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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039243
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】電動弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20240314BHJP
   F16K 47/02 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
F16K47/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143648
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】小池 亮司
【テーマコード(参考)】
3H062
3H066
【Fターム(参考)】
3H062AA02
3H062AA15
3H062BB33
3H062CC02
3H062DD01
3H062HH04
3H062HH08
3H062HH09
3H066AA01
3H066BA32
3H066EA34
(57)【要約】
【課題】本発明は、消音部材に異物が堆積した場合にも流体の流量の制御が困難になり難い電動弁を提供することを目的とする。
【解決手段】弁本体11と、主弁体13と、副弁室13bと、副弁体14と、を備える電動弁1の副弁室13bは、主弁体13に開口する連通孔13dに連続する第一副弁室13b1と、主弁体13に設けられた副弁ポート13cに連続する第二副弁室13b2と、を備え、第一副弁室13b1と第二副弁室13b2との間には、消音部材16が設けられている。連通孔13dから副弁ポート13cに至る流路は、第一副弁室13b1から消音部材16を通過して第二副弁室13b2に流入する第一流路R1と、第一副弁室13b1から消音部材16を通過せずに第二副弁室13b2に流入する第二流路R2と、が設けられ、第二流路R2の流路面積が第一流路R1の流路面積よりも大きい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主弁室および主弁ポートを構成する弁本体と、前記主弁ポートを開閉する主弁体と、前記主弁体の内部に形成され前記主弁体に開口する連通孔を介して前記主弁室と連通する副弁室と、前記副弁室の内部で軸線方向に移動自在に設けられた副弁体と、を備え、前記主弁体で前記主弁ポートを閉じるとともに前記主弁体に設けられた副弁ポートの開度を前記副弁体によって制御することで前記副弁体と前記副弁ポートとの隙間で流体の流路を構成する小流量制御域と、前記主弁体が前記主弁ポートを開く大流量制御域と、を有する電動弁であって、
前記副弁室は、前記連通孔に連続する第一副弁室と、前記副弁ポートに連続する第二副弁室と、を備え、
前記第一副弁室と前記第二副弁室との間には、消音部材が設けられ、
前記連通孔から前記副弁ポートに至る流路は、前記第一副弁室から前記消音部材を通過して前記第二副弁室に流入する第一流路と、前記第一副弁室から前記消音部材を通過せずに前記第二副弁室に流入する第二流路と、が設けられ、前記第二流路の流路面積が前記第一流路の流路面積よりも大きいことを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記第二流路は、前記第一副弁室から前記第二副弁室に至る前記主弁体の内壁と、前記消音部材の端部と、の間に形成された開口部によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項3】
前記第二流路の最小流路面積は、前記副弁ポートの最大開口面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項4】
前記第一副弁室は、前記副弁ポートの周囲を囲む円環状の溝で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項5】
前記第二副弁室は、前記副弁ポートおよび前記第一副弁室と前記軸線方向に対向する円柱状の空間で構成されていることを特徴とする請求項4に記載の電動弁。
【請求項6】
前記消音部材は、前記主弁体の内周面に沿った円環状の一部を切り欠いたC字状に形成されることを特徴とする請求項5に記載の電動弁。
【請求項7】
前記消音部材は、前記主弁体の内周面に沿った円環状に形成され、
前記消音部材の内径寸法は、円環状の溝である前記第一副弁室の内径よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の電動弁。
【請求項8】
前記消音部材は、前記主弁体の内周面に沿った円環状に形成され、円環状の溝である前記第一副弁室の開口を覆って設けられ、
前記消音部材の内周部、外周部および底面部の少なくともいずれかには、前記第二流路の一部を構成する凹部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の電動弁。
【請求項9】
前記消音部材は、前記主弁体の内周面に沿った円環状に形成され、円環状の溝である前記第一副弁室の開口を覆って設けられ、
前記第一副弁室の内周面および外周面の少なくとも一方には、前記第二流路の一部を構成する凹部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の電動弁。
【請求項10】
前記主弁体内には、前記消音部材を保持する保持部材が設けられ、
前記保持部材には、前記保持部材の内外に連通し、前記第二流路の一部を構成する連通部が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の電動弁。
【請求項11】
前記消音部材は、前記主弁体の内周面に沿った円環状に形成され、
前記主弁体内には、前記消音部材を保持する保持部材が設けられ、前記保持部材と前記消音部材の少なくとも一方には、前記第二流路の一部を構成する凹部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の電動弁。
【請求項12】
前記主弁体には、前記副弁ポートよりも大径であり前記主弁ポートに向かって開口した外部開口が設けられ、前記外部開口には、前記副弁ポートを覆う第二消音部材が設けられ、
前記副弁ポートから前記主弁ポートに至る流路は、前記外部開口から前記第二消音部材を通過して前記主弁室に流入する第三流路と、前記外部開口から前記第二消音部材を通過せずに前記主弁室に流入する第四流路と、が設けられ、前記第四流路の最小流路面積は、前記副弁ポートの最大開口面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項13】
