(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003932
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】電気光学装置、電子機器、および電気光学装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20240109BHJP
G09F 9/35 20060101ALI20240109BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240109BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240109BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G09F9/30 349C
G09F9/35
G09F9/00 338
G02F1/1335 500
G02F1/1368
G09F9/30 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103299
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】室橋 徹晶
【テーマコード(参考)】
2H192
2H291
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H192DA67
2H192EA02
2H192EA04
2H192EA32
2H192GD73
2H291FA15Y
2H291FB14
2H291FD02
2H291LA02
2H291LA13
2H291MA02
2H291MA13
5C094AA31
5C094BA03
5C094BA43
5C094CA19
5C094ED14
5C094FA02
5C094FB02
5C094GB01
5C094HA08
5G435AA06
5G435BB12
5G435CC09
5G435FF13
5G435KK05
5G435LL04
5G435LL08
5G435LL14
5G435LL15
(57)【要約】
【課題】周辺領域Fにおいて、遮光層13aのクラックを抑制する電気光学装置を提供すること。
【解決手段】液晶装置100は、表示領域Eの外側としての周辺領域Fにおいて、第1領域Faと、第2領域Fbと、第1領域Faと第2領域Fbとの間の第1段差としての段差部91aまたは段差部93aを有する基板10aと、トランジスターとしてのTFT30と、基板10aとTFT30との層間に設けられ、高融点金属又は金属シリサイドを含む遮光層13aと、を備え、第1領域Faは、基板10aの厚み方向において第2領域Fbよりも高く、遮光層13aは、平面視で、第1領域Faと重なる部分に設けられ、段差部91aまたは段差部93aと重なる部分に設けられていない。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域の外側において、第1領域と、第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の第1段差を有する基板と、
トランジスターと、
前記基板と前記トランジスターとの層間に設けられ、高融点金属又は金属シリサイドを含む遮光層と、を備え、
前記第1領域は、前記基板の厚み方向において前記第2領域よりも高く、
前記遮光層は、平面視で、前記第1領域と重なる部分に設けられ、前記第1段差と重なる部分に設けられていない、
電気光学装置。
【請求項2】
前記高融点金属は、Ti、Cr、W、Ta、Mo及びPdのうちの少なくとも一つを含み、
前記金属シリサイドは、Ti、Cr、W、Ta、Mo及びPdのうちの少なくとも一つを含む、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第1段差は、前記基板に設けられた凹部の一部である、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記第1段差は、前記基板に積層された積層体に設けられた凹部の一部である、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記第1段差は、段差測定用のモニターパターンの一部である、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第1段差は、アライメントマークの一部である、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記表示領域において、第2段差に設けられた容量素子と、を備え、
前記第1段差は、前記第2段差に対応している、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記第2段差は、前記基板に設けられた凹部の一部である、
請求項7に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記第2段差は、前記基板に積層された積層体の一部である、
請求項7に記載の電気光学装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えた電子機器。
【請求項11】
基板の表示領域と前記表示領域の外側とに、互いに対応する段差を形成する工程と、
前記表示領域と前記表示領域の外側とに、高融点金属又は金属シリサイドを含む遮光層を形成する工程と、
前記表示領域にトランジスターを形成する工程と、を含み、
前記段差を形成する工程は、前記表示領域の外側に、第1領域と、前記基板の厚み方向において前記第1領域よりも低い第2領域とを形成することで、前記第1領域と前記第2領域との間に前記段差を形成し、
前記遮光層を形成する工程は、前記表示領域の外側において、前記遮光層を、平面視で、前記第1領域と重なる部分に形成し、前記第1領域と前記第2領域との間の前記段差と重なる部分に形成しない、
電気光学装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、電気光学装置を備えた電子機器、および電気光学装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示す電気光学装置が知られている。
