(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039291
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】縁かがり縫いミシン
(51)【国際特許分類】
D05B 57/06 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
D05B57/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143738
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】平野 靖明
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150AA08
3B150CB06
3B150JA18
3B150JA28
(57)【要約】
【課題】上ルーパの往復動作量を容易に調節する。
【解決手段】縁かがり縫いミシン100において、上ルーパ84と、上ルーパを保持する上ルーパロッド83と、モータによって回転を行う回転軸11と、回転軸の回転を往復動作に変換して上ルーパロッドに伝達する伝達機構とを備え、伝達機構は、回転軸から上ルーパロッドに至る二つの部材75,76の間で往復動作を伝達する伝達体77と、伝達体77を保持する回動腕78とを有し、伝達体77は、回動腕78に対して位置又は姿勢を調節可能とされ、伝達体は、二つの部材の一方に連結される第一連結部771と他方に連結される第二連結部772とを有し、伝達体は、回動腕に対して位置又は姿勢を調節することにより、第一連結部と第二連結部の少なくとも一方が回動腕の回動中心からの距離が変動するように設けられている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上ルーパと、
前記上ルーパを保持する上ルーパロッドと、
モータによって回転を行う回転軸と、
前記回転軸の回転を往復動作に変換して前記上ルーパロッドに伝達する伝達機構とを備え、
前記伝達機構は、
前記回転軸から前記上ルーパロッドに至る二つの部材の間で往復動作を伝達する伝達体と、
前記伝達体を保持する回動腕と、
を有し、
前記伝達体は、前記回動腕に対して位置又は姿勢を調節可能とされ、
前記伝達体は、前記二つの部材の一方に連結される第一連結部と他方に連結される第二連結部とを有し、
前記伝達体は、前記回動腕に対して位置又は姿勢を調節することにより、前記第一連結部と前記第二連結部の少なくとも一方が前記回動腕の回動中心からの距離が変動するように設けられていることを特徴とする縁かがり縫いミシン。
【請求項2】
前記伝達体は、ミシンフレームの上部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の縁かがり縫いミシン。
【請求項3】
前記第一連結部と前記第二連結部とは、互いに偏心して前記伝達体に設けられた軸部であることを特徴とする請求項1に記載の縁かがり縫いミシン。
【請求項4】
前記第一連結部と前記第二連結部とは、球面を有する軸部であることを特徴とする請求項3に記載の縁かがり縫いミシン。
【請求項5】
前記二つの部材は、いずれも、リンク部材であることを特徴とする請求項1に記載の縁かがり縫いミシン。
【請求項6】
縫い針と、
前記縫い針を保持する針棒と、
前記回転軸の回転を往復動作に変換して前記針棒に伝達する針上下動機構とを備え、
前記針上下動機構は、
前記回転軸から前記針棒に至る二つの部材の間で往復動作を伝達する連結軸と、
を有し、
前記二つの部材の一方が、前記連結軸を位置又は姿勢を調節可能に保持し、
前記連結軸は、前記二つの部材の一方に連結される第三連結部と他方に連結される第四連結部とを有し、
前記連結軸は、前記二つの部材の前記一方に対して位置又は姿勢を調節することにより、前記第四連結部の前記二つの部材の前記一方又は前記他方の回動中心からの距離が変動するように設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の縁かがり縫いミシン。
【請求項7】
前記連結軸は、ミシンフレームの上部に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の縁かがり縫いミシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縁かがり縫いミシンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
縁かがり縫いミシンは、針板より低位置から針板上方までの範囲を曲線状に往復移動を行う上ルーパを備えている。上ルーパは、針板上方まで移動したときに、針糸と上ルーパ糸とを絡めて縁かがり縫いの縫い目を形成する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
縁かがり縫いミシンは、主軸モータにより回転駆動を行うミシン主軸に設けられた偏心カムから往復動作を取り出している。そして、曲線の軌跡で往復動作を行うように支持された上ルーパロッドに往復動作を付与する。これにより、上ルーパロッドの上端部に取り付けられた上ルーパが所定の曲線状に往復移動を行っていた。
上ルーパは、縁かがり縫いを行う被縫製物の厚さに応じて、曲線の往復動作量を調整する要請があった。
従来は、往復動作量を変更するために、偏心量の異なる偏心カムが設けられた他のミシン主軸に交換を行っていた。
しかしながら、ミシン主軸は、交換が容易ではなく、上ルーパの往復動作量を変更する作業は負担が非常に大きかった。
【0005】
本発明は、上ルーパの往復動作量を容易に変更することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、縁かがり縫いミシンにおいて、
上ルーパと、
前記上ルーパを保持する上ルーパロッドと、
モータによって回転を行う回転軸と、
前記回転軸の回転を往復動作に変換して前記上ルーパロッドに伝達する伝達機構とを備え、
前記伝達機構は、
前記回転軸から前記上ルーパロッドに至る二つの部材の間で往復動作を伝達する伝達体と、
前記伝達体を保持する回動腕と、
を有し、
前記伝達体は、前記回動腕に対して位置又は姿勢を調節可能とされ、
前記伝達体は、前記二つの部材の一方に連結される第一連結部と他方に連結される第二連結部とを有し、
前記伝達体は、前記回動腕に対して位置又は姿勢を調節することにより、前記第一連結部と前記第二連結部の少なくとも一方が前記回動腕の回動中心からの距離が変動するように設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、本発明によれば、上ルーパの往復動作量を容易に調節することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】発明の実施形態である縁かがり縫いミシンの内部構成を示す斜視図である。
【
図2】縁かがり縫いミシンの内部構成を示す
図1と向きが異なる斜視図である。
【
図3】縁かがり縫いミシンの内部構成を示す
図1及び
図2と向きが異なる斜視図である。
【
図6】上ルーパ機構の一部の構成の分解斜視図である。
【
図8】連結軸により上ルーパの往復動作量、往復動作の高さを調節した場合の上ルーパの移動軌跡を示す線図である。
