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特開2024-3934塗料吐出装置及びこれを用いた自動車の塗装方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003934
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】塗料吐出装置及びこれを用いた自動車の塗装方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20240109BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20240109BHJP
   B05D 7/14 20060101ALI20240109BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240109BHJP
   B62D 65/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05D1/26 Z
B05D7/14 L
B05C11/10
B62D65/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103301
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 洋一
(72)【発明者】
【氏名】福山 康弘
(72)【発明者】
【氏名】小瀬村 透
(72)【発明者】
【氏名】上原 義貴
(72)【発明者】
【氏名】手塚 康介
【テーマコード(参考)】
3D114
4D075
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
3D114CA10
4D075AC06
4D075AC88
4D075CA47
4D075DC12
4D075EA06
4D075EA07
4D075EB22
4D075EB35
4D075EB36
4F041AA07
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA17
4F041BA32
4F041BA43
4F042AA09
4F042AB00
4F042BA06
4F042BA12
4F042BA15
4F042CA01
4F042CA06
4F042CB02
4F042CB04
4F042CB20
(57)【要約】
【課題】エネルギ消費を抑制しつつ塗料室における塗料の撹拌性を高めた塗料吐出装置及びこれを用いた自動車の塗装方法を提供する。
【解決手段】塗料2の導入部111、塗料室112及び塗料の吐出部113を有するノズル11と、少なくとも先端部121が前記塗料室に配置され、当該先端部が前記吐出部に向かって軸方向に移動可能に設けられた、軸周りに非回転とされたニードル12と、前記ニードルの前進時に前記先端部が前記吐出部に接近し、前記ニードルの後退時に前記先端部が前記吐出部から離反するように、前記ニードルを前記軸方向に進退移動させるアクチュエータ13と、を備える塗料吐出装置1において、前記ニードル12は、前記軸方向に対して傾斜した傾斜面を含む撹拌構造を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料の導入部、塗料室及び塗料の吐出部を有するノズルと、
少なくとも先端部が前記塗料室に配置され、当該先端部が前記吐出部に向かって軸方向に移動可能に設けられた、軸周りに非回転とされたニードルと、
前記ニードルの前進時に前記先端部が前記吐出部に接近し、前記ニードルの後退時に前記先端部が前記吐出部から離反するように、前記ニードルを前記軸方向に進退移動させるアクチュエータと、を備える塗料吐出装置において、
前記ニードルは、前記軸方向に対して傾斜した傾斜面を含む撹拌構造を有する塗料吐出装置。
【請求項2】
前記撹拌構造は、前記ニードルの外面から径方向に突出して形成された羽根部を含み、前記羽根部が前記傾斜面を含む請求項1に記載の塗料吐出装置。
【請求項3】
前記羽根部は、前記ニードルの外面に螺旋状に連続して形成された連続羽根を含む請求項2に記載の塗料吐出装置。
【請求項4】
前記羽根部は、前記ニードルの外面に離散して形成された、前記傾斜面を含む複数の離散羽根と、隣接する前記離散羽根の間に形成され、前記軸方向に前記塗料が通過可能な隙間と、を含む請求項2に記載の塗料吐出装置。
【請求項5】
前記離散羽根は、矩形、三角形、半円又は半楕円の正面視形状を有する請求項4に記載の塗料吐出装置。
【請求項6】
前記撹拌構造は、前記ニードルの外面に形成された溝部を含み、前記溝部が前記傾斜面を含む請求項1に記載の塗料吐出装置。
【請求項7】
前記溝部は、半円形、矩形、V字形又は波形の断面形状を有する請求項6に記載の塗料吐出装置。
