(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003930
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】波長変換装置、光源装置およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240109BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
G03B21/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103297
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】高城 邦彦
【テーマコード(参考)】
2K203
【Fターム(参考)】
2K203FA23
2K203FA34
2K203FA45
2K203GA35
2K203GA36
2K203GA37
2K203GA40
2K203GA49
2K203HA28
2K203HA67
2K203HB08
2K203HB09
2K203KA63
2K203LA04
2K203LA37
2K203MA12
(57)【要約】
【課題】蛍光体層における同一箇所に励起光が入射されることを抑制できる、波長変換装置、光源装置およびプロジェクターを提供する。
【解決手段】本発明の波長変換装置は、光源から入射する第1波長帯の第1光を第1波長帯とは異なる第2波長帯の第2光に変換する波長変換素子と、波長変換素子が固定される基材と、光源から射出された第1光を波長変換素子に入射させる集光素子と、集光素子を保持する保持部材と、回転軸を中心として保持部材を回転させる回転駆動部と、基材に固定され、保持部材を回転可能に支持する支持部材と、を備え、集光素子の光軸と保持部材の回転軸とは、互いに離間し、且つ、平行である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から入射する第1波長帯の第1光を前記第1波長帯とは異なる第2波長帯の第2光に変換する波長変換素子と、
前記波長変換素子が固定される基材と、
前記第1光を前記波長変換素子に入射させる集光素子と、
前記集光素子を保持する保持部材と、
回転軸を中心として前記保持部材を回転させる回転駆動部と、
前記基材に固定され、前記保持部材を回転可能に支持する支持部材と、を備え、
前記集光素子の光軸と前記保持部材の前記回転軸とは、互いに離間し、且つ、平行である
ことを特徴とする波長変換装置。
【請求項2】
前記支持部材は、
前記基材に固定される第1支柱と、
前記第1支柱に設けられ、前記保持部材と当接し、前記第1支柱を軸として回転することで前記保持部材を回転可能に支持する第1回転部材と、
前記回転軸を中心とする周方向において、前記第1支柱とは異なる位置で前記基材に固定される第2支柱と、
前記第2支柱に設けられ、前記保持部材と当接し、前記第2支柱を軸として回転する第2回転部材と、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
【請求項3】
前記第1支柱の前記基材に対して固定される第1端部とは反対側の第2端部と、前記第2支柱の前記基材に対して固定される第3端部とは反対側の第4端部とを固定する支柱固定部材、をさらに備える
ことを特徴とする請求項2に記載の波長変換装置。
【請求項4】
前記保持部材は、
前記集光素子を収容する本体部と、
前記本体部に設けられ、前記回転軸を中心として回転する第1歯車と、を含み、
前記回転駆動部は、前記第1歯車と噛合する第2歯車と、前記第2歯車を回転させる駆動素子と、を含み、
前記本体部は、前記第2歯車における前記第1歯車と噛合する歯面に交差する歯車側面に対向する対向面を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の波長変換装置。
【請求項5】
前記保持部材は、前記基材側の端部に、前記回転軸を中心とする径方向において前記基材と対向する対向部を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の波長変換装置。
【請求項6】
前記保持部材は、前記支持部材と当接する外周面を有し、
前記保持部材の前記外周面は、前記回転軸を中心とする径方向において段差を有しており、
前記回転軸に沿う軸方向において、前記段差と前記支持部材の一部とが重なる
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の波長変換装置。
【請求項7】
前記保持部材の前記回転軸は、前記集光素子に入射する前記第1光の光軸と一致する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の波長変換装置。
【請求項8】
請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の波長変換装置と、
前記第1光を射出する光源と、を備える
ことを特徴とする光源装置。
【請求項9】
請求項8に記載の光源装置と、
前記光源装置からの光を変調する光変調装置と、
前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、を備える
ことを特徴とするプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長変換装置、光源装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクター用の光源装置として、レーザー光源及び蛍光体を備える光源装置が知られている(例えば、下記特許文献1及び2参照)。
下記特許文献1に記載の光源装置では、蛍光体層と、蛍光体層を支持する基板と、基板に熱的に接続する支持部材と、を備えている。この光源装置において、基板は、蛍光体層を支持する支持面の一部が支持部材と熱的に接続していることで、基板および支持部材を介して蛍光体層の熱を放出するようにしている。
【0003】
また、下記特許文献1に記載の光源装置では、励起光が蛍光体層における同一箇所に常に入射されるため、励起光の入射位置の温度が高温となる。蛍光層の温度が上昇すると、蛍光体層における励起光から蛍光への変換効率が低くなる場合がある。
【0004】
これに対し、下記特許文献2に記載の光源装置では、励起光が入射する板状の光学部材の角度を変更したり、或いは、蛍光体層に励起光を集光する集光光学系を移動させたりすることによって、蛍光体層における励起光の集光位置を変化させるようにしている。これにより、蛍光体層における同一箇所に励起光が入射され続けることを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-180107号公報
【特許文献2】特開2018-190664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の光源装置では、集光光学系の光軸と直交する方向に集光光学系を往復運動させることで励起光の光路を変化させている。しかしながら、集光光学系の往復運動は、移動方向を変更するタイミングで集光光学系の移動速度が0になることで蛍光体層における同一箇所に励起光が入射されてしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様によれば、光源から入射する第1波長帯の第1光を前記第1波長帯とは異なる第2波長帯の第2光に変換する波長変換素子と、前記波長変換素子が固定される基材と、前記第1光を前記波長変換素子に入射させる集光素子と、前記集光素子を保持する保持部材と、回転軸を中心として前記保持部材を回転させる回転駆動部と、前記基材に固定され、前記保持部材を回転可能に支持する支持部材と、を備え、前記集光素子の光軸と前記保持部材の前記回転軸とは、互いに離間し、且つ、平行である、波長変換装置が提供される。
【0008】
本発明の一つの態様によれば、上記態様の波長変換装置と、前記第1光を射出する光源と、を備える、光源装置が提供される。
【0009】
