(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039234
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】EMS装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143632
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】519220490
【氏名又は名称】株式会社おせっかい倶楽部
(74)【代理人】
【識別番号】100119301
【弁理士】
【氏名又は名称】蟹田 昌之
(72)【発明者】
【氏名】森谷 敏夫
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ03
4C053JJ04
4C053JJ06
4C053JJ24
(57)【要約】
【課題】様々な態様で筋肉を収縮させることができるEMS装置の提供を目的とする。
【解決手段】パルス信号を出力するEMS装置であって、前記パルス信号の出力開始時刻からx-1秒後とx秒後の間の1秒間に存在するパルスの数をy(x)とした場合に(xは1以上の整数である。)、以下の第1条件及び第2条件を満たすxの範囲(A≦x≦B)が存在するように、前記パルス信号を出力するEMS装置。
第1条件:10個≦y(x)≦100個
第2条件:0個≦|y(x+1)-y(x)|≦20個
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス信号を出力するEMS装置であって、
前記パルス信号の出力開始時刻からx-1秒後とx秒後の間の1秒間に存在するパルスの数をy(x)とした場合に(xは1以上の整数である。)、
以下の第1条件及び第2条件を満たすxの範囲(A≦x≦B)が存在するように、前記パルス信号を出力するEMS装置。
第1条件:10個≦y(x)≦100個
第2条件:0個≦|y(x+1)-y(x)|≦20個
【請求項2】
パルス信号を出力するEMS装置であって、
前記パルス信号の出力開始時刻から数えてn-4番目からn番目までの5個のパルスのパルス幅の平均値をw(n)とした場合に(nは5単位で増加する10以上の整数である。)、以下の第3条件乃至第5条件を満たすnの範囲(C≦n≦D)が存在するように、前記パルス信号を出力するEMS装置。
第3条件:1μ秒≦w(n)≦500μ秒
第4条件:0μ秒<|w(n)-w(n-5)|≦100μ秒
第5条件:(w(D)-w(C))>100μ秒
【請求項3】
請求項2に記載のEMS装置であって、
前記第3条件及び前記第4条件並びに、前記第5条件の代わりに以下の第6条件を満たすnの範囲(E≦n≦F)が存在するように、前記パルス信号を出力するEMS装置。
第6条件:(w(E)-w(F))>100μ秒
【請求項4】
パルス信号を出力するEMS装置であって、
前記パルス信号の出力開始時刻からx-1秒後とx秒後の間の1秒間に存在するパルスの数をy(x)とした場合に(xは1以上の整数である。)、
以下の第8条件及び第9条件を満たすxの範囲(G≦x≦H)が存在するように、前記パルス信号を出力するEMS装置。
第8条件:1個≦y(x)<10個
第9条件:0個≦|y(x+1)-y(x)|<5個
【請求項5】
請求項1に記載のEMS装置であって、前記xの範囲(A≦x≦B)において以下の第10条件が成立するEMS装置。
第10条件:y(x+1)≧y(x)
【請求項6】
請求項1に記載のEMS装置であって、前記xの範囲(A≦x≦B)において以下の第11条件が成立するEMS装置。
第11条件:y(x+1)<y(x)
【請求項7】
請求項2に記載のEMS装置であって、前記nの範囲(C≦n≦D)において以下の第12条件が成立するEMS装置。
第12条件:w(n)≧w(n-5)
【請求項8】
請求項3に記載のEMS装置であって、前記nの範囲(E≦x≦F)において以下の第13条件が成立するEMS装置。
第13条件:w(n)<w(n-5)
【請求項9】
請求項4に記載のEMS装置であって、前記xの範囲(G≦x≦H)において以下の第14条件が成立するEMS装置。
第14条件:y(x+1)≧y(x)
【請求項10】
請求項4に記載のEMS装置であって、前記xの範囲(G≦x≦H)において以下の第15条件が成立するEMS装置。
第15条件:y(x+1)<y(x)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EMS装置に関する。
【背景技術】
【0002】
EMS装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、様々な態様で筋肉を収縮させることができるEMS装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、次の一実施形態を含む。
【0006】
パルス信号を出力するEMS装置であって、
