(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039325
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】靴
(51)【国際特許分類】
A43B 13/16 20060101AFI20240314BHJP
A43D 999/00 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
A43B13/16
A43D999/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143785
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】兼松 慧
(72)【発明者】
【氏名】片岡 暁
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050BA53
4F050BA54
4F050HA53
4F050HA73
4F050JA01
(57)【要約】
【課題】 足の形状に合わせて変形できる靴を提供することを課題としている。
【解決手段】 靴の前方に配置された前部材、及び、靴の後方に配置された後部材を含む靴底部材と、前記前部材と前記後部材とを連携させる連携部材と、を備える、靴を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴の前方に配置された前部材、及び、靴の後方に配置された後部材を含む靴底部材と、
前記前部材と前記後部材とを連携させる連携部材と、を備える、靴。
【請求項2】
靴底側から見た際に、
前記前部材の後方側の端縁は、後方へ突き出る円弧状曲線を描く、又は、
前記前部材の後方側の端縁は、前方へ窪む円弧状曲線を描く、請求項1に記載の靴。
【請求項3】
前記前部材及び前記後部材の外縁形状は、幅方向の中央を通り前後方向に延びる中心線に対してそれぞれ左右対称である、請求項1に記載の靴。
【請求項4】
前記連携部材は、互いに分離した前記前部材と前記後部材とを連結する連結体を有する、請求項1に記載の靴。
【請求項5】
前記連結体は、前後方向に延びる1つ又は2つ以上の棒状体を有し、
前記棒状体の少なくとも1つが前後方向に垂直な面で切断された際の切断面は、上下方向に長い形状を有する、請求項4に記載の靴。
【請求項6】
前記連結体の曲げ剛性は、左右方向よりも上下方向において大きい、請求項4に記載の靴。
【請求項7】
前記連結体は、前後方向に延びる2つ以上の棒状体を有し、
上下に配置された前記棒状体の数が左右に配置された前記棒状体の数よりも多い、請求項4に記載の靴。
【請求項8】
前記連結体は、前後方向に延びる3つ以上の棒状体を有し、
前後方向に垂直な面で前記棒状体が切断された際の切断面において、各棒状体を頂点とする多角形は、上下方向に長い形状を有する、請求項4に記載の靴。
【請求項9】
前記連携部材は、前記靴底部材の底面に沿って前記前部材と前記後部材とをつなぐように配置されたプレート状材を有する、請求項1に記載の靴。
【請求項10】
前記前部材と前記後部材とが互いに分離し、
前記前部材の後方部分の一部と、前記後部材の前方部分の一部とが、互いに分離しつつ上下に配置されている、請求項1に記載の靴。
【請求項11】
前記靴底部材は、前記前部材と前記後部材との間に配置された中間部材をさらに有し、
前記中間部材は、前記前部材及び前記後部材とそれぞれ互いに分離し、
前記前部材の後方部分の一部と、前記中間部材の前方部分の一部とが、互いに分離しつつ上下に配置され、
前記後部材の前方部分の一部と、前記中間部材の後方部分の一部とが、互いに分離しつつ上下に配置されている、請求項1に記載の靴。
【請求項12】
前記連携部材は、前記前部材と前記後部材とをつなぐように前記前部材及び前記後部材と一体成型された中継部材を有し、
前記中継部材の最小幅は、前記前部材の後端部および前記後部材の前端部の幅よりも狭い、請求項1に記載の靴。
【請求項13】
前記中継部材は、前記前部材と前記後部材との間で幅方向に延びる延在部を有する、請求項12に記載の靴。
【請求項14】
前記連携部材は、中敷を有する、請求項1に記載の靴。
【請求項15】
前記中敷は、左右対称形状を有する、請求項14に記載の靴。
【請求項16】
前記中敷は、上方へ凸状に湾曲したアーチ形状を有する中足部を有し、
前記中敷は、前記中足部の幅方向のいずれか一方側に上方から荷重を加えた際に、他方側が上方へ隆起する、請求項14に記載の靴。
【請求項17】
前記中敷は、上方へ凸状に湾曲したアーチ形状を有する中足部を有し、
前記中足部の幅方向における中央部は、前記中足部の幅方向の両側部よりも剛性が高い、請求項14に記載の靴。
【請求項18】
アッパーをさらに備え、
前記アッパーの少なくとも一部であって、前記靴底部材の前後方向の中央部の上方に配置された部分は、面内方向に力を加えた際に面積を減少する生地で構成されている、請求項1に記載の靴。
【請求項19】
上から見た際の外観が、幅方向の中央を通り前後方向に延びる中心線に対して、左右非対称である、請求項3に記載の靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、左右いずれの足でも使用され得る靴に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに形状の異なる2つの靴が左右で1足となった靴が知られている。この種の一般的な靴は、左右の各足の形状に合わせて片方ずつ設計されている。
【0003】
これに対して、左右の足を問わず使用されたり、個人差による足の形状を問わず使用されたりする靴が知られている。この種の靴としては、例えば、サイズや形状が異なる足であっても履けるように内部空間が大きめに設計された靴が知られている。
【0004】
しかしながら、内部空間が大きめに設計された靴は、着用者が靴を履いたときに、靴の内部空間で足の位置が安定しないという問題を有する。
【0005】
これに対して、比較的良好な安定性で履くことができる靴が知られている。斯かる靴としては、例えば、左右の足を履き違えても履き直さずに良好な安定性で履けるように設計された靴が知られている(例えば、特許文献1)。
【0006】
特許文献1に記載の靴は、外形が左右対称となるように形成されている。また、特許文献1に記載の靴では、着用者の踵を覆う部分の補強材であるバチが、足の土踏まずに近い位置まで覆うように、比較的大きい面積を有している。斯かる構成により、例えば足の左右を逆にして履いたとしても、比較的良好な安定性で靴を履くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、特許文献1に記載の靴は、左右の足を逆にして履いたとき、又は、標準的でない特殊な形状の足で履いたときに、足の形状に合わせて変形できず、足に圧迫感などが生じ得る。
【0009】
そこで、左右のいずれの足で履いても、又は、やや特殊な形状を有する足で履いても、足の形状に合わせて変形できる靴が要望されている。
【0010】
上記の問題点、要望点等に鑑み、本発明は、足の形状に合わせて変形できる靴を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく、本発明に係る靴は、
靴の前方に配置された前部材、及び、靴の後方に配置された後部材を含む靴底部材と、
前記前部材と前記後部材とを連携させる連携部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る靴は、足の形状に合わせて変形できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る靴の一例の外観を表す模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態における靴底部材の具体例を靴底側から見た様子を模式的に表す模式図である。
【
図3A】
図3Aは、第1実施形態における連結体の一例の模式的斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、第1実施形態における連結体の一例を左右方向に垂直な平面で切断した模式断面図である。
【
図3C】
図3Cは、第1実施形態における連結体の一例を前後方向に垂直な平面(
図3BのS-S断面)で切断した模式断面図である。
【
図3D】
図3Dは、第1実施形態における連結体の他の例の模式的斜視図である。
【
図3E】
図3Eは、第1実施形態における連結体の他の例を左右方向に垂直な平面で切断した模式断面図である。
【
図3F】
図3Fは、第1実施形態における連結体の他の例を前後方向に垂直な平面(
図3EのT-T断面)で切断した模式断面図である。
【
図3G】
図3Gは、第1実施形態における連結体の別の例の模式的斜視図である。
【
図3H】
図3Hは、第1実施形態における連結体の別の例を左右方向に垂直な平面で切断した模式断面図である。
【
図3I】
図3I(a)は、第1実施形態における連結体の別の例を前後方向に垂直な平面(
図3HのU-U断面)で切断した模式断面図であり、
図3I(b)は、第1実施形態における連結体のさらなる別の例を前後方向に垂直な平面で切断した模式断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態における連結体の各例を前後方向に垂直な平面で切断した模式断面図である。
【
図5A】
図5Aは、第1実施形態における靴底部材の具体例を靴底側から見た様子を模式的に表す模式図である。
【
図5B】
図5Bは、第1実施形態における靴底部材の具体例を靴底側から見た様子を模式的に表す模式図である。
【
図5C】
図5Cは、第1実施形態における靴底部材の具体例を靴底側から見た様子を模式的に表す模式図である。
【
図5D】
図5Dは、第1実施形態における靴底部材の具体例を靴底側から見た様子を模式的に表す模式図である。
【
図5E】
図5Eは、第1実施形態における靴底部材の具体例を靴底側から見た様子を模式的に表す模式図である。
【
図5F】
図5Fは、第1実施形態における靴底部材の具体例を靴底側から見た様子を模式的に表す模式図である。
【
図5G】