特許文献1において電気光学装置は、画素電極と、画素トランジスターとしてのTFT(Thin Film Transistor)と、画素電極とTFTとの間に配置され、TFTを介して画素電極に画像信号を供給するデータ線と、TFTと基板との間に配置され、TFTのゲート電極に走査信号を供給する走査線と、走査線と基板との間に配置され、画素電極に電気的に接続された積層容量からなる保持容量と、を備える。走査線は、基板とTFTとの間に配置された遮光層であり、導電性のポリシリコン膜にWSi(タングステンシリサイド)からなる膜が積層された二層構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気光学装置において、保持容量の大容量化または微細化に伴う保持容量の減少を抑制する方法として、例えば、基板にトレンチを形成して、当該トレンチに保持容量を形成することが検討されている。
基板に設けたトレンチに保持容量を形成する場合、保持容量を構成する電極や誘電膜をトレンチの位置に合わせて形成するために、フォトマスクを位置合わせするためのアライメントマークが必要になる。このようなアライメントマークは、表示領域の外側の周辺領域に、トレンチと同じ工程で形成するため、アライメントマークもトレンチと同様の構造を有する。
また、周辺領域に、トレンチの形成状態を間接的にモニターするためのモニターパターンを作る場合がある。このようなモニターパターンもトレンチと同じ工程で形成するため、トレンチと同様の構造を有する。
【0005】
このようなアライメントマークやモニターパターンと、平面視で重なるように、遮光層を設けると、走査線と同層の当該遮光層は、走査線と同様にWSiを含むため、遮光層にクラックが生じて、アライメントマークやモニターパターンの近くに設けられた周辺回路にクラックによる影響が生じるおそれがあることが分かった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の一態様に係る電気光学装置は、表示領域の外側において、第1領域と、第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の第1段差を有する基板と、トランジスターと、前記基板と前記トランジスターとの層間に設けられ、高融点金属又は金属シリサイドを含む遮光層と、を備え、前記第1領域は、前記基板の厚み方向において前記第2領域よりも高く、前記遮光層は、平面視で、前記第1領域と重なる部分に設けられ、前記第1段差と重なる部分に設けられていない。
【0007】
本願の一態様に係る電子機器は、上記に記載の電気光学装置を備える。
【0008】
本願の一態様に係る電気光学装置の製造方法は、基板の表示領域と前記表示領域の外側とに、互いに対応する段差を形成する工程と、前記表示領域と前記表示領域の外側とに、高融点金属又は金属シリサイドを含む遮光層を形成する工程と、前記表示領域にトランジスターを形成する工程と、を含み、前記段差を形成する工程は、前記表示領域の外側に、第1領域と、前記基板の厚み方向において前記第1領域よりも低い第2領域とを形成することで、前記第1領域と前記第2領域との間に前記段差を形成し、前記遮光層を形成する工程は、前記表示領域の外側において、前記遮光層を、平面視で、前記第1領域と重なる部分に形成し、前記第1領域と前記第2領域との間の前記段差と重なる部分に形成しない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4A】
図3のIVA-IVA線における素子基板の断面図。
【
図4B】
図3のIVB-IVB線における素子基板の断面図。
【
図13】実施形態3に係る投射型表示装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
ここで、以下の各図においては、各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
また、各図には、必要に応じて、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、およびZ軸が図示されている。また、X軸に沿う方向をX方向とし、Y軸に沿う方向をY方向とし、Z軸に沿う方向をZ方向または厚み方向とする。
また、X軸とY軸とを含む面をXY面と言いい、XY面を+Z方向または-Z方向に見ることを平面視あるいは平面的とし、Z軸を含む断面に対して垂直方向から見ることを断面視あるいは断面的とする。
【0011】
さらに、以下の説明において、例えば基板に対して、基板上にとの記載は、基板の上に接して配置される場合、基板の上に他の構造物等の要素を介して配置される場合、または基板の上に一部が接して配置され、一部が他の要素を介して配置される場合のいずれかを表すものとする。
【0012】
1.実施形態1
本実施形態では、電気光学装置として、画素ごとにTFTを備えたアクティブ駆動型の液晶装置を例に挙げて説明する。この液晶装置は、例えば、後述する電子機器としての投射型表示装置において、光変調装置として好適に用いることができるものである。
【0013】
1.1.液晶装置の構造の概要
本実施形態に係る電気光学装置としての液晶装置の構造について、
図1から
図3を参照して説明する。
図1は、実施形態1に係る電気光学装置としての透過型の液晶装置の構成を示す概略平面図である。
図2は、
図1のII-II線に沿った液晶装置の構造を示す概略断面図である。
図3は、
図1の右上の部分の拡大図である。
【0014】
図1および
図2に示すように、本実施形態の液晶装置100は、素子基板10と、素子基板10と対向配置された対向基板20と、素子基板10、および対向基板20の間に挟持された電気光学層として液晶層5と、を有している。液晶層5は、正または負の誘電異方性を有する液晶からなる。
【0015】
素子基板10の基板としての基板10aには、例えば、ガラス基板、石英基板などの基板が用いられる。対向基板20の基板20aには、例えば、ガラス基板、石英基板などの透明基板が用いられる。素子基板10は、平面視における形状が対向基板20よりも大きい。素子基板10と対向基板20とは、対向基板20の外縁に沿って配置されたシール材6を介して接合されている。
【0016】
シール材6の内側には、マトリクス状に配列した複数の画素Pを含む表示領域Eが設けられている。表示領域Eの外側が周辺領域Fである。周辺領域Fにおいて、シール材6と表示領域Eとの間には、表示領域Eの外縁に沿って遮光材料からなる見切り部23が設けられている。
