(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039323
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】臨界防止方法および臨界防止装置
(51)【国際特許分類】
G21C 7/10 20060101AFI20240314BHJP
G21C 7/22 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
G21C7/10 400
G21C7/22
G21C7/10 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143782
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 誠
(72)【発明者】
【氏名】加内 雅之
(72)【発明者】
【氏名】原田 康弘
(57)【要約】
【課題】中性子吸収材を所望とする位置に保持すると共に、周囲の構造材の健全性を確保し、かつ落下物に対して燃料デブリを保護すること。
【解決手段】臨界防止方法は、伸縮性を有する容器を引張させる態様で内部に中性子吸収材を密閉して収容した臨界防止装置を構成する工程と、燃料デブリが堆積した上に前記臨界防止装置を配置する工程と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性を有する容器を引張させる態様で内部に中性子吸収材を密閉して収容した臨界防止装置を構成する工程と、
燃料デブリが堆積した上に前記臨界防止装置を配置する工程と、
を含む、臨界防止方法。
【請求項2】
前記燃料デブリの上方からの落下物によって前記臨界防止装置に所定以上の負荷が加わった場合、前記臨界防止装置の前記容器が破裂し前記中性子吸収材を放出する工程をさらに含む、請求項1に記載の臨界防止方法。
【請求項3】
前記燃料デブリが細断された臨界による発熱によって前記臨界防止装置に所定温度以上の熱が加わった場合、前記臨界防止装置の前記容器が破裂し前記中性子吸収材を放出する工程をさらに含む、請求項1に記載の臨界防止方法。
【請求項4】
前記燃料デブリを取り出した後、前記臨界防止装置を回収する工程をさらに含む、請求項1に記載の臨界防止方法。
【請求項5】
伸縮性を有する容器と、
前記容器を引張させて密閉した内部に収容された中性子吸収材と、
を含む、臨界防止装置。
【請求項6】
前記容器は、所定以上の負荷が加わった場合に破裂する、請求項5に記載の臨界防止装置。
【請求項7】
前記容器は、所定以上の熱が加わった場合に破裂する、請求項5に記載の臨界防止装置。
【請求項8】
前記中性子吸収材は、複数の粒状体を含む、請求項5に記載の臨界防止装置。
【請求項9】
前記中性子吸収材は、液体を含む、請求項5に記載の臨界防止装置。
【請求項10】
前記中性子吸収材は、ゲルを含む、請求項5に記載の臨界防止装置。
【請求項11】
前記中性子吸収材は、複数の粒状体、液体の組み合わせを含む、請求項5に記載の臨界防止装置。
【請求項12】
前記中性子吸収材は、中性子吸収特性の異なる複数種類の組み合わせを含む、請求項5に記載の臨界防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、臨界防止方法および臨界防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、燃料デブリの取り出し作業の期間中において、臨界事故を防止するために中性子吸収物質を確実に燃料デブリの近傍に投入し反応度を低下させる中性子吸収体および臨界事故の防止方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
取り出し作業前の燃料デブリは、冷却水の循環により冷却されており未臨界状態にある。しかし、燃料デブリの取り出し作業において、細断された燃料デブリが冷却水と混合し臨界となる可能性がある。ここで、このような臨界を防止するため、例えば、複数の粒状の中性子吸収材を燃料デブリの取り出し箇所に投入した場合、冷却水と共に粒状の中性子吸収材が流出して細断された燃料デブリの位置に至らないおそれがある。従って、所望とする位置に中性子吸収材を保持して置くことが望まれる。また、中性子吸収材が中性子やガンマ線にさらされると、周囲の構造材の健全性に影響を与える腐食成分が発生し冷却水中に放出される懸念もある。