前記外部開口の内周面と前記第二消音部材の外周面の少なくとも一方には、前記第四流路の一部を構成する凹部が設けられていることを特徴とする請求項12に記載の電動弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小流量制御域と大流量制御域とで流体の流量を制御する二段式の電動弁が知られている(例えば、特許文献1参照)。この電動弁は、主弁室を有する弁ハウジング(弁本体)と、主弁ポートを開閉する主弁体と、主弁体内の副弁室に設けられる副弁体と、を備え、主弁体には、主弁室に開口する連通路と、主弁ポートに向かって開口する副弁ポートと、が設けられている。主弁体の内部には連通路に連続する環状空間が形成され、環状空間と副弁室とを仕切る位置に消音部材が設けられている。消音部材は、例えばメッシュ状の部材で構成され、通過する流体に含まれる気泡を細分化することで当該気泡の破裂時のエネルギーを分散させて流体通過音を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-94879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のように消音部材は、環状空間と副弁室とを仕切る位置、すなわち流体の流路上に設置されているところ、消音部材を通過する流体には、電動弁に接続される配管や、配管に接続される圧縮機等から発生する異物が含まれることがある。このため、流体が消音部材内部を通過する際に、消音部材に異物が堆積することで流路が閉塞する場合があり、流体の流量の制御が困難となる。
【0005】
本発明は、消音部材に異物が堆積した場合にも流体の流量の制御が困難になり難い電動弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の電動弁は、主弁室および主弁ポートを構成する弁本体と、前記主弁ポートを開閉する主弁体と、前記主弁体の内部に形成され前記主弁体に開口する連通孔を介して前記主弁室と連通する副弁室と、前記副弁室の内部で軸線方向に移動自在に設けられた副弁体と、を備え、前記主弁体で前記主弁ポートを閉じるとともに前記主弁体に設けられた副弁ポートの開度を前記副弁体によって制御することで前記副弁体と前記副弁ポートとの隙間で流体の流路を構成する小流量制御域と、前記主弁体が前記主弁ポートを開く大流量制御域と、を有する電動弁であって、前記副弁室は、前記連通孔に連続する第一副弁室と、前記副弁ポートに連続する第二副弁室と、を備え、前記第一副弁室と前記第二副弁室との間には、消音部材が設けられ、前記連通孔から前記副弁ポートに至る流路は、前記第一副弁室から前記消音部材を通過して前記第二副弁室に流入する第一流路と、前記第一副弁室から前記消音部材を通過せずに前記第二副弁室に流入する第二流路と、が設けられ、前記第二流路の流路面積が前記第一流路の流路面積よりも大きいことを特徴とする。
【0007】
このような本発明によれば、消音部材に異物が堆積したとしても、連通孔から副弁ポートに至る流路を流れる流体は、第二流路を通って連通孔と副弁ポートの間を移動することができるので、流量の制御が困難になり難い。また、この際、消音部材を通過する第一流路の流量面積よりも消音部材を通過しない第二流路の流量面積を大きくしたことで、流路が確保され易く、消音部材に異物が堆積した際の小流量制御域における最大流量の変化を少なくすることができる。したがって、消音部材に異物が堆積した場合にも流体の流量の制御が困難になり難い電動弁を提供することができる。また、流体に異物が含まれていた場合、この流体が第一流路を通過する際に異物を消音部材で捕獲することができるので、副弁ポートに異物が噛み込むことを抑制することができる。
【0008】
また、この際、前記第二流路は、前記第一副弁室から前記第二副弁室に至る前記主弁体の内壁と、前記消音部材の端部と、の間に形成された開口部によって構成されていることが好ましい。このような構成によれば、第一副弁室から第二副弁室に至る主弁体の内壁と、消音部材の端部と、の間に形成された開口部によって、消音部材を通過しない第二流路を構成することができる。また、この場合、第二流路の一部は、消音部材の端部で構成されていることとなるので、第二流路を通過する流体に気泡が含まれていた場合、この気泡は消音部材の端部によって細分化されることとなる。したがって、連通孔から副弁ポートに至る流路の流量を確保しつつ、流体通過音を低減することができる。
【0009】
また、前記第二流路の最小流路面積は、前記副弁ポートの最大開口面積よりも大きいことが好ましい。このような構成によれば、小流量制御域における流体の最大流量は、副弁ポートの大きさに依存することとなるので、消音部材に異物が堆積した場合と、堆積しない場合とで小流量制御域における流体の最大流量の変化を少なくすることができ、消音部材に異物が詰まることによる流体の流量への影響を小さくすることができる。
【0010】
また、前記第一副弁室は、前記副弁ポートの周囲を囲む円環状の溝で構成されていることが好ましい。このような構成によれば、連通孔を通って第一副弁室に流入した流体を、第一副弁室の壁部に沿って周方向に旋回させて滞留させることができる。これにより、第一副弁室と第二副弁室との間に設けられた消音部材と流体との接触機会を多くすることができるので、流体に含まれる気泡を細分化し、当該気泡の破裂時のエネルギーを分散させて流体通過音を低減することができる。また、消音部材と流体との接触機会を多くすることで、消音部材によってより異物が吸収されやすくなるので第一流路および第二流路を流れる流体に、異物を混入させ難くすることができる。
【0011】
また、前記第二副弁室は、前記副弁ポートおよび前記第一副弁室と前記軸線方向に対向する円柱状の空間で構成されていることが好ましい。このような構成によれば、第一流路および第二流路を介し、円環状の溝で構成される第一副弁室と、円柱状の空間で構成される第二副弁室と、の間で流体を流すことができる。そして、この際、流体に気泡が含まれていた場合、その気泡の大きさは、当該気泡が円環状の第一副弁室に滞留し円柱状の第二副弁室に移動する間に小さくなるので、第二副弁室から副弁ポートに流れる流体の通過音をより抑制することができる。
【0012】
また、前記消音部材は、前記主弁体の内周面に沿った円環状の一部を切り欠いたC字状に形成されることが好ましい。このような構成によれば、消音部材の作製の際は、例えば、材料を円環状に成形した後、一部を切り欠いてC字状にするだけでよいので、消音部材の構造を簡易なものとし、消音部材の製造コストを低減することができる。
【0013】
また、前記消音部材は、前記主弁体の内周面に沿った円環状に形成され、前記消音部材の内径寸法は、円環状の溝である前記第一副弁室の内径よりも大きいことが好ましい。このような構成によれば、消音部材の内壁と第一副弁室の内壁との間に隙間が生じることとなり、この隙間を第二流路の一部とすることができる。このため、第二流路の形成に関して、消音部材側および弁本体側に特別な加工をする必要がなく、消音部材および弁本体の製造コストを低減することができる。また、このような構成によれば、消音部材が円環状に形成されていることで、例えば、その外周端縁を、全周に亘って主弁体等で支持することができるので、消音部材の姿勢をより安定して維持することができる。
【0014】
また、前記消音部材は、前記主弁体の内周面に沿った円環状に形成され、円環状の溝である前記第一副弁室の開口を覆って設けられ、前記消音部材の内周部、外周部および底面部の少なくともいずれかには、前記第二流路の一部を構成する凹部が設けられていることが好ましい。このような構成によれば、消音部材の内周部、外周部および底面部の少なくともいずれかに設けた凹部を、第二流路の一部とすることができる。また、消音部材は、円環状の溝である第一副弁室の開口を覆っているので、例えば、消音部材を、当該円環状の溝の内周側と外周側の開口端縁で支持することができ、消音部材の姿勢をより安定して維持することができる。
【0015】
