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特開2024-39346平角線の被膜除去方法及び被膜除去装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039346
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】平角線の被膜除去方法及び被膜除去装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/12 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
H02G1/12 060
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143830
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100196346
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 貴士
(72)【発明者】
【氏名】池田 遼太
【テーマコード(参考)】
5G353
【Fターム(参考)】
5G353AB05
5G353AC10
5G353CA05
5G353DA09
(57)【要約】
【課題】型成形により、平角線の断面形状をその長手方向全域にわたって矩形形状に近づけることで、平角線の絶縁被膜を対象領域の長手方向全域にわたって漏れなくかつ低コストに除去可能とする。
【解決手段】平角線1aの被膜除去方法は、矩形状をなす平角線1aの断面を構成する第一の辺側の絶縁被膜2(2a)を除去する第一被膜除去工程S2と、第一の辺と共に平角線1aの断面を構成し第一の辺と直交する第二の辺側の絶縁被膜2(2b)を除去する第二被膜除去工程S3と、第一及び第二被膜除去工程S2,S3のうち後に実施される第二被膜除去工程S3よりも前に、平角線1aに所定の成形面11a,12aで型成形を施して、双方の辺の間の角部4の曲率半径を小さくする曲率半径縮小工程S1とを備える。成形面11a,12aには、成形面11a,12aから平角線1aに向けて突出する突出部13,14が設けられ、突出部13,14は、成形面11a,12aのうち平角線1aの長手方向に離れた3箇所以上に設けられている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状をなす平角線の断面を構成する第一の辺側の絶縁被膜を除去する第一被膜除去工程と、
前記第一の辺と共に前記平角線の断面を構成し前記第一の辺と直交する第二の辺側の絶縁被膜を除去する第二被膜除去工程と、
前記第一及び第二被膜除去工程のうち後に実施される前記第二被膜除去工程よりも前に、前記平角線に所定の成形面で型成形を施して、前記双方の辺の間の角部の曲率半径を小さくする曲率半径縮小工程とを備えた平角線の被膜除去方法において、
前記成形面には、前記成形面から前記平角線に向けて突出する突出部が設けられ、
前記突出部は、前記成形面のうち前記平角線の長手方向に離れた3箇所以上に設けられていることを特徴とする平角線の被膜除去方法。
【請求項2】
前記突出部は、先端に向かうにつれて先細りする形状をなしている請求項1に記載の平角線の被膜除去方法。
【請求項3】
前記突出部は、前記突出部と向かい合う前記平角線の平坦面に属する前記一方の辺に沿った向きに延在している請求項1又は2に記載の平角線の被膜除去方法。
【請求項4】
前記突出部の前記成形面からの突出量は、前記絶縁被膜の厚み寸法よりも大きい請求項1又は2に記載の平角線の被膜除去方法。
【請求項5】
前記突出部の前記成形面からの突出量は、前記第一及び第二被膜除去工程における前記導体の取り代の大きい方の値と、前記絶縁被膜の厚み寸法との和以下である請求項1又は2に記載の平角線の被膜除去方法。
【請求項6】
矩形状をなす平角線の断面を構成する第一の辺側の絶縁被膜を除去する第一被膜除去装置と、
前記第一の辺と共に前記平角線の断面を構成し前記第一の辺と直交する第二の辺側の絶縁被膜を除去する第二被膜除去装置と、
前記第一及び第二被膜除去工程のうち後に実施される前記第二被膜除去工程よりも前に、前記平角線に所定の成形面で型成形を施して、前記双方の辺の間の角部の曲率半径を小さくする曲率半径縮小装置とを備えた平角線の被膜除去装置において、
前記曲率半径縮小装置の前記成形面には、前記成形面から前記平角線に向けて突出する突出部が設けられ、
前記突出部は、前記成形面のうち前記平角線の長手方向に離れた3箇所以上に設けられていることを特徴とする平角線の被膜除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平角線の被膜除去方法及び被膜除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題に鑑み電気自動車やハイブリッド車など、車両の駆動装置やその周辺機器にモータを採用する動きが加速している。上記車両へ搭載されるモータには、搭載可能なスペースの関係上、小型であることが求められる一方で、車両の駆動性能を向上させるべく高出力であることが求められることが多い。