【
図9】
図5の上ルーパ機構と共通する技術的効果を得ることが可能な他の上ルーパ機構を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[発明の実施形態]
以下に本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
図1~
図3は本実施形態である縁かがり縫いミシン100の内部構成を示す斜視図である。
本実施形態は、縫い針と上ルーパと下ルーパとが協働して二本針の縁かがり縫いを行う縁かがり縫いミシンを例示するものである。但し、縁かがり縫いミシン100が二本針を有することは必須ではなく、一本又は三本以上の縫い針を有してもよい。
【0010】
縁かがり縫いミシン100は、ミシンフレーム(図示略)、針上下動機構20と、被縫製物の送り機構30と、上ルーパ機構70と、下ルーパ機構60と、メス機構50とを有する。ミシンフレームは、縁かがり縫いミシン100の主要な構成を支持するフレームである。
なお、縁かがり縫いミシン全般が有する天秤、糸調子等は、周知の構成なので、説明を省略する。
【0011】
以下の説明では、縁かがり縫いミシン100は、水平面に置かれた状態で、水平且つ被縫製物の送り方向をX軸方向とし、被縫製物の送られる方向を「前」、逆方向を「後」とする。また、水平且つX軸方向に直交する方向をY軸方向とし、前を向いた状態で左手側を「左」、右手側を「右」とする。また、鉛直上下方向をZ軸方向とする。
【0012】
[針上下動機構]
縁かがり縫いミシン100は、縫製を行うための駆動源として、例えば、サーボモータからなる図示しないミシンモータを有する。また、縁かがり縫いミシン100は、ミシンモータによって全回転が行われる回転軸としての下軸11(ミシン主軸ともいう)を有する。下軸11は、ミシンフレームのベッド部(図示略)内において、回転可能に支持され、一定の位置でY軸方向に沿って延在している。
【0013】
針上下動機構20は、縫い針26を保持する針棒25に往復の上下動を付与する。
針上下動機構20は、コネクティングロッド21、入力腕22、上軸23、出力腕24、針棒25、縫い針26とを有する。
【0014】
前述した下軸11は、その全長における各所に、下軸11の回転中心から偏心した図示しない複数の偏心軸部を有する。各偏心軸部は、下軸11と同様に、いずれもY軸方向に沿っている。
コネクティングロッド21は、概ね、上下方向に延在している。そして、コネクティングロッド21の下端部は、下軸11の偏心軸部の一つにY軸回りに回転可能に連結されている。
【0015】
上軸23は、ミシンフレームのアーム部(ミシンフレームの上部、図示略)内において、Y軸回りに回転可能に支持され、一定の位置でY軸方向に沿って延在している。
上軸23の右端部近傍には、入力腕22が抱き締めにより固定装備されている。入力腕22は、上軸23に直交する方向、例えば、概ねX軸方向、より具体的には、X軸方向より幾分後方に延出されている。そして、入力腕22の延出端部には、連結軸27を介して、コネクティングロッド21の上端部が連結されている。
コネクティングロッド21は、下端部には、下軸11の偏心軸部によって周回運動が入力される。そして、上端部から入力腕22を介して上軸23に往復回動動作を入力する。
【0016】
図4は、連結軸27の斜視図である。連結軸27は、Y軸方向に沿った状態で、入力腕22の延出端部に保持されている。連結軸27は、長手方向両端部272,272の間に位置する当該両端部272,272に対して偏心した偏心軸部271を有する。
連結軸27の偏心軸部271は、二つの部材の一方としてのコネクティングロッド21に設けられたネジ(例えば、頭無しネジ)によって回転しないように固定的に保持される。即ち、偏心軸部271は、第三連結部として機能する。
また、両端部272,272は、二つの部材の他方としての入力腕22の延出端部に挿通される。即ち、両端部272,272は、第四連結部として機能する。両端部272,272と入力腕22とは、相対的に回転可能である。入力腕22とコネクティングロッド21とは、両端部272,272により、Y軸回りに回動可能に連結されている。
【0017】
連結軸27は、コネクティングロッド21に設けられたネジを緩めることにより回転させて角度調節可能となる。また、ネジを締結することで、調節後の位置に固定することができる。これにより、入力腕22の回動中心となる上軸23からコネクティングロッド21の上端部までの距離を変動させることができる。つまり、実質的に、上軸23を中心とする入力腕22の回動半径を調整することができる。
このため、連結軸27を角度調節することで、下軸11から上軸23に入力される往復回動動作の角度範囲を調節することが可能である。
上軸23の左端部は、出力腕24を介して針棒25と連結されている。上軸23の往復回動動作の角度範囲は、針棒25の上下ストロークと相関がある。従って、連結軸27の回転操作により、縫い針26の上下ストロークを調節することが可能である。
【0018】
なお、コネクティングロッド21の上端部の連結軸27は、図示しないミシンフレームの上端部近傍に位置している。そして、ミシンフレームに設けられた図示しない上部カバーを開く又は取り外すことで、連結軸27に容易にアクセス可能である。このため、縫い針26の上下ストロークを容易に調節することが可能である。
【0019】
上軸23の左端部には、出力腕24が抱き締めにより固定装備されている。出力腕24は、上軸23を中心として往復回動を行う。出力腕24は、上軸23に直交する方向、例えば、X軸方向(より具体的には、後方)に延出されている。そして、出力腕24の延出端部には、Y軸方向に沿った連結軸241を介して、針棒25の上端部が連結されている。
【0020】
針棒25は、二本の縫い針26が針棒25に平行になるように、針棒25の下端部に保持している。二本の縫い針26は、左右に並んで保持されている。
針棒25は、幾分、前斜め上に傾斜した状態でミシンフレームのアーム部に支持されている。針棒25は、滑り軸受としてのメタル251によってアーム部に対して長手方向に沿って上下動可能に支持されている。
【0021】
出力腕24の連結軸241は、上軸23を中心とする円弧に沿って往復移動を行うので、針棒25に直交する方向に変位を生じる。これに対して、針棒25は、その長手方向に沿ってのみ直線的に往復移動を行う。
このため、針棒25の上端部には、X-Z平面に平行であって、針棒25に直交する方向に沿った長穴又は切り欠きが形成されている。この切り欠きの内側に連結軸241を収めた状態で、出力腕24と針棒25が連結されている。これにより、連結軸241における針棒25に直交する方向の変位を許容している。
なお、長穴又は切り欠きは、針棒25に完全に直交する方向でなくともよい。出力腕24の回動によって、回動半径方向に生じる連結軸241の変位を許容する方向であればよい。
【0022】
[送り機構]
送り機構30は、図示しない針板上の被縫製物を前方に向かって所定の送りピッチで間欠的に搬送する。
送り機構30は、第一及び第二の送り歯31,32、第一及び第二の送り台33,34、コネクティングロッド35、入力腕36、水平送り軸37、スライド部材38、出力腕39、リンク部材40、送り台軸42を有する。
【0023】
第一及び第二の送り歯31,32は、図示しない針板の下側に配置されている(