【0017】
素子基板10の周辺領域Fには、複数の外部接続端子43が配列した端子部が設けられている。周辺領域Fにおいて、該端子部に沿った第1辺K1とシール材6との間にデータ線駆動回路47が設けられている。また、周辺領域Fにおいて、第1辺K1に対向する第2辺K2に沿ったシール材6と表示領域Eとの間に検査回路41が設けられている。
【0018】
周辺領域Fにおいて、第1辺K1と直交し、互いに対向する第3辺K3および第4辺K4に沿ったシール材6と表示領域Eとの間には、それぞれ走査線駆動回路45が設けられている。なお、走査線駆動回路45は、2つある必要はなく、1つのみの構成でもよい。また、周辺領域Fには、複数の配線49が設けられている。
【0019】
図3に示すように、周辺領域Fにおいて、基板10aの第4辺K4とシール材6との間には、モニターパターン91とアライメントマーク93とが設けられている。
モニターパターン91は、基板10aに後述するトレンチを設ける場合に、トレンチと同じ工程で形成される段差測定用のモニターパターンである。
アライメントマーク93は、例えば、トレンチの位置に合わせて容量電極を形成するため、およびその他の構成を形成するために用いられるフォトマスク用のアライメントマークである。アライメントマーク93は、使用する露光装置に応じたパターンに形成される。
【0020】
なお、モニターパターン91およびまたはアライメントマーク93は、基板10aの複数個所に設けられてもよい。また、容量電極等を複数の基板10aからなる大判基板の状態で、形成する場合は、モニターパターン91およびまたはアライメントマーク93は、各基板10aに1カ所ずつ、もしくは、複数の基板10a毎に1カ所ずつ、設ける構成としてもよい。
【0021】
図2に示すように、基板10aの液晶層5側の面には、画素Pごとに設けられた光透過性の画素電極11、トランジスターとしてのTFT30、走査線駆動回路45、配線49、および画素電極11を覆う配向膜12が設けられている。TFT30および画素電極11は、画素Pの構成要素である。素子基板10は、基板10a、基板10a上に設けられた画素電極11、TFT30、走査線駆動回路45、配線49、および配向膜12を含む。
【0022】
基板20aの液晶層5側の面には、見切り部23、絶縁層25、共通電極としての対向電極21、および対向電極21を覆う配向膜22が設けられている。本実施形態における対向基板20は、基板20a、見切り部23、絶縁層25、対向電極21、および配向膜22を含む。なお、本実施形態では、共通電極を対向電極21として対向基板20側に設けた例を示したが、共通電極は、素子基板10側に設けてもよい。
【0023】
絶縁層25は、例えば、光透過性を有する酸化シリコン(SiO2)などの無機材料から成る。
対向電極21は、対向基板20の四隅に設けられた上下導通部7に電気的に接続されている。上下導通部7は、素子基板10側の後述する容量配線としての共通配線18に電気的に接続されている。
【0024】
画素電極11および対向電極21は、例えばITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透明導電膜から成る。配向膜12および配向膜22は、液晶装置100の光学設計に基づいて選定される。配向膜12,22の形成材料としては、酸化シリコンなどの無機配向膜、ポリイミドなどの有機配向膜が挙げられる。
【0025】
このような液晶装置100は、電圧が印加されない時の画素Pの光透過率が、電圧印加時の透過率よりも大きいノーマリーホワイトモードや、電圧が印加されない時の画素Pの透過率が、電圧印加時の透過率よりも小さいノーマリーブラックモードの光学設計が採用される。
液晶装置100において、光Lの入射側と出射側とのそれぞれには、図示しない偏光素子が光学設計に応じて配置されている。
【0026】
本実施形態では、配向膜12,22として無機配向膜および液晶層5として負の誘電異方性を有する液晶を用い、ノーマリーブラックモードの光学設計が適用された例について説明する。
【0027】
1.2.素子基板の構成の概要
次に、素子基板10の表示領域Eと周辺領域Fとの断面的な構成について、
図4Aおよび
図4Bを参照して説明する。
図4Aは、
図3のIVA-IVA線における断面図であり、
図4Bは、
図3のIVB-IVB線における断面図である。なお、
図4Aおよび
図4Bは、配向膜12の図示を省略している。
【0028】
図4Aおよび
図4Bに示すように、基板10aの表示領域Eには、トレンチ10cが設けられ、周辺領域Fには、モニターパターン91とアライメントマーク93とが設けられている。
トレンチ10cは、基板10aに設けられた凹部であり、第2段差としての段差部10caを有する。
【0029】
図4Aに示すように、モニターパターン91は、基板10aにおいて、厚み方向に凹んだ凹部91bを有する。凹部91bは、トレンチ10cと同じ深さを有する。本実施形態において、モニターパターン91の凹部91bに対応する領域が、第2領域Fbであり、周辺領域Fにおいて、第2領域Fbを除いた領域が第1領域Faである。第1領域Faは、基板10aの厚み方向において第2領域Fbよりも高い位置の領域である。換言すると、第2領域Fbは、基板10aの厚み方向において第1領域Faよりも低い位置の領域である。
【0030】
また、第1領域Faと第2領域Fbとの間には、第1段差としての段差部91aが設けられる。段差部91aは、トレンチ10cの段差部10caに対応する。具体的には、段差部91aは、段差部10caと同じ高低差を有する。なお、本実施形態において、段差部91aとモニターパターン91の底とがつながる部分は、滑らかに形成されているが、トレンチ10cと同じ形状に形成してもよい。
【0031】
周辺領域Fにおいて、第1領域Faには、遮光層13aが設けられる。遮光層13aは、段差部91aとは、重ならないように設けられる。
【0032】
図4Bに示すように、アライメントマーク93は、基板10aにおいて、厚み方向に凹んだ複数の凹部93bを有する。凹部93bは、トレンチ10cと略同じ深さの凹部を有する。本実施形態において、平面視で、アライメントマーク93の凹部93bに対応する領域が、第2領域Fbであり、周辺領域Fにおいて、第2領域Fbを除いた領域が第1領域Faである。
【0033】
