出扉貯蔵室に対する在庫判定動作を示したフロー図
【
図15】実施例10に係る貯蔵庫の構造を示した鳥観図
【
図16】実施例11に係る貯蔵庫の構造を示した鳥観図
【
図17】実施例11に係る入庫用アンテナの動作と扉状態の関係を示した表
【
図18】実施例12に係る貯蔵庫の構造を示した鳥観図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。実施例は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0012】
また、発明を実施するための形態では、貯蔵庫として冷蔵庫を例に説明するが、収納棚やストッカーなど他の貯蔵庫であっても構わない。
【0013】
同一あるいは同様の機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0014】
本明細書では、回転式の扉が設けられる貯蔵室を回転扉貯蔵室と称し、引出式の扉が設けられる貯蔵室を引出式貯蔵室と称する。
【実施例0015】
本発明の実施例1に係る貯蔵庫の構造ついて、
図1を用いて説明する。
【0016】
図1は実施例1に係る貯蔵庫の構造を示した鳥観図である。1aは冷蔵庫本体であり、10は冷蔵庫本体1aが具備する回転扉貯蔵室であり、11は回転扉貯蔵室10を封止するための左側回転扉であり、12は回転扉貯蔵室10を封止するための右側回転扉であり、20は第1の引出扉貯蔵室であり、21は第2の引出扉貯蔵室であり、30は第3の引出扉貯蔵室であり、40は第4の引出扉貯蔵室であり、100は庫内アンテナであり、110aは庫外アンテナであり、200aは入庫用アンテナであり、210aは出庫用アンテナである。
図1では、回転扉貯蔵室の左側回転扉11および右側回転扉12は閉鎖されており、第1~4の引出扉貯蔵室20~40も閉鎖されている状態を示している。300aは切替器であり、庫内アンテナ100と庫外アンテナ110aと入庫用アンテナ200aと出庫用アンテナ210aを同一の周波数チャネルで動作させる場合にアンテナの動作タイミングを時分割で切り替える機能を有する。この切替器300aの切り替え機能により、アンテナ間の干渉が防止できる。
【0017】
第1の引出扉貯蔵室20と第2の引出扉貯蔵室21は同一の高さ位置に設置され、第3の引出扉貯蔵室30は第1の引出扉貯蔵室20および第2の引出扉貯蔵室21より低い位置に設置され、第4の引出扉貯蔵室40は第3の引出扉貯蔵室30より低い位置に設置される。また、回転扉貯蔵室10は第1の引出扉貯蔵室20および第2の引出扉貯蔵室21より高い位置に設置される。ここで、回転扉貯蔵室10は冷蔵室であり、第1の引出扉貯蔵室20は製氷室であり、第2の引出扉貯蔵室21は冷凍室であり、第3の引出扉貯蔵室30は冷凍室であり、第4の引出扉貯蔵室40は野菜室である。なお、上記貯蔵室の分類は一例であり、第3の引出扉貯蔵室30が野菜室で、第4の引出扉貯蔵室40が冷凍室であっても構わない。
【0018】
入庫用アンテナ200aは、ユーザーがRFIDタグの貼付された食材を第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40に入庫する際にRFIDタグをかざしてRFIDタグを読み取る用途で用いられる。また、出庫用アンテナ210aは、ユーザーがRFIDタグの貼付された食材を第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40から出庫する際にRFIDタグをかざしてRFIDタグを読み取る用途で用いられる。
【0019】
庫内アンテナ100は回転扉貯蔵室10の庫内天井に設置され、庫外アンテナ110aは第1の引出扉貯蔵室20の引出扉の外側前面に設置され、入庫用アンテナ200aおよび出庫用アンテナ210aは左側回転扉11の外側前面に各々設置される。入庫用アンテナ200aおよび出庫用アンテナ210aが設置される高さは任意であって構わないが、冷蔵庫が設置される床面からの高さ120cm±30cmの位置に入庫用アンテナ200aおよび出庫用アンテナ210aの中心が位置するように設置することが望ましい。この設置位置が望ましい理由は、冷蔵庫を使用するユーザーの平均身長を157cmとした場合に、食材に貼付されたRFIDタグをアンテナにかざす動作をする場合にアンテナおよびRFIDタグが見やすい位置かつかざしやすい位置であるためである。
【0020】
なお、入庫用アンテナ200aまたは出庫用アンテナ210aの中心位置の、冷蔵庫が設置される床面からの高さは対象とするユーザーの平均身長に合わせて任意の値に変えることが望ましい。また、入庫用アンテナ200aおよび出庫用アンテナ210aのRFIDタグ読取領域はアンテナの正面方向の半径5cm程度以下と設定することが望ましい。
【0021】
次に、本発明の実施例1に係る在庫管理動作について、
図2~
図5を用いて説明する。
【0022】
図2は回転扉貯蔵室10での在庫管理に関するシステム動作フローであり、
図3Aおよび