【請求項8】
前記溝部は、前記ニードルの外面に螺旋状に連続して形成された連続溝を含む請求項6に記載の塗料吐出装置。
【請求項9】
前記溝部は、前記ニードルの外面に螺旋状に離散して形成された離散溝を含む請求項6に記載の塗料吐出装置。
【請求項10】
前記撹拌構造は、前記ニードルを貫通する複数の孔部を含み、前記孔部が前記傾斜面を含む請求項1に記載の塗料吐出装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の塗料吐出装置を用い、自動車ボディ又は自動車部品に前記塗料を塗布する自動車の塗装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料吐出装置及びこれを用いた自動車の塗装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
混合チャンバと、混合チャンバに連通する少なくとも4つの入口部と、混合チャンバに配置されたインペラと、を備え、インペラが回転することで、混合チャンバ内の材料が撹拌されるプリンタのノズルが知られている(特許文献1の図26参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第WO2018/157148号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のプリンタノズルでは、インペラを回転させることで材料を撹拌しているので、エネルギの消費量が大きいという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、エネルギ消費を抑制しつつ塗料室における塗料の撹拌性を高めた塗料吐出装置及びこれを用いた自動車の塗装方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも先端部が塗料室に配置され、当該先端部が吐出部に向かって軸方向に移動可能に設けられたニードルに、軸方向に対して傾斜した傾斜面を含む撹拌構造を形成することによって、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ニードルの先端部が吐出部に向かって軸方向に移動する際に、撹拌構造により塗料室の塗料が撹拌されるので、エネルギ消費を抑制しつつ塗料室における塗料の撹拌性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る塗料吐出装置の一実施の形態を示す構成図である。
図2A図1のニードルの進退移動とこれに伴う塗料の流れを説明するための要部断面図(上死点から前進時)である。
図2B図1のニードルの進退移動とこれに伴う塗料の流れを説明するための要部断面図(下死点)である。
図2C図1のニードルの進退移動とこれに伴う塗料の流れを説明するための要部断面図(下死点から後退時)である。
図3】本発明に係る塗料吐出装置の他の実施の形態を示す要部斜視図である。
図4図3に示す実施形態におけるニードルの進退移動とこれに伴う塗料の流れを説明するための要部正面図である。
図5図3の離散羽根の他例を示す正面視である。
図6】本発明に係る塗料吐出装置のさらに他の実施の形態を示す要部正面図である。
図7図6に示す実施形態におけるニードルの進退移動とこれに伴う塗料の流れを説明するための要部正面図である。
図8】本発明に係る塗料吐出装置のさらに他の実施の形態を示す要部正面図、要部背面図、要部断面図である。
図9図8に示す実施形態におけるニードルの進退移動とこれに伴う塗料の流れを説明するための要部正面図である。
図10図6及び図8の溝部の他例を示す断面図である。
図11】本発明に係る塗料吐出装置のさらに他の実施の形態を示す要部正面図、要部右側面図である。
図12図11に示す実施形態におけるニードルの進退移動とこれに伴う塗料の流れを説明するための要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態例を説明する。図1は、本発明に係る塗料吐出装置1の一実施の形態を示す構成図である。本実施形態の塗料吐出装置1は、特に限定はされないが、たとえば自動車用塗料(アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂などを基体樹脂とする熱硬化型塗料であり、水系塗料又は有機溶剤系塗料のいずれであってもよい。必要に応じて着色顔料や光輝性顔料を含んでよい。)を用いて自動車ボディの外板/内板やバンパなどの自動車部品を塗装する工程に適用することができる。自動車ボディの外板/内板やバンパなどの自動車部品を塗装する場合、サイドドアやフェンダなどの被塗装面がほぼ鉛直面になるため、比較的高粘度の塗料を使用する必要がある。その意味で、紙媒体への印刷に用いられるインクジェット記録装置の記録ヘッドなどは、低粘度のインクを使用することが前提であるため、自動車ボディの塗装用途には適していない。
