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特開2024-39221情報処理装置、情報処理プログラム、情報処理システムおよび情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039221
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理プログラム、情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240314BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143609
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 功一
(72)【発明者】
【氏名】林 正二
(72)【発明者】
【氏名】井口 匠
(72)【発明者】
【氏名】肥後 圭哉
(72)【発明者】
【氏名】谷村 貴大
(72)【発明者】
【氏名】添田 雅人
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】使用環境の変化に応じて家電機器を更新することで、ユーザが家電機器を長く快適に使用し続けることの支援をする。
【解決手段】本発明の情報処理装置は、家電機器の稼働情報を受信する通信部と、前記稼働情報に基づき前記家電機器の修理のレコメンドを作成し、ユーザ端末装置に前記レコメンドを送信するレコメンド部と、前記ユーザ端末装置から前記家電機器の修理を承諾する回答を受信した場合に、前記家電機器の修理の計画を作成し、前記ユーザ端末装置に前記計画を送信する計画提案部と、を備えた。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家電機器の稼働情報を受信する通信部と、
前記稼働情報に基づき前記家電機器の修理のレコメンドを作成し、ユーザ端末装置に前記レコメンドを送信するレコメンド部と、
前記ユーザ端末装置から前記家電機器の修理を承諾する回答を受信した場合に、前記家電機器の修理の計画を作成し、前記ユーザ端末装置に前記計画を送信する計画提案部と、を備えた情報処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記計画提案部は、前記ユーザ端末装置から前記家電機器の更新を希望する指令を受信した場合に、前記家電機器の更新の計画を作成する、情報処理装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記レコメンドには、前記家電機器の修理に伴う代用品レンタルの提案が含まれ、
前記計画提案部は、前記修理の計画の作成後に、代用品が有する機能を追加させる更新を希望する指令を受信した場合に、前記計画を修正する、情報処理装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記代用品が有する機能を追加させる更新は、リファービッシュ作業着手前に限り可能であり、
リファービッシュ作業着手後は、前記家電機器の修理を取り消し、前記代用品の継続使用を選択することが可能である、情報処理装置。
【請求項5】
請求項3において、
前記稼働情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記家電機器での前記稼働情報が前記記憶部から前記代用品に引き継がれ、前記代用品での前記稼働情報が前記記憶部からリファービッシュ後の前記家電機器に引き継がれる、情報処理装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記計画提案部が作成する計画には、リファービッシュ作業のスケジュールと、リファービッシュ作業をした場合の予測仕上がりと、が含まれる、情報処理装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記レコメンド部は、前記ユーザ端末装置から受信した、前記家電機器の使用環境に関する入力情報に基づき、前記家電機器の更新のレコメンドを作成する、情報処理装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記入力情報には、前記家電機器の外観を撮影した画像情報が含まれ、