図3Bは第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40での在庫管理に関するシステム動作フローである。さらに、
図3AはユーザーがRFIDタグを入庫用アンテナ200aにかざした場合のシステム動作フローであり、
図3BはユーザーがRFIDタグを出庫用アンテナ210aにかざした場合のシステム動作フローである。
図4は履歴リスト500の一例であり、
図5A~
図5Dは在庫リスト510の一例である。
【0023】
図2において、回転扉貯蔵室10の左側回転扉11または右側回転扉12の少なくともいずれか一方が開放された場合(ステップS10)、庫外アンテナ110aおよび庫内アンテナ100がRFIDタグの読取動作を開始する(ステップS20、ステップS30)。左側回転扉11および右側回転扉12の両方が閉鎖された場合(ステップS40)、庫外アンテナ110aおよび庫内アンテナ100でのRFIDタグの読取動作を終了する(ステップS50、ステップS60)。続いて、在庫判定(ステップS70)が実施され、在庫判定(ステップS70)の結果を元に履歴リスト500が更新される(ステップS80)。さらに、履歴リスト500を元に在庫リスト510が更新される(ステップS90)。なお、上記ステップS20~ステップS70の一連の動作をフローF10とする。
【0024】
在庫判定(ステップS70)の詳細フローは次のとおりである。庫内アンテナ100および庫外アンテナ110aがRFIDタグの読取動作を行っている期間中において、最後にRFIDタグを読み取ったアンテナが庫内アンテナ100であった場合、RFIDタグは回転扉貯蔵室10内に存在すると判定し、逆に、最後にRFIDタグを読み取ったアンテナが庫外アンテナ110aであった場合、RFIDタグは回転扉貯蔵室10外に存在すると判定する(ステップS71~ステップS73)。
【0025】
次に、履歴リスト500と在庫リスト510の一例を
図4および
図5A~5Dを用いて説明する。
【0026】
図4は2022年1月2日17:00における履歴リスト500の一例である。履歴リスト500は少なくとも、在庫判定日時、読み取ったRFIDタグのID、貯蔵場所(冷蔵室、冷凍室、野菜室など)、庫内外判定を具備する。回転扉貯蔵室10(冷蔵室)では庫内アンテナ100および庫外アンテナ110aを用いて、回転扉が閉鎖されるたびに在庫判定が実施される。このため、回転扉貯蔵室10内に貯蔵し続けられるRFIDタグは、同RFIDタグが入庫されたタイミング以外に、他のRFIDタグが回転扉貯蔵室10に入庫または出庫された際に庫内アンテナ100で読み取られて在庫判定が実施される。したがって、同一タグIDに対する在庫判定結果の時系列情報が履歴リストには保存される。
【0027】
図3Aにおいて、入庫用アンテナ200aでRFIDタグが読み取られた場合(ステップS100)、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40のいずれかの開放状態を確認し、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40の全てが閉鎖されている場合、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40のいずれか一つが開放されるまで入庫用アンテナ200aを用いて読み取られたRFIDタグの読取情報を保存する(ステップS110、ステップS120)。一方、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40のいずれか一つが開放されている場合、開放された引出扉貯蔵室の名称(第2、第3、第4)を取得し、入庫用アンテナ200aを用いて読み取られたRFIDタグの読取情報に開放された引出扉貯蔵室の名称を付与する(ステップS110~ステップS140)。開放された引出扉貯蔵室が閉鎖された場合(ステップS150)、在庫判定が実施される(ステップS160)。在庫判定(ステップS160)ではRFIDタグが入庫用アンテナ200aで読み取られていることから、引出扉貯蔵室内にRFIDタグが存在すると判定し、かつ付与された開放された引出扉貯蔵室の名称(ステップS140)よりRFIDタグが存在する引出扉貯蔵室が第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40のいずれであるかを判定する。在庫判定(ステップS160)の結果を元に履歴リスト500が更新される(ステップS80)。さらに、履歴リスト500を元に在庫リスト510が更新される(ステップS90)。なお、上記ステップS110~ステップS160の一連の動作をフローF20とする。
【0028】