【0010】
本実施形態の塗料吐出装置1は、塗料2の導入部111、塗料室112及び塗料2の吐出部113を有するノズル11と、少なくとも先端部121が塗料室112に配置され、当該先端部121が吐出部113に向かって軸方向Yに往復移動可能に設けられたニードル12と、ニードル12の前進時に先端部121が吐出部113に接近し、ニードル12の後退時に先端部121が吐出部113から離反するように、ニードル12を軸方向Yに進退移動させるアクチュエータ13と、アクチュエータ13を制御する制御部14と、を備える。
【0011】
ノズル11は、金属材料、樹脂材料又はセラミックス材料からなる中空状のハウジング114を有し、一側面に導入部111が形成され、先端に吐出部113が形成され、内部に塗料室112が形成されている。塗料2は、導入部111から塗料室112へ導入され、ニードル12によって押されることで、吐出部113から外部へ吐出(滴下)する。ハウジング114の内部は、シール部材123によって、塗料室112とアクチュエータ室115とに液密状態で仕切られている。
【0012】
ニードル12は、金属材料、樹脂材料又はセラミックス材料からなる針状の棒体(ロッド)であり、先端部121が塗料室112に配置され、基端部122がアクチュエータ室115に配置され、その間にシール部材123が設けられている。またニードル12の基端部122には、アクチュエータ13が固定されている。ニードル12は、ハウジング114内において軸方向Yに進退移動可能に設けられている。なお、本実施形態のニードル12は、軸方向Yに進退移動するだけで、軸周りに回転しない構成とされている。
【0013】
アクチュエータ13は、たとえば複数の圧電素子を積層したものであり、電極に印加する電圧に応じて軸方向Yに伸長及び収縮する特性を有する。アクチュエータ13への電圧の印加は、制御部14により実行され、制御部14からの指令信号によりアクチュエータ13に電圧を印加することで、ニードル12を軸方向Yに進退移動させることができる。
【0014】
本実施形態の塗料2は、塗料タンク21に収容され、塗料配管22を介して塗料ポンプ23により供給される。本実施形態の塗料吐出装置1を自動車ボディやバンパなどの自動車部品の塗装用途に用いる場合には、自動車用塗料として、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂などを基体樹脂とし、必要に応じて着色顔料や光輝性顔料を含む熱硬化型塗料を用いることができる。本実施形態の塗料吐出装置1で用いられる塗料2は、水系塗料又は有機溶剤系塗料のいずれであってもよく、溶剤により所望の粘度に調製して用いることができる。なお、ノズル11の塗料室112に導入した塗料2を塗料タンク21に戻す塗料配管を設け、塗料2を循環しながら供給してもよい。塗料ポンプ23のON/OFFは制御部14からの指令信号により制御される。
【0015】
《撹拌構造の第1実施形態:羽根部⇒連続羽根124》
特に本実施形態の塗料吐出装置1において、塗料室112における塗料2の撹拌性を高めるために、ニードル12は、軸方向Yに対して傾斜した傾斜面を含む撹拌構造を有する。そして、本実施形態の撹拌構造は、ニードル12の本体外面から径方向に突出して形成された羽根部を含む。具体的には、図1図2Cに示す実施形態のニードル12は、羽根部を含む撹拌構造の一形態として、棒形状の本体外面から径方向に突出して形成された連続羽根124を含み、この連続羽根124の表面が軸方向Yに対して傾斜した傾斜面とされている。すなわち、ニードル12の本体は、上述したとおり針状の棒体(ロッド)から構成されているが、この本体の外面に、螺旋状に連続する連続羽根124が形成され、連続羽根124の表裏の全面が軸方向Yに対して傾斜した傾斜面となっている。連続羽根124は、ニードル12の本体と一体的に形成してもよいし、別部材として形成したものをニードル12の本体に固定してもよい。
【0016】
本実施形態の連続羽根124の形成位置は特に限定はされず、塗料室112における塗料2の撹拌性向上の観点からは塗料室112の内部に位置する部分であればニードル12の本体外面の一部に設けてもよいが、塗料2の撹拌効果を高める観点からすれば、塗料室112に位置するニードル12の全部にわたって形成することがより好ましいといえる。
【0017】
本実施形態の連続羽根124のニードル12の円周方向に対する形成位置は特に限定されず、ニードル12の本体外面の円周方向に対して非連続的(離散的)に形成してもよいが(図3図5を参照して後述する。)、塗料室112における塗料2の撹拌性をより一層高めるためには、ニードル12の本体外面の円周方向に連続して形成することがより好ましいといえる。
【0018】
