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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039274
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】読取装置、及び、読取システム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
G06K7/10 128
G06K7/10 208
G06K7/10 252
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143696
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】501270287
【氏名又は名称】帝人フロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(72)【発明者】
【氏名】中川 大
(72)【発明者】
【氏名】根岸 毅人
(72)【発明者】
【氏名】久保田 康
(72)【発明者】
【氏名】土田 忠司
(72)【発明者】
【氏名】浅村 直也
(72)【発明者】
【氏名】箱崎 光弘
(57)【要約】
【課題】タグ情報を適切に読み取る。
【解決手段】筐体300は、無線タグ60が付された物品50を収納可能であり、無線タグ60からタグ情報を読み取るのに用いる電波である第1電波の通過を抑制する。リーダライタ200は、物品50が筐体300の内部に収納されているときに、アンテナを介して、物品50に付された無線タグ60からタグ情報を読み取る。外面移動回転体410は、ユーザによる手動操作に従って筐体300の外面において移動と回転とのうち少なくとも一方が可能である。内面移動回転体420には、アンテナ又は第1電波を反射する反射板が固定される。外面移動回転体410と内面移動回転体420とは磁力により互いに吸着し、内面移動回転体420は上記手動操作に従って筐体300の内面において移動と回転とのうち少なくとも一方が可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグが付された物品を収納可能であり、前記無線タグからタグ情報を読み取るのに用いる電波である第1電波の通過を抑制する筐体と、
前記筐体の内部に設けられたアンテナと、
前記物品が前記筐体の内部に収納されているときに、前記アンテナを介して、前記物品に付された前記無線タグから前記タグ情報を読み取る読取手段と、
ユーザによる手動操作に従って前記筐体の外面において移動と回転とのうち少なくとも一方が可能な外面移動回転体と、
前記アンテナ又は前記第1電波を反射する反射板が固定され、前記筐体の内面において移動と回転とのうち少なくとも一方が可能な内面移動回転体と、を備え、
前記外面移動回転体と前記内面移動回転体とは磁力により互いに吸着し、前記内面移動回転体は前記手動操作に従って前記筐体の内面において移動と回転とのうち少なくとも一方が可能である、
読取装置。
【請求項2】
前記筐体は、前記第1電波の通過を抑制し、可視光を通過させる可視光通過板を備える、
請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記可視光通過板は、前記第1電波の通過を抑制し、可視光を透過する導体層と、可視光を透過する第1絶縁体板とを備える、
請求項2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記可視光通過板は、前記第1電波を通過させず、可視光を通過させる第1開口部が設けられた第1導体板を備える、
請求項2に記載の読取装置。
【請求項5】
前記可視光通過板は、前記筐体の天井部分に設けられている、
請求項2から4の何れか1項に記載の読取装置。
【請求項6】
前記外面移動回転体と前記内面移動回転体とは、前記可視光通過板を挟んで磁力により互いに吸着する、
請求項2から4の何れか1項に記載の読取装置。
【請求項7】
前記読取手段は、前記筐体の内部に収納されており、
前記筐体は、前記第1電波を通過させず、前記読取手段が前記筐体の外部の情報処理装置との通信に用いる電波である第2電波を通過させる第2開口部を備える、
請求項1から4の何れか1項に記載の読取装置。
【請求項8】
前記読取手段は、前記アンテナと一体に形成されたハンディタイプのリーダライタである、
請求項7に記載の読取装置。
【請求項9】
前記外面移動回転体と前記内面移動回転体とは、磁石又は強磁性体と、前記筐体の外面又は内面と接するボールローラと、前記磁石又は前記強磁性体と前記ボールローラとが取り付けられる本体部材とを備える、
請求項1から4の何れか1項に記載の読取装置。
【請求項10】
前記筐体における前記外面移動回転体と前記内面移動回転体とに挟まれる板状の部材である第1板状部材と対向する第2絶縁体板と、
前記第2絶縁体板における前記第1板状部材側の面に、予め定められた間隔で配置された複数の第2無線タグと、を備え、
前記第1板状部材と前記第2絶縁体板との間に、前記アンテナが固定された前記内面移動回転体が配置され、
前記読取手段は、前記アンテナが前記複数の第2無線タグのうち特定の無線タグと近接しているときに、前記アンテナを介して、前記特定の無線タグからタグ情報を読み取る、
請求項1から4の何れか1項に記載の読取装置。
【請求項11】
前記第2絶縁体板における前記第1板状部材とは反対側の面における、前記複数の第2無線タグのそれぞれと対向する位置に第2導体板を備える、
請求項10に記載の読取装置。
【請求項12】
読取装置と情報処理装置とを備える読取システムであって、
前記読取装置は、
無線タグが付された物品を収納可能であり、前記無線タグからタグ情報を読み取るのに用いる電波である第1電波の通過を抑制する筐体と、
前記筐体の内部に設けられたアンテナと、
前記物品が前記筐体の内部に収納されているときに、前記アンテナを介して、前記物品に付された前記無線タグから前記タグ情報を読み取る読取手段と、
ユーザによる手動操作に従って前記筐体の外面において移動と回転とのうち少なくとも一方が可能な外面移動回転体と、
前記アンテナ又は前記第1電波を反射する反射板が固定され、前記筐体の内面において移動と回転とのうち少なくとも一方が可能な内面移動回転体と、を備え、
前記外面移動回転体と前記内面移動回転体とは磁力により互いに吸着し、前記内面移動回転体は前記手動操作に従って前記筐体の内面において移動と回転とのうち少なくとも一方が可能であり、
前記情報処理装置は、
前記読取装置が読み取った前記タグ情報を取得するタグ情報取得手段と、
前記タグ情報取得手段が取得した前記タグ情報に基づく読取結果を示す画面を表示手段に表示させる表示制御手段と、を備える、
読取システム。
【請求項13】
前記読取装置は、
前記筐体における前記外面移動回転体と前記内面移動回転体とに挟まれる板状の部材である第1板状部材と対向する第2絶縁体板と、
前記第2絶縁体板における前記第1板状部材側の面に、予め定められた間隔で配置された複数の第2無線タグと、を備え、
前記第1板状部材と前記第2絶縁体板との間に、前記アンテナが固定された前記内面移動回転体が配置され、
前記読取手段は、前記アンテナが前記複数の第2無線タグのうち特定の無線タグと近接しているときに、前記アンテナを介して、前記特定の無線タグからタグ情報を読み取り、
前記表示制御手段は、前記筐体の内面のうち前記内面移動回転体が前記手動操作に従って通過した領域を示す画面を前記表示手段に表示させる、
請求項12に記載の読取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、読取装置、及び、読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、リーダライタによりタグ情報を読み書き可能な無線タグを用いて、物品を管理する技術が知られている。例えば、リーダライタによりタグ情報の読み取りが可能な場所に複数の物品を配置し、複数の物品に付された無線タグからタグ情報を一括して読み取り、物品の個数、種類等を特定する技術が知られている。
【0003】
ところで、複数の無線タグからタグ情報を一括して読み取る場合、リーダライタのアンテナと複数の無線タグとの位置関係によっては、タグ情報の読み取りができない可能性がある。このような課題に対して、例えば、特許文献1には、無線タグとアンテナとの交信に係る電波環境を変更する変更手段を備える読取装置が記載されている。この変更手段は、タグ情報の読み取り時に、予め定められたプログラムに従って駆動部を駆動して、無線タグが付された商品が配置された載置台を揺動させることにより、上記電波環境を変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-12211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された読取装置では、予め定められたプログラムに従って駆動部が駆動するため、全ての無線タグからタグ情報を適切に読み取ることができない可能性がある。例えば、特許文献1に記載された読取装置では、仮に、ユーザが、タグ情報の読み取りが未完了の無線タグからタグ情報を読み取るのに適した載置台の状態を把握していても、ユーザは即座に載置台を動かすことができない。このため、タグ情報の読み取りができない、又は、タグ情報の読み取りに非常に長い時間を要するという可能性がある。このため、タグ情報を適切に読み取ることが可能な読取装置等が望まれている。