【0005】
一方、燃料デブリの上部に存在する重量物が落下すると燃料デブリを細断させるおそれがある、これによっても細断された燃料デブリが冷却水と混合し臨界となる可能性がある。従って、臨界を防止するためには、重量物の落下に対する対策も講じる必要がある。
【0006】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、中性子吸収材を所望とする位置に保持すると共に、周囲の構造材の健全性を確保し、かつ落下物に対して燃料デブリを保護することのできる臨界防止方法および臨界防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本開示の一態様に係る臨界防止方法は、伸縮性を有する容器を引張させる態様で内部に中性子吸収材を密閉して収容した臨界防止装置を構成する工程と、燃料デブリが堆積した上に前記臨界防止装置を配置する工程と、を含む。
【0008】
上述の目的を達成するために、本開示の一態様に係る臨界防止装置は、伸縮性を有する容器と、前記容器を引張させて密閉した内部に収容された中性子吸収材と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、中性子吸収材を所望とする位置に保持すると共に、周囲の構造材の健全性を確保し、かつ落下物に対して燃料デブリを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態の臨界防止装置を表す構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態の臨界防止方法のフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施形態の臨界防止方法の工程図である。
【
図4】
図4は、実施形態の臨界防止方法の工程図である。
【
図5】
図5は、実施形態の臨界防止方法の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの開示が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
原子力発電プラントにて、原子炉容器の内部の炉心などが溶融すると、溶融した燃料など溶融物が原子炉容器の底部に堆積したり、原子炉容器も溶融してコンクリートマットに落下したりする。この場合、原子炉格納容器は、内部に冷却水が供給されることで冷却され、溶融物が冷却されて固化した燃料デブリとなる。燃料デブリは、原子炉容器から取り出されて回収される。本実施形態の臨界防止方法および臨界防止装置は、燃料デブリの取り出しに際して臨界を防止するものである。
【0013】
図1に示すように、実施形態の臨界防止装置1は、容器2と、容器2に収容される中性子吸収材3と、を含む。
【0014】
容器2は、ゴムやプラスティックやビニールやポリエステルなどの材質からなり、可塑性、熱可塑性、伸縮性、密閉性の特性を持つ。容器2は、例えば、袋状に形成される。また、容器2は、燃料デブリ10の臨界による発熱が所定温度以上となった場合に破裂し得るように、融点が100℃から300℃程度である材質のものが好ましい。
【0015】
中性子吸収材3は、複数の小球として構成される。小球とは1mm径程度の粒状体をいう。小球として構成される中性子吸収材3は、例えば、炭化ホウ素やガドリニアを素材として形成される。また、中性子吸収材3は、液体としても構成できる。液体として構成される中性子吸収材3は、例えば、高濃度五ホウ酸ナトリウム水からなる。また、中性子吸収材3は、ゲルとしても構成できる。ゲルとして構成される中性子吸収材3は、上述した固体である小球と液体との中間の物質形態であり、浸透性と流動困難性との双方を併せ持つ。
【0016】
容器2に収容される中性子吸収材3は、複数の小球のみ、液体のみ、ゲルのみのとすることができる。また、容器2に収容される中性子吸収材3は、複数の小球、液体、ゲルの少なくとも2つを混合して組み合わせることができる。また、容器2に収容される中性子吸収材3は、中性子吸収特性の異なる複数種類を混合して組み合わせることができる。