図5Gは、第1実施形態における靴底部材の具体例を靴底側から見た様子を模式的に表す模式図である。
【
図6A】
図6Aは、第1実施形態における靴底部材の具体例を左右方向に垂直な平面で切断した模式断面図である。
【
図6B】
図6Bは、第1実施形態における靴底部材の具体例を左右方向に垂直な平面で切断した模式断面図である。
【
図6C】
図6Cは、第1実施形態における靴底部材の具体例を左右方向に垂直な平面で切断した模式断面図である。
【
図6D】
図6Dは、第1実施形態における靴底部材の具体例を左右方向に垂直な平面で切断した模式断面図である。
【
図7A】
図7Aは、第1実施形態における靴底部材の具体例を左右方向に垂直な平面で切断した模式断面図である。
【
図7B】
図7Bは、第1実施形態における靴底部材の具体例を左右方向に垂直な平面で切断した模式断面図である。
【
図7C】
図7Cは、第1実施形態における靴底部材の具体例を左右方向に垂直な平面で切断した模式断面図である。
【
図7D】
図7Dは、第1実施形態における靴底部材の具体例を左右方向に垂直な平面で切断した模式断面図である。
【
図7E】
図7Eは、第1実施形態における靴底部材の具体例を左右方向に垂直な平面で切断した模式断面図である。
【
図7F】
図7Fは、第1実施形態における靴底部材の具体例を左右方向に垂直な平面で切断した模式断面図である。
【
図8】
図8は、アッパーを構成する、負のポアソン比を有するシート材生地の一例を模式的に表す模式図。
【
図9A】
図9Aは、第2実施形態に係る靴の一例の外観を表す模式図である。
【
図9B】
図9Bは、第2実施形態に係る靴の他の例の外観を表す模式図である。
【
図10A】
図10Aは、第2実施形態における靴底部材の具体例を靴底側から見た様子を模式的に表す模式図である。
【
図10B】
図10Bは、第2実施形態におけるプレート状材を前後方向に垂直な平面(
図10AのV-V断面)で切断した、各種の例の模式断面図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態に係る靴の一例の外観を表す模式図である。
【
図12A】
図12Aは、第3実施形態における靴底部材の具体例を靴底側から見た様子を模式的に表す模式図である。
【
図12B】
図12Bは、第3実施形態における靴底部材の具体例を靴底側から見た様子を模式的に表す模式図である。
【
図13】
図13は、第4実施形態に係る靴の一例の外観を表す模式図である。
【
図14B】
図14Bは、第4実施形態における中敷の他の例を靴底側から見た様子を模式的に表す模式図である。
【
図14C】
図14Cは、第4実施形態における中敷の具体例を靴底側から見た様子を模式的に表す模式図である。
【
図16】
図16は、
図14Cに示す中敷をQ-Q直線に沿って切断した模式断面図であり、アーチ形状が変化する様子を模式的に示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る靴の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本明細書において特に言及しない限り、左右いずれか一方(片方)の足に履く1つの靴について説明する。
【0015】
本発明の実施形態の靴(100、100’等)は、
図1、
図9A等の各図に示すように、靴の前方に配置された前部材11、及び、靴の後方に配置された後部材12を含む靴底部材10と、前部材11と後部材12とを連携させる連携部材20と、を備える。
上記構成の各実施形態の靴では、前部材11と後部材12とが連携部材20によって連携されているため、前部材11と後部材12とを連携させつつ、前部材11と後部材12との相対的な位置を変えることができる。従って、着用者が靴を履いたときに、着用者の足のつま先部分を支える前部材11と、かかと部分を支える後部材12との相対的な位置が、例えば左右方向に変わり得る。例えば、靴底部材10は、前部材11の先端方向を変えるように変形できる。従って、上記構成の各実施形態の靴は、足の形状に合わせて変形できる。
【0016】
各実施形態の靴は、例えば
図1に示すように、上記の靴底部材10と、靴底部材10の外周部から上方へ延びるアッパー50とを少なくとも備える。
【0017】
以下、第1実施形態乃至第4実施形態をそれぞれ例に挙げて、上記実施形態の靴を詳しく説明する。なお、第1実施形態を示す図面には、「I」と記載している場合がある。同様に、第2実施形態乃至第4実施形態については、図面中にそれぞれ「II」、「III」、「IV」と記載している場合がある。
【0018】
図面における各図は模式図であり、実物における上下、左右、前後の長さ比と必ずしも同じではない。本明細書において、靴を履いた着用者の足のつま先が向く方向を前方向、その反対方向を後方向という。また、靴を履いた着用者が立位の状態のとき足裏が地面を向く方向を下方向、その反対方向を上方向という。また、足の幅方向を左右方向という場合がある。なお、各図面において、前後方向をxで表す場合がある(矢印の向く方が前)。また、左右方向(幅方向)をyで表す場合がある(矢印は左右両方をそれぞれ向く)。また、上下方向をzで表す場合がある(矢印の向く方が上)。
【0019】
[第1実施形態]
第1実施形態の靴100Aは、
図1に示すように、前部材11と後部材12とを連携させる連携部材20を備える。第1実施形態において、連携部材20は、前後方向に互いに分離した前部材11と後部材12とを連結する連結体21を有する。斯かる構成により、互いに分離した前部材11と後部材12との相対的な位置が、連結体21を介して例えば左右方向に変わり得る。また、連結体21が回転軸となって、後部材12に対して前部材11がねじれるような変形が可能である。従って、足の形状に合わせて十分に変形できる。
【0020】
靴底部材10は、前部材11と後部材12との間に配置された中間部材13をさらに有してもよい。中間部材13は、前部材11及び後部材12とそれぞれ互いに分離している。互いに隣り合う前部材11及び中間部材13は、互いに離間していてもよく、それぞれの一部が互いに当接していてもよい。また、互いに隣り合う後部材12及び中間部材13は、互いに離間していてもよく、それぞれの一部が互いに当接していてもよい。
一方、靴底部材10は、中間部材13を有さず、前部材11と後部材12とが前後方向に分離しつつ隣り合っていてもよい。隣り合う前部材11及び後部材12は、互いに離間していてもよく、それぞれの一部が互いに当接していてもよい。
【0021】
例えば
図2(a)に示すように、靴底部材10は、前後方向に互いに分離しつつ隣り合う前部材11と後部材12とを有し、連結体21が前部材11と後部材12とを連結していてもよい。
【0022】
一方、例えば
図2(b)に示すように、靴底部材10は、前部材11と、後部材12と、前部材11及び後部材12の間に配置された1つの中間部材13とを有し、連結体21の棒状体211が中間部材13を貫通しつつ連結体21が前部材11と後部材12とを連結していてもよい。
【0023】
また、例えば
図2(c)及び
図2(d)に示すように、靴底部材10は、前部材11及び後部材12の間に配置された複数の中間部材13を有してもよい。複数の中間部材13の数は、例えば2つであってもよい。
2つの中間部材13は、左右方向に並んでもよく、前後方向に並んでもよい。例えば
図2(c)に示すように、左右方向(幅方向)に並んだ2つの中間部材13の間に連結体21の棒状体211が配置されてもよい。また、例えば
図2(d)に示すように前後方向に並んだ2つの中間部材13を棒状体211が貫通しつつ、連結体21が前部材11と後部材12とを連結していてもよい。
【0024】
第1実施形態において、連結体21の曲げ剛性は、左右方向よりも上下方向において大きくてもよい。換言すると、連結体21を曲げるときに必要な力は、左右方向よりも上下方向における方がより大きくてもよい。さらに換言すると、連結体21は、左右方向よりも上下方向における曲がりがより抑制されていてもよい。斯かる構成により、相対的な前部材11と後部材12との位置の変化が、上下方向よりも左右方向においてより起こりやすい。換言すると、靴底部材10の変形が、左右方向よりも上下方向においてより抑制されている。従って、靴底部材10が上下に屈曲することを抑えつつ、靴底部材10が左右方向に変形できる。そのため、上記構成により、靴100Aの着用時に靴底部材10の上下方向の屈曲が足裏に不快感を与えることを抑えつつ、足の形状に合わせて靴100Aが変形できる。
【0025】
連結体21は、前後方向に延びる1つ又は2つ以上の棒状体211を有する。例えば
図3A、
図3D、及び
図3Gにそれぞれ示すように、連結体21は、前後方向に延びる1つ又は2つ以上の棒状体211と、前後方向の両側から1つ又は2つ以上の棒状体211を挟み込んで棒状体211を支持する2つの支持体212とを有する。各支持体212は、前部材11又は後部材12に挿入された板状の挿入部212aと、挿入部212a及び棒状体211の間で挿入部212a及び棒状体211を結合する結合部212bとを有する。
【0026】
連結体21は、例えば2つの支持体212の挿入部212aが、それぞれ前部材11及び後部材12に挿入されていることによって、前部材11と後部材12とを連携している。一方の支持体212の結合部212bにおける片面であって挿入部212aが配置された方の面は、例えば前部材11の後方側の端面に沿って配置されている。他方の支持体212の結合部212bにおける片面であって挿入部212aが配置された方の面は、例えば後部材12の前方側の端面に沿って配置されている。
【0027】
棒状体211の形状は、特に限定されないが、例えば、前後方向に延びる円柱軸を有する円柱形状、斯かる円柱が円柱軸に沿って半分に分割された半円柱形状、前後方向に延びる円柱軸を有する楕円柱形状、斯かる楕円柱が円柱軸に沿って半分に分割された半楕円柱形状、又は、前後方向に垂直な平面で切断した断面が多角形であり前後方向に長い角柱形状などであってもよい。なお、角柱形状には、前後方向に長い三角柱形状、前後方向に長い直方体形状、断面が五角形以上の多角形であり前後方向に長い多角柱形状なども包含される。
【0028】
