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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039338
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/27 20230101AFI20240314BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240314BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L29/78 371
H01L27/088 C
H01L27/088 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143815
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊達 浩平
(72)【発明者】
【氏名】須田 圭介
【テーマコード(参考)】
5F048
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F048AA01
5F048AB01
5F048AC01
5F048BB15
5F048BD07
5F048BF07
5F048BF16
5F048CB07
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP42
5F083EP47
5F083EP48
5F083EP72
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083ER22
5F083GA09
5F083GA10
5F083JA04
5F083JA05
5F083JA19
5F083JA37
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA20
5F083MA06
5F083MA16
5F083PR03
5F083PR04
5F083PR05
5F083ZA28
5F101BA45
5F101BB02
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH04
5F101BH14
5F101BH15
5F101BH23
(57)【要約】
【課題】セル集積度を向上させることができる半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】一実施形態の半導体記憶装置は、第1領域SU3及び第1領域と第1方向Yに並ぶ第2領域SU2を含む第1配線層SGD3と、第1方向と交差する第2方向Zに、第1配線層よりも上方に配置され、第1領域を含まず且つ第2領域を含む第2配線層SGD2とを有する積層配線SIと、第1領域SU3に配置され、第2方向Zに第1配線層SGD3を通過する第1メモリピラーMPと、第2領域SU2に配置され、第2方向Zに第1配線層SGD3及び第2配線層SGD2を通過する第2メモリピラーMPとを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域及び前記第1領域と第1方向に並ぶ第2領域を含む第1配線層と、前記第1方向と交差する第2方向に、前記第1配線層よりも上方に配置され、前記第1領域を含まず且つ前記第2領域を含む第2配線層とを有する積層配線と、
前記第1領域に配置され、前記第2方向に前記第1配線層を通過する第1メモリピラーと、
前記第2領域に配置され、前記第2方向に前記第1配線層及び前記第2配線層を通過する第2メモリピラーと
を備える、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2メモリピラーと前記第1配線層とが交差した部分に第1トランジスタが形成され、前記第2メモリピラーと前記第2配線層とが交差した部分に第2トランジスタが形成され、前記第1メモリピラーと前記第1配線層とが交差した部分に第3トランジスタが形成され、
前記第1トランジスタの第1閾値電圧は、前記第2トランジスタの第2閾値電圧よりも小さく且つ前記第3トランジスタの第3閾値電圧よりも小さい、
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1メモリピラーは、前記第2方向に前記第1配線層を通過する第1半導体層を含み、
前記第2メモリピラーは、前記第2方向に前記第1配線層及び前記第2配線層を通過する第2半導体層を含み、
前記第1半導体層の前記第1配線層に囲まれた第3領域、及び前記第2半導体層の前記第2配線層に囲まれた第4領域は、不純物を含む、
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
第1領域及び前記第1領域と第1方向に並ぶ第2領域を含む第1配線層と、前記第1方向と交差する第2方向に、前記第1配線層と離間して配置され前記第2領域を含む第2配線層とを有する積層配線と、
前記積層配線内を、互いに前記第1方向に離間して配置されつつ、前記第2方向並びに前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に延伸して前記積層配線を前記第1方向に分断する複数の第1部材と、
前記第1領域に配置され、前記第2方向に前記第1配線層を通過する第1半導体層と、
前記第2領域に配置され、上端が前記第1半導体層の上端よりも前記第2方向の上方に位置し、前記第2方向に前記第1配線層及び前記第2配線層を通過する第2半導体層と
を備える、
半導体記憶装置。
【請求項5】
第1ビット線と、
ソース線と、
それぞれが、直列接続された複数のメモリセルトランジスタを含み、前記第1ビット線と前記ソース線との間に接続された第1乃至第nメモリストリング(nは2以上の整数)と、
第1ワード線と、
第1乃至第nゲート線と
を備え、
前記第1乃至第nメモリストリング間で、前記複数のメモリセルトランジスタのうちの対応するメモリセルトランジスタのゲートは、前記第1ワード線に接続され、
前記第1メモリストリングは、前記第1ビット線と、前記直列接続された前記複数のメモリセルトランジスタとの間に第1トランジスタを有し、前記第1トランジスタのドレインは前記第1ビット線に接続され、前記第1トランジスタのソースは、前記直列接続された前記複数のメモリセルトランジスタの一端に接続され、
前記第nメモリストリングは、前記第1ビット線と、前記直列接続された前記複数のメモリセルトランジスタとの間に、直列接続された第1乃至第nトランジスタを有し、前記第nトランジスタのドレインは前記第1ビット線に接続され、前記第1トランジスタのソースは、前記直列接続された前記複数のメモリセルトランジスタの一端に接続され、
前記第nメモリストリング中の前記第1乃至第nトランジスタのゲートは、それぞれ前記第1乃至第nゲート線に接続され、前記第1メモリストリング中の前記第1トランジスタのゲートは、前記第nメモリストリング中の前記第1トランジスタのゲートとともに前記第1ゲート線に接続され、
前記第nメモリストリング中の前記第1乃至第nトランジスタのうち、前記第nトランジスタは、前記第nトランジスタ以外のトランジスタよりも大きい閾値電圧を有し、前記第1メモリストリング中の前記第1トランジスタは、前記第nメモリストリング中の前記第1トランジスタよりも大きい閾値電圧を有する、
半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データを不揮発に記憶することが可能な半導体記憶装置として、NAND型フラッシュメモリが知られている。NAND型フラッシュメモリのような半導体記憶装置においては、高集積化、大容量化のために3次元のメモリ構造が採用され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0233513号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/0278860号明細書
【特許文献3】特開2019-079885号公報
【特許文献4】特開2019-125673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セル集積度を向上させることができる半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体記憶装置は、第1領域及び第1領域と第1方向に並ぶ第2領域を含む第1配線層と、第1方向と交差する第2方向に、第1配線層よりも上方に配置され、第1領域を含まず且つ第2領域を含む第2配線層とを有する積層配線と、第1領域に配置され、第2方向に第1配線層を通過する第1メモリピラーと、第2領域に配置され、第2方向に第1配線層及び第2配線層を通過する第2メモリピラーとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る半導体記憶装置に含まれるメモリセルアレイの回路構成の一例を示す回路図である。
図3図3は、実施形態に係る半導体記憶装置に含まれるメモリセルアレイの平面構造の一例を示す平面図である。
図4図4は、実施形態に係る半導体記憶装置に含まれるメモリセルアレイのメモリ領域における断面構造の一例を示す断面図である。
図5図5は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域におけるメモリピラーの断面構造の一例を示す断面図である。
図6図6は、実施形態に係る半導体記憶装置に含まれるメモリセルアレイの各ストリングユニットにおける選択トランジスタの閾値電圧の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る半導体記憶装置の動作原理の一例を説明する図である。
図8図8は、実施形態に係る半導体記憶装置の動作原理の他の一例を説明する図である。
図9図9は、実施形態に係る半導体記憶装置の動作原理の他の一例を説明する図である。
図10図10は、実施形態に係る半導体記憶装置の動作原理の他の一例を説明する図である。
図11図11は、実施形態に係る半導体記憶装置の動作原理の他の一例を説明する図である。
図12図12は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一例を示す断面図である。
図14図14は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一部を拡大した図である。
図15図15は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一例を示す断面図である。
図16図16は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一例を示す断面図である。
図17図17は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一例を示す断面図である。
図18図18は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一例を示す断面図である。
図19図19は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一例を示す断面図である。
図20図20は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一例を示す断面図である。
図21図21は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一例を示す断面図である。
図22図22は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一例を示す断面図である。
図23図23は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一部を拡大した図である。