【0003】
ここで、モータの高出力化のためには、ステータコイルに流す電流値を高める必要がある。その一方で、スペースが制限された条件下で効率よくコイルに流れる電流値を高めるためには、断面が略矩形状をなし占積率が相対的に高い平角線(平角導線)でコイルを構成することが考えられる。
【0004】
この平角線は、ステータコアの円周方向に一定の間隔で形成されたスロット内に予め定められた順序で配置されることにより、三相のコイルを構成する。一方、この平角線は周囲を絶縁被膜で覆われた形態をなす。よって、各相を構成する平角線を電気的に接続するためには、平角線の端部の絶縁被膜を除去して平角線の端部同士を接合する必要がある。
【0005】
ここで、特許文献1には、予め所定の長さに切断して得た平角線をその長手方向軸線まわりに回転させながら所定の方向に平角線を搬送して、搬送方向に沿って設けられた複数の切削工程で、平角線の短辺側の絶縁被膜と長辺側の絶縁被膜を除去すると共に、平角線の角部に面取り加工を施して、絶縁被膜を平角線の全周にわたって除去する方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、切削加工による面取りを省略する目的で、コンダクタ部材(平角線)のうち被覆部(絶縁被膜)の除去対象となる部分を長手方向と直交する一方向にパンチによって圧潰して、平角線の断面形状を矩形形状に近づける向きに成形した後、平角線の外表面のうち絶縁被膜の除去対象となる部分を除去する方法が提案されている。また、上述した圧潰工程を、平角線のうち圧潰する部分よりも長手方向の外側に位置する部分をクランプ部材によって拘束して行うことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015-89837号公報
【特許文献2】特開2016-21806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載のように絶縁被膜の除去対象となる部分をパンチで圧潰した場合においても、平角線の断面形状をその長手方向全域にわたって矩形形状に近づける向きに成形することは難しい。すなわち、パンチによって圧潰された部分のうち長手方向の中央領域では断面形状を矩形形状に近づけることができる一方で、長手方向の両端側領域では、長手方向の外側に向けてどうしても導体が逃げてしまい(長手方向の外側に向けた導体の塑性流動が生じ易くなり)、平角線の角部となる部分に向けて導体を流動させることが難しい。特許文献2では、被圧潰部分よりも長手方向の外側に位置する部分をクランプ部材によって拘束した状態で圧潰工程を実施しているが、このようにクランプ部材で平角線を拘束しただけでは、導体の長手方向外側への塑性流動を効果的に抑制することは依然として難しいのが現状である。
【0009】
以上の事情に鑑み、本明細書では、型成形により平角線の断面形状をその長手方向全域にわたって矩形形状に近づけることで、平角線の絶縁被膜を対象領域の長手方向全域にわたって漏れなくかつ低コストに除去可能とすることを、解決すべき技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題の解決は、本発明に係る平角線の被膜除去方法によって達成される。すなわち、この被膜除去方法は、矩形状をなす平角線の断面を構成する第一の辺側の絶縁被膜を除去する第一被膜除去工程と、第一の辺と共に平角線の断面を構成し第一の辺と直交する第二の辺側の絶縁被膜を除去する第二被膜除去工程と、第一及び第二被膜除去工程のうち後に実施される第二被膜除去工程よりも前に、平角線に所定の成形面で型成形を施して、双方の辺の間の角部の曲率半径を小さくする曲率半径縮小工程とを備えた平角線の被膜除去方法において、成形面には、成形面から平角線に向けて突出する突出部が設けられ、突出部は、成形面のうち平角線の長手方向に離れた3箇所以上に設けられている点をもって特徴付けられる。
【0011】
このように、本発明に係る平角線の被膜除去方法では、平角線に所定の成形面で型成形を施して、平角線の断面を構成する長辺と短辺との間の角部の曲率半径を小さくするに際し、成形面に突出部を設け、かつこの突出部を、成形面のうち平角線の長手方向に離れた3箇所以上に設けるようにした。このように、突出部を成形面の3箇所以上に設けることで、平角線の被成形部分に3つ以上の突出部が刺さった状態で成形面による型成形が行われる。平角線の表層部(導体の表層部)は、突出部が刺さった位置で長手方向に沿った複数の領域に区画された状態となるので、表層部の各区画された部分では導体の長手方向への塑性流動が効果的に抑制されると共に、導体の表層部に刺さった状態の突出部によって導体の塑性流動が直接的に規制される。以上の作用より、導体の被成形部分よりも長手方向の外側に向けた塑性流動が効果的に抑制される。また、長手方向外側への塑性流動が抑制された分、導体の塑性流動を平角線の角部となる領域に向かわせることができるので、長手方向全域にわたって平角線の断面形状を高精度に矩形形状に成形することが可能となる。