前記パルス信号の出力開始時刻からx-1秒後とx秒後の間の1秒間に存在するパルスの数をy(x)とした場合に(xは1以上の整数である。)、
以下の第1条件及び第2条件を満たすxの範囲(A≦x≦B)が存在するように、前記パルス信号を出力するEMS装置。
第1条件:10個≦y(x)≦100個
第2条件:0個≦|y(x+1)-y(x)|≦20個
【0007】
パルス信号を出力するEMS装置であって、
前記パルス信号の出力開始時刻から数えてn-4番目からn番目までの5個のパルスのパルス幅の平均値をw(n)とした場合に(nは5単位で増加する10以上の整数である。)、以下の第3条件乃至第5条件を満たすnの範囲(C≦n≦D)が存在するように、前記パルス信号を出力するEMS装置。
第3条件:1μ秒≦w(n)≦500μ秒
第4条件:0μ秒<|w(n)-w(n-5)|≦100μ秒
第5条件:(w(D)-w(C))>100μ秒
【0008】
パルス信号を出力するEMS装置であって、
前記パルス信号の出力開始時刻からx-1秒後とx秒後の間の1秒間に存在するパルスの数をy(x)とした場合に(xは1以上の整数である。)、
以下の第8条件及び第9条件を満たすxの範囲(G≦x≦H)が存在するように、前記パルス信号を出力するEMS装置。
第8条件:1個≦y(x)<10個
第9条件:0個≦|y(x+1)-y(x)|<5個
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態に係るEMS装置によれば、様々な態様で筋肉を収縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】パルス信号の出力開始時刻から1秒経過する毎に求められる1秒間のパルス数を説明する図である。
【
図2】パルス信号の出力開始時刻から5パルス毎に求められるパルス幅の平均値を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態1に係るEMS装置]
実施形態1に係るEMS装置は、パルス信号を出力するEMS装置であって、パルス信号の出力開始時刻からx-1秒後とx秒後の間の1秒間に存在するパルスの数をy(x)とした場合に(xは1以上の整数である。)、以下の第1条件及び第2条件を満たすxの範囲(A≦x≦B)が存在するように、パルス信号を出力するEMS装置である。
第1条件:10個≦y(x)≦100個
第2条件:0個≦|y(x+1)-y(x)|≦20個
以下、詳細に説明する。
【0012】
(EMS装置)
EMSは、Electrical Muscle Stimulationの略である。EMS装置は、筋肉にパルス信号を与えることで筋肉を動かしたり鍛えたりするための装置である。EMS装置によれば、筋肉を鍛えるために所定の動作を行うという指令(つまり神経信号)を脳から出力せずとも、当該指令(神経信号)を模したEMS装置から出力されるパルス信号を筋肉に加えることにより、当該筋肉を動かしたり鍛えたりすることができる。EMS装置の使用者は、筋肉を他動的に動かすことができるので、容易に筋肉を動かしたり鍛えたりすることができる。
【0013】
EMS装置から出力されるパルス信号は、脳から筋肉に向けて出力される神経信号を模した信号である。パルス信号がEMS装置から人体に印加されることにより、筋肉は、脳から所定の動作の指令を受けたと理解し、パルス信号に応じた動作を脳から指令を受けた動作として行う。動作の一例には、例えば腕や脚の筋肉であれば、腕や脚を曲げたり伸ばしたりすることが含まれる。
【0014】
EMS装置は、例えば、プロセッサ、メモリ、及びパルス信号供給装置を有している。これら各装置は、例えば集積回路や他の回路等を用いて構成することができる。EMS装置は、例えば、プロセッサがプログラムを実行することにより、パルス信号供給装置からパルス信号を出力する。プロセッサが実行するプログラムは、例えば、あらかじめEMS装置のメモリに記憶されていてもよいし、EMS装置の使用者やEMS装置上で動作するプログラムなどが、インターネット上のサーバ装置などのEMS装置の外部装置から取得するようにしてもよい。
【0015】
パルス信号供給装置から出力されたパルス信号は、配線や電極パッドなどの伝達装置を介して、EMS装置使用者の人体(例:脚、腰、腕)に伝達される。伝達装置は、パルス信号供給装置から出力されたパルス信号を人体に伝達する装置であり、公知の装置により構成することができる。伝達装置の一例には、例えば、配線、電極パッド、あるいはこれらを組み合わせたものが含まれる。
【0016】
パルス信号の一例には、矩形波のほか、台形波や三角波などの矩形波以外の信号が含まれる。パルス信号の極性は正であっても構わないし、負であっても構わない。極性が正であるパルス信号は例えば正パルスと称され、極性の負であるパルス信号は例えば負パルスと称されることがある。
【0017】
パルス信号の出力開始時刻とは、パルス信号の出力が開始される時刻をいい、EMS装置の動作開始後、1番目に出力されるパルスの立ち上がり(負パルスの場合は立ち下がり)を開始する時刻をいう。