図24図24は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一部を拡大した図である。
図25図25は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一部を拡大した図である。
図26図26は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一例を示す断面図である。
図27図27は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一部を拡大した断面図である。
図28図28は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一例を示す断面図である。
図29図29は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一部を拡大した図である。
図30図30は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一例を示す断面図である。
図31図31は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一例を示す断面図である。
図32図32は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一例を示す断面図である。
図33図33は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一例を示す断面図である。
図34図34は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一例を示す断面図である。
図35図35は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域の製造工程における断面構造の一部を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。図面の寸法及び比率は、必ずしも現実のものと同一とは限らない。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付す。同様の構成を有する要素同士を特に区別する場合、同一符号の末尾に、互いに異なる文字または数字を付加する場合がある。
【0008】
1. 実施形態
1.1 構成
1.1.1 メモリシステムの構成
実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステムの構成について、図1を用いて説明する。図1は、メモリシステムの構成の一例を示すブロック図である。メモリシステムは、外部のホスト機器(図示せず)に接続されるように構成された記憶装置である。メモリシステムは、例えば、SDTMカードのようなメモリカード、UFS(universal flash storage)、またはSSD(solid state drive)である。メモリシステム1は、メモリコントローラ2及び半導体記憶装置3を含む。
【0009】
メモリコントローラ2は、例えば、SoC(system-on-a-chip)のような集積回路である。メモリコントローラ2は、ホスト機器からの要求に基づいて、半導体記憶装置3を制御する。具体的には、例えば、メモリコントローラ2は、ホスト機器から書き込みを要求されたデータを半導体記憶装置3に書き込む。また、メモリコントローラ2は、ホスト機器から読み出しを要求されたデータを半導体記憶装置3から読み出してホスト機器に送信する。
【0010】
半導体記憶装置3は、データを不揮発に記憶するメモリである。半導体記憶装置3は、例えば、NAND型フラッシュメモリである。
【0011】
1.1.2 半導体記憶装置の構成
引き続き、図1を参照して、半導体記憶装置3の構成について説明する。
【0012】
半導体記憶装置3は、例えば、メモリセルアレイ10、コマンドレジスタ11、アドレスレジスタ12、シーケンサ13、ドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、及びセンスアンプモジュール16を含む。
【0013】
メモリセルアレイ10は、複数のブロックBLK0~BLKn(nは1以上の整数)を含む。ブロックBLKは、データを不揮発に記憶することが可能な複数のメモリセルトランジスタの集合である。ブロックBLKは、例えば、データの消去単位として使用される。また、メモリセルアレイ10には、複数のビット線及び複数のワード線が設けられる。各メモリセルトランジスタは、例えば、1本のビット線と1本のワード線とに関連付けられている。メモリセルアレイ10の詳細な構成については後述する。
【0014】
コマンドレジスタ11は、半導体記憶装置3がメモリコントローラ2から受信したコマンドCMDを記憶する回路である。コマンドCMDは、例えば、シーケンサ13に読み出し動作、書き込み動作、及び消去動作等を実行させる命令を含む。
【0015】
アドレスレジスタ12は、半導体記憶装置3がメモリコントローラ2から受信したアドレスADDを記憶する回路である。アドレスADDは、例えば、ブロックアドレスBAd、ページアドレスPAd、及びカラムアドレスCAdを含む。ブロックアドレスBAd、ページアドレスPAd、及びカラムアドレスCAdは、例えば、それぞれブロックBLK、ワード線、及びビット線の選択に使用される。
【0016】
シーケンサ13は、予め定められたプログラムに従って、他の回路の動作を制御する回路である。シーケンサ13は、半導体記憶装置3全体の動作を制御する。例えば、シーケンサ13は、コマンドレジスタ11に記憶されたコマンドCMDに基づいてドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、及びセンスアンプモジュール16等を制御する。例えば、シーケンサ13は、読み出し動作、書き込み動作、及び消去動作等を実行する。
【0017】
ドライバモジュール14は、読み出し動作、書き込み動作、及び消去動作等で使用される電圧を生成する回路である。ドライバモジュール14は、例えば、アドレスレジスタ12に記憶されたページアドレスPAdに基づいて、選択されたワード線に対応する信号線に、生成した電圧を印加する。
【0018】
ロウデコーダモジュール15は、アドレスレジスタ12に記憶されたブロックアドレスBAdに基づいて、メモリセルアレイ10内の1つのブロックBLKを選択する回路である。ロウデコーダモジュール15は、例えば、選択されたワード線に対応する信号線に印加された電圧を、選択されたブロックBLK内の選択されたワード線に転送する。
【0019】
センスアンプモジュール16は、アドレスレジスタ12に記憶されたカラムアドレスCAdに基づいて、ビット線を選択する。センスアンプモジュール16は、書き込み動作において、メモリコントローラ2から受信した書き込みデータDATに基づく電圧を、選択されたビット線に印加する。また、センスアンプモジュール16は、読み出し動作において、選択されたビット線の電圧に基づいてメモリセルトランジスタに記憶されたデータを判定する。センスアンプモジュール16は、判定結果を読み出しデータDATとしてメモリコントローラ2に転送する。
【0020】
1.1.3 メモリセルアレイの回路構成
メモリセルアレイ10の回路構成について、図2を用いて説明する。図2は、メモリセルアレイ10の回路構成の一例を示す回路図である。図2では、メモリセルアレイ10に含まれる複数のブロックBLKのうちの1つのブロックBLKが示される。他のブロックBLKも、図2と同様の構成を有する。
【0021】
ブロックBLKは、例えば、4つのストリングユニットSU0~SU3を含む。ストリングユニットSUは、後述するNANDストリングNSの集合である。例えば、書き込み動作または読み出し動作において、ストリングユニットSU内のNANDストリングNSが一括して選択される。
【0022】
各ストリングユニットSUは、ビット線BL0~BLm(mは1以上の整数)にそれぞれ関連付けられた複数のNANDストリングNS(メモリストリング)を含む。ストリングユニットSU0内の各NANDストリングNSは、例えば、メモリセルトランジスタMT0~MT7、並びに選択トランジスタST1a~ST1d及びST2を含む。ストリングユニットSU1内の各NANDストリングNSは、例えば、メモリセルトランジスタMT0~MT7、並びに選択トランジスタST1b~ST1d及びST2を含む。ストリングユニットSU2内の各NANDストリングNSは、例えば、メモリセルトランジスタMT0~MT7、並びに選択トランジスタST1c、ST1d、及びST2を含む。ストリングユニットSU3内の各NANDストリングNSは、例えば、メモリセルトランジスタMT0~MT7、並びに選択トランジスタST1d及びST2を含む。メモリセルトランジスタMTは、データを不揮発に記憶する。メモリセルトランジスタMTは、制御ゲート及び電荷蓄積層を含む。選択トランジスタST1a~ST1d及びST2は、スイッチング素子である。選択トランジスタST1a~ST1d及びST2のそれぞれは、各種動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用される。以下では、選択トランジスタST1a~ST1dを区別しない場合は、単に「選択トランジスタST1」と表記する。
【0023】
各NANDストリングNSにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MT7は、直列接続される。選択トランジスタST1dのソースは、直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MT7の一端に接続される。選択トランジスタST2のドレインは、直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MT7の他端に接続される。選択トランジスタST2のソースは、ソース線SLに接続される。ストリングユニットSU0内の各NANDストリングNSにおいて、選択トランジスタST1a~ST1dは、関連付けられたビット線BLとメモリセルトランジスタMT0~MT7の一端との間に直列接続される。選択トランジスタST1aのドレインは、関連付けられたビット線BLに接続される。ストリングユニットSU1内の各NANDストリングNSにおいて、選択トランジスタST1b~ST1dは、関連付けられたビット線BLとメモリセルトランジスタMT0~MT7の一端との間に直列接続される。選択トランジスタST1bのドレインは、関連付けられたビット線BLに接続される。ストリングユニットSU2内の各NANDストリングNSにおいて、選択トランジスタST1c及びST1dは、関連付けられたビット線BLとメモリセルトランジスタMT0~MT7の一端との間に直列接続される。選択トランジスタST1cのドレインは、関連付けられたビット線BLに接続される。ストリングユニットSU3内の各NANDストリングNSにおいて、選択トランジスタST1dのドレインは、関連付けられたビット線BLに接続される。すなわち、ストリングユニットSU3内の各NANDストリングNSにおける選択トランジスタST1dは、関連付けられたビット線BLとメモリセルトランジスタMT0~MT7の一端との間に接続される。
【0024】
このように、各NANDストリングNSは、関連付けられたビット線BLとソース線SLとの間に接続されている。1つのビット線BLに接続された複数のNANDストリングNS間で、メモリセルトランジスタMT0~MT7のうちの対応するメモリセルトランジスタのゲートは、共通のワード線WLに接続される。
【0025】