【0012】
また、本発明に係る平角線の被膜除去方法において、突出部は、先端に向かうにつれて先細りする形状をなしていてもよい。
【0013】
このように突出部を先細り形状とすることにより、突出部をより小さい負荷で平角線の導体、特に導体の表層部に突き刺すことができる。このように相対的に小さい負荷で突出部を導体に突き刺すことができれば、突出部に隣接する成形面による平角線の型成形を妨げる事態を回避して、平角線を成形面で精度よく型成形することが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る平角線の被膜除去方法において、突出部は、突出部と向かい合う平角線の平坦面に属する一方の辺に沿った向きに延在していてもよい。
【0015】
このように突出部を、型成形対象となる平角線の平坦面に属する一方の辺に沿った向き(すなわち平角線の長手方向に直交する方向)に延在した形状とすることで、導体の表層部が平角線の長手方向に直交する方向にわたって区画される。そのため、上述した表層部の区画による作用をより効果的に享受することが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る平角線の被膜除去方法において、突出部の成形面からの突出量は、絶縁被膜の厚み寸法よりも大きくてもよい。
【0017】
このように突出部の突出量を、絶縁被膜の厚み寸法よりも大きくすることで、突出部を確実に導体の表層部に突き刺すことができる。
【0018】
また、本発明に係る平角線の被膜除去方法において、突出部の成形面からの突出量は、第一及び第二被膜除去工程における導体の取り代の大きい方の値と、絶縁被膜の厚み寸法との和以下であってもよい。
【0019】
このように突出部の突出量を、被膜除去工程における導体の取り代の大きさを考慮して設定することで、型成形後に導体に残った突出部による刺し跡をその後の被膜除去工程で確実に除去することができる。これにより製品(コイルセグメント)としての外観品質を保証することが可能となる。また、導体露出部同士の接合面に凹部が残ることで接合面積が減少する事態を回避することが可能となる。
【0020】
また、前記課題の解決は、本発明に係る平角線の被膜除去装置によっても達成される。すなわち、この被膜除去装置は、矩形状をなす平角線の断面を構成する第一の辺側の絶縁被膜を除去する第一被膜除去装置と、第一の辺と共に平角線の断面を構成し第一の辺と直交する第二の辺側の絶縁被膜を除去する第二被膜除去装置と、第一及び第二被膜除去工程のうち後に実施される第二被膜除去工程よりも前に、平角線に所定の成形面で型成形を施して、双方の辺の間の角部の曲率半径を小さくする曲率半径縮小装置とを備えた平角線の被膜除去装置において、曲率半径縮小装置の成形面には、成形面から平角線に向けて突出する突出部が設けられ、突出部は、成形面のうち平角線の長手方向に離れた3箇所以上に設けられている点をもって特徴付けられる。
【0021】
このように、本発明に係る平角線の被膜除去装置では、平角線に所定の成形面で型成形を施して、平角線の断面を構成する長辺と短辺との間の角部の曲率半径を小さくするための曲率半径縮小装置に関し、成形面に突出部を設け、かつこの突出部を、成形面のうち平角線の長手方向に離れた3箇所以上に設けるようにした。このように、突出部を成形面の3箇所以上に設けることで、平角線の被成形部分に3つ以上の突出部が刺さった状態で成形面による型成形が行われる。平角線の表層部(導体の表層部)は、突出部が刺さった位置で長手方向に沿った複数の領域に区画された状態となるので、表層部の各区画された部分では導体の長手方向への塑性流動が効果的に抑制されると共に、導体の表層部に刺さった状態の突出部によって導体の塑性流動が直接的に規制される。以上の作用より、導体の被成形部分よりも長手方向の外側に向けた塑性流動が効果的に抑制される。また、長手方向外側への塑性流動が抑制された分、導体の塑性流動を平角線の角部となる領域に向かわせることができるので、長手方向全域にわたって平角線の断面形状を高精度に矩形形状に成形することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明に係る平角線の被膜除去方法によれば、型成形により平角線の断面形状をその長手方向全域にわたって矩形形状に近づけることができるので、平角線の絶縁被膜を対象領域の長手方向全域にわたって漏れなくかつ低コストに除去可能とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る平角線の製造方法の要部の手順を示すフローチャートである。
図2図1に示す曲率半径縮小工程に係る設備と短辺側被膜除去工程に係る設備との位置関係を示すX-Y平面図である。
図3図1に示す曲率半径縮小工程を実施する前の平角線のうち平坦な成形面で型成形される部分のY-Z断面図である。
図4図1に示す曲率半径縮小工程を実施する前の平角線のX-Z断面図である。
図5図1に示す曲率半径縮小工程を実施する前の平角線のX-Y断面図である。
図6図1に示す曲率半径縮小工程を実施した後の平角線のうち平坦な成形面で型成形された部分のY-Z断面図である。
