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特開2024-3925アスファルトフィニッシャ用高さ視認装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003925
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】アスファルトフィニッシャ用高さ視認装置
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/48 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
E01C19/48 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103289
(22)【出願日】2022-06-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】522257757
【氏名又は名称】松永 匡史
(74)【代理人】
【識別番号】100142550
【弁理士】
【氏名又は名称】重泉 達志
(72)【発明者】
【氏名】松永 匡史
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052AA03
2D052BD03
2D052BD11
2D052CA01
(57)【要約】
【課題】高さ視認部の高さ調整を手動で簡単容易に行うことのできるアスファルトフィニッシャ用高さ視認装置を提供する。
【解決手段】アスファルトフィニッシャに固定されアスファルト合材が敷き均される高さの目安を運転者に視認させるための高さ視認装置1であって、回転自在な水平フレーム20の前端側に設けられ下端が高さの目安を示す弛み部40と、水平フレーム20と一体に設けられ回転中心から後下がりに傾斜して後方へ延びる後方延在部60と、前端が後方延在部60と接触する棒状部70と、棒状部70と螺合して棒状部70を移動可能に支持する支持部80と、棒状部80の後端に設けられた把持部90と、を備え、運転者により把持部90が回転させられると弛み部40の下端が上下に移動するようにした。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルトフィニッシャのスクリードに固定され、アスファルト合材が敷き均される高さの目安を運転者に視認させるための高さ視認装置であって、
前記スクリードに固定される固定部と、
前記固定部に左右方向を回転軸として回転自在に支持され、回転中心から前方へ延びる水平フレームと、
前記水平フレームの前端側に直接的または間接的に設けられ、自重により下方へ延び、下端が前記高さの目安を示す高さ視認部をなす弛み可能な弛み部と、
前記水平フレームと一体に設けられ、前記回転中心から後下がりに傾斜して後方へ延びる後方延在部と、
前端が前記後方延在部と接触し、前記後方延在部との接触位置から後上がりに傾斜して後方へ延び、外周面に雄ねじ部が形成され、前記後方延在部からの力を受け止める棒状部と、
前記固定部に設けられ、内周面に前記雄ねじ部と螺合する雌ねじ部が形成された螺合孔を有し、前記棒状部を前記雄ねじ部の軸方向へ移動可能に支持する支持部と、
前記棒状部の後端に設けられ、前記運転者が前記棒状部を回転操作するための把持部と、を備えたアスファルトフィニッシャ用高さ視認装置。
【請求項2】
前記弛み部は、下端に設けられた重りを有する請求項1に記載のアスファルトフィニッシャ用高さ視認装置。
【請求項3】
前記水平フレームの前端側に固定され、前記水平フレームから下方へ延び、下端側に前記弛み部の上端が固定される上下フレームを備えた請求項2に記載のアスファルトフィニッシャ用高さ視認装置。
【請求項4】
前記水平フレームは、前記回転中心について上方を経由して後方の所定の折り畳み位置まで回転可能に構成される請求項3に記載のアスファルトフィニッシャ用高さ視認装置。
【請求項5】
前記棒状部に付勢力を加える付勢部材を備えた請求項4に記載のアスファルトフィニッシャ用高さ視認装置。
【請求項6】
前記固定部は、前記スクリードに固定される水平板材と、前記水平板材に形成された固定孔と、を有し、前記固定孔を挿通し前記スクリード側の雌ねじ部と螺合するボルトにより固定される請求項5に記載のアスファルトフィニッシャ用高さ視認装置。
【請求項7】
前記水平フレームは、伸縮自在に構成される請求項6に記載のアスファルトフィニッシャ用高さ視認装置。
【請求項8】