同一のブロックBLKにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MT7の制御ゲートは、それぞれワード線WL0~WL7に接続される。ストリングユニットSU0内の選択トランジスタST1aのゲートは、選択ゲート線SGD0に接続される。ストリングユニットSU0及びSU1内の選択トランジスタST1bのゲートは、選択ゲート線SGD1に接続される。ストリングユニットSU0~SU2内の選択トランジスタST1cのゲートは、選択ゲート線SGD2に接続される。ストリングユニットSU0~SU3内の選択トランジスタST1dのゲートは、選択ゲート線SGD3に接続される。ストリングユニットSU0~SU3内の選択トランジスタST2のゲートは、選択ゲート線SGSに接続される。
【0026】
ストリングユニットSU0内のNANDストリングNS中の選択トランジスタST1a~ST1dのうち、選択トランジスタST1aは、選択トランジスタST1b~ST1dよりも大きい閾値電圧を有する。ストリングユニットSU1内のNANDストリングNS中の選択トランジスタST1b~ST1dのうち、選択トランジスタST1bは、選択トランジスタST1c及びST1dよりも大きい閾値電圧を有する。ストリングユニットSU2内のNANDストリングNS中の選択トランジスタST1c及びST1dのうち、選択トランジスタST1cは、選択トランジスタST1dよりも大きい閾値電圧を有する。
【0027】
また、ストリングユニットSU3内のNANDストリングNS中の選択トランジスタST1dは、ストリングユニットSU0~SU2内のNANDストリングNS中の選択トランジスタST1dよりも大きい閾値電圧を有する。ストリングユニットSU2内のNANDストリングNS中の選択トランジスタST1cは、ストリングユニットSU0及びSU1内のNANDストリングNS中の選択トランジスタST1cよりも大きい閾値電圧を有する。ストリングユニットSU1内のNANDストリングNS中の選択トランジスタST1bは、ストリングユニットSU0内のNANDストリングNS中の選択トランジスタST1bよりも大きな閾値電圧を有する。なお、各選択トランジスタST1の閾値電圧の詳細については後述する。
【0028】
ビット線BL0~BLmには、それぞれ異なるカラムアドレスCAdが割り当てられる。各ビット線BLは、複数のブロックBLK間で同一のカラムアドレスCAdが割り当てられたNANDストリングNSによって共有される。ワード線WL0~WL7のそれぞれは、ブロックBLK毎に設けられる。ソース線SLは、例えば、複数のブロックBLK間で共有される。
【0029】
1つのストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMTの集合は、例えば、セルユニットCUと呼ばれる。例えば、それぞれが1ビットデータを記憶するメモリセルトランジスタMTを含むセルユニットCUの記憶容量が、「1ページデータ」として定義される。セルユニットCUは、メモリセルトランジスタMTが記憶するデータのビット数に基づいて2ページデータ以上の記憶容量を有し得る。
【0030】
なお、メモリセルアレイ10の回路構成は、以上で説明した構成に限定されない。例えば、各ブロックBLKに含まれるストリングユニットSUの個数は、任意の個数に設計され得る。各NANDストリングNSに含まれるメモリセルトランジスタMT、並びに選択トランジスタST1及びST2の個数は、それぞれ任意の個数に設計され得る。例えば、各NANDストリングNSに含まれる選択トランジスタST1の個数は、1つ以上、各ブロックBLKに含まれるストリングユニットSUの個数以下である。
【0031】
1.1.4 メモリセルアレイの構造
メモリセルアレイ10の構造について、図3図5を用いて説明する。以下で参照される図面において、X方向はワード線WLの延伸方向に対応する。Y方向はビット線BLの延伸方向に対応する。Z方向は半導体記憶装置3の形成に使用される半導体基板の表面に対する鉛直方向に対応する。平面図において、図を見易くするために、ハッチングが適宜付加される。平面図に付加されたハッチングは、ハッチングが付加された構成要素の素材や特性とは必ずしも関連していない。断面図において、図を見易くするために、構成の図示が適宜省略される。
【0032】
(メモリセルアレイ10の平面構造)
図3は、メモリセルアレイ10の平面構造の一例を示す平面図である。図3では、2つのブロックBLK0及びBLK1に対応する領域が示される。以下では、選択ゲート線SGD0~SGD3がそれぞれ2つ(2層)設けられる場合について説明する。下層の選択ゲート線SGD0(以下、「SGD0a」)と、上層の選択ゲート線SGD0(以下、「SGD0b」)とを合わせて、「選択ゲート線群SGDG0」と表記する。下層の選択ゲート線SGD1(以下、「SGD1a」)と、上層の選択ゲート線SGD1(以下、「SGD1b」)とを合わせて、「選択ゲート線群SGDG1」と表記する。下層の選択ゲート線SGD2(以下、「SGD2a」)と、上層の選択ゲート線SGD2(以下、「SGD2b」)とを合わせて、「選択ゲート線群SGDG2」と表記する。下層の選択ゲート線SGD3(以下、「SGD3a」)と、上層の選択ゲート線SGD3(以下、「SGD3b」)とを合わせて、「選択ゲート線群SGDG3」と表記する。
【0033】
なお、選択ゲート線SGD0~SGD3の各々は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。選択ゲート線SGD0~SGD3の各々が1つである場合、選択ゲート線群SGDG0は、1つの選択ゲート線SGD0を含む。選択ゲート線群SGDG1は、1つの選択ゲート線SGD1を含む。選択ゲート線群SGDG2は、1つの選択ゲート線SGD2を含む。選択ゲート線群SGDG3は、1つの選択ゲート線SGD3を含む。選択ゲート線SGD0~SGD3の各々が3つ以上である場合、選択ゲート線群SGDG0は、3つ以上の選択ゲート線SGD0を含む。選択ゲート線群SGDG1は、3つ以上の選択ゲート線SGD1を含む。選択ゲート線群SGDG2は、3つ以上の選択ゲート線SGD2を含む。選択ゲート線群SGDG3は、3つ以上の選択ゲート線SGD3を含む。
【0034】
メモリセルアレイ10は、例えば、X方向においてメモリ領域MA及び引出領域HAに分割される。メモリ領域MAは、引出領域HAとX方向に隣り合っている。メモリ領域MA及び引出領域HAは、下層から選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL7、及び選択ゲート線群SGDG3~SGDG0の順にZ方向に離間して積層された配線を含む。以下、複数の配線層22~24(選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL7、及び選択ゲート線群SGDG0~SGDG3)が、下層から選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL7、及び選択ゲート線群SGDG3~SGDG0の順にZ方向に離間して積層された配線を「積層配線SI」と表記する。メモリ領域MAは、複数のNANDストリングNSを含む領域である。引出領域HAは、積層配線SIと、ロウデコーダモジュール15との間の接続に使用される領域である。
【0035】
メモリセルアレイ10は、複数の部材SLTを含む。
【0036】
複数の部材SLTは、例えば、それぞれがX方向に延びたライン形状を有し、Y方向に並んで配置されている。部材SLTは、メモリ領域MA及び引出領域HAを横切る。換言すると、複数の部材SLTは、積層配線SI内を、互いにY方向に離間して配置されつつ、Z方向及びX方向に延伸して積層配線SIをY方向に分断する。Y方向に並んだ2つの部材SLTの間に1つのブロックBLKが配置されている。換言すると、Y方向に隣り合う2つのブロックBLKの間に、部材SLTが設けられている。部材SLTは、Y方向に隣り合う2つのブロックBLKの積層配線SIを分断する。図3の例では、Y方向に並ぶ3つの部材SLTが設けられている。3つの部材SLTの間には、2つのブロックBLK0及びBLK1がそれぞれ配置されている。
【0037】
部材SLTは、例えば、コンタクトプラグLI及びスペーサSPを含む。コンタクトプラグLIは、例えば、X方向に延びたライン形状を有する。コンタクトプラグLIは、例えば、ソース線SLとメモリセルアレイ10の上方に設けられた配線とを電気的に接続する。コンタクトプラグLIは、導電材料により構成され、例えば、タングステンを含む。スペーサSPは、コンタクトプラグLIの側面に設けられる。換言すると、コンタクトプラグLIは、XY平面での平面視においてスペーサSPに囲まれる。コンタクトプラグLIと、当該コンタクトプラグLIとY方向に隣り合う積層配線SIとの間は、スペーサSPによって離隔及び絶縁される。スペーサSPは、絶縁材料により構成され、例えば、酸化シリコンを含む。なお、部材SLTは、コンタクトプラグLIを含んでいなくてもよい。
【0038】
メモリ領域MAにおいて、複数の配線層24(選択ゲート線群SGDG0~SGDG3)のそれぞれは、テラス部分を有する。選択ゲート線群SGDG0のメモリ領域MAにおけるテラス部分は、選択ゲート線SGD0bの上面である。選択ゲート線群SGDG1のメモリ領域MAにおけるテラス部分は、選択ゲート線SGD1bのY方向の端部の上面である。選択ゲート線群SGDG2のメモリ領域MAにおけるテラス部分は、選択ゲート線SGD2bのY方向の端部の上面である。選択ゲート線群SGDG3のメモリ領域MAにおけるテラス部分は、選択ゲート線SGD3bのY方向の端部の上面である。
【0039】
選択ゲート線SGD3bとして機能する配線層24のテラス部分の上方において、選択ゲート線SGD0a、SGD0b、SGD1a、SGD1b、SGD2a、及びSGD2bとしてそれぞれ機能する6つの配線層24は、廃されている。選択ゲート線SGD2bとして機能する配線層24のテラス部分の上方において、選択ゲート線SGD0a、SGD0b、SGD1a、及びSGD1bとしてそれぞれ機能する4つの配線層24は、廃されている。選択ゲート線SGD1bとして機能する配線層24のテラス部分の上方において、選択ゲート線SGD0a及びSGD0bとしてそれぞれ機能する2つの配線層24は廃されている。このように、メモリ領域MAは、複数の配線層24(選択ゲート線群SGDG0~SGDG3)のY方向の端部が階段状に引き出された階段部分を有する。
【0040】
選択ゲート線群SGDG0~SGDG3の上記構造により、Y方向に並んだ2つの部材SLTの間の領域は、選択ゲート線群SGDG0~SGDG3を含む領域、選択ゲート線群SGDG1~SGDG3を含むが、選択ゲート線群SGDG0を含まない領域、選択ゲート線群SGDG2及びSGDG3を含むが、選択ゲート線群SGDG0及びSGDG1を含まない領域、及び選択ゲート線群SGDG3を含むが、選択ゲート線群SGDG0~SGDG2を含まない領域に分割される。これらの各領域は、ストリングユニットSU0~SU3にそれぞれ対応する。
【0041】
ブロックBLK0及びBLK1の各々において、ストリングユニットSU0~SU3は、Y方向において、ブロックBLK0とブロックBLK1との間の部材SLT側から、ストリングユニットSU0、ストリングユニットSU1、ストリングユニットSU2、ストリングユニットSU3の順に並ぶ。
【0042】
メモリ領域MAにおいて、メモリセルアレイ10は、例えば、複数のメモリピラーMP、複数のコンタクトプラグCV、及び複数の配線層25(ビット線BL)を含む。
【0043】
メモリピラーMPは、1つのNANDストリングNSとして機能する。複数のメモリピラーMPは、Y方向に隣り合う2つの部材SLTの間の領域において、例えば、16列の千鳥状に配置される。
【0044】
複数のビット線BLは、例えば、それぞれがY方向に延びたライン形状を有し、X方向に並んで配置されている。ビット線BLは、ストリングユニットSU毎に、少なくとも1つのメモリピラーMPの上方に位置するように配置される。図3の例では、1つのメモリピラーMPの上方に、2つのビット線BLが位置するように配置されている。メモリピラーMPは、当該メモリピラーMPの上方に位置するように配置された複数のビット線BLのうち1つのビット線BLに、コンタクトプラグCVを介して電気的に接続される。
