(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003936
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】還気用室内グリル
(51)【国際特許分類】
F24F 7/10 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
F24F7/10 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103307
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000219233
【氏名又は名称】東プレ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】森本 晋平
(72)【発明者】
【氏名】早川 英一
(57)【要約】
【課題】VOC及び湿気等が壁を隔てた部屋の外部から内部へ漏れることを抑制することができる還気用室内グリルを提供する。
【解決手段】還気用室内グリル10は、部屋3の内部と外部とを隔てる壁(天井板5)に設けられた貫通部5hに設置されるグリル本体11を備える。グリル本体11は、部屋3の内部から空気を導入する室内側吸込口部20と、部屋3の外部(天井裏4)から空気を導入する室外側吸込口部40とを有する。また、グリル本体11は、室内側吸込口部20からの室内側空気と室外側吸込口部40からの室外側空気とを混合するチャンバ部12と、混合された空気をチャンバ部12から排出するダクト6が接続される接続口部30とを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋の内部と外部とを隔てる壁に設けられた貫通部に設置されるグリル本体を備え、
前記グリル本体は、
前記部屋の内部から空気を導入する室内側吸込口部と、
前記部屋の外部から空気を導入する室外側吸込口部と、
前記室内側吸込口部からの室内側空気と前記室外側吸込口部からの室外側空気とを混合するチャンバ部と、
混合された空気を前記チャンバ部から排出するダクトが接続される接続口部と、を有する、
還気用室内グリル。
【請求項2】
前記室内側吸込口部の有効開口面積は、前記室外側吸込口部の有効開口面積よりも大きい、請求項1に記載の還気用室内グリル。
【請求項3】
前記室内側吸込口部は、室内側フィルタを有し、
前記室外側吸込口部は、室外側フィルタを有し、
前記室内側フィルタ及び前記室外側フィルタはそれぞれ、前記部屋の内部から交換することができるように前記グリル本体の内部空間に配置される、
請求項1又は2に記載の還気用室内グリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還気用室内グリルに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の居室内のVOC(揮発性有機化合物)の問題を解決することを目的として、一般住宅への機械換気設備の設置が義務化された。この機械換気設備により居室内のVOCは排出されるが、天井裏にはVOCや湿気が滞留する。さらに機械換気設備により居室内が負圧になるため、VOCが天井裏から居室内へ漏洩する。特許文献1は、VOC及び湿気等を最終的に小屋裏(天井裏)の強制排気手段(小屋裏換気扇)により戸外(屋外)に排気する住宅の換気システムに関する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている住宅の換気システムでは、逆に居室側から天井裏への空気の流れを起こし、居室内の空調された空気を戸外に直接排気するため、省エネルギの観点からあまり好ましいとはいえない。
【0005】
