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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039278
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】電動車両
(51)【国際特許分類】
   B62K 5/027 20130101AFI20240314BHJP
   B62K 5/007 20130101ALI20240314BHJP
【FI】
B62K5/027
B62K5/007
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143708
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】西川 友透
【テーマコード(参考)】
3D011
【Fターム(参考)】
3D011AA01
3D011AA07
3D011AD19
(57)【要約】
【課題】所定の閾値を超えても走行可能な電動車両を提供する。
【解決手段】電動車両100は、前輪3及び後輪4と、ペダル2と、電気モータ6と、制御部9と、を備える。ペダル2は、前輪3及び後輪4の少なくとも一方を駆動するように構成される。電気モータ6は、前輪3及び後輪4の少なくとも一方に駆動力を出力するように構成される。制御部9は、アクセル操作を受け付けると、閾値以下の車速で走行するように電気モータ6を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪及び後輪と、
前記前輪及び後輪の少なくとも一方を駆動するように構成されるペダルと、
前記前輪及び後輪の少なくとも一方に駆動力を出力するように構成される電気モータと、
アクセル操作を受け付けると、閾値以下の車速で走行するように前記電気モータを制御する制御部と、
を備える、電動車両。
【請求項2】
前記前輪及び後輪の少なくとも一方の車輪内において前記車輪と相対回転可能に配置されるフライホイールと、
をさらに備える、請求項1に記載の電動車両。
【請求項3】
2つの前記前輪と、1つの前記後輪とを備える、
請求項1に記載の電動車両。
【請求項4】
1つの前記前輪と、2つの前記後輪とを備える、
請求項1に記載の電動車両。
【請求項5】
2つの前記前輪と、2つの前記後輪とを備える、
請求項1に記載の電動車両。
【請求項6】
前記制御部は、人力駆動力が前記ペダルに入力されているか否か判断し、前記人力駆動力が前記ペダルに入力されていると判断した場合、前記人力駆動力に応じたアシスト力を出力するように前記電気モータを制御する、
請求項1に記載の電動車両。
【請求項7】
前記電気モータは、前記後輪に取り付けられる、
請求項1に記載の電動車両。
【請求項8】
前記電気モータは、前記前輪に取り付けられる、
請求項1に記載の電動車両。
【請求項9】
前記制御部は、前記前輪又は前記後輪の回転により前記電気モータを発電機として動作させる、
請求項1に記載の電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者などの移動手段として、シニアカーなどの電動車両が普及している。シニアカーは、電気モータを駆動源としている。シニアカーは、法令で定められた所定の閾値(例えば6km/h)を上限速度として設定することにより歩行者として扱われるため、歩道を走行出来たり、免許なしで運転できたりするなど、利便性が良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-146055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したシニアカーにおいて、電気モータを制御して上述した所定の閾値を超えて走行できるようにすると、歩行者として扱われなくなるため、シニアカーのメリットがなくなってしまう。このため、上述したようなシニアカーは、所定の閾値を超えた走行をすることができない。
【0005】
本発明の課題は、所定の閾値を超えても走行可能な電動車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る電動車両は、前輪及び後輪と、ペダルと、電気モータと、制御部と、を備える。ペダルは、前輪及び後輪の少なくとも一方を駆動するように構成される。電気モータは、前輪及び後輪の少なくとも一方に駆動力を出力するように構成される。制御部は、アクセル操作を受け付けると、閾値以下の車速で走行するように電気モータを制御する。
【0007】
この構成によれば、所定の閾値までは、電気モータによって走行することができる。そして、この電動車両は、前輪又は駆動輪を駆動するためのペダルを有しているため、運転者がそのペダルを漕ぐことによって、所定の閾値を超えた走行をすることができる。
【0008】
第2態様に係る電動車両は、第1態様に係る電動車両において、フライホイールをさらに備える。フライホイールは、前輪及び後輪の少なくとも一方の車輪内において車輪と相対回転可能に配置される。
【0009】
第3態様に係る電動車両は、第1態様に係る電動車両において、2つの前輪と、1つの後輪とを備える。
【0010】
第4態様に係る電動車両は、第1態様に係る電動車両において、1つの前輪と、2つの後輪とを備える。
【0011】
第5態様に係る電動車両は、第1態様に係る電動車両において、2つの前輪と、2つの後輪とを備える。
【0012】
第6態様に係る電動車両は、第1から第5態様のいずれかに係る電動車両において、次のように構成される。制御部は、人力駆動力がペダルに入力されているか否か判断し、人力駆動力がペダルに入力されていると判断した場合、人力駆動力に応じたアシスト力を出力するように電気モータを制御する。
【0013】