また、第1領域Faと第2領域Fbとの間には、第1段差としての段差部93aが設けられる。段差部93aは、トレンチ10cの段差部10caに対応する。具体的には、段差部93aは、段差部10caと略同じ高低差を有する。
【0034】
周辺領域Fにおいて、第1領域Faには、遮光層13aが設けられる。遮光層13aは、平面視で、段差部93aとは、重ならないように設けられる。なお、本実施形態において、遮光層13aは、第2領域Fbと、平面視で、重ならないが、第2領域Fbと重なるように設けてもよい。
【0035】
図4Aおよび
図4Bに示すように、素子基板10は、ベースとなる基板10a上に、複数の機能層を積層した構成を有している。
具体的には、基板10a上に、第1導電層、第2導電層、第3導電層13x、半導体層31、第4導電層、第5導電層、第6導電層、第7導電層、および画素電極11が、この順番に積層されている。
【0036】
第1導電層は、容量素子60の第2容量電極62を含む。
第2導電層は、容量素子60の第1容量電極61を含む。
第3導電層13xは、走査線13および遮光層13aを含む。
第4導電層は、TFT30のゲート電極32、第2中継電極82および第5中継電極85を含む。
第5導電層は、中継電極50を含む。
第6導電層は、データ線16および第4中継電極84を含む。
第7導電層は、容量配線としての共通配線18および第3中継電極83を含む。
【0037】
第1導電層の第2容量電極62と第2導電層の第1容量電極61との間には、誘電膜63が設けられている。
第2導電層と第3導電層13xとの間には、第1層間絶縁層71が設けられている。
第3導電層13xと半導体層31との間には、第2層間絶縁層72が設けられている。
半導体層31と第4導電層のゲート電極32との間には、ゲート絶縁膜33が設けられている。
第4導電層と第5導電層との間には、第3層間絶縁層73が設けられている。
第5導電層と第6導電層との間には、第4層間絶縁層74が設けられている。
第6導電層と第7導電層との間には、第5層間絶縁層75が設けられている。
第7導電層と画素電極11との間には、第6層間絶縁層76が設けられている。
【0038】
図4Aおよび
図4Bに示すように、基板10aには、トレンチ10cが設けられている。容量素子60の一部を、トレンチ10cの内側に設けることによって、静電容量の大容量化が行われている。
容量素子60は、走査線13側に配置された第1容量電極61と、基板10a側に配置された第2容量電極62と、第1容量電極61と第2容量電極62との間の誘電膜63とを有する。
【0039】
第2容量電極62は、画素電極11に電気的に接続される。
第2容量電極62は、第2層間絶縁層72および第1層間絶縁層71に設けられたコンタクトホールC3を介して、第5中継電極85に電気的に接続される。
第5中継電極85は、半導体層31のドレイン領域31dに接続されるとともに、第3層間絶縁層73に設けられたコンタクトホールC5を介して、中継電極50に電気的に接続される。
【0040】
中継電極50は、第4層間絶縁層74に設けられたコンタクトホールC8を介して、第4中継電極84に電気的に接続されている。
第4中継電極84は、第5層間絶縁層75に設けられたコンタクトホールC10を介して、第3中継電極83に電気的に接続されている。
第3中継電極83は、第6層間絶縁層76に設けられたコンタクトホールC20を介して、画素電極11に電気的に接続されている。
【0041】
データ線16は、第4層間絶縁層74および第3層間絶縁層73に設けられた図示しないコンタクトホールを介して、TFT30のソース領域に電気的に接続されている。
共通配線18は、図示しない中継電極および第2中継電極82を介して、第1容量電極61に電気的に接続されている。
【0042】
【0043】
素子基板10は、基本的に、減圧CVD(Chemical Vapor Deposition)法、常圧CVD法、プラズマCVD法、フォトリソグラフィ法、スパッタリング法、エッチング法、およびCMP(Chemical Mechanical Planarization)法など、公知の半導体プロセスで用いられる方法や、これらを組み合せることにより製造することが可能である。以下、好適な製造方法を主体に説明するが、同等な構造を形成可能で、かつ、当該構成における機能、特性を満たせれば、他の製造方法を用いても良い。
【0044】
ステップS1では、
図6Aに示すように、基板10aにおいて、表示領域Eにトレンチ10cおよび周辺領域Fに凹部91bを形成する。なお、トレンチ10cおよび凹部91bは、基板10a上に層間絶縁層を成膜して、当該層間絶縁層または当該層間絶縁層と基板10aとに、トレンチ10cおよび凹部91bを形成する構成としてもよい。
【0045】
また、
図6Bに示すように、ステップS1では、トレンチ10cおよび凹部91bと同時に、周辺領域Fに複数の凹部93bを形成する。なお、凹部93bは、トレンチ10cおよび凹部91bと同様に、基板10a上に層間絶縁層を成膜して、当該層間絶縁層または当該層間絶縁層と基板10aとに、凹部93bを形成する構成としてもよい。
【0046】
ステップS2では、
図7Aおよび
図7Bに示すように、トレンチ10cに容量素子60を形成する。
まず、トレンチ10cの内壁を含む基板10a上に、導電性のポリシリコン膜からなる第2容量電極62を形成する。基板10a上に、リンを含んだデポポリシリコンからなる第1導電層を50nmから100nmの膜厚に成膜したのち、ドライエッチングによって、所望の形状にパターニングすることで、第2容量電極62は形成される。
【0047】
第2容量電極62を形成した後、第2容量電極62の一部を覆う酸化膜の島71aを形成する。酸化膜の島71aは、TEOS(Tetraethyl Orthosilicate)膜、またはHTO(High Temperature Oxide)膜等の酸化シリコン膜を100nm程度の膜厚に成膜した後、パターニングして形成する。酸化膜の島71aは、後述するコンタクトホールC3を設ける位置に配置され、後述する第1容量電極61をパターニングする際に、第2容量電極62を保護するためのエッチングストッパー膜として機能する。
【0048】
第2容量電極62上に、誘電膜63として、酸化シリコン(SiO2)膜、シリコン窒化(SiN)膜、または金属酸化膜(HfO2、ZrO2)などを20nmの膜厚に成膜する。その後、誘電膜63上に、リンを含んだデポポリシリコンからなる第2導電層を50nmから100nmの膜厚に成膜したのち、ドライエッチングによって、パターニングすることで、誘電膜63と第1容量電極61とを形成する。