連結体21が、前後方向に延びる複数の棒状体211を有する場合、各棒状体211は、上述した形状を有してもよい。すべての棒状体211が上述したような同じ形状を有してもよく、一部の棒状体211の形状と、他の一部の棒状体211の形状とが互いに異なっていてもよい。
【0029】
連結体21が1つの棒状体211を有する場合、斯かる棒状体211が前後方向に垂直な面で切断された際の切断面は、上下方向に長い形状を有してもよい。換言すると、上記の切断面は、左右方向よりも上下方向においてより長いことが好ましい。斯かる構成により、連結体21の左右方向よりも上下方向における曲げ剛性が大きくなり得る。連結体21が複数の棒状体211を有する場合、少なくとも1つの棒状体211が上記のごとき形状を有してもよい。
【0030】
連結体21は、例えば
図3A乃至
図3Cに示すように、前後方向に垂直な面で切断された際の切断面(
図3BにおけるS-S切断面)が上下方向に長い楕円形状(
図3C参照)となるように形成された棒状体211を有してもよい。斯かる棒状体211は、上記の切断面が上下方向に長い楕円形状であり、且つ、前後方向における中央部分が最も細く、中央部分からそれぞれ前後方向へ向かうにつれて徐々に太くなっている。詳しくは、例えば
図3Bに示すように、上記の棒状体211の中央を通るように左右方向に垂直な平面で上記の棒状体211を切断した切断面は、互いに頂点を対向させた2つの放物線を上辺及び下辺にそれぞれ有する。換言すると、上記切断面の上側の曲線は、下に凸の放物線を描き、上記切断面の下側の曲線は、上に凸の放物線を描く。
【0031】
一方、例えば
図3D乃至
図3Fに示すように、左右方向に垂直な平面で連結体21の中央を通るように上記の棒状体211を切断した切断面において、上記切断面の上側が直線を描き、上記切断面の下側の曲線が上に凸の放物線を描くように、連結体21が形成されてもよい。斯かる連結体21における棒状体211は、前後方向に垂直な面で切断された際の切断面(
図3EにおけるT-T切断面)が上下方向に長い楕円形状であり、且つ、前後方向における中央部分が最も細く、中央部分からそれぞれ前後方向へ向かうにつれて徐々に太くなっている。ただし、棒状体211の最上部の高さは、前後方向に沿って同じである(
図3F参照)。
なお、
図3Eに示す連結体21の上下を逆にした状態で、連結体21を配置してもよい。
【0032】
連結体21は、例えば
図3G及び
図3Hに示すように、前後方向に長い棒状体211を複数有してもよい。斯かる連結体21では、
図3I(a)(
図3HにおけるU-U断面)に示すように、例えば直方体状の複数の棒状体211が左右に並んでいる。
連結体21は、例えば
図3I(b)に示すように、2つの棒状体211を有し、各棒状体211が、楕円柱が半分に分割された形状を有してもよい。詳しくは、前後方向に円柱軸を延ばす楕円柱が、天面の楕円の長軸及び底面の楕円の長軸の両方を通る平面に沿って切断された形状(半楕円柱状)を有してもよい。2つの半楕円柱状の棒状体211は、切断面(平面)を互いに対向させるように配置され得る。
【0033】
連結体21は、前後方向に延びる2つ以上の棒状体211を有し、上下に配置された棒状体211の数が左右に配置された棒状体211の数よりも多くてもよい。
【0034】
例えば、
図4(a)に示すように、2つの棒状体211が上下方向に並んでいてもよい。斯かる構成により、連結体21の左右方向よりも上下方向における曲げ剛性が大きくなり得る。2つの棒状体211は、いずれも同じ形状であってもよく、互いに異なる形状を有してもよい。
【0035】
連結体21は、前後方向に延びる3つ以上の棒状体211を有し、前後方向に垂直な面で棒状体211が切断された際の切断面において、各棒状体211を頂点とする多角形は、上下方向に長い形状を有してもよい。例えば、
図4(b)及び(c)に示すように、前後方向の一方から見た際に、3つの棒状体が三角形の頂点となるように配置されてもよい。また、例えば、
図4(d)に示すように、4つの棒状体が四角形の頂点となるように配置されてもよい。このように、複数の棒状体が多角形の頂点となるように配置されてもよい。上記の多角形が左右方向よりも上下方向においてより長くなるように複数の棒状体が配置されることによって、連結体21の曲げ剛性が、左右方向よりも上下方向においてより大きくなり得る。複数の棒状体211は、いずれも同じ形状であってもよく、互いに異なる形状を有してもよい。
【0036】
第1実施形態において、靴底部材10を靴底側から見た際に、前部材11と分離し且つ隣り合う靴底部材10の一部は、前方へ向けて膨出する形状を有してもよい。例えば
図5A及び
図5Bに示すように、前部材11と隣り合う後部材12が前方へ向けて膨出する形状を有してもよく、例えば
図5C及び
図5Dに示すように、前部材11と隣り合う中間部材13が前方へ向けて膨出する形状を有してもよい。
【0037】
なお、
図5A乃至
図5Gの各図において、左側の(a)は着用者が靴100Aを履く前の状態を表し、右側の(b)は靴100Aを履いたときに足の形状に合わせて靴底部材10が変形した状態を表す。また、
図5A乃至
図5Gの各図において、連結体は図示されていない。
【0038】
靴底側から見た際に、前部材11は、後方側の端縁が後方へ突き出る円弧状曲線を描くように形成されていてもよい。この場合、前部材11において円弧状曲線を描くように突き出た部分と、中間部材13の膨出した部分又は後部材12の膨出した部分とが、頂点部分を互いに突き合わせるように配置されてもよい。斯かる構成により、
図5A及び
図5Cに示すように、上記の膨出した部分の周縁上を転がるように、前部材11が左右方向に移動できる。換言すると、中間部分の一部又は後部材12の一部と、前部材11の一部とが当接しつつ、当接箇所を変えながら前部材11の先端方向を変えることができる。前部材11のこのような動きにより、足の形状に合わせて靴100Aが変形できる。
【0039】
一方、靴底側から見た際に、前部材11は、後方側の端縁が前方へ窪む円弧状曲線を描くように形成されていてもよい。この場合、前部材11の円弧状曲線は、中間部材13の膨出した部分又は後部材12の膨出した部分の周縁に沿って配置されてもよい。斯かる構成により、
図5B及び
図5Dなどに示すように、前部材11の後方側の窪んだ端縁に、中間部材13又は後部材12の膨出した部分の周縁が、嵌合するような状態となっている。膨出した部分の周縁に沿って、前部材11の後方側の窪んだ端縁が移動できることから、前部材11の先端方向を変えることができる。前部材11のこのような動きにより、足の形状に合わせて靴100Aが変形できる。
【0040】
第1実施形態において、例えば
図5E及び
図5Fに示すように、前部材11は、後方側の端縁が後方へ突き出る円弧状曲線を描くように形成され、中間部材13又は後部材12は、前方側の端縁が後方へ窪む円弧状曲線を描くように形成されていてもよい。
後部材12が上記のごとく形成されている場合、
図5Eに示すように、後部材12の前方側の窪んだ端縁に、前部材11の突き出た部分の周縁が、嵌合するような状態となっている。窪んだ部分の周縁に沿って、前部材11の後方側の突き出た端縁が移動できることから、前部材11の先端方向を変えることができる。前部材11の上記のような動きにより、足の形状に合わせて靴100Aが変形できる。
また、中間部材13が上記のごとく形成されている場合、例えば
図5Fに示すように、中間部材13の前方側の窪んだ端縁に、前部材11の突き出た部分の周縁が、嵌合するような状態となっている。窪んだ部分の周縁に沿って、前部材11の後方側の突き出た端縁が移動できることから、前部材11の先端方向を変えることができる。また、後方側の端縁が後方へ突き出る円弧状曲線を描くように中間部材13が形成されている場合、中間部材13も同様に動くことができる。前部材11及び中間部材13の上記のような動きにより、足の形状に合わせて靴100Aが変形できる。
【0041】
また、第1実施形態において、靴底部材10を靴底側から見た際に、例えば
図5Gに示すように、前部材11は、後方側の端縁が後方へ突き出る円弧状曲線を描くように形成され、前部材11と隣り合う後部材12の前方側の端縁が左右方向に延びる直線状であってもよい。斯かる構成により、
図5Gに示すように、上記の直線状の端縁上を転がるように、前部材11が左右方向に移動できる。換言すると、後部材12の一部と、前部材11の一部とが当接しつつ、当接箇所を変えながら前部材11の先端方向を変えることができる。前部材11のこのような動きにより、足の形状に合わせて靴100Aが変形できる。
【0042】
第1実施形態において靴底部材10が中間部材13を有しない場合、前部材11の後方部分の一部と、後部材12の前方部分の一部とが、互いに分離しつつ上下に配置されてもよい。斯かる構成により、下方に配置された方によって、上方に配置された方を支えることができる。具体的には、着用者が靴100Aを履いたときに、下方に配置された方によって上方に配置された方を支えることができる。従って、靴100Aの着用時に靴底部材10の上下方向の変形を抑制できる。よって、靴底部材10の上下方向の変形が足裏に不快感を与えることを抑えつつ、足の形状に合わせて靴100Aが変形できる。
【0043】
一方、靴底部材10が、前部材11及び後部材12のそれぞれと互いに分離する中間部材13を有する場合、例えば
図6A乃至
図6D、及び、
図7A乃至
図7Dに示すように、前部材11の後方部分の一部と、中間部材13の前方部分の一部とが、互いに分離しつつ上下に配置され、後部材12の前方部分の一部と、中間部材13の後方部分の一部とが、互いに分離しつつ上下に配置されてもよい。斯かる構成により、上述したように、靴100Aの着用時に靴底部材10の上下方向の変形が足裏に不快感を与えることを抑えつつ、足の形状に合わせて靴100Aが変形できる。なお、
図6A乃至
図6D、及び、
図7A乃至
図7Fにおいて、連結体は図示されていない。
【0044】
上記のごとく前部材11、中間部材13、及び後部材12の一部が互いに上下に配置された状態においては、上下方向の一方から見た際に重なり合う部分があればよい。具体的には、真上を向く表面と真下を向く表面とが互いに対向した状態(例えば
図7A乃至
