(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039277
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】ホイール
(51)【国際特許分類】
B60B 27/02 20060101AFI20240314BHJP
B62J 27/00 20200101ALI20240314BHJP
B60B 27/00 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
B60B27/02 A
B62J27/00
B60B27/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143707
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】西川 友透
(72)【発明者】
【氏名】中山 和俊
(72)【発明者】
【氏名】河原 裕樹
(57)【要約】
【課題】各部材のレイアウトの自由度の高いホイールを提供する。
【解決手段】ホイール100は、シャフト2、支持部材3、フランジ部材4、フライホイール5、第1軸受部材7、及び第2軸受部材8を備える。シャフト2は、回転不能に配置される。支持部材3は、シャフト2に取り付けられる。フランジ部材4は、シャフト2に対して相対回転可能に配置される。フライホイール5は、フランジ部材4に対して相対回転可能に配置される。第1軸受部材7は、フランジ部材4を回転可能に支持する。第2軸受部材8は、フライホイール5を回転可能に支持する。第1軸受部材7及び第2軸受部材8の少なくとも一方は、支持部材3に取り付けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転不能に配置されるシャフトと、
前記シャフトに取り付けられる支持部材と、
前記シャフトに対して相対回転可能に配置されるフランジ部材と、
前記フランジ部材に対して相対回転可能に配置されるフライホイールと、
前記フランジ部材を回転可能に支持する第1軸受部材と、
前記フライホイールを回転可能に支持する第2軸受部材と、
を備え、
前記第1軸受部材及び前記第2軸受部材の少なくとも一方は、前記支持部材に取り付けられる、
ホイール。
【請求項2】
前記支持部材は、前記シャフトから径方向に延びる延在部と、前記延在部から軸方向に延びる円筒部と、を有し、
前記第1軸受部材及び前記第2軸受部材の少なくとも一方は、前記円筒部に取り付けられる、
請求項1に記載のホイール。
【請求項3】
前記第1軸受部材は、前記円筒部の外周面に取り付けられ、
前記第2軸受部材は、前記円筒部の内周面に取り付けられる、
請求項2に記載のホイール。
【請求項4】
前記第1軸受部材と前記第2軸受部材とは、径方向視において重複するように配置される、
請求項1から3のいずれかに記載のホイール。
【請求項5】
前記フライホイールを回転駆動するように構成される電気モータをさらに備え、
前記電気モータは、前記シャフトに取り付けられるステータ、及び前記ステータに対して径方向外側に配置されるロータ、を有する、
請求項1に記載のホイール。
【請求項6】
前記ロータは、前記フライホイールの一部として構成される円筒部と、前記円筒部の内周面に取り付けられる磁石と、前記磁石の軸方向移動を規制するように構成される規制機構と、を有する、
請求項5に記載のホイール。
【請求項7】
前記フライホールは、内周部材と、前記内周部材に取り付けられる外周部材と、を有し、
前記内周部材は、前記円筒部を含む、
請求項6に記載のホイール。
【請求項8】
前記ステータの軸方向移動を規制するように構成される規制機構をさらに備える、
請求項5に記載のホイール。
【請求項9】
一対の前記フランジ部材と、
前記フランジ部材から径方向外側に延びる複数のスポークと、
前記各スポークと前記一対のフランジ部材とによって画定される空間の外側に配置される電気モータ駆動用のバッテリと、
をさらに備える、
請求項5に記載のホイール。
【請求項10】
前記電気モータを制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記フライホイールによるジャイロ効果が不要か否か判断し、不要と判断した場合、前記フライホイールの回転により前記電気モータを発電機として動作させる、
請求項5に記載のホイール。
【請求項11】
前記フライホールは、内周部材と、前記内周部材に取り付けられる外周部材と、を有する、
請求項1に記載のホイール。
【請求項12】
前記フランジ部材から径方向外側に延びる複数のスポークと、
前記複数のスポークに取り付けられるカバー部材と、
をさらに備える、請求項1に記載のホイール。
【請求項13】
一対の前記フランジ部材を備え、
前記フライホイールは、前記一対のフランジ部材の軸方向間において中央部に配置される、
請求項1に記載のホイール。
【請求項14】
前記フライホイールは、外周部において質量部材を有する、
請求項1に記載のホイール。
【請求項15】
回転不能に配置されるシャフトと、