【0045】
引出領域HAにおいて、複数の配線層22~24(選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL7、及び選択ゲート線群SGDG0~SGDG3)のそれぞれは、テラス部分を有する。複数の配線層22~24(選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL7、及び選択ゲート線群SGDG0~SGDG3)の引出領域HAにおけるテラス部分は、複数の配線層22~24のX方向の端部の上面である。このテラス部分は、複数の配線層22~24とメモリセルアレイ10の上方に設けられた配線とを電気的に接続するための図示せぬコンタクトプラグが設けられる領域である。このように、引出領域HAは、積層配線SI(選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL7、及び選択ゲート線群SGDG0~SGDG3)のX方向の端部が階段状に引き出された階段部分を有する。なお、引出領域HAにおいて、積層配線SIは、階段部分を有していなくてもよい。
【0046】
図3の例は、ブロックBLKが2つの場合を示しているが、ブロックBLKが3つ以上の場合、例えば、図3に示された構造がY方向に繰り返し配置される。
【0047】
メモリセルアレイ10の平面構造は、以上で説明された構造に限定されない。例えば、選択ゲート線群SGDGの数は、ストリングユニットSUの個数に基づいて任意の数に設計され得る。
【0048】
(メモリ領域MAにおける断面構造)
図4は、メモリセルアレイ10のメモリ領域MAにおける断面構造の一例を示す、図3のI-I線に沿った断面図である。
【0049】
メモリ領域MAにおいて、メモリセルアレイ10は、例えば、半導体基板20、配線層21、及び絶縁層30~34を更に含む。
【0050】
半導体基板20の上には、絶縁層30が設けられている。絶縁層30は、例えば、ロウデコーダモジュール15やセンスアンプモジュール16等に対応する回路(図示せず)を含む。絶縁層30は、絶縁材料により構成され、例えば、酸化シリコンを含む。絶縁層30の上には、配線層21が設けられている。配線層21は、例えば、XY平面に沿って広がった板状に形成され、ソース線SLとして使用される。配線層21は、導電材料により構成され、例えば、リンがドープされたシリコンを含む。
【0051】
配線層21の上には、絶縁層31が設けられている。絶縁層31は、絶縁材料により構成され、例えば、酸化シリコンを含む。絶縁層31の上には、配線層22が設けられている。配線層22は、例えば、XY平面に沿って広がった板状に形成される。配線層22は、選択ゲート線SGSとして使用される。配線層22は、導電材料により構成され、例えば、タングステンを含む。
【0052】
配線層22の上には、複数の絶縁層32と複数の配線層23とが1層ずつ交互に積層されている。換言すると、配線層22の上方には、Z方向に離間された複数の配線層23が設けられている。配線層23は、例えば、XY平面に沿って広がった板状に形成される。複数の配線層23は、半導体基板20側から順に、それぞれワード線WL0~WL7として使用される。絶縁層32は、絶縁材料により構成され、例えば、酸化シリコンを含む。配線層23は、導電材料により構成され、例えば、タングステンを含む。
【0053】
最上層の配線層23(すなわち、ワード線WL7)の上には、複数の絶縁層33と複数の配線層24とが1層ずつ交互に積層されている。換言すると、最上層の配線層23の上方には、Z方向に離間された複数の配線層24が設けられている。配線層24は、例えば、XY平面に沿って広がった板状に形成される。複数の配線層24は、半導体基板20側から順に、それぞれ選択ゲート線SGD3a、SGD3b、SGD2a、SGD2b、SGD1a、SGD1b、SGD0a、及びSGD0bとして使用される。絶縁層33は、絶縁材料により構成され、例えば、酸化シリコンを含む。配線層24は、導電材料により構成され、例えば、タングステンを含む。
【0054】
図4の例では、選択ゲート線群SGDG0~SGDG3が、Y方向に段差を有する階段状に設けられる場合が示される。具体的には、選択ゲート線SGD0bと、選択ゲート線SGD1bとは、Y方向に2段の段差を有する。選択ゲート線SGD1bと、選択ゲート線SGD2bとは、Y方向に2段の段差を有する。選択ゲート線SGD2bと、選択ゲート線SGD3bとは、Y方向に2段の段差を有する。換言すると、選択ゲート線SGD1bのテラス部分は、選択ゲート線SGD0bのテラス部分よりもY方向に2段下がった位置にある。選択ゲート線SGD2bのテラス部分は、選択ゲート線SGD1bのテラス部分よりもY方向に2段下がった位置にある。選択ゲート線SGD3bのテラス部分は、選択ゲート線SGD2bのテラス部分よりもY方向に2段下がった位置にある。
【0055】
また、ストリングユニットSU0は、選択ゲート線群SGDG0~SGDG3(選択ゲート線SGD0a、SGD0b、SGD1a、SGD1b、SGD2a、SGD2b、SGD3a、及びSGD3b)を含む。ストリングユニットSU1は、選択ゲート線群SGDG1~SGDG3(選択ゲート線SGD1a、SGD1b、SGD2a、SGD2b、SGD3a、及びSGD3b)を含むが、選択ゲート線群SGDG0を含まない。ストリングユニットSU2は、選択ゲート線群SGDG2及びSGDG3(選択ゲート線SGD2a、SGD2b、SGD3a、及びSGD3b)を含むが、選択ゲート線群SGDG0及びSGDG1を含まない。ストリングユニットSU3は、選択ゲート線群SGDG3(選択ゲート線SGD3a及びSGD3b)を含むが、選択ゲート線群SGDG0~SGDG2を含まない。
【0056】
換言すると、選択ゲート線SGD0a及びSGD0bは、ストリングユニットSU0に含まれるが、ストリングユニットSU1~SU3に含まれない。選択ゲート線SGD1a及びSGD1bは、ストリングユニットSU0及びSU1に含まれるが、ストリングユニットSU2及びSU3に含まれない。選択ゲート線SGD2a及びSGD2bは、ストリングユニットSU0~SU2に含まれるが、ストリングユニットSU3に含まれない。選択ゲート線SGD3a及びSGD3bは、ストリングユニットSU0~SU3に含まれる。
【0057】
各ストリングユニットSU内の最上層の配線層24の上には、絶縁層33が設けられている。各ストリングユニットSU内の最上層の絶縁層33の上には、絶縁層34が設けられている。絶縁層34は、絶縁材料により構成され、例えば、酸化シリコンを含む。
【0058】
絶縁層34の上には、配線層25が設けられている。配線層25は、例えば、Y方向に延びるライン状に形成され、ビット線BLとして使用される。配線層25は、導電材料により構成され、例えば、銅を含む。
【0059】
メモリピラーMPは、Z方向に延びる。メモリピラーMPは、絶縁層31~33及び配線層22~24を貫通(通過)している。メモリピラーMPは、例えば、円柱形状を有する。メモリピラーMPの下端は、配線層21と接している。
【0060】
メモリピラーMPと配線層22とが交差した部分(交差部分)は、選択トランジスタST2として機能する。メモリピラーMPと1つの配線層23(配線層24よりもZ方向の下方に配置される配線層)とが交差した部分は、メモリセルトランジスタMTとして機能する。換言すると、メモリピラーMP(後述する半導体層41)と1つの配線層23とが交差した部分にメモリセルトランジスタMTが形成される。メモリピラーMPと2つの配線層24(選択ゲート線群SGDG)とが交差した部分は、選択トランジスタST1として機能する。換言すると、メモリピラーMP(後述する半導体層41)と2つの配線層24(選択ゲート線群SGDG)とが交差した部分に選択トランジスタST1が形成される。すなわち、メモリピラーMPと選択ゲート線群SGDG0とが交差した部分に選択トランジスタST1aが形成される。メモリピラーMPと選択ゲート線群SGDG1とが交差した部分に選択トランジスタST1bが形成される。メモリピラーMPと選択ゲート線群SGDG2とが交差した部分に選択トランジスタST1cが形成される。メモリピラーMPと選択ゲート線群SGDG3とが交差した部分に選択トランジスタST1dが形成される。
【0061】
メモリピラーMPは、例えば、コア部材40、半導体層41、及び積層膜42を含む。
【0062】
コア部材40は、Z方向に沿って延びる。例えば、コア部材40の上端は、各ストリングユニットSU内の最上層の配線層24よりも上層に位置し、コア部材40の下端は、配線層21よりも上層に位置する。コア部材40は、絶縁材料により構成され、例えば、酸化シリコンを含む。
【0063】
半導体層41は、コア部材40の周囲を覆っている。メモリピラーMPの下端において、半導体層41の一部は、配線層21と接している。半導体層41は、Z方向に絶縁層31~33及び配線層22~24を貫通(通過)している。半導体層41は、例えば、シリコンを含む。
【0064】
積層膜42は、半導体層41と配線層21とが接触した部分を除いて、半導体層41の側面及び底面を覆っている。
【0065】
ストリングユニットSU0内のメモリピラーMP(半導体層41)の上端は、ストリングユニットSU1内のメモリピラーMP(半導体層41)の上端よりもZ方向の上方に位置する。ストリングユニットSU1内のメモリピラーMP(半導体層41)の上端は、ストリングユニットSU2内のメモリピラーMP(半導体層41)の上端よりもZ方向の上方に位置する。ストリングユニットSU2内のメモリピラーMP(半導体層41)の上端は、ストリングユニットSU3内のメモリピラーMP(半導体層41)の上端よりもZ方向の上方に位置する。
【0066】
換言すると、Z方向において、ストリングユニットSU1内のメモリピラーMP(半導体層41)の上端は、選択ゲート線SGD1bと選択ゲート線SGD0a(SGD0b)との間に位置する。ストリングユニットSU0内のメモリピラーMP(半導体層41)の上端は、選択ゲート線SGD0a(SGD0b)よりも上方に位置する。Z方向において、ストリングユニットSU2内のメモリピラーMP(半導体層41)の上端は、選択ゲート線SGD2bと選択ゲート線SGD1a(SGD1b)との間に位置する。ストリングユニットSU1内のメモリピラーMP(半導体層41)の上端は、選択ゲート線SGD1a(SGD1b)よりも上方に位置する。Z方向において、ストリングユニットSU3内のメモリピラーMP(半導体層41)の上端は、選択ゲート線SGD3bと選択ゲート線SGD2a(SGD2b)との間に位置する。ストリングユニットSU2内のメモリピラーMP(半導体層41)の上端は、選択ゲート線SGD2a(SGD2b)よりも上方に位置する。
【0067】
また、ストリングユニットSU0に配置されたメモリピラーMPは、Z方向に選択ゲート線SGD3a、SGD3b、SGD2a、SGD2b、SGD1a、SGD1b、SGD0a、及びSGD0bを貫通する。ストリングユニットSU1に配置されたメモリピラーMPは、Z方向に選択ゲート線SGD3a、SGD3b、SGD2a、SGD2b、SGD1a、及びSGD1bを貫通し、選択ゲート線SGD0a及びSGD0bを貫通しない。ストリングユニットSU2に配置されたメモリピラーMPは、Z方向に選択ゲート線SGD3a、SGD3b、SGD2a、及びSGD2bを貫通し、選択ゲート線SGD1a、SGD1b、SGD0a、及びSGD0bを貫通しない。ストリングユニットSU3に配置されたメモリピラーMPは、Z方向に選択ゲート線SGD3a及びSGD3bを貫通し、選択ゲート線SGD2a、SGD2b、SGD1a、SGD1b、SGD0a、及びSGD0bを貫通しない。
【0068】