また、前記消音部材は、前記主弁体の内周面に沿った円環状に形成され、円環状の溝である前記第一副弁室の開口を覆って設けられ、前記第一副弁室の内周面および外周面の少なくとも一方には、前記第二流路の一部を構成する凹部が設けられていることが好ましい。このような構成によれば、第一副弁室の内周面および外周面の少なくとも一方に設けた凹部を、第二流路の一部とすることができるので、第二流路の形成に関して消音部材側に特別な加工をする必要がなく、消音部材の製造コストを低減することができる。
【0016】
また、前記主弁体内には、前記消音部材を保持する保持部材が設けられ、前記保持部材には、前記保持部材の内外に連通し、前記第二流路の一部を構成する連通部が設けられていることが好ましい。このような構成によれば、保持部材の内外を通るように第二流路を形成することもできるので、第二流路を形成する場所について選択の幅を広げることができる。また、連通部を設けたことで、連通孔から副弁室に流入した冷媒を一旦保持部材側に流すことができ、冷媒の流れ方向や流速を変化させることができる。
【0017】
また、前記消音部材は、前記主弁体の内周面に沿った円環状に形成され、前記主弁体内には、前記消音部材を保持する保持部材が設けられ、前記保持部材と前記消音部材の少なくとも一方には、前記第二流路の一部を構成する凹部が設けられていることが好ましい。このような構成によれば、主弁体内設けた消音部材を保持する保持部材と、消音部材と、の少なくとも一方に凹部を設け、この凹部により第二流路の一部を構成することができる。
【0018】
また、前記主弁体には、前記副弁ポートよりも大径であり前記主弁ポートに向かって開口した外部開口が設けられ、前記外部開口には、前記副弁ポートを覆う第二消音部材が設けられ、前記副弁ポートから前記主弁ポートに至る流路は、前記外部開口から前記第二消音部材を通過して前記主弁室に流入する第三流路と、前記外部開口から前記第二消音部材を通過せずに前記主弁室に流入する第四流路と、が設けられ、前記第四流路の最小流路面積は、前記副弁ポートの最大開口面積よりも大きいことが好ましい。このような構成によれば、副弁ポートを通過して主弁ポートに向かう流体は、第三流路および第四流路のいずれかを通過することとなるが、例え第二消音部材に異物が堆積したとしても、流体は、第四流路を通ることができるので、流量の制御が困難になり難い。また、この際、第四流路の最小流路面積を副弁ポートの最大開口面積よりも大きくしたことで、流路が確保され、第二消音部材に異物が堆積した際の小流量制御域における最大流量の変化を少なくすることができる。したがって、第二消音部材に異物が堆積した場合にも流体の流量の制御が困難になり難い電動弁を提供することができる。
【0019】
また、前記外部開口の内周面と前記第二消音部材の外周面の少なくとも一方には、前記第四流路の一部を構成する凹部が設けられていることが好ましい。このような構成によれば、主弁体の外部開口の内周面と第二消音部材の外周面の少なくとも一方に設けた凹部によって、第四流路の一部を構成することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、消音部材に異物が堆積した場合にも流体の流量の制御が困難になり難い電動弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第一実施形態に係る電動弁の組立断面図。
図2】前記電動弁の拡大断面図。
図3】消音部材の斜視図。
図4】第一変形例における電動弁の拡大断面図
図5】(A)は、第二変形例における電動弁の拡大断面図および消音部材の斜視図であり、(B)は、第三変形例における電動弁の拡大断面図および消音部材の斜視図。
図6】(A)は、第四変形例における電動弁の拡大断面図であり、(B)は、第四変形例における主弁体の斜視図。
図7】第五変形例における電動弁の拡大断面図。
図8】(A)は、第六変形例における消音部材の斜視図であり、(B)は、第七変形例における電動弁の拡大断面図および消音部材の斜視図。
図9】(A)は、第八変形例における電動弁の拡大断面図であり、(B)は、第八変形例における主弁体の斜視図。
図10】(A)は、第二実施形態における電動弁の拡大断面図であり、(B)は、図10のA-A線矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第一実施形態を図1~3に基づいて説明する。本実施形態に係る電動弁1は、冷凍サイクルシステム等に用いられ、冷媒(流体)の流量を制御する二段式の電動弁である。電動弁1は、弁本体11と、ガイド部材12と、主弁体13と、副弁体14と、駆動部15と、を備えている。
【0023】
なお、以降の説明では、図において、弁本体11の軸線方向を「軸線L方向」と記し、軸線L方向のうち駆動部15のある側を「一方側L1」と記し、一方側L1の反対側を「他方側L2」と記す。また、軸線L方向に直交する方向を「径方向X」と記す。また、径方向Xのうち、軸線Lのある側を内側と記し、内側の反対側を外側と記す。これはあくまでも説明の便宜のためであり、必ずしも電動弁1の実際の使用状態における各方向と一致するとは限らず、電動弁1の実際の使用状態における各方向を限定するものではない。
【0024】
弁本体11は、例えば、黄銅、ステンレス等で略円筒形状に形成されており、その内側に主弁室11Aを有している。弁本体11の側壁には主弁室11Aに導通される第1継手管18が接続されている。弁本体11の底壁には、他方側L2に延びる筒状部111が形成され、筒状部111には、主弁室11Aに導通される第2継手管19が接続されている。弁本体11の第2継手管19の主弁室11A側には主弁座112が形成され、この主弁座112の内側は主弁ポート112aとなっている。主弁ポート112aは軸線Lを中心とする円柱形状の孔であり、第2継手管19は主弁ポート112aを介して主弁室11Aに導通される。このように弁本体11は、主弁室11Aおよび主弁ポート112aを構成している。なお、本実施形態では、主弁座112は、弁本体11に一体的に形成されているが、主弁ポート112aを有する弁座部材を弁本体11とは別体に設け、弁座部材を弁本体11に組み付ける形態としてもよい。
【0025】
ガイド部材12は、弁本体11の一方側L1の開口部に取り付けられている。ガイド部材12は、弁本体11と同軸に設けられ軸線L方向に延びる筒状のガイド部121と、ガイド部121の外周面から径方向X外側に突出し弁本体11の内周面内に嵌合される嵌合部122と、ガイド部121の一方側L1に延設されたホルダ部123と、ホルダ部123の一方側L1に設けられたストッパ部124と、嵌合部122の外周に突出する金属板からなるリング状の固定金具125とを有している。ガイド部121、嵌合部122、ホルダ部123およびストッパ部124は、樹脂製の一体品として構成されており、固定金具125は、インサート成形により樹脂製の嵌合部122と一体に設けられている。
【0026】
ガイド部材12は、嵌合部122を弁本体11の内周面内に嵌合させることで弁本体11に組み付けられ、固定金具125を介して弁本体11の上端部に溶接により固定されている。なお、ガイド部材12を弁本体11に組み付ける際には、嵌合部122を、弁本体11の一方側L1の開口部に圧入してもよい。ガイド部材12において、ガイド部121と嵌合部122との内側には、軸線Lと同軸の円筒形状のガイド孔12aが形成されるとともに、ホルダ部123の中心には、ガイド孔12aと同軸であり、後述するロータ軸152aを進退案内する挿通孔12bが形成され、ストッパ部124の中心には、ガイド孔12aおよび挿通孔12bと同軸であり後述するロータ軸152aの雄ねじ部152cと螺合する雌ねじ部12cが形成されている。ストッパ部124の外周面には、後述するストッパ機構154のスライダ154aを設置する螺旋状のガイド溝124aが形成されている。そして、ガイド孔12a内には主弁体13が配置され、主弁体13がガイド孔12aによって軸線L方向に進退案内される。