【0049】
ステップS3では、第1層間絶縁層71を形成する。
図7Aおよび
図7Bに示すように、第1層間絶縁層71は、例えば、TEOSを原料とする酸化シリコン膜からなり、第1容量電極61および基板10aの表示領域Eおよび周辺領域F上に、400nmから600nmの膜厚に形成される。
第1層間絶縁層71において、トレンチ10cと平面視で重なる位置には、トレンチ10cの形状を反映した凹部71bが形成される。また、凹部91bと平面視で重なる位置には、凹部91bの形状を反映した凹部71cが形成される。また、凹部93bと平面視で重なる位置には、凹部93bの形状を反映した凹部71dが形成される。
【0050】
ステップS4では、第3導電層13xを形成する。
図8Aおよび
図8Bに示すように、第1層間絶縁層71上に、タングステンシリサイド(WSi)膜からなる第3導電層13xを100nmから400nmの膜厚に成膜する。
なお、第3導電層13xの材料は、好適には、タングステンシリサイド膜であるが、他の材料を用いることもできる。例えば、第3導電層13xの材料としては、Ti、Cr、Ta、Mo及びPdのうちの少なくとも一つを含む金属シリサイド、または、Ti、Cr、W、Ta、Mo及びPdのうちの少なくとも一つを含む高融点金属を用いることができる。また、これらの材料の複層構造としてもよい。
【0051】
第3導電層13xにおいて、トレンチ10cおよび凹部71bと重なる位置には、凹部71bの形状を反映した凹部13bが形成される。また、凹部91bおよび凹部71cと重なる位置には、凹部71cの形状を反映した凹部13cが形成される。また、凹部93bおよび凹部71dと平面視で重なる位置には、凹部71dの形状を反映した凹部13dが形成される。
【0052】
ステップS5では、走査線13および遮光層13aを形成する。
図9Aおよび
図9Bに示すように、第3導電層13xをパターニングすることで、走査線13と遮光層13aとを形成する。周辺領域Fにおいて、遮光層13aは、段差部91aおよび段差部93aと平面視で重ならないように形成される。
【0053】
ステップS6では、犠牲膜19を形成する。
図10に示すように、犠牲膜19は、走査線13および遮光層13aを覆うように形成される。犠牲膜19は、例えば、TEOSを原料とする酸化シリコン膜からなる。
【0054】
ステップS7では、遮光層13aを熱処理する。
タングステンシリサイド(WSi)膜からなる遮光層13aを熱処理することで、アモルファス状態の遮光層13aは、多結晶状態へ遷移する。遮光層13aを結晶化させることで、応力を緩和することができる。上述したように、遮光層13aは、段差部91aおよび段差部93aと、平面視で、重ならないように、設けられている。よって、遮光層13aが、段差部91aおよび段差部93aと、平面視で、重なることによって、発生するクラックの発生を抑制することができる。
【0055】
ステップS8では、犠牲膜19を除去する。
図11Aおよび
図11Bに示すように、犠牲膜19をウェットエッチングよって除去した際に、第1層間絶縁層71には、オーバーエッチングされた部分71yが形成される。なお、オーバーエッチングされた部分71yは、犠牲膜19を除去する際に、オーバーエッチングが発生した部分にのみに形成される。
【0056】
ステップS9では、TFT30の半導体層31を形成する。
図4Aおよび
図4Bに示すように、まず、走査線13および遮光層13a上に、TEOS膜からなる第2層間絶縁層72を形成する。
その後、TFT30の半導体層31を形成する。半導体層31は、ポリシリコンからなり、第2層間絶縁層72上に、アモルファスシリコンを成膜した後、熱処理が行われることで形成される。
【0057】
ステップS10では、ゲート電極32を形成する。
まず、半導体層31上に、ゲート絶縁膜33を形成する。ゲート絶縁膜33は、HTO膜からなり、半導体層31上に、30nmから100nmの膜厚に成膜される。
【0058】
次に、コンタクトホールC1,C3,C4を形成する。
コンタクトホールC1は、ゲート絶縁膜33と第2層間絶縁層72とを貫通して、コンタクトホールC1の底に、走査線13を露出する。
コンタクトホールC3は、ゲート絶縁膜33、第2層間絶縁層72、第1層間絶縁層71、および酸化膜の島71aを貫通して、コンタクトホールC3の底に、容量素子60の第2容量電極62を露出する。なお、コンタクトホールC3の内側には、半導体層31のドレイン領域31dが露出している。
コンタクトホールC4は、ゲート絶縁膜33、第2層間絶縁層72、および第1層間絶縁層71を貫通して、コンタクトホールC4の底に、容量素子60の第1容量電極61を露出する。
【0059】
次に、ゲート絶縁膜33上およびコンタクトホールC1,C3,C4の内部に、導電性のポリシリコン膜と、遮光性の導電膜であるタングステンシリサイド膜とからなる2層構造の第4導電層を形成する。
第4導電層を成膜した後、第4導電層を、パターニングすることで、ゲート電極32、第2中継電極82、および第5中継電極85を形成する。
【0060】
ゲート電極32は、コンタクトホールC1を介して、走査線13と電気的に接続される。
第2中継電極82は、コンタクトホールC4を介して、容量素子60の第1容量電極61と電気的に接続される。
第5中継電極85は、コンタクトホールC3を介して、容量素子60の第2容量電極62に電気的に接続される。
【0061】
ステップS11では、中継電極50を形成する。
まず、第3層間絶縁層73を形成する。第3層間絶縁層73は、TEOS膜からなり、ゲート電極32、第2中継電極82、および第5中継電極85上に、200nmから400nmの膜厚に形成される。
次に、コンタクトホールC5を形成する。コンタクトホールC5は、第3層間絶縁層73を貫通して、第5中継電極85を露出するように形成される。
【0062】
次に、第3層間絶縁層73上およびコンタクトホールC5の内部に、遮光性の導電膜であるタングステンシリサイド膜等の金属膜からなる第5導電層を100nmから400nmの膜厚に成膜する。その後、第5導電層を、パターニングして、中継電極50を形成する。
中継電極50は、コンタクトホールC5を介して、第5中継電極85に電気的に接続される。これによって、中継電極50は、第5中継電極85を介して、容量素子60の第2容量電極62に電気的に接続される。
