(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039272
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】車両座席用の機器取付装置
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20240314BHJP
F16M 11/10 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
F16M11/10 M
F16M11/10 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143694
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】魚住 哲生
(72)【発明者】
【氏名】相良 聡也
(72)【発明者】
【氏名】貝塚 卓
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA20
3D020BC11
3D020BD01
(57)【要約】
【課題】従来の車両座席用の機器取付装置は、全体が大型で重量も大きいという問題点があった。
【解決手段】車両におけるシートバックSb上部に機器Aを取り付ける装置であって、機器Aの下部に連結する基盤1と、基盤1に対してシートバックSBの左右方向に沿う軸線を中心にして回動可能な第1支持脚L1とを備え、第1支持脚L1が、ヘッドレスト取付穴Hに差し込む一対のステー2と、ステー2の上端部同士を連結する軸体3とを有する機器取付装置とし、機器Aと基板1との連結箇所からシートバックSBに固定する第1支持脚L1までの距離を小さくして小型軽量化を実現した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両におけるシートバック上部に機器を取り付ける装置であって、
前記機器の下部に連結する基盤と、
前記基盤に対して前記シートバックの左右方向に沿う軸線を中心にして回動可能な第1支持脚とを備え、
前記第1支持脚が、前記シートバックのヘッドレスト取付穴に差し込む一対のステーと、前記ステーの上端部同士を連結する軸体とを有することを特徴とする車両座席用の機器取付装置。
【請求項2】
前記基盤が、前記第1支持脚の前記軸体を回動自在に装着する貫通孔と、前記貫通孔に装着した前記軸体の回動を規制する拘束機構とを有することを特徴とする請求項1に記載の車両座席用の機器取付装置。
【請求項3】
前記基盤に対して前記シートバックの左右方向に沿う軸線を中心にして回動可能な第2支持脚を備え、
前記第2支持脚が、前記第1支持脚の前記軸体と別の回動軸を有することを特徴とする請求項1に記載の車両座席用の機器取付装置。
【請求項4】
前記第2支持脚が、前記ステーの下端部よりも先方に延出する長さを有し、
前記第1支持脚の前記ステーを前記ヘッドレスト取付穴に差し込んだ状態において、前記シートバックの前方に前記第2支持脚が延出することを特徴とする請求項3に記載の車両座席用の機器取付装置。
【請求項5】
前記第1支持脚と前記第2支持脚との間に、双方の成す角度が減少する方向に弾性力を付与する弾性部材を備えたことを特徴とする請求項3に記載の車両座席用の機器取付装置。
【請求項6】
前記拘束機構が、前記貫通孔から前記基盤の両側の側面及び後端面に至るスリットと、前記スリットにより上下に2分された固定片と、前記固定片を上下に貫通する調整ねじと、前記調整ねじの下端に設けた操作部とを備え、前記調整ねじを前記機器に設けためねじ孔に螺着することを特徴とする請求項2に記載の車両座席用の機器取付装置。
【請求項7】
前記第1支持脚が、個々に前記ステーを有する2つの支持部材に分割してあり、