図7図1に示す曲率半径縮小工程を実施した後の平角線のX-Z断面図である。
図8図1に示す曲率半径縮小工程を実施した後の平角線のX-Y断面図である。
図9図1に示す曲率半径縮小工程を実施している際の曲率半径縮小工程に係る設備と短辺側被膜除去工程に係る設備との位置関係を示すX-Y平面図である。
図10】短辺側プレカット工程の概念を示す平角線のX-Y平面図である。
図11】長辺側プレカット工程の概念を示す平角線のX-Y平面図である。
図12図1に示す短辺側被膜除去工程を実施する前の平角線のうち平坦な成形面で型成形された部分のY-Z断面図である。
図13図1に示す長辺側被膜除去工程を実施する前の平角線のうち平坦な成形面で型成形された部分のY-Z断面図である。
図14図1に示す面取り工程を実施する前の平角線のY-Z断面図である。
図15図1に示す面取り工程を実施した後の平角線のY-Z断面図である。
図16図1に示す切断工程の概念を示す平角線のX-Z平面図である。
図17】被膜除去加工及び面取り加工を施した後の平角線の端部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る平角線の製造方法の内容を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は、平角線の製造方法の要部の手順を示している。すなわち、本実施形態に係る平角線の製造方法は、平角線材の絶縁被膜を除去する被膜除去工程S1~S4と、被膜を除去した平角線材を切断して平角線を得る切断工程S5を具備するもので、被膜除去工程は、曲率半径縮小工程S1と、短辺側被膜除去工程S2と、長辺側被膜除去工程S3と、面取り工程S4とを具備する。ここで、短辺側被膜除去工程S2が本発明に係る第一被膜除去工程に相当し、長辺側被膜除去工程S3が本発明に係る第二被膜除去工程に相当する。以下、各工程S1~S3を中心に説明する。なお、以下では、平角線材の長手方向をX方向、X方向に直交する平角線材の仮想断面において、平角線材の長辺方向をY方向、短辺方向をZ方向と便宜的に規定して、方向に関する説明を行う。
【0026】
(S1)曲率半径縮小工程
この工程S1では、後工程となる短辺側被膜除去工程S2及び長辺側被膜除去工程S3の前に、平角線材の角部の曲率半径を所定の型成形により縮小させる。本実施形態では、図2に示すように、長尺の平角線材1の搬送方向上流側に曲率半径縮小工程S1が設けられると共に、所定の間隔Pを空けて次工程である短辺側被膜除去工程S2が設けられている。また、図示は省略するが、短辺側被膜除去工程S2よりも平角線材1の搬送方向下流側には長辺側被膜除去工程S3が設けられ、長辺側被膜除去工程S3よりも平角線材1の搬送方向下流側には面取り工程S4が設けられ、面取り工程S4よりも平角線材1の搬送方向下流側には切断工程S5が設けられている。これら一連の工程S1~S5の間隔Pは全て等しく、同じく所定の間隔Pで連続する平角線材1の被加工領域(後述する剥離予定領域5)に対して同時に各工程S1~S5の処理が実施されるように構成されている。
【0027】
図3図5はそれぞれ、曲率半径縮小工程S1における平角線材1のY-Z断面図、X-Z断面図、及びX-Y断面図である。これらの図に示すように、本工程S1では、一対の平坦な長辺側プレス面11a,11aが設けられた長辺側成形型11と、一対の平坦な短辺側プレス面12a,12aが設けられた短辺側成形型12とを有する曲率半径縮小装置10を用いて、平角線材1のうち絶縁被膜2の剥離が予定される領域(剥離予定領域5)をY方向及びZ方向にプレスして型成形を行う(図3を参照)。ここで、長辺側プレス面11aと短辺側プレス面12aがともに本発明に係る成形面に相当する。
【0028】
ここで、上述した長辺側プレス面11aと短辺側プレス面12aの少なくとも一方には、突出部13,14が設けられる(図3を参照)。本実施形態では、一対の長辺側プレス面11aのうちX方向に離れた3箇所以上に、より好ましくは5箇所以上(図4では11箇所)に第一突出部13が設けられる。また、一対の短辺側プレス面12aのうちX方向に離れた3箇所以上に、より好ましくは5箇所以上(図5では11箇所)に第二突出部14が設けられる。
【0029】
ここで、各突出部13,14の形態、及び配置態様は原則として任意である。本実施形態では、各第一突出部13同士の間隔は全て等しい。同様に、各第二突出部14同士の間隔は全て等しい。また、全ての第一突出部13は同じ形状並びにサイズをなしている。同様に、全ての第二突出部14は同じ形状並びにサイズをなしている。
【0030】
第一突出部13と第二突出部14は、本実施形態では、ともに先端に向かうにつれて先細りする形状をなしている(図4及び図5を参照)。第一突出部13は、第一突出部13と向かい合う平角線材1の長辺側平坦面(絶縁被膜2の長辺部2aの平坦な外表面)の短手方向、ここではY方向に沿って延在している(図3を参照)。また、第二突出部14は、第二突出部14と向かい合う平角線材1の短辺側平坦面(絶縁被膜2の短辺部2bの平坦な外表面)の短手方向、ここではZ方向に沿って延在している(図3を参照)。図3に示す例では、第一突出部13は、長辺側プレス面11aのY方向全域にわたって形成されている。同様に、第二突出部14は、短辺側プレス面12aのZ方向全域にわたって形成されている。
