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特開2024-3926対回観測装置、対回観測方法及び対回観測プログラム
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  • 特開-対回観測装置、対回観測方法及び対回観測プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003926
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】対回観測装置、対回観測方法及び対回観測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20240109BHJP
   G01C 15/06 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G01C15/00 103Z
G01C15/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103290
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213702
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 芳則
(72)【発明者】
【氏名】一里山 海洋
(57)【要約】
【課題】制御装置、制御方法及び制御プログラムを提供すること。
【解決手段】対回観測装置は、表示部、入力部及び制御部を備える。制御部は、表示部に複数の測点に対して各々測量方法を対応させた対応表を表示し、対応表に登録された測点を測量装置に測量させる測量動作中に、入力部を介して変更指示を受け付けて前記対応表の測点の登録を変更する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部、入力部及び制御部を備え、
前記制御部は、
前記表示部に複数の測点に対して各々測量方法を対応させた対応表を表示し、
前記対応表に登録された測点を測量装置に測量させる測量動作中に、前記入力部を介して変更指示を受け付けて前記対応表の測点の登録を変更する、
対回観測装置。
【請求項2】
前記対応表は、測点及び測量方法に対応して観測状況を含む請求項1に記載の対回観測装置。
【請求項3】
前記対応表は、
前記測量方法として対回又は単回が設定されて前記測量方法を表す表示が行われ、
前記観測状況として測量済、測量中又は未測量を表す表示が行われ、
請求項2に記載の対回観測装置。
【請求項4】
前記測量装置は、前記測量動作中に、前記対応表に測点が追加された場合、追加された測点も測量する請求項1に記載の対回観測装置。
【請求項5】
前記変更指示により追加された測点は、前記対応表の最後尾に追加される、請求項1に記載の対回観測装置。
【請求項6】
表示部、入力部及び制御部を備える対回観測装置における対回観測方法であって、
前記制御部が、前記表示部に複数の測点に対して各々測量方法を対応させた対応表を表示し、
前記制御部が、前記対応表に登録された測点を測量装置に測量させる測量動作中に、前記入力部を介して変更指示を受け付けて前記対応表の測点の登録を変更する、
対回観測方法。
【請求項7】
表示部及び入力部を備える対回観測装置における対回観測プログラムであって、
前記表示部に複数の測点に対して各々測量方法を対応させた対応表を表示する工程と、
前記対応表に登録された測点を測量装置に測量させる測量動作中に、前記入力部を介して変更指示を受け付けて前記対応表の測点の登録を変更する工程と、
をコンピュータに実行させるための対回観測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対回観測装置、対回観測方法及び対回観測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ターゲットの測量において角観測を望遠鏡の「正」方向での観測と、「反」方向での観測とを「1対回」とし、その対回を反復して平均角により測角値を求める対回観測が行われている。対回観測に関する技術として、例えば、特許文献1には、対回測量作業の初めの観測で、観測点の名称(観測点名)などの観測点識別データを一度入力しておくと、一度目の観測で取得した観測データ(第1観測データ)中の水平角や鉛直角などの角度情報を参考にして、自動的に観測点識別データ(観測点名)を判別する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-85551号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の測点を対象として対回観測を行う場合において、現場の状況等に応じて測量対象の測点や測点の測量条件等を変更する必要が生じることがある。しかし、測量対象とする測点の変更等があるたびに、測量動作を中断すると、作業者の作業負担が増え、作業時間も遅延する。
