(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039368
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】受水槽給水制御システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240314BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143875
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 貴士
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】受水槽における水切れや残留塩素濃度の不足や水質の低下などの問題を解決する受水槽給水制御システムを提供する。
【解決手段】給水先で使用される水を貯留する受水槽の貯水量が所定の目標貯水量Voとなるように当該受水槽への給水を制御する給水制御部と、給水先での所定の予測対象期間Tp内の予測使用水量を予測する使用水量予測部と、使用水量予測部で予測された予測使用水量に基づいて目標貯水量Voを決定し更新する目標貯水量更新部と、を備えた受水槽給水制御システムであって、予測対象期間Tpよりも短い所定の目標貯水量更新周期To毎に、使用水量予測部が直後の予測対象期間Tp内の予測使用水量を予測すると共に、目標貯水量更新部が使用水量予測部で予測された予測対象期間Tp内の予測使用水量に基づいて目標貯水量Voを決定し更新する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水先で使用される水を貯留する受水槽の貯水量が所定の目標貯水量となるように当該受水槽への給水を制御する給水制御部と、前記給水先での所定の予測対象期間内の予測使用水量を予測する使用水量予測部と、前記使用水量予測部で予測された予測使用水量に基づいて前記目標貯水量を決定し更新する目標貯水量更新部と、を備えた受水槽給水制御システムであって、
前記予測対象期間よりも短い所定の目標貯水量更新周期毎に、前記使用水量予測部が直後の前記予測対象期間内の予測使用水量を予測すると共に、前記目標貯水量更新部が前記使用水量予測部で予測された前記予測対象期間内の予測使用水量に基づいて前記目標貯水量を決定し更新する受水槽給水制御システム。
【請求項2】
前記目標貯水量更新周期が、前記予測対象期間内において複数回となる周期に設定されている請求項1に記載の受水槽給水制御システム。
【請求項3】
前記予測対象期間が24時間に設定されており、
前記目標貯水量更新周期が6時間に設定されている請求項2に記載の受水槽給水制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水先で使用される水を貯留する受水槽の貯水量が所定の目標貯水量となるように当該受水槽への給水を制御する給水制御部と、前記給水先での所定の予測対象期間内の予測使用水量を予測する使用水量予測部と、前記使用水量予測部で予測された予測使用水量に基づいて前記目標貯水量を決定し更新する目標貯水量更新部と、を備えた受水槽給水制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
受水槽の貯水量が所定の目標貯水量となるように当該受水槽への給水を制御する受水槽給水制御システムとして、1日(24時間)毎に、当日の給水先での予測使用水量を例えば過去の実績等に基づいて予測すると共に、その予測された予測使用水量に基づいて当日の目標貯水量を決定し更新するものが知られている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の受水槽給水制御システムでは、当日の予測使用水量が前日と比べて大幅に増減した場合に、以下に説明するような問題が生じる。
例えば、当日の予測使用水量が前日と比べて大幅に増加する場合には、目標貯水量の更新タイミングである当日の開始時において、当日の受水槽への給水の目標として決定される目標貯水量が前日と比べて急激に増加される。すると、水道管から受水槽へ水道水を導く流入管のサイズ等に起因して受水槽への単位時間当たりの給水量は限界があるため、受水槽の実際の貯水量が増加後の目標貯水量に到達するまでにかなりの時間を要する可能性がある。そして、受水槽の実際の貯水量が目標貯水量に到達する前に急な給水需要があった場合には、受水槽の貯留水が消費し尽くされて水切れとなる恐れがある。