【0006】
本開示は、上記問題に鑑みてなされたものであり、タグ情報を適切に読み取ることが可能な読取装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の第1の観点に係る読取装置は、
無線タグが付された物品を収納可能であり、前記無線タグからタグ情報を読み取るのに用いる電波である第1電波の通過を抑制する筐体と、
前記筐体の内部に設けられたアンテナと、
前記物品が前記筐体の内部に収納されているときに、前記アンテナを介して、前記物品に付された前記無線タグから前記タグ情報を読み取る読取手段と、
ユーザによる手動操作に従って前記筐体の外面において移動と回転とのうち少なくとも一方が可能な外面移動回転体と、
前記アンテナ又は前記第1電波を反射する反射板が固定され、前記筐体の内面において移動と回転とのうち少なくとも一方が可能な内面移動回転体と、を備え、
前記外面移動回転体と前記内面移動回転体とは磁力により互いに吸着し、前記内面移動回転体は前記手動操作に従って前記筐体の内面において移動と回転とのうち少なくとも一方が可能である。
【0008】
前記筐体は、前記第1電波の通過を抑制し、可視光を通過させる可視光通過板を備えていてもよい。
【0009】
前記可視光通過板は、前記第1電波の通過を抑制し、可視光を透過する導体層と、可視光を透過する第1絶縁体板とを備えていてもよい。
【0010】
前記可視光通過板は、前記第1電波を通過させず、可視光を通過させる第1開口部が設けられた第1導体板を備えていてもよい。
【0011】
前記可視光通過板は、前記筐体の天井部分に設けられていてもよい。
【0012】
前記外面移動回転体と前記内面移動回転体とは、前記可視光通過板を挟んで磁力により互いに吸着してもよい。
【0013】
前記読取手段は、前記筐体の内部に収納されており、
前記筐体は、前記第1電波を通過させず、前記読取手段が前記筐体の外部の情報処理装置との通信に用いる電波である第2電波を通過させる第2開口部を備えていてもよい。
【0014】
前記読取手段は、前記アンテナと一体に形成されたハンディタイプのリーダライタであってもよい。
【0015】
前記外面移動回転体と前記内面移動回転体とは、磁石又は強磁性体と、前記筐体の外面又は内面と接するボールローラと、前記磁石又は前記強磁性体と前記ボールローラとが取り付けられる本体部材とを備えていてもよい。
【0016】
前記筐体における前記外面移動回転体と前記内面移動回転体とに挟まれる板状の部材である第1板状部材と対向する第2絶縁体板と、
前記第2絶縁体板における前記第1板状部材側の面に、予め定められた間隔で配置された複数の第2無線タグと、を備え、
前記第1板状部材と前記第2絶縁体板との間に、前記アンテナが固定された前記内面移動回転体が配置され、
前記読取手段は、前記アンテナが前記複数の第2無線タグのうち特定の無線タグと近接しているときに、前記アンテナを介して、前記特定の無線タグからタグ情報を読み取ってもよい。
【0017】
前記第2絶縁体板における前記第1板状部材とは反対側の面における、前記複数の第2無線タグのそれぞれと対向する位置に第2導体板を備えていてもよい。
【0018】
上記目的を達成するために、本開示の第2の観点に係る読取システムは、
読取装置と情報処理装置とを備える読取システムであって、
前記読取装置は、
無線タグが付された物品を収納可能であり、前記無線タグからタグ情報を読み取るのに用いる電波である第1電波の通過を抑制する筐体と、
前記筐体の内部に設けられたアンテナと、
前記物品が前記筐体の内部に収納されているときに、前記アンテナを介して、前記物品に付された前記無線タグから前記タグ情報を読み取る読取手段と、
ユーザによる手動操作に従って前記筐体の外面において移動と回転とのうち少なくとも一方が可能な外面移動回転体と、
前記アンテナ又は前記第1電波を反射する反射板が固定され、前記筐体の内面において移動と回転とのうち少なくとも一方が可能な内面移動回転体と、を備え、
前記外面移動回転体と前記内面移動回転体とは磁力により互いに吸着し、前記内面移動回転体は前記手動操作に従って前記筐体の内面において移動と回転とのうち少なくとも一方が可能であり、
前記情報処理装置は、
前記読取装置が読み取った前記タグ情報を取得するタグ情報取得手段と、
前記タグ情報取得手段が取得した前記タグ情報に基づく読取結果を示す画面を表示手段に表示させる表示制御手段と、を備える。
【0019】
前記読取装置は、
前記筐体における前記外面移動回転体と前記内面移動回転体とに挟まれる板状の部材である第1板状部材と対向する第2絶縁体板と、
前記第2絶縁体板における前記第1板状部材側の面に、予め定められた間隔で配置された複数の第2無線タグと、を備え、
前記第1板状部材と前記第2絶縁体板との間に、前記アンテナが固定された前記内面移動回転体が配置され、
前記読取手段は、前記アンテナが前記複数の第2無線タグのうち特定の無線タグと近接しているときに、前記アンテナを介して、前記特定の無線タグからタグ情報を読み取り、
前記表示制御手段は、前記筐体の内面のうち前記内面移動回転体が前記手動操作に従って通過した領域を示す画面を前記表示手段に表示させてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、タグ情報を適切に読み取ることが可能な読取装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態1に係る読取システムの構成図
図2】実施の形態1に係る読取装置の斜視図
図3】実施の形態1に係る外面移動回転体を示す図であり、(A)は外面移動回転体の平面図、(B)は外面移動回転体の底面図
図4】実施の形態1に係る内面移動回転体を示す図であり、(A)は内面移動回転体の平面図、(B)は内面移動回転体の底面図
図5】外面移動回転体及び内面移動回転体の斜視図
図6】実施の形態1に係る読取装置におけるリーダライタの配置部分の側面図
図7】実施の形態2に係る読取装置の斜視図
図8】実施の形態2に係る筐体が備える第2絶縁体板の平面図
図9】実施の形態2に係る読取装置におけるリーダライタの配置部分の側面図
図10】実施の形態2に係る読取システムの機能構成図
図11】アンテナの軌跡の説明図
図12】読取結果提示画面を示す図
図13】実施の形態3に係る読取装置の斜視図
図14】実施の形態4に係る読取装置の斜視図
図15】実施の形態5に係る読取装置の斜視図
図16】実施の形態6に係る筐体が備える第1導体板の平面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図中において、同一又は対応する部分には、同一の符号を付す。
【0023】
(実施の形態1)
まず、図1を参照して、実施の形態1に係る読取システム1000の構成について説明する。読取システム1000は、物品に付された無線タグからタグ情報を読み取るシステムである。無線タグは、管理対象の物品を識別するためのタグ情報を記憶する。タグ情報は、無線タグ又は無線タグが付された物品を識別するための情報であり、例えば、数値やアルファベットにより構成される文字列を示す情報である。本実施の形態では、無線タグは、RFID(Radio Frequency Identification)システムにおける無線IC(Integrated Circuit)タグのうち、電池を内蔵しないタグであるパッシブタグである。
【0024】
本実施の形態では、読取システム1000は、読取装置100が備える筐体内に複数の物品を収納し、複数の物品に付された無線タグからタグ情報を一括して読み取り、物品の個数、種類等を特定する。本実施の形態では、読取システム1000は、読取装置100が備えるリーダライタ200が備えるアンテナ27と無線タグとの交信に係る電波環境を、ユーザの手動操作により変化させることが可能である。
【0025】
図1に示すように、読取システム1000は、読取装置100と、情報処理装置500とを備える。読取装置100は、リーダライタ200を備える。読取装置100が備えるリーダライタ200と情報処理装置500とは、各種の通信ネットワーク(図示せず)を介して相互に接続される。
【0026】