前記シャフトに対して相対回転可能に配置されるフランジ部材と、
前記フランジ部材に対して相対回転可能に配置されるフライホイールと、
前記フランジ部材を回転可能に支持する第1軸受部材と、
前記フライホイールを回転可能に支持する第2軸受部材と、
を備え、
前記第1軸受部材と前記第2軸受部材とは、径方向視において重複するように配置される、
ホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自転車は多くの人に利用されている一方で、幼児や高齢者にとっては転倒の可能性がある。そこで、特許文献1には、自転車の転倒を防止するためのホイールが提案されている。このホイールは、フライホイールを有している。フライホイールは、軸受部材を介して車軸に回転可能に支持されている。そして、人力又はモータによってフライホイールを回転させることによって生じるジャイロ効果により自転車を安定させ、転倒を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0090440号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したホイールでは、フライホイールだけではなく、一対のフランジ部材(アウターシェル)も軸受部材を介して車軸に回転可能に支持されている。このように、従来のホイールは、各部材のレイアウトの自由度が低い。そこで、本発明の課題は、各部材のレイアウトの自由度の高いホイールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様に係るホイールは、シャフト、支持部材、フランジ部材、フライホイール、第1軸受部材、及び第2軸受部材を備える。シャフトは、回転不能に配置される。支持部材は、シャフトに取り付けられる。フランジ部材は、シャフトに対して相対回転可能に配置される。フライホイールは、フランジ部材に対して相対回転可能に配置される。第1軸受部材は、フランジ部材を回転可能に支持する。第2軸受部材は、フライホイールを回転可能に支持する。第1軸受部材及び第2軸受部材の少なくとも一方は、支持部材に取り付けられる。
【0006】
この構成によれば、第1軸受部材及び第2軸受部材の少なくとも一方を支持部材に取り付けるため、第1軸受部材及び第2軸受部材の両方をシャフト上において軸方向に並べる必要が無い。この結果、ホイールの各部材におけるレイアウトの自由度を高くすることができる。
【0007】
第2態様に係るホイールは、第1態様に係るホイールにおいて、次のように構成される。支持部材は、シャフトから径方向に延びる延在部と、延在部から軸方向に延びる円筒部と、を有する。第1軸受部材及び第2軸受部材の少なくとも一方は、円筒部に取り付けられる。
【0008】
第3態様に係るホイールは、第2態様に係るホイールにおいて、次のように構成される。第1軸受部材は、円筒部の外周面に取り付けられる。第2軸受部材は、円筒部の内周面に取り付けられる。
【0009】
第4態様に係るホイールは、第1から第3態様のいずれかに係るホイールにおいて、次のように構成される。第1軸受部材と第2軸受部材とは、径方向視において重複するように配置される。この構成によれば、ホイールを軸方向においてコンパクト化することができる。
【0010】
第5態様に係るホイールは、第1から第4態様のいずれかに係るホイールにおいて、電気モータをさらに備える。電気モータは、フライホイールを回転駆動するように構成される。電気モータは、シャフトに取り付けられるステータ、及びステータに対して径方向外側に配置されるロータ、を有する。
【0011】
第6態様に係るホイールは、第5態様に係るホイールにおいて、次のように構成される。ロータは、フライホイールの一部として構成される円筒部と、円筒部の内周面に取り付けられる磁石と、磁石の軸方向移動を規制するように構成される規制機構と、を有する。
【0012】
第7態様に係るホイールは、第6態様に係るホイールにおいて、次のように構成される。フライホールは、内周部材と、内周部材に取り付けられる外周部材と、を有する。内周部材は、円筒部を含む。
【0013】
第8態様に係るホイールは、第5から第7態様のいずれかに係るホイールにおいて、ステータの軸方向移動を規制するように構成される規制機構をさらに備える。
【0014】
第9態様に係るホイールは、第5から第8態様のいずれかに係るホイールにおいて、一対のフランジ部材と、複数のスポークと、電気モータ駆動用のバッテリとをさらに備える。各スポークは、フランジ部材から径方向外側に延びる。バッテリは、複数のスポーク及び一対のフランジ部材によって画定される空間の外側に配置される。
【0015】
第10態様に係るホイールは、第5から第9態様のいずれかに係るホイールにおいて、電気モータを制御する制御部をさらに備える。制御部は、フライホイールによるジャイロ効果が不要か否か判断し、不要と判断した場合、フライホイールの回転により電気モータを発電機として動作させる。
【0016】
第11態様に係るホイールは、第1から第10態様のいずれかに係るホイールにおいて、次のように構成される。フライホールは、内周部材と、内周部材に取り付けられる外周部材と、を有する。