前記上下フレームは、前記水平フレームに対して上下に移動可能に設けられる請求項7に記載のアスファルトフィニッシャ用高さ視認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルトフィニッシャ用高さ視認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の後部にアスファルト合材を敷き均すスクリードを備えたアスファルトフィニッシャにおいて、舗装路盤までの距離を個々に測定する一対の高さ及び傾斜センサを前後方向に間隔をおいて設け、各高さ及び傾斜センサの測定結果に基づいてスクリードによるアスファルト合材の舗装厚を演算するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のアスファルトフィニッシャでは、スクリードに舗装路盤の横に配設された基準線に沿って移動する案内センサを上下自在に設け、演算装置によって算出された舗装厚が所定値から外れた場合に、案内センサをスクリードに対して上または下に動かし、舗装厚が基準範囲に収まるように制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-330106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のアスファルトフィニッシャのように、センサで検知された舗装路盤の高さに基づいてスクリードを自動的に制御すると、舗装路盤に凹凸、うねり、傾斜等がある場合に、これらに追従してアスファルト合材を敷き均してしまい、舗装路の平坦性が損なわれるという問題点がある。また、アスファルトフィニッシャのタイヤがマンホール等のような局所的な凸部に乗り上げた場合には、センサで正確な舗装路盤の高さを検知することはできない。
【0005】
従って、舗装路盤が良好でない場合は、アスファルトフィニッシャの運転者が、舗装路盤の状況を把握しながら、アスファルト合材が敷き均される高さの目安を、スクリードに設けられた高さ視認部により直接視認して、スクリードの上下動を運転者の判断で行うことが好ましい。この場合、アスファルト合材の敷き均しを細やかに行うためには、舗装路盤の状況に応じて高さ視認部の高さを適宜調整する必要があるが、ロックを解除して高さ視認部を上下方向へ移動させた後、高さ視認部を再度ロックしなければならず、調整作業が煩雑となるという問題点があった。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高さ視認部の高さ調整を手動で簡単容易に行うことのできるアスファルトフィニッシャ用高さ視認装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、
アスファルトフィニッシャのスクリードに固定され、アスファルト合材が敷き均される高さの目安を運転者に視認させるための高さ視認装置であって、
前記スクリードに固定される固定部と、
前記固定部に左右方向を回転軸として回転自在に支持され、回転中心から前方へ延びる水平フレームと、
前記水平フレームの前端側に直接的または間接的に設けられ、自重により下方へ延び、下端が前記高さの目安を示す高さ視認部をなす弛み可能な弛み部と、
前記水平フレームと一体に設けられ、前記回転中心から後下がりに傾斜して後方へ延びる後方延在部と、
前端が前記後方延在部と接触し、前記後方延在部との接触位置から後上がりに傾斜して後方へ延び、外周面に雄ねじ部が形成され、前記後方延在部からの力を受け止める棒状部と、
前記固定部に設けられ、内周面に前記雄ねじ部と螺合する雌ねじ部が形成された螺合孔を有し、前記棒状部を前記雄ねじ部の軸方向へ移動可能に支持する支持部と、
前記棒状部の後端に設けられ、前記運転者が前記棒状部を回転操作するための把持部と、を備えたアスファルトフィニッシャ用高さ視認装置が提供される。
【0008】
上記アスファルトフィニッシャ用高さ視認装置において、前記弛み部は、下端に設けられた重りを有してもよい。
【0009】
上記アスファルトフィニッシャ用高さ視認装置において、前記水平フレームの前端側に固定され、前記水平フレームから下方へ延び、下端側に前記弛み部の上端が固定される上下フレームを備えてもよい。
【0010】
上記アスファルトフィニッシャ用高さ視認装置において、前記水平フレームは、前記回転中心について上方を経由して後方の所定の折り畳み位置まで回転可能に構成されてもよい。
【0011】
上記アスファルトフィニッシャ用高さ視認装置において、前記棒状部に付勢力を加える付勢部材を備えてもよい。