図7D)だけでなく、一方の部材における斜め上を向く表面の一部と、他方の部材における斜め下を向く表面の一部とが互いに対向しつつ、2つの部材の各一部が上下に配置された状態(例えば
図6A乃至
図6D)も、上下に配置された状態に含まれる。
【0045】
上記のごとく前部材11、中間部材13、及び後部材12の一部が互いに上下に配置された状態では、例えば
図6A乃至
図6Dにそれぞれに示すように、前部材11と中間部材13とは、靴底部材10の上面及び下面の間を通る第1境界fにおいて互いに分離し、後部材12と中間部材13とは、靴底部材10の上面及び下面の間を通る第2境界rにおいて互いに分離し得る。
第1境界fの最上部及び最下部のうちの一方は、他方よりも前方又は後方に配置され、第2境界rの最上部及び最下部のうちの一方は、他方よりも前方又は後方に配置されていてもよい。
【0046】
以下、前部材11、中間部材13、及び後部材12の一部が互いに上下に配置された状態の各具体例について順に説明する。
【0047】
例えば
図6A及び
図6Cに示すように、靴底部材10では、前部材11の後方部分の一部が、中間部材13の前方部分の一部よりも上側に配置され、且つ、後部材12の前方部分の一部が、中間部材13の後方部分の一部よりも上側に配置されていてもよい。
【0048】
このような状態において、靴底部材10を幅方向の一方から見た際に、例えば
図6Aに示すように、第1境界fの最上部が最下部よりも後方に配置され、第2境界rの最上部が最下部よりも前方に配置されていてもよい。詳しくは、第1境界fは、最上部と、最上部よりも前方にある最下部とを直線で結ぶように形成されていてもよい。また、第2境界rは、最上部と、最上部よりも後方にある最下部とを直線で結ぶように形成されていてもよい。
この場合、中間部材13は、幅方向の一方から見た際の形状が、上底と、上底よりも長い下底とを有する台形となるように形成されている。
【0049】
また、例えば
図6Cに示すように、靴底部材10を幅方向の一方から見た際に、第1境界fは、最上部と、最上部よりも前方にある最下部とを曲線で結ぶように形成されていてもよい。また、第2境界rは、最上部と、最上部よりも後方にある最下部とを曲線で結ぶように形成されていてもよい。
この場合、第1境界fは、前方を向く斜め上方向へ膨らむ曲線を描くように形成され、第2境界rは、後方且つ斜め上方へ膨らむ曲線を描くように形成される。
【0050】
一方、例えば
図6B及び
図6Dに示すように、靴底部材10では、前部材11の後方部分の一部が、中間部材13の前方部分の一部よりも下側に配置され、且つ、後部材12の前方部分の一部が、中間部材13の後方部分の一部よりも下側に配置されていてもよい。
【0051】
このような状態において、靴底部材10を幅方向の一方から見た際に、例えば
図6Bに示すように、第1境界fの最上部が最下部よりも前方に配置され、第2境界rの最上部が最下部よりも後方に配置されていてもよい。詳しくは、第1境界fは、最上部と、最上部よりも後方にある最下部とを直線で結ぶように形成されていてもよい。また、第2境界rは、最上部と、最上部よりも前方にある最下部とを直線で結ぶように形成されていてもよい。
この場合、中間部材13は、幅方向の一方から見た際の形状が、上底と、上底よりも短い下底とを有する台形となるように形成されている。
【0052】
また、例えば
図6Dに示すように、靴底部材10を幅方向の一方から見た際に、第1境界fは、最上部と、最上部よりも後方にある最下部とを曲線で結ぶように形成されていてもよい。また、第2境界rは、最上部と、最上部よりも前方にある最下部とを曲線で結ぶように形成されていてもよい。
この場合、第1境界fは、後方及び上方の間の斜め方向へ向けて膨らむ曲線を描くように形成され、第2境界rは、前方且つ斜め上方へ膨らむ曲線を描くように形成される。
【0053】
前部材11、中間部材13、及び後部材12は、いずれも上層及び下層が積み重なった積層構造をそれぞれ有してもよい。
【0054】
例えば
図7Aに示すように、中間部材13では、下層の前後方向における両側の端縁が、上層の前後方向における両側の端縁よりも、前方及び後方へそれぞれはみ出し、前部材11では、上層における後方側の端縁が、下層における後方側の端縁よりも、後方へはみ出し、後部材12では、上層における前方側の端縁が、下層における前方側の端縁よりも、前方へはみ出していてもよい。そして、中間部材13においてそれぞれはみ出した下層の端部の上方に、前部材11の上層における後方側の端部、及び、後部材12の上層における前方側の端部がそれぞれ配置されていてもよい。
【0055】
一方、例えば
図7Bに示すように、中間部材13では、上層の前後方向における両側の端縁が、下層の前後方向における両側の端縁よりも、前方及び後方へそれぞれはみ出し、前部材11では、下層における後方側の端縁が、上層における後方側の端縁よりも、後方へはみ出し、後部材12では、下層における前方側の端縁が、上層における前方側の端縁よりも、前方へはみ出していてもよい。そして、中間部材13においてそれぞれはみ出した上層の端部の下方に、前部材11の下層における後方側の端部、及び、後部材12の下層における前方側の端部がそれぞれ配置されていてもよい。
【0056】
また、例えば
図7Cに示すように、中間部材13では、上層の前方側の端縁が、下層の前方側の端縁よりも前方へはみ出し、下層の後方側の端縁が、上層の後方側の端縁よりも後方へはみ出し、前部材11では、下層における後方側の端縁が、上層における後方側の端縁よりも、後方へはみ出し、後部材12では、上層における前方側の端縁が、下層における前方側の端縁よりも、前方へはみ出していてもよい。そして、中間部材13においてはみ出した上層の端部の下方に、前部材11の下層における後方側の端部が配置され、且つ、中間部材13においてはみ出した下層の端部の上方に、後部材12の上層における前方側の端部が配置されていてもよい。
【0057】
さらに、例えば
図7Dに示すように、中間部材13では、上層の後方側の端縁が、下層の後方側の端縁よりも後方へはみ出し、下層の前方側の端縁が、上層の前方側の端縁よりも前方へはみ出し、前部材11では、上層における後方側の端縁が、下層における後方側の端縁よりも、後方へはみ出し、後部材12では、下層における前方側の端縁が、上層における前方側の端縁よりも、前方へはみ出していてもよい。そして、中間部材13においてはみ出した上層の端部の下方に、後部材12の下層における前方側の端部が配置され、且つ、中間部材13においてはみ出した下層の端部の上方に、前部材11の上層における後方側の端部が配置されていてもよい。
【0058】
上記の
図7A乃至
図7Dに示した構成により、靴100Aの着用時に靴底部材10の上下方向の変形が足裏に不快感を与えることをより十分に抑えつつ、足の形状に合わせて靴100Aが変形できる。
【0059】
上記の例において、中間部材13は、靴底部材10の上面の一部及び下面の一部の両方を構成するように配置されていたが、中間部材13の配置は、斯かる例に限定されない。例えば
図7Eに示すように、中間部材13は、靴底部材10の下面の一部を構成せず、上面の一部のみを構成するように配置されてもよい。具体的には、2層構造の靴底部材10において、前部材11における下層の後方側の端縁が、上層の後方側の端縁よりも後方へはみ出し、後部材12における下層の前方側の端縁が、上層の前方側の端縁よりも前方へはみ出し、前部材11においてはみ出した下層の端部、及び後部材12においてはみ出した下層の端部の両方の上方に、中間部材13(厚さが前部材11及び後部材12よりも薄い)が配置されてもよい。
一方、中間部材13は、靴底部材10の上面の一部を構成せず、下面の一部のみを構成するように配置されてもよい(図示せず)。斯かる構成によっても、靴100Aの着用時に靴底部材10の上下方向の変形が足裏に不快感を与えることを抑えつつ、足の形状に合わせて靴100Aが変形できる。
【0060】
上記の例において、中間部材13を有する靴底部材10の構造について詳しく説明したが、中間部材13を有しない靴底部材10において、前部材11の後方部分の一部と、後部材12の前方部分の一部とが、互いに分離しつつ上下に配置されてもよい。
例えば
図7Fに示すように、前部材11では、上層における後方側の端縁が、下層における後方側の端縁よりも、後方へはみ出し、後部材12では、下層における前方側の端縁が、上層における前方側の端縁よりも、前方へはみ出していてもよい。そして、後部材12においてはみ出した下層の端部の上方に、前部材11の上層における後方側の端部が配置されていてもよい。
また、前部材11では、下層における後方側の端縁が、上層における後方側の端縁よりも、後方へはみ出し、後部材12では、上層における前方側の端縁が、下層における前方側の端縁よりも、前方へはみ出していてもよい。そして、前部材11においてはみ出した下層の端部の上方に、後部材12の上層における前方側の端部が配置されていてもよい(図示せず)。
上記の構成によっても、靴100Aの着用時に靴底部材10の上下方向の変形が足裏に不快感を与えることを抑えつつ、足の形状に合わせて靴100Aが変形できる。
【0061】
なお、
図7A乃至
図7Dに示した靴底部材10では、前部材11、中間部材13、及び後部材12がいずれも2層構造を有しているが、前部材11、中間部材13、及び後部材12は積層構造を有していなくてもよい。例えば、前部材11、中間部材13、及び後部材12がそれぞれ単層構造を有しつつ、靴底部材10に
図6A乃至
図6Dに示したような第1境界f及び第2境界rが形成され得る。
【0062】
第1実施形態の靴100Aにおいて、前部材11及び後部材12の外縁形状は、いずれも、それぞれ左右対称であってもよい。詳しくは、靴底側から見た際に、前部材11及び後部材12の外縁形状は、幅方向の中央を通り前後方向に延びる中心線に対して、それぞれいずれも左右対称であってもよい。斯かる構成により、第1実施形態の靴100Aは、左右の区別なく履ける靴となり得る。
【0063】