本発明の一つの態様によれば、上記態様の光源装置と、前記光源装置からの光を変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、を備えるプロジェクターが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す図である。
【
図4】
図3のVI-VI線矢視による断面図である。
【
図5】集光素子の光軸、回転軸よび光線の光軸との位置関係を示す平面図である。
【
図6】波長変換素子の入射面における光線の入射位置を示す平面図である。
【
図7】第1変形例の支持部材を用いた波長変換装置の要部構成を示す図である。
【
図8】第2変形例における
図5に対応する図である。
【
図9】第3変形例における
図5に対応する図である。
【
図10】第2実施形態の光源装置の概略構成を示す断面図である。
【
図11】第2実施形態における回転軸および光軸の位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0012】
(プロジェクターの構成)
本実施形態に係るプロジェクターの一例について説明する。
図1は、本実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、スクリーンSCR上にカラー映像を表示する投射型画像表示装置である。プロジェクター1は、光源装置2と、色分離光学系3と、光変調装置11R,光変調装置11G,光変調装置11Bと、合成光学系5と、投射光学装置6とを備えている。
【0013】
色分離光学系3は、照明光WLを赤色光LRと、緑色光LGと、青色光LBとに分離する。色分離光学系3は、第1ダイクロイックミラー7aおよび第2ダイクロイックミラー7bと、第1全反射ミラー8a、第2全反射ミラー8bおよび第3全反射ミラー8cと、第1リレーレンズ9aおよび第2リレーレンズ9bとを概略備えている。
【0014】
第1ダイクロイックミラー7aは、光源装置2からの照明光WLを赤色光LRと緑色光LGと青色光LBとに分離する。第1ダイクロイックミラー7aは、分離された赤色光LRを透過すると共に、緑色光LGおよび青色光LBを反射する。一方、第2ダイクロイックミラー7bは、緑色光LGを反射すると共に青色光LBを透過することによって、その他の光を緑色光LGと青色光LBとに分離する。
【0015】
第1全反射ミラー8aは、赤色光LRの光路中に配置されて、第1ダイクロイックミラー7aを透過した赤色光LRを光変調装置11Rに向けて反射する。一方、第2全反射ミラー8bおよび第3全反射ミラー8cは、青色光LBの光路中に配置されて、第2ダイクロイックミラー7bを透過した青色光LBを光変調装置11Bに導く。緑色光LGは、第2ダイクロイックミラー7bから光変調装置11Gに向けて反射される。
【0016】
第1リレーレンズ9aおよび第2リレーレンズ9bは、青色光LBの光路中における第2ダイクロイックミラー7bの後段に配置されている。
【0017】
光変調装置11Rは、赤色光LRを画像情報に応じて変調し、赤色光LRに対応した画像光を形成する。光変調装置11Gは、緑色光LGを画像情報に応じて変調し、緑色光LGに対応した画像光を形成する。光変調装置11Bは、青色光LBを画像情報に応じて変調し、青色光LBに対応した画像光を形成する。
【0018】
光変調装置11R,光変調装置11G,光変調装置11Bには、例えば透過型の液晶パネルが用いられている。また、液晶パネルの入射側および射出側各々には、図示しない偏光板が配置されている。
【0019】
また、光変調装置11R,光変調装置11G,光変調装置11Bの入射側には、それぞれフィールドレンズ10R,フィールドレンズ10G,フィールドレンズ10Bが配置されている。フィールドレンズ10R,フィールドレンズ10G,フィールドレンズ10Bは、光変調装置11R,光変調装置11G,光変調装置11Bそれぞれに入射する赤色光LR,緑色光LG,青色光LBそれぞれを平行化する。
【0020】
合成光学系5には、光変調装置11R,光変調装置11G,光変調装置11Bからの画像光が入射する。合成光学系5は、各々が赤色光LR,緑色光LG,青色光LBに対応した画像光を合成し、この合成された画像光を投射光学装置6に向けて射出する。合成光学系5には、例えばクロスダイクロイックプリズムが用いられている。
【0021】
投射光学装置6は、投射レンズ群からなり、合成光学系5により合成された画像光をスクリーンSCRに向けて拡大投射する。これにより、スクリーンSCR上には、拡大されたカラー映像が表示される。
【0022】
(光源装置の構成)
続いて、本実施形態の光源装置2について説明する。以下の図面内において、必要に応じてXYZ座標系を用いて光源装置2の各構成について説明する。Z軸は光源装置2の照明光軸ax2と平行な軸であり、X軸は照明光軸ax2と直交し光源装置2の光軸ax1と平行な軸であり、Y軸はX軸およびZ軸に直交する軸である。
【0023】
図2は光源装置2の概略構成を示す図である。
図2に示すように、光源装置2は、光源部2Aと、インテグレーター光学系31と、偏光変換素子32と、重畳レンズ33とを備えている。
【0024】
光源部2Aは、光源用筐体20と、光源21と、コリメーター光学系22と、アフォーカル光学系23と、第1位相差素子28aと、拡散透過素子27と、光分離素子25と、波長変換装置4と、第2位相差素子28bと、集光光学系29と、拡散反射装置30と、第3位相差素子28cと、を備える。
【0025】
光源用筐体20は、内部に塵埃が侵入しづらい筐体であり、略直方体形状に形成されている。光源用筐体20は、第1側板201、第2側板202、第3側板203および第4側板204を有する。この他、図示を省略するが、光源用筐体20は、第1側板201、第2側板202、第3側板203および第4側板204のそれぞれの+Y方向の端部間を接続する天板、ならびに、-Y方向の端部間を接続する底板を有する。
【0026】
第1側板201は、光源用筐体20において照明光WLの射出側である+Z方向に配置される。第1側板201は、照明光WLを射出する射出口を有する。
第2側板202は、第1側板201とは反対側の面であり、第1側板201に対して-Z側に配置される。
【0027】
光源用筐体20には、X軸に沿う光源21の光軸ax1と、Z軸に沿う照明光軸ax2とが設定されている。すなわち、光軸ax1と照明光軸ax2とは交差している。光源装置2を構成する各光学部品は、光軸ax1又は照明光軸ax2上に配置される。
【0028】
具体的に、光源21と、コリメーター光学系22と、アフォーカル光学系23と、第1位相差素子28aと、光分離素子25と、第2位相差素子28bと、集光光学系29と、拡散反射装置30とは、光源21の光軸ax1上に順次並んで配置されている。
【0029】
また、波長変換装置4と、光分離素子25と、第3位相差素子28cと、インテグレーター光学系31と、偏光変換素子32と、重畳レンズ33とは、光源装置2の照明光軸ax2上に順次並んで配置されている。光軸ax1と照明光軸ax2とは、同一面内にあり、互いに直交する。光分離素子25は、光軸ax1と照明光軸ax2との交差部に配置される。
【0030】
光源21は、光源用筐体20の第3側板203に固定され、光軸ax1に沿って+X方向に光を射出する。
光源21は、固体光源としての複数の半導体レーザー211と、光源支持基板212と、を有する。複数の半導体レーザー211は光軸ax1と直交する面内において、アレイ状に並んで配置されている。光源支持基板212は、各半導体レーザー211を支持し、第3側板203に固定される。光源支持基板212は、半導体レーザー211の熱を光源用筐体20に伝達しやすいように、例えば金属によって形成されている。
【0031】
半導体レーザー211は、例えば、ピーク波長が460nmである青色波長帯(第1波長帯)の光線Bを射出する。このような構成に基づき、本実施形態の光源21は、複数の光線Bからなる第1光である青色光束BLを射出する。光源21から射出された青色光束BLは、コリメーター光学系22に入射する。
【0032】
(コリメーター光学系の構成)
コリメーター光学系22は、光源21から射出された青色光束BLを平行光に変換する。コリメーター光学系22は、例えばアレイ状に並んで配置された複数のコリメーターレンズ22aから構成されている。複数のコリメーターレンズ22aは、複数の半導体レーザー211に対応して配置されている。コリメーター光学系22を通過した青色光束BLは、アフォーカル光学系23に入射する。