そこで、本発明は、VOC及び湿気等が壁を隔てた部屋の外部から内部へ漏れることを抑制することができる還気用室内グリルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る還気用室内グリルは、部屋の内部と外部とを隔てる壁に設けられた貫通部に設置されるグリル本体を備え、グリル本体は、部屋の内部から空気を導入する室内側吸込口部と、部屋の外部から空気を導入する室外側吸込口部とを有する。また、グリル本体は、室内側吸込口部からの室内側空気と室外側吸込口部からの室外側空気とを混合するチャンバ部と、混合された空気をチャンバ部から排出するダクトが接続される接続口部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、VOC及び湿気等が壁を隔てた部屋の外部から内部へ漏れることを抑制することができる還気用室内グリルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る還気用室内グリルの斜視図である。
【
図2】一実施形態に係る還気用室内グリルを
図1とは反対側から見た斜視図である。
【
図3】一実施形態に係る還気用室内グリルの側断面図である。
【
図4】化粧グリルのグリルパネルを取り外した状態の還気用室内グリルの側断面図である。
【
図5】一実施形態に係る住宅換気システムの概略図である。
【
図6】他の実施形態に係る住宅換気システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0010】
[還気用室内グリルの構成例]
図1は、本実施形態に係る還気用室内グリル10を下方(室内側)から見た斜視図であり、
図2は、本実施形態に係る還気用室内グリル10を上方(室外側)から見た斜視図である。また、
図3は、本実施形態に係る還気用室内グリル10の側断面図であり、
図4は、化粧グリル(室内側吸込口部20)のグリルパネル23を取り外した状態の還気用室内グリル10の側断面図である。
【0011】
本実施形態に係る還気用室内グリル10は、RAグリル、還気グリル等とも称されるものである。この還気用室内グリル10は、部屋3と天井裏4との間にある、部屋3と天井裏4とを隔てる壁(すなわち、天井板5)に設けられた貫通部5hに設置されるグリル本体11を備える。グリル本体11は、チャンバ部12を内部に有する中空体であり、このチャンバ部12は、後述する室内側吸込口部20からの還気(室内側空気)と室外側吸込口部40からの還気(室外側空気)とを混合する。また、グリル本体11は、結露を防止するために断熱材により被覆されていてもよい。
【0012】
本実施形態では、グリル本体11の下端には、グリル本体11から離れる方向に延出する、天井板5に対する固定部であるフランジ部13が形成される。また、本実施形態では、グリル本体11の下端面には、部屋3の内部側に開口する室内側開口部14が形成され、グリル本体11の一側面(鉛直に形成される鉛直壁11a)には、還気をチャンバ部12から排出するための排出用開口部15が形成される。
【0013】
さらに、本実施形態では、グリル本体11の他側面(斜めに形成される傾斜壁11b)には、部屋3の外部側(天井裏4)に開口する室外側開口部16が形成される。本実施形態では、室内側開口部14と排出用開口部15との間の円滑な空気の流れを確保すること、グリル本体11を室内側から貫通部5hに挿入して設置すること等を考慮して、グリル本体11の前記他側面の一部を傾斜させて傾斜壁11bを形成している。
【0014】
還気用室内グリル10のグリル本体11の室内側には、化粧グリルとも称される意匠性を備えた室内側吸込口部20が配置される。この室内側吸込口部20は、部屋3の内部から空気の一部を還気として室内側開口部14を通じてチャンバ部12へと導入する。室内側吸込口部20は、導入する還気から塵埃を除去するための室内側フィルタ21を有する。
【0015】
化粧グリルを構成する室内側吸込口部20は、例えば、グリル本体11の下部に連結されて固定されるグリル枠22と、グリル枠22に対して着脱可能に装着されるグリルパネル23とを有して構成される。さらに、室内側吸込口部20は、グリル枠22に形成されて室内側フィルタ21を保持する室内側フィルタ保持部24を有する。
【0016】
室内側フィルタ21は、室内側フィルタ21を室内(部屋3の内部)から交換することができるようにグリル本体11の内部空間に配置される。この室内側フィルタ21は、例えば、化粧グリルを構成する室内側吸込口部20の内部、すなわち室内側フィルタ21を保持する室内側フィルタ保持部24に配置されて保持される。
【0017】