図2に示すように、読取装置100は、リーダライタ200と、筐体300と、外面移動回転体410と、内面移動回転体420とを備える。本実施の形態では、鉛直方向上向きに延びる軸をZ軸、Z軸と直交する軸をX軸、Z軸とX軸とに直交する軸をY軸とする。読取装置100は、例えば、物品50の入荷時、出荷時等における検品時に用いられる。例えば、ユーザは、検品対象である複数の物品50を収納した箱50Aを、筐体300の内部に収納する。すると、リーダライタ200は、筐体300の内部に収納された複数の物品50に付された無線タグ60からタグ情報を一括して読み取る。
【0027】
筐体300は、リーダライタ200が放射する電波が筐体300の外部に漏れることを抑制し、筐体300の外部に存在する無線タグ60からタグ情報が読み取られることを抑制する。ここで、リーダライタ200のアンテナ27と複数の無線タグ60との位置関係によっては、タグ情報の読み取りができない可能性がある。例えば、リーダライタ200が放射した電波の位相と筐体300の内面で反射した電波の位相とが逆である地点は、タグ情報の読み取りができないヌル点となる可能性がある。また、物品50に水分、金属等が含まれている場合、水分、金属等の影響により、電波が到達しない地点が発生する可能性がある。
【0028】
このようにタグ情報の読み取りができない地点では、筐体300の内部の電波環境が変化しないとタグ情報の読み取りができない状態が継続する可能性が高い。このため、筐体300の内部の電波環境を変化させて、タグ情報の読み取りができない地点を無くすことが好適である。そこで、ユーザは、外面移動回転体410を手動操作して内面移動回転体420を移動又は回転させることにより、筐体300の内部の電波環境を自由に変化させる。なお、筐体300の内部の電波環境を変化させる方法としては、タグ情報の読み取りに用いるアンテナ27の位置と角度との少なくとも一方を変化させる方法、筐体300の内部において電波を反射する反射板の位置と角度との少なくとも一方を変化させる方法等が考えられる。
【0029】
以下、リーダライタ200について詳細に説明する。リーダライタ200は、無線タグ60からタグ情報を読み取り、無線タグ60にタグ情報を書き込む。なお、本実施の形態では、タグ情報の読み取りについて説明し、タグ情報の書き込みについての説明は省略する。リーダライタ200は、タグ情報を読み取る場合、アンテナ27から電力供給用電波を放射する。電力供給用電波は、パッシブタグである無線タグ60に電力を供給するための電波である。本実施の形態では、リーダライタ200は、予め定められた周期でタグ情報を読み取る。この周期は、例えば、1秒である。
【0030】
また、リーダライタ200は、アンテナ27がタグ情報包含電波を受信した場合、タグ情報包含電波により示されるタグ情報を取得する。タグ情報包含電波は、タグ情報を含む電波であり、電力供給用電波を受信した無線タグ60が、電力供給用電波を動力源として放射する電波である。本実施の形態では、リーダライタ200は、UHF(Ultra High Frequency)帯の周波数(300MHzから3GHz)のうち、RFIDで用いられるUHF帯の周波数(860MHzから960MHz)の電波を用いた電波方式により、無線タグ60からタグ情報を読み取る。本実施の形態では、リーダライタ200は、920MHzの電波を用いて、タグ情報を読み取る。本実施の形態では、リーダライタ200は、小型のハンディタイプのリーダライタである。
【0031】
図1に示すように、リーダライタ200は、制御部21と、記憶部22と、通信部25と、無線通信回路26と、アンテナ27とを備える。
【0032】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、RTC(Real Time Clock)等を備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等とも呼び、リーダライタ200の制御に係る処理及び演算を実行する中央演算処理部として機能する。制御部21において、CPUは、ROMに格納されているプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、リーダライタ200を統括制御する。RTCは、例えば、計時機能を有する集積回路である。なお、CPUは、RTCから読み出される時刻情報から現在日時を特定可能である。
【0033】
記憶部22は、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性の半導体メモリを備えており、いわゆる補助記憶装置としての役割を担う。記憶部22は、制御部21が各種処理を実行するために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、記憶部22は、制御部21が各種処理を実行することにより生成又は取得するデータを記憶する。
【0034】
通信部25は、制御部21による制御に従って、各種の無線通信規格又は各種の有線通信規格に則って、情報処理装置500と通信する。各種の無線通信規格としては、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)等がある。各種の有線通信規格としては、イーサネット(登録商標)、USB(Universal Serial Bus、登録商標)、Thunderbolt(登録商標)等がある。通信部25は、各種の通信規格に準拠した通信インターフェースを備える。本実施の形態では、通信部25は、Bluetooth(登録商標)の通信規格に則って、2.4GHz帯の周波数の電波を用いて、情報処理装置500と通信する。
【0035】
無線通信回路26は、タグ情報の読み取り又は書き込みに用いる無線通信のための回路である。無線通信回路26は、電源回路と、発振回路と、変調回路と、復調回路等を備える。アンテナ27は、無線通信回路26が生成した高周波信号に対応する電波を放射する。また、アンテナ27は、受信した電波に対応する高周波信号を無線通信回路26に供給する。リーダライタ200は、読取手段の一例である。
【0036】
次に、筐体300について詳細に説明する。筐体300は、無線タグ60が付された物品50を収納する。本実施の形態では、筐体300は、複数の物品50が収納された箱50Aを収納する。筐体300は、タグ情報の読み取りに用いる電波(以下、適宜「第1電波」という。)の通過を抑制し、リーダライタ200と情報処理装置500との通信に用いる電波(以下、適宜「第2電波」という。)を通過させる。なお、電波の通過を抑制することは、電波を反射することと、電波を吸収することとの双方を含む概念である。また、電力供給用電波とタグ情報包含電波とは、何れも第1電波である。第1電波は、筐体300の内面で反射及び吸収を繰り返し、次第に減衰する。つまり、本実施の形態では、筐体300は、アンテナ27又は無線タグ60が放射した第1電波の大部分を反射し、この第1電波の一部を吸収する。
【0037】
図2に示すように、筐体300は、物品50の出し入れが可能な構造であり、全体として直方体である。筐体300は、天板部材310と、底板部材320と、扉部材330と、側壁部材340と、側壁部材350と、側壁部材360とを備える。天板部材310と底板部材320とが対向し、扉部材330と側壁部材340とが対向し、側壁部材350と側壁部材360とが対向する。
【0038】
天板部材310は、筐体300の天井に対応する板状の部材である。底板部材320は、筐体300の底に対応する板状の部材である。扉部材330は、筐体300に物品50を出し入れするための開口部を塞ぐ板状の部材である。ユーザが扉部材330を開くことで、筐体300への物品50の出し入れが可能となる。また、ユーザが扉部材330を閉じることで、タグ情報の適切な読み取りが可能となる。側壁部材340と側壁部材350と側壁部材360とは、筐体300の側壁に対応する板状の部材である。
【0039】
筐体300は、扉部材330が閉じられた状態では、筐体300の内部と筐体300の外部との第1電波の往来を抑制する。従って、天板部材310と底板部材320と扉部材330と側壁部材340と側壁部材350と側壁部材360とは、第1電波の大部分を反射する反射板として機能し、第1電波の通過を抑制する。また、筐体300は、扉部材330が閉じられた状態においても、筐体300の内部と筐体300の外部との第2電波の往来を抑制しない。従って、天板部材310と底板部材320と扉部材330と側壁部材340と側壁部材350と側壁部材360とのうち少なくとも1つは、第2電波を通過させる。第2電波を通過させる方法としては、第2電波が通過可能な開口部を設ける方法がある。本実施の形態では、天板部材310が第2電波を通過させる。
【0040】
また、筐体300の外面に配置される外面移動回転体410と筐体300の内面に配置される内面移動回転体420とは、磁力により吸着する。従って、天板部材310と底板部材320と扉部材330と側壁部材340と側壁部材350と側壁部材360とのうち少なくとも1つは、強磁性体以外の物質により構成される。本実施の形態では、外面移動回転体410と内面移動回転体420とが、天板部材310を挟んで互いに吸着する。従って、本実施の形態では、天板部材310は、強磁性体以外の物質により構成される。