図2では図示略)。第一及び第二の送り歯31,32は、図示しない針板の開口から前後に並んだ鋸歯状の歯の上端部を出没させて下から被縫製物の送りを行う。
第一の送り歯31は、針落ち位置の左側で幾分後方に配置されている。第二の送り歯32は、針落ち位置の左側で前後に渡って延在している。
第一の送り歯31は、第一の送り台33の後端上部に保持されている。
第二の送り歯32は、第二の送り台34の後端上部に保持されている。
【0024】
第一及び第二の送り台33,34は、いずれも、概ねX-Z平面に沿った板状を呈している。第一及び第二の送り台33,34は、互いに重ねられた状態で左右に並んで配置されている(第一の送り台33が左側)。
第一及び第二の送り台33,34は、いずれも、前端部に、前方に向かって開口した矩形の切り欠き331,341が設けられている。また、第一及び第二の送り台33,34は、いずれも、中央部から後方に向かって開口した矩形の切り欠き332,342が設けられている。
【0025】
第一及び第二の送り台33,34の前端部近傍には、Y軸方向に沿った送り台軸42が図示しないミシンフレームに固定保持されている。
そして、第一及び第二の送り台33,34の前側の切り欠き331,341には、いずれも、送り台軸42によってY軸回りに回動可能に支持された滑り部材である角駒421が挿入されている。
これにより、第一及び第二の送り台33,34は、いずれも、送り台軸42によってY軸回りに揺動可能に支持される。さらに、切り欠き331,341は、X軸方向に沿って形成されている。これにより、挿入された角駒421が第一及び第二の送り台33,34の矩形の切り欠き331,341に対して相対的に滑動することができる。従って、第一及び第二の送り台33,34は、X軸方向に沿った往復動作も行うことができる。
つまり、第一及び第二の送り台33,34は、前端部が送り台軸42によってY軸回りに軸支され、角駒421によってX軸方向に往復移動することができる。このため、第一及び第二の送り台33,34の後端部側の第一及び第二の送り歯31,32をX-Z平面に沿った軌道で周回運動させることができる。
【0026】
第一及び第二の送り台33,34の中央部の矩形の切り欠き332,342は、いずれもX軸方向に沿って形成され、後方に向かって開口している。そして、これらの切り欠き332,342は、下軸11の偏心軸部の一つが挿通する位置に設けられている。この偏心軸部には、滑り部材である角駒41が偏心軸部に対して回転可能に取り付けられている。
【0027】
第一及び第二の送り台33,34の中央部の切り欠き332,342には、いずれも、角駒41が挿入されている。
角駒41は、下軸11の回転によりY軸回りに周回運動を行う。また、角駒41は、周回運動時に、切り欠き332,342内でX軸方向に滑りを生じる。このため、角駒41の周回運動におけるZ軸方向の往復動作成分のみが、第一及び第二の送り台33,34に伝えられる。
つまり、角駒41から第一及び第二の送り台33,34に対して、第一及び第二の送り歯31,32のX-Z平面に沿った周回運動におけるZ軸方向の往復動作のみが入力される。
【0028】
コネクティングロッド35の一端部は、下軸11の偏心軸部の一つにY軸回りに回転可能に連結されている。
水平送り軸37は、ミシンフレームのベッド部内においてY軸回りに回転可能に支持され、一定の位置でY軸方向に沿って延在している。
水平送り軸37の左端部近傍には、入力腕36の基端部が抱き締めにより固定装備されている。入力腕36の回動端部には、コネクティングロッド35の他端部が連結されている。
コネクティングロッド35は、一端部から下軸11の偏心軸部によって周回運動が入力される。そして、コネクティングロッド35の他端部から入力腕36を介して水平送り軸37に回動動作を入力する。
【0029】
また、入力腕36は、回動端部の近傍から上方に延出された角柱状のガイド腕361を有する。このガイド腕361は、第一の送り台33の左面側に対向している。
第一の送り台33の左面側には、上下方向に沿ったガイド溝333が形成されている。このガイド溝333内には、滑り部材としての図示しない角駒が配置されている。
一方、入力腕36のガイド腕361には、当該ガイド腕361に沿って滑動するスライド部材38が装備されている。このスライド部材38は、ガイド溝333内の角駒に対して、互いにY軸回りに回動可能に連結されている。
【0030】
入力腕36がコネクティングロッド35を介して下軸11から回動動作を付与されると、ガイド腕361がX-Z平面内を回動する。そして、ガイド溝333内の角駒がZ軸方向の動作を許容することで、ガイド腕361の回動動作からX軸方向の往復動作のみが第一の送り台33に付与される。
これにより、第一の送り台33は、角駒41からのZ軸方向の往復動作とガイド腕361からのX軸方向の往復動作とによりX-Z平面に沿った周回運動を行う。従って、第一の送り歯31に被縫製物を送るための周回動作を付与することができる。
なお、スライド部材38のガイド腕361に沿った滑動範囲を任意に調節する調節機構を併設してもよい。この調節機構によって、第一の送り歯31のX軸方向の往復ストローク(送りピッチ)を任意に調節可能とすることができる。
【0031】
出力腕39は、水平送り軸37の右端部近傍において、基端部が抱き締めにより固定装備されている。そして、出力腕39は、基端部から弧状の回動腕部391が水平送り軸37を中心とする半径方向外側に延出されている。この回動腕部391は、リンク部材40の一端部にY軸回りに回動可能に連結されている。リンク部材40の他端部は、第二の送り台34にY軸回りに回動可能に連結されている。
【0032】
出力腕39が水平送り軸37と共にX-Z平面内で回動動作を行うと、リンク部材40を介して、X軸方向の往復動作のみが第二の送り台34に付与される。
これにより、第二の送り台34は、角駒41からのZ軸方向の往復動作と出力腕39からのX軸方向の往復動作とによりX-Z平面に沿った周回運動を行う。従って、第二の送り歯32に被縫製物を送るための周回動作を付与することができる。
【0033】
なお、出力腕39は、回動腕部391に沿って長穴を有する。そして、当該長穴に沿ってリンク部材40の一端部の連結位置を調節することができる。この連結位置の調節により、第二の送り台34に付与されるX軸方向の往復動作のストロークを調節することができる。さらに、第二の送り歯32のX軸方向の往復ストローク(送りピッチ)を任意に調節することができる。
【0034】
[メス機構]
メス機構50は、縁かがり縫いにおいて、針落ち位置に対してY軸方向に既定の幅で被縫製物の端縁部(例えば、右端縁部)を被縫製物の送り方向に沿って切除する。
メス機構50は、コネクティングロッド51、入力腕52、メス駆動軸53、メス腕54、布切りメス(図示略)とを有する。
【0035】
コネクティングロッド51は、概ね、上下方向に延在している。そして、コネクティングロッド51の下端部は、下軸11の偏心軸部の一つにY軸回りに回転可能に連結されている。
【0036】
メス駆動軸53は、ミシンフレームのアーム部(図示略)内において回転可能に支持され、一定の位置でY軸方向に沿って延在している。
メス駆動軸53の右端部近傍には、入力腕52が抱き締めにより固定装備されている。入力腕52は、メス駆動軸53に直交する方向、例えば、概ねX軸方向、より具体的には、前方に延出されている。入力腕52の延出端部は、メス駆動軸53を中心に回動を行う。そして、入力腕52の延出端部には、コネクティングロッド51の上端部がY軸回りに回動可能に連結されている。