【0027】
主弁体13は、軸線L方向に延びる筒状に形成されている。主弁体13は、主弁座112に対して着座及び離座することで主弁ポート112aを開閉する主弁部131と、主弁体13の側壁であって副弁体14を保持する保持部132と、を有して構成されている。主弁部131の内側には軸線Lを中心として他方側L2に向かって(主弁ポート112aに向かって)開口した円柱状の開口13a(外部開口)が形成されている。開口13aは、後述する副弁ポート13cよりも大径に形成されている。開口13aには、後述する第二消音部材17が設置されている。
【0028】
保持部132の内側には副弁室13bが形成され、この副弁室13bには、後述する消音部材16を保持する保持部材13Aが配置されている。保持部材13Aは、保持部132と同軸に設けられ、他方側L2に開口する有底筒状に形成されている。保持部材13Aの外周面は、保持部132の内周面に沿って軸線L方向に延びている。保持部材13Aの底壁(一方側L1の壁部)には、後述するロータ軸152aの他方側L2の端部が軸線L方向に挿通しており、これによって、保持部材13Aとロータ軸152aとが接続されている。すなわち、保持部材13Aを介して主弁体13とロータ軸152aとが接続されている。そして、主弁部131と保持部132との間には、軸線Lを中心として副弁室13bから他方側L2(開口13a側)に開口する円柱状の空間で構成される副弁ポート13cが形成されている。
【0029】
主弁体13の保持部132の側面には、主弁室11Aに向かって径方向Xに開口した連通孔13dが形成されている。連通孔13dは、軸線Lまわりに回転対象な位置に放射状に複数本(例えば8本)形成されている。これにより、副弁室13bは、連通孔13dを介して主弁室11Aと連通することとなる。また、主弁体13は、保持部132の一方側L1の端部にリテーナ133を有するとともに、リテーナ133とガイド部材12のガイド孔12aの上端部との間に主弁ばね134を有しており、この主弁ばね134により他方側L2(閉方向)に付勢されている。なお、上述の連通孔13dは、回転対象な位置に放射状に複数本形成される形態に限らず、連通孔13dの数を一個としてもよいし、不等間隔に複数本形成してもよい。
【0030】
副弁体14は、ロータ軸152aの下端部に一体に設けられ、副弁室13bの内部で軸線L方向に移動自在に設けられている。この副弁体14は、ロータ軸152aよりも大径に形成された柱状のガイド用ボス部141とロータ軸152aよりも小径に形成された軸状のニードル弁142とで構成されている。副弁体14のニードル弁142は、その先端が副弁ポート13c対して軸線L方向に挿通されるものであり、ニードル弁142と副弁ポート13cとの隙間を小流量の冷媒が流れることにより小流量制御が行われる。ガイド用ボス部141は、保持部材13A内に挿通され、保持部材13Aによって軸線L方向に案内されている。また、ガイド用ボス部141の一方側L1の端面は、ロータ軸152aの移動に伴って一方側L1に移動した際に、保持部材13Aの内壁面における他方側L2を向く壁面に当接可能となっており、これによって、ロータ軸152a(副弁体14)と主弁体13とが一体となって、一方側L1に移動可能となっている。なお、副弁体14と、ロータ軸152aとを別体にそれぞれ形成し、これらを組み付けてもよい。
【0031】
駆動部15は、弁本体11の一方側L1の端部に、溶接等によって気密に固定されるケース151と、ステッピングモータ152と、ステッピングモータ152の回転により副弁体14を進退させるねじ送り機構153と、ステッピングモータ152の回転を規制するストッパ機構154と、を備えている。
【0032】
ステッピングモータ152は、軸線L方向に延びるロータ軸152aと、ケース151の内部に回転可能に配設されたマグネットロータ152bと、ケース151の外周においてマグネットロータ152bに対して対向配置されたステータコイル(不図示)と、その他、ヨークや外装部材等により構成されている。ロータ軸152aはブッシュを介してマグネットロータ152bの中心に取り付けられ、このロータ軸152aの上部の外周には雄ねじ部152cが形成されている。この雄ねじ部152cはガイド部材12の雌ねじ部12cに螺合されており、これにより、ガイド部材12はロータ軸152aを軸線L上に支持している。そして、ガイド部材12の雌ねじ部12cとロータ軸152aの雄ねじ部152cはねじ送り機構153を構成している。ロータ軸152aの他方側L2の部分は、上述のとおり保持部材13Aの底壁(一方側L1の壁部)に対して軸線L方向に挿通しており、その端部には、上述した副弁体14が一体に設けられている。
【0033】
ストッパ機構154は、上述のガイド部材12のストッパ部124の外周面に形成されたガイド溝124aと、ガイド溝124aに設置されるスライダ154aと、を備えている。スライダ154aは、マグネットロータ152bに対して軸線Lまわりに当接し、マグネットロータ152bの回転に伴ってガイド溝124aに沿って回転し、かつ軸線L方向に進退移動する。そして、スライダ154aは、ガイド溝124aの上端または下端に当接することで、マグネットロータ152bの回転を規制する。このようなストッパ機構154により、ロータ軸152aおよびマグネットロータ152bの最下端位置および最上端位置が規制される。
【0034】
以上の構成により、ステッピングモータ152が駆動されるとマグネットロータ152bおよびロータ軸152aが回転し、雄ねじ部152cと雌ねじ部12cとのねじ送り機構153により、マグネットロータ152bとともにロータ軸152aが軸線L方向に移動する。そして、副弁体14が軸線L方向に進退移動して副弁体14のニードル弁142が副弁ポート13cに対して近接または離間する。この際、図1に示すように、主弁体13が主弁座112に着座していると、ニードル弁142と副弁ポート13cとの隙間を小流量の冷媒が流れることとなり、上述のように小流量制御が行われる小流量制御域状態(小流量制御域)となる。すなわち、小流量制御域状態とは、主弁体13で主弁ポート112aを閉じるとともに主弁体13に設けられた副弁ポート13cの開度を副弁体14によって制御することで副弁体14と副弁ポート13cとの隙間で冷媒の流路を構成する状態をいう。また、副弁体14が一方側L1に移動するとき、上述のようにガイド用ボス部141の一方側L1の端面が、保持部材13Aの内壁面における他方側L2を向く壁面に当接し(この位置を、特に副弁上端位置という)、さらに一方側L1に移動すると、主弁体13は副弁体14とともに移動して、主弁体13の主弁部131が主弁座112から離座する。これにより、主弁ポート112aが全開となって大流量域制御が行われる大流量制御域状態(大流量制御域)となる。すなわち、大流量制御域状態とは、主弁体13が主弁ポート112aを開いた状態をいう。
【0035】