【0041】
また、ユーザが外面移動回転体410を手動操作して内面移動回転体420を移動又は回転させる場合、ユーザが内面移動回転体420を視認可能であることが好適である。従って、天板部材310は、可視光を通過させることが好適である。なお、ユーザが内面移動回転体420を視認可能である場合、仮に内面移動回転体420が外面移動回転体410から離れたとしても、ユーザは直ちに内面移動回転体420を外面移動回転体410に吸着させることができる。可視光を通過させる方法として、可視光が透過可能な素材を用いる方法と、可視光が通過する開口部を設ける方法とがある。本実施の形態では、可視光が透過可能な素材を用いる方法を採用する。可視光が透過可能な素材としては、ITO(Indium Tin Oxide)がある。
【0042】
以上説明したように、天板部材310は、第1電波の通過を抑制し、第2電波を通過させ、可視光を通過させるように構成される。具体的には、例えば、天板部材310は、透明な絶縁体板の表面にITOの導体層を設け、この透明な絶縁体板に、第1電波を通過させず、第2電波を通過させる開口部311を設けることにより形成される。本実施の形態では、開口部311は、RFIDで用いる周波数よりも高い周波数の電波を通過させる。
【0043】
具体的には、開口部311は、例えば、920MHzの周波数を有する第1電波を通過させず、2.4GHzの周波数を有する第2電波を通過させる。つまり、開口部311は、920MHzと2.4GHzとの間の周波数閾値未満の周波数の電波を大きく減衰させ、周波数閾値を超える周波数の電波をあまり減衰させない。開口部311の個数は、1つでもよいし、2つ以上でもよい。また、開口部311の形状は任意である。本実施の形態では、開口部311は、50mmの長さを有し、1mmの幅を有するスリット状の開口部であり、開口部311は1個である。
【0044】
また、底板部材320と扉部材330と側壁部材340と側壁部材350と側壁部材360とは、第1電波の通過を抑制する素材により構成され、なるべく強磁性体でない素材により構成されることが好ましい。例えば、底板部材320と扉部材330と側壁部材340と側壁部材350と側壁部材360とは、アルミニウムにより構成される。
【0045】
次に、図3を参照して、外面移動回転体410について説明する。外面移動回転体410は、ユーザの手動操作に従って、筐体300の外側の面である外面において移動又は回転する部材である。図3(A)に外面移動回転体410の平面図を示す。図3(B)に外面移動回転体410の底面図を示す。外面移動回転体410は、本体部材411と、磁石412と、ボールローラ413と、把持部416とを備える。
【0046】
本体部材411は、磁石412とボールローラ413と把持部416とが取り付けられる部材である。本体部材411は、全体として平たい形状であることが好適である。本体部材411は、強磁性体でなく、剛性が高い素材により構成されることが好適である。本体部材411は、例えば、アルミニウムにより構成される。
【0047】
磁石412は、外面移動回転体410と内面移動回転体420とを磁力により吸着させる役割を担う。磁石412は、本体部材411の裏面に取り付けられる。なお、本体部材411の表面は、本体部材411が有する2つの面のうち、図3(A)の平面図で見える方の面である。本体部材411の裏面は、本体部材411が有する2つの面のうち、図3(B)の底面図で見える方の面である。本体部材411に取り付けられる磁石412の個数、形状、種類等は、適宜、調整することができる。本実施の形態では、磁石412の個数は4個であり、磁石412の形状は略ドーナツ型であり、磁石412の種類は永久磁石である。
【0048】
ボールローラ413は、ユーザの手動操作に従って、筐体300の外面において、外面移動回転体410をスムーズに移動又は回転させる役割を担う。ボールローラ413は、本体部材411の裏面に取り付けられる。本体部材411の裏面において、ボールローラ413は磁石412よりも張り出している。外面移動回転体410は、ボールローラ413の先端部分において、筐体300の外面と接する。本体部材411に取り付けられるボールローラ413の個数、種類等は、適宜、調整することができる。本実施の形態では、ボールローラ413の個数は4個である。
【0049】
把持部416は、ユーザにより把持される部材である。つまり、ユーザは、把持部416を手で把持して外面移動回転体410を移動又は回転させる。把持部416は、例えば、本体部材411の表面の中央部分に取り付けられる。把持部416の形状、大きさ等は、ユーザが把持しやすいように、適宜、調整される。
【0050】
次に、図4を参照して、内面移動回転体420について説明する。内面移動回転体420は、外面移動回転体410の移動又は回転に伴って、筐体300の内側の面である内面において移動又は回転する部材である。図4(A)に内面移動回転体420の平面図を示す。図4(B)に内面移動回転体420の底面図を示す。なお、図4では、内面移動回転体420を単体で考えて、底面を定義している。そして、内面移動回転体420は、外面移動回転体410に吸着する状態では、底面図で見える方の面である裏面が上方に配置され、平面図で見える方の面である表面が下方に配置される。内面移動回転体420は、本体部材421と、磁石422と、ボールローラ423とを備える。
【0051】
図5に、外面移動回転体410及び内面移動回転体420の斜視図を示す。図5に示すように、内面移動回転体420は、把持部416に対応する構成を有しない点を除き、基本的に、外面移動回転体410と同様の構成を有する。なお、理解を容易にするため、図4及び図5には、内面移動回転体420だけでなく、内面移動回転体420に取り付けられたリーダライタ200も示している。
【0052】
本体部材421は、磁石422とボールローラ423とリーダライタ200とが取り付けられる部材である。本体部材421は、全体として平たい形状であることが好適である。本体部材421は、強磁性体でなく、剛性が高い素材により構成されることが好適である。本体部材421は、例えば、アルミニウムにより構成される。
【0053】
磁石422は、外面移動回転体410と内面移動回転体420とを磁力により吸着させる役割を担う。磁石422は、本体部材421の裏面に取り付けられる。なお、本体部材421の表面は、本体部材421が有する2つの面のうち、図4(A)の平面図で見える方の面である。本体部材421の裏面は、本体部材421が有する2つの面のうち、図4(B)の底面図で見える方の面である。本体部材421に取り付けられる磁石422の個数、形状、種類等は、適宜、調整することができる。本実施の形態では、磁石422の個数は4個であり、磁石422の形状は略ドーナツ型であり、磁石422の種類は永久磁石である。
【0054】
なお、4個の磁石412と4個の磁石422との吸着力が最も高くなる位置及び向きで、4個の磁石412と4個の磁石422とが取り付けられることが好適である。つまり、外面移動回転体410の裏面と内面移動回転体420の裏面とを重ねたときに、4個の磁石412と4個の磁石422とがそれぞれ重なる位置、且つ、4個の磁石412と4個の磁石422とがそれぞれ引き合う向きで、外面移動回転体410の裏面に4個の磁石412が取り付けられ、内面移動回転体420の裏面に4個の磁石422が取り付けられる。
【0055】
ボールローラ423は、外面移動回転体410の移動又は回転に従って、筐体300の内面において、内面移動回転体420をスムーズに移動又は回転させる役割を担う。ボールローラ423は、本体部材421の裏面に取り付けられる。本体部材421の裏面において、ボールローラ423は磁石422よりも張り出している。内面移動回転体420は、ボールローラ423の先端部分において、筐体300の内面と接する。本体部材421に取り付けられるボールローラ423の個数、種類等は、適宜、調整することができる。本実施の形態では、ボールローラ423の個数は4個である。
【0056】
本実施の形態では、内面移動回転体420が備える本体部材421の表面に、アンテナ27を備えるリーダライタ200が取り付けられる。従って、アンテナ27は、筐体300の内面近傍において、内面移動回転体420とともに移動又は回転する。アンテナ27の移動又は回転により、筐体300の内部の電波環境が変化する。
【0057】
次に、図6を参照して、外面移動回転体410の手動操作によりリーダライタ200のアンテナ27を移動又は回転させる方法について説明する。図6に、読取装置100におけるリーダライタ200の配置部分の側面図を示す。
【0058】
