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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039242
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】熱電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H10N 10/17 20230101AFI20240314BHJP
【FI】
H01L35/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143642
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】590000835
【氏名又は名称】株式会社KELK
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白幡 智史
(57)【要約】
【課題】電極に作用する熱応力を緩和しつつ、出力低減を回避することができる熱電モジュールを提供する。
【解決手段】熱電モジュールは、温調対象物を温調する熱電モジュールであって、温調対象物と第一方向に対向配置される基板と温調対象物との間に設けられる複数の熱電素子と、熱電素子の基板側及び温調対象物側にそれぞれ設けられ、第一方向に交差する第二方向に隣接する熱電素子同士を電気的に接続する複数の電極と、を備え、電極は、第二方向に離間し、それぞれ対応する熱電素子に接続される2つの電極基部と、2つの電極基部を連結する連結部と、を有し、連結部には、第一方向に貫通する穴部と、穴部を挟んで第二方向両側に設けられ、第一方向及び第二方向に交差する第三方向の内側に入り込むくびれ部と、連結部の外形と穴部の外形に沿って形成される変位吸収部と、が設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温調対象物を温調する熱電モジュールであって、
前記温調対象物と第一方向に対向配置される基板と前記温調対象物との間に設けられる複数の熱電素子と、
前記熱電素子の前記基板側及び前記温調対象物側にそれぞれ設けられ、前記第一方向に交差する第二方向に隣接する前記熱電素子同士を電気的に接続する複数の電極と、
を備え、
前記電極は、
前記第二方向に離間し、それぞれ対応する前記熱電素子に接続される2つの電極基部と、
2つの前記電極基部を連結する連結部と、
を有し、
前記連結部には、
前記第一方向に貫通する穴部と、
前記穴部を挟んで前記第二方向両側に設けられ、前記第一方向及び前記第二方向に交差する第三方向の内側に入り込むくびれ部と、
前記連結部の外形と前記穴部の外形に沿って形成される変位吸収部と、
が設けられている、熱電モジュール。
【請求項2】
前記電極は、前記穴部の前記第三方向外側に設けられ、前記第三方向に突出する突出部を有し、
前記穴部は、前記突出部に応じて前記第三方向に拡大されている、
請求項1に記載の熱電モジュール。
【請求項3】
前記穴部は、電気的に接続される2つの前記熱電素子のうち前記第二方向一方側の前記熱電素子に接近して設けられ、
前記第二方向他方側の前記くびれ部は、前記第二方向一方側の前記くびれ部よりも前記第三方向の内側に入り込んでいる、
請求項1又は2に記載の熱電モジュール。
【請求項4】
前記穴部は、電気的に接続される2つの前記熱電素子のうち前記第二方向他方側の前記熱電素子に向けて突出するように拡大されている、請求項1又は2に記載の熱電モジュール。
【請求項5】
前記穴部は、前記連結部の外形に沿って形成されている、請求項1又は2に記載の熱電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
熱電モジュール(ペルチェモジュール)では、基板上に複数配置された熱電素子の端面に電極が接続され、この電極によって隣接する熱電素子が互いに電気的に接続される。熱電モジュールに電流が通電されると、熱電モジュールの一方の面では吸熱現象が生じることによって電極が冷却され、他方の面では放熱現象が生じることによって電極が加熱される。この吸熱及び放熱現象により、熱電モジュールに搭載される温調対象物を温調することができる。
【0003】