前記軸体が、前記支持部材の一方に設けた筒状部と、前記支持部材の他方に設けられ且つ前記筒状部内に挿通される棒状部とを備えていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の車両座席用の機器取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両において、プロジェクタやカメラ、及び音響機器等の各種機器を座席に取り付けるのに用いられる車両座席用の機器取付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両における機器取付装置としては、例えば、特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に記載の機器取付装置は、車両の座席にビデオカメラを据え付ける装置である。この機器取付装置は、基盤に、座席のヘッドレスト支持筒内に挿入する一対の脚杆と、上下方向に位置調整可能な支持杆とを備え、支持杆の上端に、前後左右に位置調整可能なカメラ台を設けたものである。そして、上記の機器取付装置は、カメラ台にビデオカメラを装着し、支持杆により、ビデオカメラの高さ位置を調整すると共に、カメラ台により、ビデオカメラの向きを調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したような従来の車両座席用の機器取付装置は、ビデオカメラとカメラ台との連結箇所からシートバックに固定する脚杆に至る間に、竪の支持杆や水平方向に張り出す基板が存在するので、全体が大型で重量も大きいという問題点があり、このような問題点を解決することが課題であった。
【0005】
本発明は、上記従来の課題に着目して成されたもので、コンパクトで軽量な車両座席用の機器取付装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係わる車両座席用の機器取付装置は、車両におけるシートバック上部に機器を取り付ける装置であって、機器の下部に連結する基盤と、基盤に対してシートバックの左右方向に沿う軸線を中心にして回動可能な第1支持脚とを備えている。そして、機器取付装置は、第1支持脚が、シートバックのヘッドレスト取付穴に差し込む一対のステーと、ステーの上端部同士を連結する軸体とを有することを特徴としている。
【0007】
上記構成を備えた車両座席用の機器取付装置は、基本的に、基盤と、第1支持脚とで構成してあり、基盤に機器を連結し、シートバック取付穴に第1支持脚のステーを差し込むことで固定される。この際、第2支持脚は、例えば、シートバックの前方側に回動させておくことで、第1支持脚の補助として機能する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係わる車両座席用の機器取付装置は、上記構成を採用したことにより、機器と基板との連結箇所からシートバックに固定する第1支持脚までの距離が小さくなり、小型軽量化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】車両座席用の機器取付装置の第1実施形態において、シートバックに固定した状態を示す正面図である。
【
図5】自立させた機器取付装置を示す側面図である。
【
図7】車両座席用の機器取付装置の第2実施形態を示す正面図である。
【
図8】
図7に示す機器取付装置の第1支持脚を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〈第1実施形態〉
【0011】
図1及び
図2に示す機器取付装置は、車両におけるシートバックSBの上部に機器Aを取り付ける装置である。シートバックSBは、ヘッドレストを取り付けるための一対の取付穴Hを有する。機器取付装置は、ヘッドレストを取り外し、取付穴Hに固定して機器Aを支持する。機器Aは、とくに限定されないが、プロジェクタやカメラ、及び音響機器等であり、図示例ではプロジェクタである。
【0012】
上記の機器取付装置は、基本構成として、機器Aの下部に連結する基盤1と、基盤1に対してシートバックSBの左右方向に沿う軸線を中心にして回動可能な第1支持脚L1とを備えている。第1支持脚L1は、シートバックSBのヘッドレスト取付穴H,Hに差し込む一対のステー2,2と、ステー2の上端部同士を連結する軸体3とを有する。
【0013】
ステー2及び取付穴Hには、図示を省略したが、例えば、半球状の複数の凹部を直線状に配置した構造体と、凹部に係合離脱機能なボールを突出方向に弾性保持した構造体とが相対的に設けてある。第1支持脚L1は、ステー2を上下方向に調整して、ボールと任意の凹部とを係合させることにより、調整位置を維持することができる。また、第1支持脚L1は、少なくとも軸体3が丸棒状を有している。ステー2は、取付穴Hの形状に応じた断面形状である。
【0014】
基盤1は、
図3及び
図4にも示すように、例えば、立方体状の樹脂製ブロックであって、第1支持脚L1の軸体3を回動自在に装着する貫通孔4と、貫通孔4に装着した軸体3の回動を規制する拘束機構とを備えている。貫通孔4は、シートバックSBの左右方向に連通している。