前記レコメンド部は、前記家電機器の本体色の変更のレコメンドを作成する、情報処理装置。
【請求項9】
請求項7において、
前記入力情報には、前記家電機器が設置された世帯の構成人数の情報が含まれ、
前記レコメンド部は、世帯の構成人数が増加した場合、前記家電機器の容量を増加させるレコメンドを作成する、情報処理装置。
【請求項10】
家電機器から受信した稼働情報に基づき修理のレコメンドを作成するレコメンド部と、
前記家電機器のユーザ端末装置から修理を承諾する回答を受信した場合に、前記家電機器の修理の計画を作成する計画提案部と、してコンピュータを動作させる情報処理プログラム。
【請求項11】
請求項10において、
前記計画提案部は、前記ユーザ端末装置から前記家電機器の更新を希望する指令を受信した場合に、前記家電機器の更新の計画を作成する、情報処理プログラム。
【請求項12】
家電機器と情報処理装置とを有した情報処理システムにおいて、
前記家電機器は該家電機器の稼働情報を管理サーバに送信し、
前記情報処理装置は、前記稼働情報に基づき前記家電機器の修理のレコメンドを作成しユーザ端末装置に前記レコメンドを送信し、
前記ユーザ端末装置から前記家電機器の修理を承諾する回答を受信した場合に、前記家電機器の修理の計画を作成し、前記ユーザ端末装置に前記計画を送信する、情報処理システム。
【請求項13】
通信部が家電機器の稼働情報を受信するステップと、
レコメンド部が前記稼働情報に基づき修理のレコメンドを作成するステップと、
前記通信部が前記家電機器のユーザ端末装置に前記レコメンドを送信するステップと、
前記通信部が前記ユーザ端末装置から前記家電機器の修理を承諾する回答を受信するステップと、
計画提案部が前記家電機器の修理の計画を作成するステップと、
前記通信部が前記ユーザ端末装置に前記計画を送信するステップと、を備えたリファービッシュ支援方法であって、
前記通信部が前記ユーザ端末装置から前記家電機器の更新を希望する指令を受信した場合に、前記計画提案部が前記家電機器の更新の計画を作成する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理プログラム、情報処理システムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境配慮に向けた取り組みの一環として、一度購入した家電機器を可能な限り長期的に使用できるような配慮が求められている。家電機器を長期的に使用する試みとして、耐久性を高めるための設計を製品開発時に考慮する場合もあれば、製品を繰り返し修理・改修しやすくする仕組みを検討する場合もある。
【0003】
特許文献1は、家電機器を含む電子機器をユーザが長期的に使用できるように、機器の使用改善を提案する一方で、使用状況に基づいて修理を提案する情報処理装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021―110998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の情報処理装置によれば、故障を起こさないような使用方法を提案したり、故障が起きそうな場合に該当箇所の修理を提案したりすることで、家電機器の長寿命化自体は可能となる。しかし、特許文献1に記載の技術では、家電機器の使用環境が変化したとしても、家電機器のスペックなどは変化がないので、ユーザにとって快適な使用が継続的に担保されるわけではない。また、ユーザの暮らし方の変化に合わせて、機器に機能を追加したり容量を調節したりするわけではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、その一態様である情報処理装置は、家電機器の稼働情報を受信する通信部と、前記稼働情報に基づき前記家電機器の修理のレコメンドを作成し、ユーザ端末装置に前記レコメンドを送信するレコメンド部と、前記ユーザ端末装置から前記家電機器の修理を承諾する回答を受信した場合に、前記家電機器の修理の計画を作成し、前記ユーザ端末装置に前記計画を送信する計画提案部と、を備えた。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】情報処理システムのブロック図。
図2】稼働情報データベースに格納された、稼働情報の一例を示す図。
図3】入力情報データベースに格納された、入力情報の一例を示す図。
図4】機器情報データベースに格納された、機器情報の一例を示す図。