しかしながら、熱電モジュールにより温調する際は、熱電モジュールの一方側の電極と他方側の電極とに温度差が生じる。これにより、例えば他方側の電極を基準として、一方側の電極は熱膨張もしくは収縮した状態になる。その一方で他方側の電極は基板に固定されているため、一方側の電極と熱電素子との接続部には熱応力による負荷が生じることになる。温調を繰り返すことで、熱応力が繰り返し接続部に加わるため、最終的には接続部が破断する虞がある。
【0004】
この対策として、例えば特許文献1では、電極に蛇行部を設けている。この蛇行部が温調時の電極の膨張・収縮を吸収するため、電極と熱電素子との接続部に作用する熱応力が緩和される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-68175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、蛇行部によって電極の幅大きくなり、熱電素子を密に配置することができず、熱電モジュールの出力が低減する場合があった。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、電極に作用する熱応力を緩和しつつ、出力低減を回避することができる熱電モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る熱電モジュールは、温調対象物を温調する熱電モジュールであって、前記温調対象物と第一方向に対向配置される基板と前記温調対象物との間に設けられる複数の熱電素子と、前記熱電素子の前記基板側及び前記温調対象物側にそれぞれ設けられ、前記第一方向に交差する第二方向に隣接する前記熱電素子同士を電気的に接続する複数の電極と、を備え、前記電極は、前記第二方向に離間し、それぞれ対応する前記熱電素子に接続される2つの電極基部と、2つの前記電極基部を連結する連結部と、を有し、前記連結部には、前記第一方向に貫通する穴部と、前記穴部を挟んで前記第二方向両側に設けられ、前記第一方向及び前記第二方向に交差する第三方向の内側に入り込むくびれ部と、前記連結部の外形と前記穴部の外形に沿って形成される変位吸収部と、が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電極に作用する熱応力を緩和しつつ、熱電モジュールの出力低減を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第一実施形態に係る熱電ユニットを側方から見た図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る第二電極の配置を示す平面図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る第二電極の平面図である。
図4】本発明の第一実施形態の変形例に係る第二電極の平面図である。
図5】本発明の第二実施形態に係る第二電極の平面図である。
図6】本発明の第三実施形態に係る第二電極の平面図である。
図7】本発明の第四実施形態に係る第二電極の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第一実施形態>
(熱電ユニットの構成)
以下、本発明の第一実施形態に係る熱電モジュール10を備える熱電ユニット1について、図1から図3を参照して説明する。図1に示す、熱電ユニット1は、温調対象物2と、基板3と、熱電モジュール10と、伝熱部材4と、リード線5と、を備える。
【0012】
(温調対象物)
温調対象物2は、温度変化する物体を幅広く含む。温調対象物2として、例えば半導体製造装置のウェーハ載置台等が挙げられる。
【0013】
(基板)
基板3は、温調対象物2に対向配置されている。
以下、温調対象物2と基板3との対向方向を「第一方向D1」と称する。
【0014】
基板3は、第一方向D1に略垂直に交差する面方向に延在している。基板3は、熱電モジュール10からの熱を放熱する放熱板である。基板3内には、基板3全体に複数の管路3aが設けられている。管路3a内には、冷却水が流れる。冷却水は、熱電モジュール10からの熱を吸収する。
【0015】
(熱電モジュール)
熱電モジュール10は、温調対象物2を温調する。熱電モジュール10の詳細な構造については、後述する。
【0016】
(伝熱部材)
伝熱部材4は、熱電モジュール10と温調対象物2との間に設けられている。伝熱部材4は、熱電モジュール10と温調対象物2とを熱的に接続する。伝熱部材4として例えばグリス等が挙げられる。
【0017】