第1実施形態の靴100Aは、アッパー50をさらに備える。アッパー50の少なくとも一部であって、靴底部材の前後方向の中央部の上方に配置された部分は、面内方向に力を加えた際に面積を減少する生地で構成されていてもよい。着用者が靴100Aを履くことによって、後部材12に対する前部材11の位置が、例えば左右方向に変わったときに、靴底部材10の変形に伴ってアッパー50も変形し得る。このとき、靴底部材の上記中央部の上方に配置されたアッパー50の一部には、面内方向又は面外方向に力が加わる。例えば先端方向が左側へ向くように前部材11の位置が変わった場合、アッパー50の中央部における左側側面は、面内方向に力を受ける。アッパー50の上記ごとき一部が、面内方向に力を受けたときに面積を減少できる生地で構成されていることによって、面内方向に力を受けてもシワの発生が抑制され、また、座屈変形が抑制され得る。
【0064】
上記の生地としては、例えば、網目状生地、蛇腹状生地、鱗状生地、ゴム、エラストマー、若しくは樹脂からなる発泡体生地、又は、負のポアソン比を有するシート材生地などが挙げられる。
【0065】
網目状生地は、例えば、メッシュ構造、又は、面方向の複数の方向に沿って多数の輪がつながった鎖状構造(例えば鎖帷子のごとき構造)などを有し得る。斯かる構造を有する生地は、面内方向に力を受けた際に、各網目が小さくなったり、隣り合う輪の中心間の距離を近づけたりすることで、面積を減少できる。
蛇腹状生地は、例えば、面方向の一方向に沿って山折り及び谷折りが繰り返される構造を有し得る。斯かる構造を有する生地は、面内方向に力を受けた際に、隣り合う山部分及び谷部分の距離を近づけることで、面積を減少できる。
鱗状生地は、例えば、面方向のうち少なくとも一方向に並び且つ厚さ方向が揃った複数の板材を有し、隣り合う2つの板材のうち一方の板材の端部と他方の板材の端部とが重なり合っている構造を有し得る。斯かる構造を有する生地は、面内方向に力を受けた際に、重なり合う部分を増やすことで、面積を減少できる。
上記の発泡体生地は、内部に多数の空洞を有する。換言すると、上記の発泡体生地の内部には、多数の気泡が形成されている。斯かる構造を有する生地は、面内方向に力を受けた際に、空洞(気泡)の総体積を減らすことで、面積を減少できる。
負のポアソン比を有するシート材生地は、例えば、以下のような生地が採用され得る。負のポアソン比を有するシート材生地は、面内方向に力を受けた際に面積を減少できる。
【0066】
負のポアソン比を有するシート材生地としては、例えば、ハニカム構造又は泡構造といった構造を有する生地などが挙げられる。
また、負のポアソン比を有するシート材生地は、例えば
図8に示すように、特殊な網目構造を有してもよい。詳しくは、斯かる特殊な網目構造は、2つの台形の上底を互いに突き合せたような形状の網目が多数形成されている構造である。より詳しくは、例えば
図8に示すように、台形における平行する2辺のうち短辺(上底)同士を突き合わせたような形状の網目501が所定の配置で多数形成されている。換言すると、矩形において対向する2つの辺が内側に向けて折れ曲がったような形状の網目501(以下、所定形状の網目ともいう)が多数形成されている。さらに詳しくは、上記所定形状の網目501が並ぶ方向(
図8において両矢印で示す)は、上記台形の短辺(折れ曲がっていない矩形の辺)が延びる方向と垂直な方向である。上記の特殊な網目構造では、上記所定構造の網目501の複数が一方向に並んで列を形成し、並び方向と直交する方向に複数の列が重なるように配置されている。一方の列の上記所定形状の網目501と隣り合う他方の列の上記所定形状の網目501とは、上記の並び方向に沿って半ピッチずれて配置されている。
【0067】
負のポアソン比を有するシート材生地は、上記のごとき所定形状の網目501の構造を有する生地のみで構成されてもよく、一方、上記のごとき所定形状の網目501の構造を有する生地と、他の生地との積層構造を有してもよい。上記のごとき所定形状の網目501の構造を有する生地は、例えば、人工皮革、ウレタン樹脂等の剛性を有する材料で形成されてもよい。
【0068】
負のポアソン比を有するシート材生地が積層構造を有する場合、上記のごとき所定形状の網目501の構造を有する生地の片面のみに他の生地を重ね合わせてもよい。一方、上記のごとき所定形状の網目501の構造を有する生地を2つ以上の他の生地で挟み込んでもよい。他の生地としては、例えば、上記のごとき所定形状の網目501の構造を有する生地の材料より剛性が低い材料で形成された生地が採用され得る。斯かる生地としては、例えば、メッシュ生地、伸縮性の高い生地などが挙げられる。他の生地は、上記のごとき所定形状の網目501の構造を有する生地の形状変化をあまり阻害しない生地であることが好ましい。
【0069】
アッパー50の少なくとも一部は、上記のごとく面内方向に力を加えた際に面積を減少するだけでなく、面外方向に力を加えた際に面積を増加する生地で構成されていてもよい。例えば、先端方向が左側へ向くように靴底部材10が変形した場合、アッパー50の中央部における右側側面は、面外方向に力を受ける(伸ばされる)。よって、靴底部材10の変形に伴って面積を減らせるだけでなく、面積を増加できる(すなわち面方向において伸び縮み可能な)生地が好ましい。斯かる生地としては、上記のごとく例示した生地が挙げられる。
【0070】
第1実施形態の靴100Aでは、前部材11と後部材12とが互いに分離しているため、靴底部材10は、前部材11の先端方向を変えるように変形できる。また、前部材11と後部材12とが連結体21によって連結されているため、連結体21が回転軸となって、後部材12に対して前部材11がねじれるような変形が可能である。従って、足の形状に合わせて十分に変形できる。
各個人の足の形状は、さまざまであり、個人差がある。さまざまな形状の足で第1実施形態の靴100Aを履いたときに、上述したように、例えば前部材11の先端方向を変えるような変形が可能である。換言すると、第1実施形態の靴100Aは、各個人の足のカーブに追従して適切に変形できる。特に、第1実施形態の靴100Aの靴底部材10が中間部材13を有する場合、各個人の足形状又は左右いずれかの足形状に合わせて、靴底部材10がより適切に変形できる。従って、靴を履いたときのフィット性が良好になり得る。
【0071】
また、第1実施形態の靴100Aでは、連結体21の曲げ剛性が、左右方向よりも上下方向において大きいことにより、前部材11及び後部材12を有する靴底部材10の上下方向での屈曲変形が、前部材11の先端方向を変えるような変形よりも、抑制される。よって、靴100Aの着用時に靴底部材10の上下方向の屈曲が足裏に不快感を与えることを抑えつつ、足の形状に合わせて靴100Aが変形できる。よって、上記のフィット性がより良好になり得る。
第1実施形態の靴100Aでは、靴底部材10が中間部材13をさらに有することによって、前部材11と後部材12との間で靴底部材10が上下に屈曲することが、中間部材13によって抑えられる。従って、靴を履いたときの上記のフィット性がより良好になり得る。
靴底側から見た際に、前部材11は、後方側の端縁が後方へ突き出る円弧状曲線を描くように形成されていてもよい。この場合、前部材11において円弧状曲線を描くように突き出た部分と、中間部材13の膨出した部分又は後部材12の膨出した部分とが、頂点部分を互いに突き合わせるように配置されてもよい。斯かる構成により、上記の膨出した部分の周縁上を転がるように前部材11が移動して、前部材11の先端方向を変えるように靴底部材10がより容易に変形できる。
靴底側から見た際に、前部材11は、後方側の端縁が前方へ窪む円弧状曲線を描くように形成されていてもよい。この場合、前部材11の円弧状曲線は、中間部材13の膨出した部分又は後部材12の膨出した部分の周縁に沿って配置されることから、前部材11の後方側の窪んだ端縁に、中間部材13又は後部材12の膨出した部分の周縁が、嵌合するような状態となる。膨出した部分の周縁に沿って、前部材11の後方側の窪んだ端縁が移動して、前部材11の先端方向をより容易に変えることができる。
第1実施形態の靴100Aでは、前部材11の後方部分の一部と、後部材12の前方部分の一部とが、互いに分離しつつ上下に配置されてもよい。又は、前部材11の後方部分の一部と、中間部材13の前方部分の一部とが、互いに分離しつつ上下に配置され、後部材12の前方部分の一部と、中間部材13の後方部分の一部とが、互いに分離しつつ上下に配置されてもよい。斯かる構成により、上方に配置された方を、下方に配置された方で支えることができる。従って、靴100Aの着用時に靴底部材10の上下の屈曲が足裏に不快感を与えることを抑えつつ、足の形状に合わせて靴100Aが変形できる。従って、靴を履いたときの上記のフィット性がより良好になり得る。
【0072】
次に、第2実施形態について詳しく説明する。なお、第2実施形態について、第1実施形態と同様の説明は繰り返さない。第2実施形態において、特に言及しない事項は、第1実施形態と同様であり得る。
【0073】
[第2実施形態]
第2実施形態の靴100Bでは、連携部材20は、靴底部材10の底面に沿って前部材11と後部材12とをつなぐように配置されたプレート状材22を有する。プレート状材22は、例えば
図9Aに示すように、互いに分離している前部材11の一部及び後部材12の一部を下側から覆うように配置される。例えば、プレート状材22の前方部分221は、前部材11の後方部分における下面に接し、プレート状材22の後方部分222は、後部材12の前方部分における下面に接している。斯かる構成により、前部材11及び後部材12を有する靴底部材10の上下方向での屈曲変形が、プレート状材22によって抑制される。よって、靴100の着用時に靴底部材10の上下方向の屈曲が足裏に不快感を与えることを抑えつつ、足の形状に合わせて靴100が変形できる。また、靴底部材10の幅方向の中央を前後方向に貫く仮想直線が回転軸となって、後部材12に対して前部材11がねじれるような変形が、プレート状材22によって抑制されている。
【0074】
図9Bに示すように靴底部材10が中間部材13を有する場合、プレート状材22は、例えば、中間部材13を下からまたぎつつ前部材11の一部及び後部材12の一部を下側から覆っている。
【0075】
図9A及び
図9Bに示すように、プレート状材22の前方部分221は、前部材11の側面の一部及びアッパー50の下方部の表面の一部を覆っていてもよい。また、プレート状材22の後方部分222は、後部材12の側面の一部及びアッパー50の下方部の表面の一部を覆っていてもよい。このように、プレート状材22は、板状部材の一部が折れ曲がったような立体的形状を有してもよい。