【0015】
この実施形態の拘束機構は、
図3に示すように、貫通孔4から基盤1の両側の側面及び後端面に至るスリット5と、スリット5により上下に2分された固定片6,6と、両固定片6,6を上下に貫通する調整ねじ7と、調整ねじ7の下端に設けた操作部8とを備えている。調整ねじ7は、上側の固定片6を貫通し、上端部を機器Aに設けためねじ孔に螺着する。つまり、調整ねじ7は、基盤1に対する機器Aの連結部を兼ねている。
【0016】
上記の拘束機構は、調整ねじ7を緩めた状態においては、基盤1に対して第1支持脚L1を回動自在に保持する。また、拘束機構は、第1支持脚L1を任意の回動位置にして調整ねじ7を締めると、スリット5の間隔が狭まる方向に固定片6,6が僅かに変形し、貫通孔4の内面と軸体3の外面が互いに圧接することで、軸体3の回動を規制し、第1支持脚L1の回動調整位置を維持する。
【0017】
図示例の機器取付装置は、第1支持脚L1に加えて、基盤1に対してシートバックSBの左右方向に沿う軸線を中心にして回動可能な第2支持脚L2を備えている。第2支持脚L2は、左右の支持杆11,11と、支持杆11の下端部同士を連結する連結杆12を有し、
図4に示す組み立て状態において、第1支持脚L1のステー2の下端部よりも先方に延出する長さを有する。また、図子の支持杆11は、下端部側において、シートバックSBの前方側に屈曲している。
【0018】
上記の第2支持脚L2は、基盤1に対してシートバックSBの左右方向に沿う軸線を中心にして回動可能であれば良いので、回動中心を第1支持脚L1の軸体3と同軸上に配置することも可能であるが、第1支持脚L1と別体で回動させる必要がある。そこで、この実施形態の第2支持脚L2は、左右の支持杆11,11の上端部に、軸体3と別の回動軸9,9を有し、この回動軸9.9により、第1支持脚L1の左右のステー2,2の上端部に対して回動可能に連結してある。
【0019】
さらに、上記の機器取付装置は、第1支持脚L1と第2支持脚L2との間に、双方の成す角度が減少する方向に弾性力を付与する弾性部材13を備えている。弾性部材13は、とくに限定されるものではないが、代表的には引張コイルばねを用いることができる。
【0020】
上記構成を備えた車両座席用の機器取付装置は、
図1及び
図2に示すように、機器Aを保持した状態で、第1支持脚L1のステー2をシートバックSBの取付穴Hに差し込むことで固定され、その際、ステー2の差し込み量に応じて高さ位置を調整する。また、機器取付装置は、操作部8により調整ねじ7を緩めることで、固定された第1支持脚L1に対して基盤1がシートバック左右方向の軸回りに回動可能になり、機器Aの垂直方向の角度を調整する。
【0021】
この際、機器取付装置は、基盤1に対して機器Aが水平方向にも回動可能になるので、機器Aの水平方向の角度を調整することが可能である。その後、機器取付装置は、操作部8で調整ねじ7を締めることにより、基盤1に対する第1支持脚L1の回動、換言すれば、固定された第1支持脚L1に対する基盤1の回動を規制し、機器Aの垂直方向及び水平方向の調整位置を維持する。
【0022】
また、機器取付装置は、上記の如く固定及び位置調整した状態において、
図2に示すように第2支持脚L2がシートバックSBの前方に延出し、この際、第1支持脚L1と第2支持脚L2との間に設けた弾性部材13の作用により、第2支持部材L2がシートバックSBに圧接される。
【0023】
このように、上記実施形態の機器取付装置は、基本的に、基盤1と、第1支持脚L1とで構成したことから、機器Aと基板1との連結箇所(調整ねじ7)からシートバックSBに固定する第1支持脚L1までの距離が小さくなり、全体の小型軽量化を実現することができる。
【0024】
また、上記の機器取付装置は、基盤1の貫通孔4に装着した軸体3の回動を規制する拘束機構を有するので、シートバックSBに取り付けた機器Aの固定や姿勢の調整を容易に行うことができる。
【0025】
さらに、上記の機器取付装置は、第2支持脚L2を備えると共に、第2支持脚L2が、第1支持脚L1の軸体3と別の回動軸9を有すると共に、ステー2の下端部よりも先方に延出する長さを有するので、
図2に示すように、第2支持脚L2を独立して回動させて、第2支持脚L2をシートバックSBの前方に延出させることにより、あえて着席時の障害物となって、実質的に着席を回避し、運転中の使用を抑制する。
【0026】