(リード線)
リード線5は、熱電モジュール10と外部の電源(不図示)とを電気的に接続し、熱電モジュール10を通電させる。リード線5は、熱電モジュール10に少なくとも一対設けられている。
【0018】
(熱電モジュールの構成)
以下、熱電モジュール10の構成について説明する。
熱電モジュール10は、熱電素子11と、電極20と、を備える。
【0019】
(熱電素子)
熱電素子11は、基板3と温調対象物2との間に複数設けられている。
【0020】
(接続部)
接続部12は、熱電素子11の第一方向D1の両端面に設けられている。接続部12は、熱電素子11と電極20とを電気的かつ熱的に接続する。
【0021】
(電極)
電極20は、熱電素子11の基板3側及び温調対象物2側にそれぞれ設けられている。電極20は、隣接する2つの熱電素子11同士を電気的に接続している。
以下、複数の電極20のうち、第一方向D1で基板3側の電極20を「第一電極20a」、第一方向D1で温調対象物2側の電極20を「第二電極20b」と称する。
【0022】
(第一電極)
第一電極20aは、基板3上に複数設けられている。複数の第一電極20aは、基板3に熱的に接続されている。各第一電極20aは、隣接する熱電素子11同士を電気的に接続している。
【0023】
(第二電極)
第二電極20bは、第一方向D1で、熱電素子11を挟んで第一電極20aとは反対側に複数設けられている。複数の第二電極20bは、伝熱部材4を介して温調対象物2に熱的に接続されている。各第二電極20bは、隣接するとともに、互いに別の第一電極20aに接続される熱電素子11同士を電気的に接続している。
【0024】
熱電素子11は、複数の第一電極20a及び第二電極20bによって電気的に接続されている。電気的に接続された熱電素子11、第一電極20a及び第二電極20bのユニットの両端部に位置する第一電極20aには、リード線5がそれぞれ電気的に接続されている。
【0025】
また、図2に示すように、複数の第二電極20bは、基板3の表面に沿って密に配置されている。
以下、複数の第二電極20bのうち一の第二電極20bについて、「第一方向D1」と略垂直に交差する面方向のうち、第二電極20bによって接続される2つの熱電素子11同士の対向方向を「第二方向D2」と称し、「第一方向D1」と略垂直に交差する面方向のうち、「第一方向D1」及び「第二方向D2」と略垂直に交差する方向を「第三方向D3」と称する。
【0026】
図3に示すように、第二電極20bは、第一方向D1から見て、第二方向D2及び第三方向D3に対称な形状に形成されている。さらに、第二電極20bの外縁は、滑らかな曲線状に形成されている。第二電極20bは、電極基部21と、連結部22と、を有する。
【0027】
(電極基部)
電極基部21は、第二方向D2に離間して一対設けられている。電極基部21は、それぞれ対応する熱電素子11に接続される。電極基部21の外縁は、第一方向D1から見て、円弧状に形成されている。
【0028】
(連結部)
連結部22は、2つの電極基部21を連結している。連結部22は、電極基部21と一体形成されている。連結部22の外縁は、第一方向D1から見て滑らかに湾曲するように形成されるとともに、電極基部21の外縁と滑らかに接続されている。連結部22には、穴部23と、くびれ部24と、突出部25と、変位吸収部26と、が設けられている。
【0029】
(穴部)
穴部23は、連結部22の中心部を第一方向D1に貫通している。穴部23は、例えば打ち抜きによって形成される。
【0030】
(くびれ部)
くびれ部24は、穴部23を挟んで第二方向D2両側に設けられている。くびれ部24は、第三方向D3の内側に入り込むように形成されている。くびれ部24の外縁は、第一方向D1から見て、第三方向D3内側に入り込むように曲線状に形成されるとともに、電極基部21の外縁と滑らかに接続されている。
くびれ部24は、例えば切削加工によって形成されている。
【0031】
(突出部)
突出部25は、穴部23の第三方向D3外側に設けられている。突出部25は、第三方向D3に突出している。突出部25の外縁は、第一方向D1から見て、第三方向D3外側に張り出すように曲線状に形成されるとともに、くびれ部24の外縁と滑らかに接続されている。
本実施形態の穴部23は、突出部25に応じて第三方向D3に拡大されている。
【0032】
(変位吸収部)