まず、ユーザは、外面移動回転体410の裏面が天板部材310の外面314と対向するように、外面移動回転体410を天板部材310の上に配置する。また、ユーザは、内面移動回転体420の裏面が外面移動回転体410の裏面と対向するように、内面移動回転体420を天板部材310の内面315と接触させる。すると、磁石412の磁力と磁石422の磁力とによる吸着力により、外面移動回転体410と内面移動回転体420とが天板部材310とを介して互いに吸着する。つまり、内面移動回転体420は、磁力により天板部材310の内面315に張り付く。
【0059】
このとき、外面移動回転体410は、基本的に、4箇所において、天板部材310の外面314と接触する。具体的には、4つのボールローラ413のそれぞれが備えるメインボール4131の一部が天板部材310の外面314と接触する。なお、メインボール4131は、支持部材4132に嵌め込まれた球体である。メインボール4131は、メインボール4131と支持部材4132との隙間に設けられた複数のサブボール(図示せず)を介して、支持部材4132に対して回転可能である。なお、ボールローラ413の高さは磁石412の高さよりも高いため、磁石412は外面314と接触しない。
【0060】
同様に、内面移動回転体420は、基本的に、4箇所において、天板部材310の内面315と接触する。具体的には、4つのボールローラ423のそれぞれが備えるメインボール4231の一部が天板部材310の内面315と接触する。なお、メインボール4231は、支持部材4232に嵌め込まれた球体である。メインボール4231は、メインボール4231と支持部材4232との隙間に設けられた複数のサブボール(図示せず)を介して、支持部材4232に対して回転可能である。なお、ボールローラ423の高さは磁石422の高さよりも高いため、磁石422は内面315と接触しない。
【0061】
ここで、ユーザは、外面移動回転体410が備える把持部416を把持し、筐体300の内部の様子を観察しながら、外面移動回転体410を手動で移動又は回転させる。ユーザが筐体300の内部の様子を観察できる理由は、天板部材310が透明な素材で構成されているためである。具体的には、天板部材310は、透明な素材で構成された絶縁体板313の上に透明な素材で構成された導体層312が積層されて構成されるためである。導体層312は、強磁性体でなく、導電性を有し、透明である素材により構成された層である。絶縁体板313は、強磁性体でなく、絶縁性を有し、透明である素材により構成された板状の部材である。導体層312を厚くことは、強度、コスト等の観点から好ましくない。そこで、絶縁体板313上に導体層312を形成することで、強度が高く、導電性を有し、透明である天板部材310を低コストで実現することができる。
【0062】
導体層312の働きにより、第1電波の通過を抑制される。また、導体層312と絶縁体板313とを貫通する開口部311の働きにより、第2電波の通過が可能となる。また、導体層312と絶縁体板313との双方が透明であるため、可視光の通過が可能となる。更に、導体層312と絶縁体板313との双方が強磁性体でないため、磁石412の磁力と磁石422の磁力とによる外面移動回転体410と内面移動回転体420との吸着が阻害されない。導体層312は、例えば、ITOにより構成される層である。絶縁体板313は、例えば、透明なプラスチックにより構成された板状の部材である。絶縁体板313の素材としては、アクリル、硬質塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン等、汎用プラスチック、エンジニアリングプラスチック等が使用可能である。天板部材310は、可視光通過板の一例であり、第1板状部材の一例でもある。絶縁体板313は、第1絶縁体板の一例である。開口部311は、第2開口部の一例である。
【0063】
ここで、ユーザが、天板部材310の外面314上において外面移動回転体410を動かすと、内面移動回転体420は、外面移動回転体410の動きに合わせて、天板部材310の内面315上を動く。つまり、外面移動回転体410と内面移動回転体420とは、磁力により互いに吸着しているため、一体となって移動又は回転する。このため、ユーザは、外面移動回転体410を手動で動かすことにより、内面移動回転体420に取り付けられたリーダライタ200のアンテナ27の向き及び位置を変化させることができる。
【0064】
その結果、筐体300の内部の電波環境が変化し、タグ情報が読み取ることができなかった無線タグ60からタグ情報を読み取ることができる可能性がある。ユーザは、なるべく多くの電波環境の元でタグ情報の読み取りができるように、外面移動回転体410が外面314の全体を通過するように外面移動回転体410を移動させながら、適宜、外面移動回転体410を回転させることが好適である。
【0065】
情報処理装置500は、読取装置100が読み取ったタグ情報に基づいて、各種の処理を実行する装置である。例えば、情報処理装置500は、読取装置100が読み取ったタグ情報の個数に基づいて、箱50Aに収納された物品50の個数を特定する。また、例えば、情報処理装置500は、読取装置100が読み取ったタグ情報の内容に基づいて、箱50Aに収納された物品50の種類を特定する。情報処理装置500は、適宜、処理結果を示す画面を表示する。情報処理装置500は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等である。図1に示すように、情報処理装置500は、制御部51と、記憶部52と、表示部53と、操作受付部54と、通信部55とを備える。
【0066】
制御部51は、CPU、ROM、RAM、RTC等を備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP等とも呼び、情報処理装置500の制御に係る処理及び演算を実行する中央演算処理部として機能する。制御部51において、CPUは、ROMに格納されているプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、情報処理装置500を統括制御する。
【0067】
記憶部52は、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性の半導体メモリを備えており、いわゆる補助記憶装置としての役割を担う。記憶部52は、制御部51が各種処理を実行するために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、記憶部52は、制御部51が各種処理を実行することにより生成又は取得するデータを記憶する。
【0068】
表示部53は、制御部51による制御に従って、各種の画像を表示する。例えば、表示部53は、タグ情報の読取結果を示す画面を表示する。例えば、表示部53は、箱50Aに収納された物品50の個数、種類等を示す画面を表示する。表示部53は、タッチスクリーン、液晶ディスプレイ等を備える。表示部53は、表示手段の一例である。操作受付部54は、ユーザから各種の操作を受け付け、受け付けた操作の内容を示す情報を制御部51に供給する。操作受付部54は、タッチスクリーン、ボタン、レバー等を備える。
【0069】
通信部55は、制御部51による制御に従って、各種の無線通信規格又は各種の有線通信規格に則って、情報処理装置500と通信する。通信部55は、各種の通信規格に準拠した通信インターフェースを備える。本実施の形態では、通信部55は、Bluetooth(登録商標)の通信規格に則って、リーダライタ200と通信する。
【0070】
本実施の形態では、内面移動回転体420は、外面移動回転体410に対する手動操作に従って、筐体300の内面315において移動又は回転が可能である。その結果、ユーザは、筐体300の内部の電波環境を自由に変化させることができる。このため、筐体300に収納された全ての無線タグ60からタグ情報を漏れなく読み取ることが期待できる。つまり、本実施の形態によれば、タグ情報を適切に読み取ることができる。
【0071】
また、本実施の形態では、筐体300は、第1電波の通過を抑制し、可視光を通過させる天板部材310を備える。従って、本実施の形態によれば、筐体300の内部に設けられた内面移動回転体420の動き、吸着状態等を確認することができる。
【0072】
また、本実施の形態では、外面移動回転体410と内面移動回転体420とは、天板部材310を挟んで磁力により互いに吸着する。従って、本実施の形態によれば、筐体300の内部に設けられた内面移動回転体420の動き、吸着状態等を確認しやすい。
【0073】
また、本実施の形態では、天板部材310は、第1電波の通過を抑制し、可視光を透過する導体層312と、可視光を透過する絶縁体板313とを備える。従って、本実施の形態によれば、第1電波の通過を抑制し、可視光を透過する天板部材310を容易に形成することができる。
【0074】
