(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039280
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】長財布
(51)【国際特許分類】
A45C 1/08 20060101AFI20240314BHJP
A45C 13/02 20060101ALI20240314BHJP
A45C 13/10 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
A45C1/08
A45C13/02 B
A45C13/10 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143712
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000135759
【氏名又は名称】株式会社バンビ
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】矢野 悟
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045BA01
3B045CE09
3B045DA31
3B045DA45
3B045EB11
3B045JA02
(57)【要約】
【課題】 できる限り小さいサイズで使い易い長財布を提供することにある。
【解決手段】 本願発明に係る長財布10は、L字形の開閉ファスナー11(11a,11b)を備えている。そして、この開閉ファスナー11(11a,11b)に沿うようにしてその内側にファスナーガード12(12a,12b)を取り付けている。また、長財布10は、長財布10を縦にして開閉ファスナー11を開いた状態で長手方向を中心に左右対称な収納構造とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファスナーで開閉する長財布であって、
当該開閉ファスナーの内側に収納空間を仕切るファスナーガードを備えたことを特徴とする長財布。
【請求項2】
縦にして開閉ファスナーを開いた状態で長手方向を中心に左右対称の収納構造であることを特徴とする請求項1記載の長財布。
【請求項3】
開閉ファスナーの設けられた左右のファスナー設置面の間に、これらと並行する2枚の仕切り板を備え、2枚の仕切り板に挟まれた空間を紙幣収納部としたことを特徴とする請求項2記載の長財布。
【請求項4】
ファスナー設置面以外に、カード類の収納可能なポケットを複数並列させたカード収納部を備えたことを特徴とする請求項2又は3記載の長財布。
【請求項5】
紙幣収納部側の仕切り板の仕切面上段にカード収納部を備え、カード収納部を備えた仕切り板とファスナー設置面とに挟まれた空間に硬貨を収納することを特徴とした請求項4記載の長財布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、紙幣を折り畳まないで収納できる長財布に関するものである。
【背景技術】
【0002】
長財布については、これまでにも種々のものが開発されてきた(特許文献1、特許文献2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-160054号公報
【特許文献2】実用新案登録第3201232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、長財布は紙幣を折り畳まないで収納するために、自ずとそのサイズが大きくならざるを得なかった。
そのため、最近流行の小さいカバンやポケットに入れられず、その使用に制約を受けることが多くある。
【0005】
そこで、本願発明者は、できる限り小さいサイズで使い易い長財布の提供を目的として種々の開発・試作を行い、本願発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の発明は、ファスナーで開閉する長財布であって、当該開閉ファスナーの内側に収納空間を仕切るファスナーガードを備えたことを特徴とする長財布である。
ここで、ファスナーの形状として、例えば、L字形、I字形、コ字形(ラウンドファスナー形)などがある。
第2の発明は、縦にして開閉ファスナーを開いた状態で長手方向を中心に左右対称の収納構造であることを特徴とする前記第1の発明に係る長財布である。
第3の発明は、開閉ファスナーの設けられた左右のファスナー設置面の間に、これらと並行する2枚の仕切り板を備え、2枚の仕切り板に挟まれた空間を紙幣収納部としたことを特徴とする前記第1の発明又は第2の発明に係る長財布である。