図5】実施例1および実施例2に係る情報処理システムの全体構成を示す図。
図6】実施例1において、修理の計画を確定するまでの情報処理装置の処理の流れの一例を示すフローチャート。
図7】リファービッシュ対象品と代用品との間で引き継がれる稼働情報の一例を示す図。
図8】実施例1において、計画の修正をユーザが希望したときの情報処理装置の処理の流れの一例を示すフローチャート。
図9】実施例2において、更新の計画を確定するまでの情報処理装置の処理の流れの一例を示すフローチャート。
図10】実施例3に係る情報処理システムの全体構成を示す図。
図11】実施例3において、更新の計画を確定するまでの情報処理装置の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本明細書におけるリファービッシュとは、家電機器の修理だけでなく、ハード面またはソフト面でのスペックの更新や、デザイン(外観)のリニューアル(更新)を含むものとする。
【0009】
<情報処理システムの構成>
図1は、情報処理システムのブロック図である。本実施形態の情報処理システム(リファービッシュ支援システム)は、図1に示すように、情報処理装置100(リファービッシュ支援装置)と、家電機器200と、ユーザ端末装置300と、工場端末装置400と、で構成されている。本システムでは、家電機器200のユーザが、稼働情報などをプラットフォーム(情報処理装置100)に提供する代わりに、家電機器200の使用環境の変化に応じて、適切なタイミングでリファービッシュを受けられる仕組みとなっている。
【0010】
図1では、家電機器200やユーザ端末装置300がそれぞれ1つのみ示されているが、実際には多数の各装置がインターネットなどのネットワーク500を介して情報処理装置100に接続される。なお、情報処理装置100は、単一のコンピュータで構築されるサーバであっても、多数のコンピュータ群で構築されるクラウド型のサーバであっても良い。また、図1では図示を省略しているが、家電機器200の修理や更新のために設置現場に赴くサービス員の端末装置も、ネットワークを介して情報処理装置100に接続されることがある。
【0011】
(情報処理装置)
情報処理装置100は、プロセッサ110と、メモリ120と、通信部130と、ストレージ140と、を備えている。図1では、概念的にプロセッサ110が実行する機能を、レコメンド部121および計画提案部122として示している。これらの機能を実現するためのプログラムは、メモリ120に格納される。なお、プログラムは、ROMなどに予め組み込まれて提供されたり、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROMなどの計算機で読み取り可能な記録媒体に記録して提供されたり、配布されても良い。さらに、プログラムは、ネットワーク500に接続された計算機上に格納され、ネットワーク500経由でダウンロードさせることにより提供されたり、配布されたりしても良い。
【0012】
レコメンド部121は、家電機器200の稼働情報に基づき家電機器200の修理のレコメンドを作成したり、家電機器200のユーザによる入力情報に基づき家電機器200の更新のレコメンドを作成したりする。計画提案部122は、家電機器200のユーザがレコメンドを承諾した場合に家電機器200の修理または更新の計画を作成したり、家電機器200のユーザや工場の希望により作成した計画を修正したりする。ここで、計画の修正には、修理の計画を取り消して更新の計画を作成することや、計画のスケジュールを変更することなどが含まれる。
【0013】
通信部130は、家電機器200との接続様式を問わない。無線接続の場合、ネットワーク500を介して、家電機器200、ユーザ端末装置300および工場端末装置400との間でデータをやり取りするためのインターフェースである。ストレージ140は、稼働情報データベース141と、入力情報データベース142と、機器情報データベース143と、を有している。以下では、家電機器200として洗濯乾燥機を例に挙げて説明する。
【0014】
図2は、稼働情報データベースに格納された、稼働情報の一例を示す図である。図2に示すように、稼働情報データベース141には、ユーザIDごとに、シリアル番号、型式の他、稼働情報として、洗濯運転累積回数、乾燥運転累積回数、平均乾燥容量、平均乾燥運転時間、槽洗浄実施頻度などの情報が格納されている。稼働情報は、洗濯乾燥機からネットワークを介して情報処理装置100に、定期的または運転終了時に自動的に送信される。