また、還気用室内グリル10のグリル本体11の室外側には、チャンバ部12に吸い込まれた還気を機械換気設備100(
図5及び
図6参照)へ送るダクト6が接続される接続口部30が配置される。この接続口部30は、チャンバ部12に吸い込まれた還気をチャンバ部12から排出用開口部15を通じて排出する。
【0018】
接続口部30は、例えば、排出用開口部15に連通する筒状部31を有して構成される。この筒状部31は、例えば、筒状部31の基端側に位置する大径筒部32と、筒状部31の先端側に位置してダクト6が嵌合される小径筒部33とを有して構成される。
【0019】
さらに、還気用室内グリル10のグリル本体11の室外側には、部屋3の内部とは天井板5を隔てた部屋3の外部(天井裏4)から空気の一部を還気として導入する室外側吸込口部40が配置される。この室外側吸込口部40は、天井裏4からの還気を室外側開口部16を通じてチャンバ部12へと導入する。本実施形態では、この室外側吸込口部40は、グリル本体11(チャンバ部12)の一部を構成するものであって、斜めに形成される傾斜壁11bに配置されている。室外側吸込口部40は、導入する還気から塵埃を除去するための室外側フィルタ41を有する。
【0020】
室外側吸込口部40は、例えば、空気を通過させられるように格子状(網目状、ルーバー状でもよい)に形成される吸込口本体42を有して構成される。さらに、室外側吸込口部40は、吸込口本体42に形成されて室外側フィルタ41を保持する室外側フィルタ保持部43を有する。
【0021】
室外側フィルタ41は、室外側フィルタ41を室内(部屋3の内部)から交換することができるようにグリル本体11の内部空間(チャンバ部12の内部)に配置される。この室外側フィルタ41は、例えば、室外側吸込口部40の内部、すなわち室外側フィルタ41を保持する室外側フィルタ保持部43に配置されて保持される。
【0022】
ところで、前述の室内側吸込口部20の有効開口面積をAMとし、室外側吸込口部40の有効開口面積をASとして、有効開口面積の比率(AM:AS)は、例えば「7:3」であるとする。この場合に、室内側吸込口部20から吸い込まれる風量をQMとし、室外側吸込口部40から吸い込まれる風量をQSとすると、風量の比率(QM:QS)は「7:3」となる。すなわち、式[AM:AS=QM:QS]が成立する。また、有効開口面積AMと有効開口面積ASとの比率は、式[AM>AS]であるのが好ましい。
【0023】
また、機械換気設備100の内部の還気ファン(不図示)の風量を変更しても、室内側吸込口部20から吸い込まれる風量QMと室外側吸込口部40から吸い込まれる風量QSとの比率は変わらない。
【0024】
本実施形態では、室内側吸込口部20の有効開口面積AMと室外側吸込口部40の有効開口面積ASとは、室内側吸込口部20の方が大きく設定される(AM>AS)。また、風量の比率は有効開口面積の比率と同じである(AM:AS=QM:QS)ため、本実施形態では、室内側吸込口部20から吸い込まれる風量QMは、室外側吸込口部40から吸い込まれる風量QSよりも多くなる(QM>QS)。
【0025】
なお、「有効開口面積」とは、JIS規格のA2201「送風機による住宅等の気密性能試験方法」における「総相当隙間面積αA」と同義である。
【0026】
以上のように構成される還気用室内グリル10は、室内側吸込口部20(化粧グリル)から部屋3の内部の還気を吸い込み、室外側吸込口部40から天井裏4の還気を吸い込む。そして、チャンバ部12の内部で還気が合流し混合されて、還気用室内グリル10は、混合された還気を接続口部30(ダクト6)を通じて機械換気設備100(
図5及び
図6参照)へ供給する。
【0027】
[フィルタの清掃、交換]
本実施形態に係る還気用室内グリル10では、化粧グリル(室内側吸込口部20)のグリルパネル23が室内(部屋3の内部)から脱着可能である。化粧グリルのグリルパネル23を取り外すと、先ず室内側フィルタ21を取り外し、次に室外側フィルタ41を、手を室内からチャンバ部12の内部に挿入して取り外すことができる。
【0028】
そして、先ず、洗浄した又は新品の室外側フィルタ41を、手を室内からチャンバ部12の内部に挿入して取り付け、次に室内側フィルタ21を取り付け、その後に化粧グリルのグリルパネル23を取り付ける。