【0012】
上記アスファルトフィニッシャ用高さ視認装置において、前記固定部は、前記スクリードに固定される水平板材と、前記水平板材に形成された固定孔と、を有し、前記固定孔を挿通し前記スクリード側の雌ねじ部と螺合するボルトにより固定されてもよい。
【0013】
上記アスファルトフィニッシャ用高さ視認装置において、前記水平フレームは、伸縮自在に構成されてもよい。
【0014】
上記アスファルトフィニッシャ用高さ視認装置において、前記上下フレームは、前記水平フレームに対して上下に移動可能に設けられてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のアスファルトフィニッシャ用高さ視認装置によれば、高さ視認部の高さ調整を手動で簡単容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態を示すアスファルトフィニッシャの側面説明図である。
図2】アスファルトフィニッシャ用高さ視認装置の側面図である。
図3】アスファルトフィニッシャ用高さ視認装置の平面図である。
図4】アスファルトフィニッシャ用高さ視認装置の底面図である。
図5】水平フレームを伸長させ上下フレームを上方へ移動させた状態を示すアスファルトフィニッシャ用高さ視認装置の側面図である。
図6】水平フレームを折り畳み位置へ移動させた状態を示すアスファルトフィニッシャ用高さ視認装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1から図6は本発明の一実施形態を示すものであり、図1はアスファルトフィニッシャの側面説明図、図2はアスファルトフィニッシャ用高さ視認装置の側面図、図3はアスファルトフィニッシャ用高さ視認装置の平面図、図4はアスファルトフィニッシャ用高さ視認装置の底面図、図5は水平フレームを伸長させ上下フレームを上方へ移動させた状態を示すアスファルトフィニッシャ用高さ視認装置の側面図、図6は水平フレームを折り畳み位置へ移動させた状態を示すアスファルトフィニッシャ用高さ視認装置の側面図である。
【0018】
図1に示すように、アスファルトフィニッシャ100は、車両前側のホッパ110に投入されたアスファルト合材200を、図示しないコンベアにより後方へ送出し、スクリュースプレッダ120で左右方向(幅方向)に敷き広げた後、スクリード130により舗装路盤300上に所定の厚さで敷き均す。アスファルトフィニッシャ用高さ視認装置1は、左右一対に配置され、アスファルトフィニッシャ100のスクリード130に固定される。尚、アスファルトフィニッシャ100は、例えば一人乗りであっても二人乗りであってもよく、乗車定員は特に限定されない。スクリード130は、左右方向(車幅方向)へ伸縮可能に構成され、左右端部に前後方向へ延びる端部フレーム131を有している。端部フレーム131の上面は、水平かつ平坦に形成されている。スクリード130は、レベリングアーム132に連結されており、レベリングアーム132を上下動させることにより、スクリード130の高さを調整することができる。本実施形態においては、アスファルトフィニッシャ用高さ視認装置1は、スクリード130の端部フレーム131の上面に固定される。
【0019】
図2に示すように、高さ視認装置1は、アスファルトフィニッシャ100のスクリード130に固定される固定部10と、固定部10に左右方向を回転軸として回転自在に支持され回転中心から前方へ延びる水平フレーム20と、水平フレーム20の前端側に固定され水平フレーム20から下方へ延びる上下フレーム30と、上下フレーム30の下端に設けられ自重により下方へ延びる弛み可能な弛み部40と、を有している。弛み部40は、下端がアスファルト合材200の敷き均し高さの目安を示す高さ視認部をなしている。本実施形態においては、弛み部40は、下端に設けられた重り50を有し、重り50が高さ視認部をなしている。また、高さ視認装置1は、水平フレーム20と一体に設けられ回転中心から後下がりに傾斜して後方へ延びる後方延在部60と、前端が後方延在部60と接触し後方延在部60との接触位置から後上がりに傾斜して後方へ延びる棒状部70と、を有している。さらに、高さ視認装置1は、固定部10に設けられ、棒状部70が挿通される螺合孔(図示せず)を有し、棒状部70を支持する支持部80を有する。棒状部70の外周面には雄ねじ部71が形成され、支持部80の螺合孔の内周面には雄ねじ部71と螺合する雌ねじ部(図示せず)が形成される。すなわち、棒状部70は、雄ねじ部71の軸方向へ移動可能に支持部80に支持される。さらにまた、高さ視認装置1は、棒状部70の後端に設けられ、運転者が棒状部70を回転操作するための把持部90を有している。本実施形態においては、高さ視認装置1は、鉄等の金属からなる。