【0017】
実施形態の臨界防止装置1は、容器2を引張させる態様で容器2の内部に中性子吸収材3を密閉して収容して構成される。容器2を引張するにあたり、中性子吸収材3と共にガスを容器2に収容してもよい。
【0018】
図2に示すように、実施形態の臨界防止方法は、ステップS1からS11を含む。
【0019】
臨界防止方法は、ステップS1において、伸縮性を有する容器2を引張させる態様で内部に中性子吸収材3を密閉して収容する。即ち、上述した臨界防止装置1を構成する。
【0020】
臨界防止方法は、ステップS2において、燃料デブリ10が堆積した上に臨界防止装置1を配置する。臨界防止装置1は、容器2に中性子吸収材3が密閉されている。このため、臨界防止方法は、中性子吸収材3によって周囲の構造材の健全性に影響を与える腐食成分の発生を防止でき、周囲の構造材の健全性を確保できる。
【0021】
臨界防止方法は、ステップS3において、
図3に示すように、燃料デブリ10の上から落下物50が落下した場合(ステップS3:Yes)、かつステップS4において、当該落下物50の臨界防止装置1にかかる荷重が所定荷重未満の場合(ステップS4:Yes)、ステップS5において、臨界防止装置1の容器2が落下物50の衝撃を吸収する。このため、臨界防止方法は、臨界防止装置1によって落下物50の衝撃が燃料デブリ10に加わる事態を低減でき、燃料デブリ10を保護できる。
【0022】
また、臨界防止方法は、ステップS3において、燃料デブリ10の上から落下物50が落下した場合(ステップS3:Yes)、かつステップS4において、当該落下物50の臨界防止装置1にかかる荷重が所定荷重以上の場合(ステップS4:No)、ステップS6において、
図4に示すように、臨界防止装置1の容器2が破裂し中性子吸収材3を放出する。このため、臨界防止方法は、落下物50が燃料デブリ10を細断しても、臨界防止装置1から放出された中性子吸収材3によって燃料デブリ10の臨界を抑制できる。
【0023】
臨界防止方法は、ステップS3において、燃料デブリ10の上から落下物50が落下していない場合(ステップS3:No)、またはステップS5、ステップS6の後、ステップS7において、燃料デブリ10の取り出しを行う。
【0024】
そして、臨界防止方法は、
図5に示すように、燃料デブリ10の取り出しや、落下物50によって燃料デブリ10が細断され、ステップS8において、臨界による発熱が所定温度以上となった場合(ステップS8:Yes)、ステップS9において、臨界防止装置1の容器2が破裂し中性子吸収材3を放出する。このため、臨界防止方法は、取り出し時の燃料デブリ10の細断による臨界による発熱で臨界防止装置1から放出された中性子吸収材3によって燃料デブリ10の臨界をすみやかに終息させ未臨界へ移行できる。
【0025】
また、臨界防止方法は、ステップS8において、臨界による発熱が所定温度未満の場合(ステップS8:No)、またはステップS9の後に、ステップS10において、燃料デブリ10の取り出しが完了した場合(ステップS10:Yes)、ステップS11において、臨界防止装置1を回収する。臨界防止方法は、ステップS10において、燃料デブリ10の取り出しが完了していない場合(ステップS10:No)、燃料デブリ10の取り出し完了を待つ。
【0026】
このように、実施形態の臨界防止方法は、伸縮性を有する容器2を引張させる態様で内部に中性子吸収材3を密閉して収容した臨界防止装置1を構成する工程と、燃料デブリ10が堆積した上に臨界防止装置1を配置する工程と、を含む。
【0027】
この臨界防止方法によれば、容器2の内部に中性子吸収材3を密閉して収容した臨界防止装置1を燃料デブリ10が堆積した上に配置するため、冷却水によって中性子吸収材3単体が流出されることなく中性子吸収材3を所望とする位置に保持することができる。また、この臨界防止方法によれば、容器2の内部に中性子吸収材3を密閉して収容した臨界防止装置1を燃料デブリ10が堆積した上に配置するため、中性子吸収材3から周囲への腐食成分の発生を防止でき、周囲の構造材の健全性を確保できる。また、この臨界防止方法によれば、伸縮性を有する容器2を引張させる態様で内部に中性子吸収材3を密閉して収容した臨界防止装置1を燃料デブリ10が堆積した上に配置するため、落下物50があってもその衝撃を吸収して燃料デブリ10を保護できる。しかも、この臨界防止方法によれば、容器2の内部に中性子吸収材3を密閉して収容した臨界防止装置1を燃料デブリ10が堆積した上に配置するため、カメラなどによって臨界防止装置1を視認し管理できる。