また、本実施の形態では、天板部材310は、筐体300の天井部分に設けられている。従って、本実施の形態によれば、外面移動回転体410に対する安定した手動操作が期待できる。
【0075】
また、本実施の形態では、リーダライタ200が筐体300の内部に収納され、第1電波を通過させず、第2電波を通過させる開口部311が筐体300に設けられている。従って、本実施の形態によれば、アンテナ27とリーダライタ200とを接続するケーブルを通すための開口部を筐体300に設ける必要がない。
【0076】
また、本実施の形態では、リーダライタ200は、アンテナ27と一体に形成されたハンディタイプのリーダライタである。従って、本実施の形態によれば、アンテナ27とリーダライタ200とを接続するケーブルが不要であり、システム構成が簡略化できる。
【0077】
また、本実施の形態では、外面移動回転体410が筐体300の外面314と接するボールローラ413を備え、内面移動回転体420が筐体300の内面315と接するボールローラ423を備える。従って、本実施の形態によれば、外面移動回転体410と内面移動回転体420とをスムーズに動かすことができる。
【0078】
(実施の形態2)
実施の形態1では、ユーザが筐体300の内部の様子を確認しながら外面移動回転体410を動かす例について説明した。本実施の形態では、外面移動回転体410を移動させるべき位置を示す情報がユーザに提示される例について説明する。以下、実施の形態1と同様の構成及び機能については、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0079】
図7に示すように、本実施の形態に係る読取装置100Aは、リーダライタ200と、筐体300Aと、外面移動回転体410と、内面移動回転体420とを備える。筐体300Aは、天板部材310と、底板部材320と、扉部材330と、側壁部材340と、側壁部材350と、側壁部材360と、絶縁体板370とを備える。つまり、筐体300Aは、絶縁体板370を備える点を除き、筐体300と同様の構成である。
【0080】
絶縁体板370は、天板部材310と対向するように、天板部材310と平行に配置される。なお、天板部材310は、外面移動回転体410と内面移動回転体420とに挟まれる板状の部材である。天板部材310と絶縁体板370との間隔は、天板部材310と絶縁体板370との間にリーダライタ200が取り付けられた内面移動回転体420が無理なく収まる程度の間隔である。
【0081】
絶縁体板370は、絶縁体により構成される板状の部材である。絶縁体板370は、第1電波の通過を抑制せず、第2電波の通過も抑制しない。絶縁体板370は、透明な素材により構成されてもよいし、透明でない素材により構成されてもよい。つまり、絶縁体板370は、可視光の通過を抑制しなくてもよいし、可視光の通過を抑制してもよい。
【0082】
図8に示すように、絶縁体板370における天板部材310側の面には、予め定められた間隔で複数の無線タグ70が配置される。本実施の形態では、複数の無線タグ70は、マトリクス状に配置される。無線タグ70は、無線タグ70の絶縁体板370における位置を特定可能なタグ情報を記憶する。例えば、無線タグ70は、無線タグ70を識別する情報であるタグ識別情報を含むタグ情報を記憶する。
【0083】
この場合、例えば、情報処理装置500が備える記憶部52は、タグ識別情報と無線タグ70の絶縁体板370における位置を示す個別位置情報とが対応付けられたタグ位置情報を記憶する。情報処理装置500は、タグ位置情報を参照することにより、読取装置100Aが読み取ったタグ情報から、このタグ情報が記憶された無線タグ70の絶縁体板370における位置を特定することができる。又は、無線タグ70は、個別位置情報を含むタグ情報を記憶していてもよい。
【0084】
本実施の形態では、無線タグ70は、パッシブタグである。無線タグ70は、強い電力供給用電波を受信した場合のみ起動し、タグ情報包含電波を放射する。つまり、無線タグ70は、アンテナ27と近接し、アンテナ27から直接強い電力供給用電波を受信した場合に起動し、タグ情報包含電波を放射する。一方、無線タグ70は、アンテナ27と近接しておらず、アンテナ27から放射されて筐体300の内面で反射した弱い電力供給用電波を受信した場合には起動せず、タグ情報包含電波を放射しない。無線タグ70は、第2無線タグの一例である。
【0085】
また、絶縁体板370における天板部材310とは反対側の面における、複数の無線タグ70のそれぞれと対向する位置に、導体板71が配置される。つまり、導体板71は、絶縁体板370における無線タグ70が配置された面とは反対側の面における、平面視で無線タグ70と重なる位置に配置される。導体板71は、導体により構成される板状の部材であり、第1電波の通過を抑制する。
【0086】
導体板71は、アンテナ27から放射されて筐体300の内面で反射した電力供給用電波により無線タグ70が起動することを抑制する。つまり、導体板71は、アンテナ27から直接電力供給用電波を受信しない無線タグ70が起動することを抑制する。言い換えれば、導体板71は、アンテナ27と近接していない無線タグ70がタグ情報包含電波を放射することを抑制する。天板部材310は、第1板状部材の一例である。絶縁体板370は、第2絶縁体板の一例である。無線タグ70は、第2無線タグの一例である。導体板71は、第2導体板の一例である。
【0087】
次に、図9を参照して、リーダライタ200が無線タグ70からタグ情報を読み取る方法について説明する。図9に、読取装置100Aにおけるリーダライタ200の配置部分の側面図を示す。
【0088】
図9に示すように、天板部材310と絶縁体板370との間に、アンテナ27が固定された内面移動回転体420が配置される。ユーザは、外面移動回転体410を動かすことにより、リーダライタ200が固定された内面移動回転体420を動かすことができる。本実施の形態では、リーダライタ200が備えるアンテナ27と無線タグ70とが近接したときに、リーダライタ200は、アンテナ27を介して無線タグ70からタグ情報を読み取る。
【0089】
つまり、アンテナ27が無線タグ70のほぼ真上に配置されるときに、タグ情報が読み取られる。一方、アンテナ27と無線タグ70とが近接していないときには、タグ情報が読み取られない。情報処理装置500は、リーダライタ200が読み取ったタグ情報に基づいて、絶縁体板370上におけるアンテナ27が通過した領域を特定することができる。
【0090】
次に、図10を参照して、本実施の形態に係る読取システム1000Aの機能について説明する。読取装置100Aは、機能的には、読取部101と、タグ情報送信部102とを備える。なお、本実施の形態では、読取装置100Aが備えるリーダライタ200が、読取部101と、タグ情報送信部102とを備える。情報処理装置500Aは、機能的には、タグ情報取得部501と、読取結果算出部502と、表示制御部503とを備える。
【0091】
これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM又は記憶部22,52に格納される。そして、CPUが、ROM又は記憶部22,52に記憶されたプログラムを実行することによって、これらの各機能を実現する。
【0092】
読取部101は、アンテナ27を介して、物品50に付された無線タグ60からタグ情報を読み取る。また、読取部101は、アンテナ27が複数の無線タグ70のうち特定の無線タグ70と近接しているときに、アンテナ27を介して、この特定の無線タグ70からタグ情報を読み取る。読取部101は、無線タグ60又は無線タグ70から読み取ったタグ情報をタグ情報送信部102に供給する。
【0093】
タグ情報送信部102は、読取部101が無線タグ60又は無線タグ70から読み取ったタグ情報を、情報処理装置500Aに送信する。タグ情報取得部501は、読取装置100Aからタグ情報を取得する。つまり、タグ情報取得部501は、タグ情報送信部102が送信したタグ情報を受信する。タグ情報取得部501は、タグ情報取得手段の一例である。
【0094】
読取結果算出部502は、タグ情報取得部501が取得したタグ情報に基づいて、タグ情報の読取結果を算出する。例えば、読取結果算出部502は、読取部101が無線タグ60から読み取ったタグ情報に基づいて、箱50Aに収納された物品50の個数及び種類を特定する。また、読取結果算出部502は、読取部101が無線タグ70から読み取ったタグ情報に基づいて、絶縁体板370上におけるアンテナ27が通過した領域であるアンテナ通過領域を特定する。読取結果算出部502は、物品50の個数及び種類を示す物品情報と、アンテナ通過領域を示す通過領域情報とのうち少なくとも一方を含む読取結果情報を、表示制御部503に供給する。
【0095】
表示制御部503は、読取結果算出部502から供給された読取結果情報に基づいて、読取結果を提示する画面である読取結果提示画面を表示部53に表示させる。読取結果提示画面は、箱50Aに収納された物品50の個数及び種類を提示する画面、アンテナ通過領域を提示する画面等である。表示制御部503は、表示制御手段の一例である。