【0063】
ステップS12では、データ線16を形成する。
まず、第4層間絶縁層74を形成する。第4層間絶縁層74は、TEOS膜からなり、中継電極50上および第3層間絶縁層73上に、500nmから1000nmの膜厚に形成される。
【0064】
次に、第4層間絶縁層74に、コンタクトホールC8を形成する。コンタクトホールC8は、第4層間絶縁層74を貫通して、コンタクトホールC8の底に、中継電極50を露出する。
【0065】
次に、第4層間絶縁層74およびコンタクトホールC8の内部に、アルミニウム合金膜または窒化チタン膜とアルミニウム膜とが2層から4層に積層された複層膜からなる第6導電層を形成する。
その後、第6導電層をパターニングすることで、データ線16および第4中継電極84を形成する。
データ線16は、半導体層31のソース領域に電気的に接続される。
第4中継電極84は、コンタクトホールC8の内部に成膜されて、コンタクトホールC8の底に露出した中継電極50に電気的に接続される。
【0066】
ステップS13では、共通配線18を形成する。
まず、第5層間絶縁層75を形成する。第5層間絶縁層75は、TEOS膜からなり、データ線16および第4中継電極84上に、500nmから1000nmの膜厚に形成される。
次に、第5層間絶縁層75に、コンタクトホールC10を形成する。コンタクトホールC10は、第5層間絶縁層75を貫通して、コンタクトホールC10の底に第4中継電極84を露出する。
【0067】
次に、第5層間絶縁層75上およびコンタクトホールC10の内部に、アルミニウム合金膜または窒化チタン膜とアルミニウム膜とが2層から4層に積層された複層膜からなる第7導電層を形成する。
第7導電層を成膜した後、第7導電層をパターニングすることで、共通配線18および第3中継電極83を形成する。
第3中継電極83は、コンタクトホールC10の内部に成膜されて、コンタクトホールC10の底に露出した第4中継電極84に電気的に接続される。
【0068】
ステップS14では、画素電極11を形成する。
まず、第6層間絶縁層76を形成する。第6層間絶縁層76は、TEOS膜からなり、共通配線18および第3中継電極83上に、第6層間絶縁層76を500nmから1000nmの膜厚に形成する。
次に、第6層間絶縁層76に、コンタクトホールC20を形成する。コンタクトホールC20は、第6層間絶縁層76を貫通して、コンタクトホールC20の底に第3中継電極83を露出する。
次に、第6層間絶縁層76上およびコンタクトホールC20の内部にITOを成膜して、パターニングすることで、画素電極11を形成する。
【0069】
なお、本実施形態にかかる製造方法において、ステップS6からステップS8の工程は、省略してもよい。ステップS6からステップS8の工程を省略しても、遮光層13aを、平面視で、段差部91aおよび段差部93aと重ならないように設けることによって、ステップS9の熱処理で、遮光層13aにクラックが発生することを抑制することができる。
ステップS6からステップS8の工程を省略する場合は、第1層間絶縁層71にオーバーエッチングによって削れた部分71yは形成されない。
【0070】
1.4.変形例
以上に例示した実施形態は多様に変形され得る。前述の実施形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0071】
前述の実施形態では、第3導電層13xによって、走査線13を形成しているが、走査線13を別の層に形成する場合は、表示領域Eにおいて、平面視で、凹部71bと重なる位置の第3導電層13xをパターニングによって除去してもよい。この場合、前述したステップS5において、表示領域Eの第3導電層13xは、トレンチ10cおよび凹部71bと、平面視で、重ならないようにパターニングされる。走査線13は、例えば、ゲート電極32を走査線13として機能するように形成することができる。
【0072】
前述の実施形態では、トレンチ10cに容量素子60を形成しているが、トレンチ10cのみを設けて、容量素子60を設けない構成であってもよい。
【0073】
トレンチ10cの形状は、図面に示した形状に限定されない。例えば、凹部71bが形成されるような段差を有する形状であれば、トレンチ10cの深さ、幅、平面視した際の形状は、限定されない。
【0074】
前述の実施形態では、表示領域Eにトレンチ10cを形成しているが、トレンチ10cを設けない構成としてもよい。この変形例において、凹部71bが設けられる場合は、凹部71bの段差と、平面視で、重なる第3導電層13xをパターニングによって除去してもよい。
この場合、凹部71bの形状は、トレンチ10cに依存しない。よって、凹部71bの形状は、クラックの原因となるような段差を有する形状であれば、凹部71bの深さ、幅、平面視した際の形状によって、限定されない。
【0075】
以上、述べたとおり、本実施形態の電気光学装置としての液晶装置100によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態の液晶装置100は、表示領域Eの外側としての周辺領域Fにおいて、第1領域Faと、第2領域Fbと、第1領域Faと第2領域Fbとの間の第1段差としての段差部91aまたは段差部93aを有する基板10aと、トランジスターとしてのTFT30と、基板10aとTFT30との層間に設けられ、金属シリサイドとしてのWSiを少なくとも含む遮光層13aと、を備え、第1領域Faは、基板10aの厚み方向において第2領域Fbよりも高く、遮光層13aは、平面視で、第1領域Faと重なる部分に設けられ、段差部91aまたは段差部93aと重なる部分に設けられていない。
【0076】
このように本実施形態の液晶装置100において、基板10aとTFT30との層間に設けられ、WSiを少なくとも含む遮光層13aは、平面視で、第1領域Faと重なる部分に設けられ、段差部91aまたは段差部93aと重なる部分に設けられていない。よって、遮光層13aにクラックが発生することを抑制することができる。
【0077】
本実施形態の液晶装置100において、さらに、段差部91aは、基板10aに設けられた凹部91bの一部である。または、段差部93aは、基板10aに設けられた凹部93bの一部である。
よって、段差部91aまたは段差部93aを基板10aに設けた場合において、遮光層13aにクラックが発生することを抑制することができる。
【0078】