【0017】
第12態様に係るホイールは、第1から第11態様のいずれかに係るホイールにおいて、フランジ部材から径方向外側に延びる複数のスポークと、複数のスポークに取り付けられるカバー部材と、をさらに備える。
【0018】
第13態様に係るホイールは、第1から第12態様のいずれかに係るホイールにおいて、一対のフランジ部材を備える。フライホイールは、一対のフランジ部材の軸方向間において中央部に配置される。
【0019】
第14態様に係るホイールは、第1から第13態様のいずれかに係るホイールにおいて、次のように構成される。フライホイールは、外周部において質量部材を有する。
【0020】
第15態様に係るホイールは、シャフト、フランジ部材、フライホイール、第1軸受部材、及び第2軸受部材を備える。シャフトは、回転不能に配置される。フランジ部材は、シャフトに対して相対回転可能に配置される。フライホイールは、フランジ部材に対して相対回転可能に配置される。第1軸受部材は、フランジ部材を回転可能に支持する。第2軸受部材は、フライホイールを回転可能に支持する。第1軸受部材と第2軸受部材とは、径方向視において重複するように配置される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ホイールの各部材におけるレイアウトの自由度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図5】シャフトに取り付けられた状態のフライホイール及び電気モータの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施形態に係るホイール100について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、軸方向とは、ホイール100の回転軸Oが延びる方向である。また、周方向とは、回転軸Oを中心とした円の周方向であり、径方向とは、回転軸Oを中心とした円の径方向である。
【0024】
<ホイール>
図1は、ホイールの平面図、
図2は
図1のII-II線断面図である。
図1及び
図2に示すように、ホイール100は、シャフト2、一対の支持部材3、一対のフランジ部材4、フライホイール5、電気モータ6、一対の第1軸受部材7、及び一対の第2軸受部材8を有している。また、ホイール100は、一対のカラー9、及び制御部11を有している。ホイール100は、自転車に取り付けられるように構成されている。
【0025】
<シャフト>
シャフト2は、自転車のフレームに取り付けられる。シャフト2は、回転不能に配置されている。シャフト2は、自転車のフレームに取り付けられた状態において、回転不能である。シャフト2は、軸方向に延びている。シャフト2は、回転軸Oと同軸上に配置されている。
【0026】
<支持部材>
各支持部材3は、シャフト2に取り付けられている。各支持部材3は、シャフト2に対して相対回転不能である。すなわち、各支持部材3は、回転不能に配置されている。各支持部材3は、シャフト2に軸方向移動不能に取り付けられている。各支持部材3は、互いに軸方向に間隔をあけて配置されている。
【0027】
図3に示すように、支持部材3は、延在部31及び第1円筒部32を有している。延在部31は、シャフト2から径方向に延びている。詳細には、延在部31は、円板状である。延在部31の中央部に開口部が形成されており、シャフト2がその開口部に嵌合する。
【0028】
第1円筒部32は、延在部31から軸方向に延びている。詳細には、第1円筒部32は、延在部31の外周端部からフライホイール5に向かって延びている。また、第1円筒部32は、その外周面の先端部において、第1段差部321を有している。この第1段差部321は、周方向に亘って形成されている。
【0029】
第1円筒部32は、その内周面の基端部において、第2段差部322を有している。第2段差部322は、周方向に亘って形成されている。
【0030】
<フランジ部材>
図2に示すように、各フランジ部材4は、回転軸Oを中心に回転可能に配置されている。すなわち、各フランジ部材4は、シャフト2に対して相対回転可能に配置されている。各フランジ部材4は、各支持部材3に対して径方向外側に配置されている。径方向視において、各フランジ部材4は、各支持部材3と重複している。
【0031】
図4に示すように、各フランジ部材4は、環状部41と、第2円筒部42とを有している。環状部41は、径方向及び周方向に延びている。環状部41は、その外周部にスポーク101を取り付けるための複数の貫通孔411が形成されている。各スポーク101は、環状部41から径方向外側に延びている。各貫通孔411は、周方向に配列されている。また、フランジ部材4は、複数の開口部412を有している(
図1参照)。各開口部412は、周方向に配列されている。開口部412は、貫通孔411に対して径方向内側に配置されている。
【0032】
第2円筒部42は、環状部41から軸方向に延びている。詳細には、第2円筒部42は、環状部41の内周端部からフライホイール5に向かって延びている。第2円筒部42は、第1円筒部32に対して径方向外側に間隔をあけて配置されている。径方向視において、第2円筒部42は、第1円筒部32と重複している。