第4の発明は、ファスナー設置面以外に、カード類の収納可能なポケットを複数並列させたカード収納部を備えたことを特徴とする前記第1の発明から第3の発明のいずれかに係る長財布である。
第5の発明は、紙幣収納部側の仕切り板の仕切面上段にカード収納部を備え、カード収納部を備えた仕切り板とファスナー設置面とに挟まれた空間に硬貨を収納することを特徴とした前記第1の発明から第4の発明のいずれかに係る長財布である。
【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)開閉ファスナーの内側に収納空間を仕切るファスナーガードを備えたことで、ファスナーガードが「持ち出し」の役割を果たし、開閉ファスナーの開閉時に収納した紙幣等の収納物がファスナーに噛まなくなる。そのため、収納物として最も大きい紙幣に対して余分なスペースを取る必要がなくなり、サイズの小型化を実現できた。また、ファスナーガードによってファスナーが覆われることになるので、収納物の出し入れの際にファスナー(金属製又は樹脂製)に手が当たらない。そのため、ファスナーへの接触による不快感を払拭できる。
(2)長財布を縦にして開閉ファスナーを開いた状態で長手方向を中心に左右対称な収納構造としたことで、左右どちらからでも同じように使用できる。その結果、利き手(右利き又は左利き)に関係なく、長財布を使用できる。また、利き手だけでなく、使用する人の癖にも柔軟に対応できる。
(3)長財布の内部に設けられた2枚の仕切り板(開閉ファスナーの設けられた左右のファスナー設置面の間に、これらと並行して設けられた2枚の仕切り板)に挟まれた空間を紙幣収納部としたことで、紙幣を中央に寄せて収納することとなり、開閉ファスナーが邪魔にならず紙幣の出し入れがし易くなる。
(4)ファスナー設置面以外に、カード類の収納可能なポケットを複数並列させたカード収納部を備えることで、開閉ファスナーが邪魔にならずカードの出し入れがし易くなる。
(5)紙幣収納部側の仕切り板の仕切面上段にカード収納部を備え、その隣の空間(カード収納部を備えた仕切り板とファスナー設置面とに挟まれた空間)に硬貨を収納することで、カード収納部に収納されたカード類と硬貨の収納位置がずれて、その重なりを抑えることができて、財布が膨らみにくい構造となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本願発明に係る長財布の第1実施形態を示す説明図(1)。
【
図2】本願発明に係る長財布の第1実施形態を示す説明図(2)。
【
図3】本願発明に係る長財布の第1実施形態を示す説明図(3)。
【
図4】本願発明に係る長財布の第1実施形態を示す説明図(4)。
【
図5】本願発明に係る長財布の第1実施形態を示す説明図(5)。
【
図6】本願発明に係る長財布の第2実施形態を示す説明図(1)。
【
図7】本願発明に係る長財布の第2実施形態を示す説明図(2)。
【
図8】本願発明に係る長財布の第2実施形態を示す説明図(3)。
【
図9】本願発明に係る長財布の第2実施形態を示す説明図(4)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1~
図5は、本願発明に係る長財布の第1実施形態を示す説明図である。
図1に図示するように、本願発明に係る長財布10は、L字形の開閉ファスナー11(11a,11b)を備えている。そして、この開閉ファスナー11(11a,11b)に沿うようにしてその内側にファスナーガード12(12a,12b)を取り付けている。
ファスナーガード12(12a,12b)は、「持ち出し」とも言えるのものである。
持ち出しは、「洋裁で、明きのところが重なるように、布を余計に裁ち出した部分。」(広辞苑)と説明されているが、本願発明(長財布10)の場合、開閉ファスナー11と長財布10の内部(収納空間)とを仕切る「仕切弁」の役割を果たすものである。
【0010】
図2に図示するように、長財布10にこのファスナーガード12(12a,12b)を有することによって、長財布10のサイズを極限まで小さくできるのである。
すなわち、通常ファスナータイプの長財布の場合、収納するもの(特に紙幣)がファスナーに噛まないようにある程度クリアランス(
図2左図の符号X)を設ける必要がある(クリアランスXが無いと、
図2右図のようにファスナーが紙幣を噛んでしまう)。
しかし、長財布10は、ファスナーガード12(12a,12b)によって開閉ファスナー11(11a,11b)を覆うことができるため、長財布10の内部に干渉しにくい構造となり、収納するもの(特に紙幣)を開閉ファスナー11(11a,11b)ギリギリまで詰めることができる。
【0011】
図3に図示するように、ファスナーガード12(12a,12b)によって、長財布10の内部が覆われていることを理解できる。
また、ファスナーガード12のその他の効果としては、