【0018】
筋肉トレーニングや血流促進を実質的に行うことができない微弱な信号(例えば、体感できない程度の信号)は、本明細書におけるパルス信号には含まれない。そのような微弱な信号が出力されても、本明細書におけるパルス信号が出力されているとはいわない。そのような微弱な信号では、各実施形態の目的に適した筋肉トレーニングや血流促進を実質的に行うことができないからである。
【0019】
本実施形態では、パルス信号の出力開始時刻からx-1秒後とx秒後の間の1秒間に存在するパルスの数をy(x)とする。ただし、xは、1、2、3・・・などの1以上の整数である。なお、例えば、y(x+1)は、パルス信号の出力開始時刻からx秒後とx+1秒後の間の1秒間に存在するパルスの数を意味し、y(x+50)はパルス信号の出力開始時刻からx+49秒後とx+50秒後の間の1秒間に存在するパルスの数を意味する。また、例えば、y(4)はパルス信号の出力開始時刻から3秒後と4秒後の間の1秒間に存在するパルスの数を意味し、y(700)はパルス信号の出力開始時刻から699秒後と700秒後の間の1秒間に存在するパルスの数を意味する。x-1秒後とx秒後の間の1秒間とは、x-1秒<時間間隔≦x秒で定義される1秒間の時間間隔を意味する。当該1秒間に、x-1秒は含まれず、x秒は含まれる。
【0020】
あるパルスがx秒で示される時点を跨いで存在する場合(例えば、あるパルスがパルス信号の出力開始時刻から1.5秒後に立ち上がり、パルス信号の出力開始時刻から2.3秒後に立ち下がる場合、当該パルスはパルス信号の出力開始時刻から2秒後の時点(x=2の時点)を跨いで存在することになる。)には、当該パルスを(x-1)秒後とx秒後の間に存在するパルスとみなしてパルス数をカウントするのか、あるいはx秒後と(x+1)秒後の間に存在するパルスとみなしてパルス数をカウントするのかが問題になるが、本明細書では、当該パルスの立ち上がり(負パルスの場合は立ち下がり)時点が位置する方に当該パルスが存在するものとする。すなわち、当該パルスの立ち上がり(負パルスの場合は立ち下がり)時点が(x-1)秒後とx秒後の間に位置する場合は、当該パルスは(x-1)秒後とx秒後の間に存在するものとしてパルス数をカウントし、x秒後と(x+1)秒後の間に位置する場合は当該パルスはx秒後と(x+1)秒後の間に存在するものとしてパルス数をカウントする。
【0021】
本実施形態に係るEMS装置は、以下の第1条件と第2条件を満たすxの範囲(A≦x≦B)が存在するように、パルス信号を出力する。換言すると、本実施形態に係るEMS装置から出力されるパルス信号を測定すると、以下の第1条件と第2条件を満たすxの範囲(A≦x≦B)が存在する。
図1に示す例でいうと、x=6からx=9までの範囲と、x=13からx=15までの範囲は、それぞれ、これらの条件を満たすxの範囲(A≦x≦B)の一例である。
【0022】
(第1条件)
第1条件は、xの範囲(A≦x≦B)においては、10個≦y(x)≦100個の関係が成立するという条件である。このように、1秒間のパルス数y(x)の上限と下限を設定することにより、実際の筋肉トレーニングにおいて脳から出力される神経信号に近いパルス信号をEMS装置から出力することが可能となり、過度の疲労を生じさせない程度に適度に筋肉を刺激することができる。
【0023】
例えば、x=11からx=15までの範囲、つまり、11≦x≦15(A=11、B=15)の範囲で第1条件が成立する場合は、以下のすべての関係が成立する。
10個≦y(11)≦100個、
10個≦y(12)≦100個、
10個≦y(13)≦100個、
10個≦y(14)≦100個、及び
10個≦y(15)≦100個。
ここで、例えば10個≦y(11)≦100個は、パルス信号の出力開始時刻から10秒後と11秒後の間の1秒間に存在するパルスの数が、10個以上100個以下であることを意味する。
【0024】
筋肉トレーニングの効果は、1秒間のパルス数y(x)が、筋肉が疲労するかしないかの閾値に近くづくにつれて高まり、当該閾値を超えると低くなる。トレーニングマシン等を用いた実際の筋肉トレーニングにおいては、このような閾値の存在を知らずに、あるいは知っていても当該閾値付近の負荷となるように筋肉に対する負荷を十分にコントールすることができずに、過度の負荷を筋肉に加えていることも多いと考えられる。しかし、第1条件を10個≦y(x)≦(筋肉が疲労するかしないかの閾値)に設定すれば、上記の閾値の存在を知らない者であっても、EMS装置を用いて筋肉トレーニングを行うことにより、筋肉トレーニングの効果を高めることができる。なお、筋肉が疲労するかしないかの閾値は、例えば約30個である。したがって、第1条件のより好ましい領域は、例えば、10個≦y(x)≦30個である。
【0025】
(第2条件)