【0015】
ここで、ユーザIDは、洗濯乾燥機を使用するユーザ固有の識別情報であり、ユーザ端末装置300の通信用アドレスとの紐づけも可能である。シリアル番号は、洗濯乾燥機ごとに付される固有の製造番号あり、型式は、洗濯乾燥機の機種ごとに付される番号などである。ユーザが、情報処理システムの利用を開始する際には、ユーザ端末装置300を用いて情報処理装置100にアクセスし、対象の洗濯乾燥機のシリアル番号を登録する。すると、ユーザIDが発行されるとともに、ユーザIDに対してシリアル番号および型式の紐づけが行われる。
【0016】
洗濯運転累積回数は、当該洗濯乾燥機で洗濯運転を実行した累積の回数であり、乾燥運転累積回数は、当該洗濯乾燥機で乾燥運転を実行した累積の回数である。平均乾燥容量は、過去の乾燥運転においてセンシングされた衣類の量の平均であり、平均乾燥運転時間は、過去の乾燥運転における運転時間の平均である。槽洗浄実施頻度は、洗濯乾燥機に搭載されている槽洗浄機能の実施頻度であり、槽洗浄を最後に実施した日時であっても良いし、最後の槽洗浄を実施して以降に実行した洗濯運転の回数などであっても良い。
【0017】
なお、稼働情報データベース141には、ユーザがカスタマイズした、お気に入りコースや音声設定などの情報が格納されても良い。さらに、ネットワーク500を介して接続されたサーバ(情報処理装置100と同じでも別でも良い)から新たな洗濯コースなどをダウンロードして実行できる洗濯乾燥機の場合、ダウンロード済みのコースの情報が格納されても良い。
【0018】
図3は、入力情報データベースに格納された、入力情報の一例を示す図である。図3に示すように、入力情報データベース142には、ユーザIDごとに、シリアル番号、型式の他、入力情報として、撮像画像、世帯人数などの情報が格納されている。入力情報は、洗濯乾燥機の使用環境に関する情報であり、ユーザによって入力され、ユーザ端末装置300から情報処理装置100に送信される。
【0019】
撮像画像は、ユーザ端末装置300などによって撮影された洗濯乾燥機の画像であり、洗濯乾燥機の外観に関する画像だけでなく、洗濯乾燥機の設置環境に関する画像(どのような場所に設置されたかを認識できる画像)も含まれる。世帯人数は、洗濯乾燥機が設置された世帯の人数であるが、さらに大人か子どもかなどの詳細な内訳が含まれていても良い。
【0020】
なお、入力情報データベース142には、洗濯乾燥機の使い方のパターン、ユーザの生活様式などを特定するために、ユーザが入力した他の情報も含まれる。これらの入力情報は、稼働情報とともに、レコメンド部121によるレコメンドの作成に用いられる。
【0021】
図4は、機器情報データベースに格納された、機器情報の一例を示す図である。図4に示すように、機器情報データベース143には、型式ごとに、洗濯容量、乾燥容量、槽洗浄機能の有無、本体色などの情報が格納されている。図4に示す型式上での洗濯容量は、1回の運転で洗濯できる最大の洗濯物の質量であり、図4に示す型式上での乾燥容量は、1回の運転で乾燥できる最大の洗濯物の質量である。なお、機器情報データベース143には、スペックやデザインに関する他の情報が含まれていても良い。
【0022】
(家電機器)
家電機器200は、前述したとおり、例えば洗濯乾燥機である。図1に示すように、家電機器200は、通信部210と、制御部220と、記憶部230と、入出力部240と、を備えている。
【0023】
通信部210は、ネットワーク500を介して、情報処理装置100やユーザ端末装置300との間でデータをやり取りするためのインターフェースースである。制御部220は、CPUなどにより構成され、家電機器200全体の制御などを行う。記憶部230は、制御部220が用いる各種データおよびプログラムなどを記憶するものであり、例えば、動作履歴情報231、設定情報232およびダウンロード情報233を記憶する。入出力部240は、例えば、タッチパネル式の操作表示部であり、運転コースの選択や、機能の設定などが可能であるとともに、選択対象の運転コースや設定対象の機能を表示することも可能である。
【0024】