コネクティングロッド51は、下端部から下軸11の偏心軸部によって周回運動が入力される。そして、上端部から入力腕52を介してメス駆動軸53に往復の回動動作を入力する。
【0037】
メス駆動軸53の左端部には、メス腕54が一体的に設けられている。なお、メス駆動軸53とメス腕54とは別部材で構成し、メス駆動軸53の一端部にメス腕54を抱き締めなどで固定装備してもよい。
メス腕54は、メス駆動軸53に直交する方向、例えば、概ねX軸方向、より具体的には、後方に延出されている。メス腕54の延出端部は、メス駆動軸53を中心に回動を行う。そして、メス腕54から延出された延出端部には、下方に刃先を向けた状態で布切りメスが保持されている。
【0038】
メス腕54は、メス駆動軸53を中心として往復回動を行う。これに対して、布切りメスは、概ね、Z軸方向に沿ってメス腕54の延出端部に保持されている。従って、布切りメスは昇降動作を行う。布切りメスは、針落ちの右側であって、幾分後方で昇降して、下端部の刃先により、被縫製物の端縁部の切除を行う。
これにより、被縫製物が針落ち位置から右側の決まった距離で端縁部が切除されるので、被縫製物の右端縁部に対して適正に縁かがり縫いを行うことができる。
なお、布切りメスは、メス腕54に対して、Y軸方向に位置調節可能に取り付けられている。これにより、被縫製物の右側縁部に対する針落ち位置の距離(縁かがり縫い代)を任意に調節することが可能となっている。
【0039】
[下ルーパ機構]
下ルーパ機構60は、縁かがり縫いにおいて下ルーパ65によって針板の下側で縫い針26から縫い糸のループを補足すると共に下ルーパ糸を挿通させる。
下ルーパ機構60は、コネクティングロッド61、入力腕62、下ルーパ軸63、下ルーパ腕64、下ルーパ65とを有する。
【0040】
コネクティングロッド61は、ミシンフレームのベッド部(図示略)内において、概ね、Z軸方向に延在している。そして、コネクティングロッド61の上端部は、下軸11の偏心軸部の一つに回転可能に連結されている。この偏心軸部は、外周が球面となっている。この球面の中心は、下軸11の回転中心軸に平行な偏心軸上に位置している。
そして、コネクティングロッド61の上端部は、球面からなる偏心軸部を抱持している。コネクティングロッド61の上端部は、その内周面が球面状に窪んだ球状凹面で構成されている。そして、コネクティングロッド61の球状凹面は、偏心軸部の球面に面接触している。つまり、偏心軸部とコネクティングロッド61の上端部とは、球面軸受と同じ構造で連結されている。
これにより、コネクティングロッド61の上端部は、偏心軸部に対してY軸方向に沿った偏心軸回りに相対的に回転可能である。さらに、コネクティングロッド61は、上端部の球状凹面により、コネクティングロッド61の下端部をY軸方向に傾動させることができる。
【0041】
下ルーパ軸63は、ミシンフレームのベッド部内の底部においてX軸回りに回転可能に支持されており、X軸方向に沿って延在している。
下ルーパ軸63の前端部には、入力腕62が抱き締めにより固定装備されている。
入力腕62は、下ルーパ軸63に直交する方向、例えば、概ねY軸方向、より具体的には、右方に延出されている。そして、入力腕62の延出端部は、コネクティングロッド61の下端部が連結されている。
【0042】
入力腕62の延出端部は、外周が球面となっている。そして、コネクティングロッド61の下端部は、球面からなる入力腕62の延出端部を抱持している。コネクティングロッド61の下端部の内周面は、上端部と同様に、入力腕62の延出端部の球面に面接触する、球状凹面で形成されている。つまり、コネクティングロッド61の下端部と入力腕62の延出端部とは、球面軸受と同じ構造で連結されている。
これにより、コネクティングロッド61の下端部は、入力腕62に対して、入力腕62の延出方向に沿った軸回りに回動可能である。さらに、コネクティングロッド61の下端部は、入力腕62に対して、X軸回り及びZ軸回りに傾動させることができる。
【0043】
コネクティングロッド61の上端部は、下軸11を中心とする周回運動を行う。そして、コネクティングロッド61の下端部は、Z軸方向に沿った往復動作成分を入力腕62に入力する。その際、コネクティングロッド61の下端部の動作が、入力腕62により、下ルーパ軸63(X軸)回りの円弧に沿った軌跡に規制される。
このとき、コネクティングロッド61は、上端部と下端部とが球面軸受構造であるため、下端部が下ルーパ軸63回りの円弧に沿った軌跡で往動可能である。このため、コネクティングロッド61は、下軸11の全回転をX軸回りの往復回動に変換して下ルーパ軸63に伝達することができる。
【0044】
下ルーパ腕64は、下ルーパ軸63の後端部に抱き締めにより固定装備されている。下ルーパ腕64の上端部は、下ルーパ軸63から幾分左方に傾斜した状態で延出されている。下ルーパ腕64の延出端部(上端部)は、X軸回りに回動動作を行うことができる。
そして、下ルーパ腕64の上端部には、下ルーパ65がネジ止めにより取り付けられている。
下ルーパ腕64は、下ルーパ軸63の往復回動によって、上端部が概ねY軸方向に沿って回動を行う。
なお、
図2における符号63aは、下ルーパ軸63の後端部の図示しないネジ穴に螺合しており、下ルーパ腕64のX軸方向における位置調節を行う調節ネジである。
【0045】
下ルーパ65は、下ルーパ腕64の上端部に固定される基端部と、基端部から左方に屈曲した屈曲部と、屈曲部の先端から折り返した捕捉部651とを有する。
捕捉部651は、下ルーパ65の回動軌跡における接線方向に沿って真っすぐに右側に延出されている。捕捉部651の延出端部は、先鋭形状である。
下ルーパ65の捕捉部651は、その先端部と屈曲部側の端部とに下ルーパ糸を挿通する二つの貫通孔がX軸方向に貫通形成されている。さらに、捕捉部651は、その後面側に二つの貫通孔の間に下ルーパ糸をガイドする浅い糸案内溝が形成されている。そして、下ルーパ65の捕捉部651に対して、一方の貫通孔から糸案内溝を通って他方の貫通孔に下ルーパ糸が挿通された状態で縁かがり縫いの縫製が行われる。
【0046】
縫製時においては、縫い針26が下死点から上昇に転じると、被縫製物の下で縫い糸にループが発生し、そのタイミングで下ルーパ65が右方に回動する。これにより、縫い糸のループに下ルーパ65の捕捉部651が突入して、縫い糸のループを捕捉する。そして、下ルーパ65の回動が左方に転じると、今度は、下ルーパ糸にループが発生するので、後述する上ルーパ84が右側から左方に突入して下ルーパ糸の捕捉を行う。さらに、上ルーパ84が右方への移動に転じると、上ルーパ糸にループが発生し、当該ループに縫い針26が突入する。これらの動作の繰り返しにより、被縫製物の右側縁部に対する縁かがり縫いが行われる。
また、上記のように、下ルーパ65は、縫い針26から縫い糸のループを捕捉するのに適した構造となっている。
【0047】
[上ルーパ機構]
図5は上ルーパ機構70の全体構成の模式図、
図6は上ルーパ機構70の一部の構成の分解斜視図、
図7は後述する連結軸77の斜視図である。
図1~
図3及び
図5~
図7に基づいて上ルーパ機構70について説明する。
【0048】