【0029】
このように、化粧グリル(室内側吸込口部20)のグリルパネル23を室内(部屋3の内部)から取り外すことにより、室内側フィルタ21と室外側フィルタ41とのいずれのフィルタも、清掃、交換をすることができる。
【0030】
[住宅換気システムの構成例]
本実施形態に係る還気用室内グリル10の施工例を
図5~
図6に示す。
【0031】
図5は、一実施形態に係る住宅換気システム1Aの概略図である。
【0032】
本実施形態では、前述のように、住宅2の居室(部屋3)の天井板5に貫通部5hを設けて還気用室内グリル10が設置される。また、本実施形態では、還気用室内グリル10の下部の室内側吸込口部20から部屋3側の還気を吸い込み、還気用室内グリル10の上部の室外側吸込口部40から天井裏4側の還気を吸い込み、還気をチャンバ部12内で合流させて機械換気設備100へ送る。外気処理機とも称される機械換気設備100では、還気(RA;リターンエア)と、戸外(住宅2の外部)から導入した外気(OA;アウトドアエア)とで、顕熱又は潜熱を熱交換する。そして、還気(RA)は排気(EA;エグゾーストエア)として戸外に排出され、外気(OA)は給気(SA;サプライエア)として居室内(部屋3の内部)に導入される。
【0033】
また、天井板5には、第2の貫通部7Aが別途設けられ、この第2の貫通部7Aに通気口部8Aが配置され、部屋3の内部の空気の一部が通気口部8Aを通過して天井裏4に入り、その空気が還気として室外側吸込口部40から機械換気設備100に導入される。この通気口部8Aは、防塵用のフィルタを備えない通気口(単純開口)であってもよく、防塵用のフィルタを備える通気口であってもよい。
【0034】
ところで、通気口部8Aの有効開口面積APは、式[AP≧AM]であるのが好ましい。すなわち、有効開口面積の関係式は、式[AP≧AM>AS]となる。また、通気口部8Aを通過する風量QPは、室外側吸込口部40からチャンバ部12に吸い込まれる風量QSと等しい(QP=QS)。
【0035】
本実施形態に係る還気用室内グリル10では、化粧グリル(室内側吸込口部20)のグリルパネル23が室内(部屋3の内部)から脱着可能である。化粧グリルのグリルパネル23を取り外すと、先ず室内側フィルタ21を取り外し、次に室外側フィルタ41を、手を室内からチャンバ部12の内部に挿入して交換することができる(
図4参照)。
【0036】
図5に示される住宅換気システム1Aは、住宅2の居室(部屋3)の天井(天井板5)に設けられた貫通部5hに設置される、前述の還気用室内グリル10を備える。また、住宅換気システム1Aは、天井(天井板5)に設けられた第2の貫通部7Aに設置され、居室(部屋3)の内部から天井裏4へと還気を導入する通気口部8Aを備える。通気口部8Aの有効開口面積A
Pは、室内側吸込口部20の有効開口面積A
M以上である(A
P≧A
M)。有効開口面積A
Pを有効開口面積A
M以上にすると、機械換気設備100の内部の還気ファンの風量を変更しても、風量Q
Mと風量Q
Sとの比率が変わらない効果が維持できる。
【0037】
本実施形態によれば、VOC及び湿気等が壁(天井板5)を隔てた部屋3の外部(天井裏4)から内部へ漏れることを抑制することができる住宅換気システム1Aを提供することができる。
【0038】
図6は、他の実施形態に係る住宅換気システム1Bの概略図である。
【0039】
図5に示される住宅換気システム1Aでは、通気口部8Aを設け、居室(部屋3)の内部から天井裏4へ還気の一部を導入した。その一方で、
図6に示される住宅換気システム1Bのように、戸外(住宅2の外部)と天井裏4とを直接繋ぐ通気口部8Bを設けても、VOCを排除できる。
【0040】
この住宅換気システム1Bでは、住宅2の居室(部屋3)の天井板5に貫通部5hを設けて還気用室内グリル10が設置される。住宅換気システム1Bでは、還気用室内グリル10の下部の室内側吸込口部20から部屋3側の還気を吸い込み、還気用室内グリル10の上部の室外側吸込口部40から天井裏4側の還気を吸い込み、還気をチャンバ部12内で合流させて機械換気設備100へ送る。外気処理機とも称される機械換気設備100では、還気(RA)と、戸外(住宅2の外部)から導入した外気(OA)とで、顕熱又は潜熱を熱交換する。そして、還気(RA)は排気(EA)として戸外に排出され、外気(OA)は給気(SA)として居室内(部屋3の内部)に導入される。