【0033】
(アフォーカル光学系の構成)
アフォーカル光学系23は、青色光束BLの光束径を調整する。アフォーカル光学系23は、例えば凸レンズ23aおよび凹レンズ23bから構成されている。アフォーカル光学系23を通過した青色光束BLは第1位相差素子28aに入射する。
【0034】
(第1位相差素子の構成)
第1位相差素子28aは、例えば回転可能とされた1/2波長板である。半導体レーザー211から射出された青色光束BLは直線偏光である。第1位相差素子28aの回転角度を適切に設定することにより、第1位相差素子28aを透過する青色光束BLを、光分離素子25に対するS偏光成分とP偏光成分とを所定の比率で含む光線とすることができる。第1位相差素子28aを回転させることにより、S偏光成分とP偏光成分との比率を変化させることができる。
【0035】
第1位相差素子28aを通過することで生成されたS偏光成分の光線BLsとP偏光成分の光線BLpとを含む青色光束BLは拡散透過素子27に入射する。
【0036】
(拡散透過素子の構成)
拡散透過素子27は、第1位相差素子28aに対して+X側に配置され、第1位相差素子28aから入射する光線BLs,BLpの照度分布を均一化する。拡散透過素子27は、ホログラムを有する構成、複数の小レンズが光軸直交面に配列された構成、及び、光が通過する面が粗面である構成を例示できる。
なお、拡散透過素子27に代えて、一対のマルチレンズを有するホモジナイザー光学素子を採用してもよい。
拡散透過素子27を透過した青色光束BLは光分離素子25に入射する。
【0037】
(光分離素子の構成)
光分離素子25は、例えば波長選択性を有する偏光ビームスプリッターから構成されている。光分離素子25は、光軸ax1および照明光軸ax2に対してそれぞれ45°の角度をなしている。
【0038】
光分離素子25は、青色光束BLを、光分離素子25に対するS偏光成分の光線BLsとP偏光成分の光線BLpとに分離する偏光分離機能を有している。具体的に、光分離素子25は、S偏光成分の光線BLsを反射させ、P偏光成分の光線BLpを透過させる。
また、光分離素子25は青色光束BLとは波長帯が異なる蛍光YLを、その偏光状態にかかわらず透過させる色分離機能を有している。
【0039】
なお、光分離素子25は、拡散透過素子27から入射する光のうち、一部の光を通過させ、残りの光を反射するハーフミラーの機能と、第2位相差素子28bから入射する青色光BLs1を反射し、波長変換装置4から入射する蛍光YLを通過させるダイクロイックミラーの機能と、を有するものであってもよい。この場合、第1位相差素子28aおよび第2位相差素子28bは省略可能である。
【0040】
光分離素子25から射出されたS偏光の光線BLsは、波長変換装置4に入射する。波長変換装置4は、青色波長帯の光線BLsを青色波長帯とは異なる黄色波長帯の蛍光YLに変換して射出する。波長変換装置4から射出された蛍光YLは光分離素子25を透過する。なお、波長変換装置4の構成については後述する。
一方、光分離素子25から射出されたP偏光の光線BLpは、第2位相差素子28bに入射する。
【0041】
(第2位相差素子の構成)
第2位相差素子28bは、光分離素子25と拡散反射装置30との間の光路中に配置された1/4波長板から構成されている。したがって、光分離素子25から射出されたP偏光の光線BLpは、この第2位相差素子28bによって、例えば、右回り円偏光の青色光BLc1に変換された後、集光光学系29に入射する。
集光光学系29は、例えば凸レンズ29a,29bから構成され、青色光BLc1を集光させた状態で拡散反射装置30に入射させる。
【0042】
(拡散反射装置の構成)
拡散反射装置30は、光源用筐体20の第4側板204に固定される。拡散反射装置30は、光分離素子25における波長変換装置4の反対側に配置され、集光光学系29から射出された青色光BLc1を光分離素子25に向けて拡散反射させる。拡散反射装置30としては、青色光BLc1をランバート反射させつつ、且つ、偏光状態を乱さないものを用いる反射型の拡散板が用いられる。
【0043】
以下、拡散反射装置30によって拡散反射された光を青色光BLc2と称する。本実施形態によれば、青色光BLc1を拡散反射させることで略均一な照度分布の青色光BLc2が得られる。例えば、右回り円偏光の青色光BLc1は左回り円偏光の青色光BLc2として反射される。
【0044】
青色光BLc2は集光光学系29によって平行光に変換された後に再び第2位相差素子28bに入射する。左回り円偏光の青色光BLc2は、第2位相差素子28bによってS偏光の青色光BLs1に変換される。S偏光の青色光BLs1は、光分離素子25によって第3位相差素子28cに向けて反射される。すなわち、青色光BLs1および蛍光YLは、光分離素子25から互いに同一方向に向けて射出され、第3位相差素子28cに入射する。
【0045】
(第3位相差素子の構成)
第3位相差素子28cは、光分離素子25に対して+Z方向に配置され、光分離素子25から入射する青色光BLs1および蛍光YLをS偏光およびP偏光が混在する光に変換する。第3位相差素子28cは、光源用筐体20の第1側板201における光射出口に設けられる。第3位相差素子28cにより変換された白色光は、照明光WLとしてインテグレーター光学系31に射出される。このように本実施形態の光源部2Aからインテグレーター光学系31に射出される光は、青色光BLs1および蛍光YLが混在した照明光WLである。
【0046】
(インテグレーター光学系の構成)
インテグレーター光学系31は、例えば、第1マルチレンズアレイ31aと第2マルチレンズアレイ31bとから構成されている。
【0047】
第1マルチレンズアレイ31aは、照明光WLを複数の部分光束に分割するための複数の第1レンズ31amを有する。
【0048】
第1マルチレンズアレイ31aのレンズ面、すなわち第1レンズ31amの表面と、光変調装置11R,11G,11Bの各々の画像形成領域とは、互いに共役の関係となっている。そのため、照明光軸ax2の方向から見て、第1レンズ31amの各々の形状は、光変調装置11R,11G,11Bの画像形成領域の形状と略相似形の矩形状である。これにより、第1マルチレンズアレイ31aから射出された部分光束の各々は、光変調装置11R,11G,11Bの画像形成領域にそれぞれ効率良く入射する。
【0049】
第2マルチレンズアレイ31bは、第1マルチレンズアレイ31aの複数の第1レンズ31amに対応する複数の第2レンズ31bmを有する。第2マルチレンズアレイ31bは、重畳レンズ33とともに、第1マルチレンズアレイ31aの各第1レンズ31amの像を各光変調装置11R,11G,11Bの各々の画像形成領域の近傍に結像させる。インテグレーター光学系31を透過した照明光WLは、偏光変換素子32に入射する。
【0050】
(偏光変換素子の構成)
偏光変換素子32は、図示しない偏光分離膜と位相差板とをアレイ状に配列した構成を有する。偏光変換素子32は、照明光WLの偏光方向を所定の方向に揃える。具体的には、偏光変換素子32は、照明光WLの偏光方向を光変調装置11R,11G,11Bの入射側偏光板の透過軸の方向に揃える。
【0051】
これにより、偏光変換素子32を透過した照明光WLから分離される赤色光LR、緑色光LG、および青色光LBの偏光方向は、各光変調装置11R,11G,11Bの入射側偏光板の透過軸方向に一致する。したがって、赤色光LR、緑色光LG、および青色光LBは、入射側偏光板でそれぞれ遮光されることなく、光変調装置11R,11G,11Bの画像形成領域にそれぞれ入射する。偏光変換素子32を透過した照明光WLは、重畳レンズ33に入射する。
【0052】
(重畳レンズの構成)
重畳レンズ33は、インテグレーター光学系31と協働して、被照明領域である光変調装置11R,11G,11Bの各々の画像形成領域における照度分布を均一化する。
【0053】
(波長変換装置)
続いて、波長変換装置4の構成について説明する。
波長変換装置4は、光分離素子25側から順に配置される集光素子40、波長変換素子41、基板42および放熱部材43と、保持部材44と、回転駆動部45と、支持部材46と、を備える。なお、基板42は、光源用筐体20の第2側板202の一部である。基板42は、第2側板202に設けられた開口202aを閉塞する。