【0076】
プレート状材22は、少なくとも前部材11の底面の一部又は側面の一部と、後部材12の底面の一部又は側面の一部に接着されることによって、前部材11と後部材12とを連携している。
【0077】
プレート状材22の一部は、厚さ方向に切り抜かれていてもよい。換言すると、プレート状材22の一部には、厚さ方向に孔が形成されていてもよい。斯かる構成により、孔が形成された分、プレート状材22が軽くなるため、靴100Bを軽量化できる。
【0078】
例えば
図10Aに示すように、プレート状材22は、前部材11の底面の一部を覆う前方部分221と、後部材12の底面の一部を覆う後方部分222と、前方部分221及び後方部分222をつなぐ複数の帯状部分223と、を有してもよい。幅方向に隣り合う帯状部分223の間が、上述した孔となっている。換言すると、複数の帯状部分223は、前方部分及び後方部分をつなぐ板状部分の一部がくり抜かれたように形成されている。
【0079】
プレート状材22には、上記のごとき孔の他、リブ223aが形成されていてもよい。例えば、リブ223aは、プレート状材22の前方部分221の外側表面、後方部分222の外側表面、又は、帯状部分223の表面に形成され得る。
【0080】
プレート状材22の帯状部分223において、例えば
図10Bに示すようなリブ223aが形成されていてもよい。これらのリブ223aは、帯状部分223の長手方向に沿って延びている。
例えば
図10B(a)に示すように、帯状部分223の上側表面の一部が突出してリブ223aが形成されていてもよい。斯かるリブ223aは、前後方向に垂直な面に沿って切断した帯状部分223の切断面を見た際に、突出した部分が半円状である。斯かるリブ223aは、各帯状部分223の幅方向の中心部から上方へ突出している。
また、例えば
図10B(b)に示すように、帯状部分223の上側表面の一部が突出してリブ223aが形成されていてもよい。斯かるリブ223aは、前後方向に垂直な面に沿って切断した帯状部分223の切断面を見た際に、突出した部分が矩形状である。斯かるリブ223aは、各帯状部分223の幅方向の中心部から上方へ突出している。
また、例えば
図10B(c)に示すように、帯状部分223の上側表面の一部が突出してリブ223aが形成されていてもよい。斯かるリブ223aは、前後方向に垂直な面に沿って切断した帯状部分223の切断面を見た際に、突出した部分が例えば矩形状である。斯かるリブ223aは、各帯状部分223の幅方向の両端部からそれぞれ上方へ突出している。
また、例えば
図10B(d)に示すように、左右方向の両側にそれぞれ配置された帯状部分223のみにリブ223aが形成されていてもよい。斯かるリブ223aは、前後方向に垂直な面に沿って切断した帯状部分223の切断面を見た際に、突出した部分が例えば矩形状である。斯かるリブ223aは、最も左側に配置された帯状部分223の左端部から上方へ突出し、また、最も右側に配置された帯状部分223の右端部から上方へ突出している。
【0081】
プレート状材22は、例えば1mm以上8mm以下の厚さを有する。プレート状材22の厚さは、均一であってもよく、部位によって異なっていてもよい。
【0082】
図10Aでは、前部材11の後方の端縁、後部材12の前方の端縁、中間部材13の前方及び後方の各端縁は、靴底側から見た際に直線を描くように形成されている。これに対して、第2実施形態において、前部材11の後方の端縁、後部材12の前方の端縁、中間部材13の前方及び後方の各端縁は、第1実施形態で説明した
図5A乃至
図5Gに示すような形状であってもよい。
【0083】
図9Aでは、前部材11と後部材12との境界が、左右方向の一方から見た際に上下に直線状に延びるように形成されている。また、
図9Bでは、前部材11と中間部材13との境界が、上下に直線状に延びるように形成され、後部材12と中間部材13との境界が、上下に直線状に延びるように形成されている。これに対して、第2実施形態において、前部材11、後部材12、中間部材13の各配置は、第1実施形態で説明した
図6A乃至
図7Fに示すような配置であってもよい。
【0084】
第2実施形態の靴100Bでは、前部材11及び後部材12が互いに分離しつつ、プレート状材22によって、前部材11の一部及び後部材12の一部が支えられている。よって、靴底部材10は、前部材11の先端方向を変えるように変形でき、しかも、前部材11と後部材12との間で靴底部材10が上下に屈曲すること、及び、前後方向に延びる仮想直線を回転軸として前部材11と後部材12とがねじれるように変形することが、プレート状材22によって抑制されている。従って、足の形状に合わせて十分に変形できる。従って、靴を履いたときの上記のフィット性が良好になり得る。
【0085】
なお、第2実施形態の靴100Bは、上述した第1実施形態の靴100と同様の構成をさらに備えてもよい。例えば、第2実施形態の靴100Bは、プレート状材22に加え、上述した連結体21を連携部材20としてさらに備えてもよい。
【0086】
続いて、第3実施形態について詳しく説明する。なお、第3実施形態について、第1実施形態又は第2実施形態と同様の説明は繰り返さない。第3実施形態において、特に言及しない事項は、第1実施形態又は第2実施形態と同様であり得る。
【0087】
[第3実施形態]
第3実施形態の靴100Cでは、例えば
図11、
図12A、及び
図12Bに示すように、連携部材20は、前部材11と後部材12とをつなぐように前部材11及び後部材12と一体成型された中継部材23を有する。換言すると、中継部材23によって前部材11と後部材12とが連携されている。中継部材23の最小幅は、前部材11の後端部および後部材12の前端部よりも狭い。前記中継部材の最小幅は、前記前部材の後端部および前記後部材の前端部の幅よりも狭い
上記のごとく狭い部分を有する中継部材23によって前部材11と後部材12とが連携されていることにより、第1実施形態と同様に、前部材11と後部材12との相対的な位置が、連結体21を介して例えば左右方向に沿って変わり得る。また、中継部材23における幅の狭い部分が回転軸となって、後部材12に対して前部材11がねじれるような変形が可能である。従って、第3実施形態の靴100Cは、足の形状に合わせて変形できる。
【0088】
中継部材23の最小幅は、例えば前部材11の後端部の半分以下であってもよく、30%以下であってもよい。同様に、中継部材23の最小幅は、例えば後部材12の前端部の半分以下であってもよく、30%以下であってもよい。
【0089】
中継部材23の最小幅は、例えば30mm以下であってもよく、25mm以下であってもよく、20mm以下であってもよい。なお、中継部材23の最小幅は、例えば4mm以上であってもよく、6mm以上であってもよく、8mm以上であってもよい。
【0090】
例えば
図12Aに示すように、中継部材23と前部材11との接続部分は、靴底側から見た際に、前部材11から中継部材23に近づくほど幅が狭くなっている。換言すると、前部材11から中継部材23に向けて急激に幅が狭くなっている。
また、中継部材23と後部材12との接続部分も、靴底側から見た際に、同様に後部材12から中継部材23に近づくほど幅が狭くなっている。
【0091】
中継部材23は、前部材11及び後部材12と一体成型されていることから、中継部材23の厚さ(上下方向の長さ)は、前部材11又は後部材12の厚さと同じであってもよい。一方、中継部材23の厚さ(上下方向の長さ)は、前部材11又は後部材12の厚さと異なっていてもよい。
換言すると、第3実施形態において、靴底部材10の厚さは、均一であってもよく、部位によって異なっていてもよい。
【0092】
第3実施形態の靴100Cでは、中継部材23は、前部材11と後部材12との間で幅方向に延びる延在部232を有してもよい。中継部材23が延在部232を有することにより、前部材11と後部材12との間で着用者の足が落ち込むことを抑制できる。
【0093】
例えば
図12Aに示すように、延在部232は、前後方向に長い中継部材23の最小幅部分(231で示す)から、左右の両方向へそれぞれ延びている。左右のうち一方へ延びる延在部232の数は、1つであってもよく2つ以上であってもよい。また、左右のうち一方へ延びる複数の延在部232の幅(前後方向の長さ)は、すべて同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。延在部232の幅(前後方向の長さ)は、左右のうち一方へ延びる方向へ向かうほど広くなっていてもよく、狭くなっていてもよい。一方、各延在部232は、同じ幅で延びていてもよい。
【0094】
第3実施形態の靴100Cにおいて、延在部232は、例えば
図12Bに示すように板状であってもよい。換言すると、延在部232の前後方向長さは、中継部材23の最小幅部分から左右いずれかの方向へ延びる長さと同等であってもよい。
【0095】
連携部材20は、中継部材23に付着した補強部材を有してもよい。換言すると、前部材11と後部材12との間の強度を高めるために、中継部材23には、中継部材23の最も幅が狭い部分231に沿って、前後方向に長い補強部材が付着していてもよい。連携部材20において、中継部材23の最も幅が狭い部分231の曲げ剛性は、補強部材が付着する前よりも、補強部材が付着した状態の方が大きい。中継部材23に補強部材が付着することにより、前部材11と後部材12とを互いにより強固に連携させることができる。
【0096】
補強部材は、中継部材23における最も幅が狭い部分231の上面又は下面の少なくとも一方に付着していてもよい。斯かる構成により、中継部材23の最も幅が狭い部分231で靴底部材10が上下に屈曲することを抑制できる。
【0097】
