IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリエント技研株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-基板処理方法及びその装置 図1
  • 特開-基板処理方法及びその装置 図2
  • 特開-基板処理方法及びその装置 図3
  • 特開-基板処理方法及びその装置 図4
  • 特開-基板処理方法及びその装置 図5
  • 特開-基板処理方法及びその装置 図6
  • 特開-基板処理方法及びその装置 図7
  • 特開-基板処理方法及びその装置 図8
  • 特開-基板処理方法及びその装置 図9
  • 特開-基板処理方法及びその装置 図10
  • 特開-基板処理方法及びその装置 図11
  • 特開-基板処理方法及びその装置 図12
  • 特開-基板処理方法及びその装置 図13
  • 特開-基板処理方法及びその装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039299
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】基板処理方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240314BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
H01L21/304 642A
H01L21/304 648A
H01L21/68 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143748
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】503272081
【氏名又は名称】オリエント技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081547
【弁理士】
【氏名又は名称】亀川 義示
(72)【発明者】
【氏名】小澤 一雄
【テーマコード(参考)】
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA37
5F131CA12
5F131GA03
5F131GA33
5F131GA43
5F131GA52
5F157AB03
5F157AB13
5F157AB34
5F157AB42
5F157AC01
5F157BB02
5F157CC31
5F157CD27
5F157DB02
5F157DB32
5F157DB34
5F157DB36
(57)【要約】
【課題】汎用のカセットに収納したウエハ等の基板を、カセットごと洗浄液に浸漬し、その後に乾燥する基板処理において、基板を処理槽から乾燥室に引き上げる際、基板及びカセットの保持部に水滴を残留させることなく処理できるようにした基板処理方法及びその装置を提供する。
【解決手段】カセット6と基板9を、基板9がカセット6から分離された状態でカセット昇降機10に載置して処理槽1に浸漬する。浸漬洗浄後、カセット昇降機10を乾燥室2に向けて上昇し、その途中で基板9を乾燥室2内に存する基板昇降機13で保持して、乾燥室2に移送する。その後、カセット6を、乾燥室2に存するカセット搬送機5で保持して乾燥室2に移送する。乾燥後、乾燥した基板9を、乾燥したカセット6に収納し、乾燥室2から取り出す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カセットと基板を、基板がカセットから分離された状態でカセット昇降機に載置して処理槽に浸漬し、浸漬洗浄後、カセット昇降機を乾燥室に向けて上昇し、その途中で基板を、乾燥室内に存する基板昇降機で保持して乾燥室に移送し、その後、カセットを、乾燥室に存するカセット搬送機で保持して乾燥室に移送し、乾燥後、乾燥した基板を、乾燥したカセットに収納し、乾燥室から取り出すことを特徴とする基板処理方法。
【請求項2】
洗浄液を貯留した処理槽とその上方に位置する乾燥室を有し、
基板を収納したカセットを乾燥室で受け取り、基板とカセットを分離した状態で保持する工程と、