【0054】
集光素子40は、光線BLsを波長変換素子41に集光して入射させる。すなわち、集光素子40は、波長変換素子41に対して光線BLsの入射側である+Z側に配置されている。
【0055】
集光素子40は、+Z側から-Z側に向かって並ぶ、第1レンズ401、第2レンズ402および第3レンズ403を含む。なお、集光素子40を構成するレンズの数はこれに限られず、1枚または2枚、あるいは4枚以上でも良い。
【0056】
波長変換素子41は、光源21から射出されて入射する第1波長帯の第1光を第1波長帯とは異なる第2波長帯の第2光に変換する。すなわち、波長変換素子41は、光源21から射出されて光分離素子25で分離された第1波長帯である青色波長帯の光線BLsが第1光として入射し、青色波長帯とは異なる第2波長帯である黄色波長帯の蛍光YLに変換する。
【0057】
波長変換素子41は、波長変換層410および反射層411を有する。
波長変換層410は、例えばイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体を含んでいる。賦活剤としてセリウム(Ce)を含有するYAG:Ceを例にとると、波長変換層410として、Y2O3、Al2O3、CeO3等の構成元素を含む原料粉末を混合して固相反応させた材料、共沈法やソルゲル法等の湿式法により得られるY-Al-Oアモルファス粒子、噴霧乾燥法や火炎熱分解法、熱プラズマ法等の気相法により得られるYAG粒子等を用いることができる。なお、波長変換層410として多孔質焼結体を用いる場合、蛍光体内部で光が拡散し、横方向へ光が伝搬しにくいため光利用効率の観点でも望ましい。蛍光YLの波長帯は、例えば500~680nmにピーク波長を有する。すなわち、蛍光YLは、緑色光成分および赤色光成分を含む黄色光である。
【0058】
反射層411は、波長変換層410に対して光線BLsの入射側とは反対側に設けられる。すなわち、反射層411は、波長変換層410に対して+Z側に設けられている。反射層411は、波長変換層410から入射する蛍光YLを+Z側に向けて反射する。反射層411は、例えば、誘電体多層膜、金属ミラーおよび増反射膜等を含む積層膜で構成される。
【0059】
波長変換素子41は、入射した光線BLsを蛍光YLに変換して射出する入射面41aを有する。入射面41aは、波長変換層410の+Z側の表面である。本実施形態の波長変換素子41は、励起光である光線BLsの入射側に蛍光YLを射出する反射型の波長変換素子である。
【0060】
波長変換素子41は第2側板202の一部である基板42に固定される。基板42は、波長変換素子41を固定する支持面421を有する。本実施形態の場合、基板42を含む第2側板202が波長変換素子41を固定する基材に相当する。
【0061】
基板42は、光源用筐体20の第2側板202に設けられた開口202aを介して支持面421上の波長変換素子41を光源用筐体20の内部に位置させる。なお、波長変換素子41は光源用筐体20の第2側板202に直接固定されていてもよい。
【0062】
放熱部材43は、波長変換素子41で発生した熱を放出する。放熱部材43は、熱伝導性に優れた金属等の材料で構成される。放熱部材43は、複数の放熱フィン431を有し、複数の放熱フィン431の間には冷却装置によって冷却気体が流通する。複数の放熱フィン431は、波長変換素子41の熱を冷却気体に伝達することによって、波長変換素子41の熱を放熱する。
【0063】
続いて、波長変換装置4の構成について詳しく説明する。
図3は波長変換装置4の構成を示す斜視図である。
図4は波長変換装置4の要部構成を示す断面図である。なお、
図4は、
図3のVI-VI線矢視による断面図である。
図3に示すように、本実施形態の波長変換装置4において、集光素子40は、保持部材44に保持される。保持部材44は、Z軸に沿って延びる回転軸Rを中心として回転する。なお、回転軸Rは保持部材44の中心を通る仮想線である。以下の説明においては、回転軸Rの軸方向、すなわちZ軸と平行な方向を単に「軸方向」と呼び、回転軸Rを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、回転軸Rを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0064】
図4に示すように、保持部材44は、集光素子40を収容する本体部441と、本体部441に設けられた第1歯車445と、を有する。本体部441は、第1部位442と、第2部位443と、を有する。保持部材44は、第1歯車445を介して回転駆動部45からの回転駆動力が伝達されることで、回転軸Rを中心として回転する。保持部材44は、後述する支持部材46によって回転可能に支持されている。本実施形態において、集光素子40は、保持部材44とともに回転軸Rを中心として回転可能とされる。
【0065】
第1部位442、第1歯車445および第2部位443は軸方向に並んで配置されている。第1部位442は、軸方向において、集光素子40を波長変換素子41に対して適切な位置に保持する。
【0066】
第1部位442は、例えば、第1レンズ401を接着固定し、第2レンズ402あるいは第3レンズ403を板バネ等からなる付勢部材449を介して保持する。
なお、付勢部材449と第2レンズ402との間あるいは付勢部材449と第3レンズ403との間に、ゴム部材448を配置することが望ましい。このようにすれば、付勢部材449とレンズとが直接接触することによる異音や摩耗等の不具合の発生を抑制できる。
【0067】
第1歯車445はリング形状を有し、第1部位442の外周に嵌め込まれている。第2部位443は、第1歯車445に対して-Z側に配置される。第1歯車445は、軸方向において、第1部位442と第2部位443とに挟まれている。保持部材44において、第1部位442と第2部位443と第1歯車445とは互いに固定されている。なお、第1部位442、第2部位443および第1歯車445は一体に成形されていてもよい。
【0068】
軸方向から視て、第1部位442、第2部位443および第1歯車445は回転軸Rを中心として同心状に配置されている。
第1部位442および第2部位443は、それぞれ略筒状の形状を有する。第1部位442の外径と第2部位443の外径とは略等しい。一方、第1歯車445の外径を規定する歯車の歯先円の直径は、第1部位442および第2部位443の外径よりも小さい。このため、第1歯車445は、保持部材44の外周面44aよりも径方向内側に窪んでいる。
【0069】
軸方向から視て、第1歯車445の歯先は、保持部材44の外周面44aの内側に位置している。このため、第1部位442の-Z側の端面442aと第2部位443の+Z側の端面443aとは隙間Sを介して互いに対向している。
【0070】
回転駆動部45は、第1歯車445に駆動力を伝達することで回転軸Rを中心として保持部材44を回転させる。回転駆動部45は、光源用筐体20の第2側板202に固定されている。
【0071】
回転駆動部45は、第2歯車451と、駆動素子452と、を含む。第2歯車451は、保持部材44の第1歯車445と噛合する。駆動素子452は、第2歯車451を回転させる。本実施形態の駆動素子452は、例えば、モーターで構成される。駆動素子452による回転周波数は任意に設定可能であるが、60Hz以上であればユーザーが画像のちらつきを認識しづらくなる。
【0072】
回転駆動部45の第2歯車451は、保持部材44の上記隙間Sに挿入されることで第1歯車445と噛合する。第2歯車451の歯先は保持部材44の外周面44aよりも径方向内側に位置するので、第2歯車451は第1部位442の端面442aと第2部位443の端面443aとに挟まれた状態となる。つまり、保持部材44において、第1部位442の端面442aおよび第2部位443の端面443aは、第2歯車451における歯車側面451aに対向する。なお、第2歯車451における歯車側面451aとは、第1歯車445と噛合する歯面451bに交差する面である。
本実施形態において、保持部材44における本体部441は、第2歯車451における歯車側面451aに対向する対向面として端面442a,443aを有している。
【0073】