【0028】
また、実施形態の臨界防止方法では、燃料デブリ10の上方からの落下物50によって臨界防止装置1に所定以上の負荷が加わった場合、臨界防止装置1の容器2が破裂し中性子吸収材3を放出する工程をさらに含む。
【0029】
この臨界防止方法によれば、燃料デブリ10を細断するような負荷が落下物50によって加わるような場合、当該負荷によって臨界防止装置1の容器2が破裂し中性子吸収材3を放出するため、細断された燃料デブリ10と冷却水との混合によって臨界となる事態を阻止できる。しかも、この臨界防止方法によれば、負荷によって臨界防止装置1の容器2が破裂し中性子吸収材3を放出するため、制御や人為的な操作を要せず受動的に落下物50を検知し臨界を阻止できる。
【0030】
また、実施形態の臨界防止方法では、燃料デブリ10が細断された臨界による発熱によって臨界防止装置1に所定温度以上の熱が加わった場合、臨界防止装置1の容器2が破裂し中性子吸収材3を放出する工程をさらに含む。
【0031】
この臨界防止方法によれば、燃料デブリ10の取り出しや、落下物50によって燃料デブリ10が細断され、細断された燃料デブリ10と冷却水との混合によって臨界となった場合でも、臨界による発熱によって臨界防止装置1の容器2が破裂し中性子吸収材3を放出するため、臨界を終息できる。しかも、この臨界防止方法によれば、臨界による発熱によって臨界防止装置1の容器2が破裂し中性子吸収材3を放出するため、制御や人為的な操作を要せず受動的に臨界を検知し終息できる。
【0032】
また、実施形態の臨界防止方法では、燃料デブリ10を取り出した後、臨界防止装置1を回収する工程をさらに含む。
【0033】
この臨界防止方法によれば、燃料デブリ10を取り出した後は臨界防止装置1を回収するため、中性子吸収材3を残留させる事態を防止できる。
【0034】
実施形態の臨界防止装置1は、伸縮性を有する容器2と、容器2を引張させて密閉した内部に収容された中性子吸収材3と、を含む。
【0035】
この臨界防止装置1によれば、容器2の内部に中性子吸収材3を密閉して収容したことで、当該臨界防止装置1を燃料デブリ10が堆積した上に配置した状態で、冷却水によって中性子吸収材3単体が流出されることなく中性子吸収材3を所望とする位置に保持することができる。また、この臨界防止装置1によれば、容器2の内部に中性子吸収材3を密閉して収容したことで、当該臨界防止装置1を燃料デブリ10が堆積した上に配置した状態で、中性子吸収材3から周囲への腐食成分の発生を防止でき、周囲の構造材の健全性を確保できる。また、この臨界防止装置1によれば、伸縮性を有する容器2を引張させる態様で内部に中性子吸収材3を密閉して収容したことで、当該臨界防止装置1を燃料デブリ10が堆積した上に配置した状態で、落下物50があってもその衝撃を吸収して燃料デブリ10を保護できる。しかも、この臨界防止装置1によれば、容器2の内部に中性子吸収材3を収容したことで、燃料デブリ10が堆積した上に配置した状態をカメラなどによって視認し管理できる。
【0036】
また、実施形態の臨界防止装置1では、容器2は、所定以上の負荷が加わった場合に破裂する。
【0037】
この臨界防止装置1によれば、燃料デブリ10を細断するような負荷が落下物50によって加わるような場合、当該負荷によって容器2が破裂し中性子吸収材3を放出するため、細断された燃料デブリ10と冷却水との混合によって臨界となる事態を阻止できる。しかも、この臨界防止装置1によれば、負荷によって容器2が破裂し中性子吸収材3を放出するため、制御や人為的な操作を要せず受動的に落下物50を検知し臨界を阻止できる。
【0038】
また、実施形態の臨界防止装置1では、容器2は、所定以上の熱が加わった場合に破裂する。
【0039】