本実施形態の連続羽根124の軸方向Yのピッチは特に限定されず、塗料2の撹拌性と塗料2の流動性とを勘案して適宜のピッチに設定することができる。図2A図2Cを参照して後述するとおり、ニードル12が進退移動すると、連続羽根124によって塗料室112の塗料2が撹拌されるが、このとき塗料2は、その方向を変えながら連続羽根124の間を流動する。そのため、連続羽根124のピッチが広過ぎると撹拌効果が少ない一方、連続羽根124のピッチが狭過ぎても塗料2の流動性が低いので、やはり撹拌効果が少ない。したがって、使用する塗料2の粘度などの流動特性に応じて、適宜のピッチに設定することが望ましい。
【0019】
次に作用を説明する。図2A図2Cは、ノズル11の吐出部113に対するニードル12の進退移動と、これに伴う塗料2の流れを説明するための要部断面図である。図2Aは、ニードル12が上死点に位置し、これから前進する状態を示し、図2Bは、ニードル12が下死点に到達した状態を示し、図2Cは、ニードル12が下死点から後退を開始して上死点に向かう途中の状態を示す。
【0020】
本実施形態の制御部14は、アクチュエータ13を制御することにより所定の周波数でニードル12を軸方向Yに進退移動させる。ニードル12の1ストロークの行程は、図2Aに示す、ニードル12の先端部121が吐出部113から最も離反するストローク開始位置Y1(上死点)から、図2Bに示す、ニードル12の先端部121が吐出部113に最も接近する前進限位置Y2(下死点)まで前進したのち、再び図2Aに示すストローク開始位置Y1(上死点)まで戻る行程である。制御部15は、アクチュエータ13を制御することにより、図2Aに示すニードル12のストローク開始位置Y1,ニードル12のストローク量ΔL,ニードル12の移動速度Vを設定することができる。
【0021】
なお、図2Aに示すように、ニードル12やアクチュエータ13の仕様により、ニードル12のストローク開始位置Y1の最大後退位置が定まるが、制御部14でアクチュエータ13を制御することにより、図2Aに示すように、最大後退位置を限度にしてニードルのストローク開始位置Y1を所望の位置に設定することができる。また、ニードル12の前進限位置Y2において、ニードル12の先端部121は、ノズル11の吐出部113に接触する必要はなく、接近すればよい。すなわち、ニードル12が前進することにより、基本的には先端部121と吐出部113との間にある塗料2が吐出部113に押され、これにより塗料2が吐出部113から吐出(滴下)するからである。
【0022】
ところで、自動車用塗料のような液体ポリマーは、高分子粘弾性のチキソトロピー特性により、剪断応力を受け続けると粘度が低下する一方、静止状態になると粘度が上昇することが知られている。本発明者らが模擬実験を行い、本実施形態の塗料吐出装置1のノズル11の容積に相当するシリンジ(注射筒)に自動車用塗料を収容し、注射口を塞いだ状態でプランジャ(押し子)にて10kPaの圧力を6時間印加したところ、その粘度が初期の粘度に対し2~3倍に上昇することが確認された。
【0023】
自動車ボディや自動車部品に塗装する場合、塗膜の平滑性や輝度を高めるために、塗料2の微粒化を促進することが重要であるが、粘度が上昇すると微粒化が阻害される。そのため、粘度を低下させるためには塗料2を撹拌することが好ましいが、本実施形態の連続羽根124は、塗料室112の内部において高周波数で進退移動を繰り返すことから、塗料2の撹拌にも寄与することができる。このことを以下に説明する。
【0024】
図2Aに示すように、ニードル12が上死点から前進を開始すると、ニードル12の前進移動にともなって連続羽根124も前進移動を開始する。これにより、図2Aに実線の矢印で示すように、ニードル12の周りにある塗料室112内の塗料2は、連続羽根124の間を斜め上方向に流動することになる。また、これと同時に、図2Aに白抜き矢印で示すように、連続羽根124と塗料室112の内壁との間にあった塗料2が吐出部113に向かって流動することになる。連続羽根124を設けていないニードル12の場合には、ニードル12の先端部121と吐出部113との間にある塗料2だけが吐出部113に向かって押されるだけで、塗料室112の塗料2は撹拌されない。しかしながら、本実施形態では、ニードル12に連続羽根124が設けられているので、塗料室112内の塗料2が撹拌される。なおこれに加えて、ニードル12の先端部121と吐出部113との間にある塗料2だけでなく、連続羽根124と塗料室112の内壁との間にあった塗料2が吐出部113に向かって流動する。これにより、塗料2の撹拌効果に加えて、塗料2の供給スピードが高くなる。
【0025】