本実施形態の波長変換装置4において、第2歯車451は、歯車側面451aが本体部441における端面442a,443aと対向した状態で、第1歯車445と噛合する。このため、第2歯車451と第1歯車445との噛合部分が本体部441で覆われるため、噛合部分への塵埃等の異物の付着を抑制できる。また、第2歯車451が本体部441に挿入されることで第2歯車451における軸方向の位置が規制されるため、第2歯車451の軸方向における位置ズレを抑制することができる。よって、第2歯車451が第1歯車445と安定して噛合するため、回転駆動部45による駆動力を保持部材44に効率良く伝達することができる。
【0074】
図3に示すように、支持部材46は、第1支柱461と、第2支柱462と、第3支柱463と、第1回転部材471と、第2回転部材472と、第3回転部材473と、を含む。
【0075】
本実施形態において、第1支柱461、第2支柱462および第3支柱463は、周方向において、各々が異なる位置で、光源用筐体20の第2側板202に固定される。
具体的に、第1支柱461は、軸方向の一方である+Z側の第1端部461aと、第1端部461aとは反対側である-Z側の第2端部461bと、を有する。第1支柱461は、第1端部461aが光源用筐体20の第2側板202に固定される。
【0076】
第2支柱462は、軸方向の一方である+Z側の第3端部462aと、第3端部462aとは反対側である-Z側の第4端部462bと、を有する。第2支柱462は、第3端部462aが光源用筐体20の第2側板202に固定される。
【0077】
第3支柱463は、軸方向の一方である+Z側の第5端部463aと、第5端部463aとは反対側である-Z側の第6端部463bと、を有する。第3支柱463は、第5端部463aが光源用筐体20の第2側板202に固定される。
【0078】
本実施形態の波長変換装置4は、第1支柱461、第2支柱462および第3支柱463を固定する支柱固定部材60をさらに備えている。支柱固定部材60はリング状の板材で構成され、保持部材44の外周を囲むように配置される。
【0079】
支柱固定部材60は、第1支柱461の第1端部461aと、第2支柱462の第3端部462aと、第3支柱463の第5端部463aとを固定する。これにより、第1支柱461、第2支柱462および第3支柱463は、第2側板202に固定されない軸方向一方側が固定される。つまり、第1支柱461、第2支柱462および第3支柱463は軸方向の両端同士がそれぞれ固定されることで剛性が高められている。よって、各支柱461,462、463は、保持部材44が回転する際の軸ブレの発生を抑制することができる。
【0080】
なお、支柱固定部材60は3つの支柱同士を固定可能であれば複数の部材で構成されてもよい。例えば、第1端部461aと第3端部462aとを固定する第1部分と、第3端部462aと第5端部463aとを固定する第2部位と、第5端部463aと第1端部461aとを固定する第3部位とを組み合わせ構成することもできる。
【0081】
第1回転部材471は、第1支柱461に設けられ、保持部材44の外周面44aと当接し、第1支柱461を軸として回転することで保持部材44を回転可能に支持する。
第2回転部材472は、第2支柱462に設けられ、保持部材44の外周面44aと当接し、第2支柱462を軸として回転することで保持部材44を回転可能に支持する。
第3回転部材473は、第3支柱463に設けられ、保持部材44の外周面44aと当接し、第3支柱463を軸として回転することで保持部材44を回転可能に支持する。
保持部材44は、第1回転部材471、第2回転部材472および第3回転部材473を介して各支柱461,462,463に支持されることで、回転軸Rを中心としてスムーズに回転することができる。
本実施形態において、保持部材44の外周面44aは、第1部位442の外周面442mと第2部位443の外周面443mとを含む(
図4参照)。
【0082】
図3に示すように、本実施形態において、第1回転部材471は、例えば、一対の玉軸受け471a、471bで構成され、第2回転部材472は、例えば、一対の玉軸受け472a、472bで構成され、第3回転部材473は、例えば、一対の玉軸受け473a、473bで構成される。
第1回転部材471を例に挙げると、一方の玉軸受け471aは、第1支柱461の軸方向一方側である+Z側に設けられ、他方の玉軸受け471bは、第1支柱461の軸方向他方側である-Z側に設けられている。第2回転部材472または第3回転部材473についても同様のことが言える。なお、第1回転部材471、第2回転部材472または第3回転部材473を構成する各玉軸受けの数は2つに限られず、1つあるいは3つ以上でもよい。
【0083】
具体的に玉軸受け471a、472a、473aは第1部位442の外周面442mに当接し、玉軸受け471b、472b、473bは第2部位443の外周面443mに当接している。つまり、各支柱461、462、463において、各々における一対の玉軸受けは軸方向において離間した状態で保持部材44の外周面44aと当接している。
【0084】
本実施形態の場合、
図3および
図4に示すように、各支柱461、462、463において軸方向の二か所で保持部材44の外周面44aに当接するため、回転時における保持部材44の径方向への移動を良好に規制する。つまり、保持部材44が回転する際の軸ブレの発生を良好に抑制できる。
【0085】
保持部材44の外周面44aは径方向において段差44Dを有している。本実施形態の段差44Dは、外周面442mに設けられた第1段差442Dと、外周面443mに設けられた第2段差443Dと、を含む。
第1段差442Dは、外周面442mのうち+Z側に位置する外周面442m1と、外周面442mのうち-Z側に位置する外周面442m2との外径差で規定される。なお、外周面442m2の外径は外周面442m1の外径よりも大きい。
第2段差443Dは、外周面443mのうち+Z側に位置する外周面443m1と、外周面443mのうち-Z側に位置する外周面443m2との外径差で規定される。なお、外周面443m1の外径は外周面443m2の外径よりも大きい。
【0086】
軸方向において、段差44Dと支持部材46の一部とは重なっている。
具体的に、第1段差442Dは、玉軸受け471a、472a、473aに対して-Z側に位置し、軸方向において重なっている。
また、第2段差443Dは、玉軸受け471b、472b、473bに対して+Z側に位置し、軸方向において重なっている。
【0087】
これにより、第1段差442Dは、玉軸受け471a、472a、473aにより+Z側への移動が規制され、第2段差443Dは、玉軸受け471b、472b、473bにより-Z側への移動が規制される。
本実施形態の波長変換装置4は、支持部材46の第1回転部材471、第2回転部材472および第3回転部材473によって基板42に対する保持部材44の軸方向における位置を規制する。よって、保持部材44に保持された集光素子40と基板42に固定された波長変換素子41との軸方向の距離を一定に保つことができる。
【0088】
本実施形態の波長変換装置4において、支持部材46は、上述のように、保持部材44の外周面44aの周方向における異なる複数箇所を回転可能に支持する構成を採用している。本実施形態の場合、支持部材46が外周面44aの複数個所を支持することで、回転軸Rを中心として回転する保持部材44を安定して支持し、保持部材44が回転する際の軸ブレの発生を抑制できる。
【0089】
本実施形態の波長変換装置4の場合、支持部材46が外周面44aの周方向における異なる3箇所を回転可能に支持するため、外周面44aに当接する各回転部材471~473を構成する玉軸受けとして小径のものを用いることが可能となる。このため、保持部材44の回転抵抗が抑えられるので、回転駆動部45の駆動素子452として出力の低い小型のモーターを採用することができる。よって、回転駆動部45が小型化されることでコスト低減を図ることができる。
【0090】
図4に示したように、光源用筐体20の第2側板202は、内面202bに設けられた、回転軸Rを囲む突出部70を有している。突出部70は、軸方向から視て、リング形状を有している。
第2部位443は、第2側板202側の端部202cに、突出部70を径方向外側から覆う遮蔽部446を有する。遮蔽部446は、突出部70を周方向の全体に亘って覆っている。