一方、当日の予測使用水量が前日と比べて大幅に減少する場合には、目標貯水量の更新タイミングである当日の開始時において、当日の受水槽への給水の目標として決定される目標貯水量が前日と比べて急激に減少される。すると、受水槽の実際の貯水量は給水需要に合わせて徐々に低下して減少後の目標貯水量に近づこうとするが、当日の予測使用水量が少ないために受水槽には目標貯水量を超える無駄な水が長時間滞留する可能性がある。そして、受水槽に貯留水が長時間滞留すると、当該貯留水の残留塩素濃度が基準値よりも不足したり、水質が低下したりする恐れがある。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、給水先へ供給される水道水を一時的に貯留する受水槽の貯水量が所定の目標貯水量となるように当該受水槽への給水を制御するにあたり、予測対象期間内における給水先での予測使用水量を予測しながら、当該予測された予測使用水量に基づいて目標貯水量を決定し更新する受水槽給水制御システムにおいて、受水槽における水切れや残留塩素濃度の不足や水質の低下などの問題を解決する技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、給水先で使用される水を貯留する受水槽の貯水量が所定の目標貯水量となるように当該受水槽への給水を制御する給水制御部と、前記給水先での所定の予測対象期間内の予測使用水量を予測する使用水量予測部と、前記使用水量予測部で予測された予測使用水量に基づいて前記目標貯水量を決定し更新する目標貯水量更新部と、を備えた受水槽給水制御システムであって、
前記予測対象期間よりも短い所定の目標貯水量更新周期毎に、前記使用水量予測部が直後の前記予測対象期間内の予測使用水量を予測すると共に、前記目標貯水量更新部が前記使用水量予測部で予測された前記予測対象期間内の予測使用水量に基づいて前記目標貯水量を決定し更新する点にある。
【0007】
本構成によれば、受水槽への給水目標として設定される目標貯水量を更新する周期である目標貯水量更新周期が、当該目標貯水量の決定の基となる予測使用水量を予測する対象期間である予測対象期間よりも短いものに設定されている。即ち、前回の更新タイミングにて直後の予測対象期間(以下「前回の予測対象期間」と呼ぶ。)内の予測使用水量に基づいて目標貯水量が決定され更新された後に、前回の予測対象期間が終了する前の時点で一の目標貯水量更新周期が経過して次回の更新タイミングが到来し、直後の予測対象期間(以下「次回の予測対象期間」と呼ぶ。)内の予測使用水量に基づいて目標貯水量が決定され更新される。そして、次回の予測対象期間は前回の予測対象期間と重複しているので、前回予測対象期間内の予測使用水量に対する次回の予測対象期間内の予測使用水量の変化が緩和されて、次回の更新タイミングにおいて受水槽への給水目標として設定される目標貯水量が、前回の更新タイミングで設定された目標貯水量から大幅に変化することが抑制される。
即ち、前回の更新タイミングで設定された目標貯水量に対して、次回の更新タイミングで設定される目標貯水量の急激な増加が抑制されるので、受水槽の実際の貯水量が増加後の目標貯水量に到達するまでにかかる時間を短くすることができる。よって、急な給水需要があった場合であっても受水槽の貯留水が消費し尽くされて水切れとなることを防止できる。
一方、前回の更新タイミングで設定された目標貯水量に対して、次回の更新タイミングで設定される目標貯水量の急激な減少が抑制されるので、予測使用水量が少ない場合であっても受水槽の実際の貯水量を給水需要に合わせて適切に低下させて減少後の目標貯水量とすることができる。よって、受水槽において目標貯水量を超える無駄な水が長時間滞留することが無くなり、当該長時間の滞留による貯留水の残留塩素濃度の不足や水質の低下を防止できる。
従って、本発明により、給水先へ供給される水道水を一時的に貯留する受水槽の貯水量が所定の目標貯水量となるように当該受水槽への給水を制御するにあたり、予測対象期間内における給水先での予測使用水量を予測しながら、当該予測された予測使用水量に基づいて目標貯水量を決定し更新する受水槽給水制御システムにおいて、受水槽における水切れや残留塩素濃度の不足や水質の低下などの問題を解決する技術を提供することができる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、前記目標貯水量更新周期が、前記予測対象期間内において複数回となる周期に設定されている点にある。
【0009】