図2Bに示すように、ニードル12が下死点に到達すると、ニードル12の先端部121と吐出部113との間の塗料2が液滴となって吐出されるので、この部分の塗料2が瞬間的に欠損する。しかしながら、ニードル12が下死点から後退を開始すると、図2Cに実線の矢印で示すように、ニードル12の周りにある塗料室112内の塗料2は、連続羽根124の間を斜め下方向に流動することになる。また、これと同時に、図2Aに白抜き矢印で示すように、連続羽根124と塗料室112の内壁との間にあるが吐出部113に向かって流動し、欠損した塗料2を補うことになる。このような動作を高周波数で繰り返すことにより、塗料室112の塗料2が撹拌される。
【0026】
《撹拌構造の第2実施形態:羽根部⇒離散羽根125》
本実施形態の塗料吐出装置1において、ニードル12は、軸方向Yに対して傾斜した傾斜面を含む撹拌構造を有し、この撹拌構造の具体例として、図1図2Cに示す実施形態では、ニードル12の外面から径方向に突出して形成された羽根部のうちの連続羽根124を例示したが、本発明の羽根部は、連続羽根124にのみ限定されず、ニードル12の本体外面に離散して形成された複数の離散羽根125であってもよい。図3は、本発明に係る塗料吐出装置1の他の実施の形態を示す要部斜視図であり、塗料室112に臨んだニードル12のみを示す。なお、本実施形態のニードル12も、軸方向Yに進退移動するだけで、軸周りに回転しない構成とされている。
【0027】
図3に示す実施形態では、羽根部として、ニードル12の本体外面に離散し、軸方向Yに対して傾斜した傾斜面を含む複数の離散羽根125を有する。また、複数の離散羽根125は、軸方向Yに対しても円周方向に対しても、隣接する2つの離散羽根125の間には隙間Sが形成され、後述するように塗料2が離散羽根125の傾斜面に沿って円周方向螺旋状に流動することに加え、ニードル12の軸方向Yにも塗料2が通過できるようになっている。
【0028】
本実施形態の離散羽根125の形成位置は特に限定はされず、塗料室112における塗料2の撹拌性向上の観点からは塗料室112の内部に位置する部分であればニードル12の本体外面の一部に設けてもよいが、塗料2の撹拌効果を高める観点からすれば、塗料室112に位置するニードル12の全部にわたって形成することがより好ましいといえる。
【0029】
本実施形態の離散羽根125のニードル12の円周方向のピッチ及び軸方向Yのピッチは特に限定されず、塗料2の撹拌性と塗料2の流動性とを勘案して適宜のピッチに設定することができる。図4を参照して後述するとおり、ニードル12が進退移動すると、離散羽根125によって塗料室112の塗料2が撹拌されるが、このとき塗料2は、その方向を変えながら離散羽根125の間の隙間Sを流動する。そのため、離散羽根125のピッチが広過ぎると撹拌効果が少ない一方、離散羽根125のピッチが狭過ぎても塗料2の流動性が低いので、やはり撹拌効果が少ない。したがって、使用する塗料2の粘度などの流動特性に応じて、適宜のピッチに設定することが望ましい。図3に示す離散羽根125は、軸方向Yに3つずつ配列され、円周方向に4列配列されている。
【0030】
次に作用を説明する。図4は、図3に示す実施形態のニードル12の進退移動とこれに伴う塗料の流れを説明するための要部正面図である。図4(A)は、ニードル12が上死点から前進する状態を示し、図4(B)は、ニードル12が下死点から後退するの状態を示す。
【0031】
図4(A)に示すように、ニードル12が上死点から前進を開始すると、ニードル12の前進移動にともなって複数の離散羽根125も前進移動を開始する。これにより、同図に実線の矢印で示すように、ニードル12の周りにある塗料室112内の塗料2は、離散羽根125の間を斜め上方向に流動することになる。また、離散羽根125の間を斜め上方向に流動した塗料は、隙間Sの部分でその方向を軸方向Yの上側に変更する。
【0032】
一方、図4(B)に示すように、ニードル12が下死点から後退を開始すると、ニードル12の後退移動にともなって複数の離散羽根125も後退移動を開始する。これにより、ニードル12の周りにある塗料室112内の塗料2は、同図に実線の矢印で示すように、離散羽根125の間を斜め下方向に流動することになる。また、離散羽根125の間を斜め下方向に流動した塗料は、隙間Sの部分でその方向を軸方向Yの下側に変更する。このような動作を高周波数で繰り返すことにより、塗料室112の塗料2が撹拌される。
【0033】
本実施形態の離散羽根125は、矩形の正面視形状(離散羽根125の主面を正面視したときの形状を言う。以下同じ。)を有するが、本発明に係る離散羽根125の正面視形状は矩形にのみ限定されず、三角形、半円又は半楕円であってもよい。図5は、離散羽根125の他例を示す正面視であり、図5(A)は、離散羽根125の正面視形状を三角形に形成した他例を示し、図5(B)は、離散羽根125の正面視形状を半楕円に形成した他例を示す。このような正面視形状であっても塗料室112の塗料2を好適に撹拌することができる。
【0034】
《撹拌構造の第3実施形態:溝部⇒連続溝126》