選択ゲート線SGD0bは、ストリングユニットSU0内のメモリピラーMPの上端から1番目の配線層である。選択ゲート線SGD1bは、ストリングユニットSU1内のメモリピラーMPの上端から1番目の配線層である。選択ゲート線SGD2bは、ストリングユニットSU2内のメモリピラーMPの上端から1番目の配線層である。選択ゲート線SGD3bは、ストリングユニットSU3内のメモリピラーMPの上端から1番目の配線層である。
【0069】
ストリングユニットSU1内のメモリピラーMPの上端から選択ゲート線SGD1bまでの高さは、例えば、ストリングユニットSU0内のメモリピラーMPの上端から選択ゲート線SGD0bまでの高さと略同じである。ストリングユニットSU2内のメモリピラーMPの上端から選択ゲート線SGD2bまでの高さ、及びストリングユニットSU3内のメモリピラーMPの上端から選択ゲート線SGD3bまでの高さについても同様である。
【0070】
半導体層41の上には、コンタクトプラグCVが設けられている。コンタクトプラグCVは、例えば、Z方向に延びる柱状に形成される。コンタクトプラグCVの上端は、配線層25と接している。コンタクトプラグCVは、メモリピラーMP(半導体層41)と、メモリセルアレイ10の上方に設けられた配線層25との間を電気的に接続する。コンタクトプラグCVの高さは、ストリングユニットSU毎に異なる。具体的には、ストリングユニットSU0内のコンタクトプラグCVの高さは、ストリングユニットSU1内のコンタクトプラグCVの高さよりも小さい。ストリングユニットSU1内のコンタクトプラグCVの高さは、ストリングユニットSU2内のコンタクトプラグCVの高さよりも小さい。ストリングユニットSU2内のコンタクトプラグCVの高さは、ストリングユニットSU3内のコンタクトプラグCVの高さよりも小さい。図4で示した断面構造において、ストリングユニットSU0~SU3に配置された複数のメモリピラーMP(半導体層41)は、メモリピラーMP(半導体層41)の上に設けられたコンタクトプラグCVを介して、積層配線SIの上方に配置された配線層25に共通に接続される。コンタクトプラグCVは、導電材料により構成され、例えば、タングステンを含む。
【0071】
部材SLTは、Z方向に延びる。部材SLTは、絶縁層31~33及び配線層22~24を貫通している。部材SLTの下端は、配線層21と接している。コンタクトプラグLIは、部材SLTに沿って設けられる。コンタクトプラグLIの上端は、メモリピラーMPの上端よりも上方に位置する。コンタクトプラグLIの上端は、配線層25と接していない。コンタクトプラグLIの下端は、配線層21と接している。スペーサSPは、コンタクトプラグLIの周囲を覆っている。コンタクトプラグLIと配線層22~24との間は、スペーサSPによって離隔及び絶縁される。
【0072】
上記構造により、Y方向に隣り合う2つのブロックBLKの積層配線SIのYZ断面は、当該2つのブロックBLKの間に設けられた部材SLTを中心軸として線対称となる。
【0073】
(メモリピラーMPの断面構造)
図5は、メモリピラーMPの断面構造の一例を示す、図4のII-II線に沿った断面図である。具体的には、図5は、半導体基板20の表面に平行且つ配線層23を含む層におけるメモリピラーMPの断面構造を示している。図5に示すように、積層膜42は、トンネル絶縁膜43、絶縁膜44、及びブロック絶縁膜45を含む。
【0074】
コア部材40は、メモリピラーMPの中央部分に設けられる。半導体層41は、コア部材40の周囲を覆っている。トンネル絶縁膜43は、半導体層41の周囲を覆っている。トンネル絶縁膜43は、絶縁材料により構成され、例えば、SiONを含む。絶縁膜44は、トンネル絶縁膜43の周囲を覆っている。絶縁膜44は、メモリセルトランジスタMTの電荷蓄積層として機能する。絶縁膜44は、絶縁材料により構成され、例えば、窒化シリコンを含む。ブロック絶縁膜45は、絶縁膜44の周囲を覆っている。ブロック絶縁膜45は、絶縁材料により構成され、例えば、酸化シリコンを含む。配線層23は、ブロック絶縁膜45の周囲を覆っている。なお、図5で示した断面構造におけるブロック絶縁膜45と配線層23の間を含む配線層22~24の周囲に、配線層22~24の導電材料表面を覆うように、例えば、酸化アルミニウム等の金属酸化物がブロック絶縁膜として更に設けられていてもよい。
【0075】
1.1.5 選択トランジスタの閾値電圧
選択トランジスタST1の閾値電圧について、図6を用いて説明する。図6は、各ストリングユニットSUにおける選択トランジスタST1の閾値電圧の一例を示す図である。図6では、図4で示した断面構造におけるブロックBLK1に対応する領域が示される。他のブロックBLKも、図6と同様に選択トランジスタST1の閾値電圧が設定される。
【0076】
上述のように、選択ゲート線群SGDG0とメモリピラーMPとの交差部分に選択トランジスタST1aが形成される。選択ゲート線群SGDG1とメモリピラーMPとの交差部分に選択トランジスタST1bが形成される。選択ゲート線群SGDG2とメモリピラーMPとの交差部分に選択トランジスタST1cが形成される。選択ゲート線群SGDG3とメモリピラーMPとの交差部分に選択トランジスタST1dが形成される。
【0077】
ストリングユニットSU0において、メモリピラーMPの選択ゲート線群SGDG0に対応する領域には、ボロンがドープされている。換言すると、メモリピラーMP(半導体層41)の選択ゲート線SGD0a及びSGD0b、並びに選択ゲート線SGD0aと選択ゲート線SGD0bとの間の絶縁層33に囲まれた領域(例えば、選択ゲート線SGD0aの下端から選択ゲート線SGD0bの上端までの層に囲まれたメモリピラーMPの半導体層41)には、ボロンがドープされている。このため、ストリングユニットSU0において、選択ゲート線群SGDG0に対応する領域は、選択ゲート線群SGDG1に対応する領域、選択ゲート線群SGDG2に対応する領域、及び選択ゲート線SGDG3に対応する領域よりもボロン濃度が高い。
【0078】
ストリングユニットSU1において、メモリピラーMPの選択ゲート線群SGDG1に対応する領域には、ボロンがドープされている。換言すると、メモリピラーMP(半導体層41)の選択ゲート線SGD1a及びSGD1b、並びに選択ゲート線SGD1aと選択ゲート線SGD1bとの間の絶縁層33に囲まれた領域(例えば、選択ゲート線SGD1aの下端から選択ゲート線SGD1bの上端までの層に囲まれたメモリピラーMPの半導体層41)には、ボロンがドープされている。このため、ストリングユニットSU1において、選択ゲート線群SGDG1に対応する領域は、選択ゲート線群SGDG2に対応する領域、及び選択ゲート線SGDG3に対応する領域よりもボロン濃度が高い。
【0079】
ストリングユニットSU2において、メモリピラーMPの選択ゲート線群SGDG2に対応する領域には、ボロンがドープされている。換言すると、メモリピラーMP(半導体層41)の選択ゲート線SGD2a及びSGD2b、並びに選択ゲート線SGD2aと選択ゲート線SGD2bとの間の絶縁層33に囲まれた領域(例えば、選択ゲート線SGD2aの下端から選択ゲート線SGD2bの上端までの層に囲まれたメモリピラーMPの半導体層41)には、ボロンがドープされている。このため、ストリングユニットSU2において、選択ゲート線群SGDG2に対応する領域は、選択ゲート線群SGDG3に対応する領域よりもボロン濃度が高い。
【0080】
ストリングユニットSU3において、メモリピラーMPの選択ゲート線群SGDG3に対応する領域には、ボロンがドープされている。換言すると、メモリピラーMP(半導体層41)の選択ゲート線SGD3a及びSGD3b、並びに選択ゲート線SGD3aと選択ゲート線SGD3bとの間の絶縁層33に囲まれた領域(例えば、選択ゲート線SGD3aの下端から選択ゲート線SGD3bの上端までの層に囲まれたメモリピラーMPの半導体層41)には、ボロンがドープされている。
【0081】
ストリングユニットSU0における、メモリピラーMP(半導体層41)の選択ゲート線SGD0a及びSGD0b、並びに選択ゲート線SGD0aと選択ゲート線SGD0bとの間の絶縁層33に囲まれた領域のボロンの濃度は、ストリングユニットSU1における、メモリピラーMP(半導体層41)の選択ゲート線SGD1a及びSGD1b、並びに選択ゲート線SGD1aと選択ゲート線SGD1bとの間の絶縁層33に囲まれた領域のボロンの濃度と略同じである。ストリングユニットSU2における、メモリピラーMP(半導体層41)の選択ゲート線SGD2a及びSGD2b、並びに選択ゲート線SGD2aと選択ゲート線SGD2bとの間の絶縁層33に囲まれた領域のボロン濃度についても同様である。ストリングユニットSU3における、メモリピラーMP(半導体層41)の選択ゲート線SGD3a及びSGD3b、並びに選択ゲート線SGD3aと選択ゲート線SGD3bとの間の絶縁層33に囲まれた領域のボロンの濃度についても同様である。
【0082】
上述のように、各ストリングユニットSUにおいて、メモリピラーMPの、最上層の選択ゲート線群SGDGに対応する領域には、ボロンがドープされている。換言すると、当該領域において、メモリピラーMPの半導体層41(選択トランジスタST1のチャネル領域)は、ボロンを含む。選択トランジスタST1の閾値電圧Vthは、チャネル領域の不純物濃度によって変化する。ボロンを不純物としてドープした場合、選択トランジスタST1の閾値電圧Vthは、ボロン濃度が高いほど高くなる。
【0083】
上述のようにボロンがドープされることにより、ストリングユニットSU0において、選択トランジスタST1aの閾値電圧Vthは、選択トランジスタST1bの閾値電圧Vth、選択トランジスタST1cの閾値電圧Vth、及び選択トランジスタST1dの閾値電圧Vthよりも大きい。ストリングユニットSU1において、選択トランジスタST1bの閾値電圧Vthは、選択トランジスタST1cの閾値電圧Vth、及び選択トランジスタST1dの閾値電圧Vthよりも大きい。ストリングユニットSU2において、選択トランジスタST1cの閾値電圧Vthは、選択トランジスタST1dの閾値電圧Vthよりも大きい。換言すると、複数の選択ゲート線群SGDGを含む各ストリングユニットSUにおいて、最上層の選択ゲート線群SGDGに対応する選択トランジスタST1の閾値電圧Vthは、最上層よりも下層の選択ゲート線群SGDGに対応する選択トランジスタST1の閾値電圧Vthよりも大きい。
【0084】
ストリングユニットSU0内の選択トランジスタST1aの閾値電圧Vthは、例えば、ストリングユニットSU1内の選択トランジスタST1bの閾値電圧Vthと略同じである。ストリングユニットSU2内の選択トランジスタST1cの閾値電圧Vth、及びストリングユニットSU3内の選択トランジスタST1dの閾値電圧Vthについても同様である。
【0085】
選択ゲート線群SGDG1において、ストリングユニットSU1内の選択トランジスタST1bの閾値電圧Vthは、ストリングユニットSU0内の選択トランジスタST1bの閾値電圧Vthよりも大きい。選択ゲート線群SGDG2において、ストリングユニットSU2内の選択トランジスタST1cの閾値電圧Vthは、ストリングユニットSU0内の選択トランジスタST1cの閾値電圧Vth、及びストリングユニットSU1内の選択トランジスタST1cの閾値電圧Vthよりも大きい。選択ゲート線群SGDG3において、ストリングユニットSU3内の選択トランジスタST1dの閾値電圧Vthは、ストリングユニットSU0内の選択トランジスタST1dの閾値電圧Vth、ストリングユニットSU1内の選択トランジスタST1dの閾値電圧Vth、及びストリングユニットSU2内の選択トランジスタST1dの閾値電圧Vthよりも大きい。
【0086】