基板とカセットを降下して処理槽に浸漬する工程と、
洗浄後、基板とカセットを乾燥室に向けて上昇させる工程と、
上昇の途中で乾燥室内の基板昇降機で基板を保持し乾燥室に引き上げる工程と、
基板に続いて乾燥室内のカセット搬送機によりカセットを保持し、乾燥室に引き上げる工程と、
乾燥室で基板とカセットをそれぞれ乾燥する工程と、
乾燥後にカセット昇降機を上昇させ基板受台に基板を入り込ませ、基板昇降機による基板の保持を解除する工程と、
その後にカセットをカセット搬送機で上昇させて基板受台から基板をカセット内に入り込ませ乾燥室から取り出す工程
を含む請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
洗浄液を貯留した処理槽と、その上方に位置する乾燥室を有し、
乾燥室の外部と内部間で昇降し、基板を収納したカセットを乾燥室の外方で受け取り、乾燥室内でカセットをカセット昇降機に受け渡し、かつ、降下した位置で処理槽から乾燥室に上昇してきたカセットを受け取り、乾燥室内に保持し、カセットに基板が収納されたら乾燥室の外部にカセットを取り出すよう上昇するカセット搬送機と、
乾燥室と処理槽間で昇降し、カセット受台とカセット受台よりも上方に立ち上がる基板受台を有し、乾燥室に上昇した位置で上記カセット搬送機からカセットを受け取り、カセット受台でカセットを保持し、かつ基板を基板受台で保持してカセットと基板を分離し、その状態で処理槽に降下してカセットと基板を洗浄液に浸漬し、洗浄後、基板をカセットから分離した状態のまま乾燥室に向けて上昇し、基板とカセットが乾燥されたら、基板をカセット内に収納するよう上昇するカセット昇降機と、
乾燥室内で昇降し、処理槽から上昇してきた基板をカセット昇降機の基板受台から受け取り、上昇して基板全体を乾燥室内に保持し、カセットがカセット搬送機で乾燥室内に上昇して乾燥された後、基板をカセット内に収納するよう基板の保持を解放する基板昇降機
を具備することを特徴とする基板処理装置
【請求項4】
上記基板昇降機は、基板を保持する開閉可能な基板保持ハンドを有し、上記カセット昇降機の基板受台の高さは、基板を基板保持ハンドで保持する際、カセット受台に載置したカセットの上面と間に、少なくとも上記基板保持ハンドを挿入できる高さに形成されている請求項3に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の基板を、洗浄処理後に、洗浄液から引上げて乾燥させる基板処理方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板、例えば半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示装置用ガラス基板、石英ガラス基板、光ディスク基板、磁気ディスク用基板、光学水晶基板、水晶発振子、光学ローパスフィルタ等の基板は、表面に回路やパターンを形成するため露光・現像処理やエッチング処理等が行われる。このような処理により基板に付着した現像液やエッチング液等の液体を除去するために、基板を洗浄し、後工程において、温水等の洗浄液を貯留した処理槽に浸漬し、その後乾燥室に引き上げて基板の表面を乾燥するという基板処理が行われている。このような処理をする際、カセットに収納されている基板を、処理槽内で上下動する専用のキャリアや基板保持搬送台に移し替えて処理するカセットレス基板処理装置が知られているが、専用のキャリア等に基板を移し換える手間がかかり、装置も複雑になり、また基板に接触している部分に水滴が残り、乾燥後にウォーターマークが発生するおそれがあった。
【0003】