【0033】
第2円筒部42は、その内周面の基端部において、第3段差部421を有している。第3段差部421は、周方向に亘って形成されている。
【0034】
<フライホイール>
図2に示すように、フライホイール5は、回転軸Oを中心に回転可能に配置されている。フライホイール5は、フランジ部材4に対して、相対回転可能に配置されている。また、フライホイール5は、シャフト2に対して相対回転可能に配置されている。
【0035】
図5はシャフト2に取り付けられたフライホイール5と電気モータ6とを示す断面図である。
図5に示すように、フライホイール5は、内周部材51と、外周部材52とを有している。
【0036】
内周部材51は、第3円筒部511と、フランジ部512とを有している。なお、第3円筒部511は、後述するロータ62の構成部品でもある。第3円筒部511は、軸方向に延びている。
【0037】
第3円筒部511は、その外周面において、一対の第4段差部513を有している。各第4段差部513は、周方向に亘って形成されている。また、第3円筒部511は、その内周面において、第5段差部514を有している。第5段差部514は、周方向に亘って形成されている。
【0038】
図6は、フライホイール5の平面図である。
図5及び
図6に示すように、フランジ部512は、第3円筒部の外周面から径方向外側に延びている。フランジ部512は、周方向に延びる環状である。
【0039】
外周部材52は、内周部材51に取り付けられている。詳細には、外周部材52は、リベット102によって、内周部材51に取り付けられている。外周部材52は、板状である。外周部材52を内周部材51と別部材とすることによって、製造を容易にし、製造コストを低減することができる。
【0040】
外周部材52は、ベース部材521と、複数のイナーシャリング522(質量部材の一例)とを有している。ベース部材521は円板状であり、中央部に開口部を有している。ベース部材521はその内周端部において、内周部材51のフランジ部512に取り付けられている。
【0041】
ベース部材521は、内側環状部523と外側環状部524と、複数の連結部525とを有している。内側環状部523は、フランジ部512に取り付けられている。外側環状部524は、内側環状部523に対して径方向外側に配置されている。各連結部525は、径方向に延びている。各連結部525は、内側環状部523と外側環状部524とを連結している。
【0042】
イナーシャリング522は、ベース部材521の外周部に取り付けられている。詳細には、イナーシャリング522は、リベット103によって連結部525に取り付けられている。なお、本実施形態では、イナーシャリング522は、周方向において4分割されている。
【0043】
フライホイール5は、一対のフランジ部材4の軸方向間において中央部に配置されている。なお、一対のフランジ部材4の軸方向間における中央部とは、
図7に示すように、一対のフランジ部材4の間の領域を軸方向に三等分し、その三等分した領域の中央の領域Cである。また、フライホイール5が中央部Cに配置されるとは、フライホイール5の重心が、中央部Cに配置されることを意味する。
【0044】
<電気モータ>
図5に示すように、電気モータ6は、フライホイール5を回転駆動するように構成されている。電気モータ6は、シャフト2に取り付けられている。電気モータ6は、バッテリ104から電力が供給される。また、電気モータ6が発電機として使用される場合、その電力をバッテリ104に蓄える。なお、バッテリ104は、
図2に模式的に示すように、複数のスポーク101と、一対のフランジ部材4とによって画定される空間の外側に配置されている。例えば、バッテリ104は、自転車のフレームなどに取り外し可能に固定されている。また、バッテリ104と電気モータ6とを接続するケーブルは、一対の支持部材3のいずれかを介して延びている。
【0045】
図5に示すように、電気モータ6は、ステータ61、及びロータ62を有している。ステータ61は、シャフト2に取り付けられており、回転不能に配置されている。ステータ61は、ステータコア611、及びコイル612を有する。コイル612は、ステータコア611のティースにインシュレータを介して巻かれている。
【0046】
ロータ62は、ステータ61に対して径方向外側に間隔をあけて配置されている。すなわち、電気モータ6はアウターロータ型である。ロータ62は、第3円筒部511を有している。なお、第3円筒部511は、フライホイール5の一部である。すなわち、ロータ62とフライホイール5とは、一体化されている。
【0047】
また、ロータ62は、磁石621と、第1規制機構とを有している。磁石621は、第3円筒部511の内周面に取り付けられている。第1規制機構は、磁石621の軸方向移動を規制するように構成されている。詳細には、第1規制機構は、第5段差部514と止め輪622とによって構成されている。止め輪622は、第3円筒部511の内周面に形成された溝によって固定されている。第5段差部514と止め輪622とによって磁石621を軸方向において挟むことにより、磁石621は、軸方向移動が規制される。