図6の例では、ドープされるボロン濃度を調節することによって設定された選択トランジスタST1a~ST1dの閾値電圧Vthが示される。ストリングユニットSU0において、選択トランジスタST1aの閾値電圧Vthが20V、選択トランジスタST1b、ST1c、及びST1dの閾値電圧Vthがそれぞれ10Vに設定されている。ストリングユニットSU1において、選択トランジスタST1bの閾値電圧Vthが20V、選択トランジスタST1c及びST1dの閾値電圧Vthがそれぞれ10Vに設定されている。ストリングユニットSU2において、選択トランジスタST1cの閾値電圧Vthが20V、選択トランジスタST1dの閾値電圧Vthが10Vに設定されている。ストリングユニットSU3において、選択トランジスタST1dの閾値電圧Vthが20Vに設定されている。なお、各ストリングユニットSUにおける選択トランジスタST1の閾値電圧Vthは、これに限定されない。また、不純物としてドープする材料は、ドープすることによってドープされる前よりも選択トランジスタST1の閾値電圧Vthを上昇させる材料であれば、ボロンでなくてもよい。
【0087】
1.1.6 ストリングユニット選択の動作原理
ストリングユニットSU選択の動作原理について、図7図11を用いて説明する。以下では、各ストリングユニットSU内の各選択ゲート線群SGDGにおける選択トランジスタST1に、図6で示した閾値電圧Vthの値が設定される場合について説明する。
【0088】
図7は、半導体記憶装置3において、いずれのストリングユニットSUも選択しない場合の動作原理を説明する図である。
【0089】
図7の例では、選択ゲート線群SGDG0~SGDG3(選択ゲート線SGD0a、SGD0b、SGD1a、SGD1b、SGD2a、SGD2b、SGD3a、及びSGD3b)に、例えば、15Vがそれぞれ印加される。15Vは、ストリングユニットSUにおいて設定された選択トランジスタST1の閾値電圧Vthのうちの、最小閾値電圧(=10V)よりも大きく、最大閾値電圧(=20V)よりも小さい電圧である。なお、選択ゲート線群SGDG0~SGDG3に印加される電圧は、例えば、0Vでもよい。
【0090】
ストリングユニットSU0において、選択ゲート線群SGDG0への印加電圧(=15V)が選択ゲート線群SGDG0に対応する選択トランジスタST1aの閾値電圧Vth(=20V)よりも小さいため、選択トランジスタST1aはオフ状態とされる。選択ゲート線群SGDG1への印加電圧(=15V)が選択ゲート線群SGDG1に対応する選択トランジスタST1bの閾値電圧Vth(=10V)よりも大きいため、選択トランジスタST1bはオン状態とされる。選択ゲート線群SGDG2への印加電圧(=15V)が選択ゲート線群SGDG2に対応する選択トランジスタST1cの閾値電圧Vth(=10V)よりも大きいため、選択トランジスタST1cはオン状態とされる。選択ゲート線群SGDG3への印加電圧(=15V)が選択ゲート線群SGDG3に対応する選択トランジスタST1dの閾値電圧Vth(=10V)よりも大きいため、選択トランジスタST1dはオン状態とされる。選択トランジスタST1aがオンしないため、ストリングユニットSU0は選択されない。
【0091】
ストリングユニットSU1において、選択ゲート線群SGDG1への印加電圧(=15V)が選択ゲート線群SGDG1に対応する選択トランジスタST1bの閾値電圧Vth(=20V)よりも小さいため、選択トランジスタST1bはオフ状態とされる。選択ゲート線群SGDG2への印加電圧(=15V)が選択ゲート線群SGDG2に対応する選択トランジスタST1cの閾値電圧Vth(=10V)よりも大きいため、選択トランジスタST1cはオン状態とされる。選択ゲート線群SGDG3への印加電圧(=15V)が選択ゲート線群SGDG3に対応する選択トランジスタST1dの閾値電圧Vth(=10V)よりも大きいため、選択トランジスタST1dはオン状態とされる。選択トランジスタST1bがオンしないため、ストリングユニットSU1は選択されない。
【0092】
ストリングユニットSU2において、選択ゲート線群SGDG2への印加電圧(=15V)が選択ゲート線群SGDG2に対応する選択トランジスタST1cの閾値電圧Vth(=20V)よりも小さいため、選択トランジスタST1cはオフ状態とされる。選択ゲート線群SGDG3への印加電圧(=15V)が選択ゲート線群SGDG3に対応する選択トランジスタST1dの閾値電圧Vth(=10V)よりも大きいため、選択トランジスタST1dはオン状態とされる。選択トランジスタST1cがオンしないため、ストリングユニットSU2は選択されない。
【0093】
ストリングユニットSU3において、選択ゲート線群SGDG3への印加電圧(=15V)が選択ゲート線群SGDG3に対応する選択トランジスタST1dの閾値電圧Vth(=20V)よりも小さいため、選択トランジスタST1dはオフ状態とされる。選択トランジスタST1dがオンしないため、ストリングユニットSU3は選択されない。
【0094】
上記動作により、いずれのストリングユニットSUも選択されない。
【0095】
図8は、半導体記憶装置3において、ストリングユニットSU0を選択する場合の動作原理を説明する図である。
【0096】
図8の例では、選択ゲート線群SGDG0(選択ゲート線SGD0a及びSGD0b)に、例えば、25Vが印加される。25Vは、ストリングユニットSUにおいて設定された選択トランジスタST1の閾値電圧Vthのうちの最大閾値電圧(=20V)よりも大きい電圧である。選択ゲート線群SGDG1~SGDG3(選択ゲート線SGD1a、SGD1b、SGD2a、SGD2b、SGD3a、及びSGD3b)に、例えば、15Vがそれぞれ印加される。
【0097】
ストリングユニットSU0において、選択ゲート線群SGDG0への印加電圧(=25V)が選択ゲート線群SGDG0に対応する選択トランジスタST1aの閾値電圧Vth(=20V)よりも大きいため、選択トランジスタST1aはオン状態とされる。選択ゲート線群SGDG1に対応する選択トランジスタST1b、選択ゲート線群SGDG2に対応する選択トランジスタST1c、及び選択ゲート線群SGDG3に対応する選択トランジスタST1dは、図7の例と同様にオン状態とされる。この結果、ストリングユニットSU0が選択される。
【0098】
ストリングユニットSU1において、選択ゲート線群SGDG1に対応する選択トランジスタST1bは、図7の例と同様にオフ状態とされる。選択ゲート線群SGDG2に対応する選択トランジスタST1c、及び選択ゲート線群SGDG3に対応する選択トランジスタST1dは、図7の例と同様にオン状態とされる。この結果、ストリングユニットSU1は選択されない。
【0099】
ストリングユニットSU2において、選択ゲート線群SGDG2に対応する選択トランジスタST1cは、図7の例と同様にオフ状態とされる。選択ゲート線群SGDG3に対応する選択トランジスタST1dは、図7の例と同様にオン状態とされる。この結果、ストリングユニットSU2は選択されない。
【0100】
ストリングユニットSU3において、選択ゲート線群SGDG3に対応する選択トランジスタST1dは、図7の例と同様にオフ状態とされる。この結果、ストリングユニットSU3は選択されない。
【0101】
上記動作により、ストリングユニットSU0が選択される。
【0102】
図9は、半導体記憶装置3において、ストリングユニットSU1を選択する場合の動作原理を説明する図である。
【0103】
図9の例では、選択ゲート線群SGDG1(選択ゲート線SGD1a及びSGD1b)に、例えば、25Vが印加される。選択ゲート線群SGDG0、SGDG2、及びSGDG3(選択ゲート線SGD0a、SGD0b、SGD2a、SGD2b、SGD3a、及びSGD3b)に、例えば、15Vがそれぞれ印加される。
【0104】
ストリングユニットSU0において、選択ゲート線群SGDG0に対応する選択トランジスタST1aは、図7の例と同様にオフ状態とされる。選択ゲート線群SGDG1への印加電圧(=25V)が選択ゲート線群SGDG1に対応する選択トランジスタST1bの閾値電圧Vth(=10V)よりも大きいため、選択トランジスタST1bはオン状態とされる。選択ゲート線群SGDG2に対応する選択トランジスタST1c、及び選択ゲート線群SGDG3に対応する選択トランジスタST1dは、図7の例と同様にオン状態とされる。この結果、ストリングユニットSU0は選択されない。
【0105】
ストリングユニットSU1において、選択ゲート線群SGDG1への印加電圧(=25V)が選択ゲート線群SGDG1に対応する選択トランジスタST1bの閾値電圧Vth(=20V)よりも大きいため、選択トランジスタST1bはオン状態とされる。選択ゲート線群SGDG2に対応する選択トランジスタST1c、及び選択ゲート線群SGDG3に対応する選択トランジスタST1dは、図7の例と同様にオン状態とされる。この結果、ストリングユニットSU1が選択される。
【0106】
ストリングユニットSU2において、選択ゲート線群SGDG2に対応する選択トランジスタST1cは、図7の例と同様にオフ状態とされる。選択ゲート線群SGDG3に対応する選択トランジスタST1dは、図7の例と同様にオン状態とされる。この結果、ストリングユニットSU2は選択されない。
【0107】
ストリングユニットSU3において、選択ゲート線群SGDG3に対応する選択トランジスタST1dは、図7の例と同様にオフ状態とされる。この結果、ストリングユニットSU3は選択されない。
【0108】
上記動作により、ストリングユニットSU1が選択される。
【0109】
図10は、半導体記憶装置3において、ストリングユニットSU2を選択する場合の動作原理を説明する図である。
【0110】
図10の例では、選択ゲート線群SGDG2(選択ゲート線SGD2a及びSGD2b)に、例えば、25Vが印加される。選択ゲート線群SGDG0、SGDG1、及びSGDG3(選択ゲート線SGD0a、SGD0b、SGD1a、SGD1b、SGD3a、及びSGD3b)に、例えば、15Vがそれぞれ印加される。
【0111】
ストリングユニットSU0において、選択ゲート線群SGDG0に対応する選択トランジスタST1aは、図7の例と同様にオフ状態とされる。選択ゲート線群SGDG1に対応する選択トランジスタST1b、及び選択ゲート線群SGDG3に対応する選択トランジスタST1dは、図7の例と同様にオン状態とされる。選択ゲート線群SGDG2への印加電圧(=25V)が選択ゲート線群SGDG2に対応する選択トランジスタST1cの閾値電圧Vth(=10V)よりも大きいため、選択トランジスタST1cはオン状態とされる。この結果、ストリングユニットSU0は選択されない。
【0112】
ストリングユニットSU1において、選択ゲート線群SGDG1に対応する選択トランジスタST1bは、図7の例と同様にオフ状態とされる。選択ゲート線群SGDG2への印加電圧(=25V)が選択ゲート線群SGDG2に対応する選択トランジスタST1cの閾値電圧Vth(=10V)よりも大きいため、選択トランジスタST1cはオン状態とされる。選択ゲート線群SGDG3に対応する選択トランジスタST1dは、図7の例と同様にオン状態とされる。この結果、ストリングユニットSU1は選択されない。
【0113】
ストリングユニットSU2において、選択ゲート線群SGDG2への印加電圧(=25V)が選択ゲート線群SGDG2に対応する選択トランジスタST1cの閾値電圧Vth(=20V)よりも大きいため、選択トランジスタST1cはオン状態とされる。選択ゲート線群SGDG3に対応する選択トランジスタST1dは、図7の例と同様にオン状態とされる。この結果、ストリングユニットSU2が選択される。
【0114】
ストリングユニットSU3において、選択ゲート線群SGDG3に対応する選択トランジスタST1dは、図7の例と同様にオフ状態とされる。この結果、ストリングユニットSU3は選択されない。
【0115】
上記動作により、ストリングユニットSU2が選択される。
【0116】
図11は、半導体記憶装置3において、ストリングユニットSU3を選択する場合の動作原理を説明する図である。
【0117】