この臨界防止装置1によれば、燃料デブリ10の取り出しや、落下物50によって燃料デブリ10が細断され、細断された燃料デブリ10と冷却水との混合によって臨界となった場合でも、臨界による発熱によって容器2が破裂し中性子吸収材3を放出するため、臨界を終息できる。しかも、この臨界防止装置1によれば、臨界による発熱によって容器2が破裂し中性子吸収材3を放出するため、制御や人為的な操作を要せず受動的に臨界を検知し終息できる。
【0040】
また、実施形態の臨界防止装置1では、中性子吸収材3は、複数の粒状体を含む。
【0041】
この臨界防止装置1によれば、中性子吸収材3を複数の粒状体としたことで、燃料デブリ10が細断された亀裂に中性子吸収材3を入り込ませて留めることができ、臨界を抑止できる。
【0042】
また、実施形態の臨界防止装置1では、中性子吸収材3は、液体を含む。
【0043】
この臨界防止装置1によれば、中性子吸収材3を液体としたことで、燃料デブリ10が細断された亀裂に中性子吸収材3を入り込ませることができ、臨界を抑止できる。しかも、この臨界防止装置1によれば、中性子吸収材3を液体としたことで、中性子吸収材3が冷却水のフィルタを目詰まりさせる事態を防止できる。
【0044】
また、実施形態の臨界防止装置1では、中性子吸収材3は、ゲルを含む。
【0045】
この臨界防止装置1によれば、中性子吸収材3をゲルとしたことで、燃料デブリ10が細断された亀裂に中性子吸収材3を入り込ませることができ、臨界を抑止できる。しかも、この臨界防止装置1によれば、中性子吸収材3をゲルとしたことで、流動を抑えられるため、冷却水によって中性子吸収材3単体が流出されることなく中性子吸収材3を所望とする位置に保持することができる。
【0046】
また、実施形態の臨界防止装置1では、中性子吸収材3は、複数の粒状体、液体の組み合わせを含む。
【0047】
この臨界防止装置1によれば、粒状体および液体による双方の利点が得られる。
【0048】
また、実施形態の臨界防止装置1では、中性子吸収材3は、中性子吸収特性の異なる複数種類の組み合わせを含む。
【0049】
この臨界防止装置1によれば、中性子吸収材3が中性子吸収特性の異なる複数種類の組み合わせであるため、臨界に対して多種の対応が可能になる。
【0050】
本開示は以下の発明を包含する。
[発明1]
伸縮性を有する容器を引張させる態様で内部に中性子吸収材を密閉して収容した臨界防止装置を構成する工程と、
燃料デブリが堆積した上に前記臨界防止装置を配置する工程と、
を含む、臨界防止方法。
[発明2]
前記燃料デブリの上方からの落下物によって前記臨界防止装置に所定以上の負荷が加わった場合、前記臨界防止装置の前記容器が破裂し前記中性子吸収材を放出する工程をさらに含む、発明1に記載の臨界防止方法。
[発明3]
前記燃料デブリが細断された臨界による発熱によって前記臨界防止装置に所定温度以上の熱が加わった場合、前記臨界防止装置の前記容器が破裂し前記中性子吸収材を放出する工程をさらに含む、発明1または2に記載の臨界防止方法。
[発明4]
前記燃料デブリを取り出した後、前記臨界防止装置を回収する工程をさらに含む、発明1から3のいずれか1つに記載の臨界防止方法。
[発明5]
伸縮性を有する容器と、
前記容器を引張させて密閉した内部に収容された中性子吸収材と、
を含む、臨界防止装置。
[発明6]
前記容器は、所定以上の負荷が加わった場合に破裂する、発明5に記載の臨界防止装置。
[発明7]
前記容器は、所定以上の熱が加わった場合に破裂する、発明5または6に記載の臨界防止装置。
[発明8]
前記中性子吸収材は、複数の粒状体を含む、発明5から7のいずれか1つに記載の臨界防止装置。
[発明9]
前記中性子吸収材は、液体を含む、発明5から7のいずれか1つに記載の臨界防止装置。
[発明10]
前記中性子吸収材は、ゲルを含む、発明5から7のいずれか1つに記載の臨界防止装置。
[発明11]
前記中性子吸収材は、複数の粒状体、液体の組み合わせを含む、発明5から7のいずれか1つに記載の臨界防止装置。
[発明12]
前記中性子吸収材は、中性子吸収特性の異なる複数種類の組み合わせを含む、発明5から11のいずれか1つに記載の臨界防止装置。
【符号の説明】
【0051】
1 臨界防止装置
2 容器
3 中性子吸収材
10 燃料デブリ
50 落下物