本構成によれば、予測対象期間が複数の目標貯水量更新周期に相当する期間に設定されているので、当該目標貯水量更新周期毎に給水先での予測使用水量を予測しておき、目標貯水量を決定し更新する目標貯水量更新周期毎の更新タイミングにおいて、直後の予測対象期間内に含まれる複数の目標貯水量更新周期毎の予測使用水量を合成して当該予測対象期間内の予測使用水量を簡単に生成することができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記予測対象期間が24時間に設定されており、
前記目標貯水量更新周期が6時間に設定されている点にある。
【0011】
本構成によれば、予測対象期間を24時間(1日)に設定した場合において、当該24時間を4分割した6時間を目標貯水量更新周期とすることで、当該6時間毎に給水先での予測使用水量を予測しておき、当該6時間毎の目標貯水量を決定し更新する更新タイミングにおいて、直後の24時間内に含まれる4つの6時間毎の予測使用水量を合成して当該24時間内の予測使用水量を簡単に生成することができる。そして、目標貯水量を常に24時間の予測使用水量に基づいて設定した状態を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態における受水槽給水制御システムの概略構成図
【
図2】目標貯水量更新周期毎の各更新タイミングにおける予測対象期間の状態を説明する図
【
図3】実施例及び比較例における目標貯水量及び実際の貯水量の変化状態を示すグラフ図(a)(b)、並びに1時間毎の使用水量の変化状態を示すグラフ図(c)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の受水槽給水制御システム(以下、「本システム」と呼ぶ。)10は、受水槽1に対する給水状態を制御するシステムとして構成されている。尚、本システム10は、コンピュータシステムにより構成されており、当該コンピュータシステムが所定のコンピュータプログラムを実行することにより、後述する給水制御部11、使用水量予測部12、及び目標貯水量更新部13を備えるものとなる。
【0014】
受水槽1は、建物や施設において、水道管4から給水先9へ供給されて使用される水道水を一時的に貯留するものとして構成されている。即ち、受水槽1には、水道管4に通じる流入管5と、給水先9へ通じる流出管8とが接続されており、水道管4から流入管5を供給された水道水が貯留水1aとして貯留され、当該貯留された貯留水1aが流出管8を通じて給水先9へ供給される。更に、受水槽1には、貯留水1aの水位を計測する水位計測部2と、流入管5からの給水を断続可能な給水弁6とが設けられている。
【0015】
本システム10の給水制御部11は、受水槽1の実際の貯水量Vrが所定の目標貯水量Voとなるように当該受水槽1への給水を制御する給水制御を実行する。当該給水制御では、上記実際の貯水量Vrに相当する水位計測部2で計測される貯留水1aの実際の水位Lrが、上記目標貯水量Voに相当する目標水位Loに維持されるように、給水弁6の開閉により当該受水槽1への給水が断続される。
【0016】
上記給水制御で用いられる目標貯水量Voは、給水先9での24時間内の予測使用水量の4/10~6/10程度に設定することが標準とされている。更に、この目標貯水量Voは、受水槽1の上記予測使用水量の変化に応じて適宜更新することが望ましい。
そこで、本システム10は、給水先9での所定の予測対象期間Tp(例えば24時間)内の予測使用水量Apを予測する使用水量予測部12と、当該使用水量予測部12で予測された予測使用水量Apに基づいて目標貯水量Voを決定し更新する目標貯水量更新部13を備える。
【0017】
使用水量予測部12では、使用水量に影響を与える季節や曜日などの使用水量影響条件Cが同じとなる過去の実際の1時間毎の使用水量Arを当てはめる形態で、将来の1時間毎の使用水量(
図3(c)を参照。)が予測される。そして、使用水量予測部12では、後述する更新処理の実行周期である所定の目標貯水量更新周期To毎の更新タイミングにおいて予測処理が実行される。当該予測処理では、更新タイミングを起点とした直後の予測対象期間Tp内の1時間毎の使用水量が積算されて、当該積算結果が予測対象期間Tp内の予測使用水量Apとして算出される。
【0018】
目標貯水量更新部13では、所定の目標貯水量更新周期To毎の更新タイミングにおいて更新処理が実行される。当該更新処理では、上記使用水量予測部12において算出された予測対象期間Tp内の予測使用水量Apに所定の係数(例えば4/10~6/10)が乗算され、その乗算結果が新たな目標貯水量Voに決定される。