図11の例では、選択ゲート線群SGDG3(選択ゲート線SGD3a及びSGD3b)に、例えば、25Vが印加される。選択ゲート線群SGDG0~SGDG2(選択ゲート線SGD0a、SGD0b、SGD1a、SGD1b、SGD2a、及びSGD2b)に、例えば、15Vがそれぞれ印加される。
【0118】
ストリングユニットSU0において、選択ゲート線群SGDG0に対応する選択トランジスタST1aは、図7の例と同様にオフ状態とされる。選択ゲート線群SGDG1に対応する選択トランジスタST1b、及び選択ゲート線群SGDG2に対応する選択トランジスタST1cは、図7の例と同様にオン状態とされる。選択ゲート線群SGDG3への印加電圧(=25V)が選択ゲート線群SGDG3に対応する選択トランジスタST1dの閾値電圧Vth(=10V)よりも大きいため、選択トランジスタST1dはオン状態とされる。この結果、ストリングユニットSU0は選択されない。
【0119】
ストリングユニットSU1において、選択ゲート線群SGDG1に対応する選択トランジスタST1bは、図7の例と同様にオフ状態とされる。選択ゲート線群SGDG2に対応する選択トランジスタST1cは、図7の例と同様にオン状態とされる。選択ゲート線群SGDG3への印加電圧(=25V)が選択ゲート線群SGDG3に対応する選択トランジスタST1dの閾値電圧Vth(=10V)よりも大きいため、選択トランジスタST1dはオン状態とされる。この結果、ストリングユニットSU1は選択されない。
【0120】
ストリングユニットSU2において、選択ゲート線群SGDG2に対応する選択トランジスタST1cは、図7の例と同様にオフ状態とされる。選択ゲート線群SGDG3への印加電圧(=25V)が選択ゲート線群SGDG3に対応する選択トランジスタST1dの閾値電圧Vth(=10V)よりも大きいため、選択トランジスタST1dはオン状態とされる。この結果、ストリングユニットSU2は選択されない。
【0121】
ストリングユニットSU3において、選択ゲート線群SGDG3への印加電圧(=25V)が選択ゲート線群SGDG3に対応する選択トランジスタST1dの閾値電圧Vth(=20V)よりも大きいため、選択トランジスタST1dはオン状態とされる。この結果、ストリングユニットSU3が選択される。
【0122】
上記動作により、ストリングユニットSU3が選択される。
【0123】
1.2 半導体記憶装置の製造方法
半導体記憶装置3の製造方法について、図12図35を用いて説明する。以下では、メモリピラーMPを形成した後の半導体記憶装置3のメモリ領域MAの製造工程について説明する。図12は、半導体記憶装置3のメモリ領域MAの製造方法の一例を示すフローチャートである。図13図15図22図26図28、及び図30図34のそれぞれは、半導体記憶装置3のメモリ領域MAの製造工程における断面構造の一例を示す断面図である。図14図23図25図27図29、及び図35のそれぞれは、半導体記憶装置3のメモリ領域MAの製造工程における断面構造の一部を拡大した図である。
【0124】
図12に示すように、半導体記憶装置3のメモリ領域MAの製造工程では、ステップS100~S109の処理が順に実行される。以下に、図12を適宜参照して、半導体記憶装置3のメモリ領域MAの製造工程の一例について説明する。
【0125】
なお、配線層22~24の形成方法として、各配線層22~24に相当する構造を犠牲層により形成した後、犠牲層を導電材料に置き換えて配線層22~24を形成する方法(以下、「リプレース」と表記する)がある。本実施形態では、犠牲層52が配線層22に相当し、犠牲層53が配線層23に相当し、犠牲層54が配線層24に相当する。犠牲層52~54は、絶縁材料により構成され、例えば窒化シリコンを含む。
【0126】
図13に示すように、積層部にメモリピラーMPを形成する(S100)。例えば、半導体基板20の上方に、Z方向に複数の犠牲層52~54と複数の絶縁層32及び33とが交互に積層された積層部を形成した後、Z方向に延び、積層部の各ストリングユニットSUに対応する領域を貫通するメモリピラーMPを形成する。以下、8つの犠牲層54のそれぞれを、最上層の犠牲層54から順に、第1犠牲層、第2犠牲層、第3犠牲層、第4犠牲層、第5犠牲層、第6犠牲層、第7犠牲層、第8犠牲層とも表記する。図14は、図13のブロックBLK1のストリングユニットSU0に対応する領域における1つのメモリピラーMPの第3犠牲層54よりも上層の領域A1を拡大した図である。図14に示すように、半導体層41は、コア部材40の周囲を覆っている。コア部材40の上面は露出している。積層膜42は、トンネル絶縁膜43、絶縁膜44、及びブロック絶縁膜45を含む。トンネル絶縁膜43は、半導体層41の周囲を覆っている。絶縁膜44は、トンネル絶縁膜43の周囲を覆っている。ブロック絶縁膜45は、絶縁膜44の周囲を覆っている。複数の絶縁層33、第1犠牲層54、及び第2犠牲層54は、ブロック絶縁膜45の周囲を覆っている。
【0127】
次に、積層部及びメモリピラーMPの上面を階段状に加工する(S101)。具体的には、まず、図15に示すように、例えば、フォトリソグラフィ等によって、メモリピラーMP及び最上層の絶縁層33の上に、レジストマスク60を形成する。レジストマスク60は、例えば、ブロックBLK0のストリングユニットSU2に対応する領域のストリングユニットSU3側の端部からブロックBLK1のストリングユニットSU2に対応する領域のストリングユニットSU3側の端部までの領域を覆うように形成される。換言すると、メモリピラーMP及び最上層の絶縁層33の上面のストリングユニットSU3に対応する領域は、露出している。
【0128】
次に、図16に示すように、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)による異方性エッチングによって、ストリングユニットSU3に対応する領域のメモリピラーMP、絶縁層33、及び犠牲層54を加工する。具体的には、ストリングユニットSU3の第1犠牲層及び第2犠牲層54、2層の絶縁層33、並びにメモリピラーMPを、第2犠牲層54の下端まで除去する。
【0129】
例えば、積層部のストリングユニットSU3に対応する領域の上端から第3犠牲層及び第4犠牲層54までの高さが、積層部のストリングユニットSU2に対応する領域の上端から第1犠牲層及び第2犠牲層54までの高さと、それぞれ略等しくなるように、ストリングユニットSU3の第1犠牲層及び第2犠牲層、2層の絶縁層、並びにメモリピラーMPを加工する。このとき、エッチング量は、ストリングユニットSU3に対応する領域において、第3犠牲層54が露出しない量とする。これにより、ストリングユニットSU3に対応する領域において、第3犠牲層54の上に設けられた絶縁層33よりも上層の部分が除去される。
【0130】
次に、図17に示すように、例えば、アッシングによって、レジストマスク60の一部を除去する。例えば、レジストマスク60のブロックBLK0のストリングユニットSU2に対応する部分、及びブロックBLK1のストリングユニットSU2に対応する部分が除去される。換言すると、メモリピラーMP及び最上層の絶縁層33の上面のストリングユニットSU2及びSU3の各々に対応する部分は、露出している。
【0131】
次に、図18に示すように、例えば、RIEによる異方性エッチングによって、ストリングユニットSU2及びSU3の各々に対応する領域のメモリピラーMP、絶縁層33、及び犠牲層54を加工する。具体的には、ストリングユニットSU3の第3犠牲層及び第4犠牲層54、2層の絶縁層33、並びにメモリピラーMPを、第4犠牲層54の下端まで除去する。ストリングユニットSU2の第1犠牲層及び第2犠牲層54、2層の絶縁層33、並びにメモリピラーMPを、第2犠牲層54の下端まで除去する。
【0132】
例えば、積層部のストリングユニットSU3に対応する領域の上端から第5犠牲層及び第6犠牲層54までの高さが、積層部のストリングユニットSU1に対応する領域の上端から第1犠牲層及び第2犠牲層54までの高さと、それぞれ略等しくなるように、ストリングユニットSU3の第3犠牲層及び第4犠牲層、2層の絶縁層、並びにメモリピラーMPを加工する。積層部のストリングユニットSU2に対応する領域の上端から第3犠牲層及び第4犠牲層54までの高さが、積層部のストリングユニットSU1に対応する領域の上端から第1犠牲層及び第2犠牲層54までの高さと、それぞれ略等しくなるように、ストリングユニットSU2の第1犠牲層及び第2犠牲層、2層の絶縁層、並びにメモリピラーMPを加工する。このとき、エッチング量は、ストリングユニットSU2に対応する領域において、第3犠牲層54が露出せず、ストリングユニットSU3に対応する領域において、第5犠牲層54が露出しない量とする。これにより、ストリングユニットSU2に対応する領域において、第3犠牲層54の上に設けられた絶縁層33よりも上層の部分が除去される。ストリングユニットSU3に対応する領域において、第5犠牲層54の上に設けられた絶縁層33よりも上層の部分が除去される。
【0133】
次に、図19に示すように、例えば、アッシングによって、レジストマスク60の一部を除去する。例えば、レジストマスク60のブロックBLK0のストリングユニットSU1に対応する部分、及びブロックBLK1のストリングユニットSU1に対応する部分が除去される。換言すると、メモリピラーMP及び最上層の絶縁層33の上面のストリングユニットSU1~SU3の各々に対応する部分は、露出している。
【0134】
次に、図20に示すように、例えば、RIEによる異方性エッチングによって、ストリングユニットSU1~SU3の各々に対応する領域のメモリピラーMP、絶縁層33、及び犠牲層54を加工する。具体的には、ストリングユニットSU3の第5犠牲層及び第6犠牲層54、2層の絶縁層33、並びにメモリピラーMPを、第6犠牲層54の下端まで除去する。ストリングユニットSU2の第3犠牲層及び第4犠牲層54、2層の絶縁層33、並びにメモリピラーMPを、第4犠牲層54の下端まで除去する。ストリングユニットSU1の第1犠牲層及び第2犠牲層54、2層の絶縁層33、並びにメモリピラーMPを、第2犠牲層54の下端まで除去する。
【0135】
例えば、積層部のストリングユニットSU3に対応する領域の上端から第7犠牲層及び第8犠牲層54までの高さが、積層部のストリングユニットSU0に対応する領域の上端から第1犠牲層及び第2犠牲層54までの高さと、それぞれ略等しくなるように、ストリングユニットSU3の第5犠牲層及び第6犠牲層、2層の絶縁層、並びにメモリピラーMPを加工する。積層部のストリングユニットSU2に対応する領域の上端から第5犠牲層及び第6犠牲層54までの高さが、積層部のストリングユニットSU0に対応する領域の上端から第1犠牲層及び第2犠牲層54までの高さと、それぞれ略等しくなるように、ストリングユニットSU2の第3犠牲層及び第4犠牲層、2層の絶縁層、並びにメモリピラーMPを加工する。積層部のストリングユニットSU1に対応する領域の上端から第3犠牲層及び第4犠牲層54までの高さが、積層部のストリングユニットSU0に対応する領域の上端から第1犠牲層及び第2犠牲層54までの高さと、それぞれ略等しくなるように、ストリングユニットSU1の第1犠牲層及び第2犠牲層、2層の絶縁層、並びにメモリピラーMPを加工する。このとき、エッチング量は、ストリングユニットSU1に対応する領域において、第3犠牲層54が露出せず、ストリングユニットSU2に対応する領域において、第5犠牲層54が露出せず、ストリングユニットSU3に対応する領域において、第7犠牲層54が露出しない量とする。これにより、ストリングユニットSU1に対応する領域において、第3犠牲層54の上に設けられた絶縁層33よりも上層の部分が除去される。ストリングユニットSU2に対応する領域において、第5犠牲層54の上に設けられた絶縁層33よりも上層の部分が除去される。ストリングユニットSU3に対応する領域において、第7犠牲層54の上に設けられた絶縁層33よりも上層の部分が除去される。
【0136】
次に、図21に示すように、レジストマスク60を除去する。
【0137】