第2条件は、xの範囲(A≦x≦B)においては、0個≦|y(x+1)-y(x)|≦20個の関係が成立するという条件である。1秒間のパルスの数が急激に変化すると、実際の筋収縮を模した動きと乖離してしまい、急激な収縮強度の変化による違和感や刺激痛が発生し、十分に筋肉トレーニング効果を高めることができない。そこで、本実施形態では、y(x)を、第2条件の関係が成立する範囲で変化させるものとする。なお、急激な収縮強度の変化をさらに抑制すべく、第2条件は、0個≦|y(x+1)-y(x)|≦15個であることがより好ましく、0個≦|y(x+1)-y(x)|≦12個であることがさらに好ましい。
【0026】
例えば、x=11からx=15までの範囲、つまり、11≦x≦15(A=11、B=15)の範囲で第2条件が成立する場合は、以下のすべての関係が成立する。
0個≦|y(12)-y(11)|≦20個、
0個≦|y(13)-y(12)|≦20個、
0個≦|y(14)-y(13)|≦20個、
0個≦|y(15)-y(14)|≦20個、及び
0個≦|y(16)-y(15)|≦20個。
ここで、例えば0個≦|y(12)-y(11)|≦20個は、パルス信号の出力開始時刻から12秒後と11秒後の間の1秒間に存在するパルスの数と、パルス信号の出力開始時刻から11秒後と10秒後の間の1秒間に存在するパルスの数との差の絶対値が、0個以上20個以下であることを意味する。
【0027】
以上説明した実施形態1に係るEMS装置によれば、急激な収縮強度の変化による違和感や刺激痛の発生を抑制しつつ、筋肉を効果的に鍛えることができる。また、たとえ筋肉トレーニングの理論を知らない者であっても、筋肉トレーニングの理論を熟知した者と同様に、効果の高い筋肉トレーニングを行うことができる。つまり、筋肉を疲労させるばかりで筋肥大や筋肉量の維持などに効果のない負荷を筋肉に与えるのではなく、適度な負荷を筋肉に与えつつ、筋肥大や筋肉量の維持などの効果を得ることができる。
【0028】
なお、本実施形態において、xの範囲(A≦x≦B)におけるパルス幅の大きさは限定されない。ただし、xの範囲(A≦x≦B)におけるパルス幅が1μ秒以上500μ秒以下の範囲(特に1μ秒以上400μ秒以下の範囲)にある場合は、筋肉をより効果的に鍛えることができる。
【0029】
[実施形態2に係るEMS装置]
実施形態2に係るEMS装置は、パルス信号を出力するEMS装置であって、パルス信号の出力開始時刻から数えてn-4番目からn番目までの5個のパルスのパルス幅の平均値をw(n)とした場合に(nは5単位で増加する10以上の整数である。)、以下の第3条件乃至第5条件を満たすnの範囲(C≦n≦D)が存在するように、パルス信号を出力する点で、実施形態1に係るEMS装置と相違する。
第3条件:1μ秒≦w(n)≦500μ秒
第4条件:0μ秒<|w(n)-w(n-5)|≦100μ秒
第5条件:(w(D)-w(C))>100μ秒
図2に示す例でいうと、n=5からn=40までの範囲と、n=65からn=80までの範囲が、それぞれ、第3条件乃至第5条件のすべてを満たすnの範囲(C≦n≦D)の一例に該当し、C=5、D=40及び、C=65、D=80である。以下、実施形態1と相違する点を説明し、実施形態1と共通する点の説明は省略する。
【0030】
本実施形態では、パルス信号の出力開始時刻から数えて(n-4)番目のパルスからn番目までの5個のパルスのパルス幅の平均値をw(n)とする。ただし、nは、10、15、20、25・・・などの、5単位で増加する10以上の整数である。例えば、w(n+5)は、パルス信号の出力開始時刻から数えてn+1番目のパルスからn+5番目までの5個のパルスのパルス幅の平均値を意味し、w(n+100)は、パルス信号の出力開始時刻から数えてn+96番目のパルスからn+100番目までの5個のパルスのパルス幅の平均値を意味する。また、例えば、w(20)は、パルス信号の出力開始時刻から数えて16番目のパルスから20番目までの5個のパルスのパルス幅の平均値を意味し、w(3000)は、パルス信号の出力開始時刻から数えて2996番目のパルスから3000番目までの5個のパルスのパルス幅の平均値を意味する。
【0031】
(第3条件)
第3条件は、nの範囲(C≦n≦D)においては、1μ秒≦w(n)≦500μ秒の関係が成立するという条件である。このように、w(n)の値を設定することにより、筋肉に与える刺激パルスの電力量(エネルギー)を変えることで、筋肉の収縮強度を調整でき、適度な強度で筋肉を刺激することができる。
【0032】
例えば、n=10からn=50までの範囲、つまり、10≦n≦50(C=10、D=50)の範囲で第3条件が成立する場合は、以下の関係が成立する。
1μ秒≦w(10)≦500μ秒、
1μ秒≦w(15)≦500μ秒、
1μ秒≦w(20)≦500μ秒、
1μ秒≦w(25)≦500μ秒、
1μ秒≦w(30)≦500μ秒、
1μ秒≦w(35)≦500μ秒、
1μ秒≦w(40)≦500μ秒、
1μ秒≦w(45)≦500μ秒、及び
1μ秒≦w(50)≦500μ秒。
ここで、例えば1μ秒≦w(10)≦500μ秒は、パルス信号の出力開始時刻から数えて6番目のパルスから10番目までの5個のパルスのパルス幅の平均値が、1μ秒以上500μ秒以下であることを意味する。