次に、主弁体13の構造の詳細について説明する。図2に示すように、主弁体13の副弁ポート13cの周囲には、円筒状の副弁座13eが形成されている。副弁座13eは、主弁部131の内周面における一方側L1を向く面の中央部から一方側L1に立ち上がって形成されている。副弁座13eの径方向X外側には、一方側L1に向かって開口する平面視円環状の溝13fが、副弁ポート13cの周囲を囲むように全周に亘って形成されている。この溝13fは、連通孔13dと連通し、その内部は、副弁室13bのうち、第一副弁室13b1を構成している。なお、溝13fは、必ずしも完全な円環状の空間である必要はなく、主弁室11Aから連通孔13dを介して溝13f内に流入する流体が一旦滞留できる形状であればよい。一方、保持部132の内部は、副弁ポート13cに連続し第一副弁室13b1と軸線L方向に対向する円柱状の空間となっており、この空間は、副弁室13bのうち、第二副弁室13b2を構成している。
【0036】
副弁座13eと保持部材13Aとの間、すなわち第一副弁室13b1と第二副弁室13b2との間には、消音部材16が設置されている。この消音部材16は、冷媒に含まれる気泡を細分化することで当該気泡の破裂時のエネルギーを分散させて冷媒通過音を低減する部材である。消音部材16は、メッシュ状の材料、多孔質の材料、または焼結体等の材料を用いて、図3に示すように、主弁体13の内周面に沿った円環状の一部を周方向に略1/4切り欠いたC字状に形成されている。なお、消音部材16は、上述の材料の他に、例えば、金属製、樹脂製、または繊維製の板部材にパンチング加工等をすることで、孔をあけた材料を用いて形成してもよい。図2に示すように、消音部材16の最小内径寸法は、副弁ポート13cの最大内径寸法よりも大きく、第一副弁室13b1を構成する溝13fの最小内径寸法よりも小さく設定されている。また、消音部材16の幅寸法は、溝13fの溝幅よりも大きく設定されている。また、消音部材16の高さ寸法は、副弁座13eの一方側L1を向く壁面から保持部材13Aの他方側L2の端面までの軸線L方向の寸法と同じに設定されている。このため、消音部材16の図3に示す他方側L2の壁面である底壁面16a(底面部)は、副弁座13eの一方側L1を向く壁面と、主弁体13の内壁面における一方側L1を向く壁面と、に亘って当接している。また、消音部材16の図3に示す一方側L1の上壁面16b(上面部)は、保持部材13Aの他方側L2の端面に当接している。
【0037】
消音部材16がC字状に形成されていることで、主弁体13内部における連通孔13dから副弁ポート13cに至る流体の流路は、図2に点線の矢印で示すように第一副弁室13b1から消音部材16を通過して第二副弁室13b2に流入する第一流路R1と、図2に実線の矢印で示すように第一副弁室13b1から消音部材16を通過せずに第二副弁室13b2に流入する第二流路R2と、を有することとなる。第二流路R2は、第一副弁室13b1から第二副弁室13b2に至る主弁体13の内壁と、消音部材16の端部16cと、の間に形成された開口部によって構成されている。
【0038】
ここで、第一流路R1の最大流路面積(流路面積)は、消音部材16を一方側L1から平面視した場合の、上述の溝13fの開口と消音部材16の他方側L2の底壁面16aが軸線L方向に重なる部分における消音部材16の空隙の合計面積となる。これに対し、第二流路R2の最小流路面積(流路面積)は、溝13fを一方側L1から平面視した場合の、消音部材16の他方側L2の底壁面16aと軸線L方向に重ならない部分の溝13fの開口面積、もしくは、消音部材16の切り欠き部分(一方の端部16cから他方の端部16cまでの間)を径方向Xから正面視した場合の、開口面積(消音部材16の内径における一方の端部16cから他方の端部16cまでの長さと、消音部材16の高さ寸法の積)のうち、小さい方となる。そして、本実施形態では、第二流路R2の最小流路面積は、第一流路R1の最大流路面積よりも大きくなるように設定されている。また、これに加え、第二流路R2の最小流路面積は、副弁ポート13cの最大開口面積よりも大きく設定されている。なお、副弁ポート13cの最大開口面積とは、副弁ポート13cを軸線L方向から見た場合の開口面積をいう。
【0039】
そして、主弁部131の開口13aには、第二消音部材17が設置されている。第二消音部材17も消音部材16と同様に冷媒通過音を低減する部材である。第二消音部材17は、メッシュ状の材料、多孔質の材料、または焼結体等の材料を用いて円柱状に形成され、外周面が開口13aの内周面に当接した状態で、他方側L2に固定された止め輪171によって開口13a内で支持されている。なお、第二消音部材17は、消音部材16と同様に、例えば、金属製、樹脂製、または繊維製の板部材にパンチング加工等をすることで、孔をあけた材料を用いて形成してもよい。この構成によると、上述のとおり、開口13aは副弁ポート13cよりも大径に形成されていることから、第二消音部材17によって、副弁ポート13cの他方側L2が全て覆われることとなる。
【0040】
以上、このような本実施形態によれば、消音部材16に異物が堆積したとしても、連通孔13dから副弁ポート13cに至る流路を流れる冷媒は、第二流路R2を通って連通孔13dと副弁ポート13cの間を移動することができるので、流量の制御が困難になり難い。また、この際、消音部材16を通過する第一流路R1の最大流量面積よりも消音部材16を通過しない第二流路R2の最小流量面積を大きくしたことで、流路が確保され易く、消音部材16に異物が堆積した際の小流量制御域における最大流量の変化を少なくすることができる。したがって、消音部材16に異物が堆積した場合にも冷媒の流量の制御が困難になり難い電動弁1を提供することができる。また、冷媒に異物が含まれていた場合、この冷媒が第一流路R1を通過する際に異物を消音部材16で捕獲することができるので、副弁ポート13cに異物が噛み込むことを抑制することができる。
【0041】
また、この際、第一副弁室13b1から第二副弁室13b2に至る主弁体13と、消音部材16の端部16cと、の間に形成された開口部によって、消音部材16を通過しない第二流路R2を構成することができる。また、この場合、第二流路R2の一部は、消音部材16の端部16cで構成されているので、第二流路R2を通過する冷媒に気泡が含まれていた場合、この気泡は消音部材16の端部16cによって細分化されることとなる。したがって、連通孔13dから副弁ポート13cに至る流路の流量を確保しつつ、冷媒通過音を低減することができる。
【0042】
また、第二流路R2の最小流路面積を、副弁ポート13cの最大開口面積よりも大きくしたことで、小流量制御域における冷媒の最大流量は、副弁ポート13cの大きさに依存することとなるので、消音部材16に異物が堆積した場合と、堆積しない場合とで小流量制御域における冷媒の最大流量の変化を少なくすることができ、消音部材16に異物が詰まることによる冷媒の流量への影響を小さくすることができる。
【0043】
また、第一副弁室13b1は、副弁ポート13cの周囲を囲む円環状の溝13fで構成したので、連通孔13dを通って第一副弁室13b1に流入した冷媒を、第一副弁室13b1の壁部に沿って周方向に旋回させて滞留させることができる。これにより、第一副弁室13b1と第二副弁室13b2との間に設けられた消音部材16と冷媒との接触機会を多くすることができるので、冷媒に含まれる気泡を細分化し、当該気泡の破裂時のエネルギーを分散させて冷媒通過音を低減することができる。また、消音部材16と冷媒との接触機会を多くすることで、消音部材16によってより異物が吸収されやすくなるので、第一流路R1および第二流路R2を流れる冷媒に異物を混入させ難くすることができる。