すると、前回の更新タイミングから一の目標貯水量更新周期To後の次回の更新タイミングまでの期間において、給水制御部11により実行される給水制御により、貯留水1aの実際の貯水量Vrが目標貯水量Voに維持されるように、給水弁6の開閉により当該受水槽1への給水が断続されることになる。
【0019】
以上が本システム10の基本構成であるが、本実施形態に係る本システム10は、受水槽1における水切れや残留塩素濃度の不足や水質の低下などの問題を解決するための特徴を有しており、その詳細について以下に説明を加える。
【0020】
本システム10では、上述した予測処理及び更新処理の実行周期となる目標貯水量更新周期Toが、上述した予測処理において予測使用水量Apの予測対象となる予測対象期間Tpよりも短く設定されている。即ち、本システム10では、予測対象期間Tpよりも短い所定の目標貯水量更新周期To毎に、使用水量予測部12により直後の予測対象期間Tp内の予測使用水量Apが予測されると共に、目標貯水量更新部13により使用水量予測部12で予測された予測対象期間Tp内の予測使用水量Apに基づいて目標貯水量Voが決定され更新される。
【0021】
即ち、
図2に示すように、目標貯水量更新周期To毎の各更新タイミングP1,P2,P3,P4において、当該更新タイミングP1,P2,P3,P4を起点とした上記目標貯水量更新周期Toよりも長い予測対象期間Tp1,Tp2,Tp3,Tp4内の予測使用水量Ap1,Ap2,Ap3,Ap4に基づいて、目標貯水量Vo1,Vo2,Vo3,Vo4が決定される。そして、その更新タイミングP1,P2,P3,P4から目標貯水量更新周期Toが経過するまでの間の給水制御において、貯留水1aの実際の貯水量Vrが直前に決定された目標貯水量Vo1,Vo2,Vo3,Vo4に維持されるように、受水槽1への給水が制御されることになる。
例えば、
図2において、更新タイミングP1を前回の更新タイミングとし、その次の更新タイミングP2を次回の更新タイミングとして説明すると、前回の更新タイミングP1では、前回の予測対象期間Tp1内の予測使用水量Ap1に基づいて前回の目標貯水量Vo1が決定され更新される。その後、当該前回の予測対象期間Tp1が終了する前の時点で、一の目標貯水量更新周期Toが経過して次回の更新タイミングP2が到来する。この次回の更新タイミングP2では、次回の予測対象期間Tp2内の予測使用水量Ap2に基づいて目標貯水量Vo2が決定され更新されることになる。
そして、次回の予測対象期間Tp2は前回の予測対象期間Tp1と一部が重複するので、前回の予測対象期間Tp1内の予測使用水量Ap1に対する次回の予測対象期間Tp2内の予測使用水量Ap2の変化が緩和される。すると、次回の更新タイミングP2において受水槽1への給水目標として設定される目標貯水量Vo2が、前回の更新タイミングP1で設定された目標貯水量Vo1から大幅に変化することが抑制される。そして、詳細については後述するが、目標貯水量Voの大幅な変化が抑制されることで、受水槽1における水切れや残留塩素濃度の不足や水質の低下などの問題が解決されることになる。
【0022】
更に、目標貯水量更新周期Toを予測対象期間Tpよりも短く設定するにあたり、予測対象期間Tpは、複数の目標貯水量更新周期Toに相当する期間に設定することが望ましく(Tp=nTo;nは2以上の整数)、例えば
図2に示す例では、予測対象期間Tpが24時間であり、目標貯水量更新周期Toはその1/4の6時間に設定されている。このことで、目標貯水量更新周期To毎の予測使用水量を予測しておき、当該目標貯水量更新周期To毎の更新タイミングにおいて、直後の予測対象期間Tp内に含まれる複数の目標貯水量更新周期To毎の予測使用水量を合成して当該予測対象期間Tp内の予測使用水量Apを簡単に生成することができる。
【0023】
以下、本システム10による作用効果を詳細に説明するために、本システム10の特徴を採用した実施例1と、その比較対象となる比較例1の夫々について説明を加える。
尚、下記の実施例1及び比較例1は何れも、ある日の0時を起点として3日(72時間)後までの1時間毎の使用水量が
図3(c)に示すものであると仮定して、所定の目標貯水量更新周期毎に、直後の予測対象期間Tp内の予測使用水量Apに基づいて目標貯水量Voを決定し、次の更新タイミングまでの期間において当該決定した目標貯水量Voに基づく給水制御を行うものである。
【0024】
(実施例1)
実施例1において予測処理及び更新処理を実行した場合の目標貯水量Vo及び実際の貯水量Vrの変化状態を
図3(a)に示す。