【0041】
また、住宅2の外壁9には、第2の貫通部7Bが別途設けられ、この第2の貫通部7Bに通気口部8Bが配置され、戸外(住宅2の外部)の空気の一部が通気口部8Bを通過して天井裏4に入り、その空気が室外側吸込口部40から機械換気設備100に導入される。この通気口部8Bは、防塵用のフィルタを備えない通気口(単純開口)であってもよく、防塵用のフィルタを備える通気口であってもよい。
【0042】
ところで、通気口部8Bの有効開口面積APは、式[AP≧AM]であるのが好ましい。すなわち、有効開口面積の関係式は、式[AP≧AM>AS]となる。また、通気口部8Bを通過する風量QPは、室外側吸込口部40からチャンバ部12に吸い込まれる風量QSと等しい(QP=QS)。
【0043】
本実施形態に係る還気用室内グリル10では、化粧グリル(室内側吸込口部20)のグリルパネル23が室内(部屋3の内部)から脱着可能である。化粧グリルのグリルパネル23を取り外すと、先ず室内側フィルタ21を取り外し、次に室外側フィルタ41を、手を室内からチャンバ部12の内部に挿入して交換することができる(
図4参照)。
【0044】
図6に示される住宅換気システム1Bは、住宅2の居室(部屋3)の天井(天井板5)に設けられた貫通部5hに設置される、前述の還気用室内グリル10を備える。また、住宅換気システム1Bは、住宅2の外壁9と天井裏4とを連通する第2の貫通部7Bに設置され、戸外(住宅2の外部)から天井裏4へと還気を導入する通気口部8Bを備える。通気口部8Bの有効開口面積A
Pは、室内側吸込口部20の有効開口面積A
M以上である(A
P≧A
M)。有効開口面積A
Pを有効開口面積A
M以上にすると、機械換気設備100の内部の還気ファンの風量を変更しても、風量Q
Mと風量Q
Sとの比率が変わらない効果が維持できる。
【0045】
図6に示される実施形態によれば、VOC及び湿気等が壁(天井板5)を隔てた部屋3の外部(天井裏4)から内部へ漏れることを抑制することができる住宅換気システム1Bを提供することができる。
【0046】
図5及び
図6では、住宅2の居室(部屋3)の天井(天井板5)に還気用室内グリル10を設置し、居室内の還気を天井裏4を経由して戸外に排出した。図示はしないが、例えば、階間(すなわち、上側階の部屋と下側階の部屋との間)に、還気用室内グリル10を含む住宅換気システム1A,1Bを配置し、階間の還気を室外側開口部16を通じてチャンバ部12へと導入してもよい。
【0047】
[作用効果等]
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0048】
(1)本実施形態に係る還気用室内グリル10は、部屋3の内部と外部とを隔てる壁(天井板5)に設けられた貫通部5hに設置されるグリル本体11を備える。グリル本体11は、部屋3の内部から空気を導入する室内側吸込口部20と、部屋3の外部(天井裏4)から空気を導入する室外側吸込口部40とを有する。また、グリル本体11は、室内側吸込口部20からの室内側空気と室外側吸込口部40からの室外側空気とを混合するチャンバ部12と、混合された空気をチャンバ部12から排出するダクト6が接続される接続口部30とを有する。
【0049】
本実施形態に係る還気用室内グリル10は、室内側吸込口部20と室外側吸込口部40との両方から還気をチャンバ部12へと吸い込み、ダクト6が接続される接続口部30からチャンバ部12内の還気を排出するよう構成される。
【0050】
本実施形態に係る還気用室内グリル10では、室内側吸込口部20と室外側吸込口部40との両方から還気をチャンバ部12に吸い込むようにすることにより、天井裏4のVOC及び湿気等を排除することが可能になる。
【0051】
天井裏4のVOC及び湿気等を排除することにより、VOC及び湿気等が天井裏4から居室内(部屋3の内部)へ漏れることを抑制することが可能になる。
【0052】
以上要するに、本実施形態によれば、VOC及び湿気等が壁を隔てた部屋3の外部から内部へ漏れることを抑制することができる還気用室内グリル10を提供することができる。