さらに、上記の機器取付装置は、第1支持脚L1と第2支持脚L2との間に弾性部材13を設けたことにより、シートバックSBに固定した際に、第2支持脚L2がシートバックSBに圧接することとなり、第1支持脚L1の補助として機能し得る。
【0027】
さらに、上記の機器取付装置は、貫通孔4に連続するスリット5と、スリット5により上下に2分された固定片6,6と、固定片6,6を上下に貫通する調整ねじ7と、調整ねじ7の下端に設けた操作部8とを備えた拘束機構とし、調整ねじ7を機器Aに設けためねじ孔に螺着する。
【0028】
これにより、上記の機器取付装置は、1つの操作部8を操作するだけで、基盤1に対する機器Aの着脱、機器Aの垂直方向及び水平方向の角度調整及び姿勢の維持を行うことができ、装置構成のさらなる簡略化や小型軽量化を実現すると共に、製造コストの低減等にも貢献することができる。
【0029】
さらに、上記の機器取付装置は、機器Aがプロジェクタである場合、基盤1とともに機器Aを上向きに保持し、キャビンの天井に画面を映すことができる。この場合、機器取付装置の機能だけでなく、シートバックのリクライニング機能を併用することもできる。
【0030】
さらに、上記の機器取付装置は、
図5に示すように、第1支持脚L1を基盤1の後方に回動させると共に、第2支持脚L2を基盤Aの前方に回動させる、若しくは第1支持脚L1を前方に、第2支持脚L2を後方に回動させると、自立させることができる。この際、機器取付装置は、弾性部材13により、両支持脚L1,L2が相反する向きに回動するのを抑制して、自立状態を維持することができる。
【0031】
さらに、上記の機器取付装置は、
図6に示すように、両支持脚L1,L2を揃えることによってコンパクトになり、機器Aを取り外せば、よりコンパクトであることが明らかであるから、不使用時には狭い空間にも収容することが可能である。
【0032】
上記の機器取付装置は、プロジェクタ以外に、カメラや音響機器等の各種機器に適用可能であると共に、取り扱いも非常に簡単であるから、いわゆる車内でくつろぐという新たなニーズに充分に応えるものである。
【0033】
<第2実施形態>
図7及び
図8は、本発明に係わる車両座席用の機器取付装置の第2実施形態を説明する図である。この実施形態では、第1実施形態と同等の構成部位に同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0034】
この実施形態の機器取付装置は、第1支持脚L1が、個々にステー2を有する2つの支持部材21,22に分割してある。また、第1支持脚L1の軸体3が、
図8中で左側である一方の支持部材21に設けた筒状部3Aと、他方の支持部材22に設けた棒状部3Bとを備えている。他方の支持部材22の棒状部3Bは、一方の支持部材21の筒状部3A内に挿通され、筒状部3Aを貫通した先端側に抜け止め3Cを有する。この際、筒状部3A及び棒状部3Bは、互いに軸線方向に摺動自在であれば良く、軸回りに回動させる必要はないので、筒状部3Aの内面及び防状部3Bの外面を断面多角形状にしたり、スプラインを形成したりすることができる。
【0035】
これにより、上記構成を備えた機器取付装置は、第1実施形態と同様の効果を得ることができるうえに、シートバックSBにおけるヘッドレスト取付穴H,Hの間隔に応じて、一対のステー2,2の間隔を調整することができる。つまり、機器取付装置は、取付穴Hの間隔が異なる他の車種にも適用することができ、利便性のさらなる向上を実現する。
【0036】
また、上記の機器取付装置は、第2支持脚L2が、左右の支持杆11,11と連結杆12とを備えた構成であるから、
図7に示すように、第2支持脚L2を左右の支持部材23,24に分割しても良い。この際、第2支持脚L2は、左右の支持部材23,24の連結杆12,12に筒状部材25を装置する。これにより、第2支持脚L2は、第1支持脚L1のステー2の幅調整に対応可能になり、尚且つ両支持部材23,24を同時に回動させることができる。
【0037】
本発明に係わる車両座席用の機器取付装置は、その構成が上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
A 機器
H 取付穴
L1 第1支持脚
L2 第2支持脚
SB シートバック
1 基盤
2 ステー
3 軸体
3A 筒状部
3B 棒状部
4 貫通孔
5 スリット(拘束機構)
6 固定片(拘束機構)
7 調整ねじ(拘束機構)
8 操作部(拘束機構)
9 回動軸
13 弾性部材
21,22 支持部材