第3実施形態の靴100Cは、前部材11と後部材12とをつなぐように前部材11及び後部材12と一体成型された中継部材23を有し、中継部材23の最小幅は、上記のごとく狭い。第3実施形態の靴100Cでは、前部材11及び後部材12の間に中継部材23を挟みつつ、前部材11、中継部材23、及び後部材12が一体成型されている。そのため、靴底部材10は、強度が低くなっている中継部材23の最も幅が狭い部分231で、左右方向及び上下方向に変形しやすくなっている。また、中継部材23の最も幅が狭い部分231を回転軸として、後部材12に対して前部材11がねじれやすくなっている。また、靴底部材10は、前部材11の先端方向を変えるように変形できる。従って、第3実施形態の靴100Cは、足の形状に合わせて変形できる。従って、靴を履いたときの上記のフィット性が良好になり得る。
第3実施形態の靴100Cは、中継部材23の最も幅が狭い部分231に付着した補強部材を有してもよい。斯かる構成により、靴底部材10が上下に屈曲することを抑えつつ、靴底部材10において前部材11の先端方向を変えることができる。従って、前部材11と後部材12との間で着用者の足が落ち込むことを抑制しつつ、足の形状に合わせて靴が変形できる。従って、靴を履いたときの上記のフィット性が良好になり得る。
【0098】
続いて、第4実施形態について詳しく説明する。なお、第4実施形態について、第1実施形態乃至第3実施形態と同様の説明は繰り返さない。第4実施形態において、特に言及しない事項は、第1実施形態乃至第3実施形態と同様であり得る。
【0099】
[第4実施形態]
第4実施形態の靴100Dでは、連携部材20は、
図13及び
図14Aに示すようにシート状の中敷24を有する。中敷24は、シート状の中敷本体240を少なくとも有する。中敷24は、靴100Dの内部空間における下方、即ち、靴底部材10の上側に配置されている。中敷24の前方部分の一部は、靴底部材10の前部材11の上面と当接している。また、中敷24の後方部分の一部は、靴底部材10の後部材12の上面と当接している。斯かる構成により、中敷24は、靴底部材10において互いに分離している前部材11と後部材12とを連携している。
第4実施形態の靴100Dは、前部材11と後部材12とを連携する中敷24の他に、第1実施形態で説明したような、前部材11と後部材12とをつなぐ連結体21を備えている。
従って、靴底部材10が上下に屈曲することを中敷24及び連結体21の両方によって抑えつつ、靴底部材10が左右方向に変形できる。そのため、靴100Dの着用時に靴底部材10の上下方向の屈曲が足裏に不快感を与えることを抑えつつ、足の形状に合わせて靴100Aが変形できる。従って、靴を履いたときの上記のフィット性が良好になり得る。
【0100】
中敷24を厚さ方向の一方から見た際の形状は、靴底部材10を靴底側から見た際の形状に類似するが、中敷24の大きさは、靴底部材10の大きさよりもひと回り小さい。
第4実施形態の靴100Dでは、中敷24は、
図14B及び
図14Cにそれぞれ示すように左右対称形状を有してもよい。換言すると、中敷24は、幅方向の中心を通り前後に延びる直線に対して線対称の形状を有してもよい。斯かる構成により、中敷24は、左右の足の区別なく使用され得る。
【0101】
第4実施形態の靴100Dの内部空間において、中敷24の外周縁は、靴100Dの内表面と当接している。そのため、中敷24は、靴100Dの内部空間において前後方向及び左右方向への移動が規制されている。なお、靴100Dの着用時において、中敷24は、着用者の足と靴底部材10との間に挟まれることとなる。従って、中敷24は、上下方向への移動も規制されることとなる。
【0102】
第4実施形態の靴100Dでは、中敷24は、例えば
図15Aに示すように、上方へ凸状に湾曲したアーチ形状を有する中足部241を有する。中足部241の幅方向における中央部242は、中足部241の幅方向の両側部よりも剛性が高くてもよい。
【0103】
例えば中敷24において、中足部241の幅方向における中央部242が、該中央部242の幅方向両側よりも硬質であってもよい(
図14Bで模式的に図示)。中央部242がより硬質であることにより、中央部242は、中足部241の幅方向の両側部よりも剛性が高くなっている。そのため、中央部242の伸びが抑制されている。例えば、中央部242は、中央部242の周囲よりも厚く形成されていることによって、硬質であってもよい。
【0104】
一方、中敷24は、アーチ形状を有する中足部241の幅方向の中央部242に少なくとも配置された非伸張性の補強シート243を有してもよい(
図14Cを参照)。斯かる補強シートは、前後方向の引張力に対して剛直である。補強シート243の一部が中敷本体240に貼付されてもよく、補強シート243の片面全体が中敷本体240に貼付されてもよい。斯かる補強シート243を有する中敷24の中央部242は、伸びが抑制されている。
補強シート243は、中敷24の下面に沿って配置されてもよく、上面に沿って配置されてもよい。補強シート243については、後に詳しく説明する。
【0105】
第4実施形態の靴100Dでは、中敷24の中足部241が上記のような構成を有することにより、中敷24は、中足部241の幅方向のいずれか一方側に上方から荷重を加えた際に、他方側が上方へ隆起する構成を有し得る。詳しくは、上記のごとく靴100Dの内部空間における中敷24の移動が規制されていること、及び、上記のごとく中央部242が硬質又は中央部242の伸びが抑制されていることから、中足部241の中央部242の幅方向の一方の側部が下方へ押されると、他方の側部が上方へ盛り上がることとなる(
図16(a)を参照)。一方、中央部242の幅方向の他方の側部が下方へ押されると、同様の理由によって、一方の側部が上方へ盛り上がることとなる(
図16(b)を参照)。
足裏の土踏まずのアーチ形状は、左の足では幅方向の中央よりも右側に偏っており、右足では幅方向の中央よりも左側に偏っている。従って、着用者が左足で靴100Dを履けば、中敷24が例えば
図16(a)のように変形する。一方、着用者が右足で靴100Dを履けば、中敷24が例えば
図16(b)のように変形し得る。
このように中敷24が変形できることにより、左右いずれの足で靴100Dを履いても、足裏における違和感をあまり生じさせずに靴100Dを履くことができる。
【0106】
補強シート243は、中足部241の幅方向における中央部242における剛性を両側部よりも高めるために、例えば
図14C及び
図15Bに示すように中敷本体240に貼り付けられる。補強シート243は、例えば非伸縮性の布などであってもよい。補強シート243は、中敷本体240の最後部と、上記中央部242と、足の指の付け根が当接する部分とを覆うように中敷本体240の足底側の面に付着されていてもよい。補強シート243は、中足部241における上記の両側部には配置されない。よって、補強シート243は、厚さ方向に見た際に、前後方向の中央部がくびれたような形状を有し得る。
補強シート243は、例えば、上記のくびれた部分以外が、接着剤等を介して中敷本体240と接着している。一方、補強シート243の上記のくびれた部分は、接着されずに、中足部241の幅方向における中央部242のみと重なっている。よって、中敷24が下に向けて折れ曲がること、特に中央部242を屈曲部位として下へ向けて折れ曲がることが、補強シート243の上記のくびれた部分によって抑制される。これにより、中敷24において、中足部241の幅方向における中央部242の剛性が両側部の剛性よりも高くなる。従って、
図16を示しつつ説明したように、足裏のアーチ形状に合わせて、中敷24のアーチ形状が変化できる。
補強シート243としては、例えば、熱可塑性樹脂フィルム、織物、又は、不織布などを用いることができる。
【0107】
中敷24における上記のアーチ形状は、左右対称であってもよい。換言すると、上記のアーチ形状は、中敷24の幅方向の中心を通り前後に延びる直線に対して対称の立体形状を有してもよい。
また、中足部241の幅方向における中央部242は、左右対称であってもよい。換言すると、剛性がより高い上記の中央部242は、中敷24の幅方向の中心を通り前後に延びる直線に対して左右対称であってもよい。例えば、剛性がより高い上記の中央部242は、厚さ方向に見た際に、前後に長い長方形状であってもよい。
【0108】
なお、第4実施形態の靴100Dは、第1実施形態、第2実施形態、又は第3実施形態でそれぞれ説明したような構成の靴底部材を備えてもよい。また、第4実施形態の靴100Dは、中敷以外に、上述したプレート状材、又は中継部材などを連携部材としてさらに備えてもよい。
【0109】
第4実施形態では、靴100Dに備えられた中敷について上記のごとく説明したが、本明細書は、上述した中敷自体の発明も包含している。
【0110】
上記の各実施形態で説明した靴について、片足用の靴を上から見た際の外観が、左右非対称であってもよい。外観が左右非対称とは、目視した際に、幅方向の中心を通り前後に延びる仮想線に対して、模様若しくは色などのデザイン、又は、補強部材の配置などが左右で非対称であることを指す。斯かる構成により、左足用の靴又は右足用の靴であることを区別せずにいずれの足でも履ける靴になり得る。
【0111】
上記の各実施形態では、連結体、プレート状材、中継部材、又は中敷を連携部材としてそれぞれ備える靴について詳しく説明した。しかしながら、各実施形態の靴は、上述したような靴に限定されない。各実施形態の靴は、連結体、プレート状材、中継部材、及び中敷のうち複数を連携部材として備えてもよい。いずれかの実施形態の靴は、例えば、連結体及びプレート状材のうち少なくとも一方と、中敷とを備えてもよい。また、いずれかの実施形態の靴は、例えば、少なくとも中継部材と中敷とを備えてもよい。また、いずれかの実施形態の靴は、例えば、少なくともプレート状材と中継部材とを備えてもよい。
【0112】
上記の各実施形態において、靴底部材は、例えばアウターソールであってもよく、アウターソール及びミッドソールの両方を含んでもよい。
各実施形態における靴底部材は、アウターソール全体を構成していてもよく、一方、アウターソールの一部を構成していてもよい。靴100は、靴100の側面や靴底において表面が露出した状態の靴底部材を備えていてもよい。一方、靴底部材の表面は、靴100の側面や靴底において露出していなくてもよい。
なお、前部材、後部材、中間部材には、それぞれ、中央部分などに単数又は複数の孔が厚さ方向(上下方向)に形成されていてもよい。
【0113】
靴底部材の厚さは、特に限定されず、例えば、3mm以上であってもよく、5mm以上であってもよい。また、靴底部材の厚さは、50mm以下であってもよく、45mm以下であってもよい。靴底部材の厚さは、部位によって異なっていてもよい。