【0031】
ここで、第一突出部13の長辺側プレス面11aからの突出量d1は、絶縁被膜2の長辺部2aの厚み寸法t1よりも大きいことが望ましい(図4を参照)。一方で、第一突出部13の突出量d1は、長辺側被膜除去工程S3における導体3の取り代a1(図13を参照)と、絶縁被膜2の長辺部2aの厚み寸法t1との和以下であることが望ましい。同様に、第二突出部14の短辺側プレス面12aからの突出量d2は、絶縁被膜2の短辺部2bの厚み寸法t2よりも大きいことが望ましい(図5を参照)。一方で、第二突出部14の突出量d2は、短辺側被膜除去工程S2における導体3の取り代a2(図12を参照)と、絶縁被膜2の短辺部2bの厚み寸法t2との和以下であることが望ましい。
【0032】
上記構成の第一突出部13を設けた一対の長辺側プレス面11aと第二突出部14を設けた一対の短辺側プレス面12aとで、平角線材1の剥離予定領域5をY方向及びZ方向にプレスして各プレス面11a,12aに倣った形状に平角線材1を型成形することにより、導体3の四つ角に設けられた角部4の表面が隣接する導体3の長辺側平坦面3a及び短辺側平坦面3bに沿うように導体3を変形させる。これにより、角部4が突出変形し、角部4の曲率半径が縮小する(図6を参照)。
【0033】
上述したZ方向のプレス成形の際、各長辺側プレス面11aに設けられた第一突出部13が、平角線材1の長辺側領域の表層部、正確には絶縁被膜2の長辺部2aと、長辺部2aの直下に位置する導体3の第一表層部31に刺さった状態となる(図7を参照)。これにより、導体3の第一表層部31は、第一突出部13が刺さった位置で長手方向に沿った複数の領域に区画された状態となるので、第一表層部31の各区画された部分では導体3の長手方向(X方向)への塑性流動が効果的に抑制される。また、導体3の第一表層部31に刺さった状態の第一突出部13によって導体3のX方向への塑性流動が直接的に規制される。
【0034】
また、上述したY方向のプレス成形の際、各短辺側プレス面12aに設けられた第二突出部14が、平角線材1の短辺側領域の表層部、正確には絶縁被膜2の短辺部2bと、短辺部2bの直下に位置する導体3の第二表層部32に刺さった状態となる(図8を参照)。これにより、導体3の第二表層部32は、第二突出部14が刺さった位置で長手方向に沿った複数の領域に区画された状態となるので、第二表層部32の各区画された部分では導体3の長手方向(X方向)への塑性流動が効果的に抑制される。また、導体3の第二表層部32に刺さった状態の第二突出部14によって導体3のX方向への塑性流動が直接的に規制される。
【0035】
以上述べた各突出部13,14の作用により、上記Y方向及びZ方向のプレス成形時における平角線材1の長手方向(X方向)の伸びが抑制される。すなわち、図9に示すように、プレス成形の際、次工程となる短辺側被膜除去工程S2に係る設備(ここでは一対の剥離用の刃部材16を有する短辺側被膜除去装置15)は、平角線材1の長手方向の伸び量Sに応じてX方向に移動しながら、平角線材1に対して所定の加工を行う(短辺側被膜除去工程S2を実施する)必要があるところ、この伸び量Sが抑制されるために、X方向への移動量(追従量)が伸び量Sに応じたわずかな量で済む。よって、後述する短辺側被膜除去工程S2が曲率半径縮小工程S1と同時にかつ精度よく実施され得る。また、図示は省略するが、他の後工程S3~S5に係る設備についても、同様に、X方向への移動量が伸び量Sに応じたわずかな量で済むため、各工程S3~S5が前工程S1,S2と同時にかつ精度よく実施され得る。
【0036】
(S6)短辺側プレカット工程
また、本実施形態では、長辺側及び短辺側成形型11,12による角部4の成形工程(曲率半径縮小工程S1)を実施する際、併せて、平角線材1の外周を覆う絶縁被膜2の短辺部2bに切れ目6を形成する(図10に示す短辺側プレカット工程S6)。この切れ目6は、短辺部2bの幅方向(本実施形態ではZ方向)に沿って形成される。また、切れ目6は平角線材1の長手方向(本実施形態ではX方向)に所定の間隔を空けて形成される。本実施形態では、短辺側プレス面12aによる平角線材1のプレス成形により、短辺側プレス面12aに設けた第二突出部14が絶縁被膜2の短辺部2bを貫通することで切れ目6が形成される。よって、絶縁被膜2の短辺部2bには、最も多くの場合、第二突出部14と同じ数の切れ目6が形成される(図8及び図10)。この場合、X方向で最も離れた位置に形成された一組の切れ目6,6(6a,6b)間の領域が剥離予定領域5として画定される。
【0037】
(S7)長辺側プレカット工程