【0033】
(第4条件)
第4条件は、nの範囲(C≦n≦D)においては、0μ秒<|w(n)-w(n-5)|≦100μ秒の関係が成立するという条件である。w(n)の値が急激に変化すると、皮膚抵抗の存在により刺激痛が発生し、パルス信号が人体の深層部にまで十分には届き難い。そこで、本実施形態では、w(n)を第4条件の関係が成立する範囲で徐々に変化させるものとしている。したがって、本実施形態によれば、刺激痛の発生を抑制しつつ、人体の浅いところ(人体の表層部)から深いところ(人体の深層部)へ向けて筋肉を徐々に収縮させることが可能である。
【0034】
例えば、n=10からn=50までの範囲、つまり、10≦n≦50(C=10、D=50)の範囲で第4条件が成立する場合は、以下の関係が成立する。
0μ秒<|w(10)-w(5)|≦100μ秒、
0μ秒<|w(15)-w(10)|≦100μ秒、
0μ秒<|w(20)-w(15)|≦100μ秒、
0μ秒<|w(25)-w(20)|≦100μ秒、
0μ秒<|w(30)-w(25)|≦100μ秒、
0μ秒<|w(35)-w(30)|≦100μ秒、
0μ秒<|w(40)-w(35)|≦100μ秒、
0μ秒<|w(45)-w(40)|≦100μ秒、及び
0μ秒<|w(50)-w(45)|≦100μ秒。
ここで、例えば、0μ秒<|w(10)-w(5)|≦100μ秒は、パルス信号の出力開始時刻から数えて6番目のパルスから10番目までの5個のパルスのパルス幅の平均値と、パルス信号の出力開始時刻から数えて1番目のパルスから5番目までの5個のパルスのパルス幅の平均値と、の差の絶対値が、0μ秒以上100μ秒以下であることを意味する。
【0035】
第4条件は、0μ秒<|w(n)-w(n-5)|≦80μ秒であることがより好ましく、0μ秒<|w(n)-w(n-5)|≦60μ秒であることがさらに好ましい。このようにすれば、w(n)の変化がより緩やかなものとなるため、より一層、刺激痛の発生を抑制しつつ、人体の浅いところ(人体の表層部)から深いところ(人体の深層部)へ向けて筋肉を徐々に収縮させることが可能である。
【0036】
(第5条件)
第5条件は、nの範囲(C≦n≦D)においては、(w(D)-w(C))>100μ秒の関係が成立するという条件である。換言すると、第5条件は、n=Cからn=Dまでにかけて、w(n)が少なくとも100μ秒より大きくなるという条件である。w(n)の値が適度に大きいほど、パルス信号が人体の深層部にまで届きやすくなる。したがって、第5条件を満たすことにより、パルス信号が、n=Cからn=Dまでにかけて、人体の深層部に徐々に届くようになる。
【0037】
例えば、n=10からn=50までの範囲、つまり、10≦n≦50(C=10、D=50)の範囲で第5条件が成立する場合は、以下の関係が成立する。
w(50)-w(10)>100μ秒
これは、パルス信号の出力開始時刻から数えて46番目のパルスから50番目までの5個のパルスのパルス幅の平均値は、パルス信号の出力開始時刻から数えて6番目のパルスから10番目までの5個のパルスのパルス幅の平均値より大きい値であり、かつ、100μ秒より大きいことを意味する。
【0038】
パルス信号が人体の深層部にまで十分に届くように、第5条件は、150μ秒≦(w(D)-w(C))≦300μ秒であることがより好ましく、180μ秒≦((w(D)-w(C)))≦200μ秒であることがさらに好ましい。
【0039】
以上説明した実施形態2に係るEMS装置によれば、人体の表層部から深層部に向けて徐々に筋肉を収縮させることができるため、刺激痛の発生を抑制しつつ、人体の深層部にある筋肉を効果的に収縮させることができる。つまり、人体の深層部にまでパルスを届かせるためには、ある程度の大きさのパルス幅が必要となるが、いきなり大きなパルス幅のパルスを印加すると、皮膚抵抗の存在により刺激痛は発生するがパルスは深層部に届かないという結果になる虞がある。そこで、本実施形態では、第4条件と第5条件によって、パルス幅を徐々に増加させることにしたものである。深層部の筋肉は、インナーマッスルと呼ばれる筋肉であり、通常の運動でもトレーニングが大変難しい筋肉である。その一方で、姿勢維持や尿失禁に関係がある筋肉であるため、トレーニングの必要性や要望が高い筋肉でもある。よって、本実施形態によれば、深層部にある筋肉を効果的に刺激することで、従来は難しかったインナーマッスルの筋トレを効果的に行い、正しい姿勢の維持や失禁予防・改善を図ることができる。
【0040】
なお、本実施形態において、nの範囲(C≦n≦D)における1秒間のパルス数y(x)は限定されない。ただし、nの範囲(C≦n≦D)における1秒間のパルス数y(x)が10個以上100個以下の範囲にある場合は、筋肉をより効果的に鍛えることができる。
【0041】