第7態様に係る電動車両は、第1から第6態様のいずれかに係る電動車両において、次のように構成される。電気モータは、後輪に取り付けられる。
【0014】
第8態様に係る電動車両は、第1から第6態様のいずれかに係る電動車両において、次のように構成される。電気モータは、前輪に取り付けられる。
【0015】
第9態様に係る電動車両は、第1から第8態様のいずれかに係る電動車両において、次のように構成される。制御部は、前輪又は後輪の回転により電気モータを発電機として動作させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、所定の閾値を超えた走行をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】電動車両の概略図。
図2】車輪の断面図。
図3】制御方法を示すフローチャート。
図4】変形例に係る電動車両の平面図。
図5】変形例に係る電動車両の平面図。
図6】変形例に係る電動車両の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施形態に係る電動車両について図面を参照しつつ説明する。
【0019】
<電動車両>
図1は、本実施形態に係る電動車両100の概略図である。図1に示すように、電動車両100は、一対のペダル2、前輪3、後輪4、フライホイール5、第1電気モータ6(電気モータの一例)、トルクセンサ7、車速センサ8、制御部9、及びアクセル操作部材11を備えている。電動車両100は、二輪車である。電動車両100は、第1電気モータ6の駆動力のみで走行する場合、上限速度(例えば6km/h)が設定されている。すなわち、上限速度以下であれば、電動車両100は、第1電気モータ6の駆動力のみで走行することができる。
【0020】
<ペダル>
各ペダル2は、各クランクアーム21の先端部に回転可能に取り付けられている。なお、各クランクアーム21は、クランク(図示省略)の両端部から径方向に延びている。ペダル2を漕ぐことによって、ペダル2から人力駆動力が入力される。このペダル2から入力された人力駆動力は、チェーン又はベルトなどの動力伝達部材を介して駆動輪へと伝達される。すなわち、各ペダル2は、駆動輪を駆動するように構成される。なお、本実施形態では、後輪4が駆動輪となる。
【0021】
<前輪、後輪>
前輪3及び後輪4は、電動車両100のフレームに回転可能に取り付けられている。本実施形態では、後輪4が駆動輪となっており前輪3が従動輪となっているが、逆であってもよい。
【0022】
図2に示すように、前輪3の内部には、フライホイール5が配置されている。フライホイール5は、前輪3と相対回転可能に配置されている。詳細には、前輪3は、シャフト32、一対の支持部材33、一対のフランジ部材34、第2電気モータ36、一対の第1軸受部材37、及び一対の第2軸受部材38を有している。
【0023】
シャフト32は、電動車両100のフレームに取り付けられる。シャフト32は、回転不能に配置されている。支持部材33は、シャフト32に対して相対回転不能に配置されている。フランジ部材34は、回転軸Oを中心に回転可能に配置されている。フランジ部材34は、第1軸受部材37を介して、支持部材33に回転可能に支持されている。フランジ部材34から複数のスポーク101が径方向外側に延びている。
【0024】
フライホイール5は、回転軸Oを中心に回転可能に配置されている。フライホイール5は、第2軸受部材38を介して、支持部材33に回転可能に支持されている。なお、第1軸受部材37及び第2軸受部材38は、支持部材33の円筒部331に取り付けられている。第1軸受部材37は円筒部331の外周面に取り付けられ、第2軸受部材38は円筒部331の内周面に取り付けられる。第1軸受部材37は、径方向視において、第2軸受部材38と重複している。
【0025】
第2電気モータ36は、フライホイール5を回転駆動するように構成されている。第2電気モータ36は、ステータ361と、ロータ362とを有している。ステータ361は、シャフト32に固定されている。ロータ362は、ステータ361に対して径方向外側に配置されている。すなわち、第2電気モータ36は、アウターロータ型である。ロータ362は、フライホイール5と一体的に形成されている。このため、第2電気モータ36のロータ362が回転することによって、フライホイール5が回転する。
【0026】
フライホイール5は、運転者からの操作によって回転してもよいし、制御部9による第2電気モータ36の制御によって回転してもよい。後者の場合、制御部9は、例えば、アクセル操作部材11が操作されたと判断すると、第2電気モータ36を駆動してフライホイール5を回転させる。このようにフライホイール5を回転させて生じるジャイロ効果によって、電動車両100が低速で走っている間も電動車100を安定させて転倒を防止することができる。
【0027】
<第1電気モータ、トルクセンサ、及び制御部>
第1電気モータ6は、後輪4に駆動力を出力するように構成されている。第1電気モータ6は、後輪4に取り付けられている。第1電気モータ6は、ペダル2からの人力駆動力によって駆動される駆動輪である後輪4に、その駆動力を出力する。
【0028】
トルクセンサ7は、ペダル2に入力された人力駆動力のトルクを検出するように構成されている。トルクセンサ7は、例えば、クランクなどに取り付けられる。トルクセンサ7は、有線又は無線によって、制御部9と通信可能に接続されている。トルクセンサ7は、その検出したトルクに関するデータを制御部9に出力する。
【0029】
車速センサ8は、電動車両100の車速を検出するように構成されている。車速センサ8は、後輪4又は前輪3などに取り付けられる。車速センサ8は、有線又は無線によって、制御部9と通信可能に接続されている。車速センサ8は、その検出した車速に関するデータを制御部9に出力する。
【0030】