変位吸収部26は、連結部22の外形と穴部23の外形に沿って形成されている。より詳細には、変位吸収部26は、穴部23、くびれ部24および突出部25の外形に沿って形成されている。変位吸収部26は第二方向D2に沿って延びている。
【0033】
(第二電極の寸法)
続いて、第二電極20bの寸法について説明する。
以下、第二電極20bのくびれ部24における第三方向D3の幅を「第一幅W1」と称する。さらに、第二電極20bの突出部25における第三方向D3の幅を「第二幅W2」と称し、穴部23における第三方向D3の幅を「第三幅W3」と称する。
【0034】
このとき、以下の式に示す関係が成立するように、第二電極20bが形成されている。
W1<W3<W2
【0035】
(熱電モジュールの動作)
続いて、熱電モジュール10の動作について説明する。
以下では、発熱した温調対象物2の温度を一定に維持する場合を例に説明する。
【0036】
まず、リード線5によって外部電源(不図示)に接続される複数の熱電素子11、第一電極20a、第二電極20bのユニットを通電させる。すると、第二電極20bが温調対象物2を吸熱する。そして、第一電極20aが、温調対象物2の熱を基板3に向けて放熱する。第一電極20aから放熱された熱は、基板3内の管路3aを流れる冷却水に伝達されることにより、外部に放熱される。
【0037】
このとき、熱電素子11の第一方向D1の両端面に温度差が生じる。第一電極20aは基板3に固定されている一方、第二電極20bは温調対象物2に固定されていない。このため、第二電極20bは、第一電極20aと比較して、熱電素子11の温度差による熱応力の影響を受けやすくなっている。第二電極20bは、熱応力によって第二方向D2に熱膨張・熱収縮しようとする。この第二電極20bの熱膨張・熱収縮によって第二電極20bと熱電素子11との接合部(図示の例では、温調対象物2側の接続部12)が破損する虞があるため、第二電極20bに作用する熱応力を緩和する必要がある。
【0038】
本実施形態の第二電極20bには、変位吸収部26が設けられている。第二電極20bに熱応力が作用すると、この変位吸収部26は第二方向D2に伸縮し、熱応力が緩和される。
【0039】
<効果>
上述した第一実施形態の熱電モジュール10は、以下に示す効果を発揮することができる。
本実施形態では、熱電モジュール10は、複数の熱電素子11と、複数の電極20と、を備える。複数の熱電素子11は、温調対象物2と第一方向D1に対向配置される基板3と温調対象物2との間に設けられている。複数の電極20は、熱電素子11の基板3側及び温調対象物2側にそれぞれ設けられ、第一方向D1に交差する第二方向D2に隣接する熱電素子11同士を電気的に接続する。さらに、電極20は、2つの電極基部21と、連結部22と、を有する。2つの電極基部21は、第二方向D2に離間し、それぞれ対応する熱電素子11に接続される。連結部22は、2つの電極基部21を連結する。さらに、連結部22には、穴部23と、くびれ部24と、変位吸収部26と、が設けられている。穴部23は、第一方向D1に貫通している。くびれ部24は、穴部23を挟んで第二方向D2両側に設けられ、第一方向D1及び第二方向D2に交差する第三方向D3の内側に入り込んでいる。変位吸収部26は、連結部22の外形と穴部23の外形に沿って形成されている。
【0040】
上記構成によれば、変位吸収部26は、第三方向D3に変位しながら第二方向D2に延びる波形状に形成されている。このため、第二電極20bに第二方向D2の熱応力が作用すると、変位吸収部26が第二方向D2に伸縮して、熱応力を緩和することができる。さらに、変位吸収部26は、穴部23を挟んで第三方向D3両側に設けられている。これにより、2つの変位吸収部26に均等に熱応力が作用し、第二電極20bと熱電素子11との接合部にねじり方向の力が生じることを防止できる。
また、変位吸収部26の波形状は、穴部23とくびれ部24とによって形成されるため、変位吸収部26が第三方向D3外側に大きく張り出すことを防止することができる。これにより、第二電極20bを基板3に沿って密に配置することができる。よって、熱電素子11を基板3上に密に配置することができるので、熱電モジュール10の出力を十分に確保することができる。
このように、本実施形態によれば、第二電極20bに作用する熱応力を緩和しつつ、熱電モジュール10の出力低減を回避することができる。
【0041】
本実施形態では、第二電極20bは、突出部25を有する。突出部25は、穴部23の第三方向D3外側に設けられ、第三方向D3に突出している。穴部23は、突出部25に応じて第三方向D3に拡大されている。