【0096】
次に、図11を参照して、アンテナ27が通過した経路、つまり、アンテナ27の軌跡を特定する方法について説明する。図11において、括弧内の数値は、無線タグ70の識別番号である。図11に示すように、絶縁体板370には、X軸方向に5列、Y軸方向に5列、合計25個の無線タグ70が配置される。なお、絶縁体板370が示す領域は、筐体300全体を平面視したときの領域に対応する。
【0097】
ここで、ユーザの手動操作により、アンテナ27が図11の破線の矢印で示す経路を通過した場合を想定する。この場合、アンテナ27が通過した経路と近接する無線タグ70から順にタグ情報が読み取られる。例えば、タグ情報が読み取られた無線タグ70を識別番号順に並べると、(0015)→(0014)→(0013)→(0023)→(0024)→(0034)→(0044)→(0045)→(0055)→(0054)→(0053)→(0052)→(0051)→(0041)→(0042)→(0032)である。
【0098】
この場合、例えば、図12に示す読取結果提示画面が表示される。この読取結果提示画面は、読取領域と読取履歴とを提示する画面である。読取領域は、タグ情報が読み取られた領域である。本実施の形態では、アンテナ27が通過可能な全体領域に5×5=25個の無線タグ70が均等に配置されている。つまり、本実施の形態では、アンテナ27が通過可能な全体領域が5×5=25個の領域に分割されている。読取領域の提示では、この25個の領域のそれぞれが、読み取りが完了した領域であるか否かが明示される。また、読取履歴の提示では、タグ情報が読み取られた無線タグ70の識別番号が、タグ情報の読み取り開始時刻からの経過時間とともに提示される。
【0099】
ユーザは、読取結果提示画面を参照して、タグ情報の読み取りが完了した領域を把握することができる。そして、ユーザは、タグ情報の読み取りが完了していない領域において、タグ情報の読み取りが完了するように外面移動回転体410を手動操作する。つまり、ユーザは、外面移動回転体410を手動操作して、アンテナ27をタグ情報の読み取りが完了していない領域に移動させる。
【0100】
本実施の形態では、タグ情報に基づく読取結果を示す画面が表示される。従って、本実施の形態によれば、タグ情報の読取結果をユーザに知らせることができる。
【0101】
また、本実施の形態では、アンテナ27が絶縁体板370に配置された複数の無線タグ70のうち特定の無線タグ70と近接しているときに、この特定の無線タグ70からタグ情報が読み取られる。従って、本実施の形態によれば、アンテナ27が通過した領域を特定することができる。
【0102】
また、本実施の形態では、絶縁体板370における天板部材310とは反対側の面における、複数の無線タグ70のそれぞれに対向する位置に導体板71が設けられる。このため、アンテナ27に近接していない無線タグ70からのタグ情報の読み取りが抑制される。従って、本実施の形態によれば、アンテナ27が通過した領域を正確に特定することができる。
【0103】
また、本実施の形態では、アンテナ27が通過した領域を示す画面が表示される。従って、本実施の形態によれば、アンテナ27を移動させるべき領域をユーザに知らせることができる。
【0104】
(実施の形態3)
実施の形態1では、アンテナ27と一体化されたハンディタイプのリーダライタであるリーダライタ200が内面移動回転体420に固定される例について説明した。本実施の形態では、アンテナ27が単体で内面移動回転体420に固定される例について説明する。以下、実施の形態1又は2と同様の構成及び機能については、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0105】
図13に示すように、本実施の形態に係る読取装置100Bは、アンテナ27と、ケーブル28と、リーダライタ200Bと、筐体300と、外面移動回転体410と、内面移動回転体420と、支持部材424とを備える。本実施の形態では、アンテナ27は、リーダライタ200Bとは別体で設けられる。アンテナ27は、支持部材424を介して内面移動回転体420に固定される。
【0106】
支持部材424は、アンテナ27を支持する部材であり、アンテナ27と内面移動回転体420とに固定される部材である。アンテナ27は、ケーブル28を介して、リーダライタ200Bに接続される。ケーブル28は、電力供給用電波に対応する高周波信号とタグ情報包含電波に対応する高周波信号とを伝搬する。リーダライタ200Bは、アンテナ27を備えていない点を除き、リーダライタ200と同様の構成である。
【0107】
本実施の形態では、ユーザは、外面移動回転体410を手動操作することにより、筐体300の内部でアンテナ27を移動又は回転させることができる。従って、本実施の形態においても、ユーザの手動操作により、筐体300の内部の電波環境を変化させることができる。
【0108】
なお、外面移動回転体410が配置される筐体300の部分、つまり、外面移動回転体410と内面移動回転体420とにより挟み込まれる第1板状部材は、天板部材310でなくてもよい。図13には、第1板状部材が側壁部材360である例を示している。この場合、側壁部材360は、第1電波の通過を抑制し、強磁性体でない素材により構成される。かかる構成においても、ユーザは、天板部材310を通して、筐体300の内部の様子を確認することができる。
【0109】
本実施の形態では、リーダライタ200Bとは別体で用意されたアンテナ27が内面移動回転体420に固定される。従って、本実施の形態によれば、例えば、リーダライタ200B自体を内面移動回転体420に固定することが困難である場合においても、筐体300の内部の電波環境を変化させることにより、タグ情報の適切な読み取りが実現可能である。
【0110】
(実施の形態4)
実施の形態3では、リーダライタ200Bが筐体300の内部に配置される例について説明した。本実施の形態では、リーダライタ200Bが筐体300Cの外部に配置される例について説明する。以下、実施の形態1から3と同様の構成及び機能については、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0111】
図14に示すように、本実施の形態に係る読取装置100Cは、アンテナ27と、ケーブル28Aと、ケーブル28Bと、コネクタ29と、リーダライタ200Bと、筐体300Cと、外面移動回転体410と、内面移動回転体420と、支持部材424とを備える。筐体300Cは、側壁部材360に代えて側壁部材360Cを備える点を除き、筐体300と同様の構成である。側壁部材360Cは、コネクタ29が取り付けられる開口部(図示せず)を備える点を除き、側壁部材360と同様の構成である。
【0112】
アンテナ27は、ケーブル28Aを介して、コネクタ29に接続される。リーダライタ200Bは、ケーブル28Bを介して、コネクタ29に接続される。ケーブル28Aとケーブル28Bとは、電力供給用電波に対応する高周波信号とタグ情報包含電波に対応する高周波信号とを伝搬する。コネクタ29は、ケーブル28Aとケーブル28Bとを接続する機能を有する。つまり、コネクタ29には、ケーブル28Aとケーブル28Bとが差し込まれる。また、コネクタ29は、筐体300Cに取り付けられる。本実施の形態では、コネクタ29は、側壁部材360Cに設けられた開口部(図示せず)に取り付けられる。
【0113】
本実施の形態では、リーダライタ200Bとは別体で用意されたアンテナ27が内面移動回転体420に固定される。従って、本実施の形態によれば、例えば、リーダライタ200B自体を内面移動回転体420に固定することが困難である場合においても、筐体300の内部の電波環境を変化させることにより、タグ情報の適切な読み取りが実現可能である。
【0114】
また、本実施の形態では、リーダライタ200Bが筐体300Cの外部に配置される。従って、本実施の形態によれば、筐体300Cの内部の空間を広くすることができる。また、本実施の形態では、アンテナ27が、ケーブル28Aを介して、筐体300Cに取り付けられたコネクタ29に接続され、リーダライタ200Bが、ケーブル28Bを介して、コネクタ29に接続される。従って、本実施の形態では、ケーブル28Bとリーダライタ200Bとを筐体300Cから取り外すことが容易であり、移設、配線等が容易である。
【0115】
(実施の形態5)
実施の形態1では、アンテナ27を備えるリーダライタ200が内面移動回転体420に固定される例について説明し、実施の形態3、4では、アンテナ27が単体で内面移動回転体420に固定される例について説明した。本実施の形態では、アンテナ27が内面移動回転体420に固定されない例について説明する。以下、実施の形態1から4と同様の構成及び機能については、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0116】