動作履歴情報231は、家電機器200が過去に実行した動作の履歴情報であり、洗濯乾燥機の場合、例えば、実行された運転コース、洗濯または乾燥の容量、運転時間などが含まれる。設定情報232は、ユーザにより設定された、お気に入りコースや音声設定などの情報である。ダウンロード情報233は、出荷時の家電機器200にはインストールされておらず、新たに家電機器200にダウンロードした、所定のコースを実行するためのプログラムである。なお、記憶部230に格納されている情報の一部は、ネットワーク500を介して情報処理装置100に送信され、稼働情報データベース141に格納される。
【0025】
(ユーザ端末装置)
ユーザ端末装置300は、家電機器200のユーザが使用するスマートフォンやタブレット端末などである。ユーザは、ユーザ端末装置300を用いて、情報処理システムを利用する。図1に示すように、ユーザ端末装置300は、通信部310と、プロセッサ320と、メモリ330と、入出力部340と、カメラ350と、を備えている。
【0026】
通信部310は、ネットワーク500を介して、情報処理装置100や家電機器200との間でデータをやり取りするだめのインターフェースである。プロセッサ320は、メモリ330に格納された各プログラムを読み出すことにより、各機能を実行する。メモリ330には、例えば、情報処理システムを利用するためのアプリケーション(以下、単にアプリという)のプログラムがインストールされる。入出力部340は、タッチパネル式の操作表示部であり、各種情報を入力および出力する。カメラ350は、入出力部340による操作に従って画像を取得する。
【0027】
(工場端末装置)
工場端末装置400は、家電機器200の製造やリサイクルを行う工場にある端末装置である。図1に示すように、工場端末装置400は、ネットワーク500を介して情報処理装置100と接続され、部品管理データベース410と、人員管理データベース420と、を有している。部品管理データベース410には、工場内の部品の在庫情報や部品の入荷情報などが格納される。人員管理データベース420には、リファービッシュのために家電機器200が工場に送られた場合に、修理や更新の作業に着手できる人員の情報などが格納される。情報処理装置100の計画提案部122が計画を作成したり修正したりする際には、これらのデータベースにアクセスし、部品情報や人員情報を照会することで、リファービッシュ作業のスケジュールを決定する。
【0028】
<リファービッシュ支援の流れ>
以下、家電機器である洗濯乾燥機のリファービッシュの流れについて、実施例1~実施例3用いて説明する。図5は、実施例1および実施例2に係る情報処理システムの全体構成を示す図であり、図10は、実施例3に係る情報処理システムの全体構成を示す図である。実施例1および実施例2は、工場でのリファービッシュ作業が必要となるため、その作業の間に代用品のレンタルが行われる例であり、実施例3は、工場でのリファービッシュ作業が不要で、サービス員による現地作業でリファービッシュが完結する例である。
【実施例0029】
実施例1について、図5図8を用いて説明する。実施例1は、洗濯乾燥機の修理のレコメンドを起点として、リファービッシュの計画が確定した後、代用品を使用したユーザがスペックの更新(計画の修正)を希望した場合を想定している。
【0030】
情報処理システムの利用を開始すると、洗濯乾燥機の記憶部230にある動作履歴情報231などが情報処理装置100へ送信され、稼働情報として稼働情報データベース141に格納される。情報処理装置100のレコメンド部121は、稼働情報データベース141に格納された稼働情報を監視し、修理を行うべき条件に達すると、レコメンドを作成し、通信部130を介いてユーザ端末装置300にレコメンドを送信する。修理を行うべき条件としては様々なものが想定され、一定期間経過後に一律にレコメンドされても良いが、ここでは、工場において槽の交換や洗浄が必要な所定条件に達した場合を例に挙げて説明する。
【0031】
図6は、実施例1において、修理の計画を確定するまでの情報処理装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。情報処理装置100のレコメンド部121は、例えば、洗濯運転累積回数が所定以上かつ槽洗浄が一定期間以上実施されていない場合、槽の交換に関するレコメンドを作成する(ステップS101)。このレコメンドには、修理の内容として工場での槽の交換が必要なことに加え、交換に伴う代用品レンタルの提案も含まれる。
【0032】