専用のキャリア等を使用せずに、基板を汎用のカセットに収納した状態で洗浄・乾燥装置に搬入し処理する装置も用いられている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載のリフトドライ装置は、処理槽と乾燥室内で昇降する受台を設け、この受台を乾燥室に上昇させて、ウエハを収納したカセットを受け取り、降下してカセットと基板を処理槽に浸漬する。受台には、カセットの下端を案内するガイド片と、受台にカセットが載置されたとき、ウエハをカセットの受溝から10mm程度上昇させるようウエハリフターが設けられており、ウエハは、ウエハリフターに載置された状態で処理槽及び乾燥室内を移動する。このウエハリフターの上縁には、水が流れ込むよう細隙が設けられているので、受台を乾燥室に上昇させるとき、ウエハに付着している水滴は上記ウエハリフターの細隙に流れ込んで流出する。この構成では、ウエハは、ウエハリフターに接触した状態でカセットとともに処理槽から乾燥室に引き上げられるが、上記ウエハは、ウエハリフターに接した状態で処理槽の液面に接触しながら乾燥室の大気中に引き上げられるから、接触部間には、水滴が残留するおそれがある。特許文献1に記載の装置では、カセットを揺動させているが、カセットを揺動させたとしても、乾燥室の大気中にカセットとウエハを上昇させるとき液面に接触した状態で引き上げる構成であるので、水滴が確実に除去されたかどうか不確実である。このように、乾燥室の大気中に引き上げるとき、カセットとウエハの接触部に水滴が残留しているおそれがあるので、ウォーターマークの発生を完全におさえることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平8-8228公報(請求項1、4欄17から39行、8欄9から18行、第1図、第4図から第6図)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の解決課題は、基板を洗浄乾燥する基板処理において、基板を汎用のカセットに収納した状態で処理槽に浸漬して洗浄でき、基板とカセットを把持して処理槽から乾燥室に引き上げるとき、把持部分での液面との接触部をなくした状態で乾燥室の大気中に引き上げ、充分に乾燥させてから、基板をカセットに収納できるようにした基板処理方法及びその装置を提供することである。
【0006】
本発明によれば、
カセットと基板を、基板がカセットから分離された状態でカセット昇降機に載置して処理槽に浸漬し、浸漬洗浄後、カセット昇降機を乾燥室に向けて上昇し、その途中で基板を、乾燥室内に存する基板昇降機で保持して乾燥室に移送し、その後、カセットを、乾燥室に存するカセット搬送機で保持して乾燥室に移送し、乾燥後、乾燥した基板を、乾燥したカセットに収納し、乾燥室から取り出すことを特徴とする基板処理方法が提供され、上記課題が解決される。
【0007】
さらに本発明によれば、
洗浄液を貯留した処理槽とその上方に位置する乾燥室を有し、
基板を収納したカセットを乾燥室で受け取り、基板とカセットを分離した状態で保持する工程と、
基板とカセットを降下して処理槽に浸漬する工程と、
洗浄後、基板とカセットを乾燥室に向けて上昇させる工程と、
上昇の途中で乾燥室内の基板昇降機で基板を保持し、乾燥室に引き上げる工程と、
基板に続いて乾燥室内のカセット搬送機によりカセットを保持し、乾燥室に引き上げる工程と、
乾燥室で基板とカセットをそれぞれ乾燥する工程と、
乾燥後にカセット昇降機を上昇させて基板受台に基板を入り込ませ、基板昇降機による基板の保持を解除する工程と、
その後にカセットをカセット搬送機で上昇させて乾燥室から取り出す工程
を含む基板処理方法が提供され、上記課題が解決される。
【0008】
また、本発明によれば、
洗浄液を貯留した処理槽と、その上方に位置する乾燥室を有し、
乾燥室の外部と内部間で昇降し、基板を収納したカセットを乾燥室の外方で受け取り、乾燥室内でカセットをカセット昇降機に受け渡し、かつ、降下した位置で処理槽から乾燥室に上昇してきたカセットを受け取り、乾燥室内に保持し、カセットに基板が収納されたら乾燥室の外部にカセットを取り出すよう上昇するカセット搬送機と、
乾燥室と処理槽間で昇降し、カセット受台とカセット受台よりも上方に立ち上がる基板受台を有し、乾燥室に上昇した位置で上記カセット搬送機からカセットを受け取り、カセット受台でカセットを保持し、かつ基板を基板受台で保持してカセットと基板を分離し、その状態で処理槽に降下してカセットと基板を洗浄液に浸漬し、洗浄後、基板をカセットから分離した状態のまま乾燥室に向けて上昇し、基板とカセットが乾燥されたら、基板をカセット内に収納するよう上昇するカセット昇降機と、