【0005】
本開示は、効率よく対回観測が可能な対回観測装置、対回観測方法及び対回観測プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本開示に係る対回観測装置は、表示部、入力部及び制御部を備え、前記制御部は、前記表示部に複数の測点に対して各々測量方法を対応させた対応表を表示し、前記対応表に登録された測点を測量装置に測量させる測量動作中に、前記入力部を介して変更指示を受け付けて前記対応表の測点の登録を変更する。
【0007】
上記した目的を達成するために、本開示に係る対回観測方法は、表示部、入力部及び制御部を備える対回観測装置における対回観測方法であって、前記制御部が、前記表示部に複数の測点に対して各々測量方法を対応させた対応表を表示し、前記制御部が、前記対応表に登録された測点を測量装置に測量させる測量動作中に、前記入力部を介して変更指示を受け付けて前記対応表の測点の登録を変更する。
【0008】
上記した目的を達成するために、本開示に係る対回観測プログラムは、表示部及び入力部を備える対回観測装置における対回観測プログラムであって、前記表示部に複数の測点に対して各々測量方法を対応させた対応表を表示する工程と、前記対応表に登録された測点を測量装置に測量させる測量動作中に、前記入力部を介して変更指示を受け付けて前記対応表の測点の登録を変更する工程と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
上記手段を用いる本開示に係る対回観測装置、対回観測方法及び対回観測プログラムによれば、効率よく対回観測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態に係る測量システムの全体構成図である。
図2】測量システムにおける測量装置及び端末の制御ブロック図である。
図3】対回観測プログラムの表示画面を示す図である。
図4】対回観測を含む測点の測量工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態を図面に基づき説明する。図1は、本開示の実施形態に係る測量システム1の全体構成図である。また、図2は、測量装置2及び端末4の制御ブロック図である。なお、本実施形態の説明において、各装置や配置関係は、模式的に示しており、説明の便宜上実際の縮尺と異なって示している。
【0012】
測量システム1は、測量装置2と、測量対象(又はターゲットともいう)であるプリズム31と、対回観測装置である端末4とを含む。測量装置2は、例えば、トータルステーションであり、三脚等の脚部23に設置され、プリズム31までの角度と距離とを測定して測量を行うことができる。測量装置2は、上記脚部23に着脱可能であって整準を行う整準部(詳細な構成は不図示)と、整準部によって整準されて鉛直軸周りに回動可能に設けられた本体部21と、本体部21に水平軸周りに回動可能に設けられた望遠鏡部22とを備える。従って、望遠鏡部22は整準部に対して水平軸及び鉛直軸周りに対して回動可能に設けられる。整準は整準部を調整して作業者(又は操作者)による手作業で行ってもよいし、自動整準であってもよい。また、測量装置2は、測量装置2を制御するためのコンピュータ(不図示)を備える。
【0013】
図2において、測量装置2の構成として示す通信部201は、端末4等の外部機器と通信可能に構成され、例えばBluetooth(登録商標)等の無線通信手段である。なお、通信部201は、接続端子を介して有線通信手段として機能してもよい。
【0014】
記憶部202は、追尾プログラムや測量プログラム等の各種プログラム、測量データ、GPS時刻、測量装置2の大きさ(高さ、幅、奥行き等)、追尾光送受光部208が撮像した画像等の各種データを記憶可能に構成される。
【0015】