上ルーパ機構70は、縁かがり縫いにおいて上ルーパ84によって針板の上側で下ルーパ65から下ルーパ糸のループを補足すると共に上ルーパ糸を挿通させる。
このため、上ルーパ機構70は、上ルーパ84と、上ルーパロッド83を介して上ルーパ84に所定の動作を伝達する伝達機構とを有する。
上ルーパ機構70の伝達機構は、コネクティングロッド71、第一入力腕72、中間伝達軸73、出力腕74、第一リンク75、第二リンク76を備えている。
さらに、伝達機構は、伝達体としての連結軸77、回動腕78、回動腕支軸79、第二入力腕80、上ルーパ軸81を備えている。
またさらに、伝達機構は、上ルーパ腕82、上ルーパロッド83、上ルーパ84、ロッド支持台85を備えている。
【0049】
コネクティングロッド71は、ミシンフレームのベッド部(図示略)内において、概ね、Z軸方向に延在している。そして、コネクティングロッド71の上端部は、下軸11の偏心軸部の一つである偏心軸部111(
図5参照)に回転可能に連結されている。この偏心軸部111は、外周が球面となっている。この球面の中心は、下軸11の回転中心軸に平行な偏心軸上に位置している。
そして、コネクティングロッド71の上端部は、球面からなる偏心軸部111を抱持している。コネクティングロッド71の上端部は、その内周面が球面状に窪んだ球状凹面で形成されている。そして、コネクティングロッド71の球状凹面は、偏心軸部111の球面に面接触している。つまり、偏心軸部111とコネクティングロッド71の上端部とは、球面軸受と同じ構造で連結されている。
これにより、コネクティングロッド71は、偏心軸部111に対してY軸方向に沿った偏心軸回りに相対的に回転可能である。さらに、コネクティングロッド71は、上端部の球状凹面により、コネクティングロッド71の下端部をY軸方向に傾動させることができる。
【0050】
中間伝達軸73は、ミシンフレームのベッド部内の底部においてX軸回りに回転可能に支持されており、X軸方向に沿って延在している。
中間伝達軸73の後端部には、第一入力腕72が抱き締めにより固定装備されている。
第一入力腕72は、中間伝達軸73に直交する方向、例えば、概ねY軸方向、より具体的には、左方に延出されている。そして、第一入力腕72の延出端部は、コネクティングロッド71の下端部が連結されている。
【0051】
第一入力腕72の延出端部は、外周が球面となっている。そして、コネクティングロッド71の下端部は、球面からなる第一入力腕72の延出端部を抱持している。コネクティングロッド71の下端部は、上端部と同様に、その内周面が球面状に窪んだ球状凹面で構成されている。そして、コネクティングロッド71の球状凹面は、第一入力腕72の延出端部の球面に面接触している。つまり、コネクティングロッド71の下端部と第一入力腕72の延出端部とは、球面軸受と同じ構造で連結されている。
これにより、コネクティングロッド71の下端部は、第一入力腕72に対して、第一入力腕72の延出方向に沿った軸回りに回動可能である。さらに、コネクティングロッド71の下端部は、第一入力腕72に対して、X軸回り及びZ軸回りに傾動させることができる。
【0052】
コネクティングロッド71の上端部は、下軸11を中心とする周回運動を行う。そして、コネクティングロッド71の下端部は、Z軸方向に沿った往復動作成分を第一入力腕72に入力する。その際、コネクティングロッド71の下端部の動作が、第一入力腕72により、中間伝達軸73回りの円弧に沿った軌跡に規制される。
しかしながら、コネクティングロッド71は、上端部と下端部とが球面軸受構造であるため、下端部が中間伝達軸73回りの円弧に沿った軌跡で往動可能である。このため、コネクティングロッド71は、下軸11の全回転をX軸回りの往復回動に変換して中間伝達軸73に伝達することができる。
【0053】
中間伝達軸73の前端部には、出力腕74が抱き締めにより固定装備されている。
出力腕74は、中間伝達軸73に直交する方向、例えば、概ねY軸方向、より具体的には、左方に延出されている。そして、出力腕74の延出端部は、第一リンク75の下端部が連結されている。
【0054】
出力腕74の延出端部は、外周が球面となっている。そして、第一リンク75の下端部は、球面からなる出力腕74の延出端部を抱持している。第一リンク75の下端部は、その内周面が球面状に窪んだ球状凹面で構成されている。そして、第一リンク75の球状凹面は、出力腕74の延出端部の球面に面接触している。つまり、第一リンク75の下端部と出力腕74の延出端部とは、球面軸受と同じ構造で連結されている。
これにより、第一リンク75の下端部は、出力腕74に対して、出力腕74の延出方向に沿った軸回りに回動可能である。さらに、第一リンク75の下端部は、出力腕74に対して、X軸回り及びZ軸回りに傾動させることができる。
【0055】
第一リンク75の上端部は、連結軸77を介して第二リンク76の上端部に連結されている。
第一リンク75の上端部は、球面からなる連結軸77の右端部771(
図7参照)を抱持している。第一リンク75の上端部は、その内周面が球面状に窪んだ球状凹面で構成されている。そして、第一リンク75の球状凹面は、連結軸77の右端部771の球面に面接触している。つまり、第一リンク75の上端部と連結軸77の右端部771とは、球面軸受と同じ構造で連結されている。
【0056】
連結軸77は、Y軸方向に沿った状態で、回動腕78の延出端部に支持されている。そして、回動腕78は、回動腕支軸79に軸支されている。
回動腕支軸79は、ミシンフレームのアーム部内において、Y軸回りに回転可能に支持され、一定の位置でY軸方向に沿って延在している。
回動腕78は、基端部が回動腕支軸79に抱き締めにより固定装備されている。回動腕78は、回動腕支軸79に直交する方向、例えば、概ねX軸方向、より具体的には、概ね前方に延出されている。つまり、回動腕78は、その延出端部が回動腕支軸79回りに回動可能に支持されている。
【0057】
第一リンク75の下端部は、球面軸受構造で出力腕74に連結され、第一リンク75の上端部は、球面軸受構造で連結軸77に連結されている。
このため、出力腕74のX軸(中間伝達軸73)回りの往復回動動作を、回動腕78のY軸(回動腕支軸79)回りの回動動作に変換して、連結軸77に伝えることができる。
【0058】
さらに、連結軸77は、回動腕78の延出端部において、Y軸回りに回転調節可能に支持されている。
連結軸77は、
図7に示すように、右端部771(第一連結部)、左端部772(第二連結部)、中間支持部773、偏心部774を有し、これらは一体的に形成されている。
【0059】
中間支持部773は、円柱状の軸体であり、回動腕78の延出端部にY軸回りに回転可能に保持されている。
右端部771は、球形であって、中間支持部773の右側に連結されている。右端部771は、球形の中心が中間支持部773の回転中心軸上に位置している。
【0060】
左端部772は、球形であって、中間支持部773の左側に偏心部774を介して連結されている。左端部772は、球形の中心が中間支持部773の回転中心軸に対してY軸方向に直交するいずれかの方向に偏心した偏心軸上に位置している。
偏心部774は、中間支持部773の左側に連結されている。偏心部774は、中間支持部の回転中心軸に対して直交する方向に延出されている。そして、その延出端部の左側に左端部772が連結されている。
【0061】