次に、図22に示すように、メモリピラーMPのコア部材40の上面に半導体層41を形成する(S102)。図23図25は、図22のブロックBLK1のストリングユニットSU0に対応する領域における1つのメモリピラーMPの第3犠牲層54よりも上層の領域A1を拡大した図である。
【0138】
具体的には、まず、図23に示すように、例えば、エッチバックによって、コア部材40の一部を除去する。これにより、コア部材40の上端は、半導体層41、積層膜42、及び絶縁層33の上端よりも低い位置となる。
【0139】
次に、図24に示すように、例えば、コア部材40、半導体層41、積層膜42、及び絶縁層33の上に、アモルファスシリコンを成膜する。これにより、アモルファスシリコンは、半導体層41と一体となる。この結果、コア部材40、積層膜42、及び絶縁層33の上面は、半導体層41によって覆われる。
【0140】
次に、図25に示すように、例えば、エッチバックによって、半導体層41の一部を除去する。これにより、積層膜42及び絶縁層33の上面は露出する。
【0141】
次に、図26に示すように、例えば、各ストリングユニットSUに対応する領域において、メモリピラーMPにボロンをイオン注入する(S103)。具体的には、各ストリングユニットSUに対応する領域において、メモリピラーMPの上端から1番目及び2番目の犠牲層54、並びにこれらの犠牲層54の間の絶縁層33に囲まれた領域に、ボロンをイオン注入する。注入の深さは加速電圧によって制御する。各ストリングユニットSUに対応する領域において、メモリピラーMPの上端から1番目の犠牲層54までの深さ、及びメモリピラーMPの上端から2番目の犠牲層54までの深さは、それぞれ略同じである。このため、本実施形態では、1種類の加速電圧を用いた1回のイオン注入によって、各ストリングユニットSUに対応する領域において、メモリピラーMPの上端から2番目の犠牲層54の下端の深さまで、メモリピラーMPにボロンをイオン注入することができる。これにより、メモリピラーMPの上端から1番目及び2番目の犠牲層54、並びにこれらの犠牲層54の間の絶縁層33に囲まれた領域(メモリピラーMPの上端から2番目の犠牲層54の下端から、当該犠牲層54の1つ上の犠牲層54の上端までの層に囲まれたメモリピラーMPの半導体層41)に、当該半導体層41内の他の領域よりもボロン濃度が高い領域(以下、「高濃度領域」と表記する)を形成することができる。図27は、図26のブロックBLK1のストリングユニットSU0に対応する領域における1つのメモリピラーMPの第3犠牲層54よりも上層の領域A1を拡大した図である。図27に示すように、第2犠牲層54の下端から第1犠牲層54の上端までの層に囲まれたメモリピラーMPの半導体層41に、ボロンの高濃度領域が形成される。
【0142】
次に、図28に示すように、メモリピラーMP及び最上層の絶縁層33の上に、絶縁層34を形成する(S104)。図29は、図28のブロックBLK1のストリングユニットSU0に対応する領域における1つのメモリピラーMPの第3犠牲層54よりも上層の領域A1を拡大した図である。図29に示すように、メモリピラーMP及び最上層の絶縁層33の上に、絶縁層34が形成される。
【0143】
次に、図30に示すように、Z方向に積層部を貫通するスリットSHを形成する(S105)。スリットSHは、例えば、絶縁層31~34、及び犠牲層52~54のそれぞれを貫通する。スリットSHの底面は、配線層21に達する。
【0144】
次に、図31に示すように、リプレースを実施する(S106)。具体的には、まず、例えば、ウエットエッチングによる等方性エッチングによって、犠牲層52~54を除去する。次に、犠牲層52~54が除去された領域に、配線層22~24を形成する。
【0145】
次に、図32に示すように、部材SLTを形成する(S107)。具体的には、まず、スリットSHの側面にスペーサSPを形成する。次に、スリットSH内にコンタクトプラグLIを埋め込む。
【0146】
次に、図33に示すように、コンタクトホールCHを形成する(S108)。コンタクトホールCHは、例えば、絶縁層34を貫通する。コンタクトホールCHの底面は、メモリピラーMPの半導体層41に達する。
【0147】
次に、図34に示すように、コンタクトプラグCVを形成する(S109)。具体的には、コンタクトホールCH内にコンタクトプラグCVを埋め込む。図35は、図34のブロックBLK1のストリングユニットSU0に対応する領域における1つのメモリピラーMPの第3犠牲層が置き換えられた配線層24よりも上層の領域A1を拡大した図である。図35に示すように、メモリピラーMPの半導体層41の上に、コンタクトプラグCVが形成される。
【0148】
以上で説明した製造工程によって、半導体記憶装置3のメモリ領域MAが形成される。なお、以上で説明した製造工程はあくまで一例であり、これに限定されない。例えば、各製造工程の間にはその他の処理が挿入されてもよいし、一部の工程が省略または統合されてもよい。また、各製造工程は、可能な範囲で入れ替えられてもよい。例えば、ボロンをイオン注入した後に、メモリピラーMPのコア部材40の上面に半導体層41を形成してもよい。
【0149】
1.3 効果
本実施形態によれば、セル集積度を向上させることができる。本効果について以下に説明する。
【0150】
選択ゲート線SGDをストリングユニットSU毎に分断する構造として、メモリ領域MAに、ダミーのメモリピラーMP(以下、「ダミーピラー」と表記する)を設け、選択ゲート線SGDを分断するための部材(以下、「部材SHE」と表記する)をダミーピラーに重なるように設けることによって、物理的に選択ゲート線SGDをストリングユニットSU毎に分断する構造がある。この構造では、ダミーピラーを設けるため、セル集積度が低下する可能性がある。
【0151】
これに対し、本実施形態では、ストリングユニットSU3は、選択ゲート線群SGDG3を含む。ストリングユニットSU2は、選択ゲート線群SGDG3、及び選択ゲート線群SGDG3の上方に配置された選択ゲート線群SGDG2を含む。ストリングユニットSU1は、選択ゲート線群SGDG2及びSGDG3、並びに選択ゲート線群SGDG2の上方に配置された選択ゲート線群SGDG1を含む。ストリングユニットSU0は、選択ゲート線群SGDG1~SGDG3、及び選択ゲート線群SGDG1の上方に配置された選択ゲート線群SGDG0を含む。
【0152】
ストリングユニットSU3において、メモリピラーMPの選択ゲート線群SGDG3に対応する領域にボロンがドープされている。ストリングユニットSU2において、メモリピラーMPの選択ゲート線群SGDG2に対応する領域にボロンがドープされている。ストリングユニットSU1において、メモリピラーMPの選択ゲート線群SGDG1に対応する領域にボロンがドープされている。ストリングユニットSU0において、メモリピラーMPの選択ゲート線群SGDG0に対応する領域にボロンがドープされている。ボロンがドープされている領域の選択トランジスタST1は、ボロンがドープされていない領域の選択トランジスタST1よりも閾値電圧が大きい。このため、各選択ゲート線群SGDGに印加する電圧を制御することによって、1つのストリングユニットSUを選択することができる。これにより、電気的に選択ゲート線SGDをストリングユニットSU毎に分断することができる。このため、メモリ領域MAにダミーピラー及び部材SHEを設けなくてよい。よって、本実施形態によれば、セル集積度を向上させることができる。
【0153】
本実施形態では、部材SHEを設けないため、配線層24は部材SHEによって分断されない。このため、図4に示すように、複数の部材SLTの間において、配線層22(選択ゲート線SGS)、配線層23(ワード線WL0~WL7)、及び配線層24(選択ゲート線SGD3及びSGD3b)は、Y方向に略等しい長さを有する。すなわち、複数の部材SLTの間において、配線層23(ワード線WL7)と、Z方向において当該配線層23と選択ゲート線群SGDG0~SGDG2(選択ゲート線SGD0a、SGD0b、SGD1a、SGD1b、SGD2a、及びSGD2b)の間に配置された選択ゲート線群SGDG3の配線層24(選択ゲート線SGD3及びSGD3b)とはY方向に略等しい長さを有する。
【0154】
また、上述のように物理的に選択ゲート線SGDをストリングユニットSU毎に分断する構造では、部材SHEは、スリットSHの形成後に形成される。スリットSHの底面は配線層21に達する。このため、メモリセルアレイ10を高積層化するにつれて、スリットSHが高アスペクト比を有することになり、積層配線SIにインクラインが発生する可能性がある。インクラインが発生すると、部材SHEを形成する際の部材SHEとダミーピラーとの位置合わせにおいて合わせずれが発生する可能性がある。
【0155】
これに対し、本実施形態では、スリットSHを形成する前に、各ストリングユニットSUにおいて、メモリピラーMPの上端から2番目の犠牲層54の下端の深さまで、メモリピラーMPにボロンをイオン注入する。よって、本実施形態によれば、選択ゲート線SGDをストリングユニットSU毎に分断する構造において、インクライン発生の影響を回避できる。また、メモリ領域MAに部材SHEを設けなくてよい。よって、本実施形態によれば、プロセスの難易度を低減できる。
【0156】
更に、設定された選択トランジスタST1の閾値電圧に応じて印加電圧を制御することによって、電気的に選択ゲート線SGDをストリングユニットSU毎に分断する場合に、仮に各ストリングユニットSUにおけるメモリピラーMPの高さが等しいと、例えば、ストリングユニットSU毎に加速電圧を変えて別々にメモリピラーMPへのイオン注入が実行される。これにより、ストリングユニットSU毎にメモリピラーMPの上端からの深さが互いに異なる所望の領域に、それぞれボロンをドープすることができる。
【0157】
これに対して、本実施形態では、各ストリングユニットSUにおいて、メモリピラーMPの上端から1番目の犠牲層54までの深さ、及びメモリピラーMPの上端から2番目の犠牲層54までの深さが、それぞれ略同じである。このため、1種類の加速電圧を用いた1回のイオン注入によって、メモリピラーMPの上端から2番目の犠牲層54の下端の深さまで、メモリピラーMPの所望の領域にボロンを一括してイオン注入することができる。よって、本実施形態によれば、プロセスを簡略化できる。
【0158】
2.変形例等
上記のように、実施形態に係る半導体記憶装置は、第1領域(SU3)及び第1領域と第1方向(Y)に並ぶ第2領域(SU2)を含む第1配線層(SGD3)と、第1方向と交差する第2方向(Z)に、第1配線層よりも上方に配置され、第1領域を含まず且つ第2領域を含む第2配線層(SGD2)とを有する積層配線(SI)と、第1領域(SU3)に配置され、第2方向(Z)に第1配線層(SGD3)を通過する第1メモリピラー(SU3のMP)と、第2領域(SU2)に配置され、第2方向(Z)に第1配線層(SGD3)及び第2配線層(SGD2)を通過する第2メモリピラー(SU2のMP)とを備える。
【0159】
なお、実施形態は上記説明した形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0160】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0161】
1…メモリシステム、2…メモリコントローラ、3…半導体記憶装置、10…メモリセルアレイ、11…コマンドレジスタ、12…アドレスレジスタ、13…シーケンサ、14…ドライバモジュール、15…ロウデコーダモジュール、16…センスアンプモジュール、20…半導体基板、21~25…配線層、30~34…絶縁層、40…コア部材、41…半導体層、42…積層膜、43…トンネル絶縁膜、44…絶縁膜、45…ブロック絶縁膜、52~54…犠牲層、60…レジストマスク
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