表示部203は、追尾光送受光部208が受光して撮像した画像等を表示することができ、例えば本体部21の後方部に設けられる。操作部204は、各種の動作指示や設定を入力可能な操作手段である。例えば、動作指示として、電源のオン、オフの切替、測量を開始するトリガ、測量モードの切替、測量周期の設定等を含むことができる。また操作部204は、スイッチ、ボタン、ダイアルなど、任意の操作デバイスや入力デバイスを含んでもよい。表示部203がタッチパネルディスプレイである場合は、表示部203と操作部204とは一体に形成されていてもよい。
【0016】
水平回動駆動部205は、測量装置2の本体部21を鉛直軸周りの水平方向に回動可能に制御する。鉛直回動駆動部206は、望遠鏡部22を水平軸周りの鉛直方向に回動可能に制御する。
【0017】
測距部207は、測距光を出射する送光部と、送光部からの測距光が照射されてプリズム31により反射された反射光を受光する受光部とを含む。測距部207は、例えば、パルスレーザ光である測距光を出射すると共にプリズム31により反射された反射光を受光することで測量装置2からプリズム31までの距離(斜距離)を測定する。なお、測距方式はこのようなパルス方式に限られず、例えばレーザ光の波の数に基づき測距するいわゆる位相差方式等の周知の方式を適用することも可能である。
【0018】
追尾光送受光部208は、プリズム31に向けて追尾光を照射可能な光源(送光部)を有する。また、追尾光送受光部208は、プリズム31により反射された追尾光の一部を受光し、例えば電気信号に変換するイメージセンサ(CCDセンサやCMOSセンサ等)等の受光素子(受光部)を有する。追尾光送受光部208は、広がり角を有する追尾光を照射する。従って、追尾光は、測量装置2からの距離が遠くなるほど追尾光照射範囲の空間領域が広がる特性を持っている。制御部211は、追尾光送受光部208が送光した追尾光を追尾光送受光部208が受光し続けるように水平回動駆動部205及び鉛直回動駆動部206を制御することで、プリズム31の追尾機能を制御することができる。
【0019】
また、測量装置2は、本体部21の水平方向の回動角(即ち鉛直軸周りの回転角)を検出する水平角検出部209(水平エンコーダ)と、望遠鏡部22の鉛直方向の回動角(即ち水平軸周りの回転角)を検出する鉛直角検出部210(鉛直エンコーダ)が設けられている。望遠鏡部22は、プリズム31を視準可能な光学系を含む望遠鏡を内部に有する。望遠鏡部22は、測距光学系を含む測距部207を内蔵しており、この測距部207の測距光学系の光路の一部は望遠鏡の光学系の一部と共有されている。前述の測距部207又は追尾光送受光部208から出射された光は、望遠鏡の視準軸と同軸に導光されて出射される。また、プリズム31により反射されて外部から受光した光は、望遠鏡の視準軸に沿って導光され、測距部207又は追尾光送受光部208により受光される。
【0020】
また、制御部211は、水平角検出部209及び鉛直角検出部210により検出された角度(水平角及び鉛直角)、測距部207により測定された距離(斜距離)、追尾光送受光部208により撮像された画像、等の各種情報の取得、記憶、演算等を行い、例えば表示部203にその取得結果、演算結果を表示する。また、制御部211は、操作部204に対する操作に応じて、又は演算結果に応じて、各部の駆動制御等を行う。
【0021】
図1に示すプリズム31は、例えばピンポール3の適宜の高さの位置に設けられたコーナーキューブプリズムである。従って、プリズム31は、再帰反射特性を有し、測量装置2からの光を入射方向とは反対方向の測量装置2の方向に反射することができる。なお、プリズム31は、その他の再帰反射部材を用いてもよいし、再帰反射部材に限らず、測量装置2から照射された光を反射して測量装置2に反射光を検出させることが可能な程度の強度で反射可能なその他の反射部材(例えば、反射シート、ターゲット板又は壁等)であってもよい。図1では、複数のターゲットとして複数のピンポール3A,3Bを示している。
【0022】
端末4は、作業者に測点6の位置やプリズム31の位置を知らせる等の測量支援機能を有する。端末4として、例えば、作業者が携帯可能な携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等の機器を用いることができる。図2に示すように、端末4は、制御部41、通信部42、操作部43(入力部)、表示部44及び記憶部45を有する。また、端末4は、端末4の動作を制御するためのコンピュータ(不図示)を備える。
【0023】