以上のシステム動作により、ユーザーがRFIDタグを入庫用アンテナ200aにかざす動作と引出扉貯蔵室を開閉する動作により、1個の入庫用アンテナ200aを用いてユーザーが第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40のうちどの貯蔵室にRFIDタグを入庫したかを認識できる。なお、例えば第2の引出扉貯蔵室21にRFIDタグを入庫する場合、ユーザーは第2の引出扉貯蔵室21の開放前または開放中にRFIDタグを入庫用アンテナ200aにかざす動作を行うため、在庫判定が実施されるタイミング(ステップS160)は第2の引出扉貯蔵室21が閉鎖後(ステップS150)であることが必然である。第3の引出扉貯蔵室30または第4の引出扉貯蔵室40に関しても同様である。
【0029】
図3Bにおいて、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40のいずれか一つが開放された状態において、出庫用アンテナ210aでRFIDタグが読み取られた場合(ステップS110、ステップS200)、開放された引出扉貯蔵室の名称(第2、第3、第4)を取得し、出庫用アンテナ210aを用いて読み取られたRFIDタグの読取情報に開放された引出扉貯蔵室の名称を付与する(ステップS210、ステップS220)。開放された引出扉貯蔵室が閉鎖されてから所定の時間が経過した場合(ステップS230)、在庫判定が実施される(ステップS240)。在庫判定(ステップS240)ではRFIDタグが出庫用アンテナ210aで読み取られていることから、引出扉貯蔵室外にRFIDタグが存在すると判定し、かつ付与された開放された引出扉貯蔵室の名称(ステップS220)よりRFIDタグが存在する引出扉貯蔵室が第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40のいずれであるかを判定する。在庫判定(ステップS240)の結果を元に履歴リスト500が更新される(ステップS80)。さらに、履歴リスト500を元に在庫リスト510が更新される(ステップS90)。なお、上記引出扉貯蔵室が閉鎖されてからの所定の時間はユーザーの冷蔵庫の使い方によって異なるため、ユーザーが設定できるようにしておくことが望ましい。また、上記ステップS210~ステップS240の一連の動作をフローF30とする。
【0030】
図5Aは2022年1月1日12:00における在庫リスト510aの一例である。在庫リスト510aは少なくとも、在庫判定日時、読み取ったRFIDタグのID、貯蔵場所(冷蔵室、冷凍室、野菜室など)、在庫状態(入庫、在庫、出庫)を具備する。タグIDが000000001のRFIDタグは
図4に示した履歴リスト500において、2022年1月1日12:00に冷蔵室内に初めて存在することが記録されている。したがって、在庫リスト510aでは同IDのRFIDタグは2022年1月1日12:00に在庫状態が入庫と記録される。
【0031】
図5Bは2022年1月1日13:00における在庫リスト510bの一例である。
図4に示した履歴リスト500において、2022年1月1日13:00にてタグIDが000000002と000000001の2つのRFIDタグが冷蔵庫内に存在することが記録されている。タグIDが000000002のRFIDタグに関しては、同日時に冷蔵庫内に初めて存在することが記録されている一方で、タグIDが000000001のRFIDタグに関しては、冷蔵庫内に存在するという記録は2回目である。したがって、タグIDが000000002のRFIDタグは2022年1月1日13:00に在庫状態が入庫と記録される。一方、タグIDが000000001のRFIDタグは2022年1月1日12:00に在庫状態が在庫と記録される。つまり、冷蔵庫内に貯蔵し続けられているRFIDタグに対しては、最初に冷蔵庫内にRFIDタグが存在することが記録された(つまりRFIDタグが入庫された)日時を記録する。
【0032】
図5Cは2022年1月2日12:00における在庫リスト510cの一例であり、
図5Dは2022年1月2日12:02における在庫リスト510dの一例である。回転扉貯蔵室10(冷蔵室)と同様に第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40(冷凍室および野菜室)に対しても、
図5Aおよび5Bを用いて説明した記録方式で在庫判定日時、貯蔵場所、在庫状態が記録される。ただし、回転扉貯蔵室10とは異なり第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40へ入庫するRFIDタグはユーザーが入庫用アンテナ200aにかざすことで読み取られるため、履歴リスト500において庫内外判定が内と記録される回数は1回である。そこで、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40においては、RFIDタグの在庫判定が実施された後に回転扉貯蔵室10または第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40が開放されたタイミングで在庫状態を在庫と変更する動作が望ましい。なお、在庫リスト510に記録された貯蔵室が開放されたタイミングで在庫状態を在庫と変更する動作としても構わない。また、いずれの状況で在庫状態を入庫から在庫に変更するかをユーザーが設定できるようにしても構わない。