次に、情報処理装置100の通信部130が、レコメンドをユーザ端末装置300へ送信する(ステップS102)。すると、ユーザ端末装置300のアプリを通じてユーザにレコメンドが通知される。ユーザがアプリを通じてレコメンドの承諾を回答すると、通信部130が、ユーザ端末装置300からレコメンド承諾の回答を受信する(ステップS103)。
【0033】
その後、情報処理装置100の計画提案部122が、工場端末装置400のデータベースの部品情報や人員情報を照会するなどして、槽の交換に関するリファービッシュの計画を作成する(ステップS104)。この計画には、リファービッシュ対象品の預かり時期やリファービッシュ済み品の配送時期などのスケジュール、リファービッシュ(槽の交換)の費用、代用品の機種など、レコメンドと比べて詳細な情報が含まれる。また、リファービッシュ済み品の予測仕上がりとして、リファービッシュ作業により洗濯乾燥機の寿命がどの程度長くなるかの目安が、計画に含まれていても良い。さらに、洗濯乾燥機を延命することで、CO2排出量がどの程度削減されるかの目安が、計画に含まれていても良い。
【0034】
情報処理装置100の通信部130は、リファービッシュの計画をユーザ端末装置300へ送信する(ステップS105)。すると、ユーザ端末装置300のアプリを通じてユーザにリファービッシュの計画が通知される。ユーザがアプリを通じて計画の承諾を回答すると、通信部130が、ユーザ端末装置300から計画承諾の回答を受信する(ステップS106)。これにより、情報処理装置100の計画提案部122は、リファービッシュの計画を確定する(ステップS107)。計画が確定すると、情報処理装置100は、工場端末装置400に対して、リファービッシュの依頼や、代用品の配送の依頼などを行う。
【0035】
ここで、ユーザにとっては、代用品としてレンタルされる洗濯乾燥機についても、リファービッシュ対象品を使っていたときと近いパターンで使用できることが望ましい。そのため、本実施例では、リファービッシュ対象品での稼働情報が、情報処理装置100の稼働情報データベース141から代用品に引き継がれるようにした。
【0036】
図7は、リファービッシュ対象品と代用品との間で引き継がれる稼働情報の一例を示す図である。図7に示すように、リファービッシュ対象品に対してユーザがカスタマイズした、お気に入りコースや音声設定などの設定情報が代用品にも移行されるので、ユーザはこれらの設定を引き続き利用できる。また、リファービッシュ対象品に対して新たな洗濯コースのプログラムなどがダウンロードされていた場合には、そのプログラムも代用品に移行される。さらに、平均洗濯容量や平均乾燥容量などの稼働情報は、代用品の使用中も引き続きカウントされることで、リファービッシュ済み品が届いた後の稼働情報の監視の精度も高まる。なお、代用品とリファービッシュ済み品との間でも、同様に、稼働情報が引き継がれる。
【0037】
代用品のスペックは、リファービッシュ対象品のスペックと同じであることが望ましいが、リファービッシュ対象品のスペックより上位であっても良い。その場合、代用品は、リファービッシュ対象品にはない機能を有していることが考えられる。すると、代用品を使用してみたユーザが、単なる修理ではなく、代用品が有する機能を追加させるためにスペックの更新(計画の修正)を希望することもある。例えば、リファービッシュ対象品にはなかった槽洗浄機能を代用品が有していた場合、ユーザが槽洗浄機能の追加を希望することもある。
【0038】
図8は、実施例1において、計画の修正をユーザが希望したときの情報処理装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。洗濯乾燥機の修理の計画が確定した後、修理に伴う代用品を使用したユーザが、代用品相当のスペックへの更新を希望する場合、ユーザ端末装置300のアプリを通じて更新希望の指令を情報処理装置100へ送信する。すると、通信部130が、ユーザ端末装置300から更新希望の指令を受信する(ステップS111)。その後、計画提案部122は、工場端末装置400のデータベースにもアクセスし、リファービッシュ作業着手前か否かを判定する(ステップS112)。なお、リファービッシュ作業着手前か否かは、計画確定後一定期間内か否かに基づいて判定されても良い。
【0039】