この実施例1では、予測対象期間Tpを24時間に設定し、目標貯水量更新周期Toを予測対象期間Tpよりも短い6時間に設定している。即ち、この実施例1では、6時間毎の更新タイミングにおいて、予測処理の実行により更新タイミング直後の24時間内の予測使用水量Apが予測され、更新処理の実行により当該予測された24時間内の予測使用水量Apに基づいて目標貯水量Voが決定されて、6時間後の次回の更新タイミングまでの期間内は、貯留水1aの実際の貯水量Vrが今回の更新タイミングで決定した目標貯水量Voに維持されるように給水制御が実行される。
【0025】
すると、
図3(a)に示すように、6時間毎の各更新タイミングにおいて、目標貯水量Voの急激な変化が抑制された状態となり、実際の貯水量Vrがその目標貯水量Voの変化に対して比較的遅れなく追従した状態で推移することになる。
例えば、目標貯水量Voが増加される6:00、12:00、18:00、24:00においては、目標貯水量Voの急激な増加が抑制されている。このことで、受水槽1の実際の貯水量Vrが増加後の目標貯水量Voに到達するまでにかかる時間が比較的短いものとなる。すると、この更新タイミング直後に急な給水需要があった場合であっても、受水槽1の貯留水が消費し尽くされて水切れとなることが防止される。
一方、目標貯水量Voが減少される30:00、36:00、42:00、48:00においては、目標貯水量Voの急激な減少が抑制されている。このことで、後の使用水量が少ない場合であっても受水槽1の実際の貯水量Vrを給水需要に合わせて適切に低下させて迅速に減少後の目標貯水量Voとなる。すると、受水槽1において目標貯水量Voを超える無駄な水が長時間滞留することが無くなり、当該長時間の滞留による貯留水の残留塩素濃度の不足や水質の低下が防止される。
【0026】
(比較例1)
比較例1において予測処理及び更新処理を実行した場合の目標貯水量Vo及び実際の貯水量Vrの変化状態を
図3(b)に示す。
この比較例1では、予測対象期間Tpと目標貯水量更新周期Toを共に24時間に設定している。即ち、この比較例1では、24時間毎の更新タイミングにおいて、予測処理の実行により更新タイミング直後の24時間内の予測使用水量Apが予測され、更新処理の実行により当該予測された24時間内の予測使用水量Apに基づいて目標貯水量Voが決定されて、24時間後の次回の更新タイミングまでの期間内は、貯留水1aの実際の貯水量Vrが今回の更新タイミングで決定した目標貯水量Voに維持されるように給水制御が実行される。
【0027】
すると、
図3(b)に示すように、24時間毎の各更新タイミングにおいて、目標貯水量Voが急激に変化するものとなり、実際の貯水量Vrがその目標貯水量Voの変化に対して遅れた状態で推移することになる。
例えば、目標貯水量Voが増加される24:00においては、目標貯水量Voが急激に増加する。このことで、受水槽1の実際の貯水量Vrが増加後の目標貯水量Voに到達するまでにかかる時間が比較的長くなる。すると、この更新タイミング(24:00)直後に急な給水需要があった場合には、受水槽1の貯留水が消費し尽くされて水切れとなる恐れがある。
一方、目標貯水量Voが減少される48:00においては、目標貯水量Voが急激に減少する。このことで、後の使用水量が少ないことも相まって、受水槽1の実際の貯水量Vrの低下が鈍感となり、減少後の目標貯水量Voに到達し難くなる。すると、受水槽1において目標貯水量Voを超える無駄な水が長時間滞留することになって、当該長時間の滞留による貯留水の残留塩素濃度の不足や水質の低下の恐れがある。
【0028】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0029】
(1)上記実施形態では、予測対象期間Tpを24時間に設定し、目標貯水量更新周期Toを6時間に設定する例を説明したが、目標貯水量更新周期Toが予測対象期間Tpよりも短いものであれば、これら予測対象期間Tp及び目標貯水量更新周期Toを適宜変更しても構わない。
例えば、予測対象期間Tpを24時間とした場合において、目標貯水量更新周期Toを1時間、2時間、3時間、4時間、12時間に設定すれば、目標貯水量更新周期Toが予測対象期間Tp内において複数回となる周期に設定されて、予測対象期間Tp内の予測使用水量Apの生成を簡素化することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 受水槽
9 給水先
10 受水槽給水制御システム
11 給水制御部
12 使用水量予測部
13 目標貯水量更新部
Ap,Ap1~4 予測使用水量
To 目標貯水量更新周期
Tp,Tp1~4 予測対象期間
Vo,Vo1~4 目標貯水量
Vr 実際の貯水量