乾燥室内で昇降し、処理槽から上昇してきた基板をカセット昇降機の基板受台から受け取り、上昇して基板全体を乾燥室内に保持し、カセットがカセット搬送機で乾燥室内に上昇して乾燥された後、基板をカセット内に収納するよう基板の保持を解放する基板昇降機
を具備することを特徴とする基板処理装置が提供され、上記課題が解決される。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上記のように構成され、基板を収納したカセットを、カセット搬送機から乾燥室内に位置するカセット昇降機に移送し、カセットをカセット受台に載置し、カセットに収納されている基板をカセット受台よりも上方に位置する基板受台に載置することによりカセットと基板を分離した状態で保持する。カセットと基板は、カセット昇降機を処理槽内に降下することにより、洗浄液に浸漬される。洗浄後カセット昇降機は上昇して乾燥室に向かうが、基板が乾燥室の大気中に露出する位置に上昇したとき、乾燥室内に設けた基板昇降機は基板を受け取って上昇し、基板全体を乾燥室内に保持する。その後、カセットは、カセット昇降機から、乾燥室内で待機しているカセット搬送機に保持されて上昇し、全体が乾燥室の大気中に露出する。このように乾燥室内の大気中に引き上げる部分で、基板とカセットを、それぞれ乾燥室内に位置する基板昇降機とカセット搬送機で保持して上昇するようにしたので、各保持部分には液面と接触する部分がなく、液残りの問題が解消され、それぞれが確実に乾燥される。そして、充分に乾燥したら、カセットを上昇させるとともに基板昇降機による基板の保持を解放すると、基板はカセットに入り込む。そしてカセット搬送機を上昇させて乾燥室から取り出すことにより、基板をカセット内に収納した状態で基板の洗浄乾燥処理が終了する。以上のように、処理槽の液面から乾燥室の大気中に引き上げる部分において、基板を受け取る基板昇降機もカセットを受け取るカセット搬送機も、液面に接触する部分がない状態で、基板及びカセットを乾燥室の大気中に引き上げできるから、残留水分によりウォーターマークが発生するという事態を生じないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例を示し、正面から見た概略図。
図2】右側面から見た概略図。
図3】カセットを持ったカセット搬送機が、乾燥室の上方へ移動した状態の説明図。
図4】乾燥室の蓋が開き、カセット昇降機が乾燥室内に上昇した状態の説明図。
図5】カセット搬送機が乾燥室内に降下し、カセットをアンチャックしてカセット昇降機の上に載置した状態の説明図。
図6】乾燥室の蓋が閉鎖され、温風が乾燥室に吹き出され、カセット昇降機が降下してカセット及び基板を処理槽に浸漬している状態の説明図。
図7】カセット昇降機が緩やかに上昇し基板の一部が乾燥室に入った状態の説明図。
図8】基板昇降機がカセット昇降機と同速度で上昇し、基板昇降機の基板保持ハンド間の間隔が狭まって基板を保持した状態の説明図。
図9】カセット昇降機の速度を減速し、基板をカセット昇降機から切り離して上昇させた状態の説明図。
図10】カセット昇降機と同速度でカセット搬送機を上昇させながら搬送保持ハンド間の間隔を狭めてカセットを保持した状態の説明図。
図11】カセット昇降機の上昇を停止し、カセット搬送機の上昇によりカセットをカセット昇降機から切り離して、乾燥室内に上昇し、乾燥している状態の説明図。
図12】乾燥終了後、カセット昇降機を上昇させ基板を基板受台に載置し、基板をカセットに収納するよう基板昇降機の基板保持ハンド間の間隔を開いた状態の説明図。
図13】温風を停止し、蓋を開き、カセット搬送機によりカセットを乾燥室の外部に上昇させた状態の説明図。
図14】カセット昇降機を降下し、蓋を閉じ、初期状態に戻ったときの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図2を参照し、基板処理装置は、公知のように、洗浄液を貯留した処理槽1を有し、その上方にはヒーターや乾燥用気体で内部を乾燥できるようにした乾燥室2が設けられ、乾燥室2の上部は開閉式の開閉蓋3で閉鎖され、開閉蓋3には、温風吹き出し口(図示略)が設けられ、温風が噴き出るよう構成されている。処理槽1に貯留される洗浄液は、純水、炭酸水、水素水、電解イオン水等基板に残留する形成膜の種類に応じた適宜の洗浄水が使用され、洗浄液を温水に加熱する加熱装置(図示略)や洗浄液を循環させて濾過する浄化装置4等が設けられている。なお、乾燥用気体としては、加温した窒素ガス等の不活性ガスや、不活性ガスに代えてドライエアDFやIPA蒸気等適宜の乾燥用気体を用いることができる。