【0091】
保持部材44の遮蔽部446と突出部70とは、径方向において隙間を介して配置されている。このため、遮蔽部446と突出部70とは径方向において接触しない。本実施形態において、保持部材44の遮蔽部446は、径方向において第2側板202に設けられた突出部70と対向する対向部に相当する。
また、保持部材44の遮蔽部446と第2側板202の内面202bとは、軸方向において隙間を介して配置されるため、保持部材44が回転する際に第2側板202と保持部材44とが干渉しない。
【0092】
本実施形態の波長変換装置4によれば、第2側板202に設けられた突出部70の径方向外側が保持部材44の遮蔽部446で覆われることで、径方向において第2側板202と保持部材44との間に生じる隙間が塞がれる。このため、保持部材44の内部における防塵性を高めることができる。
これにより、保持部材44の内側に配置された波長変換素子41および波長変換素子41における対向する集光素子40に塵埃の付着を抑制できる。よって、塵埃の付着による発熱等の不具合の発生を抑制することができる。
【0093】
本実施形態の波長変換装置4の場合、突出部70が遮蔽部446に対して径方向内側に設けられる。この構成によれば、突出部70が遮蔽部446の径方向外側に設けられる場合に比べ、保持部材44の外周面44aと支持部材46とを近づけて配置できるため、装置構成の小型化を図ることができる。
【0094】
図5は、軸方向から視た場合における、集光素子40の光軸AX1、回転軸Rおよび光線BLsの光軸AX2との位置関係を示す平面図である。
図5は、保持部材44を矢印で示す方向に90°ずつ回転させた場合の位置関係の変化を示している。
【0095】
図5に示すように、本実施形態の波長変換装置4において、保持部材44の回転軸Rは、波長変換素子41の入射面41aの中心と交差する。また、集光素子40の光軸AX1と保持部材44の回転軸Rとは、互いに離間しており、且つ、互いに平行である。また、保持部材44の回転軸Rは、集光素子40に入射する光線BLsの光軸AX2と一致している。なお、集光素子40の焦点は光軸AX1上に存在する。
【0096】
回転駆動部45によって保持部材44および集光素子40が回転軸Rを中心として回転された場合、回転軸Rに対する集光素子40の光軸AX1の位置が変化する。つまり、集光素子40の光軸AX1に対する光線BLsの位置が変化する。波長変換素子41の入射面41aにおける光線BLsの入射位置SPは、入射面41aにおいて集光素子40の焦点が存在する光軸AX1との交差部分に対応する。
【0097】
本実施形態の場合、光線BLsは
図5に示すように集光素子40内に収まっている。つまり、光線BLsは集光素子40によって波長変換素子41の入射面41aに効率良く入射される。
【0098】
図6は、軸方向から視た場合における、波長変換素子41の入射面41aにおける光線BLsの入射位置を示す平面図である。
回転駆動部45によって集光素子40が回転軸Rを中心として回転すると、
図6に示すように、波長変換素子41の入射面41aにおける光線BLsの入射位置SPは、入射面41aにおける回転軸Rとの交差部分を中心とする周方向に沿って、時間とともに連続的に移動する。
【0099】
このように、入射面41aにおいて、励起光である光線BLsの入射位置SPが時間とともに連続して変化することによって、入射面41aに局所的に光線BLsが入射し続けることを抑制できる。したがって、入射面41aの温度が局所的に高くなることを抑制でき、波長変換素子41による光線BLsから蛍光YLへの変換効率が低下することを抑制できる。
なお、光線BLsの入射位置SPが描く円の半径は、回転軸Rと光軸AX1との距離で規定される集光素子40の回転半径の大きさに比例する。
このため、集光素子40の回転半径を大きくして光線BLsの入射位置SPが描く円の半径が大きくすることで、入射面41a上における光線BLsの入射領域が拡がることで入射面41aの温度上昇を抑えることができる。
【0100】
また、本実施形態の波長変換装置4では、波長変換素子41から射出されて集光素子40で平行化された蛍光YLを効率良く取り込み可能とするようにインテグレーター光学系31を設計している。
【0101】
このように本実施形態の波長変換装置4によれば、上述のように回転軸Rと光軸AX2とを一致させたことで、集光素子40による光線BLsのケラレ抑制と、波長変換素子41の入射面41aにおける温度上昇の抑制とを両立した構成を実現することができる。
【0102】
以下のように、本実施形態の波長変換装置4によれば、回転駆動部45が、回転軸Rを中心として保持部材44および集光素子40を回転させることによって、波長変換素子41の入射面41aにおいて集光素子40の光軸AX1との交差部分に入射する光線BLsの入射位置SPを時間とともに連続的に移動させることができる。これにより、波長変換素子41に局所的に光線BLsが入射し続けることが抑制されるため、波長変換素子41の温度が局所的に高くなることを抑制できる。したがって、波長変換素子41による蛍光YLへの変換効率の低下を抑制でき、波長変換素子41からの蛍光YLの取出効率を高めることができる。
【0103】
本実施形態のプロジェクター1は、光源装置2と、光源装置2からの光を変調する光変調装置11R,11G,11Bと、光変調装置11R,11G,11Bにより変調された光を投射する投射光学装置6と、を備える。
【0104】
本実施形態のプロジェクター1によれば、波長変換素子41の冷却性能を高めることで高輝度の蛍光YLを含む照明光WLを射出可能な光源装置2を備えるため、明るく高品質な画像を投射することができる。
【0105】
(第1変形例)
第1実施形態では、支持部材46として複数の回転部材471~473で構成する場合を例に挙げたが、支持部材の構成はこれに限られない。
図7は第1変形例の支持部材146を用いた波長変換装置4Aの要部構成を示す図である。
図7に示すように、支持部材146として、保持部材44の外周面44aを嵌め込み可能な大型の球軸受を用いてもよい。このような支持部材146はグリース量や球の転がり抵抗が増大し、回転抵抗が大きくなるため、回転駆動部45の駆動素子452として出力の大きいモーターを用いればよい。
【0106】
(第2変形例)
第1実施形態では、
図5に示したように保持部材44の回転軸Rと光線BLsの光軸AX2とを一致させるようにしたが、保持部材44の回転軸Rと光線BLsの光軸AX2とを一致させない構成を採用してもよい。
【0107】
図8は第2変形例における
図5に対応する図である。
本変形例の構成では、
図8に示すように、回転軸Rと光軸AX2とがずれており、且つ、回転軸Rと光軸AX1との距離が第1実施形態の構成よりも長い。
つまり、本変形例の場合、集光素子40の回転半径が第1実施形態の構成よりも長くなる。このため、
図8に示すように、集光素子40としてサイズが大きいものを用意することで、光線BLsを集光素子40により効率良く取り込むことができる。
【0108】
また、本変形例の場合、集光素子40の回転半径が第1実施形態の構成に比べて大きくなるため、集光素子40で平行化された蛍光YLの光束幅も拡がる。このため、インテグレーター光学系31を構成する第1マルチレンズアレイ31aの径を大きくすることで、蛍光YLの全体を第1マルチレンズアレイ31aに取り込むことができる。
【0109】
(第3変形例)
図9は第3変形例における
図5に対応する図である。
本変形例の構成では、
図9に示すように、回転軸Rと光軸AX2とがずれており、且つ、回転軸Rと光軸AX1との距離が本実施形態の構成よりも短い。
つまり、本変形例の場合、回転軸Rと光軸AX1との距離が第1実施形態の構成に比べて短くなる。このため、
図9に示すように、光線BLsは集光素子40内に収まる。本変形例場合、回転軸Rに対して光軸AX1が近づくため、波長変換素子41の入射面41a上における光線BLsの入射位置SPの回転半径が小さくなる。つまり、入射面41aにおける回転軸Rとの交差部分の周辺に光線BLsが集まることで、波長変換素子41のサイズをできるだけ小さくすることができる。