また、本実施形態では、曲率半径縮小工程S1を実施する際、併せて、平角線材1の外周を覆う絶縁被膜2の長辺部2aに切れ目7を形成する(図11に示す長辺側プレカット工程S7)。この切れ目7は、長辺部2aの幅方向(本実施形態ではY方向)に沿って形成される。また、切れ目7は平角線材1の長手方向(本実施形態ではX方向)に所定の間隔を空けて形成される。本実施形態では、長辺側プレス面11aによる平角線材1のプレス成形により、長辺側プレス面11aに設けた第一突出部13が絶縁被膜2の長辺部2aを貫通することで切れ目7が形成される。よって、絶縁被膜2の長辺部2aには、最も多くの場合、第一突出部13と同じ数の切れ目7が形成される(図7及び図11)。この場合、X方向で最も離れた位置に形成された一組の切れ目7,7(7a,7b)間の領域が剥離予定領域5として画定される。
【0038】
(S2)短辺側被膜除去工程
この工程S2では、所定の型成形が施された平角線材1の所定領域(剥離予定領域5)に対して、所定の被膜除去装置15により被膜除去処理を施す。この際、適用可能な被膜除去装置15は任意であり、例えば図12に示すように、剥離用の刃部材16を平角線材1の短辺部2bのうち剥離予定領域5に相当する一組の切れ目6a,6bの間(図10を参照)の部分に押し当て、短辺部2bの短辺に沿った方向(ここではZ方向)に滑らせることで、短辺部2bのうち一組の切れ目6a,6bで区画された部分が剥がされ、平角形状をなす導体3から除去される。上述した剥離動作(除去動作)は、導体3を介して互いに対向する一対の短辺部2bに対して行われる。上述した除去作業(切削加工)の完了時点では、図13に示すように、平角線材1の絶縁被膜2のうち短辺部2bのみが除去された状態にある。一方、絶縁被膜2の長辺部2aは未だ導体3の長辺側平坦面3aに付着した状態にある。
【0039】
なお、この際、絶縁被膜2の剥離予定領域5における短辺部2bの全てを確実に除去(剥離)する観点から、カットラインL1は、絶縁被膜2と導体3との境界から導体3側にずれた位置に設定されるのがよい。また、この際、曲率半径縮小工程S1で第二突出部14により導体3の第二表層部32に形成された凹部34を確実に除去する観点から、カットラインL1は、凹部34の底部よりも導体3の中央側にずれた位置に設定されるのがよい(図12を参照)。図12に示す場合だと、刃部材16の刃面16aのY方向位置が、カットラインL1のY方向位置と一致するように、平角線材1に対する刃部材16の位置が設定される。ここで、導体3の角部4は、前工程S1で鋭角化(曲率半径縮小化)されているので、上述したカットラインL1の位置で絶縁被膜2(短辺部2b及び第二表層部32のうち凹部34が形成された部分)を剥離することで、角部4を覆う絶縁被膜2が完全に除去された状態(図13に示す状態)となる。
【0040】
(S3)長辺側被膜除去工程
この工程S3では、角部4に対して型成形による面取り加工が施された平角線材1の所定領域(剥離予定領域5)に対して、所定の被膜除去装置17により被膜除去処理を施す。この際、適用可能な被膜除去手段は任意であり、例えば図13に示すように、剥離用の刃部材18を平角線材1の長辺部2aのうち一組の切れ目7a,7bの間(図11を参照)の部分に押し当て、長辺部2aの長辺に沿った方向(ここではY方向)に滑らせることで、長辺部2aのうち一組の切れ目7a,7bで区画された部分が剥がされ、導体3から除去される。上述した剥離動作(除去動作)は、導体3を介して互いに対向する一対の長辺部2aに対して行われる。これにより、平角線材1の剥離予定領域5における絶縁被膜2が全周にわたって除去された状態となる(図14を参照)。
【0041】
なお、短辺側被膜除去工程S2と同様、絶縁被膜2の剥離予定領域における長辺部2aの全てを確実に除去(剥離)する観点から、カットラインL2は、絶縁被膜2と導体3との境界から導体3側にずれた位置に設定されるのがよい。また、この際、曲率半径縮小工程S1で第一突出部13により導体3の第一表層部31に形成された凹部33を確実に除去する観点から、カットラインL2は、凹部33の底部よりも導体3の中央側にずれた位置に設定されるのがよい(図13を参照)。図示例の場合だと、刃部材18の刃面18aのZ方向位置が、カットラインL2のZ方向位置と一致するように、平角線材1に対する刃部材18の位置が設定される。
【0042】
(S4)面取り工程
この工程S4では、前工程(曲率半径縮小工程S1)で鋭角化された角部4に対して面取り加工を施す。本実施形態では、短辺側被膜除去工程S2及び長辺側被膜除去工程S3を実施した後の平角線材1の角部4に対して、型成形による面取り加工を施す。この際、適用可能な型成形装置19は任意であり、例えば図14に示すように、短辺に沿った方向(Z方向)の型締めにより、角部4を所定の形状に型成形可能な成形面20aを有する一対の成形型20が用いられる。本図示例に係る成形面20aは、テーパ状をなし角部4にC面取りを実施可能な形状とされている。
【0043】
上記構成をなす一対の成形型20,20間に平角線材1の剥離予定領域5を配置し、一対の成形型20,20をZ方向に接近させる(型締めする)ことにより、平角線材1の角部(導体3の角部4)に成形面20aによる型成形を施す。この結果、角部4にテーパ状の面取り部8(第一面取り部8a)が成形される(図15を参照)。
【0044】