制御部41(前述の制御部211も同様)は、記憶部45に記憶されるプログラム453に含まれるコード又は命令によって実現する機能及び/又は方法を実行する。制御部41は、例として、中央処理装置(CPU)、MPU、GPU、マイクロプロセッサ、プロセッサコア、マルチプロセッサ、ASIC、FPGA等を含み、集積回路等に形成された論理回路や専用回路によって各実施形態に開示される各処理を実現してもよい。また、これらの回路は、1又は複数の集積回路により実現されてよく、各実施形態に示す複数の処理を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。
【0024】
通信部42は、測量装置2等の外部機器と通信可能に構成され、例えばBluetooth(登録商標)等の無線通信手段である。なお、通信部42は、接続端子を介して有線通信手段として機能してもよい。
【0025】
操作部43は、端末4に各種の指示や設定を入力可能な操作手段である。また表示部44は、液晶ディスプレイ等により形成される。なお表示部44がタッチパネルである場合は、操作部43と表示部44とは一体に形成され、操作部43は感圧式や静電式等の方式により作業者からの入力操作を受け付けることができる。また、表示部44には、対回観測プログラムの表示画面441,442を表示することができる。
【0026】
記憶部45は、設計データ451、測量データ452及びプログラム453等の情報を記憶する。設計データ451は、例えば、端末4とは別途の装置(又は機器)等を用いて予め作成された測点に関するデータである。測量データ452は、設計データ451に含まれる測点を測量した測量結果を示すデータである。なお、プログラム453は、例えば端末4が有するコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体(又は記憶装置)に記憶することができる。
【0027】
図3は、表示画面441及び表示画面442を示す図である。表示画面441は、後述する図4のステップS06で表示部44に表示される画面である。なお、表示画面441は、ステップS07で測量の実行中であっても、測点登録情報517の変更又は確認等のために表示部44に表示させることもできる。表示画面441は、略中央部に配置された対応表51と、対応表51の右方に配置されたスクロールボタン(対応表51の表示範囲を上方へ移動させるスクロールボタン521、及び、対応表51の表示範囲を下方へ移動させるスクロールボタン522)と、測点登録情報517の内容を変更する各種の変更ボタン(追加ボタン531、編集ボタン532、削除ボタン533)、反映ボタン54、及び、キャンセルボタン55等を有する。
【0028】
対応表51は、測点6に関する測点登録情報517を有する。測点登録情報517は行方向(左右方向)に測点6毎の複数の情報を表示している。対応表51は、測点登録情報517として、測点6の点名511、目標高512、ターゲット513、PC514、測量方法515、及び観測状況516を対応して表示する。
【0029】
点名511は、測点6毎に割り当てられた識別情報である。目標高512は、ターゲット513で設定されるターゲットの種類によって対応する定数が設定され、測量対象であるプリズム31等の反射部から測点6までの差分が設定される。ターゲット513が「プリズム」である場合、目標高512は図1においてピンポール3のプリズム31の位置とピンポール3の下端部との差分である「1.200」が設定され、プリズム31の座標が測点6の座標に対して1.2m鉛直方向にオフセットされていることを示している。
【0030】
ターゲット513は、「プリズム」、「ノンプリズム」、「シート」等から選択入力させることができる。「プリズム」は図1に示したプリズム31を用いて測点6を測量する測量方法である。「ノンプリズム」は測点6に反射部を設置せずに直接測点6に測距光を照射して測点6を測量する測量方法である。そのため、ターゲット513が「ノンプリズム」である場合、目標高512として「0」が設定される。また、「シート」は測点6に対してオフセットせずに配置可能な反射部である。なおシート状の反射部は再帰反射特性を有さない部材であってもよいが、再帰反射特性を有する部材であるとなおよい。ターゲット513が「シート」である場合も、目標高512として「0」が設定される。
【0031】
PC514は、測点6の測量結果から座標計算するための補正値として用いられる定数(プリズムコンスタント)である。測量方法515は、対応する点名511の測点6の測量方法が表示される。測量方法515は、例えば、「対回」又は「単回」(単回観測又は単回測量ともいう)から選択することができる。なお測量方法515の表記は作業者等が任意に設定可能としてもよく、例えば、測点6を新たに追加した場合は「割込」と表記して測量方法としては単回観測を行わせる設定としてもよい。又は、対回観測に複数のモード(例えば、1対回若しくは2対回又は3対回以上)を設けた場合は、測量方法515の表記を「対回A」(1対回の場合)又は「対回B」(2対回の場合)としてもよい。