【0110】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態に係る光源装置の構成を説明する。本実施形態と第1実施形態との違いは波長変換装置の構造であり、それ以外の構成は共通である。このため、以下、第1実施形態と共通の構成あるいは部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0111】
図10は本実施形態の光源装置の概略構成を示す断面図である。
図10に示すように本実施形態の光源装置102の波長変換装置104は、光分離素子25側から順に配置される光学素子50、集光素子40、波長変換素子41、基板42および放熱部材43と、保持部材44と、回転駆動部45と、支持部材46と、を備える。
【0112】
光学素子50は、集光素子40の光入射側に配置されている。本実施形態の場合、光学素子50は保持部材44に保持されている。このため、光学素子50は、保持部材44により集光素子40とともに回転軸Rを中心として回転可能とされている。
【0113】
光学素子50は、光分離素子25から入射する光線BLsを屈折させて、集光素子40に向けて射出する。また、光学素子50は、集光素子40から入射する蛍光YLを屈折させて、光分離素子25に向けて射出する。
【0114】
光学素子50は、板状の透光性部材であり、本実施形態ではガラスによって形成されている。光学素子50は、第1面501と、第1面501とは反対側に配置される第2面502と、を有する。
【0115】
第1面501および第2面502のそれぞれは、XY平面に対して傾斜している。第1面501と第2面502とは、平行な面である。なお、第1面501と第2面502とが平行であるとは、完全に平行である場合のみならず略平行であることを含む。
【0116】
第1面501は、光分離素子25側を向く面である。第1面501は、光分離素子25から光線BLsが入射する面である。また、第1面501は、集光素子40から入射した蛍光YLを光分離素子25に射出する面である。
【0117】
第1面501には、照明光軸ax2に沿って光分離素子25から-Z方向に射出された光線BLsが入射する。第1面501に入射した光線BLsは、光学素子50内に入射する際に屈折される。
【0118】
第2面502は、集光素子40側を向く面である。第2面502は、光学素子50内を進行した光線BLsを集光素子40に向けて射出する面である。すなわち、第2面502は、第1面501に入射されて屈折された光線BLsを、集光素子40に向けて-Z方向に射出する。以下、第2面502から射出された光線BLsの光軸を光軸AX3という。すなわち、第2面502において光線BLsの射出位置は、光軸AX3上にある。
【0119】
第2面502は、波長変換素子41から射出された蛍光YLが入射する面である。すなわち、第2面502には、集光素子40から+Z方向に射出された蛍光YLが入射する。第2面502に入射した蛍光YLは、光学素子50内に入射する際に屈折される。光学素子50内を進行した蛍光YLは、第1面501から光分離素子25に向かって+Z方向に射出される。第1面501から+Z方向に射出された蛍光YLは、第1面501に入射される光線BLsの光路を、光線BLsとは反対方向に進行する。
【0120】
本実施形態において、光学素子50は、光学素子50の第2面502から射出された光線BLsの光軸AX3が集光素子40の光軸AX1と一致するように、集光素子40に対して配置される。保持部材44の回転軸Rは、光学素子50に入射する光線BLsの光軸AX2と一致している。
【0121】
図11は、本実施形態の波長変換装置104について、軸方向から視た場合における、集光素子40の光軸AX1、回転軸Rおよび光線BLsの光軸AX2との位置関係を示す平面図である。なお、
図11の左側は光学素子50を設けない場合の位置関係を示し、
図11の右側は光学素子50の設けた本実施形態における位置関係を示している。
図11に示すように、本実施形態の波長変換装置104によれば、光線BLsの光軸AX3を光学素子50でシフトさせることで集光素子40の光軸AX1に一致させることができる。このため、集光素子40の回転半径を大きくした場合でも、光線BLsの光軸をシフトさせて集光素子40に入射させることができる。つまり、光線BLsの光利用効率を落とさずに集光素子40の回転半径を大きくすることで入射面41aの温度上昇を抑制して、波長変換素子41からの蛍光YLの取出効率を高めることができる。
【0122】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
その他、光源装置を構成する各種構成要素の数、配置、形状および材料等の具体的な構成は、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。
【0123】
上記実施形態において、第1段差442Dが玉軸受け471a、472a、473aに対して-Z側に位置し、第2段差443Dが玉軸受け471b、472b、473bに対して+Z側に位置する場合を例に挙げたが、これに限られない。例えば、第1段差442Dが玉軸受け471a、472a、473aに対して+Z側に位置し、第2段差443Dが玉軸受け471b、472b、473bに対して-Z側に位置してもよい。この場合において、第1段差442Dは玉軸受け471a、472a、473aにより-Z側への移動が規制され、第2段差443Dは玉軸受け471b、472b、473bにより+Z側への移動が規制されるので、結果的に、基板42に対する支持部材46の軸方向への移動を規制することができる。
【0124】
また、上記実施形態において、各回転部材471~473を玉軸受けで構成する場合を例に挙げたが、玉軸受けに代えて各回転部材471~473を滑り軸受で構成してもよい。
【0125】
また、上記実施形態では、回転駆動部45が第1歯車445を回転させることで第1歯車445とともに保持部材44を回転させる場合を例に挙げたが、本発明はこれに限られない。例えば、回転駆動部により回転する第1~第3支柱に設けられた回転部材と保持部材の外周面にギア構造を設けてもよい。この場合において、例えば、回転部材はギアで構成され、保持部材の外周面に設けられた歯に噛合することで回転駆動部から駆動力を保持部材に伝達可能となる。
【0126】
また、上記実施形態の支持部材46では、第2側板202に固定された各支柱に回転部材が回転可能に設けられていたが、支持部材46の構成はこれに限られない。例えば、各支柱が第2側板202に回転可能に固定されており、各支柱と回転部材とが一体となって第2側板202に対して回転する構成を採用してもよい。
【0127】
また、第2実施形態において、光学素子50の第1面501はXY平面に対して傾斜しているとした。しかしながら、これに限らず、光学素子において光線BLsが入射する第1面は、XY平面に対して傾斜していなくてもよい。すなわち、第1面に入射した光線BLsの進行方向を光学素子の内部にて変化させることができ、第2面からZ軸と平行に光線BLsを射出できればよい。
また、第1面501と第2面502とは、平行であるとした。しかしながら、これに限らず、光学素子における第1面と第2面とは、平行でなくてもよい。
【0128】
また、上記各実施形態では、波長変換素子41は、光線BLsを蛍光YLに変換する波長変換層410と、波長変換層410から入射される光を反射する反射層411と、を有するものとした。しかしながら、これに限らず、反射層411は無くてもよい。この場合、基板42によって波長変換層410から入射する光を反射させてもよい。また、波長変換素子41は、光線BLsの入射方向に沿って蛍光YLを射出する構成としてもよい。すなわち、本開示の波長変換素子は、透過型の波長変換素子であってもよい。
【0129】
また、本実施形態の場合、第1支柱461、第2支柱462および第3支柱463が光源用筐体20の第2側板202に固定される場合を例に挙げたが、基板42のサイズを大きくすることで第1支柱461、第2支柱462および第3支柱463を基板42に直接固定してもよい。また、本実施形態において、第1支柱461、第2支柱462および第3支柱463を設ける場合を例に挙げたが、第1支柱461および第2支柱462のみで保持部材44を支持してもよい。
【0130】