図15に示すように、本実施の形態に係る読取装置100Dは、反射板80と、リーダライタ200と、筐体300と、外面移動回転体410と、内面移動回転体420と、支持部材424とを備える。本実施の形態では、反射板80が、支持部材424を介して内面移動回転体420に固定される。
【0117】
反射板80は、第1電波を反射する板状の部材である。反射板80は、例えば、導体により構成される板である導体板である。反射板80の位置又は向きが変化すると、筐体300の内部の電波環境が変化する。従って、ユーザが外面移動回転体410を手動操作して反射板80を移動又は回転させることにより、筐体300の内部の電波環境が変化する。
【0118】
本実施の形態では、アンテナ27を内面移動回転体420に固定せずに、筐体300の内部の電波環境を変化させることができる。従って、本実施の形態によれば、アンテナ27単体、又は、アンテナ27と一体化されたリーダライタ200を内面移動回転体420に固定することが困難である場合においても、筐体300の内部の電波環境を変化させることにより、タグ情報の適切な読み取りが実現可能である。
【0119】
(実施の形態6)
実施の形態1では、第1電波の通過を抑制し、可視光を通過させる可視光通過板を、第1電波の通過を抑制し、可視光を透過する素材を用いて形成する例について説明した。本実施の形態では、可視光通過板を、第1電波の通過を抑制する部材に開口部を設けることにより形成する例について説明する。以下、実施の形態1から5と同様の構成及び機能については、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0120】
本実施の形態に係る筐体は、天板部材310に代えて天板部材310Eを備える点を除き、筐体300と同様の構成である。図16に、天板部材310Eの平面図を示す。天板部材310Eは、第1電波の通過を抑制し、第2電波を通過させ、可視光を通過させるように構成される。具体的には、例えば、天板部材310Eは、導体により構成された板である導体板に、第1電波の通過を抑制しつつ、可視光を通過させる複数の開口部316と、第1電波の通過を抑制し、第2電波の通過を抑制しない開口部311Eとを設ける。
【0121】
開口部316は、RFIDで用いる周波数の電波を通過させない。開口部316の大きさは、例えば、5mm以下であることが好適である。本実施の形態では、開口部316は、直径1mm程度の円形の開口部である。開口部316は、例えば、天板部材310Eの全面に亘ってマトリクス状に多数設けられる。ユーザは、開口部316を通して、筐体の内部の様子を確認することができる。
【0122】
開口部311Eは、基本的に、開口部311と同様の役割を担う。従って、開口部311Eは、例えば、920MHzの周波数を有する第1電波の通過を抑制し、2.4GHzの周波数を有する第2電波を通過させる。つまり、開口部311Eは、920MHzと2.4GHzとの間の周波数閾値未満の周波数の電波を大きく減衰させ、周波数閾値を超える周波数の電波をあまり減衰させない。
【0123】
開口部311Eの個数は、1つでもよいし、2つ以上でもよい。また、開口部311Eの形状は任意である。本実施の形態では、開口部311Eは、50mmの長さを有し、1mmの幅を有するスリット状の開口部であり、開口部311Eは1個である。開口部311Eは、例えば、連続して設けられた複数の開口部316を連結することにより形成可能である。なお、開口部311Eの形状、長さ等については、電磁界シミュレーションで設計することが可能である。本実施の形態のように、第1電波の周波数が第2電波の周波数よりも低い場合、第1電波の波長は第2電波の波長よりも長い。このため、開口部311Eの長さ、つまり、スリットの長さは、第1電波の波長の1/2よりも十分短いことが要求され、1/4より短いことが好ましい。仮に、スリットの長さが第1電波の1/2程度である場合、第1電波がスリットの部分で共振し、筐体300の外部に第1電波が放射される可能性がある。天板部材310Eは、第1導体板の一例である。開口部316は、第1開口部の一例である。
【0124】
本実施の形態では、開口部316が設けられた天板部材310Eが可視光を通過させる。従って、本実施の形態によれば、可視光が透過可能な素材を用いずに、可視光が通過可能な筐体を形成することができる。
【0125】
(変形例)
以上、本開示の実施の形態を説明したが、種々の形態による変形及び応用が可能である。
【0126】
上記実施の形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。また、上述した実施の形態は、適宜、自由に組み合わせることができる。また、上述した実施の形態で説明した構成要素の個数は、適宜、調整することができる。また、採用可能な素材、サイズ、電気的特性などが、上記実施の形態において示したものに限定されないことは勿論である。
【0127】
実施の形態1では、外面移動回転体410が備える磁石412と内面移動回転体420が備える磁石422とが永久磁石である例について説明した。外面移動回転体410と内面移動回転体420とが磁力により互いに吸着可能であれば、どのような構成でもよい。例えば、磁石412と磁石422とは、電磁石でもよい。また、外面移動回転体410と内面移動回転体420とのうち一方が、磁石に代えて、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性体を備えていてもよい。
【0128】
実施の形態1では、外面移動回転体410を手動操作する場所に対応する第1板状部材が天板部材310である例について説明した。第1板状部材は、筐体300における強磁性体でない板状部材であれば、天板部材310でなくてもよい。例えば、第1板状部材は、扉部材330、側壁部材340、側壁部材350、側壁部材360等でもよい。
【0129】
実施の形態1では、リーダライタ200は、Bluetooth(登録商標)の通信規格に則って、2.4GHz帯の周波数の電波を用いて、情報処理装置500と通信する例について説明した。リーダライタ200は、例えば、Wi-Fi(登録商標)の通信規格に則って、2.4GHz帯、5GHz帯、60GHz帯等の周波数の電波を用いて、情報処理装置500と通信してもよい。この場合、開口部311は、Wi-Fiで用いる電波を通過させ、タグ情報の読み取りに用いる電波の通過を抑制する。
【0130】
実施の形態2では、無線タグ70がアンテナ27の近傍に配置されたときだけ無線タグ70からタグ情報の読み取りが可能となるように、絶縁体板370が設けられる例について説明した。無線タグ70がアンテナ27の近傍に配置されたときだけ無線タグ70からタグ情報の読み取りが可能となるように、無線タグ70を磁界系の無線タグにしてもよい。アンテナ27がRFIDでよく使用されるパッチアンテナである場合、磁界系の無線タグは、ダイポールアンテナ等を備える電界系の無線タグに比べると、読取時における受信感度が低いことが一般的である。このため、無線タグ70を磁界系の無線タグにすると、無線タグ70がアンテナ27の近傍に配置されたときだけ無線タグ70からタグ情報の読み取りが可能となることが期待できる。
【0131】
実施の形態3、4では、アンテナ27が支持部材424を介して内面移動回転体420に固定される例について説明した。また、実施の形態5では、反射板80が支持部材424を介して内面移動回転体420に固定される例について説明した。本体部材421がアンテナ27又は反射板80を直接取り付け可能な形状であれば、支持部材424は不要である。
【符号の説明】
【0132】
21,51 制御部、22,52 記憶部、25,55 通信部、26 無線通信回路、27 アンテナ、28,28A,28B ケーブル、29 コネクタ、50 物品、50A 箱、53 表示部、54 操作受付部、60,70 無線タグ、71 導体板、80 反射板、100,100A,100B,100C,100D 読取装置、101 読取部、102 タグ情報送信部、200,200B リーダライタ、300,300A,300C 筐体、310,310E 天板部材、311,311E,316 開口部、312 導体層、313,370 絶縁体板、314 外面、315 内面、320 底板部材、330 扉部材、340,350,360,360C 側壁部材、410 外面移動回転体、411,421 本体部材、412,422 磁石、413,423 ボールローラ、416 把持部、424,4131,4231 支持部材、500,500A 情報処理装置、501 タグ情報取得部、502 読取結果算出部、503 表示制御部、1000,1000A 読取システム、4131,4231 メインボール
図1
図2
図3
図4
図5
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図16