中間支持部773は、回動腕78の延出端部によって回転調節可能に支持される。回動腕78の延出端部には、その外周面から内周面に貫通するネジ穴が形成されている。そして、このネジ穴には、中間支持部773を締結する固定ネジ86、例えば、頭無しネジが螺入されている。この固定ネジ86を緩めると、中間支持部773は、回動腕78の延出端部に対して、Y軸回りに回転可能となり、連結軸77のY軸回りの向きを調節できる。そして、固定ネジ86を締結すると、連結軸77のY軸回りの向きを調節後の位置で固定することができる。
なお、回動腕78の延出端部における連結軸77のY軸回りの向きの調節構造は、上記構造に限らず、他の周知の構造を利用してもよい。例えば、回動腕78の延出端部が中間支持部773を抱き締め固定可能とする等である。
【0062】
回動腕78の延出端部において、連結軸77のY軸回りの向きを調節すると、右端部771に連結された第一リンク75の上端部の位置は変動しない。
これに対して、連結軸77のY軸回りの向きを調節すると、偏心している左端部772に連結された第二リンク76の上端部の位置は、変動する。この場合、第二リンク76の上端部は、中間支持部773を中心とする円周に沿って位置が変動する。なお、この円周は、中間支持部773に対する左端部772の偏心量を半径とする円周である。
【0063】
連結軸77のY軸回りの向きを調節すると、第二リンク76の上端部の位置は、回動腕78の回動中心となる回動腕支軸79の中心からの距離が変動する。
仮に、回動腕支軸79の中心から第一リンク75の上端部(右端部771の中心)までの距離を基準距離とする。また、回動腕支軸79の中心から第二リンク76の上端部(左端部772の中心)までの距離を調節距離とする。
連結軸77の回転調節により、基準距離に対する調節距離の比率が変動し、第二リンク76よりも下流側への動作伝達量を増減させることが可能である。この動作伝達量は、上ルーパ84の往復動作量、往復動作の高さと相関があり、連結軸77の回転調節により、上ルーパ84の往復動作量、往復動作の高さを調節可能となる。
【0064】
なお、連結軸77は、上記構造に限定されず、同様に機能する他の構造を採ってもよい。例えば、中間支持部773に対する左端部772の偏心量が小さい場合には、偏心部774を省略して中間支持部773に対して左端部772を直接設けてもよい。また、中間支持部773の外径がより大きな場合も、偏心部774を省略して中間支持部773に対して左端部772を直接設けてもよい。
【0065】
なお、第一及び第二リンク75,76の上端部の連結軸77は、図示しないミシンフレームの上端部近傍に位置している。そして、ミシンフレームに設けられた図示しない上部カバーを開く又は取り外すことで、連結軸77に容易にアクセス可能である。このため、上ルーパ84の往復動作量、往復動作の高さを容易に調節することが可能である。
【0066】
第二リンク76の上端部は、球面からなる連結軸77の左端部772を抱持している。第二リンク76の上端部は、その内周面が球面状に窪んだ球状凹面で構成されている。そして、第二リンク76の球状凹面は、連結軸77の左端部772の球面に面接触している。つまり、第二リンク76の上端部と連結軸77の左端部772とは、球面軸受と同じ構造で連結されている。
【0067】
第二リンク76の下端部は、その内周面が球面状に窪んだ球状凹面で構成されている。そして、第二リンク76の球状凹面は、第二入力腕80の延出端部の球面に面接触している。つまり、第二リンク76の下端部と第二入力腕80の延出端部とは、球面軸受と同じ構造で連結されている。
【0068】
上ルーパ軸81の前端部には、第二入力腕80が抱き締めにより固定装備されている。上ルーパ軸81は、ミシンフレームのベッド部内の底部においてX軸回りに回転可能に支持されており、X軸方向に沿って延在している。
第二入力腕80は、上ルーパ軸81に直交する方向、例えば、概ねY軸方向、より具体的には、右方に延出されている。そして、前述したように、第二入力腕80の延出端部は、第二リンク76の下端部が連結されている。
【0069】
第二リンク76の上端部は、球面軸受構造で連結軸77に連結され、第二リンク76の下端部は、球面軸受構造で第二入力腕80に連結されている。
このため、回動腕78のY軸(回動腕支軸79)回りの回動動作を、第二入力腕80のX軸(上ルーパ軸81)回りの往復回動動作に変換して、上ルーパ軸81に伝えることができる。
【0070】
上ルーパ腕82は、上ルーパ軸81の後端部に抱き締めにより固定装備されている。上ルーパ腕82は、上ルーパ軸81の直交方向、例えば、概ねY軸方向、より具体的には、概ね左方に延出されている。従って、上ルーパ腕82の延出端部は、X軸回りに回動して上下に往復動作を行うことができる。
上ルーパ腕82の延出端部は、上ルーパロッド83の下端部がX軸回りに回動可能に連結されている。
【0071】
上ルーパロッド83は、ロッド支持台85に設けられた回動支持体851により、上ルーパロッド83の長手方向に沿って往動可能に支持されている。
ロッド支持台85は、ミシンフレームのベッド部に固定支持されている。
回動支持体851は、円柱体であり、ロッド支持台85に対してX軸方向に沿って設けられた円孔内にX軸回りに回動可能に支持されている。
また、回動支持体851は、その直径方向に貫通形成された支持孔に上ルーパロッド83を挿通させている。
ロッド支持台85は、回動支持体851の回動と上ルーパロッド83の長手方向に沿った往動動作とにより、上ルーパ84に対して所定の軌跡の往復動作を付与している。
【0072】
上ルーパ84は、上ルーパロッド83の上端部に固定される基端部と、基端部から概ね左方に延出された捕捉部841とを有する。
捕捉部841は、上ルーパ84の往復動作の軌跡に沿って概ね左方に直線状に延出されている。捕捉部841の延出端部は、先鋭形状である。
上ルーパ84の捕捉部841は、その先端部と基端部側の端部とに上ルーパ糸を挿通する二つの貫通孔がX軸方向に貫通形成されている。さらに、捕捉部841は、その後面側に二つの貫通孔の間に上ルーパ糸をガイドする浅い糸案内溝が形成されている。そして、上ルーパの捕捉部841に対して、一方の貫通孔から糸案内溝を通って他方の貫通孔に上ルーパ糸が挿通された状態で縁かがり縫いの縫製が行われる。
【0073】
縫製時においては、縫い針26の縫い糸のループを下ルーパ65の捕捉部651が捕捉して、その後、下ルーパ糸のループに上ルーパ84が突入して下ルーパ糸の捕捉を行う。
この時、上ルーパ84は、針板上面よりも下方に退避した状態から上昇して針板の下側で下ルーパ糸の捕捉を行う。さらに、上ルーパ84は、布切りメスに切除された被縫製物の右端部の右側を通って針板上面に到達し、そこで、上ルーパ糸のループを縫い針26に捕捉させる。
このような動作を実現するために、上ルーパ84は、退避位置から上昇を開始し、左方への移動成分を漸増させながら上昇する曲線軌跡に沿って往復動作を行う(
図8参照)。
【0074】
前述した上ルーパ腕82は、左方に延出され、この位置よりも上側で往復回動動作を行う。
X軸方向から見て、ロッド支持台85の回動支持体851は、上ルーパ腕82の延出端部のほぼ真上又は幾分左側に位置している。
この配置で上ルーパ腕82が上方に回動を行うと、回動開始直後は、上ルーパロッド83は、ほぼ真上に向かって移動を開始する。さらに、上ルーパ腕82が上方に回動を行うと、その回動端部の右方への移動量が漸増する。これにより、上ルーパロッド83の上端部が左方に回動し、上ルーパ84は、左方への移動量が漸増する。