なお、角部4に対する型成形の結果、導体3の長辺側平坦面3aと短辺側平坦面3bに対して何らかの平坦化処理(切削、型成形)が必要となった場合には、面取り工程S4の後に上記平坦化処理を施してもよい。あるいは、図示は省略するが、面取り工程S4の際、角部4に対する面取り加工と同時に上記平坦化処理を施してもよい。
【0045】
(S5)切断工程
以上のようにして、必要箇所(剥離予定領域5)の絶縁被膜2を全て除去した後、当該除去した部分を所定の切断手段(例えばせん断加工)で切断する。これにより、例えば図16に示すように、長手方向端部で導体3が露出した状態の平角線1aが得られる。
【0046】
然る後、導体3の各角部、具体的には、平角線1aの最も先端側に位置する導体3の先端面3cと長辺側平坦面3aとの間の角部、及び、先端面3cと短辺側平坦面3bとの間の角部にそれぞれ面取り加工を施す。これにより、図17に示すように、長辺側平坦面3aと短辺側平坦面3bとの間に第一面取り部8aが形成されると共に、先端面3cと長辺側平坦面3aとの間に第二面取り部8bが形成され、かつ先端面3cと短辺側平坦面3bとの間に第三面取り部8cが形成された平角線1aが得られる。
【0047】
なお、第二及び第三面取り部8b,8cの形成手段(面取り加工手段)は任意であり、型成形が好適な一例として挙げられる。また、各面取り部8b,8cの形成順序(各面取り加工の順序)も任意であり、例えば切断工程S5の後に実施してもよく、切断工程S5以前に実施してもよい。また、切断工程S5以前に実施する場合、既述の各工程S1~S5と同時に実施することも可能である。
【0048】
以上のようにして、平角線1aの端部に対する加工が完了した後、所定の曲げ加工等を施すことにより、コイルセグメントとしての平角線が完成する(図示は省略)。
【0049】
以上述べたように、本実施形態に係る平角線の製造方法では、平角線材1に所定の成形面で型成形を施して、角部4の曲率半径を小さくするに際し、成形面としての長辺側プレス面11a(短辺側プレス面12a)に第一突出部13(第二突出部14)を設け、かつこの第一突出部13(第二突出部14)を、長辺側プレス面11a(短辺側プレス面12a)のうち平角線材1の長手方向(X方向)に離れた3箇所以上に設けるようにした(図4及び図5を参照)。このように、第一突出部13(第二突出部14)を長辺側プレス面11a(短辺側プレス面12a)の3箇所以上に設けることで、平角線材1の被成形部分に3つ以上の第一突出部13(第二突出部14)が刺さった状態で長辺側プレス面11a(短辺側プレス面12a)による型成形が行われる。導体3の第一表層部31(第二表層部32)は、第一突出部13(第二突出部14)が刺さった位置で長手方向に沿った複数の領域に区画された状態となるので(図7及び図8を参照)、第一表層部31(第二表層部32)の各区画された部分では導体3の長手方向への塑性流動が効果的に抑制される。また、導体3の第一表層部31(第二表層部32)に刺さった状態の第一突出部13(第二突出部14)によって導体3の塑性流動が直接的に規制される。以上の作用により、導体3の長手方向外側への塑性流動が効果的に抑制される。また、長手方向外側への塑性流動が抑制された分、導体3の塑性流動を平角線材1の角部4となる領域に向かわせることができるので、長手方向中央のみならず導体3が長手方向外側に逃げ易い剥離予定領域5の長手方向両側においても導体3の塑性流動を平角線材1の角部4となる領域に向かわせることができる。よって、本実施形態に係る被膜除去方法によれば、長手方向全域にわたって平角線材1の断面形状を高精度に矩形形状に成形することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態では、第一突出部13(第二突出部14)を、先端に向かうにつれて先細りする形状としたので、第一突出部13(第二突出部14)をより小さい負荷で平角線材1の導体3、特に導体3の第一表層部31(第二表層部32)に突き刺すことができる。このように相対的に小さい負荷で第一突出部13(第二突出部14)を導体3に突き刺すことができれば、第一突出部13に隣接する長辺側プレス面11a(第二突出部14に隣接する短辺側プレス面12a)による平角線材1の型成形を妨げる事態を回避して、平角線材1を精度よく型成形することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態では、図3に示すように、第一突出部13(第二突出部14)を、長辺側プレス面11aのY方向全域にわたって延在させた形状としたので、導体3の第一表層部31(第二表層部32)が長辺部2aの長辺に沿った方向の全域(短辺部2bの短辺に沿った方向の全域)にわたって区画される。よって、上述した第一表層部31(第二表層部32)の区画による作用をより効果的に享受することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態では、第一突出部13(第二突出部14)の長辺側プレス面11a(短辺側プレス面12a)からの突出量d1(d2)を、対応する絶縁被膜2の長辺部2a(短辺部2b)の厚み寸法t1(t2)よりも大きくしたので、第一突出部13(第二突出部14)を確実に導体3の第一表層部31(第二表層部32)に突き刺すことができる。よって、上述した塑性流動の抑制効果をより確実に享受することが可能となる。