【0053】
(2)室内側吸込口部20の有効開口面積AMは、室外側吸込口部40の有効開口面積ASよりも大きい。
【0054】
本実施形態に係る還気用室内グリル10では、室内側吸込口部20の有効開口面積AMと室外側吸込口部40の有効開口面積ASとは、室内側吸込口部20の方が大きく設定される(AM>AS)。
【0055】
本実施形態に係る還気用室内グリル10が設置された天井板5には、通気口部8Aが設置され、部屋3の内部の空気の一部を天井裏4へ導入する(
図5参照)。通気口部8Aの有効開口面積A
Pは、室内側吸込口部20の有効開口面積A
M以上である(A
P≧A
M)。
【0056】
本実施形態では、還気用室内グリル10の室内側吸込口部20の有効開口面積AMと、室外側吸込口部40の有効開口面積ASとの比率を、関係式[AM>AS]とする。このようにすると、室内側吸込口部20から吸い込まれる風量QMと、室外側吸込口部40から吸い込まれる風量QSとの間には、関係式[QM>QS]が成立する。すなわち、室内側吸込口部20から吸い込まれる風量QMと、室外側吸込口部40から吸い込まれる風量QSとの比率は、有効開口面積の比率と同じで、[AM:AS=QM:QS]となる。この比率は、排出風量(総合風量;QM+QS)を変更しても変わらない。
【0057】
風量の比率は有効開口面積の比率と同じである(AM:AS=QM:QS)ため、本実施形態に係る還気用室内グリル10では、室内側吸込口部20から吸い込まれる風量QMは、室外側吸込口部40から吸い込まれる風量QSよりも多くなる(QM>QS)。
【0058】
以上のように構成される還気用室内グリル10は、室内側吸込口部20(化粧グリル)から部屋3の内部の還気を吸い込み、室外側吸込口部40から天井裏4の還気を吸い込む。そして、チャンバ部12の内部で還気が合流し混合されて、還気用室内グリル10は、混合された還気を接続口部30(ダクト6)を通じて機械換気設備100(
図5参照)へ供給する。
【0059】
(3)室内側吸込口部20は、室内側フィルタ21を有し、室外側吸込口部40は、室外側フィルタ41を有し、室内側フィルタ21及び室外側フィルタ41はそれぞれ、部屋3の内部から交換することができるようにグリル本体11の内部空間に配置される。
【0060】
本実施形態に係る還気用室内グリル10では、室内側吸込口部20と室外側吸込口部40とにはそれぞれ、導入する還気から塵埃を除去するためのフィルタ(室内側フィルタ21、室外側フィルタ41)が配置される。これらの室内側フィルタ21及び室外側フィルタ41はいずれも、化粧グリル(室内側吸込口部20)のグリルパネル23を室内(部屋3の内部)から取り外すことにより、清掃、交換をすることができる。
【0061】
本実施形態に係る還気用室内グリル10では、室内側フィルタ21をグリル本体11の内部空間に配置すると共に、室外側フィルタ41をグリル本体11の内部空間(チャンバ部12の内部)に配置する(
図3参照)。このように室内側フィルタ21及び室外側フィルタ41を配置することにより、これらのフィルタを室内(部屋3の内部)から交換することが可能になり、還気用室内グリル10のメンテナンス性が向上する。
【0062】
ところで、本発明の還気用室内グリルは前述の実施形態に例をとって説明したが、この実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1A,1B 住宅換気システム
2 住宅
3 部屋
4 天井裏
5 天井板
5h 貫通部
6 ダクト
7A,7B 第2の貫通部
8A,8B 通気口部
9 外壁
10 還気用室内グリル
11 グリル本体
11a 鉛直壁
11b 傾斜壁
12 チャンバ部
13 フランジ部
14 室内側開口部
15 排出用開口部
16 室外側開口部
20 室内側吸込口部
21 室内側フィルタ
22 グリル枠
23 グリルパネル
24 室内側フィルタ保持部
30 接続口部
31 筒状部
32 大径筒部
33 小径筒部
40 室外側吸込口部
41 室外側フィルタ
42 吸込口本体
43 室外側フィルタ保持部
100 機械換気設備
EA 排気
OA 外気
RA 還気
SA 給気