本実施形態の塗料吐出装置1において、ニードル12は、軸方向Yに対して傾斜した傾斜面を含む撹拌構造を有し、この撹拌構造の具体例として、図1図5に示す羽根部を例示したが、本発明の撹拌構造は、羽根部にのみ限定されず、ニードル12の本体外面に、軸方向Yに対して傾斜して形成された溝部であってもよい。図6は、本発明に係る塗料吐出装置1の他の実施の形態を示す要部正面図であり、塗料室112に臨んだニードル12のみを示す。図6に示す実施形態では、溝部として、ニードル12の本体外面に螺旋状に連続して形成された連続溝126を有する。なお、本実施形態のニードル12も、軸方向Yに進退移動するだけで、軸周りに回転しない構成とされている。
【0035】
本実施形態の連続溝126の形成位置は特に限定はされず、塗料室112における塗料2の撹拌性向上の観点からは塗料室112の内部に位置する部分であればニードル12の本体外面の一部に設けてもよいが、塗料2の撹拌効果を高める観点からすれば、塗料室112に位置するニードル12の全部にわたって形成することがより好ましいといえる。
【0036】
本実施形態の連続溝126のニードル12の円周方向に対する形成位置は特に限定されず、ニードル12の本体外面の円周方向に対して非連続的(離散的)に形成してもよいが(図9図10を参照して後述する。)、塗料室112における塗料2の撹拌性をより一層高めるためには、ニードル12の本体外面の円周方向に連続して形成することがより好ましいといえる。
【0037】
本実施形態の連続溝126の軸方向Yのピッチは特に限定されず、塗料2の撹拌性と塗料2の流動性とを勘案して適宜のピッチに設定することができる。図7を参照して後述するとおり、ニードル12が進退移動すると、連続溝126によって塗料室112の塗料2が撹拌されるが、このとき塗料2は、その方向を変えながら連続溝126の中を流動する。そのため、連続溝126のピッチが広過ぎると撹拌効果が少ない一方、連続溝126のピッチが狭過ぎても塗料2の流動性が低いので、やはり撹拌効果が少ない。したがって、使用する塗料2の粘度などの流動特性に応じて、適宜のピッチに設定することが望ましい。
【0038】
次に作用を説明する。図7は、図6に示す実施形態のニードル12の進退移動とこれに伴う塗料の流れを説明するための要部正面図である。図7(A)は、ニードル12が上死点から前進する状態を示し、図7(B)は、ニードル12が下死点から後退するの状態を示す。
【0039】
図7(A)に示すように、ニードル12が上死点から前進を開始すると、ニードル12の前進移動にともなって連続溝126も前進移動を開始する。これにより、同図に実線の矢印で示すように、ニードル12の周りにある塗料室112内の塗料2は、連続溝126の中を斜め上方向に流動することになる。
【0040】
一方、図7(B)に示すように、ニードル12が下死点から後退を開始すると、ニードル12の後退移動にともなって連続溝126も後退移動を開始する。これにより、ニードル12の周りにある塗料室112内の塗料2は、同図に実線の矢印で示すように、連続溝126の中を斜め下方向に流動することになる。このような動作を高周波数で繰り返すことにより、塗料室112の塗料2が撹拌される。
【0041】
《撹拌構造の第4実施形態:溝部⇒離散溝127》
本実施形態の塗料吐出装置1において、ニードル12は、軸方向Yに対して傾斜した傾斜面を含む撹拌構造を有し、この撹拌構造の具体例として、図6及び図7に示す実施形態では、ニードル12の外面に形成された溝部のうちの連続溝126を例示したが、本発明の溝部は、連続溝126にのみ限定されず、ニードル12の本体外面に離散して形成された複数の離散溝127であってもよい。図8は、本発明に係る塗料吐出装置1の他の実施の形態を示す図であり、図8(A)は正面図、図8(B)は背面図、図8(C)はC-C線に沿う断面図をそれぞれ示し、塗料室112に臨んだニードル12のみを示す。なお、本実施形態のニードル12も、軸方向Yに進退移動するだけで、軸周りに回転しない構成とされている。
【0042】
図8に示す実施形態では、溝部として、ニードル12の本体外面に離散し、軸方向Yに対して傾斜した傾斜面を含む複数の離散溝127を有する。
【0043】
本実施形態の離散溝127の形成位置は特に限定はされず、塗料室112における塗料2の撹拌性向上の観点からは塗料室112の内部に位置する部分であればニードル12の本体外面の一部に設けてもよいが、塗料2の撹拌効果を高める観点からすれば、塗料室112に位置するニードル12の全部にわたって形成することがより好ましいといえる。
【0044】