【0012】
上記乾燥室2の外部と内部で昇降するようカセット搬送機5が設けられている。上述したように、半導体ウエハその他の基板9は、汎用のカセット6に収納されており、カセット搬送機5は、カセット6の上縁に形成されたカセット保持部7の両側に係合するよう対向する搬送保持ハンド8を有する。該搬送保持ハンド8は、カセット保持部7を把持し若しくは解放するよう、すなわちハンド間の間隔が狭まり若しくは広がるよう図1において、左右方向に開閉可能である。
【0013】
上記カセット搬送機5は、上記カセット6をローダー/アンローダー箇所で受け取って乾燥室2の上方に移動し、開閉蓋3が開いたとき、乾燥室2内に降下し、搬送保持ハンド8による保持を解放して乾燥室2内で待機しているカセット昇降機10にカセット6を移送する。また、後記するように、処理槽1からカセット6が上昇してきたら、搬送保持ハンド8間の間隔を狭めてカセット6のカセット保持部7を保持し、カセット昇降機10のカセット受台11からカセット6を受け取って乾燥室2内に移送する。基板9とカセット6が乾燥室2内でそれぞれ十分に乾燥され、乾燥した基板9を、乾燥したカセット6に収納したら、カセット6を乾燥室2の外部に取り出す。
【0014】
上記カセット昇降機10は、上記乾燥室2と処理槽1間で昇降可能に設けられており、カセット6が載置されるカセット受台11と、基板9をカセット6から分離して起立状態で保持するようカセット受台11から上方に立ち上がる基板受台12を有する。この基板受台12は、基板9を起立状態に保持できるよう受溝(図示略)を形成した2本の棒状体で構成され、カセット受台11からの高さは、後記する基板昇降機13の基板保持ハンド14がカセット6の上部にぶつかることなく基板9を基板受台12から受け取ることができる高さ(間隔)に形成されている。
【0015】
カセット昇降機10は、上昇して乾燥室2内に入って待機し、上記カセット搬送機5からカセット6を受け取り、このとき、基板9を基板受台12で保持してカセット受台11に載置されているカセット6の上方に分離する。その後、その状態で処理槽1内に降下してカセット6と基板9を洗浄液に浸漬する。洗浄後、基板9をカセット6から分離した状態のまま乾燥室2に向けて上昇する。基板9は基板昇降機13により乾燥室2の大気中に移送される。その後、停止し、カセット6をカセット搬送機5に受け渡し、カセット6は、カセット搬送機5の上昇により乾燥室2内に移送される。基板9が乾燥したら上昇して基板9をカセット6内に受け取る。乾燥サイクルが終了したら、処理槽内に降下する。
【0016】
上記基板昇降機13は、乾燥室2内で昇降可能に設けられ、基板9の両側を保持できるよう上面に基板の受溝(図示略)を形成した対向する基板保持ハンド14を有し、該基板保持ハンド14は、基板9を保持し若しくは解放するよう間隔が狭まる方向、図1において、左右方向に開閉可能である。なお、上記したように、基板保持ハンド14の大きさは、上記カセット昇降機10の基板受台12から、基板9を受け取る際、基板保持ハンド14がカセット6の上部にぶつからずに基板9にアクセスできる大きさに形成されている。
【0017】
上記基板昇降機13は、処理槽1から基板9の一部が上昇してきたとき、基板保持ハンド14により基板9を保持して上昇し、基板9全体を乾燥室2内に搬入する。カセット6がカセット搬送機5により乾燥室2内に上昇して乾燥された後、上昇してきたカセット昇降機10の基板受台12に基板9を入り込ませ、基板保持ハンド14による保持を解放する。
【0018】
添付図面参照して乾燥動作フローを説明すると、下記の通りである。
(1) カセット搬送機5が、ローダー/アンローダー箇所へ、カセット6を取りに行く。
(2) カセット6を持ったカセット搬送機5が乾燥室2の上方へ移動する(図3)。
【0019】
(3) 乾燥室2の上部の蓋3が開き、カセット昇降機10は上昇して乾燥室2内で待機している(図4)。