本実施形態の液晶装置100において、高融点金属は、Ti、Cr、W、Ta、Mo及びPdのうちの少なくとも一つを含む。
よって、遮光層13aとして、Ti、Cr、W、Ta、Mo及びPdのうちの少なくとも一つを含む高融点金属を用いたとして、遮光層13aにクラックが発生することを抑制することができる。
【0079】
本実施形態の液晶装置100において、金属シリサイドは、Ti、Cr、W、Ta、Mo及びPdのうちの少なくとも一つを含む。
よって、遮光層13aとして、Ti、Cr、W、Ta、Mo及びPdのうちの少なくとも一つを含む金属シリサイドを用いたとして、遮光層13aにクラックが発生することを抑制することができる。
【0080】
本実施形態の液晶装置100において、さらに、段差部91aは、段差測定用のモニターパターン91の一部である。
よって、モニターパターン91が段差部91aを有する場合において、遮光層13aにクラックが発生することを抑制することができる。
【0081】
本実施形態の液晶装置100において、さらに、段差部93aは、アライメントマーク93の一部である。
よって、アライメントマーク93が段差部93aを有する場合において、遮光層13aにクラックが発生することを抑制することができる。
【0082】
本実施形態の液晶装置100において、さらに、表示領域Eにおいて、第2段差として段差部10caに設けられた容量素子60と、を備え、段差部91aまたは段差部93aは、段差部10caに対応している。
よって、モニターパターン91が段差部91aを有する場合、または、アライメントマーク93が段差部93aを有する場合において、遮光層13aにクラックが発生することを抑制することができる。
【0083】
本実施形態の液晶装置100において、さらに、段差部10caは、基板10aに設けられた凹部としてのトレンチ10cの一部である。
よって、基板10aに、段差部10caを有するトレンチ10cが設けられている場合においても、周辺領域Fにおいて、遮光層13aにクラックが発生することを抑制することができる。
【0084】
本実施形態の電気光学装置としての液晶装置100の製造方法は、基板10aの表示領域Eと表示領域Eの外側の周辺領域Fとに、互いに対応する段差としての段差部10caと段差部91aまたは段差部93aを形成する工程としてのステップS1と、表示領域Eと周辺領域Fとに、WSiを少なくとも含む遮光層13aを形成する工程としてのステップS5と、表示領域EにトランジスターとしてのTFT30を形成する工程としてのステップS9と、を含み、段差を形成する工程は、表示領域Eの外側に、第1領域Faと、基板10aの厚み方向において第1領域Faよりも低い第2領域Fbとを形成することで、第1領域Faと第2領域Fbとの間に段差部91aまたは段差部93aを形成し、遮光層を形成する工程は、周辺領域Fにおいて、遮光層13aを、平面視で、第1領域Faと重なる部分に形成し、第1領域Faと第2領域Fbとの間の段差部91aまたは段差部93aと重なる部分に形成しない。
【0085】
このように本実施形態の液晶装置100の製造方法によれば、金属シリサイドとしてのWSiを少なくとも含む遮光層13aは、平面視で、第1領域Faと重なる部分に設けられ、段差部91aまたは段差部93aと重なる部分に設けられていない。よって、遮光層13aにクラックが発生することを抑制することができる液晶装置100を製造することができる。
【0086】
2.実施形態2
図12は、実施形態2に係る素子基板の断面図である。
図12は、実施形態1の
図4Bと同様の位置で切断した断面を示す断面図である。
実施形態2は、基板10aが、トレンチ10cと、トレンチ10cの形成を間接的にモニターするためのモニターパターン91とを備えていない点で、および、容量素子60の一部が、トレンチ10cに形成されていない点で、実施形態1と異なる。なお、以下の説明では、実施形態1と同一の構成には同一の符号を使用して、重複する説明は省略する。
【0087】
容量素子60は、第3容量電極65、誘電膜64、第2容量電極62、誘電膜63および第1容量電極61を有し、基板10a側から各構成が積層された5層の積層体から構成される。
容量素子60を構成する積層体の端部には、第2段差としての段差部71zが形成される。
【0088】
本実施形態において、アライメントマーク95は、容量素子60を構成する5層の積層体に設けられた開口である凹部95bと凹部95bを埋める第1層間絶縁層71とから構成される。
平面視で、アライメントマーク95の凹部95bに対応する領域が、第2領域Fbであり、周辺領域Fにおいて、第2領域Fbを除いた領域が第1領域Faである。また、第1層間絶縁層71の第1領域Faと第2領域Fbとの間には、第1段差としての段差部95aが設けられる。
周辺領域Fにおいて、第1領域Faには、遮光層13aが設けられる。また、遮光層13aは、実施形態1と同様に、段差部95aとは、平面視で、重ならないように設けられる。
【0089】
以上、述べたとおり、本実施形態の電気光学装置としての液晶装置100によれば、実施形態1の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0090】
本実施形態の液晶装置100において、第1段差としての段差部95aは、基板10aに積層された積層体としての5層の積層体に設けられた開口である凹部95bの一部である。
よって、例えば、アライメントマーク95が、段差部95aを有する場合において、遮光層13aにクラックが発生することを抑制することができる。
【0091】
本実施形態の液晶装置100において、第2段差としての段差部71zは、基板10aに積層された積層体としての第3容量電極65、誘電膜64、第2容量電極62、誘電膜63および第1容量電極61の一部である。
よって、容量素子60を積層体としての第3容量電極65、誘電膜64、第2容量電極62、誘電膜63および第1容量電極61から構成した場合において、遮光層13aにクラックが発生することを抑制することができる。
【0092】
3.実施形態3
図13は、本実施形態に係る電子機器としての投射型表示装置の構成を示す概略構成図である。本実施形態では、投射型表示装置1000として、上述した電気光学装置としての液晶装置100を備えた投射型表示装置1000を例に挙げて説明する。
【0093】