また、上記各実施形態では、第2側板202の内面202bから保持部材44側に向かって突出する突出部70と、保持部材44の遮蔽部446とが径方向で対向することで、径方向において第2側板202と保持部材44との間に生じる隙間が塞ぐ構成としたが、本発明はこれに限られない。
【0131】
(第4変形例)
図12は、第2側板202と保持部材44との間に生じる隙間を塞ぐ第4変形例に係る構成である。なお、
図12では保持部材44および集光素子40等の構成を簡略化して示している。
【0132】
図12に示すように、保持部材44の先端部447が第2側板202の内面202bに設けられた凹部202dに挿入されることで、保持部材44の先端部447と第2側板202とが径方向で対向する構成としてもよい。この場合において、保持部材44の先端部447の側面447aが径方向において第2側板202に対向する対向部に相当する。
【0133】
また、上記実施形態では、3つの光変調装置11R,11G,11Bを備えるプロジェクター1を例示したが、1つの光変調装置でカラー映像を表示するプロジェクターに適用することも可能である。さらに、光変調装置としては、上述した液晶パネルに限らず、例えばデジタルミラーデバイスなどを用いることもできる。
【0134】
また、上記実施形態では、本発明による光源装置をプロジェクターに応用する例を示したが、これに限られない。本発明による光源装置を自動車用ヘッドライトなどの照明器具にも適用することができる。
【0135】
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)
光源から入射する第1波長帯の第1光を前記第1波長帯とは異なる第2波長帯の第2光に変換する波長変換素子と、
前記波長変換素子が固定される基材と、
前記第1光を前記波長変換素子に入射させる集光素子と、
前記集光素子を保持する保持部材と、
回転軸を中心として前記保持部材を回転させる回転駆動部と、
前記基材に固定され、前記保持部材を回転可能に支持する支持部材と、を備え、
前記集光素子の光軸と前記保持部材の前記回転軸とは、互いに離間し、且つ、平行である
ことを特徴とする波長変換装置。
【0136】
この構成の波長変換装置によれば、回転駆動部が、回転軸を中心として保持部材および集光素子を回転させることによって、波長変換素子の入射面において集光素子の光軸との交差部分に入射する第1光の入射位置を時間とともに連続的に移動させることができる。これにより、波長変換素子に局所的に第1光が入射し続けることが抑制されるため、波長変換素子の温度が局所的に高くなることを抑制できる。したがって、波長変換素子による第1光から第2光への変換効率の低下を抑制でき、波長変換素子からの第2光の取出効率を高めることができる。
【0137】
(付記2)
前記支持部材は、
前記基材に固定される第1支柱と、
前記第1支柱に設けられ、前記保持部材と当接し、前記第1支柱を軸として回転することで前記保持部材を回転可能に支持する第1回転部材と、
前記回転軸を中心とする周方向において、前記第1支柱とは異なる位置で前記基材に固定される第2支柱と、
前記第2支柱に設けられ、前記保持部材と当接し、前記第2支柱を軸として回転する第2回転部材と、を含む
ことを特徴とする付記1に記載の波長変換装置。
【0138】
この構成によれば、支持部材が保持部材の2個所を支持するため、保持部材を安定して支持できるため、保持部材が回転する際の軸ブレの発生を抑制できる。
また、保持部材に当接する各回転部材として小型の玉軸受けを用いることが可能となる。これにより、保持部材の回転抵抗が抑えられるので、回転駆動部として出力を抑えた小型のものを採用することでコスト低減を図ることができる。
【0139】
(付記3)
前記第1支柱の前記基材に対して固定される第1端部とは反対側の第2端部と、前記第2支柱の前記基材に対して固定される第3端部とは反対側の第4端部とを固定する支柱固定部材、をさらに備える
ことを特徴とする付記2に記載の波長変換装置。
【0140】
この構成によれば、第1支柱および第2支柱における基材に固定されない軸方向一方側の端部が固定される。これにより、第1支柱および第2支柱は軸方向の両端同士が固定されて剛性が高められるので、第1支柱および第2支柱は保持部材が回転する際の軸ブレの発生を抑制できる。
【0141】
(付記4)
前記保持部材は、
前記集光素子を収容する本体部と、
前記本体部に設けられ、前記回転軸を中心として回転する第1歯車と、を含み、
前記回転駆動部は、前記第1歯車と噛合する第2歯車と、前記第2歯車を回転させる駆動素子と、を含み、
前記本体部は、前記第2歯車における前記第1歯車と噛合する歯面に交差する歯車側面に対向する対向面を有する
ことを特徴とする付記1から付記3のうちのいずれか一項に記載の波長変換装置。
【0142】
この構成によれば、第2歯車の歯車側面が本体部と対向した状態で第1歯車と噛合するため、第2歯車と第1歯車との噛合部分が本体部で覆われることによって塵埃等の異物の付着が抑制される。また、対向面によって第2歯車における軸方向の位置が規制されるので、第2歯車の軸方向における位置ズレを抑制できる。よって、第2歯車が第1歯車と安定して噛合するため、回転駆動部による駆動力を保持部材に効率良く伝達することができる。
【0143】
(付記5)
前記保持部材は、前記基材側の端部に、前記回転軸を中心とする径方向において前記基材と対向する対向部を有する
ことを特徴とする付記1から付記4のうちのいずれか一項に記載の波長変換装置。
【0144】
この構成によれば、径方向において基材と保持部材との間に生じる隙間が対向部によって塞がれる。このため、保持部材の内側への塵埃を侵入させ難くすることができる。よって、保持部材の内側に配置された波長変換素子および集光素子に塵埃が付着することによる発熱等の不具合の発生を抑制できる。
【0145】
(付記6)
前記保持部材は、前記支持部材と当接する外周面を有し、
前記保持部材の前記外周面は、前記回転軸を中心とする径方向において段差を有しており、
前記回転軸に沿う軸方向において、前記段差と前記支持部材の一部とが重なる
ことを特徴とする付記1から付記5のうちのいずれか一項に記載の波長変換装置。
【0146】
この構成によれば、支持部材の一部と段差とが軸方向で重なることで、基材に対する保持部材の軸方向における位置が規制される。よって、保持部材に保持された集光素子と基材に固定された波長変換素子との軸方向の距離を一定に保つことができる。
【0147】
(付記7)
前記保持部材の前記回転軸は、前記集光素子に入射する前記第1光の光軸と一致する
ことを特徴とする付記1から付記6のうちのいずれか一項に記載の波長変換装置。
【0148】
この構成によれば、集光素子による第1光のケラレ抑制と、波長変換素子における温度上昇の抑制とを両立した構成を実現できる。
【0149】
(付記8)
付記1から付記7のうちのいずれか一項に記載の波長変換装置と、
前記第1光を射出する光源と、を備える
ことを特徴とする光源装置。
【0150】
この構成の光源装置によれば、第2光の取出効率を高めた波長変換装置を備えるので、明るい照明光を生成することができる。
【0151】
(付記9)
付記8に記載の光源装置と、
前記光源装置からの光を変調する光変調装置と、
前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、を備える
ことを特徴とするプロジェクター。
【0152】
この構成のプロジェクターによれば、明るい照明光を生成する光源装置を備えるので、明るく高品質な画像を投射することができる。
【符号の説明】
【0153】
1…プロジェクター、2,102…光源装置、4,104…波長変換装置、6…投射光学装置、11B,11G,11R…光変調装置、21…光源、40…集光素子、41…波長変換素子、44…保持部材、44a…外周面、44D…段差、45…回転駆動部、46,146…支持部材、60…支柱固定部材、441…本体部、445…第1歯車、446…遮蔽部(対向部)、447a…側面(対向部)、451…第2歯車、451a…歯車側面、451b…歯面、452…駆動素子、461…第1支柱、461a…第1端部、461b…第2端部、462…第2支柱、462a…第3端部、462b…第4端部、471…第1回転部材、472…第2回転部材、AX1…光軸(集光素子の光軸)、AX2,AX3…光軸(第1光の光軸)、BL…青色光束(第1光)、R…回転軸。