図4に図示するように、ファスナーガード12によって開閉ファスナー11(11a,11b)を覆うことになるので、長財布10の使用時(物の出し入れの際)に手が開閉ファスナー11(11a,11b)に触れることがなくなる。そのため、手が開閉ファスナー11(11a,11b)の金具(エレメント)等に接触するときの不快感を払拭することができる。
【0012】
なお、長財布10が、サイズの小型化を実現できたもう1つの要因としては、
図5に図示するように、長財布10の短手方向に設けたマチ13を折り込むだけで、他のパーツと縫い付けていないため、一般的な財布にはある縫い代を省略し、内部空間を最大限に利用できるようにしたことにある。
【0013】
図6~
図9は、本願発明に係る長財布の第2実施形態を示す説明図である。
図6左図に図示するように、本願発明に係る長財布10は、長財布10を縦にして開閉ファスナー11を開いた状態で長手方向を中心に左右対称な収納構造とした。
詳しくは、
図6右図に図示するように、長財布10の内部に2枚の仕切り板15(15a,15b)を設ける。仕切り板15は、開閉ファスナー11の設けられた左右のファスナー設置面14(14a,14b)の間に、これらと並行して設けられる。そして、この仕切り板15(15a,15b)に挟まれた空間を紙幣収納部17とした。また、カード類の収納可能なポケット19を複数並列させたカード収納部18を、紙幣収納部16側の仕切り板15(15a,15b)の仕切面16(16a,16b)上段に設けた。これにより、左右対称な収納構造となっている。
【0014】
ところで、一般に市場に出回っている多くの長財布は、右利きを想定しているものが多い。一方で、右利き用、左利き用で分けて製作しているものもあるが、同じ利き手でも使い方は人それぞれである(右側に硬貨を入れ、左側にカード類を入れる人もいれば、その逆の人もいるが、全くそういった使い方をしない人もいる)。
これに対して、本願発明に係る長財布10は、左右対称であることから、汎用性が高く、また、利き手だけでなく、その人の癖にも対応することができる。第1実施形態にあるように極限サイズでありながら、左右対称構造により収納場所や使い方を限定しすぎないところに本願発明たる長財布10の特徴がある。
【0015】
図7左図に示すように、ファスナータイプの長財布の多くは、ファスナーの付いている面にカード収納部を設けているものが多い。しかし、これであると、カード類を取り出す際にファスナーが邪魔になって取り出しにくい。
これに対して、本願発明に係る長財布10は、
図7中図に示すように、比較的大きな収納物である紙幣やカード類を中心に寄せた収納になっている。開閉ファスナー11と距離をとることで、開閉ファスナー11が邪魔にならず紙幣やカード類の出し入れがし易くなる。なお、
図7右図に図示するように、収納されたカード類Yの頭が若干飛び出すようにカード収納部18のポケット19を設計することで、カード類Yが取り出し易くなる。
【0016】
図8左図に図示するように、長財布10は、マチ13と仕切り板15(15a,15b)とを縫い付けていない。
このため、仕切り板15(15a,15b)が自由に動く(可動範囲が広い)ので、
図8右図に図示するように、どの収納空間(紙幣収納部17及びその両隣の収納空間であるフリー収納部20a,20b)も大きく開くことができる(ギャルソンウォレット並みに大きく開くことができる)。
【0017】
図9左図は、長財布10の収納状態を図示したものである。図示するように、カード収納部18にカード類Yを収納し、フリー収納部20に硬貨Zを収納している。
これを横から見ると、
図9右図のようになる(ちょうど、カード収納部18とフリー収納部20が背合わせになっている)。すなわち、カード収納部18は仕切り板15の仕切面16上段に設けているのでカード類Yは上段側に収納される。一方、硬貨Zはフリー収納部20に収納されるが、その重みで下段側に収納される。そのため、カード類Yと硬貨Zとの重なりを抑えることができて、全体的に長財布10が膨らみにくい構造となる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本願発明に係る長財布は、紙幣や硬貨並びにカード類を収納するための収納用具として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0019】
10 長財布
11(11a,11b) 開閉ファスナー
12(12a,12b) ファスナーガード(持ち出し)
13 マチ
14(14a,14b) ファスナー設置面
15(15a,15b) 仕切り板
16(16a,16b) 仕切面
17 紙幣収納部
18 カード収納部
19 ポケット
20(20a,20b) フリー収納部
X クリアランス
Y カード類
Z 硬貨