【0032】
観測状況516は、対応する点名511の測点6の測量状況を示している。観測状況516として、例えば、「済」(測量済)、「測量中」又は「未」(未測量)を表示することができる。
【0033】
なお、端末4は、対応表51に示された測点6毎の測点登録情報517を記憶部45に記憶することができる。
【0034】
反映ボタン54は、測点登録情報517の情報が変更(例えば、追加、編集又は削除)された場合は、その変更内容を更新して画面を表示画面442に遷移させるボタンである。キャンセルボタン55は、表示画面441が表示画面442から遷移してきた場合は元の表示画面442に遷移させる又は表示画面441が他の表示画面から遷移してきた場合は当該他の表示画面に遷移させるボタンである。
【0035】
表示画面442は、後述する図4のステップS07で表示部44に表示される画面である。表示画面442は、測量装置2とプリズム31(測点6)との位置関係を模式的に平面図で示している。また、表示画面442は、表示画面441に遷移させるための対応表表示ボタン56を有する。
【0036】
次に、図4を参照して、対回観測を含む測点の測量工程を示すフローチャートについて説明する。なお、図4では、ステップS02~S06の処理は測量前(観測作業直前)の第一工程S100を示し、ステップS07及びS08の処理は測量中(観測作業中)の第二工程S200を示し、ステップS09~S15は測量後(観測作業直後)の第三工程S300を示している。まず、ステップS01で、測量の実行前に測量作業の初期設定が行われる。初期設定は、設計データ451を準備する工程、又は、作業者若しくは管理者等による測量装置2、ピンポール3及び端末4を準備する工程を含む場合がある。
【0037】
ステップS02で、制御部41は、表示部44に対応表51を表示させる等して、ユーザから操作部43を介して測点6の測量方法515の選択指示を受け付ける。なおここでは、測量方法515として「対回」、「一対回」又は「単角/視界点」が選択可能である。ステップS03で、制御部41は、測量パータンの選択と、オプション設定とを受け付ける。ステップS04で、観測情報設定として、対応表51の測点登録情報517の各設定情報(点名511、目標高512、ターゲット513、PC514、測量方法515、及び観測状況516のうちの一部又は全部の情報)の設定が行われる。ステップS04の設定が終わると、処理はステップS03に戻る。
【0038】
ステップS05で、制御部41は、器械点設定及び後視点設定を行う。その後、制御部41は、表示部44に選択画面を表示する等して対回測量の実行方法として「一括測量」とするか否かを受け付ける。「一括測量」とは、図3に示した対応表51に測量を予定する複数の測点6を登録しておき、端末4から測量指示を行うと測量装置2に複数の測点6を順次測量させるモードである。「一括測量」が選択されない場合、作業者は前視点計測を継続する。図4のフローチャートにおいて、ステップS05で「一括測量」が選択された場合は「一括入力する」に進み、ステップS06の処理に進む。一方、ステップS05で「一括測量」が選択されない場合は「一括入力しない」に進み、ステップS07の処理に進む。
【0039】
ステップS06で、制御部41は、表示部44に複数の測点6(点名511により紐づけられる測点6)に対して各々測量方法515及び観測状況516等を対応させた対応表51を表示する。対応表51の表示例は図3に示される。対応表51は、例えば、測量方法515として対回又は単回が設定されて当該設定内容を表す表示が行われる。また、対応表51は、観測状況516として「測量済」、「測量中」又は「未測量」を表す表示が行われる。
【0040】
ステップS07で、制御部41は、操作部43を介して測量開始の指示を受け付けると、対応表51に登録された測点6の測量を開始する。測量は、例えば、図3の対応表51の上方に登録された測点6から順に行われる。
【0041】
また、制御部41は、対応表51に登録された測点6(点名511)を測量装置2に測量させるステップS07の測量動作中に、操作部43(入力部)を介して変更指示を受け付けると、ステップS08で、対応表51の測点6の登録の内容(測点登録情報517の情報)を変更(例えば、追加又は削除)する。具体的に、ステップS07の測量動作中は表示部44に表示画面442が表示されており、制御部41は、表示画面442の表示画面442の対応表表示ボタン56の選択指示を受け付けると、表示を表示画面441に遷移させる。