図13に示すように、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置1000は、光源としてのランプユニット1001、色分離光学系としてのダイクロイックミラー1011,1012、青色光に対応する液晶装置100B、緑色光に対応した液晶装置100G、赤色光に対応した液晶装置100R、3個の反射ミラー1111,1112,1113、3個のリレーレンズ1121,1122,1123、色合成光学系としてのダイクロイックプリズム1130、投射光学系としての投射レンズ1140を備えている。
【0094】
ランプユニット1001では、例えば、放電型の光源を採用している。光源の方式はこれに限定されず、発光ダイオード、レーザーなどの固体光源を採用してもよい。
【0095】
ランプユニット1001から射出された光は、2個のダイクロイックミラー1011,1012によって、各々異なる波長域の3色の色光に分離する。3色の色光とは、略赤色の光、略緑色の光、略青色の光である。以降の説明において、上記略赤色の光を赤色光Rともいい、上記略緑色の光を緑色光Gともいい、上記略青色の光を青色光Bともいう。
【0096】
ダイクロイックミラー1011は、赤色光Rを透過させると共に、赤色光Rよりも波長が短い、緑色光Gおよび青色光Bを反射させる。ダイクロイックミラー1011を透過した赤色光Rは、反射ミラー1111で反射され、液晶装置100Rに入射する。ダイクロイックミラー1011で反射された緑色光Gは、ダイクロイックミラー1012によって反射された後、液晶装置100Gに入射する。ダイクロイックミラー1011で反射された青色光Bは、ダイクロイックミラー1012を透過して、リレーレンズ系1120へ射出される。
【0097】
リレーレンズ系1120は、リレーレンズ1121,1122,1123、反射ミラー1112,1113を有している。青色光Bは、緑色光Gや赤色光Rと比べて光路が長いため、光束が大きくなりやすい。そのため、リレーレンズ1122を用いて光束の拡大を抑えている。リレーレンズ系1120に入射した青色光Bは、反射ミラー1112で反射されると共に、リレーレンズ1121によってリレーレンズ1122の近傍で収束される。そして、青色光Bは、反射ミラー1113およびリレーレンズ1123を経て、液晶装置100Bに入射する。
【0098】
投射型表示装置1000における、光変調装置である液晶装置100R,100G,100Bには、実施形態1または実施形態2にかかる電気光学装置としての液晶装置100が適用されている。
【0099】
液晶装置100R,100G,100Bのそれぞれは、投射型表示装置1000の上位回路に電気的に接続される。これによって、赤色光R、緑色光G、青色光Bの階調レベルを指定する画像信号Dxがそれぞれ外部回路から供給され、上位回路で処理される。これによって、液晶装置100R,100G,100Bが駆動されて、それぞれの色光が変調される。
【0100】
液晶装置100R,100G,100Bによって変調された赤色光R、緑色光G、青色光Bは、ダイクロイックプリズム1130に3方向から入射する。ダイクロイックプリズム1130は、入射した赤色光R、緑色光G、青色光Bを合成する。ダイクロイックプリズム1130において、赤色光Rおよび青色光Bは90度に反射され、緑色光Gは透過する。そのため、赤色光R、緑色光G、青色光Bは、カラー画像を表示する表示光として合成され、投射レンズ1140に向かって射出される。
【0101】
投射レンズ1140は、投射型表示装置1000の外側を向いて配置されている。表示光は、投射レンズ1140を介して拡大されて射出され、投射対象であるスクリーン1200に投射される。
【0102】
本実施形態では、電子機器として投射型表示装置1000を例示したが、液晶装置100が適用される電子機器はこれに限定されない。例えば、投射型のHUD(Head-Up Display)、HMD(Head Mounted Display)、パーソナルコンピューター、デジタルカメラ、液晶テレビなどの電子機器に適用されてもよい。
以上述べた通り、本実施形態の投射型表示装置1000によれば、上記各実施形態の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
電子機器としての投射型表示装置1000は、上記各実施形態にかかる電気光学装置としての液晶装置100を備える。
【0103】
この構成によれば、液晶装置100の遮光層13aにクラックが生じることを抑制できるので、クラックを起因とする品質不良の発生を抑制して、高品質な表示が可能な電子機器を提供することができる。
【0104】
また、上記実施形態では、電気光学装置としての液晶装置100として、透過型の液晶装置を例示したが、液晶装置100としては、反射型の液晶装置またはLCOS(Liquid crystal on silicon)型の液晶装置としてもよい。
【符号の説明】
【0105】
5…液晶層、6…シール材、7…上下導通部、10…素子基板、10a…基板、10c…トレンチ、10ca…段差部、11…画素電極、12…配向膜、13…走査線、13a…遮光層、13b,13c,13d…凹部、13x…第3導電層、16…データ線、18…共通配線、19…犠牲膜、20…対向基板、20a…基板、21…対向電極、30…TFT、31…半導体層、31d…ドレイン領域、32…ゲート電極、33…ゲート絶縁膜、41…検査回路、43…外部接続端子、45…走査線駆動回路、47…データ線駆動回路、49…配線、50…中継電極、60…容量素子、61…第1容量電極、62…第2容量電極、63,64…誘電膜、65…第3容量電極、71…第1層間絶縁層、71b,71c,71d…凹部、71y…オーバーエッチングされた部分、71z…段差部、72…第2層間絶縁層、73…第3層間絶縁層、74…第4層間絶縁層、75…第5層間絶縁層、76…第6層間絶縁層、82…第2中継電極、83…第3中継電極、84…第4中継電極、85…第5中継電極、91…モニターパターン、91a…段差部、91b…凹部、93,95…アライメントマーク、93a,95a…段差部、93b,95b…凹部、100,100B,100G,100R…液晶装置、1000…投射型表示装置、1001…ランプユニット、1011,1012…ダイクロイックミラー、1111,1112,1113…反射ミラー、1120…リレーレンズ系、1130…ダイクロイックプリズム、1140…投射レンズ、1200…スクリーン、C1,C3,C4,C5,C8,C10,C20…コンタクトホール、E…表示領域、F…周辺領域、Fa…第1領域、Fb…第2領域。