【0044】
また、第一副弁室13b1は、円環状の溝で構成され、第二副弁室13b2は、副弁ポート13cおよび第一副弁室13b1と軸線L方向に対向する円柱状の空間で構成されているので、第一流路R1および第二流路R2を介し、円環状の溝で構成される第一副弁室13b1と、円柱状の空間で構成される第二副弁室13b2と、の間で冷媒を流すことができる。そして、この際、冷媒に気泡が含まれていた場合、その気泡の大きさは、当該気泡が円環状の第一副弁室13b1に滞留し円柱状の第二副弁室13b2に移動する間に小さくなるので、第二副弁室13b2から副弁ポート13cに流れる冷媒の通過音をより抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態の消音部材16の形状によれば、消音部材16の作製の際、例えば、メッシュ状または多孔質の材料を円環状に成形した後、一部を切り欠いてC字状にするだけでよいので、消音部材16の構造を簡易なものとし、消音部材16の製造コストを低減することができる。
【0046】
次に、電動弁1の第一変形例について説明する。図4は、第一変形例における電動弁1の拡大断面図である。第一変形例では、消音部材16の形状および内径寸法が、第一実施形態と異なっている。具体的には、消音部材16は、主弁体13の内周面に沿った円環状に形成されている。そして、消音部材16の最小内径寸法(内径寸法)は、第一副弁室13b1を構成する溝13fの最大内径寸法よりも大きく設定されている。すなわち、消音部材16の最小内径寸法は、第一副弁室13b1の最大内径寸法(内径)よりも大きく設定されている。
【0047】
このような構成によれば、消音部材16の内壁と第一副弁室13b1の内壁との間に隙間が生じることとなり、この隙間を第二流路R2の一部とすることができる。このため、第二流路R2の形成に関して、消音部材16側および弁本体11側に特別な加工をする必要がなく、消音部材16および弁本体11の製造コストを低減することができる。また、このような構成によれば、消音部材16が円環状に形成されていることで、その外周端縁が全周に亘って主弁体13の保持部132内壁面における一方側L1を向く壁面に当接できるので、消音部材16の姿勢をより安定して維持することができる。
【0048】
次に、電動弁1の第二変形例について説明する。図5(A)は、第二変形例における電動弁1の断面図および消音部材16の斜視図である。第二変形例では、消音部材16の寸法が第一変形例と異なっている。消音部材16の最小内径寸法は、副弁ポート13cの最大内径寸法よりも大きく、第一副弁室13b1を構成する溝13fの最小内径寸法よりも小さく設定されている。また、消音部材16の幅寸法は、溝13fの溝幅よりも大きく設定されている。これにより、消音部材16の他方側L2の底壁面16aは、全周に亘って、主弁体13の保持部132内壁面における一方側L1を向く壁面と副弁座13eの一方側L1を向く壁面とに当接することとなり、消音部材16の他方側L2の底壁面16aは、溝13fの開口を覆っている。図5(A)に示すように、消音部材16の内周面(内周部)には、径方向X外側に向かって凹む内周凹部16d(凹部)が、周方向に等間隔をあけて4個形成されている。そして、この内周凹部16dが形成された部分において、径方向Xに対向する消音部材16の内周面間の距離は、溝13fの最大内径寸法よりも大きくなっている。
【0049】
このような構成によれば、内周凹部16dの内面と第一副弁室13b1の内面との間に隙間が生じることとなり、この隙間を第二流路R2の一部とすることができる。すなわち、内周凹部16dを第二流路R2の一部とすることができる。また、上述の消音部材16の寸法によれば、消音部材16の他方側L2の底壁面16aは、全周に亘って(内周凹部16dは除く)、副弁座13eの一方側L1を向く壁面、および主弁体13の保持部132内壁面における一方側L1を向く壁面に当接することができる。すなわち底壁面16aは、溝13fの内周側および外周側の壁面に当接することとなるので、これらの壁面で消音部材16を支持し、消音部材16の姿勢をより安定して維持することができる。
【0050】
次に、電動弁1の第三変形例について説明する。図5(B)は、第三変形例における電動弁1の断面図および消音部材16の斜視図である。第三変形例では、消音部材16の形状が第二変形例と異なっている。具体的には、消音部材16の他方側L2の底壁面16a(底面部)には、他方側L2に向かって突出する突部16eが周方向に等間隔をあけて4個形成されている。突部16eは、消音部材16の径方向X外側の端縁から径方向X内側の端縁まで延びて形成されている。そして、この突部16eと突部16eとの間の部分は、突部16eの突出端部から一方側L1に向かって凹む底面凹部16f(凹部)を構成している。すなわち、消音部材16の他方側L2の底壁面16aには、底面凹部16fが周方向に等間隔をあけて4個形成されている。
【0051】
消音部材16が電動弁1に設置された状態では、突部16eの突出端部が、副弁座13eの一方側L1を向く壁面、および主弁体13の保持部132内壁面における一方側L1を向く壁面に当接することとなる。すなわち、突部16eは、溝13fの内周側および外周側の壁面に当接することとなる。そして、この状態では、底面凹部16fの部分に突部16eの高さ分、軸線L方向の隙間が生じ、当該隙間を冷媒が径方向Xに通過することができることとなり、この隙間が第二流路R2の一部を構成する。
【0052】
このような構成によれば、底面凹部16fによって、第二流路R2の一部を構成することができる。また、突部16eの突出端部が、副弁座13eの一方側L1を向く壁面、および主弁体13の保持部132内壁面における一方側L1を向く壁面に当接することとなるので、これらの壁面で消音部材16を支持し、消音部材16の姿勢をより安定して維持することができる。
【0053】
次に、電動弁1の第四変形例について説明する。図6(A)は、第四変形例における電動弁1の断面図であり、図6(B)は、第四変形例における主弁体13の斜視図である。第四変形例では、副弁座13eの形状が、上述の実施形態および変形例とは異なっている。図6(B)に示すように、副弁座13eは、主弁部131の内壁面における一方側L1を向く壁面の中央部から一方側L1に立ち上がって略円筒状に形成されている。副弁座13eの外周面(第一副弁室13b1の内周面)には、径方向X内側に向かって凹む副弁座側凹部13g(凹部)が、周方向に等間隔をあけて4個形成されている。そして、この副弁座側凹部13gが形成された部分において、副弁座13eの最大直径寸法は、消音部材16の最小内径寸法よりも小さく設定されている。一方、副弁座側凹部13gが形成されていない部分の副弁座13eの径方向Xの最大直径寸法は、消音部材16の最小内径寸法よりも大きく設定されている。
【0054】
このような構成によれば、副弁座側凹部13gの内面と消音部材16の内周面との間に隙間が生じることとなり、この隙間を第二流路R2の一部とすることができる。このため、第二流路R2の形成に関して、消音部材16側に凹部を設けるなど、特別な加工をする必要がないので、消音部材16の製造コストを低減することができる。
【0055】