【0020】
固定部10は、スクリード130に固定される水平板材11と、水平板材11から上方へ延びる上下板材12と、を有する。図3に示すように、上下板材12は、表面の法線が左右方向を向いており、水平フレーム20を回転自在に支持する軸支部13が設けられる。軸支部13は、上下板材12の左右外側の表面から左右外側へ突出し水平フレーム20の後端を挿通する軸部(図示せず)と、軸部の先端に設けられ径方向寸法が軸部より大きな押さえ部13aと、を有する。本実施形態においては、上下板材12及び押さえ部13aと、水平フレーム20の後端との間には平ワッシャー13bがそれぞれ介装される。また、本実施形態においては、軸部及び押さえ部13aは、ボルトの頭部側を利用して作製され、上下板材12に例えば溶接等により固定されている。また、図4に示すように、固定部10は、水平板材11に形成された固定孔14を有し、固定孔を挿通しスクリード130側の雌ねじ部(図示せず)と螺合するボルト(図示せず)により固定される。
【0021】
図5に示すように、水平フレーム20は、前後方向へ延びる円筒状のフレーム本体21と、フレーム本体21の前端に設けられ上下方向へ延び上下フレーム30を上下に案内する円筒状のガイド22と、フレーム本体21の径方向内側を前後方向に移動自在な円柱状の内フレーム23と、フレーム本体21に設けられ任意の位置で内フレーム23の移動をロックする前後ロック部24と、ガイド22に設けられ任意の位置で上下フレーム30をロックする上下ロック部25と、を有している。本実施形態においては、内フレーム23の後端には軸支部13の軸部が挿通され軸支部13の各平ワッシャー13bと摺接する挿通部26が形成されている。本実施形態においては、前後ロック部24は、フレーム本体21の所定位置の孔を挿通し内フレーム23と当接可能なロックボルト24aと、フレーム本体21に設けられロックボルト24aと螺合するウエルドナット24bと、を有している。また、上下ロック部25は、ガイド22の所定位置の孔を挿通し上下フレーム30と当接可能なロックボルト25aと、ガイド22に設けられロックボルト25aと螺合するウエルドナット25bと、を有している。図6に示すように、水平フレーム20は、回転中心について上方を経由して後方の所定の折り畳み位置まで回転可能に構成される。具体的に、水平フレーム20は、折り畳み位置で棒状部70、把持部90またはこれらの近傍の部品と当接する。本実施形態においては、水平フレーム20は、折り畳み位置で棒状部70近傍の第2ワッシャ85と当接する。
【0022】
上下フレーム30は、上下方向へ延びガイド22の径方向内側を上下方向に移動自在な円柱状のフレーム本体31と、フレーム本体31の上端に設けられフレーム本体31の下方への移動を規制する規制部32と、を有している。規制部32は、ガイド22よりも径方向寸法が大きく形成され、ガイド22の上端と接触することにより、フレーム本体31の移動を規制する。フレーム本体31の下端には弛み部40の上端が接続される。
【0023】
本実施形態においては、弛み部40は、鎖からなる本体45と、本体45の下端に設けられた重り50と、を有し、フレーム本体31の下端から本体45及び重り50の自重により下方へ延びた状態となる。重り50は、本体45により吊り下げられ、下端で舗装路盤300からの高さを運転者に認識させる。図1に示すように、本実施形態においては、舗装路盤300の幅方向外側にアスファルト合材200の高さを示す定規、型枠等の高さ指示体400が設けられており、重り50と高さ指示体400の上下位置関係により、運転者はアスファルト合材200が敷き均される高さの目安を認識することができる。図1においては、説明のため、高さ指示体400を二点鎖線で示している。本実施形態においては、重り50は、下側が下方へ向かって細くなるよう形成される下端部51と、下端部51の上端と本体45の下端とを接続する円柱状の接続部52と、を有している。弛み部40は、上下フレーム30よりも短く形成されている。本実施形態においては、図6に示す折り畳み状態で、弛み部40が水平フレーム20より下方に位置してアスファルトフィニッシャ100側の機器等と干渉しないようになっている。
【0024】