また、上ルーパ腕82が下方への回動に転じると、上ルーパ84は、上記と同じ軌跡で逆方向に移動する。
上記伝達機構の構成により、上ルーパ84を退避位置からほぼ上方に移動動作を開始しながら左方への移動成分を漸増させる曲線軌跡に沿って往復動作を行わせることができる。
【0075】
[縁かがり縫いミシンの縫製動作]
縁かがり縫いミシン100は、縫製時において、ミシンモータにより下軸11の回転駆動が行われる。これにより、下軸11から、針上下動機構20、送り機構30、メス機構50、下ルーパ機構60、上ルーパ機構70に同期的に動力が付与される。
針上下動機構20は、下軸11の偏心軸部の一つからコネクティングロッド21の下端部にY軸回りの周回運動が入力される。そして、コネクティングロッド21の上端部から連結軸27の調節位置に応じたストロークで入力腕22及び上軸23にY軸回りの往復回動が入力される。
さらに、上軸23から出力腕24を通じて、針棒25に往復の上下動が入力され、二本の縫い針26は、被縫製物に対して針落ちを行う。
【0076】
送り機構30は、下軸11の偏心軸部の一つに設けられた角駒41によって、第一及び第二の送り台33,34にZ軸方向に沿って往復動作が入力される。
また、下軸11の偏心軸部の一つに上端部が連結されたコネクティングロッド35により入力腕36が水平送り軸37回りに往復回動を行う。第一の送り台33には、往復回動を行う入力腕36からスライド部材38及び角駒を介してX軸方向に沿った往復動作が入力される。
また、第二の送り台34には、水平送り軸37回りに往復回動を行う出力腕39からリンク部材40を介してX軸方向に沿った往復動作が入力される。
これらにより、第一及び第二の送り台33,34には、Z軸方向の往復動作とX軸方向の往復動作とが合成されて、X-Z平面上の長円を周回する動作が入力される。これらにより、第一及び第二の送り歯31,32は、縫い針26が上昇中に針板上の被縫製物を前方に送る動作を行う。
【0077】
メス機構50は、下軸11の偏心軸部の一つからコネクティングロッド51の下端部にY軸回りの周回運動が入力される。そして、コネクティングロッド51の上端部から入力腕52及びメス駆動軸53にY軸回りの往復回動が入力される。
さらに、メス駆動軸53からメス腕54を通じて布切りメスに往復の上下動が入力され、縫い針26と同期して針板上の被縫製物の右端縁部を切除する。
【0078】
下ルーパ機構60は、下軸11の偏心軸部の一つからコネクティングロッド61の上端部にY軸回りの周回運動が入力される。そして、コネクティングロッド61の下端部から入力腕62及び下ルーパ軸63にX軸回りの往復回動が入力される。
さらに、下ルーパ軸63から下ルーパ腕64を通じて下ルーパ65に往復の回動動作が入力され、縫い針26と同期して捕捉部651が縫い糸のループを捕捉する。
【0079】
上ルーパ機構70は、下軸11の偏心軸部111からコネクティングロッド71の上端部にY軸回りの周回運動が入力される。そして、コネクティングロッド71の下端部から第一入力腕72及び中間伝達軸73にX軸回りの往復回動が入力される。
さらに、中間伝達軸73から出力腕74を通じて第一及び第二リンク75,76に往復上下動が入力される。そして、第二リンク76から第二入力腕80及び上ルーパ軸81にX軸回りの往復回動が入力される。
そして、上ルーパ軸81から上ルーパ腕82を通じて上ルーパロッド83の上端部の上ルーパ84に所定の曲線の軌跡に沿って往復動作が入力される。
これにより、上ルーパ84が上昇しつつ徐々に左方に移動する移動動作を行い、針板の下方で下ルーパ糸の捕捉を行い、針板の上方で上ルーパ糸を縫い針26に捕捉させる。
【0080】
上記縫い針26の針落ちと下ルーパ65による縫い糸のループの捕捉と上ルーパ84による下ルーパ糸のループの捕捉及び上ルーパ糸のループの捕捉とは同期して行われる。
そして、これらが繰り返されることにより、被縫製物の右側縁部に対する縁かがり縫いが行われる。
【0081】
なお、上ルーパ機構70の連結軸77をY軸回りに回転調節すると、前述したように、第一リンク75の基準距離に対する第二リンク76の調節距離を変えることができる。これにより、上ルーパ84の往復動作量、往復動作の高さを調節することができる。
図8は連結軸77により上ルーパ84の往復動作量、往復動作の高さを調節した場合の上ルーパ84の移動軌跡を示している。
【0082】
図8の移動軌跡L1は第一リンク75の基準距離に対する第二リンク76の調節距離を小さく調節した場合を示す。移動軌跡L2は第一リンク75の基準距離に対する第二リンク76の調節距離を移動軌跡L1の場合よりも大きく調節した場合を示す。移動軌跡L3は第一リンク75の基準距離に対する第二リンク76の調節距離をさらに大きく調節した場合を示す。
図8における横軸は上ルーパ84のX軸方向の位置を示し、0は針落ち位置を示す。縦軸は上ルーパ84のZ軸方向の位置を示し、0は針板上面の高さを示す。
このように、連結軸77の回転調節により、上ルーパ84の往復動作量、往復動作の高さを調節することができる。
従って、第一リンク75の基準距離に対する第二リンク76の調節距離を調節することで、被縫製物の厚さに応じた縁かがり縫いを良好に行うことができる。
【0083】
[発明の実施形態の技術的効果]
上記縁かがり縫いミシン100の上ルーパ機構70は、第一リンク75と第二リンク76との間で往復動作を伝達する連結軸77とこれを支持する回動腕78とを有する。
さらに、連結軸77は、第一リンク75に連結される右端部771と第二リンク76に連結される左端部772とを有する。そして、連結軸77は、回動腕78に対する回転により軸位置又は姿勢を調節して、回動腕78の回動中心から左端部772までの距離が変動するように設けられている。
このため、連結軸77の調節という容易な作業によって上ルーパ84の往復動作量、往復動作の高さを変更調節でき、作業負担を極めて低減させることが可能となる。
【0084】
また、連結軸77は、ミシンフレームの上部に配置されている。このため、上部カバー等を開けるとすぐに連結軸77にアクセスすることができ、上ルーパ84の往復動作量、往復動作の高さをさらに容易に変更調節することができる。
【0085】
また、右端部771と左端部772とは互いに偏心して連結軸77に設けられた軸部である。このため、連結軸77の回転調節という極めて容易な作業によって上ルーパ84の往復動作量、往復動作の高さをさらに容易に変更調節することができる。
【0086】
また、連結軸77の右端部771と左端部772とは、球面を有する軸部から構成されている。
このため、右端部771の動作伝達上流側の部材と左端部772と動作伝達下流側の部材とで、動作方向が一致しない場合であっても、連結軸77は動作伝達を行うことが可能である。従って、伝達機構の構造的な制約が低減し、上ルーパ機構70の適用範囲を拡大し、汎用性を向上させることが可能となる。
【0087】
また、連結軸77の両側にそれぞれ連結される第一リンク75と第二リンク76とは、いずれも、リンク部材から構成されている。
この場合、連結軸77の回転調節による二つのリンク部材に対する動作伝達量の変化を容易に把握することができ、上ルーパ機構70の設計の容易化を図ることが可能となる。
【0088】
[上ルーパ機構の他の例]