なお、上述の第二変形例から第四変形例で説明された、内周凹部16d、底面凹部16f、および副弁座側凹部13gのいずれも、その配置および個数は、各変形例と異なっていてもよい。すなわち、内周凹部16d、底面凹部16f、および副弁座側凹部13gは、周方向に等間隔に配置されていなくてもよいし、その個数は4個以下でも4個以上でもよい。また、各変形例では、電動弁1が、内周凹部16d、底面凹部16f、および副弁座側凹部13gを単独で備える構造を説明したが、これはあくまでも一例であり、内周凹部16d、底面凹部16f、および副弁座側凹部13gのいずれかまたは全てを組み合わせて電動弁1を構成してもよい。
【0056】
次に、電動弁1の第五変形例について説明する。図7は、第五変形例における電動弁1の断面図である。第五変形例では、消音部材16の寸法および保持部材13Aの構造が、上述の実施形態および変形例と異なっている。消音部材16の最小内径寸法は、副弁ポート13cの最大内径寸法よりも大きく、第一副弁室13b1を構成する溝13fの最小内径寸法よりも小さく設定されている。また、消音部材16の最大外径寸法は、第一副弁室13b1を構成する溝13fの最大外径寸法よりも小さく設定されている。そして、主弁体13内に設けられた保持部材13Aの他方側L2の端部には、図7に示すように、保持部材13Aの内外に連通する連通部13A1が径方向Xに向かって貫通形成されている。連通部13A1は、貫通孔であってもよいし、スリット等であってもよい。このようにすることにより、上述の第二流路R2は、図7に示すように、保持部132の内壁面と消音部材16の外周面との間と、連通部13A1と、保持部材13Aの内部と、によって形成されることとなる。すなわち、連通部13A1は、第二流路R2の一部を構成している。
【0057】
このような構成によれば、保持部材13Aの内外を通るように第二流路R2を形成することもできるので、第二流路R2を形成する場所について選択の幅を広げることができる。また、第二流路R2の構成に、連通部13A1を設けたことで、連通孔13dから副弁室13bに流入した冷媒を一旦保持部材13A側に流すことができ、冷媒の流れ方向や流速を変化させることができる。
【0058】
次に、電動弁1の第六変形例について説明する。図8(A)は、第六変形例における消音部材16の斜視図である。第六変形例では、消音部材16の形状が第五実施形態と異なっている。消音部材16の外周面(外周部)には、径方向X内側に凹む外周凹部16g(凹部)が形成されている。外周凹部16gは、周方向に等間隔をあけて4個形成されている。なお、外周凹部16gの配置や個数が本変形例の配置や個数に限られないことは、上述の内周凹部16dや底面凹部16fと同様である。
【0059】
このような構成によれば、保持部132の内壁面と消音部材16の外周凹部16gの内面との間に隙間が生じることとなり、この隙間を第二流路R2とすることができ、第五変形例と同様の作用、効果を得ることができる。なお、本変形例では、第五変形例とは異なり、消音部材16の最大外径寸法を、溝13fの最大外径寸法より大きくしてもよい。このような場合でも、外周凹部16gが形成された部分において、消音部材16の最大外径寸法を、溝13fの最大外径寸法より小さく設定すれば、保持部132の内面と外周凹部16gの内面との間に隙間を生じさせることができるので、第五実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。なお、この場合、外周凹部16gが形成される部分を除き、消音部材16の他方側L2の底壁面16aにおける径方向X外側の部分を、主弁体13の保持部132内壁面における一方側L1を向く壁面に当接させることができるので、消音部材16の姿勢をより安定して維持することができ、より好適である。
【0060】
次に、電動弁1の第七変形例について説明する。図8(B)は、第七変形例における電動弁1の断面図および消音部材16の斜視図である。第七変形例では、保持部材13Aの構造、および消音部材16の形状が第五変形例と異なっている。本変形例では、保持部材13Aの連通部13A1が省略されている。また、消音部材16の一方側L1の壁面である上壁面16bには、一方側L1に突出する凸部16hが、周方向に等間隔をあけて4個形成されている。この凸部16hと凸部16hとの周方向の間の部分は、凸部16hの突出端部から他方側L2に向かって凹む上面凹部16iを構成している。消音部材16が電動弁1に設置された状態では、凸部16hの突出端部が保持部材13Aの他方側L2の端面に当接している。この状態では、上面凹部16iの部分に軸線L方向の隙間が生じ、当該隙間を冷媒が径方向Xに通過することができることとなり、この隙間が第二流路R2の一部となっている。すなわち、上面凹部16iは、第二流路R2の一部を構成する。
【0061】
このような構成によれば、保持部材13Aに連通部13A1を形成する必要がなくなることで、保持部材13Aの構造を簡易なものとし、当該保持部材13Aの製造コストを低減することができる。なお、本実施形態では、連通部13A1を省略し、消音部材16に上面凹部16iを設けることで第二流路R2を構成したが、例えば、保持部材13Aの他方側L2の壁面(本変形例において、凸部16hと当接する端面)に一方側L1に凹む不図示の凹部を設けることで本変形例と同様の作用、効果を奏することもできる。すなわち、凹部(本変形例における上面凹部16iに相当する凹部)は、主弁体13内に設けた消音部材16を保持する保持部材13Aと、消音部材16と、の少なくとも一方に設けることができる。
【0062】
次に、電動弁1の第八変形例について説明する。図9(A)は、第八変形例における電動弁1の断面図であり、図9(B)は、第八変形例における主弁体13の斜視図である。第八変形例では、主弁体13の構造が上述の実施形態および変形例と異なっている。図9(B)に示すように、主弁体13において、第一副弁室13b1の外周面を構成する保持部132の内壁には、径方向X外側に凹む内壁側凹部13hが形成されている。なお、図9(B)においては、内壁側凹部13hは、各連通孔13dの一方側L1の端縁から一方側L1に延びて形成されているが、内壁側凹部13hと、各連通孔13dとは、必ずしも同軸上に並ばなくてもよく、内壁側凹部13hと各連通孔13dとは、周方向に異なる位置に配置されていてもよい。そして、この内壁側凹部13hが形成された部分において、溝13fの最大外径寸法は、消音部材16の最大外径寸法よりも大きく設定されている。
【0063】
このような構成によれば、内壁側凹部13hの内面と消音部材16の外周面との間に隙間が生じることとなり、この隙間を第二流路R2の一部とすることができる。消音部材16に凹部等を形成しなくてよいので、消音部材16の構造を簡易なものにすることができ、消音部材16の製造コストを低減することができる。
【0064】
なお、第五変形例から第八変形例では、保持部132の連通部13A1、消音部材16の外周凹部16g、消音部材16の上面凹部16i、および主弁体13の内壁側凹部13hを単独で備える構成を説明したが、これはあくまでも一例であり、連通部13A1、外周凹部16g、上面凹部16i、および内壁側凹部13hのいずれかまたは全てを組み合わせて電動弁1を構成してもよいし、これらの構成と、上述した他の変形例とを組み合わせてもよい。
【0065】