ステップS112において、リファービッシュ作業着手前と判定された場合、計画提案部122は、預かったリファービッシュ対象品の計画を修理から、更新または修正および更新に修正する(ステップS113)。その後、通信部130が修正後の計画をユーザ端末装置300へ送信すると(ステップS114)、ユーザ端末装置300のアプリを通じてユーザに通知される。ユーザがアプリを通じて修正後の計画の承諾を回答すると、通信部130が、ユーザ端末装置300から計画承諾の回答を受信する(ステップS115)。これにより、計画提案部122は、リファービッシュの計画を確定する(ステップS116)。計画が確定すると、情報処理装置100は、工場端末装置400に対して、リファービッシュの依頼内容の修正などを行う。
【0040】
一方、ステップS112において、リファービッシュ作業着手済みと判定された場合、通信部130は、代用品をそのまま購入するか否かの問合せを送信する(ステップS117)。次に、計画提案部122は、代用品の継続使用(代用品の購入)を希望する回答をユーザ端末装置300から受信したか否かを判定する(ステップS118)。購入希望の回答を通信部130が受信した場合、計画提案部122は、リファービッシュ対象品の修理の計画を取り消す(ステップ119)。このとき、リファービッシュ対象品は例えば下取りに出される。購入希望の回答を通信部130が受信しない場合、リファービッシュ対象品の修理の計画はそのまま維持される(ステップS120)。
【0041】
本実施例によれば、適切なタイミングで家電機器の修理が行われるため、家電機器の長寿命化が可能となる。また、家電機器の修理に伴う代用品の使用により、ユーザがスペックの更新を希望した場合にも、臨機応変に対応できる。その結果、ユーザが家電機器を長く快適に使用し続けることの支援が可能となる。
【0042】
なお、本実施例では、洗濯運転累積回数および槽洗浄実施頻度に基づき、槽の交換や洗浄を促すレコメンドがされたが、乾燥容量に対する乾燥運転時間の長さや乾燥運転累積回数などに基づき、乾燥ダクトの交換や洗浄を促すレコメンドがされても良い。
【実施例0043】
実施例2について、図5および図9を用いて説明する。実施例2は、洗濯乾燥機の更新のレコメンドを起点として、リファービッシュの計画が確定した後、ユーザに対して代用品のレンタルが行われる場合を想定している。
【0044】
本実施例のレコメンド部121は、修理を行うべき条件に達しなくても、ユーザの入力情報に基づいて家電機器200の使用環境の変化を捉え、更新のレコメンドを作成することが可能である。前述したとおり、情報処理装置100の入力情報データベース142には、洗濯乾燥機の外観に関する画像や、洗濯乾燥機の設置環境に関する画像が格納されている。例えば、ユーザが引っ越しするなどして洗濯乾燥機の設置空間の色が変わると、洗濯乾燥機本体の色との調和が崩れることも考えられる。そのような場合、レコメンド部121は、入力情報データベース142に格納された画像情報に基づいて、洗濯乾燥機の本体色の変更のレコメンドを作成する。なお、洗濯乾燥機本体の一部に変色や損傷のあることが画像情報に基づき検知された場合には、洗濯乾燥機の修理のレコメンドが作成されても良い。
【0045】
図9は、実施例2において、更新の計画を確定するまでの情報処理装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。情報処理装置100のレコメンド部121は、入力情報データベース142に格納された、洗濯乾燥機の外観を含む画像情報に基づき、本体色の変更のレコメンドを作成する(ステップS201)。このレコメンドには、更新の内容が本体色であることに加え、更新に伴う代用品レンタルの提案も含まれる。以降のステップS202~ステップS207は、前述の実施例1で説明した、図6のステップS102~ステップS107と同様である。なお、ステップS201で作成されるレコメンドやステップS204で作成される計画には、リファービッシュ作業をした場合の予測仕上がりとして、例えば、本体色の変更後の外観を示す画像情報が含まれても良い。
【0046】
また、ユーザの入力情報として例えば住所情報の変更に基づき更新のレコメンドが作成される場合には、家電機器200の通信部210はネットワーク500と接続されていなくても良い。この場合、サービス員がリファービッシュ対象品を預かる際に、持参した端末装置を家電機器200の通信部210と有線接続して稼働情報を取得することで、必要に応じて計画を修正することも可能である。
【0047】