【0048】
<第1軸受部材>
図2に示すように、各第1軸受部材7は、各フランジ部材4を回転可能に支持している。各第1軸受部材7は、各支持部材3に取り付けられている。詳細には、各第1軸受部材7は、各支持部材3の第1円筒部32の外周面に取り付けられている。各第1軸受部材7は、各第1段差部321と各第3段差部421とによって、軸方向移動が規制されている。このように、各フランジ部材4は、各第1軸受部材7を介して、各支持部材3に回転可能に支持されている。
【0049】
<第2軸受部材>
各第2軸受部材8は、フライホイール5を回転可能に支持している。各第2軸受部材8は、各支持部材3に取り付けられている。詳細には、各第2軸受部材8は、各支持部材3の第1円筒部32の内周面に取り付けられている。各第2軸受部材8は、各第2段差部322と各第4段差部513とによって、軸方向移動が規制されている。このように、フライホイール5は、各第2軸受部材8を介して、各支持部材3に回転可能に支持されている。
【0050】
第2軸受部材8は、径方向視において、第1軸受部材7と重複するように配置されている。なお、第2軸受部材8は、その一部において、第1軸受部材7と径方向視において重複しているが、その全体において、第1軸受部材7と径方向視において重複していてもよい。このように、第1軸受部材7と第2軸受部材8とが径方向視において重複しているため、ホイール100を軸方向においてコンパクト化することができる。
【0051】
<カラー>
一対のカラー9は、ステータ61の軸方向移動を規制するように構成されている。すなわち、一対のカラー9は、規制機構に相当する。各カラー9は、シャフト2に取り付けられている。各カラー9は、軸方向において、各支持部材3とステータ61との間に配置されている。このように、ステータ61は、軸方向において、カラー9によって挟まれているため、軸方向移動が規制されている。
【0052】
<制御部>
制御部11は、電気モータ6を制御するように構成されている。制御部11は、例えば、駆動電圧を制御することにより、電気モータ6の回転数を制御する。また、制御部11は、フライホイール5によるジャイロ効果が不要か否か判断する。例えば、制御部11は、自転車の速度に基づき、ジャイロ効果が不要か否か判断する。制御部11は、自転車の速度が所定値以上の場合、ジャイロ効果が不要であると判断する。制御部11は、ジャイロ効果が不要であると判断すると、フライホイール5の回転によって、電気モータ6を発電機として動作させる。すなわち、フライホイール5の回転による運動エネルギーを電気モータ6によって回生し、その回生された電力をバッテリ104に蓄える。
【0053】
<動作>
以上のように構成されたホイール100において、制御部11は、ユーザの操作に応じて、電気モータ6を作動させてフライホイール5を回転させる。又は、制御部11は、自転車の速度が所定値以下のときに、電気モータ6を作動させてフライホイール5を回転させる。このフライホイール5の回転によるジャイロ効果が、自転車の転倒を抑制する。なお、このフライホイール5によるジャイロ効果は、自転車が低速で走行しているときに特に有効である。
【0054】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の各変形例は、基本的には同時に適用することができる。
【0055】
(a)上記実施形態では、第1軸受部材7と第2軸受部材8との両方が、支持部材3に取り付けられていたが、ホイール100の構成はこれに限定されない。例えば、第1軸受部材7が支持部材3に取り付けられる一方で、第2軸受部材8は支持部材3に取り付けられなくてもよい。この場合、第2軸受部材8は、シャフト2に取り付けられている。その他にも、第2軸受部材8が支持部材3に取り付けられる一方で、第1軸受部材7は支持部材3に取り付けられなくてもよい。この場合、第1軸受部材7は、シャフト2に取り付けられている。
【0056】
(b)上記実施形態では、第1軸受部材7は、第2軸受部材8に対して、径方向外側に配置されているが、これらの配置はこれに限定されない。例えば、
図8に示すように、第1軸受部材7は、第2軸受部材8に対して、径方向内側に配置されていてもよい。
【0057】
(c)
図9に示すように、ホイール100は、一対のカバー12をさらに有していてもよい。各カバー12は、スポーク101に取り付けられている。これらカバー12を取り付けることによって、外部からホイール100内に異物などが侵入し、フライホイール5に接触することを防止することができる。
【符号の説明】
【0058】
2 :シャフト
3 :支持部材
31 :延在部
32 :第1円筒部
4 :フランジ部材
5 :フライホイール
51 :内周部材
512 :フランジ部
52 :外周部材
522 :イナーシャリング
6 :電気モータ
61 :ステータ
62 :ロータ
621 :磁石
7 :第1軸受部材
8 :第2軸受部材
9 :カラー
11 :制御部
12 :カバー
100 :ホイール
101 :スポーク
104 :バッテリ
C :中央部