【0042】
これにより、変位吸収部26が長くなり、変位吸収部26の第二方向D2の伸縮量をより多く確保することができる。よって、熱電モジュール10は、変位吸収部26の伸縮によって、熱応力をより一層良好に緩和することができる。
【0043】
なお、上記第一実施形態では、第二電極20bが突出部25を有する場合について説明した。しかしながら、図4に示すように、第二電極20bは、必ずしも突出部25を有する必要はない。
また、第二電極20bの外縁は必ずしも湾曲している必要はなく、図4に示すように、第二電極20bの外縁は直線状に形成されていてもよい。
【0044】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態の熱電モジュール210を備える熱電ユニット201について、図5を参照して説明する。第二実施形態では、上述した実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0045】
本実施形態の熱電ユニット201は、温調対象物2と、基板3と、熱電モジュール210と、伝熱部材4と、リード線5と、を備える。
【0046】
熱電モジュール210は、複数の熱電素子11と、複数の電極220と、を有する。複数の電極220は、複数の第一電極20aと、複数の第二電極220bと、を含む。
【0047】
図5に示すように、第二電極220bは、第二方向D2に非対称に形成されている。
第二電極220bは、電極基部21と、連結部222と、を有する。
連結部222は、穴部223と、くびれ部224と、突出部25と、変位吸収部226と、を有する。
【0048】
穴部223は、電気的に接続される2つの熱電素子11のうち第二方向D2一方側の熱電素子11に接近して設けられている。
【0049】
穴部223を挟んで第二方向D2両側のくびれ部224のうち第二方向D2他方側のくびれ部224は、第二方向D2一方側のくびれ部224よりも第三方向D3の内側に入り込んでいる。
このため、くびれ部224の第一幅W1のうち、第二方向D2他方側のくびれ部224における第一幅W1bは、第二方向D2一方側のくびれ部224における第一幅W1aよりも小さい。
【0050】
<効果>
上述した第二実施形態の熱電モジュール210は、以下に示す効果を発揮することができる。
本実施形態では、穴部223は、電気的に接続される2つの熱電素子11のうち第二方向D2一方側の熱電素子11に接近して設けられている。第二方向D2他方側のくびれ部224は、第二方向D2一方側のくびれ部224よりも第三方向D3の内側に入り込んでいる。
【0051】
これにより、変位吸収部226が長くなり、変位吸収部226の第二方向D2の伸縮量をより多く確保することができる。よって、熱電モジュール210は、変位吸収部226の伸縮によって、熱応力をより一層良好に緩和することができる。
さらに、内側に入り込む側のくびれ部224に対応する連結部222の第二方向D2の幅を確保することができるので、くびれ部224を形成する加工が容易となる。
【0052】
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態の熱電モジュール310を備える熱電ユニット301について、図6を参照して説明する。第三実施形態では、上述した実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0053】
本実施形態の熱電ユニット301は、温調対象物2と、基板3と、熱電モジュール310と、伝熱部材4と、リード線5と、を備える。
【0054】
熱電モジュール310は、複数の熱電素子11と、複数の電極320と、を有する。複数の電極320は、複数の第一電極20aと、複数の第二電極320bと、を含む。
【0055】
図6に示すように、第二電極320bは、第二方向D2に非対称に形成されている。
第二電極320bは、電極基部21と、連結部322と、を有する。
連結部322は、穴部323と、くびれ部224と、突出部25と、変位吸収部326と、を有する。
【0056】
穴部323は、電気的に接続される2つの熱電素子11のうち第二方向D2他方側の熱電素子11に向けて突出するように拡大されている。より詳細には、穴部323は、電気的に接続される2つの熱電素子11のうち第二方向D2一方側の熱電素子11に接近して設けられた本体穴323aと、本体穴323aの第二方向D2他方側に連続して設けられた突出穴323bと、を有し、本体穴323aは、第三方向D3に延びている。