(4) 基板とカセットを分離して保持する工程。
カセット搬送機5が降下し、カセット6をアンチャックしてカセット昇降機10に受け渡す。このとき基板9は基板受台12に載置され、カセット6は基板9から分離した状態でカセット受台11上に載置される(図5)。上記カセット搬送機5は、乾燥室2内で待機する。
【0020】
(5) 処理槽に浸漬する工程
乾燥室2の上方の蓋3が閉まり、カセット昇降機10が処理槽1内に降下し、基板9及びカセット6の全体を洗浄液中に浸漬する。カセット搬送機5は、乾燥室2内で、少し降下した位置で待機しているが、処理槽1内に降下することはない(図6)。
(6) 乾燥室に向けて上昇する工程
洗浄が済むと、カセット昇降機10は、ゆるやかに乾燥室2に向けて上昇する。カセット6は上昇し、基板受台12に載置された基板9は、カセット6よりも先に液面から出て一部が乾燥室2の大気中に露出し、上昇しながら、乾燥室2内で徐々に乾燥される(図7)。
【0021】
(7) 基板を乾燥室に引き上げる工程
カセット昇降機10が上昇するとき、同速度で基板昇降機13を上昇させ、該基板昇降機13の基板保持ハンド14間の間隔を狭めて基板9の周囲を挟み込み、基板9をチャックする(図8)。このとき、基板昇降機13の速度を上げることにより、基板9が大気中に上昇する部分に、基板9と液面が接触している部分がない状態に引き上げることもできる。
(8) カセット昇降機10の速度を若干減速することにより、基板9はカセット昇降機10の基板受台12からさらに上昇し、カセット昇降機10から切り離されて乾燥室2内で充分に乾燥される(図9)。基板を保持して乾燥室の大気中に引き上げるとき、保持部分には液面に接する部分がないので、液残りの問題は生じない。
【0022】
(9) カセットを乾燥室に引き上げる工程
カセット昇降機10と同速度でカセット搬送機5が上昇し、搬送保持ハンド8間の間隔を狭めてカセット6をチャックする。カセット搬送機5が上昇すると、カセット6も基板9と同様に、液面から大気中に引き上げる部分には接触部がない状態で乾燥室2に引き上げられる(図10)。このとき、カセットを保持して水面から乾燥室の大気中に上げるとき、把持部分は液面に接触していないので、液残りがない状態で乾燥できる。
(10) 乾燥工程
カセット昇降機の上昇を停止し、カセット昇降機とカセットを切り離し、乾燥室内での基板とカセットの移動を停止する。この状態で乾燥タイマーを起動し、基板及びカセットを十分に乾燥する(図11)。この動きにより、カセットが水面から大気中に引き上げられる部分に、把持部分がないので、液残りなく、確実に乾燥できる。
【0023】
(11) 乾燥が終了したら、カセット昇降機10を上昇させ、カセット昇降機10の基板受台12上に基板9を入り込ませる。
(12) そして、基板昇降機13の基板保持ハンド14を左右に開いて、基板9をアンチャックし、カセット搬送機5を上昇させて基板9をカセット6内に収納する(図12)。
【0024】
(13) 乾燥室2の上方の蓋3を開き、その後にカセット搬送機5を上昇させ、カセット6を保持して乾燥室2から取り出す。この動きにより、基板9は汎用のカセット6内の正しい位置に納まった状態で取り出される(図13)。
(14) 乾燥室2の蓋3が閉まり、カセット昇降機10が処理槽1内の初期位置へ降下、基板昇降機13も初期位置に戻る(図14)。カセット搬送機5は、洗浄乾燥後の基板が入ったカセットをローダー/アンローダー箇所へアンロードする。
【0025】
以上のように、本発明によれば、基板を洗浄乾燥する際、基板やカセットを乾燥室に移送する段階で、基板やカセットを保持する部分に、液面に接する把持部分がない状態で移送できるので、液が残留するというおそれがなく、ウォーターマークの発生をなくすことができる。
【符号の説明】
【0026】
1 処理槽
2 乾燥室
3 開閉蓋
5 カセット搬送機
6 カセット
7 カセット保持部
8 搬送保持ハンド
9 基板
10 カセット昇降機
11 カセット受台
12 基板受台
13 基板昇降機
14 基板保持ハンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14