【0114】
靴底部材は、例えばゴム組成物の架橋体である。上記のゴム組成物は、ゴム成分として、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などを含み得る。また、上記のゴム組成物は、フィラー、カップリング剤、架橋剤などをさらに含み得る。
【0115】
上記のゴム組成物におけるゴム成分(スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴムなどを含む)の含有率は、例えば、60質量%以上90質量%以下であってもよい。
【0116】
上記のゴム組成物に含まれ得る架橋剤は、上記のゴム組成物中のゴム成分の架橋反応を促進させる化合物である。架橋剤としては、例えば、有機過酸化物、又は、硫黄などが挙げられる。
【0117】
各実施形態の靴が、上記の靴底部材をアウターソールとして備え、さらにミッドソールを備える場合、ミッドソールの材質は、例えばゴム製であるが、特に限定されない。ミッドソールは、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂若しくはオレフィン樹脂をベースとする架橋発泡体、天然皮革、人工皮革、ポリエチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル樹脂、又は、ポリアミド樹脂などで形成されている。アウターソールとミッドソールとは、ポリウレタン樹脂を含有する一般的な接着剤を介して接着され得る。
【0118】
上記のゴム組成物は、本発明の効果が著しく損なわれない範囲内で、上述した成分以外の成分をさらに含んでもよい。上記のゴム組成物は、例えば、パラフィン系若しくはナフテン系のプロセスオイルなどの硬さ調整剤、テルペン樹脂などの粘着性付与剤、老化防止剤、加工助剤、無機充填剤、抗菌剤、香料などを適宜含んでもよい。
【0119】
アッパー50は、上述したように、靴底部材の前後方向の中央部の上方に配置された部分において少なくとも、面内方向に力を加えた際に面積を減少する生地で構成されてもよい。斯かる生地は、アッパー50の全体を構成してもよく、アッパー50を部分的に構成してもよい。アッパー50の生地としては、一般的な生地が採用され得る。
【0120】
上記の各実施形態の靴は、一般的な方法によって製造される。例えば、上述したゴム組成物から靴底部材を形成し、靴底部材にアッパー50を装着することによって、上記の靴を製造できる。
【0121】
上記の各実施形態の靴の用途は特に限定されない。例えば、上記の靴は、スポーツ用シューズ(各種競技用シューズ)の用途で使用される。上記の靴は、その他、例えばスニーカーの用途で使用されてもよい。
【0122】
従来の一般的な靴では、互いに形状の異なる左右が一組となっている。しかしながら、例えば、一方の足で義足を使う人は、もう一方の足でのみ靴を履くこととなる。また、従来の一般的な靴を履くときに、左右いずれかの足を履き違えると、左右の足の形状の差により、足が入らない、又は、靴を履いた状態で通常通り歩けない、といった問題が生じ得る。また、従来の一般的な靴は、標準的な足の形状に合うように設計されているため、標準的でない形状の足を有する着用者が履いた場合、上記と同様な問題が生じ得る。
これに対して、上記の各実施形態の靴は、上述したように足の形状に合わせて変形できることから、足の形状の個人差を問わず、また、足の左右を問わず、使用され得る。
【0123】
具体的には、義足を用いるスポーツ競技の競技用シューズの分野では、上記の各実施形態の靴を片足用単独で販売することが可能となり得る。また、上記の各実施形態の靴は、足の形状に合わせて変形できるため、通常の足の形状とは異なる形状の足(例えば変形した足)を有する人であっても、上記の各実施形態の靴を良好な着用感で履くことが可能となり得る。
【0124】
また、上記の各実施形態の靴は、左右いずれの足でも良好な着用感で履けることから、片足用のみで販売することが可能となる。例えば、左右で足のサイズ又は形状が大きく異なる足を有する人に対して、片足ずつ販売することが可能となり得る。
また、左右の足ごとに異なる設計で靴を製造する必要がなくなり得ることから、同じ設計で製造した片足用の靴を左右のいずれの足にも適用できる。そのため、靴の製造工程の削減、製造コストの削減が可能となり得る。
【0125】
上記の各実施形態の靴は、左右の足の区別なく履くことができるため、例えば、視覚障害を有する人、足元を確認しづらい妊婦などは、靴の左右を気にせず履くことが可能となる。
上記の各実施形態の靴は、所定の期間ごとに、左右を交換して使用できる。左右の交換によって、一方の足で履いた靴で生じた、靴底における偏った摩耗(片減り)の進行を防ぐことができる。
【0126】
上記の各実施形態の靴は上記例示の通りであるが、本発明は、上記例示の靴に限定されるものではない。
即ち、一般的な靴において用いられる種々の形態が、本発明の効果を損ねない範囲において、採用され得る。
【0127】
本明細書によって開示される事項は、以下のものを含む。
(1)
靴の前方に配置された前部材、及び、靴の後方に配置された後部材を含む靴底部材と、
前記前部材と前記後部材とを連携させる連携部材と、を備える、靴。
(2)
靴底側から見た際に、
前記前部材の後方側の端縁は、後方へ突き出る円弧状曲線を描く、又は、
前記前部材の後方側の端縁は、前方へ窪む円弧状曲線を描く、上記(1)に記載の靴。
(3)
前記前部材及び前記後部材の外縁形状は、幅方向の中央を通り前後方向に延びる中心線に対してそれぞれ左右対称である、上記(1)又は(2)に記載の靴。
(4)
前記連携部材は、互いに分離した前記前部材と前記後部材とを連結する連結体を有する、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の靴。
(5)
前記連結体は、前後方向に延びる1つ又は2つ以上の棒状体を有し、
前記棒状体の少なくとも1つが前後方向に垂直な面で切断された際の切断面は、上下方向に長い形状を有する、上記(4)に記載の靴。
(6)
前記連結体の曲げ剛性は、左右方向よりも上下方向において大きい、上記(4)又は(5)に記載の靴。
(7)
前記連結体は、前後方向に延びる2つ以上の棒状体を有し、
上下に配置された前記棒状体の数が左右に配置された前記棒状体の数よりも多い、上記(4)乃至(6)のいずれかに記載の靴。
(8)
前記連結体は、前後方向に延びる3つ以上の棒状体を有し、
前後方向に垂直な面で前記棒状体が切断された際の切断面において、各棒状体を頂点とする多角形は、上下方向に長い形状を有する、上記(4)乃至(7)のいずれかに記載の靴。
(9)
前記連携部材は、前記靴底部材の底面に沿って前記前部材と前記後部材とをつなぐように配置されたプレート状材を有する、上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の靴。
(10)
前記前部材と前記後部材とが互いに分離し、
前記前部材の後方部分の一部と、前記後部材の前方部分の一部とが、互いに分離しつつ上下に配置されている、上記(1)乃至(9)のいずれかに記載の靴。
(11)
前記靴底部材は、前記前部材と前記後部材との間に配置された中間部材をさらに有し、
前記中間部材は、前記前部材及び前記後部材とそれぞれ互いに分離し、
前記前部材の後方部分の一部と、前記中間部材の前方部分の一部とが、互いに分離しつつ上下に配置され、
前記後部材の前方部分の一部と、前記中間部材の後方部分の一部とが、互いに分離しつつ上下に配置されている、上記(1)乃至(9)のいずれかに記載の靴。
(12)
前記連携部材は、前記前部材と前記後部材とをつなぐように前記前部材及び前記後部材と一体成型された中継部材を有し、
前記中継部材の最小幅は、前記前部材の後端部および前記後部材の前端部の幅よりも狭い、上記(9)乃至(11)のいずれかに記載の靴。
(13)
前記中継部材は、前記前部材と前記後部材との間で幅方向に延びる延在部を有する、上記(9)乃至(12)のいずれかに記載の靴。
(14)
前記連携部材は、中敷を有する、上記(1)乃至(13)のいずれかに記載の靴。
(15)
前記中敷は、左右対称形状を有する、上記(14)に記載の靴。
(16)
前記中敷は、上方へ凸状に湾曲したアーチ形状を有する中足部を有し、
前記中敷は、前記中足部の幅方向のいずれか一方側に上方から荷重を加えた際に、他方側が上方へ隆起する、上記(14)又は(15)に記載の靴。
(17)
前記中敷は、上方へ凸状に湾曲したアーチ形状を有する中足部を有し、
前記中足部の幅方向における中央部は、前記中足部の幅方向の両側部よりも剛性が高い、上記(14)乃至(16)のいずれかに記載の靴。
(18)
アッパーをさらに備え、
前記アッパーの少なくとも一部であって、前記靴底部材の前後方向の中央部の上方に配置された部分は、面内方向に力を加えた際に面積を減少する生地で構成されている、上記(1)乃至(17)のいずれかに記載の靴。
(19)
上から見た際の外観が、幅方向中央を通る前後方向中心線に対して、左右非対称である、上記(1)乃至(18)のいずれかに記載の靴。
(20)
靴の靴底部材の上に配置されて使用される、上記実施形態4に記載された中敷。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明の靴は、例えば、着用者の左右いずれかの足に着用されて好適に使用される。本発明の靴は、例えば、必ずしも一般的ではない形状を有する足に着用されて好適に使用される。本発明の靴は、例えば、スポーツ用シューズの用途で好適に使用される。
【符号の説明】
【0129】
100A、100B、100C、100D:靴、
10:靴底部材、
11:前部材、 12:後部材、 13:中間部材、
f:第1境界、 r:第2境界、
20:連携部材、
21:連結体、 211:棒状体、
22:プレート状材、
221:前方部分、 222:後方部分、 223:帯状部分、 223a:リブ、
23:中継部材、 231:最も幅が狭い部分、 232:延在部、
24:中敷、 240:中敷本体、 241:中足部、
242:中足部における中央部、 243:補強シート、
50:アッパー。