【0053】
また、この際、第一突出部13(第二突出部14)の突出量d1(d2)を、長辺側被膜除去工程S3(短辺側被膜除去工程S2)における導体3の取り代a1(a2)と、絶縁被膜2の長辺部2a(短辺部2b)の厚み寸法t1(t2)との和以下にすることで、型成形後に導体3に残った各突出部13,14による刺し跡(凹部33,34)をその後の被膜除去工程S2,S3で確実に除去することができる。これにより製品(コイルセグメント)としての外観品質を保証することが可能となる。また、導体3の露出部同士の接合面(例えば長辺側平坦面3a)に凹部33が残って接合面積が減少する事態を回避することが可能となる。
【0054】
また、本実施形態では、型成形により、角部4の曲率半径を縮小しかつ角部4の面取り加工を施すようにしたので、切削カスを出すことなく角部4に面取り部を形成することができる。よって、ランニングコストと材料コストの両面で低コスト化を図りつつ、剥離予定領域5における全ての絶縁被膜2を確実に除去することが可能となる。
【0055】
以上、本発明の一実施形態について述べたが、本発明に係る平角線の被膜除去方法は、その趣旨を逸脱しない範囲において、上記以外の構成を採ることも可能である。
【0056】
例えば、本実施形態では、第一突出部13が、導体3の断面長辺方向(Y方向)に直線的に伸びた形状をなす場合を例示したが(図3を参照)、もちろんこれ以外の形態をなすことも可能である。例えば図示は省略するが、第一突出部13を、長辺側プレス面11aを平面視した状態で、Y方向に対して斜め方向に伸びた形状としてもよい。あるいは、第一突出部13を、長辺側プレス面11aを平面視した状態で、V字状に屈曲した形状としてもよい。第二突出部14についても同様の形状が採用可能である。
【0057】
また、本実施形態では、全ての第一突出部13を同じ形状並びにサイズとした場合を例示したが、もちろんこれ以外の形態としてもよい。例えば、剥離予定領域5の長手方向外側ほど第一突出部13の楔角を大きくしてもよい。あるいは、剥離予定領域5の長手方向外側ほど第一突出部13の突出量d1を大きくしてもよい。第二突出部14についても同様の形状並びサイズが採用可能である。
【0058】
また、本実施形態では、長辺側プレス面11aと短辺側プレス面12aの双方に突出部(第一突出部13と第二突出部14)を設けた場合を例示したが、何れか一方の突出部のみを対応するプレス面(例えば第一突出部13のみを長辺側プレス面11a)に設けてもよい。また、一対の長辺側プレス面11aの何れか一方のみに第一突出部13を設けてもよく、一対の短辺側プレス面12aの何れか一方のみに第二突出部14を設けてもよい。
【0059】
また、曲率半径縮小工程S1の順序に関し、上記実施形態では、短辺側被膜除去工程S2と長辺側被膜除去工程S3の何れよりも前に曲率半径縮小工程S1を実施する場合を例示したが、もちろんこれには限られない。例えば短辺側被膜除去工程S2の後でかつ長辺側被膜除去工程S3の前に実施するなど、後に行われる被膜除去工程よりも前に実施する限りにおいて曲率半径縮小工程S1の順序は任意に設定可能である。
【0060】
また、面取り工程S4に関し、本実施形態では、短辺側被膜除去工程S2及び長辺側被膜除去工程S3の後に面取り工程S4を実施する場合を例示したが、もちろんこれには限られない。例えば図示は省略するが、短辺側被膜除去工程S2の後でかつ長辺側被膜除去工程S3の前に面取り工程S4を実施してもよい。要は、少なくとも一方の被膜除去工程S2(S3)と曲率半径縮小工程S1を実施した後であれば、面取り工程S4は任意の順序で実施することが可能である。
【0061】
また、短辺側被膜除去工程S2と長辺側被膜除去工程S3の順序に関しても上記実施形態に記載の態様に限られることはなく、例えば長辺側被膜除去工程S3の後に短辺側被膜除去工程S2を実施し、然る後に面取り工程S4を実施してもかまわない。
【符号の説明】
【0062】
1 平角線材
1a 平角線
2 絶縁被膜
2a 長辺部
2b 短辺部
3 導体
3a 長辺側平坦面
3b 短辺側平坦面
3c 先端面
4 角部
5 剥離予定領域
6,6a,6b 切れ目
7,7a,7b 切れ目
8,8a,8b,8c 面取り部
10 曲率半径縮小装置
11 長辺側成形型
11a 長辺側プレス面
12 短辺側成形型
12a 短辺側プレス面
13 第一突出部
14 第二突出部
15 短辺側被膜除去装置
16 刃部材
16a 刃面
17 長辺側被膜除去装置
18 刃部材
18a 刃面
19 型成形装置
20 成形型
20a 成形面
31 第一表層部
32 第二表層部
33,34 凹部
a1,a2 取り代
d1,d2 突出量
L1,L2 カットライン
P 間隔
S 伸び量(平角線材)
S1 曲率半径縮小工程
S2 短辺側被膜除去工程
S3 長辺側被膜除去工程
S4 面取り工程
S5 切断工程
S6 短辺側プレカット工程
S7 長辺側プレカット工程
t1,t2 厚み寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17