【0033】
加えて、
図5Dに示したとおり、
図4に示した履歴リスト500にてタグIDが000000001のRFIDタグが2022年1月2日17:00において冷蔵庫外に存在することが記録されているため、在庫リスト510dでは2022年1月2日17:00に在庫状態が出庫と記録される。
【0034】
なお、本実施例では図示していないが、RFIDタグのIDの詳細内容(メーカー、商品名、消費期限など)を保存しているデータベースを照会して、在庫リスト510にIDの詳細内容を追加またはIDと置換してユーザーに提示する機能を具備しても良い。なお、IDの詳細内容のいずれを提示するようにするかをユーザーが設定できるようにすることが望ましい。
【0035】
以上の
図2、
図3A、
図3Bに示した3つのシステム動作により、回転扉貯蔵室10では、ユーザーがRFIDタグ(が貼付された食材)を回転扉貯蔵室10に入庫または出庫する動作のみで在庫管理が可能となり、第2~第4の引出扉貯蔵室21、30、40では、ユーザーがRFIDタグを入庫用アンテナ200aまたは出庫用アンテナ210aにかざす動作と引出扉貯蔵室を開閉する動作により、RFIDタグが貼付された食材が冷蔵庫の内または外に存在することが認識されると同時に同食材がどの貯蔵室に存在するかの認識が可能となる。さらに
図4および
図5A~
図5Dに示した履歴リストおよび在庫リストを用いた記録により、入庫された日時情報も取得できるため、冷蔵室内での在庫管理が可能となる。
【0036】
以上の貯蔵庫の構造および動作より、本実施例では次の効果が得られる。引出扉貯蔵室において、ユーザーがRFIDタグを入庫用アンテナ200aまたは出庫用アンテナ210aにかざす動作を行うことにより、RFIDタグを読み取る確度が理想的には100%にできるため、在庫判定の確度が100%に向上できる効果がある。また、回転扉貯蔵室ではユーザーがRFIDタグ(が貼付された食材)を回転扉貯蔵室に入庫または出庫する動作のみで在庫管理が可能となるため、冷蔵庫に食材を貯蔵する用途においてユーザーの利便性を損ねないという効果がある。
【0037】
なお、本実施例では、庫内アンテナ100は回転扉貯蔵室10の庫内天井に設置する配置を例に挙げて説明したが、庫内天井ではなく側面や下面などに設置しても構わない。また、庫内アンテナ100の個数も1個ではなく複数であって構わない。
【0038】
また、本実施例では、庫内アンテナ100および庫外アンテナ110aでのRFIDタグの読取動作が終了するタイミングは左側回転扉11および右側回転扉12の両方が閉鎖されたタイミングを例に挙げて説明したが、両方の扉が閉鎖されてから所定の時間が経過した後に終了しても構わない。また、庫内アンテナ100と庫外アンテナ110aでのRFIDタグの読取動作の終了するタイミングは異なっても構わない。例えば、回転扉貯蔵室10に貯蔵されているRFIDタグの在庫判定確度を高めるには、RFIDタグの読取動作が終了するタイミングは庫内アンテナ100の方が庫外アンテナ110aより遅い方が望ましい。また逆に、回転扉貯蔵室10から出庫されたRFIDタグの出庫判定確度を高めるには、RFIDタグの読取動作が終了するタイミングは庫外アンテナ110aの方が庫内アンテナ100より遅い方が望ましい。
【0039】
また、本実施例では、第1の引出扉貯蔵室20は冷蔵庫本体1aが生成した氷を貯蔵する製氷室と仮定しており、製氷室内に貯蔵される氷にはRFIDタグを貼付した在庫管理は不要であるため、在庫管理を実施する貯蔵室からは除外したが、他の引出扉貯蔵室と同様の在庫管理を行っても構わない。
【0040】
また、本実施例では在庫リスト510が具備する在庫状態として、入庫と出庫と在庫の3種類を示したが、入庫(または在庫)と出庫の2種類であっても構わない。
【0041】
また、本実施例では在庫リスト510に記録する在庫判定日時はRFIDタグを冷蔵庫に入庫した日時を記録するとしたが、最新の在庫判定が実施された日時を記録しても構わない。さらに、記録する日時をユーザーが変更できるようにしても構わない。
本実施の形態では、ユーザーが出庫動作をしているにも関わらず入庫用アンテナ200aにRFIDタグをかざしてしまうという間違いをユーザーに通知することで、ユーザーに再度正しい動作(出庫用アンテナ210aにタグをかざす)を促すことができるため、在庫判定の確度を向上できるという効果がある。また、ユーザーが入庫動作をしているにも関わらず出庫用アンテナ210aにRFIDタグをかざしてしまうという間違いをユーザーに通知することで、ユーザーに再度正しい動作(入庫用アンテナ200aにタグをかざす)を促すことができるため、在庫判定の確度を向上できるという効果がある。
なお、ユーザーがかざしたアンテナが正しい場合は、ユーザーにアラート通知後にユーザーが強制的に在庫判定結果を確定させる機能を有しても構わない。この場合、ユーザーによる在庫判定結果のダブルチェックが可能となった状態であり、在庫判定の確度をさらに向上することが可能となる。