本実施形態の離散溝127のニードル12の円周方向のピッチ及び軸方向Yのピッチは特に限定されず、塗料2の撹拌性と塗料2の流動性とを勘案して適宜のピッチに設定することができる。図9を参照して後述するとおり、ニードル12が進退移動すると、離散溝127によって塗料室112の塗料2が撹拌されるが、このとき塗料2は、その方向を変えながら離散溝127の中を流動する。そのため、離散溝127のピッチが広過ぎると撹拌効果が少ない一方、離散溝127のピッチが狭過ぎても塗料2の流動性が低いので、やはり撹拌効果が少ない。したがって、使用する塗料2の粘度などの流動特性に応じて、適宜のピッチに設定することが望ましい。図8に示す離散溝127は一例であるが、軸方向Yに5つずつ配列され、円周方向に2列配列されている。
【0045】
次に作用を説明する。図9は、図8に示す実施形態のニードル12の進退移動とこれに伴う塗料の流れを説明するための要部正面図である。図9(A)は、ニードル12が上死点から前進する状態を示し、図9(B)は、ニードル12が下死点から後退するの状態を示す。
【0046】
図9(A)に示すように、ニードル12が上死点から前進を開始すると、ニードル12の前進移動にともなって複数の離散溝127も前進移動を開始する。これにより、同図に実線の矢印で示すように、ニードル12の周りにある塗料室112内の塗料2は、離散溝127の中を斜め上方向に流動することになる。
【0047】
一方、図9(B)に示すように、ニードル12が下死点から後退を開始すると、ニードル12の後退移動にともなって複数の離散溝127も後退移動を開始する。これにより、ニードル12の周りにある塗料室112内の塗料2は、同図に実線の矢印で示すように、離散溝127の中を斜め下方向に流動することになる。このような動作を高周波数で繰り返すことにより、塗料室112の塗料2が撹拌される。
【0048】
本実施形態の溝部を構成する連続溝126及び離散溝127は、半円形の断面形状を有するが、本発明に係る連続溝126及び離散溝127の断面形状は半円形にのみ限定されず、矩形、V字形又は波形であってもよい。図10は、連続溝126及び離散溝127の他例を示す断面図であり、図10(A)は、連続溝126及び離散溝127の断面形状を矩形に形成した他例を示し、図10(B)は、連続溝126及び離散溝127の断面形状をV字形に形成した他例を示し、図10(C)は、連続溝126及び離散溝127の断面形状を波形に形成した他例(厳密には溝の底面を波形)を示す。このような断面形状であっても塗料室112の塗料2を好適に撹拌することができる。
【0049】
《撹拌構造の第5実施形態:孔部128》
本実施形態の塗料吐出装置1において、ニードル12は、軸方向Yに対して傾斜した傾斜面を含む撹拌構造を有し、この撹拌構造の具体例として、図1図5に示す羽根部と、図6図10に示す溝部とを例示したが、本発明の撹拌構造は、羽根部及び溝部にのみ限定されず、ニードル12の本体を貫通する、軸方向Yに対して傾斜して形成された複数の孔部128であってもよい。図11は、本発明に係る塗料吐出装置1の他の実施の形態を示す要部正面図及び要部右側面図であり、塗料室112に臨んだニードル12のみを示す。なお、本実施形態のニードル12も、軸方向Yに進退移動するだけで、軸周りに回転しない構成とされている。
【0050】
本実施形態の孔部128の形成位置は特に限定はされず、塗料室112における塗料2の撹拌性向上の観点からは塗料室112の内部に位置する部分であればニードル12の本体外面の一部に設けてもよいが、塗料2の撹拌効果を高める観点からすれば、塗料室112に位置するニードル12の全部にわたって形成することがより好ましいといえる。
【0051】
本実施形態の孔部128の軸方向Yのピッチ、円周方向のピッチ及び孔径は特に限定されず、塗料2の撹拌性と塗料2の流動性とを勘案して適宜のピッチ及び孔径に設定することができる。図12を参照して後述するとおり、ニードル12が進退移動すると、孔部128によって塗料室112の塗料2が撹拌されるが、このとき塗料2は、その方向を変えながら孔部128の中を流動する。そのため、孔部128のピッチが広過ぎると撹拌効果が少ない一方、孔部128のピッチが狭過ぎても塗料2の流動性が低いので、やはり撹拌効果が少ない。したがって、使用する塗料2の粘度などの流動特性に応じて、適宜のピッチに設定することが望ましい。図11に示す実施形態の孔部128は一例であるが、軸方向Yに5つずつ配列され、円周方向に2列配列されている。
【0052】
次に作用を説明する。図12は、図11に示す実施形態のニードル12の進退移動とこれに伴う塗料の流れを説明するための要部正面図である。図12(A)は、ニードル12が上死点から前進する状態を示し、図12(B)は、ニードル12が下死点から後退するの状態を示す。
【0053】
図12(A)に示すように、ニードル12が上死点から前進を開始すると、ニードル12の前進移動にともなって孔部128も前進移動を開始する。これにより、同図に実線の矢印で示すように、ニードル12の周りにある塗料室112内の塗料2は、孔部128の中を斜め上方向に流動することになる。
【0054】