例えば、第四変形例と第八変形例を組み合わせて、副弁座側凹部13gと、内壁側凹部13hと、を備える主弁体13を形成することも可能である。この場合、例えば、消音部材16を、副弁座13eの一方側L1を向く壁面と、主弁体13の保持部132内壁面における一方側L1を向く壁面と、で確実に支持できるように、消音部材16の最小内径寸法や最大外径寸法を調整するなどとすれば、消音部材16の姿勢を安定して維持しつつ、副弁座側凹部13gと、内壁側凹部13hと、の両立を好適に図ることができる。この場合、第二流路R2の流路面積も増大するためより好適である。このように、副弁座側凹部13gまたは内壁側凹部13h(第一副弁室13b1の内周面および外周面の少なくとも一方に設けた凹部)を、第二流路R2の一部とすることができる。
【0066】
また、同様に、上述の消音部材16における内周凹部16d、底面凹部16f、および副弁座側凹部13gを第五変形例から第八変形例に組み合わせることも可能である。このように、消音部材16には、内周凹部16d、底面凹部16f、外周凹部16gおよび上面凹部16iの少なくともいずれかを設けることができる。
【0067】
次に、本発明の第二実施形態に係る電動弁1について説明する。図10(A)は、第二実施形態における電動弁1の拡大断面図である。図10(B)は、図10のA-A線矢視断面図である。図10(A)に示すように、主弁部131の開口13aは、副弁ポート13cの他方側L2の開口端縁に連続する第一開口部13a1と、第一開口部13a1に連続し第一開口部13a1よりも内径寸法の大きな第二開口部13a2と、を備えている。そして、第二開口部13a2には、第二消音部材17が配置されている。
【0068】
第二実施形態では、第二消音部材17の形状が、上述の実施形態および変形例と異なっている。第二消音部材17は、略円柱状に形成されている。そして、第二消音部材17の外周面の一部には、径方向X内側に向かって凹み、径方向X外側及び、軸線L方向に向かって開口する第二凹部17a(凹部)が形成されている。ここで、副弁ポート13cから他方側L2に流れた冷媒は、まず、第一開口部13a1内に入り、その後、第二消音部材17を通って主弁室11Aに流れて主弁ポート112aに至る流路と、第二凹部17aを通って主弁室11Aに流れて主弁ポート112aに至る流路と、に分かれることとなる。
【0069】
このように、第一開口部13a1、第二開口部13a2、および第二凹部17aが形成された第二消音部材17を設けることで、副弁ポート13cから主弁ポート112aに至る流路は、第一開口部13a1(開口13a(外部開口))から第二消音部材17を通過して主弁室11Aに流入する第三流路R3と、第一開口部13a1から第二消音部材17を通過せずに第二凹部17aの内面と第二開口部13a2(開口13a)の内周面との間を通って主弁室11Aに流入する第四流路R4と、を有することとなる。すなわち、第一開口部13a1、第二開口部13a2、および第二凹部17aは、第四流路R4の一部を構成する。
【0070】
ここで、第四流路R4の最小流路面積は、図10(B)に示すように、主弁体13を第一開口部13a1の部分で径方向Xに切断し軸線L方向から断面視した場合、第二凹部17aの内周面と、第一開口部13a1の内周面と、で囲まれた部分となる。そして、本実施形態では、第四流路R4の最小流路面積は、副弁ポート13cの最大開口面積よりも大きく設定されている。なお、第二実施形態では、第二消音部材17に第二凹部17aを形成することで、第四流路R4を構成したが、例えば、開口13aの内周面に第二凹部17aに相当する凹部を形成して、これによって、第四流路R4を構成してもよい。すなわち、主弁体13の開口13aの内周面と第二消音部材17の外周面の少なくとも一方に設けた凹部によって、第四流路R4の一部を構成することができる。
【0071】
このような構成によれば、副弁ポート13cを通過して主弁ポート112aに向かう冷媒は、第三流路R3および第四流路R4のいずれかを通過することとなるが、例え第二消音部材17に異物が堆積したとしても、冷媒は、第四流路R4を通ることができるので、流量の制御が困難になり難い。また、この際、第四流路R4の最小流量面積を副弁ポート13cの最大開口面積よりも大きくしたことで、流路が確保され、第二消音部材17に異物が堆積した際の小流量制御域における最大流量の変化を少なくすることができる。したがって、第二消音部材17に異物が堆積した場合にも冷媒の流量の制御が困難になり難い電動弁1を提供することができる。
【0072】
また、この際、主弁体13の開口13aの内周面と第二消音部材17の外周面の少なくとも一方に設けた凹部によって、第四流路R4の一部を構成することができる。
【0073】
以上、電動弁1の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、第一実施形態では、第二流路R2を、第一副弁室13b1から第二副弁室13b2に至る主弁体13の内壁と、消音部材16の端部16cと、の間に形成された開口部によって構成したが、第二流路R2の構成は、これに限られない、例えば、上述の変形例1、2等に例示した構成やその他の構成等、連通孔13dから副弁ポート13cに至る流路のいずれかに、第二流路R2が設けられればよい。
【0074】
また、第二流路R2の最小流路面積は、副弁ポート13cの最大開口面積よりも小さくてもよい。第二流路R2の最小流量面積は、少なくとも第一流路R1の最大流量面積よりも大きくすれば、流路が確保され易く、消音部材16に異物が堆積した際の小流量制御域における最大流量の変化を少なくすることができる。
【0075】
また、第一副弁室13b1は、平面視円環状に形成されていなくてもよい。第一副弁室13b1は、主弁室11Aから連通孔13dを介して溝13f内に流入する流体が一旦滞留できるように、連通孔13dから流入する流体が衝突できるような壁部等を有する形状であればよい。また、同様に、第二副弁室13b2も、円柱状の空間で構成されていなくてもよい。
【0076】
また、消音部材16の形状は、上述のC字状に限らず、第二流路R2が構成できるような開口を有する形状に形成されていればよい。また、各変形例において、消音部材16の形状は、主弁体13の内周面に沿った円環状に形成されていたが、消音部材16の形状はこれに限られず、例えば、角筒状、隅丸角筒状等、主弁体13の内面形状に合わせて、または主弁体13の内面形状に合わせずに様々な形状としてよいし、各変形例においても実施形態1のように、一部が切り欠かれた形状としてもよい。
【0077】
また、第二実施形態において、第二消音部材17は、略円柱状に形成したが、この形状は、例えば、立方体形状や直方体形状など、開口13aの内面形状に合わせて、または合わせずに、様々な形状の第二消音部材17を用いてよい。また、第二消音部材17に第二凹部17aを形成せずに、柱状に形成した第二消音部材17の一部を軸線L方向に切断して、第二消音部材17の外面と、開口13aの内面との間に第四流路R4を形成してもよい。
【符号の説明】
【0078】
L 軸線
R1 第一流路
R2 第二流路
1 電動弁
11A 主弁室
11 弁本体
112a 主弁ポート
13 主弁体
13b 副弁室
13b1 第一副弁室
13b2 第二副弁室
13c 副弁ポート
13d 連通孔
14 副弁体
16 消音部材
図1
図2
図3
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図5
図6
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図8
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図10