【0042】
制御部41は、追加ボタン531の選択(測点6を追加する変更指示)により測点6の追加を受け付けると、追加された測点6の測点登録情報517を対応表51の最後尾に一行追加する。制御部41は、操作部43を介して測点登録情報517の設定の入力を受け付ける。また、制御部41は、対応表51の中から任意の測点登録情報517の選択を受け付けた後、編集ボタン532又は削除ボタン533の選択(測点6の登録情報を編集する変更指示又は測点6を削除する変更指示)により、測点6の編集又は削除を受け付ける。編集ボタン532が選択された場合、測点登録情報517の各情報の変更を受け付ける。また、削除ボタン533が選択された場合、対象となる測点6の測点登録情報517を削除して、測量の対象から除外することができる。対応表51の登録内容を変更した後、反映ボタン54が選択されると、制御部41は、対応表51の変更の内容が反映して(すなわち、記憶部45に記憶された対応表51の情報が更新して)、表示部44の表示を表示画面442に遷移させる。
【0043】
ステップS08からステップS07の処理に戻り、測量装置2は、測量動作中に、対応表51に測点が追加された場合、追加された測点6も測量する。追加された測点6の測量は、例えば、当初から対応表51に登録されていた測点6の測量が完了した後に、順次行われる。
【0044】
ステップS07の測量が終了すると、ステップS09で、制御部41は、測量結果(詳細は不図示)を表示部44へ表示する等して出力する。また、測量結果には、較差結果、制限値判定結果等も任意に含めることができる。作業者は、表示部44に表示された測量結果を確認して再測量が必要な測点6の有無の確認等を行うことができる。制御部41は、測量結果に応じて作業者から「再測量の実施」、「レポートの表示」又は「データの記録」等の指示を受け付けて実行する。制御部41は、「再測量の実施」の選択を受け付けると、ステップS10で再測量が必要な測点6(又は点名511)の指定を受け付けて、ステップS07で測量装置2により再測量を実行させる。
【0045】
また、制御部41は、上記の「レポートの表示」の指示を受け付けるとステップS11で測量結果を表示部44に表示する、印刷機器により印刷出力する、通信部を介して外部機器に結果データを送信して表示させる、等の出力処理を行う。制御部41は、ステップS11の処理を終えるとステップS09の処理に戻る。
【0046】
制御部41は、上記の「データの記録」の指示を受け付けるとステップS12で測量結果を記憶部45に記憶する。
【0047】
制御部41は、ステップS12で測量結果の記録処理を行った後、対回観測の継続指示を受け付けた場合はステップS03の処理に戻る。一方、制御部41は、観測終了の指示を受け付けた場合は、測量結果のデータ編集を行う機能(ステップS13)や、過去の測量結果の確認機能(ステップS14)を、操作部43の入力指示に基づいて実行することができる。過去の測量結果の確認をする場合、制御部41は、ステップS11と同様にレポート表示(ステップS15)を行うことができる。
【0048】
ステップS13又はS14の処理を終えると、ステップS16で、制御部41は、測量結果の出力(例えば、測量結果のデータの外部機器への出力)を行う。ステップS16の出力処理は、例えば、ターゲット513毎、又は、測量方法515毎に表示又は出力される。また、制御部41は、測量結果のデータ編集を受け付けてもよい。
【0049】
以上のように、本実施形態では、制御部41が、表示部44に複数の測点6に対して各々測量方法を対応させた対応表51を表示し、対応表51に登録された測点6を測量装置2に測量させる測量動作中に、入力部(操作部43)を介して変更指示を受け付けて対応表51の測点6の登録を変更する対回観測装置(端末4)について説明した。このような構成により、対回観測を開始する前の点名の一括入力を行う際に、測点毎に個別の測量方法を設定することができる。また、測量中に測点の一覧である対応表51を表示し、測量対象とする測点に過不足がある場合に測量予定点の測点を追加若しくは削除を容易に行うことができる。また、本実施形態の対回観測方法であれば、測量装置2の移動を行うことなく、又複数の観測機能を切り替えることなく効率的に測量することができる。さらに、対応表51を確認することで作業者は測量状況の確認を容易に把握することができる。また、対回観測の最中であっても作業を中断することなく、測量対象とする測点6の登録内容を変更することができる。