後方延在部60は、水平フレーム20の挿通部27から後下がりに傾斜して後方へ延びる。本実施形態においては、後方延在部60は、四角柱状に形成され、上面の後端側が棒状部70と当接する。後方延在部60には、水平フレーム20側の重量により、後端側を上方へ回転させる力が作用している。
【0025】
棒状部70は、前端側が支持部80により支持され、後方延在部60からの力を受け止める。雄ねじ部71は、棒状部70の外周面の前端側に形成されている。棒状部70は、回転されると、支持部80と螺合したねじの作用により、延材方向へ移動する。棒状部70が移動すると、これに追従して後方延在部60も回転移動する。本実施形態においては、棒状部70は、ボルトを利用して作製されている。
【0026】
支持部80は、棒状部70と螺合する螺合孔を有する螺合部81と、螺合部81と固定部10とを接続する接続部82と、を有する。本実施形態においては、螺合部81は、ナットを利用して作製されている。また、本実施形態においては、接続部82は、円柱状を呈し、固定部10の水平板材11の上面から前上がりに延びて形成される。
【0027】
把持部90は、棒状部70の後端に設けられ、軸中心を通って径方向へ延びる径方向延在部91と、径方向延在部91の両端から棒状部70と反対側へ延びる一対のハンドル部92を有する。本実施形態においては、径方向延在部91は、棒状部70の作製に利用されたボルトの頭に設けられる。運転者は、各ハンドル部92を把持して把持部90を回転させることにより棒状部70を移動させ、後方延在部60、水平フレーム20及び上下フレーム30を介して弛み部40の重り50の高さを調整することができる。具体的に、把持部90を後方から見て右回転させると棒状部70が前方へ移動し、後方延材部60が棒状部70により前方へ回転させられ、後方延在部60と一体の水平フレーム20が上下へ回転させられ、この結果、水平フレーム20前端側の上下フレーム30及び弛み部40が上方へ移動する。逆に、把持部90を後方から見て左回転させると、弛み部40が下方へ移動する。本実施形態においては、水平フレーム20を最大に伸長させた状態で、棒状部70及び把持部90を1回転させると、重り50がほぼ1cm移動するよう設定されている。
【0028】
また、本実施形態においては、棒状部70に付勢力を加える付勢部材83が設けられている。具体的に、付勢部材83は、棒状部70を巻回するコイルばねであり、支持部80に隣接して設けられる第1ワッシャ84と、棒状部70の把持部90に隣接して設けられる第2ワッシャ85との間に介装される。さらに具体的には、第1ワッシャ84は、支持部80の螺合部81の作製時に利用されたナットと当接して配置され、第2ワッシャ85は、棒状部70の作製時に利用されたボルトの頭と当接して配置される。
【0029】
以上のように構成された高さ視認装置1は、水平フレーム20のフレーム本体21が水平となるように、水平板材11に形成された固定孔14を挿通するボルトにより、スクリード130の端部フレーム131の上面に固定される。アスファルト合材200の敷き均しにあたり、まず、運転者が重り50を視認しやすく、かつ、スクリード130が適切な敷き均し高さとなるように、重り50の位置を調整する。本実施形態においては、上下方向について、高さ指示体400の上端と、重り50の下端が略一致するよう調整される。重り50の位置は、主として、前後方向については水平フレーム20の内フレーム23を移動させることで調整され、上下方向については上下フレーム30のフレーム本体31を移動させることで調整され、左右方向については水平板材11を固定孔14を中心として端部フレーム131上で回転させることで調整される。
【0030】
アスファルト合材200の敷き均しを開始した後、運転者は、把持部90を回転操作して、舗装路盤300の状況に応じて重り50の高さ位置を適宜調整する。このとき、把持部90がスクリード130の端部フレーム131上に位置しているため、運転者はアスファルトフィニッシャ100から降車する必要はない。また、把持部90を片手で把持することができることから、重り50の高さ調整を手動で簡単容易に行うことができる。
【0031】
また、付勢部材83により棒状部70が付勢されているので、アスファルトフィニッシャ100の振動により棒状部70が回転移動することはない。これにより、アスファルトフィニッシャ100の振動により、重り50の位置が変化することはない。
【0032】