【0057】
<効果>
上述した第三実施形態の熱電モジュール310は、以下に示す効果を発揮することができる。
本実施形態では、穴部323は、電気的に接続される2つの熱電素子11のうち第二方向D2他方側の熱電素子11に向けて突出するように拡大されている。
【0058】
これにより、変位吸収部326が長くなり、変位吸収部326の第二方向D2の伸縮量をより多く確保することができる。よって、熱電モジュール310は、変位吸収部326の伸縮によって、熱応力をより一層良好に緩和することができる。
【0059】
<第四実施形態>
次に、本発明の第四実施形態の熱電モジュール410を備える熱電ユニット401について、図7を参照して説明する。第四実施形態では、上述した実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0060】
本実施形態の熱電ユニット401は、温調対象物2と、基板3と、熱電モジュール410と、伝熱部材4と、リード線5と、を備える。
【0061】
熱電モジュール410は、複数の熱電素子11と、複数の電極420と、を有する。複数の電極420は、複数の第一電極20aと、複数の第二電極420bと、を含む。
【0062】
図7に示すように、第二電極420bは、第一方向D1から見て、第二方向D2及び第三方向D3に対称な形状に形成されている。
第二電極420bは、電極基部21と、連結部422と、を有する。
連結部422は、穴部423と、くびれ部24と、突出部25と、変位吸収部426と、を有する。
穴部423は、連結部422の外形に沿って形成されている。
【0063】
<効果>
上述した第四実施形態の熱電モジュール410は、以下に示す効果を発揮することができる。
本実施形態では、穴部423は、連結部422の外形に沿って形成されている。
【0064】
これにより、変位吸収部426が長くなり、変位吸収部426の第二方向D2の伸縮量をより多く確保することができる。よって、熱電モジュール410は、変位吸収部426の伸縮によって、熱応力をより一層良好に緩和することができる。
【0065】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して説明したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記実施形態では、温調対象物2側の第二電極20b,220b,320b,420bが穴部23,223,323,423、くびれ部24,224、突出部25、及び変位吸収部26,226,326,426等の構成を有する場合について説明した。しかしながら、第二電極20b,220b,320b,420bだけでなく基板3側の第一電極20aが穴部23,223,323,423、くびれ部24,224、突出部25、及び変位吸収部26,226,326,426等の第二電極20b,220b,320b,420bと同様の構成を有してもよい。
【0066】
なお、上記実施形態では、第二電極20bが吸熱側、第一電極20aが放熱側である場合について説明した。しかしながら、第二電極20bが放熱側、第一電極20aが吸熱側であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…熱電ユニット 2…温調対象物 3…基板 4…伝熱部材 5…リード線 3a…管路 10…熱電モジュール 11…熱電素子 12…接続部 20…電極 20a…第一電極 20b…第二電極 21…電極基部 22…連結部 23…穴部 24…くびれ部 25…突出部 26…変位吸収部 201…熱電ユニット 210…熱電モジュール 220…電極 220b…第二電極 222…連結部 223…穴部 224…くびれ部 226…変位吸収部 301…熱電ユニット 310…熱電モジュール 320…電極 320b…第二電極 322…連結部 323…穴部 323a…本体穴 323b…突出穴 326…変位吸収部 401…熱電ユニット 410…熱電モジュール 420…電極 420b…第二電極 422…連結部 423…穴部 426…変位吸収部 D1…第一方向 D2…第二方向 D3…第三方向 W1,W1a,W1b…第一幅 W2…第二幅 W3…第三幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7