本実施例によれば、ユーザの入力情報に基づいて家電機器の使用環境の変化を捉え、適切なタイミングで家電機器の更新が行われるので、ユーザが家電機器を長く快適に使用し続けることの支援が可能となる。
【実施例0048】
実施例3について、図10および図11を用いて説明する。実施例3は、洗濯乾燥機の更新のレコメンドを起点として、リファービッシュの計画が確定した後、サービス員による現地での更新作業でリファービッシュが完結する場合を想定している。
【0049】
例えば、出産などによりユーザの世帯の構成人数が増加すると、以前と比べて洗濯物の量が増加することも考えられる。そのような場合、レコメンド部121は、入力情報データベース142に格納された世帯人数の情報に基づいて、1回の運転で洗濯できる最大の洗濯物の量を増加させるレコメンドを作成する。ここで、洗濯容量は型式ごとに予め定められているが、実質的な洗濯容量の増加は、一定の範囲内であれば、ハード面の変更なしに、ソフト面の更新で対応できる場合がある。本実施例では、サービス員が現地でソフトを変更するだけで、洗濯乾燥機の容量を増加させることが可能な場合について説明する。なお、稼働情報からも洗濯物の量が増加している傾向が捉えられる場合には、世帯人数などの入力情報に寄らずに、レコメンドが作成されても良い。
【0050】
図11は、実施例3において、更新の計画を確定するまでの情報処理装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。情報処理装置100のレコメンド部121は、入力情報データベース142に格納された、ユーザの世帯人数の情報に基づき、洗濯容量変更のレコメンドを作成する(ステップS301)。このレコメンドには、更新の内容が洗濯容量であることに加え、現地で更新作業が完結すること(更新に伴う代用品レンタルが不要であること)も含まれる。以降のステップS302~ステップS307は、前述の実施例1で説明した、図6のステップS102~ステップS107と基本的に同様である。
【0051】
また、ハード面での変更が必要な更新であっても、一部の部品(ユニット)をサービス員が現地で組み付けるだけで対応できる場合もある。その場合、図10に示すように、情報処理装置100は、工場端末装置400に対して、現地での更新作業に必要な部品の配送の依頼などを行う。また、部品の配送が遅れる場合、情報処理装置100(プラットフォーム)側から、ユーザ端末装置300(ユーザ)側へ、更新の計画の修正を依頼できるようになっている。
【0052】
本実施例によっても、ユーザの入力情報などに基づいて家電機器の使用環境の変化を捉え、適切なタイミングで家電機器の更新が行われるので、ユーザが家電機器を長く快適に使用し続けることの支援が可能となる。
【0053】
本発明は、前述した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、前述した各実施例では、家電機器として洗濯乾燥機を例に挙げて説明したが、他の家電機器であっても適用できる。前述した各実施例では、ユーザ端末装置が、アプリを介して情報処理システムを利用したが、ブラウザにより情報処理装置のプラットフォームにアクセスし、Webサービスを介して情報処理システムを利用しても良い。さらに、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えたり、追加したりすることも可能である。
【符号の説明】
【0054】
100…情報処理装置、110…プロセッサ(情報処理装置)、120…メモリ(情報処理装置)、121…レコメンド部、122…計画提案部、130…通信部(情報処理装置)、140…ストレージ、141…稼働情報データベース、142…入力情報データベース、143…機器情報データベース、200…家電機器、210…通信部(家電機器)、220…制御部、230…記憶部、231…動作履歴情報、232…設定情報、233…ダウンロード情報、240…入出力部(家電機器)、300…ユーザ端末装置、310…通信部(ユーザ端末装置)、320…プロセッサ(ユーザ端末装置)、330…メモリ(ユーザ端末装置)、340…入出力部(ユーザ端末装置)、350…カメラ、400…工場端末装置、410…部品管理データベース、420…人員管理データベース、500…ネットワーク
図1
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図11