また、実施形態1と実施形態2の双方を実現するxとnの範囲を設定することも可能である。つまり、EMS装置は、第1条件乃至第5条件のすべてを満たすxとnの範囲が存在するように、パルス信号を出力することも可能である。このようにすれば、より効果的に、人体の浅いところ(人体の表層部)から深いところ(人体の深層部)へ向けて筋肉を様々な様態と強度で収縮させることが可能である。
【0042】
[実施形態3に係るEMS装置]
実施形態3に係るEMS装置は、上記した第3条件及び第4条件並びに、第5条件の代わりに以下の第6条件を満たすnの範囲(E≦n≦F)が存在するように、パルス信号を出力する点で、実施形態2に係るEMS装置と相違する。
第6条件:(w(E)-w(F))>100μ秒
図2に示す例でいうと、n=80からn=95までの範囲が第3条件及び第4条件並びに第6条件を満たすnの範囲(E≦n≦F)の一例に該当し、この場合、E=80、F=95と考えることができる。以下、実施形態2と相違する点を説明し、実施形態2と共通する点の説明は省略する。
【0043】
(第6条件)
第6条件は、nの範囲(E≦n≦F)においては、(w(E)-w(F))>100μ秒の関係が成立するという条件である。換言すると、第6条件は、n=Eからn=Fまでにかけて、w(n)が少なくとも100μ秒より小さくなるという条件である。w(n)の値が小さくなるほど、パルス信号の筋肉への影響が小さくなる。
【0044】
例えば、n=50からn=100までの範囲、つまり、50≦n≦100(E=50、F=100)の範囲で第6条件が成立する場合は、以下の関係が成立する。
(w(50)-w(100))>100μ秒
これは、パルス信号の出力開始時刻から数えて96番目のパルスから100番目までの5個のパルスのパルス幅の平均値は、パルス信号の出力開始時刻から数えて46番目のパルスから50番目までの5個のパルスのパルス幅の平均値よりも小さい値であり、パルス信号の出力開始時刻から数えて46番目のパルスから50番目までの5個のパルスのパルス幅の平均値から、パルス信号の出力開始時刻から数えて96番目のパルスから100番目までの5個のパルスのパルス幅の平均値を減じた後に残る数値が、100μ秒より大きいことを意味する。
【0045】
本実施形態において、EとFはDより大きい値であってもよいし、Cより小さい値であってもよい。つまり、変数nがパルス信号の出力開始時刻から数えてn番目のパルスを表す場合、nの範囲(E≦n≦F)は、nの範囲(C≦n≦D)より後に存在してもよいし、nの範囲(C≦n≦D)より前に存在してもよい。また、CDの区間とEFの区間が連続、すなわち、D=Eであってもよいし、F=Cであってもよい。
【0046】
筋肉の強い収縮を継続しすぎると筋肉が疲労してしまうが、本実施形態では、筋肉を、nの範囲(C≦n≦D)において徐々に強く収縮させた後、あるいは前に、nの範囲(E≦n≦F)において徐々に弱く収縮させる。本実施形態によれば、筋収縮の度合いを徐々に強くしたり徐々に弱くすることができるため、弱い収縮により筋肉を休ませた後に強い収縮で筋肉を鍛えたり、強い収縮で筋肉を鍛えた後に弱い収縮により筋肉を休ませたりなどすることができ、効果的に筋肉を鍛えることができる。
【0047】
また、実施形態1と実施形態3の双方を実現する範囲を設定することも可能である。この場合、当該範囲においては、実施形態1で規定した条件と実施形態3で規定した条件のすべてが満たされる。このようにすれば、より効果的に、人体の浅いところ(人体の表層部)から深いところ(人体の深層部)へ向けて筋肉を徐々に収縮させることが可能である。
【0048】
(第7条件)
実施形態2、3におけるnの範囲(C≦n≦D)やnの範囲(E≦n≦F)は、さらに以下の第7条件を満たす範囲であることがより好ましい。
第7条件:0μ秒≦|p(m)-p(m-1)|≦50μ秒
p(m)は、パルス信号の出力開始時刻からm番目のパルスのパルス幅を意味する。ただし、第7条件において、mは2以上の整数である。p(m)は、パルス信号の出力開始時刻からm番目のパルスのパルス幅を意味し、p(m-1)は、パルス信号の出力開始時刻からm-1番目のパルスのパルス幅を意味する。また、例えばp(5000)は、パルス信号の出力開始時刻から5000番目のパルスのパルス幅を意味する。nの範囲(C≦n≦D)やnの範囲(E≦n≦F)がさらに第7条件を満たす範囲である場合は、より一層、人体の表層部から深層部に向けて徐々に筋肉を収縮させることができるため、より一層、刺激痛の発生を抑制しつつ、人体の深層部にある筋肉を効果的に収縮させることができる。
【0049】
例えば、nの範囲(C≦n≦D)におけるn=10からn=15までの範囲、つまり、10≦n≦15(C=10、D=15)の範囲で第7条件が成立する場合は、以下のすべての関係が成立する。
0μ秒≦|p(10)-p(9)|≦50μ秒、
0μ秒≦|p(11)-p(10)|≦50μ秒、
0μ秒≦|p(12)-p(11)|≦50μ秒、
0μ秒≦|p(13)-p(12)|≦50μ秒、
0μ秒≦|p(14)-p(13)|≦50μ秒、及び
0μ秒≦|p(15)-p(14)|≦50μ秒。