アクセル操作部材11は、運転者からのアクセル操作を受け付けるように構成されている。アクセル操作部材11は、例えば、アクセルスロットル、アクセルレバー、アクセルペダル、又はジョイスティックなどである。アクセル操作部材11は、有線又は無線によって、制御部9と通信可能に接続されている。アクセル操作部材11は、運転者からのアクセル操作を受け付けると、運転者がアクセル操作した旨の信号を制御部9に出力する。
【0031】
制御部9は、第1電気モータ6を制御するように構成されている。制御部9は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びROM(Read Only Memory)等を備えるコンピュータ(例えばマイクロコンピュータ)によって構成されている。ROMには、種々の演算をするためのプログラムが記憶されている。CPUは、ROMに記憶されたプログラムを実行する。
【0032】
制御部9は、アクセル操作に応じて、第1電気モータ6を制御する。詳細には、制御部9は、アクセル操作部材11からの信号に基づき、運転者によってアクセル操作がされたか否かを判断する。制御部9は、アクセル操作されたと判断すると、第1閾値(例えば6km/h)以下の車速で走行するように第1電気モータ6を制御する。制御部9は、アクセル操作されていないと判断したとき、第1電気モータ6を停止する。
【0033】
また、制御部9は、ペダル2に人力駆動力が入力されているか否か判断する。例えば、制御部9は、トルクセンサ7からの信号により、ペダル2に人力駆動力が入力されているか否か判断する。
【0034】
制御部9は、ペダル2に人力駆動力が入力されていると判断した場合、人力駆動力に応じたアシスト力を出力するように第1電気モータ6を制御する。詳細には、制御部9は、アクセル操作されており、且つ人力駆動力が入力されていると判断した場合に、アシスト力を出力するように第1電気モータ6を制御する。なお、制御部9は、アクセル操作されていない状態で人力駆動力が入力されている場合、第1電気モータ6にアシスト力を出力させないが、第1電気モータ6にアシスト力を出力させてもよい。
【0035】
制御部9は、例えば、アシスト力のトルクが人力駆動力のトルクの2倍以下となるように、第1電気モータ6を制御する。このとき、第1閾値を超える車速であっても、第1電気モータ6がアシスト力を出力するように制御部9は第1電気モータ6を制御する。なお、制御部9は、車速が第1閾値以下の場合において、アクセル操作されておりペダル2に人力駆動力が入力されていると判断した場合、人力駆動力に応じたアシスト力を出力するように第1電気モータ6を制御してもよいし、一定の駆動力を出力するように第1電気モータ6を制御してもよい。また、制御部9は、車速が第1閾値よりも大きい第2閾値(例えば、24km/h)を超えた場合、第1電気モータ6を停止する。
【0036】
制御部9は、アクセル操作がなされていないと判断したとき、前輪3又は後輪4の回転により第1電気モータ6を発電機として動作させる。好ましくは、制御部9は、アクセル操作がなされておらず且つペダル2に人力駆動力が入力されていないとき、第1電気モータ6を発電機として動作させる。すなわち、制御部9は、回生運転を行い、第1電気モータ6によって生成した回生電力によりバッテリを充電する。なお、制御部9は、アクセル操作がなされておらず且つペダル2に人力駆動力が入力されているときに、第1電気モータ6を発電機として動作させてもよい。
【0037】
<制御方法>
図3は、制御部9による制御の一例を示すフローチャートである。図3に示すように、制御部9は、アクセル操作部材11からアクセル操作された信号を受信すると(ステップS1)、次に、車速センサ8より、車速情報を取得する(ステップS2)。
【0038】
制御部9は、取得した車速情報に基づき、車速が第1閾値以下であるか否か判断する(ステップS3)。制御部9は、車速が第1閾値以下であると判断すると(ステップS3のYes)、第1電気モータ6を駆動させる(ステップS4)。
【0039】
制御部9は、車速が第1閾値を超えると判断すると(ステップS3のNo)、次に、トルクセンサ7からの情報に基づき、ペダル2から人力駆動力が入力されているか否か判断する(ステップS5)。制御部9は、ペダル2に人力駆動力が入力されていると判断すると(ステップS5のYes)、そのペダル2に入力された人力駆動力に応じたアシスト力を出力するように第1電気モータ6を制御する(ステップS6)。
【0040】
一方、制御部9は、ペダル2に人力駆動力が入力されていないと判断すると(ステップS5のNo)、第1電気モータ6を停止させる(ステップS7)。
【0041】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の各変形例は、基本的には同時に適用することができる。
【0042】
(a)上記実施形態では、電動車両100は、二輪車であったが、電動車両100は二輪車に限定されない。例えば、電動車両100は、3輪車であってもよい。詳細には、図4に示すように、電動車両100は、2つの前輪3と1つの後輪4とを有していてもよいし、図5に示すように、1つの前輪3と2つの後輪4とを有していてもよい。また、図6に示すように、電動車両100は、4輪車であってもよい。すなわち、2つの前輪3と2つの後輪4とを有していてもよい。なお、電動車両100が3輪車又は4輪車の場合、電動車両100はフライホイール5を有していなくてもよい。
【0043】
(b)上記実施形態では、第1電気モータ6は後輪4に取り付けられていたが、第1電気モータ6は、前輪3に取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0044】
2 :ペダル
3 :前輪
4 :後輪
5 :フライホイール
6 :第1電気モータ
9 :制御部
100 :電動車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6