一方、図11(B)に示すように、ニードル12が下死点から後退を開始すると、ニードル12の後退移動にともなって孔部128も後退移動を開始する。これにより、ニードル12の周りにある塗料室112内の塗料2は、同図に実線の矢印で示すように、孔部128の中を斜め下方向に流動することになる。このような動作を高周波数で繰り返すことにより、塗料室112の塗料2が撹拌される。
【0055】
以上のとおり、本実施形態の塗料吐出装置1は、塗料2の導入部111、塗料室112及び塗料2の吐出部113を有するノズル11と、少なくとも先端部121が塗料室112に配置され、当該先端部121が吐出部113に向かって軸方向Yに移動可能に設けられたニードル12と、ニードル12の前進時に先端部121が吐出部113に接近し、ニードル12の後退時に先端部121が吐出部113から離反するように、ニードル12を軸方向Yに進退移動させるアクチュエータ13と、を備える塗料吐出装置1において、ニードル12は、軸方向に対して傾斜した傾斜面を含む撹拌構造を有するので、ニードル12を回転させることなく、塗料室112に存在する塗料2を撹拌することができる。これにより、エネルギ消費を抑制することができる。
【0056】
このように、塗料2の撹拌効果が充分に発揮できれば、塗料2が有するチキソトロピー特性により吐出時の微粒化が促進されるので、塗膜の塗り肌や鮮映性の向上が期待できる。また、塗料2の撹拌効果が充分に発揮できれば、塗料2の粘度を高めることができるので、垂直面などに塗装しても塗膜のタレ不具合の発生を抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態の塗料吐出装置1によれば、撹拌構造は、ニードル12の外面から径方向に突出して形成された羽根部を含み、羽根部が傾斜面を含むので、塗料室112に存在する塗料2の撹拌効果がより一層高くなる。
【0058】
また、本実施形態の塗料吐出装置1によれば、羽根部は、ニードル12の外面に螺旋状に連続して形成された連続羽根124を含むので、塗料室112に存在する塗料2の撹拌効果がより一層高くなる。
【0059】
また、本実施形態の塗料吐出装置1によれば、羽根部は、ニードル12の外面に離散して形成された、傾斜面を含む複数の離散羽根125と、隣接する離散羽根125の間に形成され、軸方向Yに塗料2が通過可能な隙間Sと、を含むので、塗料室112に存在する塗料2の撹拌効果がより一層高くなる。
【0060】
また、本実施形態の塗料吐出装置1によれば、離散羽根125は、矩形、三角形、半円又は半楕円の正面視形状を有するので、塗料室112に存在する塗料2の撹拌効果がより一層高くなる。
【0061】
また、本実施形態の塗料吐出装置1によれば、撹拌構造は、ニードル12の外面に形成された溝部を含み、溝部が傾斜面を含むので、塗料室112に存在する塗料2の撹拌効果がより一層高くなる。
【0062】
また、本実施形態の塗料吐出装置1によれば、溝部は、半円形、矩形、V字形又は波形の断面形状を有するので、塗料室112に存在する塗料2の撹拌効果がより一層高くなる。
【0063】
また、本実施形態の塗料吐出装置1によれば、溝部は、ニードル12の外面に螺旋状に連続して形成された連続溝126を含むので、塗料室112に存在する塗料2の撹拌効果がより一層高くなる。
【0064】
また、本実施形態の塗料吐出装置1によれば、溝部は、ニードル12の外面に螺旋状に離散して形成された離散溝127を含むので、塗料室112に存在する塗料2の撹拌効果がより一層高くなる。
【0065】
また、本実施形態の塗料吐出装置1によれば、撹拌構造は、ニードル12を貫通する複数の孔部128を含み、孔部128が傾斜面を含むので、塗料室112に存在する塗料2の撹拌効果がより一層高くなる。
【0066】
また、本実施形態の塗料吐出装置1によれば、自動車ボディ又は自動車部品に塗料を塗布する自動車塗装用とするので、従来のベル型静電塗装装置に比べ、塗着効率が格段に向上し、静電塗装に必要なアース処理が不要となり、ツートーンなどの塗り分けもマスキングレスで行うことができる。また、塗着効率が100%に近いので、塗装設備としての塗料回収装置が不要となり、塗装ブースの数量も削減することができる。
【符号の説明】
【0067】
1…塗料吐出装置
11…ノズル
111…導入部
112…塗料室
113…吐出部
114…ハウジング
12…ニードル
121…先端部
122…基端部
123…シール部材
124…連続羽根(撹拌構造,羽根部)
125…離散羽根(撹拌構造,羽根部)
126…連続溝(撹拌構造,溝部)
127…離散溝(撹拌構造,溝部)
128…孔部(撹拌構造)
S…隙間
13…アクチュエータ
14…制御部
2…塗料
21…塗料タンク
22…塗料配管
23…塗料ポンプ
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12