また、弛み部40に重り50を設けたことから、弛み部40の姿勢が安定し、アスファルトフィニッシャ100の振動時にも、弛み部40の下端位置が大きく変化することはない。尚、スクリード130と高さ指示体400が相対的に近接した場合、弛み部40の本体45が弛むことにより、水平フレーム20、上下フレーム30等に高さ指示体400側からの負荷が加わることはない。本体45が弛んだ場合、運転者は、重り50の下端と高さ指示体400の上端が略一致する位置までスクリード130を上昇させればよい。これにより、経験の比較的浅い運転者であっても、比較的良好なアスファルト合材200の敷き均し状態を実現することができる。アスファルト合材200の敷き均し作業を中断するなど、待機状態のときは、図6に示すように、水平フレーム20を上方へ回転させて折り畳み状態とすることができる。
【0033】
また、棒状部70の回転を付勢力に抗して行う必要があることから、把持部90の回転操作に相応の回転力が要求され、把持部90の回転量が比較的小さい、重り50の上下位置の微調整に適した構成となっている。舗装路盤300の状況に応じて重り50の位置を調整する場合だけでなく、例えば、スクリード130を伸縮させた際に重り50の位置を調整する場合等に、把持部90の回転操作による重り50の位置調整が行われる。一方、アスファルトの設定厚さが数cm~10cm変化するなど、アスファルト合材200の敷き均し高さが比較的大きく変化する場合は、上下フレーム30を移動させることで重り50の上下位置を変化させればよい。
【0034】
尚、前記実施形態においては、固定部10をスクリード130に直接固定したものを示したが、スクリードに適切な固定部位が存在しないアスファルトフィニッシャの場合は、固定部10を固定するためのステー等を介してスクリードに固定するようにしてもよい。
【0035】
また、前記実施形態においては、上下フレーム30を介して弛み部40が水平フレーム20に間接的に設けられるものを示したが、弛み部40を水平フレーム20に直接的に設けることも可能である。また、前記実施形態においては、弛み部40の本体45が鎖であるものを示したが、紐等により構成することも可能である。また、弛み部40の重り50を省略して、本体45のみの構成とし、本体45の下端が高さ視認部をなすようにしてもよい。
【0036】
また、前記実施形態においては、付勢部材としてコイルばねを用いたものを示したが、他のばね材やゴム等を用いて付勢するようにしてもよい。さらに、振動等が比較的小さなアスファルトフィニッシャ100に取り付けられるものであれば、付勢部材を省略することも可能である。
【0037】
また、前記実施形態においては、水平板材11を挿通するボルトによりスクリード130に固定されるものを示したが、高さ視認装置1の固定手段は任意に変更することができる。この場合、高さ視認装置1をスクリード130に対して、上下方向を回転軸として回転可能、もしくは、左右方向へ移動可能とし、重り50の左右方向の位置調整が図れるよう構成することが好ましい。
【0038】
また、前記実施形態においては、水平フレーム20を伸縮自在としたものを示したが、水平フレーム20が伸縮する構成でなくともよい。この場合、高さ視認装置1をスクリード130に対して前後方向へ移動可能とし、重り50の前後方向の位置調整が図れるよう構成することが好ましい。さらに、前記実施形態においては、上下フレーム30を水平フレーム20に対して上下に移動可能としたものを示したが、上下フレーム30が水平フレーム20に固定的に設けられていてもよい。この場合、高さ視認装置1をスクリード130に対して上下方向へ移動可能とし、重り50の上下方向の位置調整が図れるよう構成することが好ましい。
【0039】
また、前記実施形態において、舗装路盤300の位置を検出するセンサをスクリード130に設け、センサの検出位置に基づいてスクリード130を上下動させる制御部を備えて、スクリード130の上下動を、高さ視認装置1に基づいて運転者が手動で行うモードと、制御部により自動で行うモードと、に切り替え可能としてもよい。この場合、舗装路盤300の状況が良好な場合は制御部による自動モードとすることができる。
【0040】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組み合わせの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0041】
1 アスファルトフィニッシャ用高さ視認装置
10 固定部
11 水平板材
14 固定孔
20 水平フレーム
30 上下フレーム
40 弛み部
50 重り
60 後方延材部
70 棒状部
71 雄ねじ部
80 支持部
83 付勢部材
90 把持部
100 アスファルトフィニッシャ
200 アスファルト合材
図1
図2
図3
図4
図5
図6