以上、本発明の各実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られるものではない。例えば、実施形態において、単一の部材により一体的に形成された構成要素は、複数の部材に分割されて互いに連結又は固着された構成要素に置換してもよい。また、複数の部材が連結されて構成された構成要素は、単一の部材により一体的に形成された構成要素に置換してもよい。その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0089】
例えば、上ルーパ機構70の構成は、一例であって、伝達体を用いて上ルーパ84の往復動作量、往復動作の高さを容易に変更調節可能な他の構成を用いてもよい。
図9は、上ルーパ機構70と共通する技術的効果を得ることが可能な他の上ルーパ機構70Aを示した模式図である。なお、上ルーパ機構70Aについて、上ルーパ機構70と共通する構成については同符号を付して説明を省略する。
【0090】
図9に示すように、上ルーパ機構70Aの伝達機構は、コネクティングロッド71A、伝達体としての連結軸77A、回動腕78、回動腕支軸79、第二リンク76を備えている。
さらに、上ルーパ機構70Aの伝達機構は、第二入力腕80、上ルーパ軸81、上ルーパ腕82、上ルーパロッド83、上ルーパ84、ロッド支持台85を備えている。
【0091】
主に、上ルーパ機構70Aにおける上ルーパ機構70との違いを説明する。
下軸11Aは、偏心軸部111Aが球状ではなく、Y軸方向に沿った丸棒状である。
そして、上ルーパ機構70Aでは、コネクティングロッド71Aの上端部及び下端部がいずれも、球面軸受構造ではない。コネクティングロッド71Aの上端部及び下端部は、いずれも、Y軸方向に沿った軸を回転可能に保持することができる。
【0092】
コネクティングロッド71Aの下端部は、下軸11Aの偏心軸部111Aと連結されている。コネクティングロッド71Aの上端部は、伝達体としての連結軸77Aの右端部771Aと連結されている。
【0093】
連結軸77Aは、右端部771A(第一連結部)、左端部772、中間支持部773、偏心部774を有し、これらは一体的に形成されている。
右端部771Aは、球形ではなく、Y軸方向に沿った丸棒状である。右端部771Aは、中間支持部773と同心である。
【0094】
上記上ルーパ機構70Aの場合、下軸11Aが回転駆動されると、コネクティングロッド71Aの下端部には、Y軸回りの周回動作が入力される。
そして、コネクティングロッド71Aの上端部は、連結軸77Aを介して回動腕78を上下に回動させる。これにより、連結軸77Aの左端部772に連結された第二リンク76は上下動を行い、第二入力腕80及び上ルーパ軸81にX軸回りの回動動作を入力する。
さらに、上ルーパ軸81から上ルーパ腕82を通じて上ルーパロッド83の上端部の上ルーパ84に所定の曲線の軌跡に沿って往復動作が入力される。
これにより、上ルーパ84が上昇しつつ徐々に左方に移動する移動動作を行い、針板の下方で下ルーパ糸の捕捉を行い、針板の上方で上ルーパ糸を縫い針26に捕捉させる。
【0095】
ここで、回動腕支軸79の中心からコネクティングロッド71Aの上端部(右端部771Aの中心)までの距離を基準距離とする。また、回動腕支軸79の中心から第二リンク76の上端部(左端部772の中心)までの距離を調節距離とする。
そして、上ルーパ機構70Aの連結軸77AをY軸回りに回転調節すると、連結軸77と同様に調節作業を行うことができる。即ち、連結軸77Aの回転調節により、コネクティングロッド71Aの基準距離に対する第二リンク76の調節距離を変えることができる。これにより、上ルーパ機構70Aの場合も、上ルーパ84の往復動作量、往復動作の高さを容易に調節することができる。
【0096】
[その他]
前述した針上下動機構20では、連結軸27の偏心軸部271を第三連結部として、コネクティングロッド21に対してY軸回りに調節可能とする例を示した。
しかし、これに限定されず、連結軸27の両端部272,272が入力腕22に対してY軸回りに回転調節可能としてもよい。その場合、偏心軸部271はコネクティングロッド21に対して自由に回転し、両端部272,272は、ネジにより入力腕22に対して任意の回転角度に調節可能とする。
この場合には、連結軸27の両端部272,272が第三連結部として機能し、偏心軸部271が第四連結部として機能する。また、コネクティングロッド21が二つの部材の他方となり、入力腕22が二つの部材の一方となる。
連結軸27を両端部272,272で回転調節すると、偏心軸部271は入力腕22の回動中心からの距離が変わるので、上軸23の回動ストロークを調節することができる。
【0097】
また、前述した、伝達体としての連結軸77は、回転調節により、回動腕78の回動中心からの左端部772までの距離のみが変動する構成となっているがこれに限定されない。
連結軸77の回転調節により、回動腕78の回動中心からの左端部772までの距離と右端部771までの距離の比率が変わればよい。例えば、連結軸77の回転調節により、右端部771のみが回動腕78の回動中心からの距離が変動する構成としてもよい。また、連結軸77の回転調節により、右端部771と左端部772の双方が回動腕78の回動中心からの距離が変動する構成としてもよい。
【0098】
また、前述した
図9に示す上ルーパ機構70Aでは、回動腕78が連結軸77Aの中間支持部773の軸角度をY軸回りに回転調節可能に保持しているがこれに限定されない。
例えば、回動腕78は中間支持部773を自由に回転可能とし、コネクティングロッド71Aが連結軸77Aの右端部771Aの軸角度をY軸回りに調節可能に保持してもよい。
【0099】
コネクティングロッド71Aにおいて連結軸77Aの右端部771Aの軸角度を変更調節すると、同時に、回動腕78に対する連結軸77Aの軸角度も調節される。
そして、上ルーパ機構70Aの連結軸77AをY軸回りに回転調節すると、コネクティングロッド71Aの基準距離に対する第二リンク76の調節距離を変えることができる。これにより、上ルーパ機構70Aにおける上ルーパ84の往復動作量、往復動作の高さを調節することができる。
【符号の説明】
【0100】
11,11A 下軸(回転軸)
111,111A 偏心軸部
20 針上下動機構
21 コネクティングロッド(二つの部材の一方)
22 入力腕(二つの部材の他方)
25 針棒
26 縫い針
27 連結軸
271 偏心軸部(第三連結部)
272 両端部(第四連結部)
30 送り機構
50 メス機構
60 下ルーパ機構
61 コネクティングロッド
62 入力腕
63 下ルーパ軸
64 下ルーパ腕
65 下ルーパ
651 捕捉部
70,70A 上ルーパ機構
71,71A コネクティングロッド
72 第一入力腕
73 中間伝達軸
74 出力腕
75 第一リンク(二つの部材の一方、リンク体)
76 第二リンク(二つの部材の他方、リンク体)
77,77A 連結軸(伝達体)
771,771A 右端部(第一連結部)
772 左端部(第二連結部)
773 中間支持部
774 偏心部
78 回動腕
79 回動腕支軸
80 第二入力腕
81 上ルーパ軸
82 上ルーパ腕
83 上ルーパロッド
84 上ルーパ
841 捕捉部
85 ロッド支持台
851 回動支持体
86 固定ネジ
100 縁かがり縫いミシン
L1,L2,L3 移動軌跡