つまり、C≦m≦Dの条件を満たす全てのmについて、0μ秒≦|p(m)-p(m-1)|≦50μ秒の関係が成立する。ここで、例えば0μ秒≦|p(10)-p(9)|≦50μ秒は、パルス信号の出力開始時刻から10番目のパルスのパルス幅と、パルス信号の出力開始時刻から9番目のパルスのパルス幅との差の絶対値が、0μ秒以上50μ秒以下であることを意味する。
【0050】
例えば、nの範囲(E≦n≦F)におけるn=15からn=20までの範囲、つまり、15≦n≦20(E=15、F=20)の範囲で第7条件が成立する場合は、以下のすべての関係が成立する。
0μ秒≦|p(15)-p(14)|≦50μ秒、
0μ秒≦|p(16)-p(15)|≦50μ秒、
0μ秒≦|p(17)-p(16)|≦50μ秒、
0μ秒≦|p(18)-p(17)|≦50μ秒、
0μ秒≦|p(19)-p(18)|≦50μ秒、及び
0μ秒≦|p(20)-p(19)|≦50μ秒。
つまり、E≦m≦Fの条件を満たす全てのmについて、0μ秒≦|p(m)-p(m-1)|≦50μ秒の関係が成立する。ここで、例えば0μ秒≦|p(15)-p(14)|≦50μ秒は、パルス信号の出力開始時刻から15番目のパルスのパルス幅と、パルス信号の出力開始時刻から14番目のパルスのパルス幅との差の絶対値が、0μ秒以上50μ秒以下であることを意味する。
【0051】
第7条件は、0μ秒≦|p(m)-p(m-1)|≦30μ秒であることがより好ましく、0μ秒≦|p(m)-p(m-1)|≦20μ秒であることがより一層好ましく、0μ秒≦|p(m)-p(m-1)|≦10μ秒であることがさらに好ましい。
【0052】
nの範囲(C≦n≦D)は、さらに、以下の第16条件を満たす範囲であってもよい。
第16条件:p(m)≧p(m-1)
ここで、p(m)は、パルス信号の出力開始時刻からm番目のパルスのパルス幅を意味する。ただし、第16条件において、mは2以上、かつnの範囲内の整数である。このようにすれば、p(m)が徐々に増加する。
【0053】
nの範囲(E≦n≦F)は、さらに、以下の第17条件を満たす範囲であってもよい。
第17条件:p(L)<p(L-1)
ここで、p(L)は、パルス信号の出力開始時刻からL番目のパルスのパルス幅を意味する。ただし、第17条件において、Lは2以上、かつnの範囲内の整数である。このようにすれば、p(L)が徐々に減少する。
【0054】
[実施形態4に係るEMS装置]
実施形態4に係るEMS装置は、以下の第8条件及び第9条件を満たすxの範囲(G≦x≦H)が存在するように、パルス信号を出力する点で、実施形態1に係るEMS装置と相違する。
第8条件:1個≦y(x)<10個
第9条件:0個≦|y(x+1)-y(x)|<5個
図1に示す例でいうと、x=1からx=4までの範囲と、x=17からx=28までの範囲は、いずれも、第8条件及び第9条件を満たすxの範囲(G≦x≦H)の一例に該当し、G=1、H=4及び、G=17、H=28である。以下、実施形態1と相違する点を説明し、実施形態1と共通する点の説明は省略する。
【0055】
(第8条件)
第8条件は、xの範囲(G≦x≦H)においては、1個≦y(x)<10個の関係が成立するという条件である。y(x)の値を大きくすると、強い筋肉の収縮を起こすため、本実施形態では、y(x)の範囲を実施形態1よりも小さくすることで、老廃物の除去や栄養の補給などを目的とした、筋肉のポンプ作用を高めるようにしている。
【0056】
例えば、x=11からx=15までの範囲、つまり、11≦x≦15(G=11、H=15)の範囲で第8条件が成立する場合は、以下のすべての関係が成立する。
1個≦y(11)<10個、
1個≦y(12)<10個、
1個≦y(13)<10個、
1個≦y(14)<10個、及び
1個≦y(15)<10個。
ここで、例えば1個≦y(11)<10個は、パルス信号の出力開始時刻から10秒後と11秒後の間の1秒間に存在するパルスの数が、1個以上10個未満であることを意味する。
【0057】
(第9条件)
第9条件は、xの範囲(G≦x≦H)においては、0個≦|y(x+1)-y(x)|<5個の関係が成立するという条件である。第9条件は、1秒間のパルスの数が急激に変化すると、急激な収縮強度の変化による違和感や刺激痛が発生するため、これらを抑制するための条件である。
【0058】
例えば、x=11からx=15までの範囲、つまり、11≦x≦15(G=11、H=15)の範囲で第9条件が成立する場合は、以下のすべての関係が成立する。
0個≦|y(12)-y(11)|<5個、
0個≦|y(13)-y(12)|<5個、
0個≦|y(14)-y(13)|<5個、
0個≦|y(15)-y(14)|<5個、及び
0個≦|y(16)-y(15)|<5個。
ここで、例えば0個≦|y(12)-y(11)|<5個は、パルス信号の出力開始時刻から12秒後と11秒後の間の1秒間に存在するパルスの数と、パルス信号の出力開始時刻から11秒後と10秒後の間の1秒間に存在するパルスの数との差の絶対値が、0個以上5個未満であることを意味する。