【0050】
従って、効率よく対回観測が可能な対回観測装置、対回観測方法及び対回観測プログラムができる。
【0051】
また、対応表51は、表示画面441において複数の測点6に対応する測点登録情報517を表示することができるため、同時に複数の測点登録情報517を一覧することができ、観測の状況を容易に把握することができる。
【0052】
以上で本開示の実施形態の説明を終えるが、本開示の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0053】
例えば、本実施形態では、端末4を例に説明した測設点編集装置が、操作部43(入力部)と表示部44とを一体装置に設けた例について説明したが、これに限らず対回観測装置は複数の装置により別体に構成してもよい。即ち、操作部43及び表示部44の機能を含む構成を対回観測装置とすることができる。操作部43及び表示部44の機能を測量装置2に設けてもよい。
【0054】
また、記憶部45に記憶される設計データ451又は測量データ452は、測量装置2又はその他の外部の装置に備えられてもよい。
【0055】
また、本実施形態の測量システム1では、測量装置2としてトータルステーションを用いた例について説明したが、測量装置2としてGNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)受信装置を用いてもよい。この場合、作業者はGNSS受信装置を移動させて測点を確認することができる。
【0056】
また、本実施形態の説明において第一工程S100のステップS02~S06の処理(又は作業)について説明したが、ステップS02~S06の処理の順番(又は作業の順番)は図4に示したものに限らず任意に入れ替え又は省略してもよい。
【0057】
以上、本実施形態の構成を例示すると以下のとおりである。
[1]
表示部、入力部及び制御部を備え、
前記制御部は、
前記表示部に複数の測点に対して各々測量方法を対応させた対応表を表示し、
前記対応表に登録された測点を測量装置に測量させる測量動作中に、前記入力部を介して変更指示を受け付けて前記対応表の測点の登録を変更する、
対回観測装置。
[2]
前記対応表は、測点及び測量方法に対応して観測状況を含む[1]に記載の対回観測装置。
[3]
前記対応表は、
前記測量方法として対回又は単回が設定されて前記測量方法を表す表示が行われ、
前記観測状況として測量済、測量中又は未測量を表す表示が行われ、
[2]に記載の対回観測装置。
[4]
前記測量装置は、前記測量動作中に、前記対応表に測点が追加された場合、追加された測点も測量する[1]から[3]のいずれか一項に記載の対回観測装置。
[5]
前記変更指示により追加された測点は、前記対応表の最後尾に追加される、[1]から[4]のいずれか一項に記載の対回観測装置。
[6]
表示部、入力部及び制御部を備える対回観測装置における対回観測方法であって、
前記制御部が、前記表示部に複数の測点に対して各々測量方法を対応させた対応表を表示し、
前記制御部が、前記対応表に登録された測点を測量装置に測量させる測量動作中に、前記入力部を介して変更指示を受け付けて前記対応表の測点の登録を変更する、
対回観測方法。
[7]
表示部及び入力部を備える対回観測装置における対回観測プログラムであって、
前記表示部に複数の測点に対して各々測量方法を対応させた対応表を表示する工程と、
前記対応表に登録された測点を測量装置に測量させる測量動作中に、前記入力部を介して変更指示を受け付けて前記対応表の測点の登録を変更する工程と、
をコンピュータに実行させるための対回観測プログラム。
【符号の説明】
【0058】
1 測量システム
2 測量装置
3,3A,3B ピンポール
4 端末
6 測点
21 本体部
22 望遠鏡部
23 脚部
31 プリズム
41 制御部
42 通信部
43 操作部
44 表示部
45 記憶部
51 対応表
54 反映ボタン
55 キャンセルボタン
56 対応表表示ボタン
201 通信部
202 記憶部
203 表示部
204 操作部
205 水平回動駆動部
206 鉛直回動駆動部
207 測距部
208 追尾光送受光部
209 水平角検出部
210 鉛直角検出部
211 制御部
441,442 表示画面
451 設計データ
452 測量データ
453 プログラム
511 点名
512 目標高
513 ターゲット
515 測量方法
516 観測状況
517 測点登録情報
521,522 スクロールボタン
531 追加ボタン
532 編集ボタン
533 削除ボタン
図1
図2
図3
図4