【0059】
以上説明した実施形態4に係るEMS装置によれば、筋疲労を伴うことなく(あるいは筋疲労を抑制しつつ)、筋肉の収縮による筋ポンプ作用を高めて血流を促進させることができる。よって、例えば、血流を増やす、老廃物を流す、自律神経を活性化するなどの効果を得ることができる。
【0060】
なお、本実施形態において、xの範囲(G≦x≦H)におけるパルス幅の大きさは限定されない。ただし、xの範囲(G≦x≦H)におけるパルス幅が50μ秒以上500μ秒以下の範囲(特に200μ秒以上400μ秒以下の範囲)にある場合は、より一層、筋疲労を伴うことなく(あるいは筋疲労を抑制しつつ)、筋肉の収縮による筋ポンプ作用を高めて血流を促進させることができる。
【0061】
以上、実施形態1乃至4にEMS装置について説明したが、いずれのEMS装置によっても、様々な態様で筋肉を収縮させることができる。
【0062】
実施形態1に記載のEMS装置は、xの範囲(A≦x≦B)において以下の第10条件が成立するようにパルス信号を出力してもよい。
第10条件:y(x+1)≧y(x)
このようにすれば、1秒間のパルス数y(x)が徐々に増加する。
【0063】
実施形態1に記載のEMS装置は、xの範囲(A≦x≦B)において以下の第11条件が成立するようにパルス信号を出力してもよい。
第11条件:y(x+1)<y(x)
このようにすれば、1秒間のパルス数y(x)が徐々に減少する。
【0064】
実施形態2に記載のEMS装置は、nの範囲(C≦n≦D)において以下の第12条件が成立するようにパルス信号を出力してもよい。
第12条件:w(n)≧w(n-5)
このようにすれば、w(n)が徐々に大きくなる。
【0065】
実施形態3に記載のEMS装置は、nの範囲(E≦x≦F)において以下の第13条件が成立するようにパルス信号を出力してもよい。
第13条件:w(n)<w(n-5)
このようにすれば、w(n)が徐々に小さくなる。
【0066】
実施形態4に記載のEMS装置は、xの範囲(G≦x≦H)において以下の第14条件が成立するようにパルス信号を出力してもよい。
第14条件:y(x+1)≧y(x)
このようにすれば、1秒間のパルス数y(x)が徐々に増加する。
【0067】
実施形態4に記載のEMS装置は、xの範囲(G≦x≦H)において以下の第15条件が成立するようにパルス信号を出力してもよい。
第15条件:y(x+1)<y(x)
このようにすれば、1秒間のパルス数y(x)が徐々に減少する。
【0068】
EMS装置は、各実施形態が規定するxの範囲やnの範囲を2つ以上組み合わせて有していてもよい。例えば、EMS装置は、実施形態1が規定するxの範囲の前及び又は後に、実施形態2が規定するnの範囲が設けられるようにパルス信号を出力することができる。各実施形態が規定するxの範囲やnの範囲を2つ以上組み合わせれば、例えば、筋肉トレーニングを行いつつ、血流を促進させるなどのように、EMS装置による筋トレを様々な態様で実現することが可能となるため、より効果的なトレーニングのプログラムを提供することができる。以下、各実施形態が規定するxの範囲やnの範囲を組み合わせる一例を説明する。なお、実施例1乃至4は一例であり、これら以外の態様で各実施形態の条件を組み合わせることも可能である。
【実施例0069】
実施例1に係るEMS装置は、実施形態4が規定するxの範囲、実施形態1が規定するxの範囲、実施形態4が規定するxの範囲、実施形態1が規定するxの範囲、及び実施形態4が規定するxの範囲がこの順に設定されたEMS装置である。換言すると、実施例1に係るEMS装置は、これらのxの範囲をこの順に有するパルス信号を出力するEMS装置である。実施例1に係るEMS装置によれば、初期段階で実施形態1による筋肉トレーニングを行うことで、自律神経(特に交感神経)を活性化させ、ホルモン感受性リパーゼの分泌を促すことが期待できる。この結果として体内の中性脂肪が分解されて、血中の遊離脂肪酸が増加するため、より効果的な脂肪燃焼をも期待できるトレーニングのプログラムを提供することができる。
実施例2に係るEMS装置は、実施形態4が規定するxの範囲、実施形態1が規定するxの範囲、実施形態1と3が規定する範囲(つまり、実施形態1の条件と実施形態3の条件の双方を満たす範囲)、実施形態4が規定するxの範囲がこの順に設定されたEMS装置である。換言すると、実施例2に係るEMS装置は、これらのxの範囲やnの範囲をこの順に有するパルス信号を出力するEMS装置である。実施例2に係るEMS装置によれば、人体の表層部からインナーマッスルと呼ばれる深層部までの筋肉トレーニングを行いつつ、血流を促進させることができる。インナーマッスルは、前述のように、通常の運動ではレーニングが大変難しい筋肉であるにもかかわらず、姿勢維持や尿失禁にも関係があり、トレーニングの必要性や要望が高い筋肉でもある。このため、実施例2での深層部の筋肉への効果的な刺激により、正しい姿勢の維持や失禁予防・改善を図る効果的なトレーニングのプログラムを提供することができる。